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Academic year: 2021

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(1)

  本 冊 子 は 、エ ルプ ラット®注 射 用 5 0 m g 、10 0 m g(オ キサリプ ラ チン 注 射 用 )の 発 売 以 降 の 市 販 後 調 査( 使 用 成 績 調 査:調 査 実 施 期 間   平 成17 年 4 月 ∼ 平 成 2 0 年 3 月:集 計 対 象 例 数 4 , 9 9 8 例 ならびに自発報告)の結果によりまとめたものであり、本剤の適正使用の一助となれば幸甚に存じます。  本 剤投与 後 の間質 性 肺炎、肺臓 炎、肺 線 維 症(以下、「 間 質 性 肺炎 等」という。)は、発 売(平成17年 4月)から平成21年10月までに118例報告されています。  間質性肺炎等は、発現頻度※は高くないものの、その後死亡に至る症例もあることから、本剤投与に際して は十分な注意を要します。  ※使用成績調査(平成17年4月∼平成20年3月)における間質性肺炎等の発現率は0.26%(13/4,998例)です。  間質性肺炎等の発現を早期に発見するために、発熱、咳嗽、呼吸困難等の臨床症状を十分に観察し、異常が 認められた場合には投与を中止し、胸部X線、CT検査等の胸部画像検査、KL-6、SP-D、SP-Aなどのマーカー を含めた臨床検査を実施するとともに、副腎皮質ホルモン剤の投与(重症例ではステロイドパルス療法)等の 適切な処置を速やかに行うようお願いいたします。

監修:日本医科大学内科学講座(呼吸器・感染・腫瘍部門)主任教授

弦間 昭彦

製造販売元

ご使用に際してのお願い

−間質性肺炎、肺線維症の発現にご注意ください−

ご使用に際してのお願い

−間質性肺炎、肺線維症の発現にご注意ください−

抗悪性腫瘍剤

オキサリプラチン注射用

オキサリプラチン点滴静注液

○添付文書記載事項

〔使用上の注意〕

4.副作用

(1)重大な副作用

③ 間質性肺炎、肺線維症

間質性肺炎(単独投与時 頻度不明、FOLFOX4 法等投与時 0.2%、

XELOX 法及び XELOX 法+BV 投与時 頻度不明)、肺線維症(単独投与

時 頻度不明、

FOLFOX4 法等投与時 0.1%、XELOX 法及び XELOX 法+

BV 投与時 頻度不明)があらわれることがあるので、発熱、咳嗽、呼吸

困難等の臨床症状を十分に観察し、異常が認められた場合には投与を中

止し、胸部

X 線等の検査を実施するとともに副腎皮質ホルモン剤の投与

等の適切な処置を行うこと。

(2)

目 次

Ⅰ.薬剤性肺障害について ………

1.薬剤性肺障害の病態 ………

2.抗癌剤による肺障害に対する診断の実際 ………

3.抗癌剤による肺障害の治療 ………

Ⅱ.オキサリプラチンによる間質性肺炎入手画像所見 …………

Ⅲ.症例紹介 ………

症例紹介① ………

症例紹介② ………

症例紹介③ ………

Ⅳ.市販後における間質性肺炎の発現状況について ………

1.間質性肺炎等発現時の臨床症状 ………

2.性、年齢別発現状況 ………

3.レジメン別発現状況 ………

4.発現日までの本剤投与量 ………

5.発現日までの本剤投与回数 ………

6.本剤投与開始時の肺の状況 ………

7.ステロイドパルス療法に対する反応の状況 ………

Ⅴ.参考文献 ………

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Ⅰ.薬剤性肺障害について

1.薬剤性肺障害の病態

薬剤による肺障害のメカニズムは未だ十分には解明されていません。アレルギー反応等の生体反応 を介した間接的細胞傷害作用や、薬剤自体もしくはその中間代謝物等による直接的細胞傷害作用によ り発現するとされています。薬剤性肺障害は種々の病態を呈しますが、主体は間質性肺炎であるとさ れています。 主な薬剤性肺障害の分類を表1に示します。 一般に肺障害の臨床像はその病理所見に一致し、多彩であるとされています。 表1. 薬剤性肺障害の分類

