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LTVのデータベース・マーケティング活用-香川大学学術情報リポジトリ

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香 川 大 学 経 済 論 叢 第71巻 第3号 1998年 12月 47-93

LTVのデータベース・マーケティング活用

原 田

1 . 緒 言 昨今,我が国においてもデータベース・マーケティングの重要性が認識され はじめ,多くの企業において本格的な取組みが模索されている。しかしながら, データベース・マーケティングには,従来経験してこなかったような固有のノ ウハウやスキルの習得が前提とされている。これは,マス・マーケティングで 獲得したノウハウやスキルとは異なった全く応用不可能なものである。した がって,データベース・マーケティングの展開に向けでは,先進情報技術の導 入は当然のことながら,科学的な経営を可能にするための体制整備や

1

人ひと りの顧客のリテンションに向けた統計解析等,まさに多様な知識の組織的蓄積 が期待されるわけである。 このような状況下で,本章においては,特に顧客価値の創造に向けたマーケ ティングの中核的な指標である LT V (Life Time Value)についての理解と活 用に向けた方法論について,主にアーサー・ヒューズのモデlレを中心に紹介を 行うことにした。また,具体的な事例については,米国の先進事例として既に (1) アーサー・ヒューズ:米国におげるデータベース・マーケティングの第 I入者であり, Strategic Database Marketingゃ TheComplete Database Marketing等の著作がある。 我が闘においても,井尻弘や荒川圭基をはじめ多くの研究者やコンサルタントによって 紹介されている。とりわけ.L TV (Life time Value)やRFM (Recency, Frequency, Monetary Value)についてのモデル構築はデータベース・マーケテイングに多大な貢献 を果たしている。

(2)

48 香川大学経済論叢 634 伝説的になっている著名な事例についての概括的な理解を深めることに力点を 置くことにした。このような観点から,ここでは特に,第

1

は顧客価値創造に 向けたマーケティング戦略,第

2

LTV

によるカスタマー・ロイヤノレティの増 大,第

3

LTV

を基軸にした経営計画の策定,第

4

LTV

の増大へ向けた戦 略的対応について集中的な議論の展開を行った。 II.顧客価値創造に向けたマーケティング戦略 現在,戦略課題として注目を浴びている顧客価値を重視したマーケティング を展開するには,特に既存顧客のリテンションをいかに高めるかが大切な論点 になる。このことは取りも直さず,今後のマーケテイングにおいては,まさに 個人の単位で顧客を捉えて,この購買履歴をベースにした

LTV

をどう高めて 行くかが要請されることを意味している。こうして,個人のエクイティをベー スにした経営が指向されるようになり,利益の獲得を経営の目標にした戦略対 応が行われるようになる。 このような観点に立脚すると,まず、以って離脱顧客を抑制することと,そし てこの離脱顧客との関係構築から顧客リテンションについての組織的学習を行 うことが大切になる。また,顧客のロイヤルティを正確に掌握するためには,

LTV

についての正確な認識とこの運用が大切なことはいうまでもない。そこ (2 ) 顧客価値:企業に付加価値を生み出す源泉であって,この顧客価値を増大させること を目的としたマーケティングこそが顧客マーケティングなのである。この顧客価値には 科学的な計測が不可欠であり,アーサー・ヒューズのRFMセルコードによる分析はきわ めて画期的な手法である。これによって,データベース・マーケティングを展開する際に 必要な顧客価値の掌援も容易になった。 (3 ) カスタマー・ロイヤJレティ:顧客の,企業,庖舗,ブランド等に対する信頼感であり, まさに顧客のコミットする意思である。このカスタマー・ロイヤルティがあって,はじめ てカスタマー・ロイヤルティ経営の遂行が可能になる。また,そのためには,顧客に対す るサービス・プロフィット・チェーンの確立が前提条件なのである。 (4 ) 離脱顧客:何らかの原因によって,自社の顧客ではなくなってしまった元顧客である。 顧客のリテンションを指向するマーケティングの台頭と共に重視されるようになってき た概念である。この離脱顧客の声を良く聞くことで,自社の商品やサービスの改善に結び 付けることが可能であるし,カムバック・プロモーション等の適切な顧客対応で,離脱顧 客の何割かは再び自社に戻らせることも可能である。

(3)

635 LTVのデータベース・マーケティング活用 -49ー で,本節においては,第1に離脱顧客から獲得する学習効果,第2に顧客の維 持へ向けたLTVの意義,第3にLTVを基軸にした顧客価値の創造,第4にカ スタマーエクイティ発想による顧客戦略についての概括的な論述を行う。

L

離脱顧客から獲得すべき学習効果 増大する離脱顧客とは,見方を替えればまさに経営の悪化傾向を写しだす鏡 なのである。実際,この離脱顧客が増えはじめると必ずや近い将来資金繰り等 に問題を起こす企業が多いのも事実である。米国の数値においては,平均する と5年間で顧客の50%以上が離脱していることが既に証明されている。フレデ リック・ライコールドによれば,この顧客の離脱とは,第1には企業の提供す [ る価値が下落していることを示しており,また,第

2

には顧客から企業へと流 れるキャッシュフローの低下を示している。 しかしながら,多くの企業においては顧客とキャッシュフローとの関係に気 がついていないのが一般的である。また,この理由についても,ライコールド は以下のような

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点から要約的な説明を行っている。 (1) 綿密に失敗を究めようとすると自分の立場を危険なものにする。

(

2

)

そもそも離脱顧客の確認はきわめて困難なものである。

(

3

)

顧客の確認が困難であったり,またたとえ確認できたとしても,実際に 保持する価値があるかどうかについては全く疑わしいものである。 (4)顧客の離脱した原因の究明がきわめて困難であるため,顧客の離脱から 獲得できた教訓を効果的に活かすことが望まれる。

(

5

)

しかるべき社員に教訓を学ばせることはきわめて困難である。

(

6

)

顧客離脱の分析結果を経営システムに取り込むための機構を構築するこ とがきわめて困難である。 (5 ) カスタマーエクイティ:昨今,注目度を高めている顧客を企業にとっての資産として 見なしたまさに既存顧客室視の経営手法を展開する上で不可欠な概念なのである。米国 のロパート・プラットバーグPやジョン・デイトンによって提唱されており,現在では顧客 マーケティングの主流のlつになっている。また,このカスタマーエクイティとは,顧客 が顧客である期間にもたらしてくれる価値の合計を意味している。これが最大になって いれば,企業における新規顧客獲得のための投資と既存顧客維持のためのコストがバラ ンスしていることを表している。

(4)

-50- 香川大学経済論叢 636 このように,多くの困難さが考えられるのだが,顧客の定着が企業に利益を もたらすことを考慮するならば,これらの諸課題の克服は避けてはとおれない ことである。また,この離脱顧客のなかには,ちょっとした努力で自社の顧客 に引き戻すことが可能な顧客もかなりの割合で存在しているのである。それは 普通では,全面的にしかも急激に顧客が離脱するような事態はまれだからなの である。 ライコールドは,顧客を引き戻した良い事例として,ある精密メーカーの事 例について紹介を行っている。このメーカーにおいては,まさに徹底した離脱 顧客へのインタビューを行うことによって,実際に多くの離脱顧客の回帰が実 現できたそうである。それというのもは,このインタビュー結果から,実は顧 客のクレームをほとんど無視している実態が解ったため,これへの対応が行え たからである。このように,インタビュー調査は,たとえ形の上では苦情ホッ トライン等をひくことによる顧客対応であっても,実際にはほとんど聞く耳を 持っていないような状況等を容易に発見できるような優れた特徴を備えてい る。 また一方では,なぜ顧客が離脱するのかというまさにその理由を明確に掌握 しておくことも大切になる。テリー・ヴァヴラによれば,顧客の離脱要因はお おむね以下に述べるような

