VLC を利用したリアルタイムエンコーディング
TriCaster の機能のひとつに、「ネットワーク出力」があります。この機能は、TriCaster の出力をネッ トワークを通じて MPEG-2 ビデオとして送出するものです。これにより出力された映像を保存したり、外 部コンピュータに十分な処理能力があれば、リアルタイムにエンコードし、フォーマットを変えて保存 することができます。注目すべき点は、TriCaster の ISO レコーディング機能と同じように、外部のコン ピュータでキャプチャー作業が行えるところです。 作業に必要なものは下記になります。 ・ネットワーク出力機能を持つ TriCaster 410/460/860/8000 のいずれかのシステム。 ・レコーディングを行うための外部コンピュータ。リアルタイムにエンコードを行うために、高速な CPU を搭載したシステムが必要となります。このドキュメント内では、このシステムのことを「リモート」 システムと呼んでいます。 ・VLC メディアプレーヤー。このソフトウェアは、このリンク（http://www.videolan.org/）からダウン ロードできます。 ・システム間をつなぐギガビットネットワーク環境。 VLC をダウンロードし、リモートシステムにインストールしてください。インストールはデフォルトの設 定で行っていただければ問題ありません。 では、TriCaster の設定から開始していきましょう。使用したいセッションを開きます。マウスポインタ を Program 出力モニターへ移動し、右上に歯車のマークが表示されることを確認してください。この歯 車をクリックすると、「Output Configuration」ウィンドウが表示されます。オプションとして用意され ている「NETWORK」のチェックボックスをクリックし、TriCaster からネットワーク上へ出力したいチャ ンネル（Follow 1 や 2）を選択しておきます。ネットワーク出力設定の横には、後に入力して利用する URL が表示されています。 チェックボックスを有効にすることで、TriCaster はネットワーク上への送信を開始しているので、VLC にそのデータを受け取るような命令を送る必要があります。では、VLC 上で確認を行っていきましょう。 リモートのコンピュータで VLC を開きます。下記のスクリーンショットは Windows システム上のもので すが、同じオプションは OSX のシステムでも確認することができます。 「メディア」メニューから「ネットワークストリームを開く」を選択してください。 開いたウィンドウ内にはネットワーク URL を入力するフィールドがあるので、ここへ TriCaster 上で表 示されていた URL を入力してください。入力が終わったら「再生」ボタンを押します。
少しするとウィンドウ内で映像が再生されることが確認できます。通常は TriCaster の出力映像よりも 少し遅れて映像が流れることになります。 では次のステップに進んで、TriCaster から送られてきているデータをレコーディングしてみましょう。 「メディア」メニューから「ストリーミング」オプションを選択してください。 メディアウィンドウが開くので、上部にある「ネットワーク」タブを選択します。ネットワーク URL を 入力するフィールドに TriCaster 上で表示されていた URL を入力し、「ストリーム再生」ボタンをクリッ クしてください。
ストリーム出力ウィンドウが表示されるので「次へ」のボタンをクリックします。
ここで次に行う作業として、2 つの選択肢があります。TriCaster のネットワーク出力データを標準の MPEG 形式でレコーディングするのか、VLC の機能を利用してネットワーク出力データを別の形式として作成し なおすのかを選択できます。
・RAW レコーディングは、プログラムストリームを MPEG ファイルにします。TriCaster からネットワー ク出力されたデータをファイルとして保存するだけです。
・MPEG 以外のフォーマットとしてファイルを保存したい場合には、エンコーディングは VLC の圧縮機能 を利用してデータを変換することになります。リモートコンピュータには、リアルタイムで処理を行う だけの能力が要求されます。
実際に利用する場合には、はじめにテストを行っておくことをお勧めします。数分間のレコーディング テストを行い、記録されたファイルがコマ落ちしていないかを確認しておくようにしてください。 RAW ファイルを保存するには、「トランスコーディングを有効にする」のチェックボックスを無効にしま す。「ローカルで再生」のチェックボックスを有効にし、「ファイル」と表示されているドロップダウン メニューの横にある「追加」ボタンを押します。 表示されるファイルタブで、ファイルとしてレコーディングしたい場所と名前を指定します。準備がで きたら「ストリーム再生」ボタンを押すことで、レコーディングが開始されます。
別のフォーマットへとエンコードしたい場合には、「トランスコーディングを有効にする」のチェックボ ックスを有効にします。さらにプロファイルリストからフォーマットを選択するか、必要であれば特殊 な設定を新しく作成するために、右側の編集ボタンをクリックしてください。新しいプロファイルを作 成してみましょう。プルダウンメニューの一番右側にある編集ボタンをクリックしてください。 開くウィンドウの「カプセル化」タブで、保存したいファイルのフォーマットを選択することができま す。作成したいファイルのフォーマットを選択してください。
さらに「ビデオコーデック」タブをクリックし、ビデオのチェックボックスを有効にし、保存するファ イルの圧縮コーデックを選択します。VLC はサポートしているすべてのコーデックを表示します。コンテ ナファイルがサポートしていないコーデックも表示するので、選択時には注意してください。 「コーデック」の下にはさらに細かい設定が用意されています。ビットレートはエンコーディングの際 に保存されるデータサイズと画質に影響します。一番下には画像フレームのサイズを設定する項目があ ります。 同じような設定が「オーディオコーデック」タブにも用意されています。オーディオのチェックボック スをクリックして有効にし、適切なコーデックと設定を選択してください。
リスト内のオーディオコーデックが、レコーディングしようとしているフォーマットに適合していない 場合でも表示されてしまいます。 下記は、一般的なコーデックとファイルタイプの組み合わせを表したリストです。 ウィンドウの最上部に新しい設定の名前を入力し、「保存」ボタンをクリックして下さい。これで VLC の プロファイルリストに新規に追加されます。 リストから新しいプロファイルを選択します。次に「ファイル」と表示されているドロップダウンメニ ューの横にある「追加」ボタンを押します。ファイルを保存する場所と名前を入力し、準備ができたら 「ストリーム再生」ボタンを押します。 ストリーム再生ボタンを押すと、TriCaster からのネットワークストリームが表示され、選択したオプシ ョンに合わせてファイルを作成されていきます。レコーディングが開始されるまでには数秒の時間がか かるため、予めそれを予想して作業を行ってください。 エンコーディングに利用しているフォーマットによって、レコーディング中は映像が動いて見えない場 合があります。このようなときにレコーディング設定を確認したいような場合には、ツールメニューか ら「メディア情報」を選択することができます。「統計」タブに移動し、「メディアデータサイズ」の数 値が上昇していればレコーディングが開始されていることが分かります。
レコーディングを終了する場合には、VLC プレーヤーの停止ボタンを押します。VLC プレーヤーを終了す ると、保存されたファイルは利用できるようになります。 ファイルにドロップフレームが含まれているようであれば、CPU 処理能力に合うように、別のエンコーデ ィングオプションを利用してください。お使いのコンピュータにリアルタイムエンコーディングに必要 な処理能力がないようであれば、RAW ファイルでレコーディングを行ってからファイルの変換を行ってく ださい。 「ネットワーク出力」は、一度にひとつのアプリケーションでのみ読み込むことができます。別の用途 にネットワーク出力を使用したい場合には、たとえば、TriCaster からの映像信号を別のところへ分配し てください。同時に複数の VLC を利用することはできませんのでご注意ください。
