• 検索結果がありません。

千葉県の理学療法士における診療ガイドラインの利用および重要性の認識に関連する因子

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "千葉県の理学療法士における診療ガイドラインの利用および重要性の認識に関連する因子"

Copied!
10
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)理学療法学 第 38 45 巻第 1 号 38 ∼ 47 頁(2018 年) 理学療法学 第 45 巻第 1 号. 調査報告. 千葉県の理学療法士における診療ガイドラインの利用 および重要性の認識に関連する因子* ─質問紙調査法を用いた横断研究─. 藤 本 修 平 1)# 大 高 洋 平 2) 高 杉   潤 3) 小向佳奈子 4) 中 山 健 夫 1). 要旨 【目的】理学療法士(以下,PT)の診療ガイドラインの利用,重要度の認識とエビデンスに基づいた実 践(以下,EBP)への態度,知識,行動との関連性を明らかにすることとした。【方法】対象は千葉県の PT1,000 名とし EBP や診療ガイドラインの利用,重要性の認識の項目を含む無記名自記式質問紙を用い た郵送調査を行った。統計解析は診療ガイドラインの利用,重要性の認識に関連する EBP の関連項目を 明らかにするために多重ロジスティック回帰分析を行った。【結果】診療ガイドラインの利用,診療ガイ ドラインの重要性の認識と関連が強いものは「EBP に関する必要な知識や技術を学びたいと思いますか」 (OR = 10.32, 95%CI: 1.82 ‒ 197.16) であった。【結論】千葉県の PT において診療ガイドラインの利用は十 分ではなく診療ガイドラインの利用や重要性の認識に関連する要因は,EBP の必要性の認識と EBP を行 ううえで必要な行動であった。 キーワード エビデンス診療ギャップ,診療ガイドライン,共有意思決定. 2) る 。理学療法分野においても,診療ガイドラインの利. はじめに. 用によりエビデンスに基づいた実践(Evidence-based.  診療ガイドライン(Clinical practice guideline)は, “診療上の重要度の高い医療行為について,エビデンス. 3‒5). practice;以下,EBP). が促進されることから,臨. 床現場における普及が期待される。. のシステマティックレビューとその総体評価,益と害の.  診療ガイドラインの利用や重要性の認識について諸外. バランスなどを考量して,患者と医療者の意思決定を支. 国でいくつかの調査が行われている。スウェーデンの理. 1). 援するために最適と考えられる推奨を提示する文書”. 学療法士を対象とした調査結果では,EBP に対する態. と定義される。診療ガイドラインの利用効果として,臨. 度は積極的で. 床アウトカムや臨床プロセスの改善が報告されてい. ラインを利用していた。アメリカの理学療法士において. 6‒8). ,90% 以上の理学療法士が診療ガイド. も同様の傾向が見られ,EBP や診療ガイドラインに対 *. Factors in Relation to the Use of Clinical Practice Guidelines and Recognition of their Importance by Chiba Physical Therapists: A Cross-sectional Mail Survey 1)京都大学大学院医学研究科社会健康医学系専攻 (〒 606‒8501 京都府京都市左京区吉田本町) Shuhei Fujimoto, PT, MHSc, Takeo Nakayama, MD, PhD: Graduate School of Public Health, Kyoto University 2)藤田保健衛生大学医学部リハビリテーション医学Ⅰ講座 Youhei Otaka, MD: Department of Rehabilitation Medicine I, School of Medicine, Fujita Health University 3)千葉県立保健医療大学健康科学部リハビリテーション学科 Jun Takasugi, PT, PhD: Division of Physical Therapy, Department of Rehabilitation Sciences, Faculty of Health Care Sciences, Chiba Prefectural University of Health Sciences 4)株式会社エバーウォーク Kanako Komukai, PT: Everwalk, Inc. # E-mail: [email protected] (受付日 2017 年 6 月 27 日/受理日 2017 年 9 月 22 日) [J-STAGE での早期公開日 2017 年 11 月 10 日]. する良好な態度が示されている. 9). 。諸外国の理学療法士. における EBP に関する知識や行動 促進要因,障壁に対する介入方法. 10). 11). ,EBP の障壁や. に関する系統的レ. ビューでは,多くの理学療法士は EBP を促進し,その 重要性を教育することが必要であると認識されている。 また,エビデンスを実践に反映させるために診療ガイド ラインの利用も促進され,その重要性が認識されるべき であると報告されている. 10)11). 。.  診療ガイドラインの利用頻度と EBP への意識の関連 性についても検討されている. 6)7). 。診療ガイドラインの. 利用頻度が高い者は,“EBP の重要性の認識” ,“EBP は.

