全体講義
■
講義内容
実験の安全と環境保全
実験ノート、レポートの書き⽅
無機定性分析実験︓属分離の原理
容量分析実験︓有効数字
標準偏差と変動係数
有機化学実験︓酸解離定数
反応機構の書き⽅
テキスト
と
ノート
・
筆記具
を準備して、
講義に臨んでください
実験分野と実験室
2号館1階
2号館2階
化学実験室3
無機定性分析
化学実験室2
グループA
化学実験室1
理系総合
実習室
容量分析
グループB
化学実験室4
有機化学
グループC
地震や火災が起こったら
⼿元のガスバーナーを消⽕し、安全
確保に努める。
担当者の指⽰に従い、落ち着いて避
難する。
この講義が終わったら実験室に移動
します。実験室では、次のことを確
認してください。
① 防災ヘルメット
各実験台の引
き出しに⼊っ
ています。
地震などで避
難するときに
着⽤する。
折りたたみ式
着⽤⽅法を確認
すること。
2号館1階
② 避難経路・非常口
非常口
2号館2階
避難先:
吉田南グラウンド
(担当者が指示する)
避難経路:実験室の掲示を確認する
2号館1階
② 避難経路・非常口
非常口
2号館2階
実験室4の非常口と
避難はしご
避難先:
吉田南グラウンド
(担当者が指示する)
事故・出火時の対処
周りの⼈に助けを求める
。
⼤量の⽔で洗う。
薬品が付いたとき
ガラスで切ったとき
⽕傷を負ったとき
担当者に知らせる。
担当者の指⽰に従い、落ち着いて
⾏動する。
洗浄用水道・洗眼用器具
洗浄用水道
(実験室内に設置)
ホースを曲げて、洗眼や腕
などの洗浄に利⽤できる
洗眼用器具
(実験室1に設置)
下部を押し潰すように閉じて、
上向きに⽔を出し洗眼に利⽤
できる
緊急シャワー
2号館1階
2号館2階
緊急シャワー
(各階男性トイレ前に設置)
⼤量の薬品がかかったときに使う
実験中の事故と防止(例)
試薬瓶の転倒による薬傷
転倒防⽌のため使⽤した試薬は
すぐに元の箱に戻す。
ガラス器具破損による怪我
ピペットの破損による刺傷
⼒のかかる部分の近くを保持
する。
直⽕加熱時のガラス器具の破損による
刺傷および⽕傷
加熱前に器具に傷がないか確かめる。
環境保全
実験廃液・廃棄物を
減らす
。
試薬は指⽰された量を測りとって使⽤する。
廃液を
薄めない
。
器具は必要最⼩量の⽔ですすぐ。
量が増えると処理にかかる⼿間・費⽤も増える。
廃液や廃棄物は
分別して回収・処理する
。
実験テーマによって廃液容器・処理⽅法が異なるので
注意する。
排⽔基準を定める法律や条例に違反すると⼤学全体が
実験停⽌となる場合がある。
詳細は実験時に説明する。
実習を始める前に
専⽤の実験ノート
を⽤意する。
予習する。
教科書を読み、実験ノートに予習内容を
まとめる。
関連する実験操作の動画資料を⾒ておく。
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京都⼤学OCW動画コンテンツ
化学系実験ホームページ
実験ノート
■
形式
実験⼿順
フローチャート
や
測定値を書き込む表
を準
備
実験操作、測定値と観測事実
実験⽇時
実際の操作(
反応時間
、
試薬の量
、
⾊の変
化
、
沈殿の有無
など)を詳細に記⼊
検討と考察
データを
解析
し、
化学反応式
と共に実験結
果を考察
予習
実習
中
実習
中
実習
後
実習
後
教科書
p. 27
ビュレットの読 み(mL) 1 2 3 4 5 始め 終わり 差実験ノート・予習例1
1. 溶液の調製(共通試薬を使う) ・試料溶液:約0.1 mol/L HCl水溶液 ①約1 mol/L HCl水溶液を約15 mL取る. ②ここから10 mLをホールピペットで容量フラスコに… ・標準溶液:0.05000 mol/Lシュウ酸標準水溶液を約70 mL取る. ・滴定液:… 2. NaOH水溶液の標定 ・滴定液:NaOH水溶液(ビュレットに入れる.入れた後漏斗は外す) ・被滴定液:シュウ酸標準溶液 (ビーカーに10 mL取る.ホールピペット使用) フェノールフタレイン指示薬数滴を加える. 酸塩基滴定実験題目
表1. NaOH水溶液の標定手順の予習
・フローチャート
・箇条書き
等
教科書の丸写しはしない!