1.間質性肺炎

 1)非特異性間質性肺炎(NSIP)

 2)通常型間質性肺炎(UIP)

 3)剥離型間質性肺炎(DIP)

 4)リンパ球性間質性肺炎(LIP)

 5)好酸球性肺炎(EP)

 6)閉塞性細気管支炎、器質化肺炎(OP)

 7)びまん性肺胞傷害(DAD)

 8)過敏性肺炎(HP)

2.気管支攣縮・喘息

3.肺水腫

4.肺胞出血

5.胸膜炎

6.縦隔リンパ節腫大

7.肺血管障害

(4)

2.抗癌剤による肺障害に対する診断の実際

臨床像ならびに病理所見ともに多彩であり、非特異的であるため、確定診断はしばしば困難です。画 像所見は、病理所見を反映し多彩ですが、基本的には間質性陰影が主体となり、胸部単純X線検査にお いては、急性型はすりガラス影や肺胞性陰影を呈し、慢性型ではすりガラス影や網状粒状影が認められ ます。 薬剤性肺障害の診断フローおよび鑑別疾患を図1に示します。 図1. 薬剤性肺障害の診断フローおよび鑑別疾患 投与前 投与中 <鑑別診断> 可能であれば気管支鏡検査 (BAL) (肺病理組織所見) β-Dグルカン サイトメガロウイルス抗原 喀痰 細菌塗沫・培養・DNA検査 抗酸菌塗沫・培養・DNA検査 ニューモシスティスカリニDNA検査 経胸壁心エコー・ドプラー法 心電図記録、心電図モニター 動脈血ガス、パルスオキシメータ 凝固線溶系検査 下肢末梢からの静脈造影 超音波カラードプラー 【胸部X線写真】 胸部CT(HRCT)像 【胸部X線写真】 胸部CT(HRCT)像 【臨床検査】 KL-6、SP-D 【臨床検査】 KL-6、SP-D 【身体所見】 咳(特に乾性) 呼吸困難、ラ音、発熱 【身体所見】 咳(特に乾性) 呼吸困難、ラ音、発熱 【胸部X線写真】 胸部CT(HRCT)造影CT像 【臨床検査】 血算、血液像、CRP、肝機能 KL-6、SP-D、SP-A、DLST 薬剤性肺障害 原疾患の悪化 感染症の併発 心不全 血栓塞栓症

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3.抗癌剤による肺障害の治療

⑴ 原因と考えられる抗癌剤の中止  抗癌剤による間質性肺炎治療の基本は、原因と考えられる薬剤を中止することです。原因薬剤が 不明の場合は、中止可能な範囲で中止してみます。軽症例では、原因薬剤の中止だけで回復する場 合もあります。 ⑵ 薬物療法  原因と考えられる薬剤の中止によって改善が認められない場合や、症状が急激に進行する場合に は、ステロイドによる治療を行います。アレルギー機序の場合はステロイドへの反応は良好ですが、 細胞傷害性機序の場合は不可逆的で、治療抵抗例が多くなります。  病型としては、OP パターン、HP パターン等の場合には、ステロイドに対し比較的良好に反応します。 DAD パターンはステロイドに対する反応が不良で、急速に呼吸不全に陥り死亡の転帰を辿ることも少 なくありません。  対処法としては、プレドニゾロン 0.5 ∼ 1.0mg/kg/日程度を、原因薬剤や重症度を考慮しながら 投与します。4 週間投与後、再燃等に注意しながら緩徐に減量します。重症例で呼吸不全のある場 合には、メチルプレドニゾロン 1,000mg/日を 3 日間投与します(ステロイドパルス療法)。なお、ステ ロイドの効果が認められない場合には、免疫抑制剤を用いることがあります。 ⑶ 呼吸管理  呼吸困難が重篤な症例では、ステロイドパルス療法に加えて、酸素投与や人工呼吸管理などを行 います。

(6)

