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1. 事業の概要 事業の目的郡上市明宝地域では 平成 25 年度に 明宝地域木質バイオマスエネルギー循環システム構築業務 を実施 木質ボイラー導入に伴う 需要側のコストシミュレーション及び木質燃料となるチップや原木 ( 薪 ) の地域内調達の可能性 さらに供給体制の構築などについて調査を行った この

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平 成 2 9 年 度

郡 上 市 明 宝 地 域

木 質 バ イ オ マ ス 設 備 及 び 熱 供 給 シ ス テ ム 調 査

報 告 書 ( 概 要 版 )

平 成 3 0 年 2 月

特 定 非 営 利 活 動 法 人 地 域 再 生 機 構

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1.

事 業 の 概 要

事 業 の目 的

郡上市明宝地域では、平成 25 年度に「明宝地域木質バイオマスエネルギー循環シス テム構築業務」を実施。木質ボイラー導入に伴う、需要側のコストシミュレーション 及び木質燃料となるチップや原木(薪)の地域内調達の可能性、さらに供給体制の構 築などについて調査を行った。この結果、採算性のみならず、森林資源の活用につい ても効果が大きいと判断。平成26年度に、林野庁補助金(林整備加速化・林業再生 事業)により、温泉施設に木質バイオマスボイラーを整備し、明宝の森林資源をボイ ラーの燃料として活用するエネルギーの地産地消システムとして、また、間伐材の利 用拡大に伴う地域ビジネスモデルとしてスタートした。しかし、チップボイラーの燃 料は近隣市から購入しており、チップの含水率など安定化の課題があり、早期に安定 的に地域内でのチップ製造を行う検討と導入、製造拡大に伴う供給施設の調査と導入 が重要となっている。 そこで、地域内でチップを安定的に製造できる施設の調査と、地域の公共施設(新 しくできる市有住宅や道の駅明宝等)への供給先拡大に向けた可能性調査を実施し、 安定的にチップを製造施設の実施設計と、供給先の基本設計により地域内での循環を 確立することを目的とした。

事 業 の方 針

明宝地域は、すでに産業振興や森林資源の有効活用などの取り組みを様々な形で進 めており、地域活性化に積極的に取り組んでいる地域である。今回の事業では、チッ プの安定供給という問題点の解消を考慮するだけでなく、また、単なる市場経済取引 といった観点でもなく、さらなる地域内での森林資源や木質バイオマスエネルギーの 循環システムの構築ができるようを考慮して業務を遂行した。

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2.

調 査 結 果 報 告

2 . 1 森 林等 木質バ イ オマ ス 資源 の 賦存 量 調査

1 ) 既 存 資 料 用 い た 概 算 賦 存 量 調 査 明宝地域内の森林簿を用い、民有林のうち、林道から至近にある山林面積を求め、 その成長量より年間に収穫可能な賦存量を求めた。 ① 明宝地域内の人工林の各齢級の面積と材積 森林簿などによると、明宝地域内の人工林の樹齢別の面積と蓄積及び天然林の面積 と蓄積はスギは樹齢 50~60 年、ひのきは樹齢 40~50 年の森林面積が広く、蓄積量も 多くなっており主伐期を迎えていると考えられる。一方で、樹齢 30 年以下の次世代を 担う若い森が少ない。また、天然林は手入れが行き届いておらず高齢化が進んでいる。 ② 年間の成長量 森林簿のデータより、明宝地域全体の森林の年間成長量は、用材(A 材・B 材)を含 めて 47,865 ㎥である。 ③ 実際に利用できる森林資源の成長量 実際に利用可能な賦存量として、搬出のしやすさを考慮して林道・作業道から 50m 以内の森林資源量を把握した。 これによると、利用できる林道から 50m 以内の年間成長量は 3,097 ㎥であり、前項 の年間成長量 47,865 ㎥に対してかなり少ないことがわかる。また、ha 当りの林道・作 業道長は、6.47m/ha であり、森林資源の更なる利用を進めるためには、路網整備が必 要である。 2 ) 実 際 の 施 業 に 即 し た 時 間 軸 も 見 据 え た 賦 存 量 調 査