5

点であって,実はこれらの要因に的確に対応する ことで多くの離脱顧客を引き戻すことが可能なのである。 (1) 製品,配送,設置,サービス,または価格に対する不満である。 (2) 苦情に対するきわめてまずい対応である。

(

3

)

価格,方針,販売員のチェンジ等の変化に対する不満である。 (4) 親しくなりすぎていることが起因しているためか,逆に不十分な対応が ( 6) テリー・ヴァヴラ:我が固においては,AFTER MARKETING (失われる顧客)の著 者として有名である。これからのマーケティングにとって,ただ単に販売時点のみなら ず,その後のマーケテイング,すなわちアフター・マーケテイングが大切であるという考 え方である。このことによって,顧客の維持が可能になって,まさにリテンション・マー ケティングの展開へ多大な貢献を果たすことができる。このように,アフター・マーケ ティングとは,まさに現在の顧客と可能な限り長く付き合っていくために不可欠なマー ケティングなのである。

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637 LTVのデータベース・マーケテイング活用 -51 行われている。 (5) 購入者側の状況が変化すると,マーケッターに間違いがなくても顧客関 係が崩壊してしまう。

(

6

)

競合相手に容易に自社の顧客に対してアクセスさせてしまう。 いずれにしても,このように離脱していった顧客は取り戻すことが大切なの である。すなわち,何をもってしでもまず顧客取り戻しプログラムである。い わばカムバックプロモーショグの構築が大事なのである。このための効果的な 手段は3段階におよぶ、ステップを踏んだ対応なのである。 第1の段階は,まず、なぜ顧客が購入しなくなったかを明確にすることである。 離脱する顧客への効果的な対応を行うためには,顧客が離れていった原因を はっきりと掌握することが大切である。この調査から,個人ごとに離脱の理由 に基づいた対応を検討することが可能になる。 第2の段階は,顧客の現状を十分に調査することである。これは,実際に購 買決定権は誰が持っていて,またどのような要件が決定の条件になるかを考え ることである。その上で,当該ターゲットが一体どんな課題を抱えているかを 十分に吟味してアプローチを行う必要がある。 第

3

の段階は,いよいよ実際に顧客に接触することである。例えば,電話が 良いのかまたは直接飛び込みで訪問したほうが良いのか等について検討して, 次の実際の行動段階に移るわけである。そのためにも,顧客を正確に知ること が大切であり,またそれこそソリューションの提供が不可欠である。 こうして,カムバックプロモーションが的確に展開できれば,離脱顧客を再 び自社の顧客として取り戻すことが可能である。しかしながら,大切なことは, 顧客を失つてはじめてその顧客を取り戻すことではなくて,事前に顧客の期待 を裏切らないような顧客視点でのきめ細かな対応が必要である。そこで大切な 点は,実は顧客を管理するのではなくて顧客の期待を管理することの認識であ (7) カムパックプロモーション:離脱顧客を,再び自社に引き戻すためのプロモーション である。これによって,かなりの顧客がもどってくるため,リテンション・マーケティン グには不可欠な手法になっている。

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-52ー 香川大学経済論叢 638 り,またその上で,この顧客の期待に応えられるソリューション・プロパイダー になることである。 そのためには,まさに人聞を通じたヒューマンなリレーションシツプの確立 を指向すると共に,同時にデータベース・システムの戦略的な活用が期待され ることになる。すなわち,時代はいよいよデ}タベース・システムを基軸とし たマーケティング戦略の時代へと踏み出している。

2

顧客の維持へ向けたし

TV

の意義 そこで,可能な限り 1人の顧客を長期間維持しておくリテンション・マーケ ティングが重視されるようになり,この顧客との関係からいわば安定的かつ継 続的な利益を獲得できるようなプログラムの構築が強く期待されてくる。ある 意味では,相手がエンドユーザーである場合には,揺りかごから墓場までとい う,まさに個人の生涯を通じたリテンションを獲得することが望ましいわけで ある。 すなわち,このことは顧客の

LTV (

L

i

f

e

T

i

m

e

V

a

l

u

e

:生涯価値)の最大化 を狙ったマーケティングを実践しようということである。この

LTV

は,一般的 には,生涯価値とか寿命価値とかに翻訳されているが,これらは共にあまり適 切な翻訳ではないようである。そこで,ここにおいてはこの

LTV

を理解するた め

1

人の顧客が一生を通じて使うお金のことである,と割り切って考えてい る。 すなわち 1人の顧客が生涯を通じて,一体何をどれだけ購入したかについ ては,まさに

1

人の顧客の商品別

LTV

を意味している。例えば,

1

人の人聞は, それぞれその生涯を通してハンバーガーを

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3

8

9

個食べる,コーヒーを

5

6

0

4

4

杯飲む,タマゴを

1

8

2

.

.

7

6

3

個食べる,ビーJレを

2

0

3

0

1

本飲む,タバコを

5

9

0

1

0

5

本吸う,というようなことが個人別で捉えた商品別

LTV

なのである。したがっ て,これらの数量に占める自社製品のシェアを実際にどう高めていくかが ( 8 ) リテンション・マーケティング:データベース・マーケテイングの展開によって注目さ れはじめた顧客対応である。新規顧客を開拓するためのマーケティングをコンクエスト・ マーケティングというのに対して,既存顧客を維持するためのマーケテイングをリテン ション・マーケティングという。

(7)

639 LTVのデータベース・マーケテイング活用 -53

LTV

を捉えたマーケティングの目標であって,そのためには,当然ながらデー タベースを駆使したパーソナル・マーケティングが要請されてくる。こうして, 個人の生涯を通じた顧客リテンションの実現によって,商品ごとの自社製品の 競争優位が保証されてくる。 この

LTV

を捉えたマーケティングを展開するには,顧客シェアと生涯価値 についての正確な理解が前提条件である。ドン・ぺパーズも, ONEtoONEマー ケテインクゃの狙いは商品シェアの獲得ではなく,顧客シェアの獲得であると主 張している。市場シェアの増大が,一つの商品を可能な限り多くの顧客に購買 してもらうことを指向するのに対して,顧客シェアの増大とは,まさに

1

人の 顧客にいかに多くの商品を購買してもらうかを指向することなのである。こう なると,顧客を個として捉えるためのデータペース・システムが必要となり, これをベースにしたデータベース・マーケティングこそが,顧客シェア獲得を指 向するマーケティングには不可欠になる。 この顧客シェアの増大を引き出すには,そのための新たなアプロ}チ手法が 必要になる。すなわち,これが

LTV

の最大化を指向するマーケティングという ことになる。また,この

LTV

については,昨今では多様な計算モデルも開発さ れており,

LTV

の正確な把握も既に容易に可能な段階になっている。これは基 本的には,現在価値法を顧客価値の算出に活用することで 1人の顧客の将来 購買するであろう金額を現在価値に引き直して評価しようという計算モデルの 確立なのである。そして,これを使用すれば顧客の生涯価値が算出されること になり,その価値に基づいたパーソナルなアプローチの展開が可能になってく る。 しかしながら,この顧客シェアに基づいたビジネスを展開していくためには, 顧客に対する考え方を根本から転換させる必要が生じてくる。このことは, ド (9) ONEtoONEマーケテイング:ドン・ぺパーズとマーサ・ロジャースが提唱したパー ソナル・マーケティングにおける究極の概念である。すなわち, ONEtoONEマーケテイ ングとは 1人ひとりの顧客のニーズへの対応を指向すべく顧客都の対話によって商品 やサービスの提供を行っていくマーケティングである。これは,また顧客とのリレーショ ンシツプを通じた顧客維持のための最適なマーケティングでもある。