(2) PT の診療ガイドラインの利用・重要性の認識に関連する因子. 39. 臨床上の意思決定を支援する”,“多くの治療に関して強. 診 療 ガ イ ド ラ イ ン に 対 す る 態 度( 質 問 項 目 29 ‒ 36),. いエビデンスが欠如している”に対して積極的な反応を. EBP・ 診 療 ガ イ ド ラ イ ン に 関 連 す る 知 識( 質 問 項 目. 6). 。さらには,“診療ガイドラインは EBP の促進に. 37;a-j),診療ガイドラインに関連する行動(質問項目. 重要である”,“患者の希望と診療ガイドラインの統合方. 38 ‒ 41),診療ガイドラインの利用に対する障壁(質問. 法を知っている”に対する積極的な反応が診療ガイドラ. 項目 42)についての項目を含んだ。なお,診療ガイド. インの利用頻度には関連していることが報告されてい. ラインに対する態度(質問項目 29 ‒ 36)のうち質問項目. 示す. る. 6)7). 。. 30 を「診療ガイドラインの利用」 ,質問項目 31 を「診.  以上のように諸外国で診療ガイドラインの利用や重要. 療ガイドラインの重要性の認識」とした。また,基本属. 性の認識,EBP への態度や意識ならびにそれらの関連. 性の質問項目 12 として,“研究に携わっているか”,質. 性が示されているが,一方で,日本の理学療法士を対象. 問項目 30a に①“診療ガイドラインの利用により,臨床. とした研究は実施されていない。日本の理学療法士教育. に対する自信をもてたことがあるか”,②“診療ガイドラ. は,アメリカやヨーロッパと異なり卒前後を含む診療ガ. インの利用により,他職種とのコミュニケーションが円. イドライン /EBP 教育が行われていない,または発展途. 滑になったことがあるか”を先行研究. 中にある. 12). 。日本における診療ガイドライン /EBP の. 14)15). に加えて採. 用した。. 教育システムの発展に注目した場合,まず診療ガイドラ.  回答には,3 ポイントまたは 5 ポイントのリッカート. インや EBP に関する実態把握をすることは有益である. 尺度を採用した。5 ポイントのリッカート尺度では, “強. と考える。. く思う”から“思わない”,3 ポイントのリッカート尺.  本研究の目的は,日本の理学療法士を対象に診療ガイ. 度では,“はい” ,“部分的に” ,“いいえ”の回答を用意. ドラインの利用および重要度の認識,EBP への態度,. した。頻度を問う質問項目においては,先行研究を参考. 知識,行動の実態把握を行い,さらに診療ガイドライン. に,その尺度を設定した。. と EBP の関連性について明らかにすることである。.  なお,質問紙調査の実施前に,質問紙に対する回答の 再現性を確認した。理学療法士 4 名(経験年数 4 ∼ 6 年. 対象および方法. 目)を対象に,2 週間,1 ヵ月時点における再現性を求. 1.対象. めた結果,各項目の重み付け Kappa 係数は 2 週間時点.  対象は,2014 年 6 月時点で千葉県理学療法士会に属. では 0.90 ‒ 1.00,1 ヵ月時点では 0.92 ‒ 1.00 であり,高い. する理学療法士 3,465 名のうち,教育機関に属する者,. 再現性が得られた。. 自宅会員の者,本研究プロジェクトのメンバー,予備調 査の対象を除いた 2,982 名とした。その中から,乱数表. 3.統計解析. を用いてランダムサンプリングした 1,000 名を調査対象.  先行研究. とした。なお,千葉県理学療法士会員の属性,日本理学. まず,回答の頻度およびその分布を記述的に分析した。. 13). 6)7)9). に準じて以下の方法で解析を行った。. から年齢別の割合の算出を. 次に,診療ガイドラインの利用(質問項目 30)および. 行った後に比較し,大きな偏りがないことを確認した。. 重要性の認識(質問項目 31)に関連する EBP の関連項. 療法士協会の会員総数. 目を明らかにするために,診療ガイドラインの利用(質 2.方法. 問項目 30)および重要性の認識(質問項目 31)のそれ.  研究デザインは横断研究とし,無記名による自己記入. ぞ れ を 従 属 変 数,EBP の 関 連 項 目 と し て 質 問 項 目. 式質問紙を用いた郵送調査法により実施した。回収期限. 13 ‒ 28 を独立変数とし,ステップワイズ法による多重ロ. は,配布後 2 週間以内とし,配布後 1 週間の時点でリマ. ジスティック回帰分析を行った。なお,本研究の解析に. インダーハガキを送付した。. おいて質問項目 41 ‒ 43 は使用していない。. 6‒9). をもとに作成した後,日本.  多重ロジスティック回帰分析を実施するにあたり,事. 語に翻訳し適用した(Appendix)。日本語への翻訳の妥. 前に説明変数と目的変数の関連性について単変量ロジス. 当性を可能な限り保つために,筆者による日本語翻訳の. ティック回帰分析を用いて確認した。先行研究. 後,その日本語を英訳経験者に再度英語に翻訳させ,相. をもとに質問に対する回答を 2 値型に分類した。5 ポイ. 違がないか筆者および翻訳者でチェックした。相違が. ントのリッカート尺度では,“強く思う”“思う”を“思. あったものに関しては,直接の話し合いにより検討,修. う”群,“どちらでもない”“思わない”“強く思わない”. 正した。. を“思わない”群とした。「最近 1 ヵ月の間に臨床に関.  質問紙は,回答者の基本属性(質問項目 1 ‒ 12),EBP. する論文をあなたは,何本読みましたか」(質問項目. に対する態度(質問項目 13 ‒ 21),EBP の教育(質問項. 27)は,“1 本以下” “2 ∼ 5 本”を“5 本以下”群, “6. 目 22 ‒ 23),EBP に 関 連 す る 行 動( 質 問 項 目 24 ‒ 28),. ∼ 10 本” “11 ∼ 15 本” “16 本以上”を“6 本以上”群.  質問紙は,先行研究. 6)9)14)16).

