Thg/aPanese Journat oゾRsychonemic Science
2003
,
Vo1、
22、
No.
1,
1−
9原
著
論 文
ス
ト
ルー プ
様課
題
を
用
いた
負
の刺 激 反 応 適
合性 効
果
の検
討
八
木
善
彦
。
菊
地
正
筑波 大 学
The
examination
of
the
negative
stimulus
−response
compatibility
effect
by
using
a
StrooP
−
1ike
task
Yoshihiko
YAGI
andTadashi
KIKucHI
b
’
niversity qゾTsukubα*The
negative compatibility effect 〔NCE
)has
been recognized as the opposite phenomenon tQthe ordinary compatibility effect (
i.
e,
,
RT
of the compatible conditionis
slower than that of thcincompatible condition )
.
To
investigatc
the NCE two experiments used aStrQop−
like task in whichstudents were asked to name the color of a central ユy
fixated
square (target>whi [c ignoring theperipheral color word (task
−
irrelevant stjmulus ),
Ordinary
compatibillty effects were observedwhen the task
−
irrelevantsti皿 ulus waslocated
near the target, whercas an
NCE
was observed whenit was distant from the target
.
The NCE was not dependent on the response modality 〔i.
e.
,
oral or manual ).
These
results could not be explained by a previous hypothesis that a misled spatial attention,
caused by a shape similarity of a target and a task−irrelevarlt
stimulus,
wou !d
produce anNCE
.
Thus an NCE would re 且ect an inhibitory processing mechanism at a post−
categoricallevel
.
Key words :negative compatibility effect
。
stimulus−
response compatlbility effect,
Stroop−
like task注意 によ る選 択 を受 けない刺 激の情 報 処理は
,
艮 年に わた り,
選 択的洪 意 研究の テー
マ の一
っ とされてきた.
こ の問題を検討す る代 表 的な方法は,
課 題の 遂 行に [自接 関わる ター
ゲッ ト刺 激と,
課題遂行とは 直接 関 係が な く 無 視 するよ うに教 示さ れ た妨 害刺激 (課題無 関 連 刺 激 ) の間の適 合 性 を操 作 する もの である 〔e.
g.
,
Eriksen &Eriksen
,1974
;Gatti
& Egeth,
1978).
例え ば,
Eriksen
&Eriksen (1974
)で は文字 列が水’
1
え に提 示さ れ,
中 央の文 字と そ れ 以 外の 文 字の 間の適合 性 が操 作さ れ た.
被験者は, 中 央の文 字 以 外の文 字 (課 題 無 関 連 刺 激)を無視し な が ら,
中央の文 字 (ター
ゲッ ト) に対す る弁 別 反 応を行うよ うに求め ら れ た.
実 験の 結 果,
課 題 無 関 連 刺 激が ター
ゲッ ト と異な る反 応キー
に割 り当て られて い る文字の 場 合(不 適 合 条 件 ),
両 者が 同 じ反 応キー
に割 り当て ら れて い る文 字の場 合 (適 合 条 件)と 比較して,
ター
ゲッ トに 対 する反 応時間は有 意に 長 くなっ た (刺 激 反 応 適合 性 効 果 ).
彼らは こ の結 果を,
* Instituteof
Psychology,
University of Tsukuba,
1−1−lTennoudai ,
Tsukuba,
Ibaraki305−8572
課 題無関 速 刺 激の処 理 が 意味レベ ル まで到 達し た証拠と 解釈し た
.
ま た,
刺 激 反 応 適 合 性 効 果が消 失した実験状 況におい て は,
課 題 無 関 連 刺 激の意味 的処 理 が行わ れて い なかっ た もの と解釈さ れ た,
な ぜ な ら,
こう した刺 激 反 応 適 合 性 効 果は,
無 視 する ように教 示 さ れた課 題 無 関 連刺激の 意 味的 表 象と夕一
ゲ ッ ト刺激の意 味 的 表 象と が 反 応 選 択 段 階において競 合 (ま た は一
致)す る た めに生 じ る と考 えられた か らで あ る.
重要な点は, こ の 解 釈に従 え ば
,
適 合 条 件の反 応時間 は不適合 条 件 (ある い は統 制 条 件 )の反 応時間よりも短 いか,
少な くと も等し く な る と 予 測 さ れ ることである.
実 際,
こう し た予 測は多 くの先 行 研 究によっ て実 証さ れ て きた (レ ビュー
と して Kornblum & Lee (1995}を 参 照 ).
対照的な刺 激 反応適 合 性 効 果 しか し な が ら,
近年,
刺 激 反 応 適 合 性 効果 に対す るこ れ まで の解 釈の妥 当性を否 定 する可 能 性がい くっ かの研2 基礎心 理学研 究 第 22巻 第
1
号ksch,2000
;Braind,1994
;Kahneman
&Hcnik
,1981:Lavie
,
1995;Van Leeuwen &Bakker,1995
).
これ らの 研 究では,
いずれ も,
刺 激 反応 適合 性 効 果が 生 じ る と 予想さ れ る刺激 画面に おいて
,
適 合 条 件の反 応 時 間が不 適 合 条 件 (あるいは統 制 条 件)の反応 時 間と比 較して 有 意に遅 延 して い る
.
例えばKahneman & Henik 〔198 1
,
Experiment2
)では
,
注 視 点の左右に,・
方が円で囲ま れ,
もう・
方が 四 角で 囲ま れ た 二っ の単語 が同時に提 示さ れ た.
単 語は 赤,
青,
緑の いずれ かで着色 さ れて お り,
被験者の 課 題 は単語の内容を無 視し なが ら,
あ らかじめ決め られ た図 形 内に提 示さ れ た単語の インクの色 名 をで きる だけ速 く 正確に呼 称する ことであっ
た.
実 験 者の 予想に反 し,
無 視 すべ き図 形の内S3
に提 示さ れ た単 語の 内容と 夕一
ゲッ トインクの色 名が.
一
.
一
致し た適 合 条 件の反 応 時 問は,
無視 すべ き図 形の 内部に提 示さ れた 単語が色 名を示さない (例え ば,
“
most”
) 統 制 条 件と比較して,
有意に遅 延し た.
また,
Braind (1994)の実 験で は,一
方が赤色で も う一
方が青 色で あ る二 っ の複 合文 字が提 示された.
複 合 文 字とは,
複 数の 小さ なサ イズの ア ル フ ァ ベ ッ ト文 字 (ロー
カル レベ ル )の配 置により,
より大き な サ イズの ア ルフ ァ ベ ッ ト文 字 (グロー
バ ル レベ ル)が構 成さ れてい る図 形を 意味す る 〔c.
g.
,
Navon,
1977).
被 験 者は,
赤い 複 合 文 字を無 視し な が ら, 青い複合文字の ロー
カル レ ベ ル の文 字 を 同 定 する よ う に求め ら れて い た.