「労多くして功少なし」
結果を書き込む表など
を用意しておく
・電熱式水浴で加熱し、変化を見る実験ノート・予習例2
安息香酸,1-ナフトール,2,4-ジクロロアニリン, 2-アセチルナフタレン3 mol/L NaOHaq.,6 mol/L HClaq. 飽和NaHCO3aq.,蒸留水
固体試料(…) 溶解性試験
蒸留水1 mL
(A) 3 mol/L NaOHaq. 2滴 (B) 6 mol/L HClaq. 1滴 (A) NaOH反応液 (B) HCl反応液 6 mol/L HClaq. ・かき混ぜて変化 を見る 3 mol/L NaOHaq.
実験題目
試薬の確認
手順の予習
・フローチャート
・箇条書き
等
見開きを使って、左ページに予習、右ページに実験
事実、観察事項を記録するなど、分かりやすく。
教科書の丸写しはしない!
実験ノート・記録例
安息香酸,1-ナフトール,2,4-ジクロロアニリン, 2-アセチルナフタレン3 mol/L NaOHaq.,6 mol/L HClaq. 飽和NaHCO3aq.,蒸留水
固体試料(…) 溶解性試験
蒸留水1 mL
(A) 3 mol/L NaOHaq. 2滴 (B) 6 mol/L HClaq. 1滴 (A) NaOH反応液 (B) HCl反応液 6 mol/L HClaq. ・電熱式水浴で加熱し、変化を見る ・かき混ぜて変化 を見る 3 mol/L NaOHaq. 14:30 試料(…)に蒸留水 x mLを加えた. xx ℃で、y 分間加熱した. ・… は ~した. ・… は ~ 14:40 …に3 mol/L NaOHaq. x 滴を加えた. ・… は ~ した. (これは−− による ~~.) 20xx/yy/zz
・実験事実
(実際に加えた試薬の量・
反応時間・温度等)
日付・時刻は
忘れず記録
詳しく記録する
(レポート作成に必須)
・観察結果
(色・状態の変化や、そこ
から考察できること等)
実験ノート・記録例
安息香酸,1-ナフトール,2,4-ジクロロアニリン, 2-アセチルナフタレン3 mol/L NaOHaq.,6 mol/L HClaq. 飽和NaHCO3aq.,蒸留水
固体試料(…) 溶解性試験
蒸留水1 mL
(A) 3 mol/L NaOHaq. 2滴 (B) 6 mol/L HClaq. 1滴 (A) NaOH反応液 (B) HCl反応液 6 mol/L HClaq. ・電熱式水浴で加熱し、変化を見る ・かき混ぜて変化 を見る 3 mol/L NaOHaq.
「決まった書き方」「正しい書き方」はないが、
自分や第三者が後から見て分かるように記録する。
14:30 試料(…)に蒸留水 x mLを加えた. xx ℃で、y 分間加熱した. ・… は ~した. ・… は ~ 14:40 …に3 mol/L NaOHaq. x 滴を加えた. ・… は ~ した. (これは−− による ~~.) 20xx/yy/zz模写・図を用いる
のも良い方法
レポート用紙
レポートの
1枚⽬
には、実験終了時に
配布する
所定の⽤紙
を使⽤し、名前等
を記⼊する。
⾜りない場合は、各⾃で
A4
のレポート
⽤紙を追加して、散逸しないようステ
ープラーで綴じる。
表紙は必要ない。
レポートとは
レポートは、実験内容を
第三者に正し
く
伝えるためのものである。
⾃分の実験結果
に基づいて
各⾃で
作
成する。
読んで
実験を再現できる
もの。
読み⼿を意識した
簡潔で分かりやす
い表現
で。
教科書
p. 28 ~
良いレポートを書くために
事実と推論を混同しない。
考察の内容
を充実させる。
実験の原理
実験結果の妥当性
誤差の検討
失敗原因
など
教科書の記述に加え、さらに⾃⾝で調べ
た事柄を基にした考察
参考文献
引⽤した場合は
出典
を明らかにする。
webからの知識は
信頼性
と
普遍性
に⼗
分に留意。
質問サイト、掲⽰板など著者が明ら
かでない情報を安易に信⽤しない。
(参考⽂献として不適切)
教科書本⽂は参考⽂献に挙げる必要は
ない(付録を除く)。
レポートの書き方
無機・容量・有機の
各分野に応じて、⼀応
のスタイルがある
。
教科書記載の例を⾒ながら、書く際の注意
点を説明する。
⼀般的な注意点
各分野に特有の注意点