(3) 40. 理学療法学 第 45 巻第 1 号. 表 1 基本情報とその内訳 項目. 内容. 性別. 男性:64%,女性:36%. 年齢. 20 ∼ 29 歳:43%,30 ∼ 39 歳:38%,40 ∼ 49 歳:16%,50 ∼ 59 歳:3%, 60 歳以上:0%. 教育歴. 専門学校:68%,大学:29%,大学院(修士課程):2%,大学院(博士課程):1%. 経験年数. 3 年以下:17%,3 ∼ 5 年:26%,6 ∼ 10 年:31%,11 ∼ 15 年:15%, 16 年以上:10%. 所得資格. 認定理学療法士:3%,認定理学療法士:1%. 勤務場所. 病院:256 人,訪看護ステーション:9 人,デイサービス・デイケア:56 人, クリニック:74 人,その他:30 人. 病期 職場の人数. 急性期:165 人,亜急性期:82 人,回復期:141 人,生活維持期(外来を含む) :216 人, その他:11 人 3 人未満:23,3 ∼ 5 人:65,6 ∼ 10 人:85,11 ∼ 15 人:54 人,15 人以上:160 人. 病床数(Av ± SD) 220 ± 172 病床 (N = 384) AV:平均値,SD:標準偏差. 表 2 診療ガイドラインの利用(質問項目 30)に対する回答 質項目 30.あなたは臨床に関する「診療ガイド ライン」を利用していますか. はい. いいえ. わからない. 29.2. 58.1. 12.0. (N = 384)単位:%. とし, 「最近 1 ヵ月の間に,臨床に関する論文を探すため. 医学部附属病院 医の倫理委員会の承認(承認番号:. に,医学検索エンジン(たとえば,医中誌,MEDLINE,. E2266)を得て実施した。対象は,本研究へ自由意思の. CINAHL 等)をあなたは,何回使用しましたか」(質問. もとで参加すること,同意できない場合は返答をしない. 項目 28)は,“1 回以下”“2 ∼ 5 回”を“5 回以下”群,. ことでその意思を示すことを質問紙の表紙に記載した。. “6 ∼ 10 回”“11 ∼ 15 回”“16 回以上”を“6 回以上”. また,質問紙調査を無記名としたことから,返答後の同. 群とした。3 ポイントのリッカート尺度においては, “は い”とその他に分類した。  基本属性においては,最終学歴の“修士”“博士”を. 意撤回が困難であることも追記した。 結   果. “修士・博士”として,ひとつのカテゴリーに分類した。.  対象となった 1,000 名の理学療法士のうち,回答を得. また,経験年数の“16 ∼ 20 年”“21 年以上”を“16 年. られた者は 396 名(回収率:39.6%)であり,有効回答. 以上”として,ひとつのカテゴリーに分類した。. 数は 384 名であった。回答者の基本属性は表 1 に示す。.  ロジスティック回帰分析において有意であったモデル. 認定理学療法士または専門理学療法士の割合は,それぞ. については,オッズ比の 95%信頼区間を用いて,その. れ 3%,1% であった。. 関連性を検討した。多重共線性に配慮するために,EBP および CPG の関連項目,基本属性の項目について項目. 1.記述統計. 間の関連性を Spearman の相関およびカイ 2 乗検定を用.  「診療ガイドラインの利用」(質問項目 30)について. いて検討した。なお,“わからない”や未記載であった. “ は い ” と 答 え た 者 の 割 合 は 29.2% で あ っ た( 表 2) 。. 欠測値についてはすべて除外して行った。以上の解析に. 29.2% のうち,診療ガイドラインの利用の自信(質問項. は, 統 計 ソ フ ト JMP.Pro11(SAS institute Inc, Cary,. 目 30a ①) ,「診療ガイドラインは役立っているか」(質. North Carolina)を用い,有意水準は 5%とした。. 問項目 30a ②)について“はい” ,“部分的に”と答えた 者の割合はそれぞれ 87.1%,62.1% であった(表 3) 。. 4.倫理的配慮.  診療ガイドラインに対する態度に関する項目(質問項.  本研究は,京都大学大学院医学研究科・医学部および. 目 31 ‒ 36)の結果を表 4 に示す。そのなかで,「診療ガ.

(4) PT の診療ガイドラインの利用・重要性の認識に関連する因子. 41. 表 3 診療ガイドラインの利用で“はい”と答えた人における「診療ガイドラインの利用の自信」と「診療 ガイドラインは役立っているか」に対する回答 質項目. はい. 部分的に. いいえ. 未回答. 30a ①診療ガイドラインの利用によって,臨床に対して 自信をもてたことがありましたか. 13.8. 73.3. 9.5. 3.4. 30a ②診療ガイドラインの利用によって他職種区とのコ ミュニケーションが円滑になったことがありますか. 13.8. 48.3. 26.7. 11.2. (N = 116)単位:%. 表 4 診療ガイドラインに対する態度(質問項目 31 ‒ 36)に関する回答 強く思う. 思う. どちらでも ない. あまり 思わない. まったく 思わない. わからない. 31. あなたは,臨床で「診療ガイドライン」を利 用することは重要であると思いますか. 4.4. 50.5. 25.8. 8.9. 0.8. 8.9. 32. あなたは, 「診療ガイドライン」が容易にアク セス可能なものである必要があると思いますか. 19.5. 56.8. 10.7. 4.2. 0.3. 7.8. 33.「診療ガイドライン」は, あなたの臨床に役立っ ていると思いますか. 1.8. 11.5. 27.9. 34.6. 10.4. 13.0. 34. あなたは,患者が最良な治療を受けるために は,「診療ガイドライン」は重要であると思いま すか. 4.2. 41.1. 30.2. 12.8. 1.3. 9.6. 35. あなたは,患者が平等に治療を受けるために は,「診療ガイドライン」は重要であると思いま すか. 7.8. 48.2. 24.0. 6.8. 2.3. 10.2. 36. あなたは, 「診療ガイドライン」と患者の嗜好 を統合して,意思決定を行うことができますか. 3.6. 11.5. 18.2. 39.8. 6.8. 19.3. 質問項目. (N = 384)単位:%. イドラインの重要性の認識」(質問項目 31)において,. う”と答えた者の割合は 10 ∼ 25% であった。. “強く思う”,“思う”と答えた者の割合は 54.9% であっ.  EBP・診療ガイドラインに関連する知識(質問項目. た。また,「最良の治療のための」 (質問項目 34)「平等. 37;a-j)について,もっとも理解できていなかった用. に治療を受けるための」 (質問項目 35)診療ガイドライ. 語は「オッズ比」で 51.3% であった。. ンの重要性の認識において,“強く思う”,“思う”と答 えた者の割合はそれぞれ,45.3%,56.0% であった。. 2.診療ガイドラインの利用(質問項目 30)に関連する.  EBP に対する態度(質問項目 13 ‒ 21),教育(質問項. EBP の項目(質問項目 13 ‒ 28)について(表 6). 目 22 ‒ 23),EBP に 関 連 す る 行 動( 質 問 項 目 24 ‒ 28),.  EBP に関連する質問 16 項目(質問項目 13 ‒ 28)のう. EBP・ 診 療 ガ イ ド ラ イ ン に 関 連 す る 知 識( 質 問 項 目. ち,「文献や調査研究の結果は,日々の臨床に役立って. 37;a-j)に関する回答を表 5 に示す。. いると思いますか」(質問項目 21),「臨床における疑問.  EBP に対する態度(質問項目 13 ‒ 21)に関する項目. に対し,関連のある論文を探すことができると思います. において“強く思う”,“思う”と回答した者の割合が低. か」 (質問項目 25),「最近 1 ヵ月の間に臨床に関する論. かった項目は,「あなたは,臨床の疑問に十分に応えう. 文をあなたは,何本読みましたか」(質問項目 27)を除. る論文があると思いますか」 (質問項目 20)で 13.2% で. く,13 項目が単変量ロジスティック回帰分析において. あった。. 診療ガイドラインの利用と有意に関連が認められた。さ.  EBP の教育(質問項目 22 ‒ 23)において, 「あなたは,. らに多重ロジスティック回帰分析の結果,これらの質問. EBP に関する教育を受けたことがありますか」 (質問項目. 13 項目のうち,診療ガイドラインの利用において 6 つ. 22)について“はい”と答えた者の割合は 10.4% あった。. の項目に有意な関連性が認められた。もっとも関連が強.  EBP に関連する行動(質問項目 24 ‒ 28)については,. かったものは,質問項目 18 の「あなたは,EBP に関す. 文献検索やレビューを行うことが重要であることに“思. る必要な知識や技術を学びたいと思いますか」(OR =.

