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発表内容 1. はじめに ( トウモロコシの特徴 ) 2. 飼料用トウモロコシの栽培の現状 3. 今後の作付け拡大に向けた技術開発

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(1)

National Agriculture and Food Research Organization

農業・食品産業技術総合研究機構

農研機構は食料・農業・農村に関する研究開発などを総合的に行う我が国最大の機関です

飼料用トウモロコシの栽培の現状と今後

の作付け拡大に向けた技術開発

畜産草地研究所

飼料作物研究領域

菅野 勉

(2)

1.はじめに (トウモロコシの特徴)

2.飼料用トウモロコシの栽培の現状

3.今後の作付け拡大に向けた技術開発

(3)

1)トウモロコシの基本的特性

2)海外における栽培面積

3)今後の穀物需給の予測

1.はじめに

(4)

1)トウモロコシの基本的特性

起源に関する主要な2説

①テオシント説:

テオシント(Euchlaena mexicana)起源?

②三部説:

トウモロコシを栽培し続けてきた インディオの祖先は、起源となる 野生種を追跡できないくらい 作物化してきた。

中央アメリカ地域原産のC

4

植物

C

4

植物

光合成においてCO

2

を固定して最

初にできる産物が炭素原子4個のオ

キザロ酢酸等

C

4

植物の特徴

・単位葉面積当たりの見かけの光合

成速度が非常に高い。

・光合成の最適温度が30~35℃

(C

3

植物は10~20℃)。

(5)

12. 7 10. 5 4. 9 6. 4

草種別の1日当たりのTDN日生産量の期待値

(高位値が得られた試験結果からの推定)(伊藤ら(1989)『粗飼料・草地ハンドブック』をもとに作図。) TD N 日 生産量 期待値 (k gT DN /10a/ 日)

1)トウモロコシの基本的特性

(6)

2)海外における栽培面積

35603 35056 14199 8710 6985 5400 4373 4131 4057 3696 0 5000 10000 15000 20000 25000 30000 35000 40000

トウモロコシの主要な栽培国における栽培面積

(×1,000ha) (FAOSTATの2012年のデータ(Maize)より作図。)

(7)

3)今後の穀物需給の予測

1227 1406 1007 1185 150 155 1153 1424 537 732 450 497 2387 2838 1354 1652 785 900 0 500 1000 1500 2000 2500 3000

2015年及び2030年の世界全体、途上国及び先進国の穀物需要量及び生産量

の予測(小麦、米、粗粒穀物を含む穀物全体の需給予測)

(World agriculture: towards 2015/2030 (FAO2014)のデータより作図。)

100% 100% 88% 86% 131% 138% 2015 2030 世界全体 途上国 先進国 (×million tons) 需要量 生産量 需要量 生産量 需要量 生産量 需要量 生産量 需要量 生産量 需要量 生産量 2015 2030 2015 2030 図中のパーセンテージ(%)は自給率

需要量(食用)

需要量(その他)

生産量

(8)

2.飼料用トウモロコシの栽培の現状

1)我が国における近年の飼料用トウモロコシ

の作付面積の推移

2)北海道の栽培面積拡大に寄与した技術的

要因

3)飼料用トウモロコシの単収の現状

(9)

我が国における飼料用トウモロコシの作付面積の推移

(農林水産省作物統計及び耕地及び作付面積統計のデータを基に作図。)

1)トウモロコシ作付面積の推移

0 50 100 150 45 50 55 60 元 5 10 15 20 25 北海道 都府県 (昭和) (平成) (年) 作付面積 ( × 1,000ha )

(10)

外部作業受託組織(コントラクター)等による飼料生産作業の

外部化

大型機械とバンカーサイロを組み合わせた大量調製技術や

細断型ロールベーラの普及

道東・道北地域向けの極早生トウモロコシ品種の育成と安定

栽培技術の開発

イアコーンサイレージ技術の開発と普及

(11)

大型機械とバンカーサイロを組み合わせた大量調製技術の普及

(12)

細断型ロールベーラの開発と普及

(13)

(林ら、2007)