(8)

-54ー 香川大学経済論議 640 ン・ペパーズ流にいうならば,まさに顧客シェア的発想の組織的習得なのであ る。また,彼によるならば,具体的には以下の3点がその顧客シェア的発想と いうことになる。 第1のポイントは 1人ひとりの顧客を認識して,顧客に自社製品を購入し ていることを自覚させることである。たとえどんな企業においてもプロモー ションは実施しているのだから,その際には,顧客の氏名や住所ぐらいは入手 するような努力が大切なのである。また,もちろんこの際に, FSP(Frequency Shoppers Program)のような過去の取引データ等も聞き出せれば,当然なが ら,まさにそれに越したことはないわけである。 第 2のポイントは,顧客の氏名と購買履歴を関連づけることである。これは かなり難しい課題ではあるが,クレジットカード等のカード利用によっても可 能ではある。もちろん,クラブ化による組織化の観点から,例えばIDカードを 発行して購買履歴を蓄積する方法等も効果的である。当然ながら,この方法に ついては既に多くの企業で実際に展開されている。 第3のポイントは,顧客に競合他社との取引状況を訊ねることである。これ は,まさにライバルから顧客を守り抜くためのリテンション戦略の観点からも 大切な方法であるが,同時にライバノレから顧客を奪うという観点、から見るなら ば,これはまさにコンクエスト戦略としても有効な方法なのである。このよう な方法は,米国においてはクーポン券の裏側を使用したりする等日常的に行わ れている。これこそ,まさに攻めと守りの同時追及を可能にするマーケティン (10) FSP:優良顧客に対する,価格のインセンティブ等を以て,継続取引を促進するマーケ ティング戦略である。航空会社,ホテル等はほとんどの企業がこのマーケティングを主軸 にした競争を行っている。 (11) IDカード:アイデンティティを証明するカードである。このIDカードを顧客に持つ てもらうことで,購買履歴のデータベース化を行い,よりパーソナルなアプローチを展開 しようという狙いがある。このように,昨今では,まさにリテンション・マーケティング のツールとしての期待が大きくなっている。 (12) 顧客シェア:自社商品やサービスの,顧客の一生を通じて使う金額において占めてい る割合を意味している。この顧客シェアを,どのように増大させていくことが可能なのか を検討することが,パーソナル・マーケテイングの要諦なのである。また,この顧客シェ アを増大するためには,カスタマー・プロフィット・チェーンの最大化を指向することが 大切である。

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641 LTVのデータベース・マーケティング活用 -55ー グの実践なのである。 このように,顧客シェダの最大化を指向する LTVの獲得を狙ったパーソナ ノレ・マーケティングとは,実際きわめて有効な顧客のリテンション手法の1つ である。そこで,ここにおいては,この顧客シェアの獲得の戦略的な意義につ いて確認を行っておく。この顧客シェアの基本的な考え方については,概ね以 下の3点、に要約することが可能でトある。すなわち,第1には 1人1回の顧客 ではなくて1人の顧客の反復が顧客シェアの増大に結びっく,第2には 1人 の顧客の単価を引き上げることによって顧客シェアが増大できる,第3には, 顧客を生涯の顧客にできれば潜在重要の獲得が可能になるといういわば範囲の ; 経済性を指向した考え方である。すなわち,この顧客シェアの考え方とは,ま さに売上があまり期待できない時代に確実に顧客から利益が獲得できるという 成熟下のマーケティング戦略の切り札的な存在である。 3" LTVを基軸にした顧客価値の創造 それでは続いて,このLTVに基づくマーケティングの展開とは,一体どのよ うに行っていくのかについて考えてみる。我が国において現在注目されている 事例として,ベネツセ・コーポレーションの展開している顧客の固い込み戦略 がある。このベネッセ・コーポレーションにおける保育制度の改革を腕んだ事 業参入は,まさに概念的には,ゼロ歳児から老人にいたるまで同一顧客を生涯 にわたって囲い込もうとする戦略である。 もちろん,このような発想は,伝統的な百貨店において,既に個人の寿命の 限界を越えて,親から子へそして子から孫へという具合に,まさに世代を越え た顧客の維持を行う経営に見出すことが可能である。このようなことも,また このような視点、から捉えるならば,ある種類のLTVに類した展開なのかもし れないが,この場合には,ほとんどの部分がまさに人間の経験や勘によって支 えられている。その意味では,このようなことは科学的なデータ主義に立脚し たLTVの概念とは,本質的に異なった概念であると考えるべきなのである。 さて,ベネッセ・コーポレーションでは,現在あの進研ゼミをかわきりにし て事業の多角化を積極的に展開している。ここでの基本思想は,受験世代を維

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642 香川大学経済論議 -56ー ベネッセコーポレーションの顧客囲い込み戦略 図表1 年齢の上昇 3歳 6歳 18歳 ーす 事業領域の拡大 日経ビジネス1996年10月 28日号より修正転用 育 教 信 業 通 事 Oターゲット:0歳児から就学前 (ラ・プティ・アカデミー)

Oターゲツト 1歳 児 か ら 高 校 生 / ニJ (進研ゼミ,おやこ講座,幼児講座) Oターゲット:大人 ¥ 色 介 護 事 業

その前段階からすなわちゼロ歳児からの顧客の囲い込み を行おうというものである(図表1)。 持していくためにも, また新規顧客の獲得 まさに顧客ニーズを先 より継続顧客の維持のほうが実際効率が良いという戦略的な判断に基づ、いてい る。そして,この継続顧客の年齢を引き下げることで, 取りした形態で通信教育自体のマーケット対応が模索されている。こうして, 継続顧客年齢の引き下げは,通信教育自体の競争力の維持に対してもおおいに このようなことも, 貢献している。 このような考え方に立脚して,ベネッセ・コーポレーションでは, 1993年に は出産情報誌と育児情報誌を出版しており,これは既に出産育児関連情報誌で はトップの地位を確立している。また一方では,現在の顧客を将来のビジネス に結び付けていくべく, 1995年には介護ビジネスに対しでも先行的な参入を ベネツセ・コーポレーションの事業構想とは,いわ このように, ばベネッセいうブランドを活用した顧客の生涯にわたる囲い込みを指向した壮 行二っている。

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643 LTVのデータベース・マーケティング活用 -57ー 大な構想、なのである。具体的には,保育,出版,通信教育,介護事業にかかわ る時間軸を捉えたシナジー効果の実現を追及したビジネスと規定することが可能 である。 このような意味からも,顧客の聞い込みの入り口として保育事業は,ベネッ セ・コーポレーションにおいてはきわめて重要な役割を担っている。そこで, この保育事業については,多少の負担は覚悟の上で長期的な展望に基づいた戦 略的な対応が展開されることになる。この戦略対応はラ・プティ・アカデミー

(

L

P

A

)

