国 清 百 録 の 編 纂 に 係 る 一 考 察 ( 長 谷 川) 一 八 四
国
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国 清 百 録 は、 陳 ・ 階 両 朝 に わ た り、 江 南 域 で 盛 ん な 仏 教 活 動 を し た 天 台 大 師 智 顕 に 係 る、 百 四 条 か ら な る 行 法 類 及 び 書 簡 類 が 収 録 さ れ た 書 で あ る。 大 業 三 年 以 降、 灌 頂 に 依 り 編 纂 さ れ た 百 録 は、 現 在 に 至 る 間、 数 箇 の 問 題 が あ る。 こ の 間 の 問 題 点 を 考 え て み た い。 ( 1) 一 百 録 は 当 初、 智 顎 の 弟 子 智 寂 が、 師 の 行 績 を 尊 び、 後 世 に 残 す た め に 書 簡 等 を 収 集 し た。 智 寂 は 完 成 途 中 で 死 去 し た た め、 智 顕 の 高 弟 灌 頂 が、 後 を 引 き 次 ぎ、 智 寂 の 草 本 を 基 に し て 完 成 し、 表 題 を 国 清 百 録 と し た の で あ る。 ( 2) 智 寂 の 功 績 は、 灌 頂 の 序 に 誌 さ れ る た け で あ る が、 続 高 僧 伝 の 灌 頂 伝 で は、 灌 頂 の 業 績 と し、 後 世 の 諸 伝 も 百 録 は 灌 頂 の 編 集 と し て い る。 百 録 の 成 作 に つ い て は、 正 確 に は 智 寂 の 草 本 を 灌 頂 が 完 成 し た と 言 う べ き で あ る。 一 一 以 上 の 如 く 編 纂 さ れ た 百 録 は、 現 在 に 至 る 問 に、 二 種 の 異 本 と 思 わ れ る 記 載 が あ る。 初 に、 止 観 輔 行 捏 要 記 巻 一 に は ﹁ 国 清 広 百 録 ﹂ と あ り、 ま た 止 観 輔 行 私 記 を 撰 述 し た 証 真 は、 捏 要 記 の 文 を 引 用 し て い る。 表 題 の 酷 似 さ か ら 百 録 の 異 本 と 推 定 さ れ て い る が、 捏 要 記 の 著 者 湛 然 は、 広 百 録 を 九 師 相 承 の 典 拠 と す る の で あ る。 と こ ろ が 湛 然 の 著 で あ り、 九 師 相 承 を 述 べ る 止 観 輔 行 伝 口 決 巻 一 之 一 に は ﹁ 国 清 広 百 録 ﹂ の 名 ( 3) は 記 さ れ て お ら ず、 か え つ て ﹁ 所 レ 施 信 物 並 在 二国 清 百 録 こ と、 百 録 の 名 が 見 ら れ る。 口 決 と 捏 要 記 を 撰 述 し た 湛 然 は、 両 書 に 異 な つ た 百 録 を 引 用 し た こ と に な り、 不 可 解 な 点 で あ る。 国 清 広 百 録 は 現 存 し な い が、 捏 要 記 に 記 載 さ れ た 表 題 が 酷 似 し て い る こ と の み で は、 百 録 の 異 本 で あ る と 明 言 で き な い。 (4)(5) 次 に、 伝 教 大 師 将 来 台 州 録 及 び 仏 祖 統 紀 に、 百 録 は 五 巻 と 記 載 さ れ て い る。 し か し な が ら 今 日 入 手 で き る 百 録 は、 大 正 蔵 所 集 原 本 と 対 考 本、 及 び 天 海 蔵 ・ 比 叡 山 真 如 蔵、 ま た 三 種 の 返 り 点 等 を 付 す 百 録 が あ る が、 全 て 四 巻 本 で あ つ て、 五 巻 本 は 全 く み ら れ な い。 