マルチ栽培

・マルチ価格の高騰 ・播種に時間がかかる(7-10ha/日) ・マルチの残さによる環境問題 への懸念 耐冷性極早生品種の登場により、マルチを用 いる必要がなくなり、さらに、不耕起播種機を 用いることで、播種の作業効率が大幅に向上 (40-50ha/日)。

耐冷性極早生品種を活用した狭畦密植栽培

道東・道北地域向けの極早生トウモロコシ品種の育成と安定栽培

技術の開発

(14)

(濃沼ら 2012) (牧野ら 2014) 5月25日に播種して10月10日に収穫すると仮定した 場合の「黄熟初期以降に達する確率マップ」 熟期が“早生の早”という最も早いグループに属する (相対熟度(RM)75-80日クラス)。 乾物収量(全体としての収量)や雌穂の収量が同じ 熟期の既存品種「ぱぴりか」と同程度に高い。 耐倒伏性が強く、道東地方で多発しているすす紋 病に対して極めて強い抵抗性を有する。 天北地方や根釧地方は、夏も冷涼なため、極早生品 種を活用しても毎年しっかり登熟するとは限らない。 このため、1km四方単位で黄熟初期以降に達する 確率を把握できる、安定栽培マップが作成された。

サイレージ用トウモロコシ新品種

「たちぴりか」

寒地におけるトウモロコシの安定

栽培マップ

天北地方版 根釧地方版

(15)

大下ら(2013)http://www.naro.affrc.go.jp/publicity_report/ publication/pamphlet/tech-pamph/047436.html

イアコーンサイレージ技術

海外におけるイアコーンサイレージの種類と名称 栽培面積の拡大 2008年:2ha → 2014年:120ha超(予定) 名称 利用部位 収穫機械 TDN スナップレージ (イアレージ) 芯+子実+ 外皮 自走式ハーベ スタ 74-83% ハイモイスチャイ アコーン、 コーンコブミックス 芯+子実 普通コンバイン 87% ハイモイスチャ シェルドコーン 子実 普通コンバイン 92% 日本おけるイアコーンサイレージに相当

(16)

都府県におけるサイレージ用トウモロコシの単収

(作物統計、農林水産省2013)

3)飼料用トウモロコシの単収の現状

4683 4185 5256 0 1000 2000 3000 4000 5000 6000 東北・北陸・東山 関東東海近畿中国 九州四国 生草 k g /10 a 最近5年間の都府県におけるサイレージ用トウモロコシの平均単収は現物で5,030kg/10a。 乾物収量の推定値は、乾物率25%換算で1,257kg/10a、28%換算で1,408kg/10a。 地域ごとの推定乾物収量(kg/10a) 地域 乾物率 25% 28% 東北・北陸・ 東山 (kg/10a) 1171 (kg/10a) 1311 関東・東海・ 近畿・中国 1046 1171 九州・四国 1314 1472 都府県平均 1257 1408 東北北陸東山 関東東海近畿中国 九州四国

(17)

奨励品種決定試験等におけるサイレージ用トウモロコシの

地域ごとの平均乾物収量

(独)家畜改良センター茨城牧場長野支所が管理する奨励品種決定試験等のデータのうち、 2008年から2012年に実施された試験データをもとに計算。

3)飼料用トウモロコシの単収の現状

地域 気候区分 作期 データ数 乾物収量 (kg/10a) 道東・道北 寒地限界地帯 夏作 71 1184 道央 寒地 夏作 542 1812 東北、北陸、東山 寒冷地 夏作 901 2073 関東、東海、近畿、 中国 温暖地 夏作 1154 1987 九州、四国 暖地 夏作 196 1923 二期作(1作目) 399 1792 二期作(2作目) 79 1512

(18)

サイレージ用トウモロコシの作物統計における推定単収と奨励品種

決定試験等における平均乾物収量の比較(夏作)

3)飼料用トウモロコシの単収の現状

0 500 1000 1500 2000 2500 乾 物収 量 kg /10a 100 100 100 100 78 63 68 59 ■作物統計推定値 ■奨励品種決定試験等 図中の数値は奨励品種決定試験等の収量を 100とした比数