レポート例 教科書
p. 32 ~ 35
黄色で表示
赤色で表示
題名 Fe3+、Al3+の基本反応 ⽬的 第Ⅲ属カチオンであるFe3+、Al3+の基本的性質を理解し、これ らの分離および確認反応を⾏う。この実習を通じて、スポイト、pH 試験紙の使⽤法や遠⼼分離の⽅法など、無機定性分析の基本技術を 習得する。 ⽅法と結果 遠⼼管に0.1 mol / L Fe(NO3)3⽔溶液10滴を取り、蒸 留⽔を加えて2 mLとした。3 mol / L NaOH⽔溶液6滴を加えると、 溶液の上層部が⾚褐⾊に濁った(反応式1)。よく撹拌した後... (中略) 考察 ⽅法と結果に記した反応の反応式は以下の通り表される。 反応式 1︓ Fe3++ 3OH-→ Fe(OH)3↓ 第Ⅲ属カチオンであるFe3+は...レポート例(無機)
「方法と結果」「結果と考察」の
ようにまとめて書くこともある
形式を守る
題目 目的
結果 考察
題名 Fe3+、Al3+の基本反応 ⽬的 第Ⅲ属カチオンであるFe3+、Al3+の基本的性質を理解し、これ らの分離および確認反応を⾏う。この実習を通じて、スポイト、pH 試験紙の使⽤法や遠⼼分離の⽅法など、無機定性分析の基本技術を 習得する。 ⽅法と結果 遠⼼管に0.1 mol / L Fe(NO3)3⽔溶液10滴を取り、蒸 留⽔を加えて2 mLとした。3 mol / L NaOH⽔溶液6滴を加えると、 溶液の上層部が⾚褐⾊に濁った(反応式1)。よく撹拌した後... (中略) 考察 ⽅法と結果に記した反応の反応式は以下の通り表される。 反応式 1︓ Fe3++ 3OH-→ Fe(OH)3↓ 第Ⅲ属カチオンであるFe3+は...レポート例(無機)
時制
に注意
方法、結果→
過去形
時制
に注意
目的、考察
→
現在形
時制
に注意
目的、考察→
現在形
題名 Fe3+、Al3+の基本反応 ⽬的 第Ⅲ属カチオンであるFe3+、Al3+の基本的性質を理解し、これ らの分離および確認反応を⾏う。この実習を通じて、スポイト、pH 試験紙の使⽤法や遠⼼分離の⽅法など、無機定性分析の基本技術を 習得する。 ⽅法と結果 遠⼼管に0.1 mol / L Fe(NO3)3⽔溶液10滴を取り、蒸 留⽔を加えて2 mLとした。3 mol / L NaOH⽔溶液6滴を加えると、 溶液の上層部が⾚褐⾊に濁った(反応式1)。よく撹拌した後... (中略) 考察 ⽅法と結果に記した反応の反応式は以下の通り表される。 反応式 1︓ Fe3++ 3OH-→ Fe(OH)3↓ 第Ⅲ属カチオンであるFe3+は...
レポート例(無機)
全ての化学反応式
を書く
完結した文章
題名 Fe3+、Al3+の基本反応 ⽬的 第Ⅲ属カチオンであるFe3+、Al3+の基本的性質を理解し、これ らの分離および確認反応を⾏う。この実習を通じて、スポイト、pH 試験紙の使⽤法や遠⼼分離の⽅法など、無機定性分析の基本技術を 習得する。 ⽅法と結果 遠⼼管に0.1 mol / L Fe(NO3)3⽔溶液10滴を取り、蒸 留⽔を加えて2 mLとした。3 mol / L NaOH⽔溶液6滴を加えると、 溶液の上層部が⾚褐⾊に濁った(反応式1)。よく撹拌した後... (中略) 考察 ⽅法と結果に記した反応の反応式は以下の通り表される。 反応式 1︓ Fe3++ 3OH-→ Fe(OH)3↓ 第Ⅲ属カチオンであるFe3+は...レポート例(無機)
全ての化学反応式
を書く
完結した文章
時制
に注意
方法、結果→
過去形
⽅法︓
教科書の⽂章を写すのではなく、実際に
⾃分が⾏った実験操作を具体的かつ簡潔
に記載する
実験ノートの記録を⾒て、実験事実を記
載する
教科書中の「約10 mL」「1〜2滴」等の
記述は実験事実ではない
題名 酸塩基滴定 ⽬的 酸塩基滴定の原理を学ぶとともに、その実験操作法を習得する。 同時に、測定値の信頼性を吟味し、その取り扱いを学ぶ。 ⽅法 標準溶液には共通試薬のシュウ酸標準溶液(0.05000 mol / L) を⽤いた。滴定液には... (中略) 結果 表1にNaOH⽔溶液の標定結果を⽰す。 表1 NaOH⽔溶液の標定 (中略) シュウ酸との反応式は式1であるので、式2よりNaOH⽔溶液の濃 度は有効桁数を考慮すると9.901×10-2mol / Lとなる。次に、... 考察 今回の実験結果の妥当性について考察する。NaOH⽔溶液の....レポート例(容量)