と呼ばれており,現在多拠点での展開が行われている。また,この

LPA

の展開によって,ゼ、ロ歳児の確保のみならず,

2

0

3

0

代の若い大人のロイヤル ティに獲得が可能になり,これらの若い大人が,生涯学習的観点からの戦略ター ゲット予備軍として,またきわめて大きな可能'性を持ってくるわけである。 そして一方では,このLTVを捉えたマーケティング戦略こそが,今後のマー ケティングの主流になると考えて,このような動きを捉えたビジネス開発を積 極的に行っている企業が続々と登場しつつある。昨今,ピックパンに直面する ことによって,我が国の金融機関は多大な試練を受けているが,このような状 況においてでも,また顧客の固定化によるリテンション・マーケティングが強 く期待されている。特に,各種銀行においては

1

人ひとりの顧客の個別ニー ズやウォンツを捉えた

ONEt

o

ONE

マーケテイングの展開が本格的に推進し はじめられている。そうなってくると,いよいよ個人金融について行動モデル の構築が不可欠になるため,そのためのシステム開発が不可欠になってくる。 このような問題意識に立脚して,実際に多くの銀行と共同で先進的なシステム 開発を行っているのが日立製作所なのである。 そこで,ここでは日立製作所の浜口強が行っている解説にしたがって,この 日立製作所が取組んでいる個人金融行動モデルについての概括的な紹介を行っ ておく。いわゆる

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o

ONE

マーケティングを展開しようとすると,現在 価値から生涯価値を割り出す算式のシステム化が不可欠になってくる。すなわ ち,第lには個人金融行動モデ、ルの適用,第2には顧客のライフスタイル・パ ターンの適用,第3にはチャネルごとの販売コスト,第4にはデータマイニン

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-58ー 香川大学経済論叢 644 グ手法による相関関係データの加味等についてのシステム対応なのである。 第

1

の個人金融行動モデルの適用については,具体的には主に以下の 4点が 行われている。すなわち,第1はモデノレ世帯に共通なライフステージの想定, 第2は不動産価格等の前提条件の入力,第 3は年齢と年収,そして支出の関係 の決定,第4は年ごとの資金過不足の算定と預貯金残高の算出等についてであ る。例えば,世帯主は

2

3

歳で就職,

2

8

歳で結婚,

3

0

歳で第

1

子,

3

2

歳で第

2

子誕生等のライフステージの想定を行った必要経費のシミュレーションの展開 なのである。 第

2

の顧客のライフスタイルパターンの適用については,第

1

に教育ノfパ派, 教育ママ派,第2に夫婦エンジョイ派,第3に肝っ玉母さん派,第4に1代出 世派等といった人生に対する基本姿勢に基づいたシュミレーションの展開なの である。 第

3

の顧客ごとの環境,属性データについては,以下のようなことへの対応 を意味している。第

1

は,顧客の属性情報である。すなわち,年齢,性別,家 族構成,未婚・既婚,持ち家の有無,職業,住所,趣味等についての情報であ る。第

2

は,取引履歴についての情報である。これは,例えば授業料・給食費 の引き落とし,ボーナス児の定期預金の預け入れ,家賃の引き落とし,給与の 振込,塾等の月謝の引き落とし等についての情報である。 第 4のチャネルごとの販売コストについての対応とは,具体的には,庖頭, 自販機,渉外(一般,パート),テレマーケティング等金融商品の販売に必要な コストの算出を行うことである。 第

5

のデータマイニング手法による相関関係データの加味については,特に (13) データマイニング手法:POS,クレジットカード,電話の通話履歴,生命保険の顧客情 報等の蓄積された膨大な霊の生データとの対話を通じて,経営やマーケティングにとっ ての必要な傾向動向,相関関係,パターン等を導き出すための技術や手法を意味してい る。 (14) テレマーケティング:電話を使った個別の顧客対応を指向するマーケティングであ る。昨今では,顧客データベースを活用したマーケティングとして注目されている。また, テレマーケティングにおける最大の特徴はオペレーターが介在することで,このことに よって,まさにハイタッチな顧客対応とサービスの提供が行えるのである。

(13)

645 LTVのデータベース・マーケティング活用 59-以下のような対応が必要である。すなわち,顧客の性別,年齢,預金額,融資 額,年金口座の有無等のデータから得られた相関関係をまさに情報に加味させ ていくことである。 このようなデータから得られる顧客別の営業収益の推移については 1人ひ とり全く異なったパターンを見せている。この結果銀行においては,まさに顧 客別の営業収益の推移に基づいて,どんなタイミングで,どんな商品を,どん なチャネルで販売していくかというマーケティング指針の導き出しが可能にな る。こうして,現在では金融各社において,このような目標の実現へ向けて, いよいよ生涯価値に着目した個人金融行動モデルの構築が展開されている。 4 カスタマーエクイティ発想による顧客戦略 今後のマーケティングは,いわゆるマス・マーケティングからパーソナノレ・ マーケティングへと大きく転換して,とりわけ

ONE

t

o

ONE

マーケティング が期待されることになる。そのため,いよいよデータベース・システムを活用 した

LTV

を重視するマーケティング戦略が展開されてくる。こうなってくる と,また従来の顧客評価についての方法論についても,まさに根本的に転換こ とが要請されるわけである。そこで,ここでは特に,第

1

には現在注目されて いるカスタマーエクイティという考え方,第

2

にはバランスのとれた採点表の 意義について,それぞれ概括的な紹介を行うことにする。 前者のカスタマーエクイティという概念は,実はロパート・プラットパーク とジョン・デイトンの提唱する,いわば顧客が顧客である期間にもたらしてく れる価値の合計を意味しており,既に我が固においても詳細に紹介されている 概念でもある。これは要約すれば,カスタマーエクイティを増大させることで, 新規顧客の開拓に向けた投資と既存顧客を維持するためのコストについて最適 バランスが実現できるというような考え方に基づく理論である。 しかしながら実際には,この新規顧客の開拓と既存顧客の維持のバランスを とることは,業種業態による特殊性もあって,従来では適切な方法が存在して いなかった。だからこそ,カスタマーエクイティという考え方は価値があるわ けである。このカスタマーエクイティとは,まず事業の固定費に対する一人ひ

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646 その企業の現在値での割り戻し 香川大学経済論叢 とりの顧客から得られる貢献利益の期待値が, である現在価値の引き戻しで導き出されるのである。そして, -6θ一 これを

1

人ひと りの顧客に対して行うことで,すべての顧客の分を合算するという方法である。 このようにカスタマーエクイティの最 今後の企業経営においては, そして, ヲ 丸田 大化を指向したマーケティングプログラムの構築が望まれている。そこで, のカスタマーエクイティを実際の企業経営に適用する方法について考えてみ る。 このカスタマーヱクイティをこつの現在価値に分解することからはじ まず,

1

つ目は,新規顧客開発のための投資に対するリターンの現在価値の合 める。 i l i t i l i r i -﹄ l i h t i l i -↓E 2つ目は,顧客維持のために必要な経費に対するリターンの現在価 そ この

2

種類の現在価値に対して,意思決定モデルを使用すれば, れぞれのグラフに表された結果から適切な判断が行える。 値の合計である。 そこで, 計である。 この まさにマーケティングの しかしなカまら, 際の留意点は,実は数式を使いこなすことではなく, 基本方針を根本から転換することである。すなわち, このことはまさにプロダ クト・マネジメントからカスタマー・マネジメントへのマネジメント手法の転 換を意味している。 このような方向性の転換を捉えると,具体的には何よりもまずカスタマーエ クイティを増大させるためのマーケティングの実践が期待されてくる。 第