(19)

酪農家圃場におけるトウモロコシ収量調査の事例

3)飼料用トウモロコシの単収の現状

牧場 収穫年 個体密度 (個体/10a) 新鮮重収量 (kg/10a) 乾物収量 (kg/10a) K牧場 2007 4933 5614 1360 F牧場 2008 4756 3978 1138 T牧場 2008 4756 5612 1190 2009 5000 4954 1365 W牧場 2008 4926 5969 1610 2011 5111 5823 1398 O牧場 2010 5535 5125 1403 各事例とも黄熟期(8月下旬~9月上旬)の坪刈り収量(地際刈り)。

(20)

○個体密度は平均で約

5,000個体/10a。主に栽培されていた

中生品種の最適個体密度

7,000本程度よりはるかに少ない。

○堆肥の不足が減収の要因と考えられる圃場があったものの、

総じて、個体密度の低さが単収の低い要因の一つであると

考えられた。

個体密度を高めるためには、

・播種当年に購入した発芽力の高い種子を用いる。

・播種前に播種機から支障なく種子が繰り出されることを確認する。

・鳥害対策を講じる。

・個体密度の低下が予想される場合は、あらかじめ幾分播種量を多くする。

・圃場の土壌水分が高い場合は播種後の鎮圧を弱くするか省略する。

・湿害が生じる圃場では、明暗きょ等による湿害対策を徹底する。

調査事例において考えられた減収要因

3)飼料用トウモロコシの単収の現状

(21)

栽植密度に関して

「トウモロコシは1本立(1粒点播)が基本であり、播種量は

最適栽植本数を確保するため、病害虫、鳥害、播種作業

ミスによる欠株を考慮して、やや(10%程度)多めにする。」

森田(2014)『飼料増産技術指標-飼料作物の生産利用技術-』

(平成26年2月)

3)飼料用トウモロコシの単収の現状

目標栽植本数 目標栽植本数時 の株間 必要播種粒数 (目標+10%) 播種時に想定する 株間 6000 22.2 6600 20.2 6500 20.5 7150 18.6 7000 19.0 7700 17.3 7500 17.8 8250 16.2 8000 16.7 8800 15.2

目標栽植本数と播種量を10%増加させる場合の株間の違い

(22)

3.今後の作付け拡大に向けた技術開発

1)栽培技術開発の現状

2)トウモロコシ・ソルガム混播栽培

3)耕うん同時畝立て播種技術

(23)

1) 栽培技術開発の現状

① 省力播種技術

② 赤かび病対策技術

(24)

①省力播種技術

サイレージ用トウモロコシ生産に要する

10a当たりの労働時間(都府県)

播種関連 23% 追肥除草 15% 収穫 31% 細断詰込 み 31% 播種関連 追肥除草 収穫 細断詰込み 1.2時間 0.8時間 1.6時間 1.6時間 トウモロコシサイレージ生産に要する労働時 間のうち、播種関連作業に要する時間は都 府県平均で1.2時間/10aと作業時間全体の 23%を占めており、栽培管理の省力化のた めには播種作業の省力化が不可欠。 不耕起播種機の 実用的利用が 既に開始されてい る地域 北海道~東北 寒地・寒冷地のトウモロコシ 年一作地帯 九州:暖地のトウモロコシ二 期作地帯 不耕起播種機の 実用的利用が 現在検討されてい る地域 本州から九州の温暖地 夏作トウモロコシ+ 秋冬作の二毛作、 及び トウモロコシ+牧草と の輪作 各地域におけるトウモロコシの不耕起播種 技術の検討状況

(25)

(3年間の実規模試験の平均値。図中の数字は慣行耕起播種を100とした相対値。) 0 2 4 6 8 10 12 14 16 耕起 簡易耕 不耕起 乾物収量 0 20 40 60 80 100 120 140 耕起 簡易耕 不耕起 燃料消費量 0 10 20 30 40 50 耕起 簡易耕 不耕起 費用価 0 2 4 6 8 10 12 14 16 18 耕起 簡易耕 不耕起 作業時間 (hr/ha) (L/ha) (円/乾物kg) (t/ha) 100 40 29 100 24 14 100 105 65 100 91 141