(5) 42. 理学療法学 第 45 巻第 1 号. 表 5 EBP に対する態度(質項目 13 ‒ 21),教育(質項目 22 ‒ 23),EBP に関連する行動(質項目 24 ‒ 28),EBP・診 療ガイドラインに関連する知識(質項目 37;a-j)に関する回答 どちらでも ない. あまり 思わない. まったく 思わない. 質問項目. 強く思う. 思う. 13.あなたは,臨床において EBP を取り入れること が必要であると思いますか. 15.6. 67.7. 9.6. 2.6. 0.0. 4.4. 14.EBP を取り入れることで,患者治療における意 思決定を支援すると思いますか. 8.9. 68.2. 10.9. 4.7. 0.0. 7.3. 15.EBP を取り入れることは,患者の選択(嗜好・ 希望)を考慮していないと思いますか. 3.6. 35.4. 36.2. 14.1. 1.3. 9.4. 16.EBP を取り入れることで,患者治療の質は改善 すると思いますか. 12.8. 61.7. 15.9. 4.4. 0.3. 4.9. 7.6. 35.4. 28.6. 16.4. 0.8. 11.2. 18.あなたは,EBP に関する必要な知識や技術を学 びたいと思いますか. 19.5. 63.8. 10.2. 3.1. 0.3. 3.1. 19.あなたの職場で,現在 EBP が推奨されていますか. 1.8. 24.2. 38.8. 16.4. 10.2. 8.6. 20.あなたは,臨床の疑に十分に応えうる論文があ ると思いますか. 1.0. 12.2. 22.9. 49.0. 7.0. 7.8. 21.あなたは,文献や調査研究の結果は,日々の臨 床に役立っていると思いますか. 4.2. 18.8. 34.1. 31.5. 6.3. 5.2. はい. 部分的に. いいえ. 22.あなたは,EBP に関する教育を受けたことがあ りますか. 10.4. 41.7. 47.9. 23.あなたは,論文の批判的吟味に関する教育を受 けたことがありますか. 11.2. 28.4. 60.4. 強く思う. 思う. どちらでも ない. あまり 思わない. まったく 思わない. 17.あなたは,EBP を取り入れた治療を行うことで, 費用対効果を向上することができると思いますか. わからない. わからない. 24.あなたは,論文を的確にレビューできる自信が あると思いますか. 1.3. 8.3. 14.6. 47.9. 25.0. 2.9. 25.あなたは,臨床における疑に対し,関連のある 論文を探すことができると思いますか. 0.8. 23.4. 31.8. 34.4. 7.6. 2.1. 26.あなたは,医学検索サイト(たとえば,医中誌, Pubmed など)の使用方法を熟知していると思いま すか. 1.3. 12.2. 27.3. 37.5. 20.1. 1.6. 1 本以下. 2∼5本. 6 ∼ 10 本. 11 ∼ 15 本. 16 本以上. 31.3. 47.9. 14.8. 1 回以下. 2∼5回. 6 ∼ 10 回. 48.7. 31.5. よく理解 できている. やや理解 できている. 理解できて いない. 未回答. 27.最近 1 ヵ月の間に臨床に関する論文をあなたは, 何本読みましたか. 28.最近 1 ヵ月の間に,臨床に関する論文を探す ために,医学検索エンジン(たとえば,医中誌, MEDLINE,CINAHL 等)をあなたは,何回使用し ましたか. 9.4. 2.6 11 ∼ 15 回. 3.9. 37. a)相対リスク. 5.2. 41.1. 29.7. 23.2. b)絶対リスク. 7.6. 40.4. 28.9. 22.4. c)システマティックレビュー. 8.6. 30.5. 35.7. 24.5. d)オッズ比. 4.2. 21.4. 51.3. 22.4. e)メタアナリシス. 6.8. 19.5. 40.9. 32.0. f)信頼区間. 6.3. 28.6. 37.0. 27.3. g)異質性(ヘテロ性). 0.3. 9.4. 45.3. 44.3. h)出版バイアス. 3.1. 11.2. 45.1. 39.8. i)批判的吟味. j)費用対効果 (N = 384)単位:%. 6.8. 33.9. 36.5. 22.1. 11.7. 40.1. 29.7. 17.7. 3.4 16 回以上. 6.5. 未回答 0.0 未回答. 0.0.