1

の施策は,マーケティングコストの削減である。これは可能な限り,新 規顧客にかわるコストを最小限に抑えること等である。例えば,生命保険会社 において,営業マンが勝算もないままにひたすら新規開拓にコストを賭けすぎ ることからの脱却である。実際には,まったく利益を度外視した活動が行われ ている場合が多いものである。 第2の施策は, 益視点では見えにくい採算性に対するチェックなのである。この表については, まさに損 これは, カスタマーバリューを一覧化することで, これを脱んでお くことによって,企業におけるマーケティング施策が顧客基盤にプラスに働い カスタマーバリュー・フローステートメントと呼ばれており,

(15)

647 LTVのデータベース・マーケテイング活用 61ー ているか,またマイナスに作用しているかについて十分な理解が行える。 プラットパーグとデイトンは,アメリカン・エクスプレスのIDSファイナン シャル・サービスを買収するにあたって,彼らが実際にとった顧客政策の変更 についての紹介を行っている。 IDSでは,営業マンは5,000人を越える規模を 誇っていたが,アメリカン・エクスプレスでは,その影には次第に顧客基盤を 喪失していることを発見していた。そこで,彼らが採った方法は既存顧客との 関係の修復のために,無駄に使用されていた費用を振り向けることであり,こ のことによって業績の改善を実現したわけである。 後者のバランスのとれた採点表については,ジ、エームス・へスケット等の紹 介によるものであるが,これは実際にスウェドパンクが赤字経営から脱出する 際に発見した方法である。この方法はいわば企業風土を再構築する方法であっ て,赤字の原因を以下の3つに分類しながら,これらに対しでそれぞれ相応し い指標の設定を行うものである。第1の指標は人間の価値向上であり,第2の 指標は経済的な価値向上すなわち収益性の向上であり,第3の指標はカスタ マーの価値向上であるというような3つの価値指標の設定である。 ここでも,顧客価値の向上が重視されており,実際にこの指標が企業業績に 多大な影響を与えていることも証明されている。具体的には,顧客との関係の 深さとか,顧客と出会う場所のクオリティ,顧客との出会い,顧客のロイヤノレ ティ等が,まさに企業価値の増大へ向けた要素なのである。このように,企業 の業績は顧客のロイヤルティや従業員のロイヤルティが大切であるという考え 方であり,その意味ではフレデリック・ライコーノレドの提唱するロイヤルティ 経営と全く類似した考え方でもある。 このバランスのとれた採点表システムと伝統的な財務的実績評価を比較する ならば,以下のような差異を読み取ることが可能である。バランスのとれた採 (15) ロイヤルティ:忠誠心とか忠誠度を意味している。フレデリック・ライコールドがLoy -α

#

y

E

.

酔ctで提唱して以来,企業の業績に対するロイヤJレティの影響が注目されている。 このロイヤルティには,従業員のロイヤlレティ,顧客のロイヤルティ,株主のロイヤル ティがあり,昨今では,まず以て従業員のロイヤルティを高めることがロイヤJレティ経営 の先決事項とされている。

(16)

648 香川大学経済論叢 62ー カスタマー・ 点表による実績測定においては,財務的な方向づけのみならず, サティスフアクションと顧客のロイヤルティ,従業員のサティスフアクション イノベーション性,安全性等も加味した評価にこそその最大 また将 やロイヤルティ, の特徴が見出せる。すなわち,金額によらない表現も大事にしており, 来の実績見込の増大についても考慮に入れている。その意味では,伝統的な実 このような 績測定よりはむしろ長期的な展望に基づいた評価指標なのである。 考え方が出てきた背景は北欧らしいもので,実際これらにおいては我が国企業 にとっても多くの参考にすべき点が散見されている。 LTVによるカスタマー・ロイヤルティの増大

I I

I

顧客データベースを基軸としたパーソナル・マーケティングの展開に向けて は,顧客の生涯価値,すなわち LTVの最大化を指向した戦略対応が要請されて これは,取りも直さずカスタマー・ロイヤルティの増大によって利益指 向の経営を追及することでもある。そのためには, LTVの正確な計測手法の理 解と運用が不可欠の課題になってくる。 くる。 この計測手法については,特に米国に おいては,圧倒的にアーサー・ヒューズが開発したモデルが一般的なものとし て定着している。 このLTVの計測モデノレを活用して,業種特性を捉えた多様なアプリケー このアプリケーションの差別化こそが, 今後の競争戦略の決め手を担っている。そこで,このような問題点に立脚して, 本節においては,第1にはデータベース活用による LTV計算,第2にはデータ ベース導入による活用効果,第3にはLTVを計算する際の重要な留意点,第4 にはLTVの増大へ向けての戦略対応,について以下に要約的な解説を試みる。 ションの構築が強く期待されており, データベース活用による LTV計算 この利益については, その利益の 具体的には,期間トータルの累計値を意味している。 現在価値を算出するには,割引率の考え方を採用しなければならない。そして, これを数式で表すならば以下のとおりになる。 LTVとは顧客が一定期間にもたらした利益であるが, したがって,

(17)

649 LTVのデータベース・マーケティング活用 63 図表2 リッジウェイの顧客LTV(データベース未使用) 収入 1年目 2年目 3年目 4年目 5年目 顧客数(人) 1,000 400 180 90 50 リテンション率(出) 40 45 50 55 60 平均購入額 $150 $150 $150 $150 $150 売上高 $ 150,000 $ 60,000 $ 27,000 $13,500 $ 7,500 経費 原価率(出) 50 50 50 50 50 商品原価 $ 75,000 $ 30,000 $13,500 $ 6,750 $ 3,750 利益 粗利益 $ 75,000 $ 30, 000 $13,500 $ 6,750 $ 3,750 割引率(02) 1 L2 1 44 1..73 2..07 現在価値 $ 75,000 $ 25,000 $ 9,375 $ 3,902 $ 1,812 LTV累積総額 $ 75,000 $100,000 $109,375 $ 113,277 $115,088 1人あたり LTV $ 75..00 $100.00 $109.38 $113..28 $115 09 Arthur M Hughes, STRATEGIC DATABASE MARKETINGより

この計算式を利用することで顧客の

LTV

が正確に掌握できて,この結果 マーケティング、企画の精度の向上が可能なので守ある。多くの研究者が既に紹介 しているが,ここにおいても,アーサー・ヒューズがデータベース・マーケティ ングの原点でもあるストラテジック・データベース・マーケティングで論述し ている婦人服専門庖のリッジウェイにおける

LTV

についての紹介を行ってお く(図表

2

。) ここでは

1

年目の期首に

1

0

0

0

名の顧客がおり,同時に顧客の平均購入学 が

1

5

0

ドルと仮定されている。したがって,

1

年 目 の 売 上 高 は

1

5

0

0

0

0

ドル

(

1

5

0

X

1

0

0

0

)

,原価率が

50%

であるから商品原価は

7

5

0

0

0

ドル

(

1

5

0

0

0

0X

o

5

)

になる。この結果,粗利益については

7

5

0

0

0

ドル

(

1

5

0

0

0

0

-

7

5

0

0

0

)

と いう結果になる。これを割引率で割るのだが,1年目だけはこれが適用されない ため

1

年目の現在価値については,このままの

7

5

0

0

0

ドル

(

7

5

0

0

0

"

'

;

'

-

1..