課題 無関 連 刺 激であ る赤い複合 文 字の グロー
バ ル レ ベ ル の文 宇と,
ター
ゲッ トで あ る青い複合文 字の ロー
カ ル レ ベ ル の文 字 が同・
である場 合 (適合 条 件)の反 応 時間は,
両者が 異 な る反 応キー
に割り当て られて い る文 字で あ る場 合 (不 適合条 件)の反 応 時 間と比 較して,
29 ms 遅 延し た.
対 照 的 な 刺 激 反応適合性
効 果に対
す る これ までの解 釈残 念なこ とに,
Kahneman
&Henik
(1981)や Braind (1994)に お い て,
これ らの 結果は詳 細に議 論さ れて こ な かっ た.
例えば,
Kahne 皿 an & Henik (1981,
p.
186
)は 彼らの結果 を、
ただ、
驚 くべ き結 果である と記 して いる、
近 年,
Bavclier et al.
(2000
)はこ の 現象に着 口し,
詳 細 な検 討を試みて いる,
彼ら は, 適合 条 件の反 応時 間が 不 適 合 条 件の反 応 時 間と比 較して遅 延 するこの現 象は,
新 しい種 類の刺 激 反 応 適合性効 果であ ると主 張し た。
同 時に,
伝 統 的な刺激 反 応 適合性効 果とこの新 しい効 果 を 区 別 する ため,
前 者を 止の刺 激 反 応 適合 性効 果 (posi−
tive compatibility effect,PCE
>と.
呼 び,
後 者を負の刺 激 反応 適合 性効果(negative cQmpatibility effect,
NCE }と呼んだ
.
Bavelier et aL (2000 >が指 摘して いる よ うに,NCE
はPCE
の生起が 予想さ れ る刺 激 画 面に お い て認め ら れる 点が非常に興味深い,
な ぜ な ら, すで に述べ た ように,
PCE に対す る これ まで の解 釈だ けで は,
同様の刺 激 画 面か ら PCE とNCE の両 方が 生 起 す る可 能 性を 説明で き ないか ら で あ る.
Bavelier et al.
(2000〕は,
これ まで の PCE の解 釈を 損なわ ずに こ の問 題を解 決 する ため,NCE
が ター
ゲッ トと課 題 無 関 連 刺 激の形 態 的 類 似 性によっ
て生 じ る初期 知 覚 的 (前カ テ ゴ リカル レ ベ ル)な干 渉 効 果で あると提 案して い る.
っ ま り , 適合条件にお け る ター
ゲッ トと課 題 無 関 連 刺 激の形態の類 似は,
二 っ の図形が同じグルー
プで あ る かの よ う に不 適 切 な 注 意の誘 導 を 生じ さ せ,
ター
ゲ ッ ト位 置へ の適 切 な 注 意の配 分 を 困 難に し,
反 応 時 間を増 加さ せ る.
ま た,
彼 ら は,
課 題 無 関連 刺 激の処 理が意 味 的レベ ル 〔後カ テ ゴリ カル レベ ル)に到達 す る よ う な 状 況に おいて は,
よ り影 響 力の 強い PCE に よ っ て,NCE
は消失す る と仮定してい る.
つ ま り,
課 題 無 関 連 刺 激の処理 が前カテ ゴ リ カル レ ベ ル で減衰し て お り,
夕一
ゲッ ト と課 題 無 関 連 刺 激の形 態が極めて類 似して い るこ と がNCE
生 起の必要 条 件と な る.
Bavelier et al.
(2000)によ るNCE
の解 釈は,
これ ま での PCE の解 釈を損な わずに,
1
司様の 刺 激 画 面か らNCE
とPCE
が生 起 することを 説 明可 能に して いる.
し か し彼らのNCE
の 解 釈は先 行 研 究の結 果と必 ずしも・
致して いる わ けで は な い.
例え ば, 彼らの解 釈に従えば,
Braind 〔1994)に お け る NCE は,
課題無 関 連刺激であ る赤い グロー
バ ル レ ベ ル 文 字の処 理が前カ テ ゴ リ カル レ ベ ル で減衰して いた た め に生じ たと考え られる.
しかし な が ら,
Braind (1994) は 適合 性効 果 以外に も,
二 つ の 指 標 (カテゴ リー
効 果 および ネガテ ィブ・
プ ライミン グ 効果 )を 用いて,
課 題 無 関 連 刺 激の意 味 的 処理の証 拠を 探 索して おり, 彼が行っ
た 三 っ の実験の すべ て に お い て,
赤い グロー
バ ル レベ ルの文 字に関して は意 味 的処理 の証拠が検 出さ れて い る.
また,
すで に述べ た よ うに,
Kahneman
&Henik
(1981
)は, ター
ゲ ッ ト (イ ンク の 色 )と妨 害 刺 激 (単 語 )の形 態的類 似 性が存 在し ない課 題に お い て もNCE と同 様の現象が 認 め ら れ たこと を 報 告し てい る.
これ らの 結 果が観 察さ れ た実 験 状 況はいずれも,
Ba−
velier et al.
〔2000 )が提 唱 する,
NCE
に対す る二 っ の必 要 条 件 を 満た して い ない.
む し ろ,
これ らの 結 果は,
NCE
が後カ テ ゴ リカル レ ベル で生じ て い る可 能 性を示 唆して いる.
八 木
・
菊 地: ス トルー
プ様課題を用い た負の刺 激 反応適 合 性 効果の検 討3
後力テ ゴ リカル レペ ル効 果と してのNCE
仮に,NCE
が 後カ テ ゴ リ カル レベ ル で生 じ る効果で あ るとすれ ば,NCE
は どの ように して生じ るの で あろ う か.
ま た, NCE とPCE の関 係はどの よ うな もの で あ ろ う か.
一
っ の可 能 性は,NCE
が ネ ガテ ィ ブ・
プライ ミング 効果と1
司様の 表象 抑制効果に よ ワ て生じる とい うもの で あ る,
ネ ガテ ィ ブ。
プラ イ ミング効 果とは, ある試行で 課 題 無 関 連 刺 激 と して提 示さ れ た刺 激が,
続く試行で ター
ゲッ ト刺 激 と して提示さ れ る場 合,
直 前の試 行で提 示さ れていない刺 激が夕一
ゲッ ト刺 激と して提 示される 場 合と比 較して,
反 応 時 間が遅 延 する現 象である (e.
g,
,
Tipper
,
1985;Driver &Tipper,
1989).
こ の現象は課 題 無関連刺激の情 報処 理 に対す る 二っ の 重要な示 唆を含ん でい る.
第.
一
に,
注意に よ る選 択を受け な い刺 激の処理 は,一
度 意 味レベ ル に まで到 達 した後,
抑 制 的な処理へ と移 行 する可 能 性が あ る.