ライムギ後におけるトウモロコシ

簡易耕播種技術

飼料用トウモロコシ播種に要する作業時間、燃料消費量、 乾物収量およびトウモロコシ乾物1kg当たりの費用価 0 20 40 60 80 100 慣行 簡易耕 作業時間 ( 慣行区を 10 0 と し た 比 数 ) ■除草剤散布 ■鎮圧、 ■播種 ■堆肥散布・施肥 ■耕起・耕うん・整地

①省力播種技術

(森田、2014) 作業時間の内訳の比較

(26)

イタリアンライグラスは麦類などに比較し、栽 培後の土壌が緊密化するため、収穫後のトウ モロコシの簡易耕播種にあたっては、土壌表 面を十分に攪拌する必要がある。 縦軸型ハローとバキュームシーダを用いた耕 うん同時播種技術を開発。 慣行耕起播種区 簡易耕播種区 乾物収量 (k g /10a) 乾燥害等に よ り 大きく 減収

①省力播種技術

イタリアンライグラス後における

トウモロコシの簡易耕播種技術

(耕うん同時播種技術)

(住田、2012) 0 20 40 60 80 100 慣行 簡易耕 作業時間 ( 慣行区を 10 0 と し た 比 数 ) ■除草剤散布 ■鎮圧、 ■播種 ■堆肥散布・施肥 ■耕起・耕うん・整地 作業時間の内訳 の比較 縦軸型ハロー ケンブリッジローラ バキューム シーダ 3点ヒッチアーム 収量の連年安定性の評価

(27)

②赤かび病対策技術

赤かび病は子実にかび(最初は白く、後に淡紅色または鮭肉色に 変化)を生じる病害で、全国に発生。 病原菌としてはFusarium属の中のいくつかの種が知られており、 代表的なものはF. graminearumとF. verticillioides。 F. graminearumはデオキシニバレノール(DON)などのトリコテセン 系毒素およびゼアラレノンを、F. verticillioidesはフモニシン類を産 生することが報告されている。 デオキシニバレノールは、家畜による大量摂取では嘔吐等の中毒 症状を起こすとされ、飼料中の基準値は生後3ヶ月以上の牛の飼 料中は4ppm、それ以外の家畜等の飼料中では1ppm。 現在、農林水産省委託プロジェクト研究等において、かび毒汚染の 実態解明が行われるとともに、トウモロコシの赤かび病抵抗性検定 手法の開発が行われている。さらに、それらの手法を活用したトウ モロコシ品種、系統の抵抗性の評価が進められている。 雌穂における赤かび病菌 の汚染 病原菌 F. verticillioides の連鎖した小型分生子 (畜草研 岡部氏 撮影)

(28)

化学肥料の全国平均小売価格の推移

農業物価統計調査「農業物価統計」、および 「ポケット肥料要覧-2011/2012-」をもとに作成。 現在、酪農経営におけるトウ モロコシサイレージの生産費の うち、化学肥料の購入費は全国 平均で13%。 飼料生産に要する生産コストを 削減するには、堆肥や地力を活 用した合理的な施肥管理により、 化学肥料購入費の削減を図っ ていく必要。 特に、近年、化学肥料の価格は 上昇傾向にあり、合理的な施肥 管理により、化学肥料の節減と 飼料作物の安定多収の安定の 両立を図ることが重要。

③ 土壌養分活用型の肥培管理技術

(須永、2014)

(29)

従来のカリ施肥対応(左)と新たな土壌養分活用型カリ施肥管理法(右)