0

)

であって,

1

年目の一人あたりの

LTV

7

5

ドル

(

7

5

0

0

0

"

'

;

'

-

1

0

0

0

)

になる。 これが,このモデルにおいては,

2

年自になると,

1

年目に獲得した

1

0

0

0

の 顧客

40%

がリッジウェイ婦人服専門庖の顧客として残るが,

60%

の顧客は離脱 すると仮定されている。そうなると,

2

年目の売上高については

6

0

0

0

0

ドル

(18)

64 香川大学経済論叢 650

(

1

5

0

X

4

0

0

)

,商品原価については

3

0

0

0

0

ドル

(

6

0

0

0

0

X

O

.

.

5

)

,したがって, この結果から粗利益は

3

0

0

0

0

ドルになるわけである。また,

2

年目の割引率が 1..

2

と設定されているため

2

年目の現在価値は

2

5

0

0

0

ドル

(

3

0

0

0

0-

;

.

-

1..

2

)

に なって,そのため累積総額については

1

0

0

0

0

0

ドル

(

7

5

000+2

5

0

0

0

)

になる ため,

1

人あたりの

LTV

については

1

0

0

ドルということになる。こうして,初 年度に開拓した

1

0

0

0

人の顧客の

2

年目までの

LTV

については

1

人あたり

1

0

0

ドルであると解釈するのである。

3

年目では

2

年目の顧客の

45%

しか残らないため,

3

年目の顧客数は

1

8

0

(

4

0

0X

0

4

5

)

になっている。そうなると,売上高は

2

7

0

0

0

ドル

(

1

5

0X

1

8

0

)

j

商 品 原 価 は 丸

5

0

0(

2

7

0

0

0

X

0

5

)

になるため,組利益については

1

3

5

0

0

0

ドル

(

2

7

0

0

0

-13

5

0

0

)

となる。また,この

3

年目の割引率が1..

4

4

(1..

2x

1..

2

)

で あるため,現在価値は

9

3

7

5

(1

3

5

0

0

-

;

'

-

1

4

4

)

ドルとなって,累積総額について は

1

0

9

3

7

5

ドル

(

1

0

0

0

0

0

9

3

7

5

)

になる。したがって,この結果から,

1

人あた りの

LTV

については

1

0

9

.

.

3

8

ドル

(

1

0

9

3

7

5-

;

'

-

1

0

0

0

)

ということになる。

4

年目では,

3

年目の顧客の

50%

しか残らないため,

4

年目の顧客数は

9

0

人 (1

8

0

X

O

.

.

5

)

になっている。そうなると,売上高は

1

3

5

0

0

ドル(1

5

0x

9

0

)

,商 品原価は

6

7

5

0

ドル(1

3

5

0

0

X

O

.

.

5

)

になるため,粗利益については

6

7

5

0

ドル (1

3

500-6

7

5

0

)

となる。また

4

年目の割引率が1..

7

3(

1

2X

1..

2X

1..

2

)

で あるため,現在価値は

3

9

0

2

ドル

(

6

7

5

0

-

;

'

-

1..

7

3

)

となって,累積総額について は

1

1

3

2

7

7

ドル(1

0

9

3

7

3

3

9

0

2

)

になる。したがって,この結果から,

1

人 あたりの

LTV

については

1

1

3

,,

2

8

ドル

(

1

1

3

2

7

7-

;

'

-

1

0

0

0

)

ということになる。

5

年目では,

4

年自の顧客の

55%

しか残らないため,

5

年目の顧客数は

5

0

(

9

0

X

O

5

5

)

になっている。そうなると,売上高は

7

5

0

0

ドル

(

1

5

0

X5

0

)

,商 品原価は

3

7

5

0

ドル

(

7

5

0

0X

0

,,

5

)

になるため,組利益については

3

7

5

0

ドル

(

7

500-3

7

5

0

)

となる。また

5

年自の割引率が

2

0

7

(1,

2

X

1

2

X

1

2

X

1

2

)

であるため,現在価値は

1

8

1

2

ドノレ

(

3

5

7

0-

;

.

-2

0

7

)

となって,累積総額に

1

1

5

0

8

9

ドノレ

(

1

1

3

2

7

7+

1

8

1

2

)

になる。したがって,この結果から,

1

人あたりの

LTV

については

1

1

5

0

9

ドノレ

(

1

1

5

0

8

9-

;

'

-

1

0

0

0

)

ということになる。

(19)

651 LTVのデータベース・マーケティング活用 65-これらの計算式からも理解できるように,

LTV

とは,まさに顧客が一定期間 かけて獲得した

1

人当たり累積利益の現在価値を表している。 こうして, この ような数値に基づく科学的なデータベース・マーケティングの展開が期待され てくる。

2

, データベース導入による活用効果 このように,

LTV

とは,まさに

1

つの尺度であって,これを用いる際にはか なり長期的展望が要請されている。だからこそ,この

LTV

には,実はきわめて 戦略企画に馴染んだ評価指標としての期待が大きいのである。これについても, アーサー・ヒューズの提言によると,例えば以下のようなデータペースの活用 効果についてもよく理解できるわけである。 このリッジウェイ婦人服専門庖には,顧客データベースが装備されているた め,顧客の詳細情報が継続した蓄積が行われている。例えば, リッジウェイで は,ある特定の顧客の場合について,第1には顧客の住所,第2には顧客の誕 生日,第 3は顧客の好みの服,第 4は顧客の体型,第 5は顧客にとっての適当 な価格にきわめて正確に精通しているのである。このようなデ¥ータに基づいて, 例えば新商品等のアテンション・レターを出すことも可能になる。具体的には, このような手法とは,例えば顧客の夫に対して,妻の誕生日の贈り物として婦 人服の購入を促すことである。 このリッジウェイでは,このような対応を行う際には,以下のような

4

点の 仮説を設定しながらいわば

LTV

についての効果の増大を追及している。 (1) 顧客のなかには,友人に対してリッジウェイを優れた婦人服専門庄であ ると推奨する者も登場して, このため新しい顧客の獲得に結びつく可能性 も高まっている。

(

2

)

顧客自身がリッジウェイを気に入ることで,今後ず、っと継続して購入す る可能性が生じて, このため自庖へのリテンションが高まることになる。

(

3

)

顧客がリッジウェイを愛顧することで, 自庖における購入額が増大する 可能性が生じている。 (4) 一方,このような目論見のためにデータベースの利用が前提となるため,

(20)

66 香川大学経済論議 652 コストはその分だけ余計にかかっている。 このような仮説を前提にして,例えば計算上の前提については以下のような 設定になっている。第1は,新規顧客の紹介される割合は5%である。第2は, 顧客の引き留め率は初年度で50%と設定する。第3は,顧客の平均購入金額が 増加して 180ドルになり,これがまた毎年増加すると想定する。第4は,デー タベース利用経費については,顧客1人につき 10ドル必要になると予測して, 新しいLTVについての試算を行った(図表3)。 例えば,顧客データベースを利用してアテンション・レターを出す時,この 戦略の狙いは以下のような1人あたりのLTVをもたらすことになる。すなわ ち,初年度は80ドノレ, 2年度は121..25ドル, 3年目は144..24ドル, 4年目は 157..97ドル 5年目は166..72ドルというように次第に増加していく。 また,この戦略を実施した場合をデータベースを利用しなかった場合と比較 するには,前述の図表2と図表3との比較検討を行えば良いのである。すなわ ち,この両者において, 1人あたりのLTVのギャップを計算すると以下のよう な差異が求められる(図表4)。すなわち, 3年目は34..86ドル, 4年自は44刷69 ドノレ 5年目は5L63ドルというまさに驚異的な差異の存在である。これは, 図表3 リッジウェイのデ}タベースによる顧客LTV 収入 l年目 2年目 3年目 4年目 5年目 顧客数(人) 1,000 550 331 216 151 リテンション率(目) 50 55 60 65 70 平均購入額 $180 $ 200 $ 220 $ 240 $260 売上高 $180,000 $110,000 $ 72,820 $51,840 $ 39,260 経 費 原価率(目) 50 50 50 50 50 商品原価 $100,000 $ 60,500 $ 39,720 $ 28,080 $ 21,140 利益 粗利益 $ 80,000 $ 49,500 $33,100 $ 23,760 $18,120 苦手j引率(02) 100 120 1. 44 1..73 2..07 現在価値 $80,000 $ 41,250 $ 22,986 $13,734 $ 8,754 LTV累積総額 $ 80,000 $121,250 $144,236 $ 157,970 $166,724 1人あたり LTV $ 80..0