第二 に,一
度 抑制的 な 処 理 を 受けた表 象と 関連す る 反応の選択は,
抑 制を受けてい な い表 象と関 連す る反 応の選 択と比 較して,
より多 くの時 間が必 妥に な る.
注 意に よ る選択を受け ない課 題 無 関 連 刺 激が,一
度 意 味 的レ ベ ル まで処 理 さ れ た後に, 抑 制 的 な処 理 を受け る と す れ ば,
抑 制さ れ た課題無 関 連 刺 激と 意味 的に関 連のある適合 条 件におい て の み,
ター
ゲッ ト 反 応が遅 延 する可 能 性 が ある,
NCE が課 題 無 関 連 刺 激 表象の 抑制 効果である と する 立場は,
同 様の刺激 画 面におい て PCE とNCE の両 方が 生 じ ること を,
課 題 無 関 連 刺 激 表 象の活 性 状 態に よ っ て 予 測 する こと を可 能にする.
つ ま り,
課題 無関 連 刺 激 が 活 性 状 態にある場合に は, 適合条件に お け る促進と,
不 適 合 条 件にお け る干渉を引き起こし,
PCE が 生 じる.
方,
表象が抑 制 状態 にある場 合に は,
抑 制さ れ た表 象と 夕一
ゲッ ト表 象が一
致 する適 合 条 件においてのみ反 応時 間の 遅 延が生.
じ,
NCE
が生じ る.
Driver &
Tipper
〔1989
>は,
PCE
量 (っ まり表 象 活 性の効 果 )と ネ ガテ ィ ブ
・
プラ イ ミング効 果量 (っ まり表 象 抑 制の効 果 )と の関 係につ い て検討し, 以下の よ うに 結 論づ けて い る.
表 象 活 性の 効果 は ター
ゲッ トと課題無 関 連刺激の 分離の容易さ (例え ば,
空問 的 距 離が近い か 遠いか,
色や形 態やサ イズが 類 似 してい る か否か)に よ っ て規 定される が,
表 象 活 性の程 度にか か わ ら ず,
課 題 無 関 連 刺 激は 同定 後に抑制 的 な 処 理 を 受 け る.
表象活 性が よ り強 固な場 合,
表 象の抑 制 処殫に は より 多くの時間や労 力が必 要に な る と考え ら れ る ため,
NCE
は表 象 活 性 量が少な い (っ ま り,
課 題 無 関 連 刺 激の 分離 が容易である)状況におい て のみ認め られ るもの と考え ら れ る.
した が っ て,NCE
が後カテ ゴ リカルな レベ ル に お ける表象 抑 制 効 果で ある とすれ ば,
同 様の刺 激 画 面に おけ るPCE
とNCE
は,
課 題 無関連刺激の分 離の容易 性 に基づ いて,
次の よ うに予 測さ れる,
第一
に,
ター
ゲッ トと 課 題 無 関 連刺激の 分 離が困 難な状 況で は,
課 題 無 関 連 刺 激の意 味 的 表 象は反 応の有 力 な 候 補 として 扱わ れ る.
こ の 結果,
課 題 無 関 連刺激 表 象の 活 性 化 が 強 固 な も の となり,
PCE が生じ る,
第二 に,
ター
ゲッ トと課 題 無 関連刺激の分 離が中 稈 度に容 易な状 況で は,
課 題 無 関 連 刺 激は,
比 較 的 弱い反 応 候 補と し て扱わ れ ると同時に, 課 題と は無 関 連な刺激と して抑制 的な 処 理 を受け る.
こ の た め,
適合条件にお ける課題無 関連刺激の意味 的 表 象 は活 性と抑 制の競 合 状 態に陥 り,
PCE とNCE
は共に消 失 する,
第三に,
夕一
ゲッ トと課 題 無 関 連 刺 激の 分 離が 容 易で あ る場 舎に は,
課 題 無関連刺激 は 反 応の候 補とは な り え ない の で, 表 象 活 件は微 弱なもの と なる.
した がっ て,
ター
ゲ ッ ト反応に干 渉 する刺 激と して抑 制さ れ る効 果,
っ ま りNCE の み が 生 起す る,
本 研 究の目 的 本 研 究の 目的は,
NCE が後カ テゴ リカ ルな レ ベ ルに おける課 題 無 関 連 刺 激の 表 象 抑 制 効 果と して説 明可 能で あ る か否か を検 討す るこ とで あっ
た.
こ の 囗 的の た め に,Kahneman
&Henik
〔1981
)で用い ら れ た課 題 をよ り単 純に改 変 した ス トルー
ブ様 課 題 〔e.
g.
,
Gatti&Egcth,
1978;Kahneman &
Chajczyk,1983
)に おい て,NCE
が検 討さ れ た
.
す な わ ち,
被験者は周辺に提 示される色 名単 語 (課題無 関 連 刺 激 )を無 視し な が ら,
画 面 中 央の 色パ ッ チ の色 名 をで きるだけ速 くIE確に報 告 する よ う に 求められた.
Bavelier et aL (2000)に よる前カ テ ゴリ.
カ ル レ ベ ル の干 渉説に従え ば, ター
ゲ ッ ト と課 題 無 関 連 刺 激の形態 (本 研究におい て は,
四 角 形の ター
ゲッ トと漢 宇一
文字の課 題 無 関 連 刺 激 )と色が異な るス トルー
ブ様 課 題において,
NCE
の生 起は予 想で き ない..・
方,
NCE
が後カ テ ゴ リカ ル レ ベ ル の 効 果で あ る と す れ ば,
夕一
ゲッ トと課 題 無 関 連 刺 激の分 離が困 難 な 場 合に はPCE
が,
分 離が容 易な場 合に は NCE が生じ ると予測 さ れ る,
本 研 究の実 験 1に おいて は,
こ の 予 測 が 直 接 検 討 さ れ た.
ター
ゲ ッ ト と課題無 関連刺激の分 離の容 易 性を変 化 さ せるた め,
両 者の問の空 問 的 距 離が操 作さ れ た,
また,
実 験 2で は,
実 験 1の 結果を拡 張す る た め, 実 験 1 (ボー
カル反 応 )と は異な る反 応モ ダ リテ ィー
(マ ニ ュ ア ル反 応 ) が 用い られ た.
これ は,
Neill(1977)におい て,
ス トルー
ブ刺 激を用いた課 題 無 関 連 刺 激の表 象 抑 制 効 果4 基 礎 心理学 研 究 第22 巻 第 1号 は
,
実 験で用い ら れ る反応モ ダ リテ ィー
に強 く依 存す る 口∫能 性が示さ れて い る た めで あ る.Lowe
(1985
)は,Neill
(1977
)の結 果 を課題 無 関 連 刺 激の表 象 抑 制 効 果と して解釈する た め に は, 実験に おいて用い ら れ る反 応モ ダ1丿 テ ィー
に関わ り な く,
同じ結 果を示す 必要が あ る と 指 摘し て い る.