1回目 2回目 3回目 4回目 5回目 平均 NaOH滴下量(mL) 10.08 10.11 10.09 10.10 10.12 10.10タイトル
も忘れずに
表・・
上
に 図・・
下
に
表
や
図
を用いてわかり易く
題名 酸塩基滴定 ⽬的 酸塩基滴定の原理を学ぶとともに、その実験操作法を習得する。 同時に、測定値の信頼性を吟味し、その取り扱いを学ぶ。 ⽅法 標準溶液には共通試薬のシュウ酸標準溶液(0.05000 mol / L) を⽤いた。滴定液には... (中略) 結果 表1にNaOH⽔溶液の標定結果を⽰す。 表1 NaOH⽔溶液の標定 (中略) シュウ酸との反応式は式1であるので、式2よりNaOH⽔溶液の濃 度は有効桁数を考慮すると9.901×10-2mol / Lとなる。次に、... 考察 今回の実験結果の妥当性について考察する。NaOH⽔溶液の....レポート例(容量)
1回目 2回目 3回目 4回目 5回目 平均 NaOH滴下量(mL) 10.08 10.11 10.09 10.10 10.12 10.10有効数字
に注意
(特に容量,後に詳説)
容量:
結果の信頼性(誤差)
に
ついて考察(後に詳説)
レポート例(有機・合成)
題名 アセトアニリドの臭素化 ⽬的 芳⾹族化合物の臭素化を題材に取り、有機化合物の取り扱いを 体験し、有機合成の実験操作を習熟する....反応機構を考察する。 ⽅法と結果 臭化カリウム 0.70 g(5.9 mmol)を 100 mL三⾓フラ スコに⼊れ、....次に、6 mol / L 塩酸 2 mL(12 mmol)とアセトア ニリド 0.40 g(3.0 mmol)を...した。 (中略) ...4-ブロモアセトアニリド(0.40 g、収率 63%)が得られた.結晶 の⼀部をさらに乾燥して,融点を測定した.mp 158〜160℃(⽂献 値 168℃). 考察 ➀収率が期待したほど⾼くなかった理由としては、...感想や反省を書きたいとき
は考察に入れず別項目で
有機:
反応式
は実験題名を端的に表現
必ず記載する
有機:用いた物質の
モル
数を書く
無機定性分析実験 実習内容
第1回 1.1 Fe
3+、Al
3+(
第Ⅲ属
)の基本反応
第2回 1.2 Ag
+、Pb
2+(
第Ⅰ属
)の基本反応
1.3 Cu
2+、Bi
3+(
第Ⅱ属
)の基本反応
第3回 1.4 Ni
2+、Co
2+、Mn
2+、Zn
2+(
第Ⅳ属
)の基本反応
第4回 1.5
未知試料
の分析
教科書
p. 36 ~
定性分析と定量分析
定性
分析 … 試料中の成分の
種類
を調べる
無機・有機定性分析実験
定量
分析 … 試料中の⽬的成分の
量
を調べる
容量分析実験
一般的
には、成分が未知の試料にはまず
定性分析
を行い、その後、目的の成分に
ついて
定量分析
を行う。
属分離
無機定性分析
無機定性分析の流れ
カチオン(陽イオン)の分離
…
•
適当な試薬を加えて⽬的カチオンを
沈殿
として分離
確認反応
…
⽬的のカチオンに
特有の反応
で確認する
※ここでの「属」とは、元素周期表の「族」
と無関係
属分離
属内分離
確認反応
属分離
属 カチオン種 試薬と条件 沈殿 第I属 Pb2+, Ag+, Hg 22+ Cl - 塩化物 PbCl2, AgCl, Hg2Cl2 第II属 Cu2+, Bi3+, (Pb2+), Hg2+, Cd2+, Sn2+, Sn4+ S2- HCl酸性 硫化物 CuS, Bi2S3, PbS, HgS, CdS, SnS, SnS2 第III属 Fe3+, Al3+, Cr3+, Fe2+ OH- 水酸化物Fe(OH)3, Al(OH)3, Cr(OH)3, Fe(OH)2 第IV属 Ni2+,Co2+,Mn2+, Zn2+ S2- NH3アルカリ性 硫化物 NiS, CoS, MnS, ZnS 第V属 Ca2+, Sr2+, Ba2+ CO
32- 炭酸塩 CaCO3, SrCO3, BaCO3 第VI属 Mg2+, Li+, Na+, K+, NH4+ なし