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4 森林経営計画表から、明宝地域における平成25 年度から平成33 年度までの施業計 画の平均は、1年あたり 144ha、15,457 ㎥の間伐及び主伐が行われていることがわかっ た。そのうち、材として搬出されているものは、支障木も含め 5,249 ㎥である。 従って、伐採した素材のうち、年平均で 10,208 ㎥程度が林地に残されており、この 中にはタンコロなど薪にも利用可能な素材も含まれている。 3 ) 現 在 の 地 域 の 木 材 流 通 の 把 握 に よ る 賦 存 量 調 査 森林組合、素材生産業者、製材業者等の明宝地域を主体にヒアリングすることで、 木質バイオマスに活用できる木材量と価格等を把握した。その結果、7,000 円/㎥程度の 価格で、10,000 ㎥以上の流通量があることがわかった。

2 . 2 チ ップ 製造・ 流 通導 入 可能 性調査 及 び実 施 計画 ・基本 設 計

1 ) チ ッ プ 製 造 ・ 流 通 導 入 可 能 性 調 査 及 び 実 施 計 画 ・基 本 設 計 チップの含水率など安定化等の課題解決と地域内で木質バイオマスエネルギーを循 環させることを目的に、地域内でチップ製造工場を創るプランについて検討を行った。 検討目的 ・湯星館のみの需要ではチップ工場の経営的に難しいため、新しい需要先へ小規模 発電木質ボイラーを設置し、そこが求める仕様のチップを供給する ・地域内に稼働していない製材工場があり、その利活用の方策が求められている 条件 製造したチップの乾燥に経費が掛からず、下記の条件を満たし経営的に成り立つこ とが必要である。 ・製造方法:切削型 ・含水率:湯星館向け 40%w.b.以下 小規模発電木質ボイラー向け 10~15%w.b. ・製造量:湯星館向け 800m3/年(原木換算体積) 小規模発電木質ボイラー向け 800m3/年(原木換算体積)

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5 道の駅明宝および市営市有住宅向け 800m3/年(原木換算体積) チップ製造工場のプラン検討 検討するチップ製造工場のプランは以下のプラン図の通りとする。チップ製造工場 へ新たに小規模発電木質ボイラーを導入し、固定価格買取制度(FIT)による売電収入 を得ることで、小規模発電木質ボイラーの排熱をチップの乾燥に利用できるようにし、 乾燥に費用がかからないように検討を行った。 図 チップ製造工場のプラン チップ工場内でのチップ利用は 10.6 円/㎏(水分 52%w.b.)とすると、小規模発電木 質ボイラー向けに 15%w.b.へと乾燥させた場合、チップの単価は 18.8 円/kg となる。こ の単価の下、FIT 制度(電力固定買取制度)を活用し、岐阜県単独の補助を受けた場合、 税引き前の単純回収年数は 13.8 年となり、FIT 制度の有効期間である 20 年以内に回収 が可能である見込みとなる。 ここで製造したチップ 2,400t/年のうち、チップ製造工場内で消費されるチップを除 いた分は外部へ販売される。販売するチップの水分は 40%w.b.を目標としており、販売 量等を勘案して算出された単価は 13.1 円/㎏となる。よって、この単価にてチップをオ ンサイト発電所及びチップボイラー(湯星館)に販売する必要がある。 3,000 m3 売電 (系統連携) t/年 目標水分40%w.b. チップ乾燥 温風 熱風発生  温水供給100kW 乾燥チップサイロ 531 t/年 水分15%w.b. チップ発電 969 チップサイロ 2,400 t/年 最大52%w.b. 原木 チッパー 切削チップ チップヤード 出荷用チップヤード

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6 2 ) チ ッ プ の 安 定 供 給 の た め の 既 存 製 材 工 場 再 生 プ ラ ン ① 製材目的 ・チップ用の背板を 800m3/年とること そのためには、1,600m3/年の原木を扱う必要がある。 原木 1,600 万円/年(133m3/月) 支払 133 万円/月 製品 800m3/年の製品 67m3/年 ② 株式会社相互について これまでの製材所経営の位置づけ 明宝地域に建築業者は 7 社あるが、製材設備を持っているのは、(株)相互しかない。 しかし、現在は製材をほとんど行っておらず、地域の建設業者が製材品を買いに来 た際に、卸業者から製材品を仕入れて小売りしている状況である。 チップの安定製造のための(株)相互の製材設備の利活用について検討を行うため、 課題の整理を行う。 A)製材ビジネスへの参入の覚悟(製材をやるためのやる気) 小規模製材所として新たにマーケットに参入することになるので、経営者としての 覚悟、競争力が発揮できる設備、採算が見込めるビジネスモデル、含まれるリスクを 描いておく必要がある。 B)製材技術者 明宝地域における製材技術者は、㈱相互の社長のみである。そのため、技術の継承 者の育成が必要である。また、製材作業に付帯する原木調達作業、製材品販売営業等 に別の人材が必要になる。 C)製材設備の課題 〇製材機械が古いためリニューアルが必要 〇原木を台車へ機械的に供給する搬送設備が必要 〇帯鋸で挽いた製材品を半自動仕分けする搬送設備が必要