(6) PT の診療ガイドラインの利用・重要性の認識に関連する因子. 43. 表 6 診療ガイドラインの利用(質問項目 30)に関連する単変量および多重ロジスティック回帰分析結果 Multiple associations 質問項目 13.臨床において EBP を取り入れることが必要で あると思いますか. 回答. P値. N. オッズ比 (95% CI). P値. 思う. 0.000*. 320.  .  .  .  .  . 308.  .  .  .  .  . 300.  .  .  .  .  . 317. 3.59(1.14 ‒ 13.41). 0.028*.  . Reference. 思わない 14.EBP を取り入れることで,患者治療における意 思決定を支援すると思いますか. 思う. 0.000*. 思わない 15.EBP を取り入れることは,患者の選択(嗜好・ 希望)を考慮していないと思いますか. 思う. 0.001*. 思わない 16.EBP を取り入れることで,患者治療の質は改善 すると思いますか. 思う. 0.000*. 思わない 17.EBP を取り入れた治療を行うことで,費用対効 果を向上することができると思いますか. 思う. 0.043*. 思わない 18.EBP に関する必要な知識や技術を学びたいと思 いますか.. 思う. 推奨さている.   21.文献や調査研究の結果は,日々の臨床に役立っ ていると思いますか. 思う.  .   10.32(1.82 ‒ 19.71).  . Reference. 312. 2.16(1.04 ‒ 4.57).  . Reference. 0.139. 309.  . 0.242. 318. 0.000*. 335.  .  .  .  .  . 0.000*. 推奨されて いない 20.臨床の疑に十分に応えうる論文があると思いま すか.  . 323. 0.000*. 思わない 19.あなたの職場で,現在 EBP が推奨されていま すか. 293. 0.005*. 0.040*.  . 思わない 思う 思わない. 22.EBP に関する教育を受けたことがありますか. はい いいえ. 23.論文の批判的吟味に関する教育を受けたことが ありますか. はい. 0.001*. いいえ 24.論文を的確にレビューできる自信があると思い ますか. 思う.   0.005*. 思わない 25.臨床における疑に対し,関連のある論文を探す ことができると思いますか. 思う. 0.038*. 思わない 26. 医学検索サイト(たとえば,医中誌, Pubmed など) の使用方法を熟知していると思いますか. 思う. 335. 0.000*. 330.  .  .  . 329.  .  .  . 332. 思わない 27.最近 1 ヵ月の間に臨床に関する論文をあなたは, 何本読みましたか. 6 本以上. 6 回以上. 5 回以下 (*p < 0.05). 0.006*. Reference 0.104. 5 本以下 28.最近 1 ヵ月の間に,臨床に関する論文を探す ために,医学検索エンジン(たとえば,医中誌, MEDLINE,CINAHL 等)をあなたは,何回使用し ましたか. 5.24(1.60 ‒ 18.66). 0.000*. 335. 5.56(1.81 ‒ 20.00).  . Reference. 335. 5.76(2.12 ‒ 17.78).  . Reference. 0.002*. 0.000*.