本研 究で行わ れ る二っ の実 験におい て,
共に NCE が 認 め ら れ た 場 合に は,NCE
が後カ テ ゴ リカル レベ ル の 効 果で あることの 証 拠と な る と考え られ る.
実 験1
目的 本 実 験の 目的は,
1)ター
ゲ ッ トと課題無 関 連刺激の形 態と色が異な るス トルー
プ様 課 題においてもNCE が 認 め ら れ る か否かを検 討するこ と,
2)同 様の 刺 激 画 面にお い て PCE とNCE
の ど ち らが 生 起 す る か は,
ター
ゲッ ト と課 題 無 関 連 刺 激の分 離の容 易 性に基づ い て予 測 可 能で あ るこ と を実証 す る こ と,
で あ っ た.
本 実 験に お い て,
ター
ゲッ ト と課 題 無関連刺激の 分 離の容 易 性とは,
両 者 の間の空 間 的 距 離と して定義さ れ た.
方 法 被験者 大学生お よ び大 学 院 生9
名 (男 性 6名,
女性 3名 )が実 験に参 加し た.
装 置 実 験の制 御に は VSG 2/3 (Cambridge
Re−
searchSystems
}を 内 蔵 したパー
ソナル・
コ ン ピュー
タ (IBM
300PL
>が 用い ら れ た.
刺 激はコ ンピュー
タ・
デ ィ スプレイ (TOTOKU
CV821X
)に提 示さ れ, 被 験者の反 応 開 始まで の時 間がボ イ ス キー
(ア ドバ ン ス トシ ス テム ズ社)に よ りパー
ソナルコ ン ピュー
タに記 録さ れ た,
刺激 各試行に おい て,
は じめ に注 視 点が提 示さ れ,
続い て ター
ゲ ッ トと課題無 関連刺激 が同 時に提示さ れ た.
ター
ゲッ トと課 題 無 関 連 刺 激 を含 む 刺 激 画面の背 景 は常に黒 色 (O.
02
cd/rn2)で あっ た.
注 視 点と して白 色 (85,
2cd /m2 }の プラス 記号 (0.
8
°×0.
8D
〕が用い ら れ, 画 面 中 央に提 示さ れ た,
ター
ゲッ トと して正方 形の色パ ッ チ 〔O.
se
× 0.
8
°
)が用 い ら れ,
常に画 面 中 央に提 示され た.
パ ッ チの 色は赤(283cd
/m2 >, 緑(106.
O
cd/rn2}, 黄 (134.
2cd /m2 )の 3 種類で あっ
た.
課題無 関 連刺激と し て 漢 字 表 記された色 名 単 語およ び中 性 語が白色 (85.
2 cd/m2>で提 示さ れた (O.
8° ×0.
8° 〉.
色 名 単 語は ター
ゲッ ト色 を表す“
赤”
,
“
緑”
,
“
黄”
が用い ら れ,
中性 語には 色 名 や 特 定の 事 物を連 想さ せ るこ との少ない発 音・」能な 名 詞“
判”
が用い られた.
課 題 無 関 連 刺 激は夕一
ゲッ ト か ら 垂直 方向 上また は ドの ど ち ら か一
方に提 示さ れ,
夕一
ゲッ ト の上辺 (ま た は底辺)か ら課題 無 関 連刺激の 底辺 (または上辺 ) まで の距 離 (課題 無 関 連 刺 激の距 離 ) は0.
5
°,1
°,
3
°,
5
° の4
種類であっ た,
デ ザ イン ター
ゲッ トと課題 無 関連 刺 激の関 係 (以 後, 課 題 無 関 連 刺 激の適 合 性 ) か ら適 合,
中性,
不 適 合 の3
条 件が設 定さ れ た.
適 合 条 件で は,
ター
ゲッ ト の色 と 課 題 無関連刺激 が 表 す 色 名 が同一
で あっ た (例:赤色 のパ ッ チ と単 語“
赤”
).
中 性 条 件で は,
課題無 関 連刺激 は常に“
判”
であっ た.
不 適 合 条 件で は,
課 題 無 関 連 刺 激が表す色名が ター
ゲッ トの色と異なっ て い た (例:赤 色の パ ッ チ と単 語’
‘
緑”
).
本 実 験は課題無 関 連 刺 激の距 離 〔0.
5°
,
1°
,
3°
,
5°
)x課 題 無 関 連 刺 激の適 合 性 (適 合,
中 性,
不 適 合 )の 2要 因 被験者内計画で あっ た.
ター
ゲッ ト3
種 類 (赤,
緑,
黄 ) にっ いて,
課 題 無 関 連 刺 激3 種類 (赤,
緑,
黄)と課題 無 関 連 刺 激が提 示さ れ る位 置2種 類 (h,
ド)のすべ て の組み合わせが6
回繰 り返 さ れた,
た だ し,
不 適 合 条 件 にっ いては, 可 能な2
種類の組み合わ せの う ち,
ランダ ムに どちら か一
方が 選択された.
したがっ て,
実 験の 本 試 行は 432 試 行か ら な り,
本 試 行に先立って 50試 行の 練習試行が行わ れ た,
手 続き 被 験 者の 課題 は,
課題 無関連刺激 を 無視し な が ら,
ター
ゲッ トの色 名をで きるだ け速 く, かっ 正確に 呼 称 するこ とで あっ た.
被 験 者に は課 題 無 関 連 刺 激を無 視す ることの重要性が特に強調して伝え られ た.
試 行は 被 験 者がマ ウ ス の ボ タン を押すこ とによっ て開 始さ れ た.
は じめに注 視 点が 750〜
1500 ms の範 囲の ラン ダム な時間で提 示さ れ,
続いて ター
ゲッ トと課 題 無 関 連 刺 激 が 50ms 提示さ れ た.
結 果と考 察 刺 激 画 面の提 示 か ら被 験 者の呼 称 反 応の開 始 までが測 定さ れ,
反 応 時間 と さ れ た.
被 験 者が夕一
ゲッ ト と異な る色 名を呼 称し た試 行は分 析か ら除 外さ れた.
また, 反 応 時 間が 200ms 以 下ま た は 2000 ms 以上の試行,
お よ び被 験 者ごと の各 条 件に お い て,
反 応 時 間が条 件ご と の平均 値か ら±3SD
を超え た試 行の デー
タ も ま た分 析 か ら除 外さ れ た (全体の 1% 以下 ).
これ らのデー
タ を 除い て算 出された条 件 別 平 均 反 応 時 間と標 準 偏 差をTable
l
に示 す.