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7 D)リニューアルに係る費用の試算 製材設備をリニューアルする際に係る費用の目安としては、製材機、自動原木投入 装置、製材品搬送装置で約 4,500 万円かかることが見込まれる。 E)製材業のビジネスモデルを構築するための課題 〇原木の仕入工程 〇製材生産 〇製品の販売 ③明宝地域で新たに製材業をスタートするための方向性(案) A)完全に独立して本格的に製材ビジネスに参入する場合 〇製材規模 インタビュー調査に基づくと、製材規模として原木換算で 1,400m3/年を最初から捌 くことは、販売営業の労力を考慮すると大きすぎる可能性が高い。そのため、原木換 算で 500~800m3/年からスタートして、取扱量を増やしていく方がリスクが少ないと考 えられる。 〇原木の調達作業 小規模製材ビジネスであるため、原木の品質にこだわって製材品の質が高まるよう にする必要がある。また、品質以外で付加価値が付くような工夫(原木の調達地域を 限定する等)をする必要がある。 〇製材作業 高い製材精度、乾燥度合等のマーケットニーズに答えられる製材を行う。理想的に は、大型工場が対応できない顧客からの細かいオーダーメードのニーズに応えられる こと。 〇販売作業

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8 高い品質を求めている顧客、品質以外の付加価値を求めている顧客を独自に開拓す ることが必要である。 B)販売先の支援を受けつつ取り組む場 合 〇公共事業による製材品需要を創出してもらう 今回の検討において、製材所に求められているのは郡上市営施設で使用する燃料チ ップの原料となる廃材である。地域のためであるため、製材所が製造する製材品の需 要を公共事業で創出してもらうことが望ましいと考えられる。 図 新しい製材所ビジネスによる地域循環イメージ 〇まとまった需要を掴んでいる企業と連携を図る まとまった製材品需要を掴んでいる企業または企業グループと連携を図り、その傘 下で生産部門を担うことにより、製材ビジネスをまずはスタートし、製材品の生産量 を安定的に確保することが可能である。

2 . 3 市 営市 有住宅 、 道の 駅 明宝 及び 農 業 用ハ ウ スへ の 小規 模 発

電 木 質ボ イ ラー の導入 可 能性 調 査

1 ) 対 象 と す る 施 設 熱供給先としては新設予定の市有住宅、市営住宅、道の駅明宝及び農業用ハウスが 検討される、導入する小規模発電木質ボイラーの設置位置や熱供給量の上限及び導入 のしやすさを考慮し、新設予定の市有住宅への暖房と給湯、市営住宅への給湯の接続 までを検討範囲とした。

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9 2 ) 市 営 市 有 住 宅 ・ 道 の 駅 明 宝 及 び 農 業 用 ハ ウ ス の 熱 需 要 調 査 市有住宅と市営住宅の熱需要合計の時間変動の把握 市有住宅 給湯・暖房及び市営住宅 給湯のみ 市有住宅については給湯と暖房も利用、市営住宅は給湯利用のみした設定である。 この場合の月毎・時間毎の熱需要は下図のとおりである。 1 月の熱需要が最も高く、1 日の必要熱量合計平均が 1,176kW という結果となった。 図 各月の時間毎の必要熱量推移 3 ) 基 本 設 計 熱需要の結果により、供給システムの計画と基本設計を行った。 A) 小規模発電木質ボイラー の容量選定 FIT 制度での発電のための系統連系をスムーズに行うため選定された機種は、発電端 での出力 40kW、熱出力 100kW のうち使用できる熱 70kW として検討する。 実現可能なシステムフロー図を下記の通り構想した。