こ の 現 存 す る 四 巻 本 百 録 は、 印 形 の 差 異 か ら 種 別 で き る の で あ る が、 浄 梵 の 改 証 に 依 る 書 が 基 と な つ た 大 正 蔵 所 集 本 と 同 系 統 の 書 で あ る と 言 え る。 以 上 の 如 く、 百 録 の 異 本 と 思 わ れ る 記 録 は あ る が、 浄 梵 改 証 に 依 る 系 統 の 四 巻 本 百 録 の み が 現 存 し て い る。 三 さ て 四 巻 本 百 録 の 大 綱 を 把 握 す る た め に、 次 第 に 準 じ て 次 の 如 く 区 分 を し た。 行 法 類 一、 立 制 法 二、 敬 礼 法 三、 普 礼 法 四、 請 観 世 音 繊 法 五、 金 光 明 繊 法 六、 方 等 繊 法 七、 訓 知 事 人 書 簡 類 陳 朝 時 代 八、 陳 宣 帝 勅 留 不 許 入 天 台 九、 太 建 九 年 宣 帝 勅 施 物 十、 太 建 十 年 宜 帝 勅 給 寺 名 十 一、 至 徳 三 年 陳 少 主 勅 迎 十 二、 至 開 陽 門 舎 人 陳 建 宗 等 宣 少 主 口 勅 以 上 巻 一 十 三、 少 主 后 沈 手 令 書 十 四、 少 主 皇 太 子 請 戒 書 十 五、 陳 永 陽 王 手 自 書 十 六、 永 陽 王 解 講 疏 十 七、 永 陽 王 手 書 属 真 観 恵 斐 二 法 師 十 八、 陳 儀 同 公 沈 君 理 請 疏 十 九、 陳 左 僕 射 徐 陵 書 二-695-十、 陳 吏 部 尚 書 毛 喜 書 一 二、 天 台 山 修 禅 寺 智 顎 禅 師 放 生 碑 文 階 朝 時 代 イ、 智 顎 存 命 期 間 二 二、 階 高 祖 文 皇 帝 勅 書 二 三、 秦 考 王 書 二 四、 晋 王 初 迎 書 二 五、 王 治 禅 歯衆 寺 書 二 六、 王 受 菩 薩 戒 疏 二 七、 王 謝 書 二 八、 王 参 書 二 九、 王 請 留 書 三 十、 王 重 留 書 三 一、 王 許 行 書 三 二、 蒋 州 僧 論 殿 寺 書 三 三、 述 蒋 州 僧 書 三 四、 王 答 蒋 州 事 三 五、 述 匡 山 寺 書 三 六、 王 答 匡 山 書 三 七、 王 与 匡 山 三 寺 書 三 八、 王 謝 法 門 書 三 九、 王 遣 使 往 匡 山 参 書 四 十、 王 重 遣 匡 山 参 書 四 一、 王 遣 使 潭 州 迎 書 四 二、 王 遣 使 荊 州 迎 書 四 三、 王 入 朝 遣 使 参 書 四 四、 文 皇 帝 勅 給 荊 州 玉 泉 寺 額 書 四 五、 王 在 京 遣 書 四 六、 王 従 駕 東 嶽 於 路 遣 書 四 七、 王 還 鎮 遣 迎 書 四 八、 王 謝 天 冠 井 請 義 書 四 九、 譲 請 義 書 五 十、 王 重 請 義 書 以 上 巻 二 五 一、 王 謝 義 疏 書 五 二、 王 論 荊 州 諸 寺 書 五 三、 重 述 還 天 台 書 五 四、 王 答 書 五 五、 王 与 上 柱 国 薪 郡 公 荊 州 総 管 達 塁 需 書 五 六、 答 度 人 出 家 書 五 七、 答 放 徒 流 書 五 八、 答 施 物 書 五 九、 王 迎 入 城 擬 雨 移 日 書 六 十、 王 迎 入 城 書 六 一、 王 遣 使 入 天 台 参 書 六 二、 王 遣 使 入 天 台 迎 書 六 三、 王 参 病 書 六 四、 発 願 疏 文 六 五、 遺 書 与 晋 王 ロ、 智 顎 滅 後 六 六、 