Ⅱ.オキサリプラチンによる間質性肺炎入手画像所見

市販後に間質性肺炎として報告された症例のうち、胸部 X 線写真または CT 画像を入手できた 26 例 に関し、画像所見の病型パターンを表1に示しました。 表1. 26例の病型パターン 死亡例 死亡例以外 合 計 びまん性肺胞傷害(DAD)パターン 7* 3 10( 38.5%) 器質化肺炎(OP)パターン 2** 5 7( 26.9%) 過敏性反応(HR)+OPパターン 0 4 4( 15.4%) HRパターン 0 2 2( 7.7%) 判定不能 1 2 3( 11.5%) 合 計 10 16 26( 100.0%) * :7例中1例は画像上間質性肺炎発現後も本剤投与が行われていた症例 **:2例とも画像上間質性肺炎発現後も本剤投与が行われていた症例 びまん性肺胞傷害(DAD)パターンが最も多く、死亡例 10 例中 7 例は DAD パターンでした。 〈DADパターンを呈し死亡した症例のCT画像〉

(7)

7 また、本剤投与開始前の胸部画像所見に異常を認めた 11 例の画像所見を表 2 に示しました。 表2. 既存肺の状況 死亡例 死亡例以外 合 計 肺気腫有 3 2 5( 45.5% ) 間質性肺炎有 1 0 1( 9.1% ) 慢性気道炎症有 1 0 1( 9.1% ) 塵肺有 0 1 1( 9.1% ) 陳旧性肺結核(疑)有 0 1 1( 9.1% ) 陳旧性炎症有 0 1 1( 9.1% ) 内容不明 0 1 1( 9.1% ) 合 計 5 6 11( 100.0% ) 肺気腫有例を最も多く認めました。 既存肺病変のある患者への本剤投与に関しては、投与可否を慎重に判断し、投与期間中にも適宜胸部 X 線や CT 検査を行う必要性が示唆されます。また、投与前に限らず、間質性肺炎の発病が疑われる画 像が見受けられるにも関わらず本剤投与が継続され、結果として重篤化している症例も認められてい ます。画像検査につきまして、異常が疑われた際には可能な限り呼吸器科専門医に相談の上、治療可否 の判断を行うことが勧められます。

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0 0 30 60 90 120 150 180 210 240 270 2,000 4,000 6,000 8,000 10,000 12,000 14,000 16,000 18,000 白血球数(/mm3 LDH(IU/L) 年齢・性別 60歳代 男性 診断名 結腸癌(頸部・縦隔・傍大動脈リンパ節・肝転移) 前治療 ハルトマン手術、人工肛門造設術(24日前) 検査項目 d69 d83 d104 d125 KL-6(U/mL) 517 475 394 396 SP-D(ng/mL) 239 99 119 112  オキサリプラチン 77 77 77 77  (mg/m2  レボホリナート 97 97 97 97  カルシウム(mg/m2  フルオロウラシル 387 387 387 387  急速静注(mg/m2  フルオロウラシル 2,348 2,348 2,348 2,348  持続静注(mg/m2 d1 d20 d34 d48 d55 d69 d92 d118 d69 d118 d1 d20 d34 d48 d48 d57 d62 d69 d76 d77 d83 d88 d91 d104 d111 d125 状態悪化 な く 、患者 は 退 院 と な っ た 。 間質性肺炎 は 回 復 を 認 め た 。 プレドニゾロン 結腸癌︵切除後、頸部・縦隔・傍大動脈リンパ節・ 肝転移有︶、 PS 0、人工肛門造設の患者に対して、 F O LF O X 6での併用投与。 F O LF O X 6での併用投与。 F O LF O X 6での併用投与。 F O LF O X 6での併用投与。以後、本治療を終了。 C T検査 に て 肺野 に 異 常︵両側下肺 に す り ガ ラ ス 影網状影︶ を 認 め た 。 様子観察 と し た 。 C T検査 に て 増悪 を 認 め 患者入院 と し た 。 呼吸困難、 Sp0低下 2 ︵ 90% 台 ︶を 認 め 、間質性肺炎 の 悪 化 を 認 め た 。 プ レ ド ニ ゾ ロ ン 投 与を開 始 し た︵ d118まで ︶。