(7) 44. 理学療法学 第 45 巻第 1 号. 10.32, 95%CI: 1.82 ‒ 19.71)であった。. たとえばアメリカにおける理学療法の養成校においては 1993 年以降に博士課程(Doctor of Physical Therapy). 3.診療ガイドラインの重要性の認識(質問項目 31)に関 連する EBP の項目(質問項目 13 ‒ 28)について(表 7). 20). の推進が決定され,Vision 2020(2000 年). を受け,. 2015 年にすべての養成課程で博士課程が設置されたこ 21).  EBP に関連する質問 15 項目(質問項目 13 ‒ 28)のう. とからも. ち,「臨床の疑問に十分に応えうる論文があると思いま. このことも診療ガイドラインおよび EBP に対する態度. すか」 (質問項目 20) ,「文献や調査研究の結果は,日々. が低いことと関連があるかもしれない。また,卒後教育. の臨床に役立っていると思いますか」(質問項目 21),. においても,臨床現場で EBP について教育する機会や,. 日本における教育制度事情と大きく異なる。. 「EBP に関する教育を受けたことがありますか」(質問. 時間の確保,教育できる理学療法士の育成まで至ってい. 項目 22),「臨床における疑問に対し,関連のある論文. ない可能性も考えられる。先行研究においても,卒業後. を探すことができると思いますか」(質問項目 25),「臨. の EBP 教育は EBP に対する観念および意識を改善する. 床に関する論文をあなたは,何本読みましたか」(質問. ことが報告されていることを考えると. 項目 27)を除く質問 12 項目が単変量ロジスティック回. 法士が EBP を達成するには,卒業後の EBP 教育に時間. 帰分析において診療ガイドラインの重要性の認識と有意. を割けること,また教育を提供できる人材を育てること. に関連が認められた。関連が強かったものは,質問項目. も重要であろう。. 13 の「EBP の必要性」 (OR = 4.01, 95%CI: 1.25 ‒ 14.15),.  診療ガイドラインの利用にもっとも強く影響した. 質問項目 28 の「臨床に関する論文を探すために,医学. EBP に関連した質問項目は「あなたは,EBP に関する. 検索エンジンの利用」 (OR = 3.39, 95%CI: 1.30 ‒ 9.80)で. 必要な知識や技術を学びたいと思いますか」であり,. あった。. EBP に対する態度に関するものであった。この結果は,. 9)14)22). ,理学療. EBP に関する学習の機会が多い場合に診療ガイドライ. 考   察. ンを利用する可能性があり,EBP に取り組むうえで意.  本調査は,日本人の理学療法士における診療ガイドラ. 思決定を診療ガイドラインが支援する重要性を示唆して. インの利用や重要性の認識と EBP に対する態度,EBP. いる。また,外国で行われた先行研究では,EBP の概. の知識,EBP に関連する行動との関連性についてはじ. 念である患者の希望とエビデンスの融合に診療ガイドラ. めて検証したものである。その結果,千葉県の理学療法. インが一助となる可能性が示されており. 士において,診療ガイドラインの利用や重要性の認識は. は,EBP のツールとして診療ガイドラインが認識され. 十分ではなく,EBP に対する学習の機会も高いとはい. ている。日本の理学療法士においても,診療ガイドライ. えないことが明らかとなった。診療ガイドラインの利用. ンの役割,診療ガイドラインとはなにか,診療ガイドラ. や重要性の認識に関連する要因として,EBP の必要性. インと患者の価値観を統合する必要性を理解すること. の認識と EBP を行ううえで必要な行動が挙げられた。. で,EBP 促進に向けて診療ガイドラインを利用する傾. EBP に関する教育を受けた対象者はごく一部に限られ. 向に至るかもしれない。本研究では,行動背景の検証ま. ていた。. で至っていないため推測の域を超えないものの,先行研.  千葉県理学療法士の診療ガイドラインの利用や重要性. 究において医療職に関するエビデンスに基づいた行動と. の認識および EBP が臨床に役立つかといった必要性の. 態度の関連性が報告されており. 認識について,諸外国の理学療法士に比べて低かっ. るものであると考える。. た. 6‒9). 。特に,診療ガイドラインの利用については回答. 者の 30%に満たない結果となり,米国(40%),オース 17)18). 19). ,諸外国で. 23)24). ,本考察を支持す.  診療ガイドラインの利用と有意な関連性を示したその 他 の EBP の 要 因 と し て は, 論 文 の 検 索 方 法 の 知 識,. と比べ少. EBP に必要な知識,EBP を取り入れることで治療の質. なかった。先行研究では,EBP 教育が診療ガイドライ. が改善するかといった患者改善に対する自己効力感など. ンや EBP そのものに対する意識や行動を変容させるこ. であった。これらの要因は,診療ガイドラインの利用に. とが報告されており(引用),本邦においてもより教育. 関連する潜在的な促進因子として診療ガイドラインの利. を充実させることによって改善する可能性がある。また. 用状況の改善に向けて考慮するべき重要な因子であると. 本研究においても,EBP 教育を受けていた者は 10%で. 思われる。これらの要因は,諸外国の先行研究において. あったことから,EBP 教育の機会が充実することによっ. も,診療ガイドラインの利用や EBP の実施に関連する. て EBP が臨床に役立つか,治療に影響するかといった. 要因として含まれていることから. EBP の必要性に関する認識が向上すると考える。. 法士においても抽出されたことは妥当であると考える。.  また,千葉県の理学療法士において,修士号や博士号.  診療ガイドラインの重要性の認識と有意な関連を示し. の保有者はそれぞれ 2%,1% のみであった。海外では,. た EBP の要因は,EBP の必要性,論文の検索方法の知. トラリア(45%). ,オランダ(61%). 6). 25)26). ,日本の理学療.

(8) PT の診療ガイドラインの利用・重要性の認識に関連する因子. 45. 表 7 診療ガイドラインの重要度の認識(質問項目 31)に関連する単変量および多重ロジスティック回帰分析結果 Multiple associations 質問項目 13.臨床において EBP を取り入れることが必要で あると思いますか. 回答. P値. N. オッズ比 (95% CI). P値. 思う. 0.000*. 334. 4.01(1.25 ‒ 14.15). 0.019*.  . Reference. 324.  .  .  .  .  . 316.  .  .  .  .  . 331.  .  .  .  .  . 312. 1.88(1.02 ‒ 3.48). 0.042*.  . Reference. 337.  .  .  .  .  . 318.  .  .  .  .  . 319.  .  .  .  .  . 330.  .  .  .  .  . 思わない 14.EBP を取り入れることで,患者治療における意 思決定を支援すると思いますか. 思う. 0.000*. 思わない 15.EBP を取り入れることは,患者の選択(嗜好・ 希望)を考慮していないと思いますか. 思う. 0.001*. 思わない 16.EBP を取り入れることで,患者治療の質は改善 すると思いますか. 思う. 0.000*. 思わない 17.EBP を取り入れた治療を行うことで,費用対効 果を向上することができると思いますか. 思う. 0.000*. 思わない 18.EBP に関する必要な知識や技術を学びたいと思 いますか. 思う. 0.000*. 思わない 19.あなたの職場で,現在 EBP が推奨されていま すか. 思う. 0.002*. 思わない 20.臨床の疑に十分に応えうる論文があると思いま すか. 思う. 0.615. 思わない 21.文献や調査研究の結果は,日々の臨床に役立っ ていると思いますか. 思う. 0.635. 思わない 22.EBP に関する教育を受けたことがありますか. はい. 0.017*. いいえ 23.論文の批判的吟味に関する教育を受けたことが ありますか. はい. 0.336. いいえ 24.論文を的確にレビューできる自信があると思い ますか. 思う. 0.003*. 思わない 25.臨床における疑問に対し,関連のある論文を探 すことができると思いますか. 思う. 0.218. 思わない 26. 医学検索サイト(たとえば, 医中誌, Pubmed など) の使用方法を熟知していると思いますか. 思う. 0.014*. 思わない 27.最近 1 ヵ月の間に臨床に関する論文をあなたは, 何本読みましたか. 6 本以上. 0.046*. 5 本以下 28.最近 1 ヵ月の間に,臨床に関する論文を探す ために,医学検索エンジン(たとえば,医中誌, MEDLINE,CINAHL 等)をあなたは,何回使用し ましたか.. 6 回以上. 5 回以下 (*p < 0.05). 0.006*. 347.  .  .  .  .  . 347.  .  .  .  .  . 340. 7.92(2.16 ‒ 33.99). 0.001*.  . Reference. 340. 2.43(1.14 ‒ 5.55).  . Reference. 347.  .  .  .  .  . 347. 3.70(1.42 ‒ 10.00). 0.006*.  . Reference. 347. 3.39(1.30 ‒ 9.80).  . Reference. 0.022*. 0.012*.