交換性カリ (mg/ 1 0 0 g) 施肥基準に従う。 状況により 増施する。 2 0 ※1 関東東海地域における飼料畑土壌の診断基準検討会報告書(草地試験場1988)の陽イオン交換容 量が10~20meq/100gにおける土壌を対象とした交換性カリ含量の基準とカリ施肥対応を示す(陽イオン 交換容量が20~35meq/100gでは、基準値の範囲が15、15~50、50~100、100mg/100g以上となる)。飼 料用トウモロコシのカリ施肥基準は14県で上記範囲にあり、16kg/10aは中央値である。 ※2 新しい土壌診断基準に基づく施肥対応(栃木県那須塩原市で実施した試験結果に基づく) カリ 施肥量1 0 kg/ 1 0 a + 牛ふん堆肥2 - 3 t / 1 0 a ( 地力補給) 1 0 従来の飼料畑に おけるカリ施肥対応※1 新たな土壌養分活用型 カリ施肥管理※2 カリ 施肥中止, 家畜ふん尿施用量減少 カリ 無施肥 7 0 6 0 施肥基準の 2 0 ~8 0 % に減肥 5 0 4 0 3 0 減肥 カリ 施肥量3 ~4 kg/ 1 0 a ( 牛ふん堆肥施用時、 無施肥) 施肥基準に従う。 カリ 施肥量1 6 kg/ 1 0 a※1 ( 範囲: 1 0 ~3 8 kg/ 1 0 a)

③ 土壌養分活用型の肥培管理技術

(須永ら、2013)

土壌養分活用型カリ施肥管理法の開発

新たな土壌養分活用型カリ施肥 管理法では、土壌に蓄積したカリ を活用することで、従来の土壌診 断基準に基づく施肥対応と比べ て、より少ないカリ施肥量、もしく は、カリ施肥を行わずに目標乾 物収量1.8t/10a(生収量で6~ 6.5t/10a相当)得ることが可能。 カリ施肥が不要と判定される土 壌交換性カリ含量の基準値を大 幅に引き下げ、標準的なカリ施 肥量を各地の施肥基準量におけ る最少量として設定。

(30)

トウモロコシ二期作の収量及び 登熟不足が問題となっている地域。 平成以降、トウモロコシ二期作を開始 近年、二期作後の 冬作導入が検討さ れている地域

トウモロコシ

年一作地帯

夏トウモロコシ+冬作物

二毛作地帯

トウモロコシ

二期作地帯

我が国における主要な飼料作物作付体系

2)トウモロコシ・ソルガム混播栽培

トウモロコシ・ソルガム混播2 回刈り栽培が大規模に行われ ている地域。

作付体系見直しの視点

・気候温暖化

・穀物価格上昇

・コントラクターの活用

(31)

 1980年代~1990年代に九州地域、関東地域、東北地域の広範

な地域で適用性が検討。

 暖地から温暖地にかけては、1回の播種で2回刈り可能な省力的

栽培法として活用可能。

 千葉県や茨城県におけるコントラクターの主要な作付体系。

 繁殖牛の過肥を防止するための飼料としても活用されている。

 千葉県では、トウモロコシ・ソルガムを4月下旬に混播し、8月下旬

に1回目、11月中旬に2回目の刈取りを行い、その直後にライ麦を

播種し、翌年4月下旬にライムギを収穫する周年栽培体系について

も検討されている。

2)トウモロコシ・ソルガム混播栽培

トウモロコシ・ソルガム混播栽培に関するこれまでの検討経過

(32)

播種時期は、トウモロコシの播種に準じる。

(平均気温が10℃以上となる時期=4月中下旬以降)

トウモロコシの品種は相対熟度が110日–120日の品種を用いる。

ソルガムの適品種としては、低温時の発芽定着が良く、一番刈り

はトウモロコシが優勢になるものの再生と晩秋の生育が良い品種。

播種量は、トウモロコシについては、単播と同様の播種量とする。

ソルガムについては、10a当たり0.5–1.5kgの播種量とする。

刈取り時期は、トウモロコシを主体とする1回目は8月中旬を目途に

行い、ソルガムの再生期間を十分確保する。

積算温度の指標として、播種からトウモロコシ収穫までが10℃基準

有効積算温度で1,200℃、1回目収穫から再生ソルガムの収穫まで

が13℃基準有効積算温度で500℃が目安。

2)トウモロコシ・ソルガム混播栽培

トウモロコシ・ソルガム混播栽培のポイント

(33)