Ⅲ. 症例紹介

症例紹介❶

FOLFOX6を4サイクル施行後に間質性肺炎を発現し、経口プレドニゾロン投与を行い回復した症例

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9 FOLFOX6療法開始前(−d33) FOLFOX6療法4サイクル施行後(発現時)(d57) 経口プレドニゾロン投与後(回復時)(d125) 発現の2週後(d69) 既存肺疾患が明確でない。 経口プレドニゾロンにより陰影が改善した。 両側下肺にすりガラス陰影が認められた(HRパ ターン)。 呼吸困難、SpO₂低下を認めた時期で、陰影の悪 化を認めた。

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オキサリプラチン 85 85 85 85 85 85 (mg/m2 レボホリナート 100 100 100 100 100 200 カルシウム (mg/m2 フルオロウラシル 400 400 400 400 400 400 急速静注 (mg/m2 フルオロウラシル 600 600 600 600 600 持続静注 (mg/m2 100 100 100 100 100 400 400 400 400 400 600 600 600 600 600 d2 d16 d30 d44 d177 d1 d15 d29 d43 d77 d113 d176 d183 d204 d211 d218 d219 d221 d224 d249 d280 d1 d15 d29 d43 d176 d204 外来受診 し 、熱発、呼吸困難 は 認 め な か っ た 。 胸部 C T及 び X 線検査上、問題 は 認 め な か っ た 。 胸部 C T上、間質性肺炎影 は 改 善 を 認 め た 。 間質性肺炎 は 軽 快 し 、抜管、呼吸 リ ハ ビ リ を 開 始 し た 。 患 者は退 院し 、 リ ハ ビ リ 病 院 へ 転 院 と な っ た 。 メチルプレドニゾロンコハク酸エステルナトリウム プレドニゾロン酢酸エステル プレドニゾロン 肝後区域切除術 を 施 行 し た 。 年齢・性別 60歳代 男性 診断名 直腸癌(肝転移) 前治療 切除術(32日前) KL-6(U/mL) 検査項目 d224 d226 314 223 間質性肺炎 の 悪 化︵呼吸不全︶ を 認 め 、挿管 し 、ICU へ 移 っ た 。 ス テ ロ イ ド パ ル ス 療法 ︵3日間︶ を 開始 し た 。 薬剤性間質性肺炎 と 診 断 し た 。 発熱 ︵ 40℃ ︶を 認 め た 。 気管支肺胞洗浄 に て 好酸球比率 の 上 昇 を 認 め 、 後治療開始予定 の た め 入 院 し た 。胸部 C T検査 に て 右中下葉及 び 左肺底部 に 浸潤影 を 認 め た ︵間質性肺炎発現︶ 。 F O LF O X 6 で の 併用投与 を 開 始 し 、 フ ル オ ロ ウ ラ シ ル 持続静注 を 開始後 に 発 熱 を 認 め 、 フ ル オ ロ ウ ラ シ ル 持続静注 の 投 与 を 中 止 し た 。 F O LF O X 4 で の 併用投与。 フ ル オ ロ ウ ラ シ ル 、レ ボ ホ リ ナ ー ト カ ル シ ウ ム 併用投与 ︵ RP M I 法︶ を 計6回行 っ た︵ d148まで ︶。 F O LF O X 4 で の 併用投与。 F O LF O X 4 で の 併用投与。 F O LF O X 4 で の 併用投与。 直腸癌 ︵切除後、 肝転移有︶ の 患 者 に 対 し て F O LF O X 4 で の 併用投与。 d221 d223 d224 d233 d235 d282

症例紹介❷

FOLFOXを6サイクル施行後に間質性肺炎を発現し、ステロイドパルス療法を行い軽快した症例

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11 発現前(d183) 発現時(d218) 軽快時①(d249) 軽快時②(d284) 陳旧性肺結核様の陰影を認め、左肺に小さなのう胞を 認める症例で、このレベルでは気腫変化のみ認める。 両側に浸潤影を認める(OP/CEPパターン)。気管支 肺胞洗浄にて好酸球比率が上昇しており、好酸球性肺 炎と考える。 その後、さらに悪化しICU管理となったが、ステロイド パルス療法により軽快した。