(9) 46. 理学療法学 第 45 巻第 1 号. 識であった。2011 年度より日本理学療法士協会からガ イドラインの作成が行われるなど,診療ガイドラインに. 結   論. ついての重要性の認識が広がってきている。しかしなが.  本研究では,理学療法士における診療ガイドラインの. ら,その普及はまだ発展途上であり診療ガイドラインの. 利用・重要度の認識に関連する EBP への態度・知識・. 重要性を認識する方策が必要である。本研究の結果か. 行動を検討した。現状では EBP や診療ガイドラインが. ら,診療ガイドラインの重要性の認識を高めるうえで. 普及しているとはいえない結果となった。診療ガイドラ. EBP の必要性を認識することが重要である可能性が示. インの利用や重要性の認識に関連する要因として,EBP. されたものの,EBP 教育を受けていた回答者はわずか. の必要性の認識と EBP を行ううえで必要な行動が挙げ. 10%であることを考慮すると,EBP の必要性を認識す. られた。診療ガイドラインの重要性の認識を高めるうえ. る機会として,EBP の十分な教育の機会が提供されて. で EBP の必要性を認識することが重要である可能性が. いない可能性が考えられる。この EBP に対する必要性. 示されたものの,EBP 教育を受ける機会が少ない結果. の認識と現状の教育実態のギャップを埋めることで,診. となり,EBP,診療ガイドラインに関する理学療法教育. 療ガイドラインの重要性の認識によい影響を及ぼすかも. の必要性が示唆された。. しれない。  本研究にはいくつか限界がある。まず,自己回答式の. 利益相反. 質問紙調査に特異的なバイアスが存在する可能性があ.  本研究において開示するべき利益相反関係にある企業. る。特に質問紙調査では,社会的望ましさバイアスの影. 等はない。. 響を受ける可能性があり,EBP および診療ガイドライ ンへの態度は過大評価された可能性は否定できない。次. 謝辞:本研究は厚労科学研究事業「社会的責任に応える. に,質問紙の妥当性について日本人を対象とした評価が. 医療の基盤となる診療ガイドラインの課題と可能性の検. 行われていないことである。本研究では,既存の質問紙. 討」による助成を得て実施した。また,翻訳作業に従事. を英和翻訳し再現性は確認したものの,妥当性を確認す. したクイーンズランド大学の宮本望都喜氏に深謝いたし. るには至らなかった。そのため,本研究結果と諸外国で. ます。. の研究結果の比較は慎重に行うべきである。3 つ目とし て,本研究デザインは横断研究であり,診療ガイドライ ンの利用・重要性の認識と EBP の態度・知識・行動の 関連性において,因果関係には言及できない。4 つ目は, 本研究結果の一般化可能性についてである。本研究で は,対象者を 1 つの県から無作為に抽出した。対象者の 属性については全国的な傾向と大きな差異はなかったも のの,その他の県における一般化可能性には注意が必要 である。5 つ目に,質問紙調査に対する回答率の低さで ある。本研究の回答率は約 40%であり,米国 73% カナダ 81%. 27). ,. 14). と比較して低い。この回答率は,すでに. EBP を認識し,診療ガイドラインを利用している対象 者が質問票に回答した可能性を否定できず,本研究結果 の解釈に影響する可能性がある。  本研究では,理学療法士における診療ガイドラインの 利用・重要度の認識に関連する EBP への態度・知識・ 行動を検討した。現状では EBP や診療ガイドラインが 普及しているとはいえず,今後の理学療法教育に期待さ れる側面が大きい。より質の高い理学療法の展開に EBP や診療ガイドラインは大きな役割をもつことから, 今後の課題として,EBP および診療ガイドラインの態 度,知識,行動を改善するための介入プログラムの開発, 教育の必要性が挙げられる。. 文  献 1)Fukui T, Yamaguchi N: Minds Handbook for Clinical Practice Guideline Development 2014. Igakushoin, Japan, 2014. 2)Grimshaw JM, Russell IT: Effect of clinicalguidelines on medical practice: a systematic review of rigorous evaluations. Lancet. 1993; 342: 1317‒1322. 3)Fritz J, Cleland JA, et al.: Does adherence to the guideline recommendation for active treatments improve the quality of care for patients with acute low back pain delivered by physical therapists? Med Care. 2007; 45: 973‒980. 4)Liddle SD, Baxter GD, et al.: Physiotherapists’ use of advice and exercise for the management of chronic low back pain: a national survey. Man Ther. 2009; 14: 189‒196. 5)Rutten GM, Degen S, et al.: Adherence to clinical practice guidelines for low back pain in physical therapy: do patients benefit? Phys Ther. 2010; 90: 1111‒1122. 6)Bernhardsson S, Johansson K, et al.: Determinants of guideline use in primary care physical therapy: a crosssectional survey of attitudes, knowledge, and behavior. Phys Ther. 2014; 94: 343‒354. 7)Salbach NM, Guilcher SJ, et al.: Determinants of research use in clinical decision making among physical therapists providing services post-stroke: a cross-sectional study. Implement Sci. 2010. doi: 10.1186/1748-5908-5-77. 8)Salbach NM, Veinot P, et al.: From continuing education to personal digital assistants: what do physical therapists need to support evidence-based practice in stroke management? J Eval Clin Pract. 2011; 17: 786‒793. 9)Jette DU, Bacon K, et al.: Evidence-based practice: beliefs, attitudes, knowledge, and behaviors of physical.