2)トウモロコシ・ソルガム混播栽培

トウモロコシ単播

トウモロコシ・ソルガム混播

労働時間

3.8 時間/10a

4.8 時間/10a

乾物収量

1800 kg/10a

2500 kg/10a

TDN収量

1170 kg/10a

1510 kg/10a

単位時間当たり

生産量

乾物

474 kg/時間

TDN 308 kg/時間

乾物

521 kg/時間

TDN 315 kg/時間

自給飼料生産費

35 円/乾物kg

53 円/TDN kg

27 円/乾物kg

45 円/TDN kg

トウモロコシ単播とトウモロコシ・ソルガム混播(2回刈り)の労働

時間、収量及び生産費の比較

(34)

スーダン型ソルガムの新品種・新系統の登場

(長野県畜試育成)

2012年品種登録

新品種「涼風」

従来型より も作期短い 中山間地個別農家向けに有望 牧草用機械で 省力収穫可能 高消化性品種 →トウモロコシ 代替として期待

新系統「東山交30号」

乾性でサイ レージ調製時 の水分調整 が容易 トウモロコシ・ ソルガム混播 2回刈に適す 平場のコントラクター向けに有望 再生力高く 多収

2)トウモロコシ・ソルガム混播栽培

近年の新たな研究の背景

長野県畜試 群馬県畜試 新潟県畜研セ 茨城県畜セ 神奈川県畜技セ ますみヶ丘フォルト組合 茨城県県央農林事務所 中央農研 畜草研 農食研究推進事業

(35)

0 1,000 2,000 3,000 4/30 5/14 6/3 6/25

畜産草地研究所(那須研究拠点)における東山交30号+トウモロコシ混播の

作期移動試験1年目の試験結果. (トウモロコシは品種タカネスター)

年間合計乾物収量(

kg

/1

0a

東山交30号(2回目) 東山交30号(1回目) トウモロコシ(1回目) (1793℃) (1878℃) (1720℃) (1491℃) 図中の数字は播種から収穫までの 10℃基準有効積算温度

2)トウモロコシ・ソルガム混播栽培

(36)

東山交30号とトウモロコシ混播における1作目の

10℃基準有効積算温度と乾物

収量の関係(左)、及び2作目の

13℃基準有効積算温度と乾物収量の関係(右).

乾物収量( k g /10a )

混播1作目

混播2作目

10℃基準有効積算温度(℃)

13℃基準有効積算温度(℃)

2)トウモロコシ・ソルガム混播栽培

再生ソルガムの目標収量 を冬作イタリアンライグラ スと同等(800kg/10a)と すると、回帰式より有効 積算温度が585℃以上の 条件が適地判定指標の 候補と考えられた。

(37)

1回目刈取りまで 10℃基準有効積算温度 1,200℃ 1回目刈取り~2回目刈取りまで(ソルガム再生) 13℃基準有効積算温 500℃ ~ 580℃

混播2回刈り栽培のため適地判定指標の予備的な検討

ソルガム再生時の 積算温度 500℃未満 500℃ ~580℃ 580℃以上 適地区分 栽培不適地 栽培限界地帯 安定栽培地帯 33のアメダス観測地点 の平年値データを用い た分類1) 真岡ほか 8地点 青梅ほか 7地点 伊勢崎ほか 18地点 各分類における観測 地点の4月1日~10月 31日の10℃基準有効 積算温度 1,721-1,951℃ 1,964-2,052℃ 2,082-2,409℃ 従来のトウモロコシ・ソルガム混播2回刈り栽培の安定栽培指標(三井1995) 1段階の簡易指標作成と適地判定 1,960℃ 2,080℃ 1) 4/21播種、10℃基準で1200℃に 到達した日を1回目刈取り日に想定。 関東地域におけるトウモロコシ・ ソルガム混播2回刈り栽培の適地 栽培試験に 基づいた 適地判定指 標の改良 凡 例 有効積算温度(10℃基準) ■ 栽培適地 2,080℃以上 ■ 栽培限界地帯 1,960℃以上2,080℃未満 ■ 栽培不適地 1,960℃未満