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0 0 70 140 210 280 350 5,000 10,000 15,000 20,000 25,000 白血球数 (/mm3 LDH(IU/L) 年齢・性別 60歳代 男性 診断名 結腸癌(肝転移) 前治療 S状結腸切除術(8日前) 検査項目 d1 d239 d240 d244 d246 d248 d250 d251 d252 d253 d254 d259 体温(℃) 39.8 37.5 37.2 37.2 CRP(mg/dL) 2.3 6.8 1.6 4.5 11.9 KL-6(U/mL) 362 PO2(mmHg) 47.6 82.9 85.6 PCO2(mmHg) 40.6 49.1 56.2 オキサリプラチン 94(1サイクル目) 94(16サイクル目) (mg/m2 レボホリナート 188(1サイクル目) 188(16サイクル目) カルシウム(mg/m2 フルオロウラシル 375(1サイクル目) 375(16サイクル目) 急速静注(mg/m2 フルオロウラシル 2,344(1サイクル目) 2,344(16サイクル目) 持続静注(mg/m2 d1 d239 d1 d239 d240 d248 d253 d259 d1 d239 d244 d246 d247 d248 d250 d252 d255 d261 d239 d246 d248 d257 d261 X 線検査 に て 増悪傾向 を 認 め 、呼吸困難 の た め 歩行困難 を 認 め た 。 挿管、人 工 呼吸管理 を 行 っ た 。 発 熱を認 め た 。 間質性肺炎 に よ る 呼吸不全 の た め 患 者 は 永眠︵剖検未実施︶ 。 酸 素 の 投 与を開 始 し た 。 セフェピム塩酸塩水和物 シプロフロキサシン メチルプレドニゾロンコハク酸エステルナトリウム メロペネム水和物 ︵ d218まで 15サ イ ク ル 投与︶ 結腸癌 ︵切除後、 肝転移有︶ の 患 者 に 対 し て 、F O LF O X 6 で の 併用投与。 乾 性 咳 嗽を認 め た が 発 熱な く 、F O LF O X 6 で の 併用投与。 投与後、 発 熱︵ 39.8℃︶ 、 乾性咳嗽、 X 線検査 に て 軽度肺炎様陰影 を 認 め︵間質性肺炎発現︶ 、 16時頃 に 本治療 を 中 止 と し 、抗生剤 の 投 与 を 開始。 C T検査上、 両 側 に 間質陰影 の 増 強 を 認 め た 。 ス テ ロ イ ド パ ル ス 療法 ︵ 3 日間︶ を 開始 し た 。β ‒ Dグ ル カ ン は    以下 で あ っ た 。 5.0 pg/mL 右 肺 に 自 然 気 胸を認 め 、ト ロ ッ カ ー 挿 入を行 っ た 。 ステロイドパルス療法

症例紹介❸

FOLFOX6を16サイクル施行後に間質性肺炎を発現し、ステロイドパルス療法を行うも効果なく死亡した症例

(13)

13 発現前(−d4) 発現時(d244) 既存肺疾患は認めない。 両側に非区域性の陰影を認める。けん引性気管支 拡張(矢印)の所見を認める(DADパターン)。

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Ⅳ.市販後における間質性肺炎の発現状況について

本剤の発売(平成 17 年 4 月)から平成 21 年 10 月までに、間質性肺炎等は 118 例報告され、そのうち 間質性肺炎等の関与が否定できない死亡例(以下、「死亡例」という。)は 46 例報告されています。 本剤の使用成績調査(平成 17 年 4 月∼平成 20 年 3 月)における間質性肺炎等の発現頻度は、0.26% (13/4,998 例)と高くはないものの、間質性肺炎等を認めた 118 例のうち、死亡に至った割合は 39.0% (46/118 例)であったことから、本剤投与に際しては十分な注意が必要です。 死亡例においては、間質性肺炎の発現から死亡までの日数(発現日を 0 日とした)の中央値は 17 日(範 囲:1 − 554 日)でした。