$12125 $144..24 $157..97 $166..72 Arthur MAHughes, STRATEGIC DATABASE MARKE刀NGより

(21)

653 LTVのデータベース・マーケテイング活用 -67-図表4 リッジウェイの顧客LTV比較(データベ}ス非使用VSデータベース使用) データベース非使用時 データベース使用時 LTVの差異 20万顧客計 1年目 事7500 $ 80 00 $ 5..00 $1,000,000 2年目 $100..00 $ 12L25 $ 2L25 $ 4,250,000 3年目 $ 109.38 $144..24 $ 34 .86 $ 6,972,000 4年目 5年目 $113.28 $ 115 09 $ 157..97 $ 166..72 $ 44. 69 $ 5L63 $ 8,938,000 $ 10,326,000 Arthur MAHughes, STRATEGIC DATABASE MARKETINGより

データベースを利用すれば,顧客の紹介を促進できて,また顧客のリテンショ ン率を高めて顧客の購入意欲を喚起できて,このような結果まさに多大な効果 が現出することを予見している。 このリッジウェイは,約20万人の顧客を保持しているので,これらにアテン ション・レターを送るならば,今後5年間で10,326,000ドル(51,63X 20,0000) の組利益の増大を実現できることが予見できる。 3., LTVを計算する際の重要な留意点 ここでも引き続いて,アーサー・ヒューズの提言の紹介を行うことにする。 まず,このLTV計測の手順を整理すると,以下のとおりの8点に要約すること が可能である。 (1)過去ほとんど同時に顧客になった人のなかから,ある特定の一群を選び 出すことにする。その際には,抽出する顧客数は1,000人から 10,000人が 妥当な数値なのである。

(

2

)

これらの抽出顧客のうち,何人が

1

年後においても顧客であり続けてい るかを調べることで顧客のリテンション率を調べるのである。そして,可 能ならば, 2年目の引き留め率も調べることが望ましい。また,これが不 可能な場合には,引き留め率を例えば50%というような設定を行っても大 きな問題は生じはしない。 (3) これらの顧客を獲得するために広告を打ったり,またダイレクトメール を送ったりした際に発生する経費を明確にする。 (4) これらの顧客の年間購入金額を明確にする。 (5) この事業の割引率を決定する。その際には,事業のリスクも考慮して,

(22)

68 香川大学経済論叢 654 市場金利の

2

倍の数値を割引率に使用するのが望ましい。 (6) ロータス 1 2 3やマイクロソフトヱクセルにしたがって,スプレツト シ}トにデータを記入して5年間のLTVの計算を行う。 (7) もしこうしたらどうなるかというような観点からシナリオを考えて,そ のコストと効果の検証を行う。 (8) スプレットシートについては,いつでも利用できる状態にしておく。そ のため,マーケティング活動が実施されるたびにその実績と予測とを チェックして,スプレツトシートの予測力を高めるように改善に努力を傾 注する。 こうして, LTVの計測から知り得たことを整理すると,以下のように6点に 要約することが可能である。 (1) LTV計算においては,机上での対応が可能だから,実際のマーケティン グ活動に先立って事前にLTVを計算して,その戦略性の妥当性について の検証を行っておくことが大切である。 (2) LTVの数値については,将来獲得できそうな利益を現在価値で表した ものだから,マーケティング戦略の将来効果についても数量的に明示する ことができる。 (3)顧客のリテンション率が高まれば, LTVの数値はそれに比例して大き くなっていく。 (4) LTVの数値は,顧客の購入期間が長くなれば,それに比例して大きな値 になってくる。 (5) 大切なことは, LTVの数値を高めるマーケティング戦略を考え出すこ とであって,それには,もし,こうしたら一体どうなるかといった観点か らの分析が必要なのである。 (6) ライフタイム期間を長くとれば,当然ながら, LTVの数値は多くなるけ れども,実際最適期聞は何年なのかは必ずしも

5

年ということではなく, 商品の寿命,競争の状況,事業の継続性を考慮して決定することが不可欠 である。

(23)

655 LTVのデータベース・マーケテイング活用 69 したがって,そのためには複数の期間についての試算を行って,最適な期間 の選定を行えばよいことになる。いずれにしても, LTVを活用したデータベー ス・マーケティング戦略についての構想立案が大切なことは明白なのである。 4刷 データベース活用によるしTV効果の増大 引き続き,ここにおいてもアーサー・ヒューズの提唱するデータベース活用 による LTV効果の増大についての考察を行う。LTVを基軸としたマーケテイ ング戦略とは,顧客の一定期聞にもたらしてくれる利益の最大化を指向した戦 略である。それはまた,具体的には以下のようなことを指向したマーケティン グ戦略なのである。すなわち,第

1

には,顧客こそが企業にとって最大の資産 であるという考え方に立脚している,第

2

には,顧客を引き止めることを通し て企業利益の最大化を指向していることである,第

3

には,顧客の離脱が思避 できない場合には,新規顧客の開拓も行って企業利益の確保を指向するという 3点に及ぶ、戦略対応なのである。 そこで,このLTV分析に基づく戦略企画の推進方法についてであるが,これ は以下に示したとおりである(図表

5

)

。これには,具体的には大きく

2

とおり のアプローチに分別することが可能である。すなわち,第1は,データベース を多様に活用することから LTVの増大を実現してそこからマーケティングの 基本構想、を導き出そうというアプローチである。第

2

は,多様な条件下におい て,このLTVを計算するシミュレーションを行って LTB増大のための方策 を発見してこれに立脚したマーケティングの基本構想を引き出すことである。 そこで,まずここでは比較的容易に説明できる前者のデータベース活用によ る戦略企画についての論述を行っておしこの戦略企画については,既存顧客 図表5LTV分析に基づく戦略企画の基本体系 Oデータベース活用による LTV効果の向上

o

既存顧客のリテンション策の構想化

o

新規顧客の開拓策の構想化 Oシミュレーション分析によるLTV効果の改善化

(24)

-70- 香川大学経済論叢 656 の引き留め策の構想化と新規顧客の開拓策の構想化から組み立てられている。 しカhしなカ宝ら, ここで大切なことは顧客が企業にとって最大の資産であるとい う認識なのである。企業にとって建物,機会,現金等は重要な資産であるが, 実は企業が持っている顧客の方が資産としての価値が高いのである。 したカまっ て,顧客のLTVを増大させることは,企業資産の増大を意味しており,企業に とって最も大切な戦略対応なのである。 前者の既存顧客のリテンションについての,概ねその方法については以下の とおりである。なお,企業の最大資産である顧客を可能な限り長く引き留めれ ば企業の資産が増大するわけだから, そのためにはまさに以下の5点の手法が 有効になる。 第