課 題 無 関 連刺激の 情報 処 理の 指 標 と さ れ るス トルー
プ 様の刺 激 反応適 合 性 効 果量 を検討す る た め,
課題無 関 連 刺 激の 距 離 条 件ご とに,
適 合 条 件と中 性 条 件との反 応 時 間の差, および不 適合条件と中性条件と の反 応 時 間の差 が,
そ れ ぞ れ求め ら れ た.
伝 統 的なPCE
の 解釈に おい て は,
前 者は 夕一
ゲッ トと課題無 関 連 刺 激の表 象が・
致 す るこ と に よ る促 進 効 果 量 を 示 し,
後 者は両 者が競 合 する八本
・
菊 地1 ス ト ルー
プ様 課 題 を 用いた負の刺 激 反 応 適合性効果の 検討5
Table l
Mean reaction
times
in
ms (and standardde−
viations )as a function of separation
between
target and task−irrelevant
stimulus and task・
irrc
]evant stilnuls compatibilityin
Experimentl
Task
−irrelevant
stimulUS compatibility
Separation
between
target and task−irrelevant
stimulus0,
5
° 013°
5°
Compatible
515(82>508(82)509 (80} 519(82)Neutral
527(83〕526〔88)517 (97) 514〔77) Incompatible 563(133)553(120)519 (77) 510(80
) ト O 山 」 」 山 ト ←一
」【
qコ一
ト 《 」 = OO40
30
20
10
0
一10
一
20
一30
SEPARA丁10凹 BETWEEN 丁
ARGET
AND
TASK−IRRELEVANT
STIMULUS
Figure 1
.
Stimulus−
response compatibility ef−
fect
as a function of separationbetween
target and task−
irrelevant stimulusin
Experiment
1.
Theblack
squares show differences betweenRTs
in
theincompatible
condition and theneutral condition
.
The white circles show
differences
between RTs in the compatiblecondition and neutral condition
.
こ とに よ る干渉 効 果 量を示 す
.
Figure l は,
各 課 題 無 関 連刺激の 距 離に お ける刺 激 反 応 適合 性効果 量 を 示 して い る.
課 題 無 関 連 刺 激の 距離 (Q.
5°,
1D,
3°
,
5°
)x 刺 激 反 応 適 合性効果 (適合一
中 性,
不適 合一
中 性 )の 2要因 分 散分 析 を行っ た ところ,
課 題 無 関連 刺 激の距離の主 効 果は有意 で な く(F く1),
刺 激反応 適合 性 効 果の主 効 果 は有意で あっ た(F
(1,
8
)=7.
42,
p
<.
05
),
ま た,
2要 因 間の交 互 作 用も有意で あっ た (F(3,
24)=
4.
09,
p
く.
01),
刺 激 反 応 適 合 性 効 果にっ い て の単 純 主 効 果の検定を行っ た ところ,
0.
5
° 条 件に お け る適合一
中性と不 適合一
中性の 差 は有 意 傾 向で あっ た もの の (F(1,
8)=
4,
75,
p〈.
1),
1°
条 件に お ける適合一
中 性と不 適 合・
中 性の差は有 意で あ り〔F(1
,
8>=
6,
23,
p
<.
05),
PCE が生じ て い るこ とが示さ れ た.
課 題 無 関 連 刺 激の距離3
° 条 件に おい て は,
適合一
中 性と不 適 合一
中 性の差は有意で はな く,
PCE は消 失 し た.
し か し な が ら,
課 題 無 関 連 刺 激の距 離 5° 条 件に おい て は,
適 合一
中 性と不 適 合一
中 性の間に,
再び有 意な差が 認 め ら れた 〔F(1,
8
)=5,
88,
p
<,
05
),
た だ し,
課 題 無 関 連 刺 激の 距離5
° 条 件に おい て は,
適 合一
中 性が不 適 合一
中 性より も大きな値とな っ て い た (+5ms と一
4ms ).
ま た,
5
° 条 件にお け る適 合条件と不 適合 条件の 反 応 時 間の絶 対 値 (519ms 対 510 ms )に対する t検定の結 果は有意で あ り 〔t(8
)=
2.
42,
p
<、
05),
適 合 条 件の反 応 時 間が不 適 合 条 件の反 応 時 間よ りも有 意に長い ことが明ら か に さ れ た.
つ ま り,
課 題 無 関 連 刺 激の距 離5°
条 件において はNCE が生 じて い た もの と考え ら れる.
した がっ て,
本 実 験の結 果は,
第一
.
・
に,
課 題 無 関 連 刺 激と夕一
ゲッ ト の,
形態と色が 異 な るス トルー
プ様 課 題 においてもNCE
が生 じ ること を実証してお り,
NCE が 課 題 無 関 連刺激の 表象 抑制効果と して説 明 可 能で ある こ と を示 して い る.
また,
第二 に は,
課 題 無 関 連刺激の適 合 性が 夕一
ゲッ ト反 応に 及ぼす影 響は,
ター
ゲ ッ トと課 題 無 関 連 刺 激の分 離の容 易 性によっ
て決 定さ れる こと を 小 して おり,PCE
とNCE
が,
同じ後カテ ゴ リカ ル レ ベ ル にお ける,
表 象 活 性と表 象 抑 制の相 対 的な優 位性に よ っ て決 定さ れ る と い う予 測を攴 持す る証 拠を提 供して い る.
一
方,
本 実 験の 5°
条 件におい て は,
適 合 条 件と中 性 条 件の 反 応 時 間の問に有 意な差が認め ら れ な か っ た.
NCE が課 題 無 関 連 刺 激の 表象抑 制の効果である とすれ ば, 適 合条件の 反応時 間は中 性 条 件の反 応 時 間と比 較 し て遅 延 す るこ とが予 想さ れ た,
こ の点に関 して は,
全 体 的考察で詳 細に議 論さ れ る.
実 験2
目的 NCE が後カ テ ゴ リカ ルなレ ベ ル に お け る,
課題無 関 連 刺 激 表 象の抑 制 効果で あ る と す れ ば,
Lowe 〔1985>が 指摘す る よ うに,
実 験で用い られる反 応モ ダリ テ ィー
の 種 類に関わりな く,
同 様の結 果が得 られる はずで ある.
本 実 験の 目 的は,
こうし た予 測を実証 するこ とにより,
NCE
の頑 健 性と本研 究のNCE
に対す る解 釈の妥 当 性 を確 認す るこ とで あっ た.
この 日的の ために,
本 実 験で は,
反 応モ ダリ テ ィー
にマ ニ ュ ア ル (キー
押し) 反 応が 用い られ,
実 験 1の課 題 無関連刺激の距 離 5°条件と同 様の実 験が再び 行 わ れ た.
6
基 礎 心理学 研 究 第22
巻 第1
号 方 法 被 験 者 右 利 きの 大 学 生お よ び大学院生20
名 (男性 10名,
女性 10名 )が実 験に参 加し た,
こ の う ち1
名は,
実 験1
に も参加して いた.