(10) PT の診療ガイドラインの利用・重要性の認識に関連する因子 therapists. Phys Ther. 2003; 83: 786‒805. 10)da Silva TM, Costa Lda C, et al.: What do physical therapists think about evidence-based practice? A systematic review. Man Ther. 2015; 20: 388‒401. 11)Scurlock-Evans L, Upton P, et al.: Evidence-based practice in physiotherapy: a systematic review of barriers, enablers and interventions. Physiotherapy. 2014; 100: 208‒219. 12)Japanese Physical Therapy Association: International verification Special Committee report. 2013. http://www. japanpt.or.jp/upload/japanpt/obj/files/international/ International_report_comparison2.pdf.(2017 年 6 月 7 日 引用) 13)理 学 療 法 協 会: 統 計 情 報.2016.http://www.japanpt. or.jp/about/data/statistics/index.html.(2017 年 6 月 7 日 引用) 14)Salbach NM, Jaglal SB, et al.: Practitioner and organizational barriers to evidence-based practice of physical therapists for people with stroke. Phys Ther. 2007; 87: 1284‒1303. 15)Carter R, Stoecker J: Descriptors of American Physical Therapy Associ-ation physical therapist members’ reading of professional publications. Physiother Theory Pract. 2006; 22: 263‒278. 16)Fishbein M, Ajzen I: Belief, Attitude, Intention and Behavior: An Introduction to Theory and Research. Addison-Wesley, Reading, MA, 1975. 17)Fritz J, Cleland JA, et al.: Does adherence to the guideline recommendation for active treatments improve the quality of care for patients with acute low back pain delivered by physical therapists? Med Care. 2007; 45: 973‒980. 18)Iles R, Davidson M: Evidence based practice: a survey of physiotherapists’ current practice. Physiother Res Int. 2006; 11: 93‒103. 19)Rutten G, Kremers S, et al.: A theory-based crosssectional survey demonstrated the important role of awareness in guideline implementation. J Clin Epidemiol.. 47. 2009. doi: 10.1016/j.jclinepi.2008.04.004. 20)APTA (American Physical Therapy Association). Vision 2020. 2015. http://www.apta.org/Vision2020/.(2017 年 6 月 7 日引用) 21)APTA (American Physical Therapy Association). Physical Therapist (PT) Education Overview. Available from: http://www.apta.org/PTEducation/Overview/. (2017 年 6 月 7 日引用) 22)Pollock AS, Legg L, et al.: Barriers to achieving evidencebased stroke rehabilitation. Clin Rehabil. 2000; 14: 611‒617. 23)Lizarondo L, Grimmer-Somers K, et al.: A systematic review of the individual determinants of research evidence use in allied health. J Multidiscip Healthc. 2011; 4: 261‒272. 24)Squires JE, Estabrooks CA, et al.: Individual determinants of research utilization by nurses: a systematic review update. Implement Sci. 2011. doi: 10.1186/1748-5908-6-1. 25)Flottorp S, Oxman A, et al.: A checklist for identifying determinants of practice: a systematic review and synthesis of frameworks and taxonomies of factors that prevent or enable improvements in healthcare professional practice. Implement Sci. 2013. doi: 10.1186/1748-5908-8-35. 26)Godin G, Bélanger-Gravel A, et al.: Healthcare professionals’ intentions and behaviours: a systematic review of studies based on social cognitive theories. Implement Sci. 2008. doi: 10.1186/1748-5908-3-36. 27)Bridges P, Bierema L, et al.: The propensity to adopt evidence-based practice among physical therapists. BMC Health Services Research. 2007; 7: 103.. 補遺 Evidence Based Practice の状況および診療ガイドライ ンの使用方法・使用状況に関する調査 (http://jspt.japanpt.or.jp/journal/rigaku-apendix/).

(11)

表 5  EBP に対する態度(質項目 13 ‒ 21),教育(質項目 22 ‒ 23),EBP に関連する行動(質項目 24 ‒ 28),EBP・診 療ガイドラインに関連する知識(質項目 37;a-j)に関する回答 質問項目 強く思う 思う どちらでも ない あまり 思わない まったく思わない わからない 13.あなたは,臨床において EBP を取り入れること が必要であると思いますか 15.6 67.7 9.6 2.6 0.0 4.4 14.EBP を取り入れることで,患者治療における意 思決定を支援す
表 6 診療ガイドラインの利用(質問項目 30)に関連する単変量および多重ロジスティック回帰分析結果 質問項目 回答 P 値 N Multiple associations オッズ比 (95% CI) P 値 13.臨床において EBP を取り入れることが必要で あると思いますか 思う 0.000* 320     思わない       14.EBP を取り入れることで,患者治療における意 思決定を支援すると思いますか 思う 0.000 * 308      思わない       15.EBP を取り入れる
表 7 診療ガイドラインの重要度の認識(質問項目 31)に関連する単変量および多重ロジスティック回帰分析結果 質問項目 回答 P 値 N Multiple associations オッズ比 (95% CI) P 値 13.臨床において EBP を取り入れることが必要で あると思いますか 思う 0.000* 334 4.01(1.25 ‒ 14.15) 0.019* 思わない   Reference 14.EBP を取り入れることで,患者治療における意 思決定を支援すると思いますか 思う 0.000 * 3

参照

関連したドキュメント

加納 幹雄 (Mikio Kano) 茨城大学 名誉教授...

加納 幹雄 (Mikio Kano) 茨城大学 名誉教授..

加納 幹雄 (Mikio Kano) 茨城大学 名誉教授...

および皮膚性状の変化がみられる患者においては,コ.. 動性クリーゼ補助診断に利用できると述べている。本 症 例 に お け る ChE/Alb 比 は 入 院 時 に 2.4 と 低 値

在宅医療 注射 画像診断 その他の行為 検査

・石川DMAT及び県内の医 療救護班の出動要請 ・国及び他の都道府県へのD MAT及び医療救護班の派 遣要請

在宅医療の充実②(24年診療報酬改定)

今回、子ども劇場千葉県センターさんにも組織診断を 受けていただきました。県内の子ども NPO