王 答 遺 旨 文 六 七、 王 遣 使 入 天 台 建 功 徳 願 文 六 八、 王 弔 大 衆 文 六 九、 天 台 山 衆 謝 啓 七 十、 王 遣 使 入 天 台 設 周 忌 書 七 一、 天 台 山 衆 謝 功 徳 啓 七 二、 天 台 衆 賀 啓 七 三、 天 台 衆 謝 造 寺 成 啓 七 四、 僧 使 対 皇 太 子 問 答 七 五、 皇 太 子 敬 霊 寵 文 七 六、 皇 太 子 於 天 台 設 斎 願 文 七 七、 皇 太 子 令 書 与 天 台 山 衆 七 八、 天 台 衆 謝 啓 七 九、 皇 太 子 重 令 書 八 十、 天 台 衆 謝 啓 八 一、 皇 太 子 弘 浄 名 疏 書 八 二、 仁 寿 四 年 皇 太 子 登 極 天 台 衆 賀 至 尊 八 三、 至 尊 勅 八 四、 天 台 衆 謝 啓 書 八 五、 輿 駕 巡 江 都 宮 寺 衆 参 書 八 六、 僧 使 対 問 答 八 七、 勅 立 国 清 寺 名 八 八、 表 国 清 啓 以 上 巻 三 八 九、 勅 度 四 十 九 人 法 名 九 十、 国 清 寺 衆 謝 啓 九 一、 勅 報 百 司 上 表 賀 口 勅 九 二、 口 勅 施 幡 九 三、 勅 造 国 清 寺 碑 文 九 四、 玉 泉 寺 碑 ハ、 智 顕 存 命 期 間 階 王 室 外 九 五、 後 梁 主 薫 綜 書 九 六、 前 陳 領 軍 藥 徴 書 九 七、 長 安 曇 逞 禅 師 書 九 八、 道 因 寺 恵 嵩 等 致 書 九 九 荊 州 道 俗 請 講 法 華 疏 百、 蒋 山 棲 霞 寺 保 恭 請 疏 百 一、 秘 書 監 柳 顧 言 書 百 二、 吉 蔵 法 師 書 百 三、 吉 蔵 法 師 請 講 法 華 経 疏 百 四、 智 者 遺 書 与 臨 海 鎮 将 解 抜 国 述 放 生 池 以 上 巻 四 各 項 の 特 徴 は、 行 法 類 と 書 簡 類 に 大 別 さ れ、 書 簡 類 は 陳 朝 時 代 と 階 朝 時 代 に 区 分 で き る。 更 に 階 代 の 書 簡 類 は、 イ、 ロ、 ハ、 と し て、 五 項 目 に 区 分 で き、 現 存 本 の 如 く 四 巻 の 区 分 は か え つ て 不 自 然 あ る。 五 項 目 に 分 類 さ れ る 百 録 を 四 巻 本 と し た 理 由 に は、 浄 梵 の 後 序 に 誌 す 十 余 処 改 証 の 文 を 挙 ら れ る が、 改 証 箇 処 は 明 確 で な く、 五 項 四 ( 6) 巻 本 に 関 す る と は 定 か に 言 え な い。 恐 ら く は、 有 厳 の 序 に 天 聖 年 中 に 大 蔵 経 へ 編 入 さ れ た と あ り 紙 数 上 の 整 理 に と も な つ た と 考 え ら れ る。 国 清 百 録 は 四 巻 本 の み 現 存 す る が、 灌 頂 ・ 浄 梵 の 両 者 が、 序 で 大 師 の 盛 徳 を 後 毘 に 胎 す と 言 う 姿 勢、 及 び 書 簡 集 と し て の 性 格 を 考 慮 し た 場 合、 現 存 す る 百 録 中 に も 五 項 と し て 大 綱 が あ る と 考 え る。 1 大 正 四 六 ・ 七 九 三 上。 2 大 正 五 〇 ・ 五 八 五 中。 3 大 正 四 六 ・ 一 四 八 上。 4 伝 教 大 師 全 集 巻 四 ・ 三 五 六。 5 大 正 四 九 ・ 一 八 七 上。 6 大 正 四 六 ・ 七 九 三 中。 国 清 百 録 の 編 纂 に 係 る 一 考 察 ( 長 谷 川) 一 八 五