装 置 実 験1
と同 様で あっ た,
た だ し, 被験 者の反 応 開 始ま で の時 間は テ ンキー
(ELECOM 社 LUNRIS TK−
LUCSV
)に よ りパー ソ ナル コ ン ピュー
タに記 録された.
被験者は,3
種類の ター
ゲッ ト色に対 応づけ られ た三っ の キー
(数 字の“
1”
,
“
2”
t“
3”
)を,
右 手の 人 差 し指,
中 指,
薬 指で それぞれ押 すよ うに求め ら れ た.
どのキー
が どの ター
ゲ ッ ト色に割り当て ら れ る か は,
被 験 者ご とに ラ ン ダム に設 定さ れ た,
刺 激 本 実 験で は,
適 合条件と不適合 条件の 反応時間 の差をよ り直 接 的に比 較するた めに,
中性 条 件は除 外さ れ た,
し た がっ て,
用い ら れ る刺 激は,
実 験 1の刺 激か ら“
判” を除い た もので あ り,
刺激に関 するその他の点 はすべ て実 験1に準じて いた.
デ ザ イン 実 験 1と同 様に課 題 無 関 連 刺 激の適 合 性 が 設 定 さ れ た.
た だ し,
中性 条 件は設けられな か っ た.
課 題 無 関 連 刺 激と 夕一
ゲ ッ トの間の空間 的 距離は5
° に 固定さ れ て い た.
本実 験は課 題 無 関 連 刺 激の適 合 性 (適 合,
不 適 合 )の1
要 因被験者 内計画であっ た.
ター
ゲッ ト3
種 類 (赤,
緑,
黄 )につ い て,
課題無 関 連 刺 激3種 類 (赤,
緑,
黄) と課 題 無 関 連 刺 激 が 提 示 さ れる位 置2種 類 (卜,
ド)の すべ て の組み合わせが3
回 繰り返され,
54 試 行が 1 ブ ロ ッ クと さ れ た.
実 験は3
ブロ ッ ク か ら構成さ れ, 最初 の 1ブロ ッ ク は練 習 試 行と して分析か ら除外さ れ た.
手 続き 刺 激の提 示 系 列は実 験 1と同 様であっ た.
た だ し, 実験ブロ ッ クの開始は, マ ウスで は な く,
被 験 者 が“
0”
のキー
を押すことによっ て行わ れ た.
被 験 者の課 題は,
課題無 関連刺激 を 無視 し な が ら,
ター
ゲッ ト色と対 応 するキー
を押 すこ とで,
ター
ゲッ ト 色 を報 告す ることで あっ た.
た だ し,
本 実 験に おい て被 験 者は,
1 ブロ ッ ク 〔54 試 行 )の うちの エ ラー
回数が 1 回 以 内に なるよ うに,
速 度よ り も正確さ を 重視し た反応 を行うよ う に求め ら れた.
教示に関 する こ う し た変 更 は,
被 験 者が キー
押し反 応を求め ら れ たW
,,
速 度よ り も正 確 性を重 視 する教 示を行うこ とで,
ス トルー
プ刺激 に お け る課 題 無 関 連 刺 激 表 象の抑 制 効 果 (ネガテ ィブ。
プライミング効果)が よ り顕 著に生 じ るこ と を実 証 して い る Neill&Westberry (1987>に基づ く もα)で あ る,
被 験 者が 1ブロ ッ ク内に 2同の エ ラー
を犯し た場 合には,
実験 ブロ ッ ク が中 断さ れ,
新た な実 験ブロ ッ ク が追 加さ れ た (た だ し,
中 断さ れ たブロ ッ クの デー
タ も結 果の分 Table 2Mean
reactiontimes
in ms and standardde−
viations as a function of task
−
irrelevant stinlu−
lus compatibility
in
Experiment
2CompatibleII
】compatibleMeanSD
8Q
り
lQ
び
5
FOρ
0085 析か ら除 外は さ れ な か っ た),
結 果と考 察 刺 激 両 面の提示か ら被 験者の キー
押し反 応の開 始 まで が測 定され,
反 応 時 間と さ れ た.
被 験 者が 夕一
ゲッ トと 異な る色 名に対 応 する キー
を押 し た試 行は,
エ ラー
と し て分 析 か ら 除 外 さ れ た.
エ ラー
率はいず れの被 験 者に お い て も2% 未 満で あ一
・
た.
ま た,1
ブロ ッ ク内に2
度の エ ラー
を犯 し,
新た な ブロ ッ クが追加さ れ た被 験者は 20 名の う ち 4名で あ り,
いずれ も追 加ブロ ッ ク数は 1 ブロ ッ クで あっ た.
本 実 験におい て は,
適合条 件と不 適合条件の試 行 数が 異な る ため (1:2 の割 合 ),
被 験 者ご との平 均 反応時 間 か ら±3SD を 超え た試 行の デー
タが分 析か ら除 外さ れ た (全体醍) 1% 以 ド),
これ らの デー
タ を除いて 算 出さ れた条 件 別 平 均 反 応 時 間と標 準 偏 差をTable
2
に示す.
反 応 時 間に対 する t検 定の結 果,
適 合条 件の反応時 間 が不適合 条 件の 反 応時間と比 較し て,
有 意に長い こ と が 明ら かにさ れ た (t(19>=2.
50,
p
<.
02
),
こ の結果は,
ス ト ルー
プ様 課 題にお ける NCE が,
実 験で用い ら れ る反応 モ ダ リテ ィー
の種 類に関 わりな く生 じること を実 証 する もの で あ り,
NCE が後カテ ゴ リカル な レ ベ ル におけ る 課 題 無 関 連 刺 激 表 象の抑 制 効 果と して説 明 可 能で あ るこ とへ の さ らな る証 拠と なる,
た だ し,
本 実験に参 加した 20 名の被 験 者の中に は,
PCE の傾 向 (最 大で30
ms )を示す被験 者も6
名 存 在し て い た.
実 験 1に お い て も,
NCE を示 し た被 験者は9
名11T6 名で あ り,
残 りの 3名は PCE を示 して い た.
PCE
とNCE
に対す る個 人 差につ いて は,
全 体 的 考 察で 検 討する.
全体
的 考 察 本 研 究の 目 的は,NCE
が,後カ テ ゴ リカル な レ ベ ル に お ける課 題 無 関 連 刺 激の表 象 抑 制 効 果と して説明 可能で あ るか否か を検 討する こ と で あ っ た.
こ の目 的のた め に,
夕一
ゲッ ト と 課題 無 関 連刺激の形 態 と色 が 異な るス トルー
プ様 課 題におい て,
NCE が検討さ れ た.
Bavelier
et al.