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10 ・オンサイト発電用に 40%w.b.のチップを購入し、チップを 15%w.b.まで乾燥 ・木質チップガス化発電設備によって発生する熱 100kW のうち 30kW を乾燥熱源と して利用 ・熱需要先への熱供給上限は 70kW ・熱需要先にて熱が 70kW 消費できない時間帯などは乾燥用熱源として全て利用 図 選定された発電機 図 システムフロー図 ②蓄熱タンクの容量と運用条件 バックアップとしてのガスボイラーの使用量を極力抑え、タンク内の水温が 50℃~ 85℃の間に収まるように運用するという前提で検証した。 30 kW 70 kW 熱風発生 温風 温水供給 チップ搬入 チップ発電 売電 (系統連携) 熱交換器 熱需要先 想定水分40%w.b. チップサイロ チップ乾燥 乾燥チップサイロ 水分15%w.b.

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11 市有住宅 給湯・暖房及び市営住宅 給湯のみ 熱需要の最も高い 1 月における 7,000L の蓄熱タンクを使用した場合の熱負荷と蓄熱 タンクの温度の関係は下図の通りである。この場合、小規模発電木質ボイラーの運用 だけで全熱量を賄える計算となった。 図 熱負荷と蓄熱タンクの温度(1 月) ③熱供給システムの検討 蓄熱タンクの容量は、余裕率を 150%として、10,000L のタンクとした。設計上のポ イントは下記となる。 ・大型の蓄熱タンクを利用することで排熱を抑え、できる限り熱供給を大きくするこ とを目指す。 ・1 日程度のメンテナンス作業により発熱がなくとも暖房できる蓄熱タンク規模とする。 (余裕率を 150%見込む)

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12 ・給湯より暖房の優先順位を高くして、蓄熱タンク温度により自動で給湯への熱供給 を停止できるシステムとし、運用での手間を少なくできるようにした。 4 ) 事 業 性 の 評 価 事業性の評価を行うために各種条件(補助事業・補助率・燃料単価や売電収入や熱 収入など)を整理し、事業性の評価を行った。 税引き前の単純収支は 36.5 年と、FIT 制度期間内での投資回収は出来ない状況にあ るが、日々のランニングコストは黒字化する。 5 ) 事 業 効 果 の 確 認 検討したシステムにより得られる事業効果(森林整備促進面積・CO2排出削減・経 済・雇用など)について整理した。 ① 森林整備への効果 検討したシステムを導入することにより、郡上市内の木材を使用するため、森林整 備に対して効果が期待できる。 システム導入により、年間のチップの消費量が 2,400tである。これを原木に換算す ると、チップの原材料として 2,400 ㎥の原木の需要が新たに生じる。このことにより、 森林整備の促進が期待できる。 ② CO2排出削減効果 検討したシステムを導入することにより、これまで化石燃料(ガス)を使っていた 分や商用電力を使用していた分を木質バイオマスに置き換えることができ、CO2排出 削減効果が期待できる。 市有住宅への暖房・給湯及び市営住宅への給湯供給:143t-CO2/年 売電:312t-CO2/年 総量は両者の合計で 455t-CO2/年である。 ③ 地域経済に対する効果 検討したシステムを導入することによる地域に対する経済効果は下記になる。

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13 ・原木買い上げ 5,000 円/㎥ × 2400 ㎥/年 = 12,000,000 円 ・チップ製造・管理人件費 3,750,000 円 ④ その他地域への効果 その他、地域への効果としては、以下のような効果が期待できる。 ・地域内で、多くの人が目にする施設であり、地域の資源である木質バイオマスを活 用していこうという機運が上がる。 ・森林資源の活用の面で環境教育に利用できる施設となる。 6 ) 課 題 と 対 策 構想した事業について課題とその対策を整理した。 A)課題・・・新たな事業主体と人材の確保が必要となる 事業を成立させていくためには事業主体の形成が必要となる。また、その事業主体 には、製材工場での材の買い付け、販売や、発電機器の運用など様々な専門的なノウ ハウを必要とする仕事が発生するため、多様な人材の確保が必要になる。 B)対策・・・多様な人材を外部から確保による ノウハウ移転 専門的なノウハウを持つ人材は地域には存在しないため、外部の専門人材により立 ち上げ時よりノウハウ提供を受け、徐々に地域の人材にノウハウを移していくことが 必要である。

参照

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