1

は,顧客との関係性を強化して顧客の自社へのロイヤルティを強めるこ とである。第

2

は,すべての顧客を均等に処遇するのではなく, ロイヤノレティ の高い特定の顧客に対するリテンションを強化することである。第

3

は,顧客 のロイヤノレティを獲得するために,顧客のなかで特別の集団を組織化すべく, 例えばプレジデント・クラブ, ゴールドカード・クラブ等による組織化を行う ことである。第4は,顧客の購入行動を刺激するために,例えばフリークエン ト・バイヤー, フリークエント・フライヤー, フリークエント・トラベラー, フリークエント・ショッパー等のクラブの構築を行うことである。第

5

は,顧客 が更新手続きをとるべく積極的な努力を展開することである。 後者の新規顧客のコンクエストについても, また以下のような対応が必要と されている。実際には既存顧客のリテンションを100%にはできないのだから, 現実的には既存顧客自体は減少せざるをえないことは明白である。そこで,顧 客の総数を維持するには,新規顧客の獲得は避げでは通れない課題なのである。 また, そのためには以下のような5点にわたる対応策が不可欠になる。 第

1

は, 自社に好意をいだきそうなタイプの見込み顧客に誘いかけることであ る。第2は,新規顧客獲得のための予算を明確に設定する。第3は,既存顧客の 特性を明白にしてこれを手がかりとした新規顧客の発見に努力を行う。第 4は, データベースを用いて,見込顧客のランク分類を行っておく。第

5

は,各種情

(25)

657 LTVのデータベース・マーケティング活用 71-報源から得た顧客のLTVから最も望ましい情報源を発見して,そのなかから 見込顧客の抽出を行う。 このような戦略対応によって,まさに新規顧客の獲得が実現できることにな る。もちろん,一方では顧客数は多ければ多いほど良いわけではないことも確 かである。 IV. LTVを基軸にした経営計画の策定 前節までで,今後の経営においてはLTVによるカスタマー・ロイヤルティの 増大が大切なことは理解できたはずである。そこで本節においては,特にこの LTVを基軸にした経営計画の策定方法についての論述を行うことにする。そ して,このLTVの増大へ向けた経営計画策定に向けた体制整備や企業特性を 捉えた導入方法が大切な課題になってくる。 こうした,個別事情に相応したマーケティング戦略の展開が行える企業こそ が,まさにLTVを基軸とした経営計画の策定に成功することになる。このよう な観点を踏まえて,以下において,第1にはメアリー・アンにおける LTVの導 入,第2にはメアリー・アンにおける LTVの効果測定,第3には科学的な経営 計画策定への体制整備,第4には参入段階別データベース・マーケティングに ついての概括的な論述である。

L

メアリー・アンにおけるしTVの導入 LTVを捉えた経営計画の構築にあたっては,ここでもアーサー・ヒューズに よるメアリー・アンズ・クロゼットという子供服専門庖についての有名な事例 についての紹介を行う。メアリー・アンは,年商1,200万ドル,利益360万ド ルの子供服チェーンであり,年間の購買顧客数は約10万人にも達している。こ のメアリー・アンズが,データベース・マーケテイングに果敢に挑戦したわけ である。そこで, LTVの経営計画への影響を計測するためにも,この事例につ いての詳細な解説を試みることにする。 メアリー・アンでは,顧客リストに基づいて顧客にレターとカードを送り, このカードを来庖時に提示して特定商品を購買した際には

5%

の値引きを行う

(26)

-72ー 香川大学経済論叢 658 旨の提案を行った。これは,実は値引きが直接の目的ではなくて,顧客が来庖 時にカードを提示することから入手できる顧客の氏名,顧客の住所,顧客の購 入行動実態,顧客の家族構成や家族の誕生日等のデータベースを構築すること にあった。 そして,まさに狙いどおり,これらのデータベースから以下のようなことが 判明したわけである。第 Iは,昨年来屈した顧客で今年もまた来庖した顧客は わず、かに30%にすぎず,すなわちリテンション率が 30%ということである。第 2は,顧客は平均では 1年間に 120ドルの商品の購入を行っている。第 3はメ アリー・アンにおける変動費率は70%である。第 4は,従来の顧客が自屈の事 を他の友人に紹介する比率はほとんどゼ、ロである。 このような事実が明白になったので,これへの対L応策として,いわゆる誕生 日作戦が採用されることになった。これは,顧客データベースから顧客の子供 の誕生日を知った上で,子供の誕生日の

1

ヶ月前にアテンションレターを郵送 するという作戦である。このレタ}には rお子様が誕生日を迎えるにあたって, 誕生日を記念して洋服をお買いになられるのでしたら20%の割引をさせてい ただきます。」というようなメッセージが記載されている。また同時に rご友 人に当庖を紹介いただき,その結果ご友人が当底でお買い物をしていただいた らお客様にも組品を提供させていただきます。」というようなメッセージも送付 されていた。 この誕生日作戦を展開したことによって,以下のような 4点の効果がもたら された。 (1)顧客がメアリ}・アンの値引きを歓迎したため,今後も引き続きメア リー・アンでの購買を継続させようと思うようになったため,顧客のリテ ンション率は50%以上へと急上昇した。

(

2

)

顧客の来庖頻度が多くなって顧客の年間購入金額が150ドルにも達した。 (3) メアリー・アンの変動比率は 70%で変化が生じていない。 (4) 友人による顧客の紹介に対して粗品が提供されることになったため,友 人によるメアリー・アンの紹介行為が進展して友人紹介率が

8%

にまで増

(27)

73-LTVのデータベース・マーケティング活用 659 大している。 メアリー・アンにおける LTVの効果測定 2. メアリー・アンの誕生日作戦はおおいに効果があがったわけだ が,以下においては,この効果についてのLTV効果の計測を行う。具体的には, 誕生日作戦導入前の状態における LTVと誕生日作戦導入後の状態における LTVとの比較による測定である。なお,ここでは議論を簡素化するため経費の 計算方法等については説明を省いて, LTVのみについて結論的に論じてる。な お,詳細を知りたい方はアーサー・ヒューズのオリジナル版を参照することを 強く推奨しておく。 このように,

i

l

i

-まず誕生日作戦導入前の状態における LTVについては以下のとお そこで,

2

年目 l年目が36..00ドル, ここでのLTVについては, りである(図表

6

。) 3年目が47..71ドルであった。 カ 宝

4

5

.

.

3

1

ドJレ, メアリー・アンの戦略展開前のLTV 900(3) 30..0

$120 $ 108,000(4) 3年目 2年目 3.000 30 00 $120 $ 360,000 1年目 10,000 30心00 $120 $1,200,000 図表6 70..00 $ 75,600 (5) $ 32,400 (6) 1.35 $ 24,000 (7) $477,103(8) $4771(9) 70..00 $ 252,000 $108,000 1..16 $ 93,103 $ 453,103(1) $ 45..31 (2) 70目00 $ 840,000 $ 360,000 100 $ 360,000 $ 360,000 $ 36..00 収 入 顧客数(人) リテンション率(覧) 購 入 金 額 総 収 入 変 動 費 変動率(出) 変 動 費 総 額 収益 粗利益 割 引 率 現在価値粗利益 累積現在価値粗利益 1人あたり LTV $ 360,000+ $ 93, 103 (1)/10,000 3,000事 3 $120*(3)

o

6*(4) (4)ー(5) (6)/1..35 (1)+(7) (8)/10,000 (1) (2) (3) (4) (5) (6) (7) (8) (9)

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