(2000 )の前カ テ ゴ リ カル レベ ルにお け る干 渉とい八 木
・
菊 地; ス トルー
プ様課 題を用いた負の 刺激 反 応 適合性 効果の検 討7
う観 点で は, ター
ゲッ トと課題無 関 連 刺 激の形態 と色 が 異な る課 題におい て,NCE
の生 起は予 想で き ない.
実 験 1で は,
課 題 無 関 連 刺 激の距 離が比 較 的 短い場合 (0.
5
° お よ びID
条 件)に,PCE
が認め ら れ, 課題無 関連 刺激の距離が中程 度の場 合 (3° 条 件)に は,
PCE が消 失 した.
しか しな が ら,
課 題 無 関 連 刺 激の距 離 がさらに長 い場 合に は (5° 条 件 ),
他の 課 題 無 関 連 刺 激の 距 離 条 件 と は 反対の傾 向,
つ ま りNCE
が 認め ら れ た.
実 験 2で は,
課 題 無 関 連 刺 激の距 離が 5°
の状 況におい て,
キー
押し反 応を 用 い た実 験が行わ れ,
NCE が 再び観 察さ れ た.
こ の こ と は, ス トルー
プ様課 題に お け る NCE が頑 健な 現象で あ り,
色 名 呼 称 反 応特有の もので は ない こと を実 証して い る.
し た が っ て,
本 研 究の結 果は,
NCE
が後カテゴ リ カル なレベ ル にお け る課 題 無関連刺激の意味的表象の抑制効 果と して説 明可 能であ るこ と を示してい る。
特に,
実 験 1の結 果は,
同 様の刺 激 画 面にお ける PCE と NCE の関 係が,
課題 無関連 刺 激 表 象の 活性の 程度に よっ て説明可 能で あ る と す る我々の仮説を攴持して い る.
実験 1におい て は,
ター
ゲッ トと課題無 関 連刺激の 分 離 容 易 性を変 化さ せ る ために,
両 者の問の空 問 的距 離 が操 作さ れ た.
本研究の実 験 課 題に おいて,
課題 無 関 連 刺 激の距離を増加 させ ること は,
課 題 無 関 連 刺 激の偏 心 度を増 加さ せ ること と等 しかっ
た.
偏 ら渡 の 増 加は課 題 無 関 連 刺 激 単 語の可 読性 を 低 下 させ,
意 味 的 表 象の活 性 の程 度に影響を及ぼ した もの と思わ れ る.
すで に述べ た よ うに,PCE
量 はこの 意味的表象の 活 性量の 減少に 伴っ て,
減 少すると考え られた.
また,
Driver& Tipper (1989)が示 唆 して いるよ うに,
課 題 無 関連 刺 激に対す る 抑 制の強さ が,
視 野 内で ある程 度一
定であ る とすれば,
ター
ゲッ ト と課 題 無 関 連 刺 激の分 離の容 易 性が極めて高 く,
表 象 活 性 量が非 常にわ ずか と な る ような (た だ しゼ ロ で は な い)状況に お い て,
NCE 量は最大と な る と予想 さ れた.
こ う し た予 測は,
実験1
の結果 と全く一
致 して いた.
も ち ろ ん,
さ ら な る偏心度の増 加は,
課題無 関 連 刺 激の 呵読 性を完 全に消 失さ せ る の で,
そ の表 象 活 性 も 牛 じず,
PCE とNCE
は再び消 失 すると考え られる.
っ ま り周 辺 視 野に は,NCE
を 生 じ さ せ る一
一
一
定の 領 域が存 在す るもの と思わ れ る.
本 研 究の結 果をBavclicrct al.
〔2000)に従っ て解 釈 す る た め には,
前カテ ゴ リカル なレ ベ ルにお け る干 渉メ カ ニ ズム と , 後カテ ゴ リカルなレベ ル に お け る課題無 関 連 刺 激の意味 的 表 象の抑 制 処理 とい う2種 類の NCE 生 起 過 程を仮 定する必 要がある.
し か し,
こ う し た冗 長な仮 定は情 報 処 理シス テム の理 解 をよ り困 難なもの とするで あろ う.
さ らに,
Bavelier et aL 〔2000)による解 釈に従 え ば,
ター
ゲ ッ トと課 題 無 関 連 刺 激 聞の分 離が より容 易 にな るこ と は,
前カテゴ リカル レ ベ ル にお け る 誤っ た注 意の グルー
ピン グの機 会が減 少すること を意味し,NCE
の生 起確 率も ま た減 少す る こと が予 測さ れ る.
しか し本 研 究の実 験 1で は,
夕一
ゲッ トと課 題 無 関 連 刺 激の分 離 が最も容 易で あ る と考え ら れ る条 件 (5
° )におい ての み NCE が 認 め ら れており,
明ら かに こ う し た予 測とは一
致して いない.
本 研 究の結 果から,
Bavelier et al,
(2000 )が提 唱して い る,
前カテゴ リカル レ ベ ル の干 渉の 存 在を否 定す ることはで き ない,
し か し重要な点は, 新 た な干 渉メカニ ズム の存 在を仮 定せ ず と も,
同様の刺 激 幽面か ら,
PCE とNCE の両 方の生 起を予 測する ことが 可 能で あ るこ と を,
本 研 究の結 果が実証 し ていること で あ る.
本 研 究におけるNCE の解 釈によっ
て,
未だ説 明され て いない点 も存 在 する.
まず,
実 験 1の5
° 条 件におい て,
適合 条 件の反応時 間 と中 性 条 件の反応時 間の 間に 有 意な差が 認 め ら れ な かっ た.
こ の こと は,NCE
が適 合 条 件の反 応 時 問の増 加で はなく,
不 適 合 条 件の反 応 時 間の 促 進に よ っ て生じ て い るとする解 釈の 冂J
能性を 残 す,
し か し な が ら,
適合条 件の反応時間が中性 条件の 反応時間 と比 較 して遅 延 し たこと を報 告して い る研 究 が 数 多 く存 在 する一
方で (e、
g.
,
Braind,
1994;Paquet & Merikle,
1988)
,
不 適 合 条 件の 反 応 時 問 が 中 性 条 件の 反 応 時 間 と 比較して促 進した結果を示 して い る研究は過去に例が な く, ま た, そ う し た結 果を予 測す る理論 的立場の存 在も1
司様で ある,
し た が っ て,
本 研 究の結 果は,
適 合 条 件の 遅 延 を示し て お り,
そ れ ゆ え,NCE
は 課題 無関連刺激表 象の 抑 制 効 果と して解 釈さ れる こと が妥当で ある と考え ら れ る.
無論,
適合 条 件の反 応時 間が中 性 条 件お よ び不 適 合 条 件と比 較 して,
有 意に遅 延 する結 果 を 示 すこ と は,
今 後の研究にお け る 重 要な課 題の一
っ とな るであ ろ う.