2)トウモロコシ・ソルガム混播栽培

今後、甲信越 地域へ解析地 域を拡大

(38)

中央農業総合研究センター北陸センターによりダイズ等の湿害軽減技術として開発。 中央農総研北陸センター、宮城県、畜草研の共同研究により、トウモロコシへ適用。 市販の反転アップカットロータリと施肥播種機を組み合わせることにより、生産者が特殊 な改良を加えることなく、導入可能。

3)耕うん同時畝立て播種技術

アップカット ロータリ 施肥ホッパ 種子 ホッパ 施肥播種機 耕うん爪

耕うん同時畝立て播種機

750

(mm)

アップカットロータリ 75cm畝用配列 畝高さ

(39)

播種(6月5日) 6月7日の大雨により冠水

2007年、栃木県塩谷町(現地試験)

慣行区(平畝区)では出芽が得られなかったが、 畝立て区では十分な出芽が得られた。

3)耕うん同時畝立て播種技術

畝立て播種の効果①

(40)

降水量および地下水位の経時的変化

3)耕うん同時畝立て播種技術

畝立て播種の効果②

2009年、栃木県塩谷町(現地試験)

畝立て区

慣行区

灌漑による過湿処理 慣行区における 黄化現象発生

(41)

2009年の2つの現地試験の乾物収量とTDN生産費(試算)

3)耕うん同時畝立て播種技術

畝立て播種の経済性

・データは湿害発生程度軽度及び中程度の2圃場 の平均値で、各区とも品種「セシリア」及び 「31N27」の平均値。 ・施肥はN、P2O5、K2Oの各成分が20kg/10aとな るよう施用。肥効調節型肥料(N14%、2800円 /20kg)と高度化成肥料(N17%、 1400円/20kg) で計算。 ・播種は条間75cm、株間19cmの設定で播種。 ・各区とも15m2の試験区を3反復で設置したが、 圃場内の反復間の変動が大きいため、処理区間 に有意な差は検出されていない。 ・TDN収量は乾物収量×65% ・畝立て播種はロータリ(72万円)、施肥播種機 (32万円)を栽培面積2ha、原価償却5年で計算し、 TDN 1kg当たり生産費に上乗せ。

(42)

イタリアンライグラス後に慣行播種及び畝立て

播種されたトウモロコシの乾物収量

3)耕うん同時畝立て播種技術

二毛作トウモロコシへの適用

畝立て区 畝立て区 慣行区 慣行区 2012年 乾物収量( k g/ 10 a ) 2012年と2013年 は同一圃場 圃場A 圃場B 圃場B 66% 13% 4% 地下水位-20cm以上の期間割合(%) 過湿条件 乾燥条件

(43)

3)耕うん同時畝立て播種技術

0 500 1000 1500 2000 2500

年間乾物収量(

k

g

/10a

■ソルガム(2回目収穫) ■ソルガム(1回目収穫) ■トウモロコシ(1回目収穫) 慣行 畝立て

トウモロコシ・ソルガム混播への適用

トウモロコシは条間75cm、株間19cmで

点播、ソルガムは10a当たり1kgを目安に

トウモロコシと同一条に条播。

畝立て区

慣行区

(44)

今後予想される年平均気温の変化

(IPCC第5次報告書における気候変動シナリオのうち RCP4.5(温度上昇が中庸なシナリオ)に基づいて解析し た今後の年平均気温の変化。) 凡例 年平均気温(℃) 地帯区分 ■ 8℃以下 寒地 ■ 8~12℃ 寒冷地 ■ 12~14℃ 温暖地 ■ 14~16℃ 暖地 ■ 16℃以上 亜熱帯 ■ 予測データ無し 1981~2000年平均 2030~2049年平均 2080~2099年平均

おわりに

気候変動への対応

(45)

温暖化のもとでは、記録的に暑い天候がより多く発生し、平均

気温も上昇するものの、気温の変動の幅が増加するため、冷

害年の発生確率が低下するものの、その確率がなくならない。

森田敏(2011)『稲の高温障害と対策』より

但し、極端現象への備えは、今後とも必要。

おわりに

(46)

参照

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