ま た,
本 研究 で得ら れ たNCE
量 (平 均で お よ そ ll ms )が,
先 行 研 究 (例え ば,
Braind,
1994 で は 29ms ) と比較し て, わずか なもの であっ たとい う事 実も, 本研 究のNCE
の 解釈に よっ て,
未だ説明さ れて い ない点の つ で ある,
本 研 究における全 体 的な反 応 時 間 (500ms 程 度 )は先 行 研 究における そ れ (700ms 以 上 )よ りも短 く,
単 純にNCE
量を比 較す るこ と はで き ない.
しか し,
本 研究と先行 研究にお け るNCE
量の差 異が より実質 的 な もの であるとすれ ば,
そ う し た差 異が生 じ た原 囚を考 慮する必 要が あ る.一
っ の 口∫能 性は,
ター
ゲッ ト と課 題 無 関 連 刺 激の形 態が一
致す ること に よ り,
後カテ ゴ リ カ8 基 礎 心理学 研 究 第22 巻 第 1 弓 ル な レベ ル で生 じ る表象 抑制の 効 果が増 大す るとい う も の で あ る
,
実際に,
こ う し た解釈を支 持す る証拠は,
Tipper 〔1985,
Experiment 3)におい て提 供されて い る.
彼 らの実 験に おいて は,
無 視されたプ ラ イム とプロー
ブ の形 態が一
致 して い る条件のネガ テ ィ ブ・
プライ ミング 効 果量 〔51ms )が,
両 者の形態は異なるが意 味 的に関 連 して い る条 件の ネ ガテ ィブ・
プラ イ ミング効 果 量 (31 ms >より も,
大き かっ た.
本研究に お け るNCE
量 が先行研究と比較して より少 ない とい う事実は,
上述し たター
ゲッ トと課 題 無 関 連 刺 激 間の形態的 同一
性の ほかに,
課 題 無 関 連 刺 激の処理に 対 する被 験 者 間の個 人 差 (あ るいは方略の相 違 )に帰属 さ れる可 能 性 も ある.
事 実,
実 験 1において,
NEC の傾 向を示し たの は,
9名の被 験 者 中6名であ り,
残 りの 3 名は 5ms 以 下で はあるがPCE の傾 向 を 示 して いた.
ま た, 実 験2 に おいて は, 20名の被 験.
者の う ち,14
名がNCE
の傾 向を示し た が,
6名の被 験 者が PCE の傾 向を 示した.
課 題 無 関 連 刺 激の 夕一
ゲ ッ ト反 応に対 する影 響 〔っま りPCE
かNCE
か)が,
後カ テゴ リ カルな レ ベ ル にお け る課題無関 連刺激 表象の活性と抑制の 相対的な優 位 性によっ
て決 定さ れる と す れ ば,
課題無 関 連 刺 激の情 報 処 理 能 力 がこ の問 題に大 きな影 響 を 及ぼす 可 能 性 もあ る、
っ ま り,
単 語 情 報 処 理 能 力の高 い被 験 者 は,
課 題 無 関 連 刺 激表象の 活 性 化が よ り強 固な もの と なり,
PCE もま た頑 健と な る.
結 果と して NCE が生じに く くな る の か も し れな い.
今後,
NCE の生 起メ カニ ズム を さ ら に 詳 細に検討して い く た めに は, こう し た個人 差の 要 因を 解明する こと が 望 ま れる.
Bavelier et al.
〔2000 )は,
刺 激の提 示 時 間や輝 度 等の 要 因 を 操 作 し,NCE
量がこ れ らの 要 因に よっ て様々 に 変 化 す るこ と を示 して いる.
彼 ら は,
こ う し た結 果こそ,
ごく最 近までNCE
の存 在が報 告さ れて こな か っ た理 由 であ ると主 張して い る.
本研究の結 果か ら,
Bavelier et al、
〔2000
)以上に, これ までNCE
の存 在が報 告さ れて こ な かっ た 理由を明ら かにす ること はで き ない.
し か し な が ら,
NCE を報 告 して きた先 行 研 究 (Bavelier et al.
,
2000
;Braind,1994
;Lavie,1995,
Experiment
2
}や , 本 研 究で用い ら れて い る実験 課題 を概観す る と,
以下の 3 点が NCE の生 起に関 与して い ると考え られる.
ま ず,
すで に述べ たター
ゲッ トと課 題 無 関 連 刺 激の 分 離の容易 性 が あ げ られ る.
Braind
(1994
)で は,
複 合 文 字が 二つ 同 時に提 示さ れて お り,
ど ち らの複 合 文 字に ター
ゲッ ト文 字が含ま れるか を示 す 手が かりが,
実 験 間 で操 作された.
実 験 1で は,
複合文字を囲む円また は四 角形によっ て 夕一
ゲッ ト と な る複 合 文字が定義さ れて い た.
ま た, 実 験2 で は, ター
ゲッ トの定 義は複 合 文 字 図 形の色によっ てな さ れて いた.
Braind (1994)が示 唆し て い る よ うに,
実 験2 にお け る ター
ゲ ッ ト と課 題 無 関 連 図形の分離の容易性は, 実 験1
に お け る そ れ よ り も容 易 であっ た と考え ら れる,
我々 の仮 説と一
致して,
NCE が 認め られたの は実 験 2 におい て のみで あっ
た.
次に,
ター
ゲッ ト に対 する反 応 時 間の要 因が考え られ る.
NCE
を 報告して き た 先 行 研 究 において は,
実験 課 題 の難易度が高 く,
ター
ゲッ ト に対 する反 応 時 間が 700 ms を超えて い る場 合が多い.
Neill& Westberry (1987) は,
課 題 無 関 連 刺 激の意 味 的 表象が抑 制さ れ るた め に は,
あ る程 度の 時間経過 が 必要で あ る と示 唆 して い る,
NCE が 観察されて い る先行 研究 におい て は,
課題無 関 連 刺 激 表 象 を十 分に抑 制 する時 間 が 存 在 していたため に,
NCE
が認め られた可 能 性が あ る.
最 後に,
課 題 無 関 連 刺 激が ター
ゲ ッ ト刺 激と比 較 し て,
意 味 的 処琿の優 位 性を有して い る こ と が,
NCE の生 起に とっ て重 要で あ る凵」能 性が ある.
例え ば Bavelier et al,
(2000
)やBraind
(1994
)では, 複合文字 (ま た は 図形)刺 激が用い ら れて いた,
複合 文字の情 報 処理に関 す る多 くの研 究に よ っ て,
グロー
バ ル 文 字の意味的処理 の優 位 性が示 唆さ れて い る (e.
g.
,
Navon ,1977
;Paquet
&Merikle,
1988).
ま た,
本 研究で は,
ス トルー
プ様の課 題が用い ら れて いた
,
CQhen,
Dunbar,
& McClelland〔1990}や Cohen & Huston (1994)は