1.間質性肺炎等発現時の臨床症状

間質性肺炎等の発現時に認められた主な臨床症状について表 1 に示しました。 呼吸困難・呼吸不全等、発熱、咳嗽、疲労・全身 怠感等が多く認められました。    表1. 間質性肺炎等の発現時の主な臨床症状 臨床症状 症例数※  呼吸困難・呼吸不全等 85  発熱 49  咳嗽 34  疲労・全身 怠感 21  肺雑音 9  血痰・痰 5  食欲低下・食欲不振等 4  冷汗・悪寒 3  皮疹等 3  意識消失・意識低下 2  低酸素血症 2  歩行困難 2  動悸 2  浮腫 2  その他 6  調査中・不明 18 ※ 重複集計

(15)

15

2.性、年齢別発現状況

性、年齢別に発現状況を集計した結果を図 1 に示しました。 50歳 未満 80歳 以上 50∼ 59歳 60∼ 69歳 70∼ 79歳 男 性 50歳 未満 80歳 以上 50∼ 59歳 60∼ 69歳 70∼ 79歳 女 性 0 5 10 15 20 25 30 35 40 45 4 4 5 5 2 2 1 1 11 1 3 15 16 31 20 6 死亡例以外 死亡例

全症例

死亡例

男性 39例 (84.8%) 男性 99例 (83.9%) 女性 19例 (16.1%) 女性 7例 (15.2%) 50歳未満 2例 (1.7%) 50∼59歳 12例 (10.2%) 80歳以上 9例 (7.6%) 80歳以上 6例 (13.0%) 60∼69歳 42例 (35.6%) 70∼79歳 53例 (44.9%) 70∼79歳 17例 (37.0%) 60∼69歳 17例 (37.0%) 50∼59歳 5例 (10.9%) 50歳未満 1例 (2.2%) N=118 N=46 N=118 N=46 図1. 性、年齢別発現状況

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3.レジメン別発現状況

レジメン別に発現状況を集計した結果を表 2 に示しました。 FOLFOX4、FOLFOX6 における比率に大きな違いはありませんでした。 その他、FOLFOX4、FOLFOX6 の途中レジメン変更や承認された用法・用量以外の併用例も認めま したが、いずれも少数例であり、投与レジメンと発現の明らかな傾向は認めませんでした。 表2. レジメン別発現状況 * FOLFOX4、FOLFOX6⇒本剤+ℓ-LV+5-FU持続静注 7例含む 投与方法 症例数(%)  FOLFOX4 34 ( 28.8% )  FOLFOX4+ベバシズマブ 6 ( 5.1% )  FOLFOX4投与例小計 40 ( 33.9% )  FOLFOX6 43 ( 36.4% )  FOLFOX6+ベバシズマブ 5 ( 4.2% )  FOLFOX6+cediranib 3 ( 2.5% )  FOLFOX6+ベバシズマブ⇒FOLFOX6 1 ( 0.8% )  FOLFOX6⇒FOLFOX6+ベバシズマブ 6 ( 5.1% )  FOLFOX6投与例小計 58 ( 49.2% )  投与レジメン(FOLFOX4⇔FOLFOX6)変更投与例小計 7 ( 5.9% )  その他投与例小計 13* ( 11.0% ) 合計 118 ( 100.0% )

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17

4.発現日までの本剤投与量

発現日までの本剤投与量の中央値(範囲)を表 3 に、発現日までの本剤投与量の分布および累積症例 数を図 2、図 3 に示しました。 発現日までの本剤投与量の中央値は 716mg/m2(範囲:57 − 1,700mg/m2)であり、中でも死亡例にお ける中央値は 850mg/m2と、より高用量でした。投与開始初期より発現し、現時点で明らかな傾向は認 めていませんが、901mg/m2以上投与した症例では発現症例中における死亡例の割合が比較的高い状況 でした。 表3. 発現日までの本剤投与量(mg/m2)の中央値(範囲) 調査中および不明症例は除く集計    図2. 発現日までの本剤投与量の分布    図3. 発現日までの本剤投与量ごとの累積症例数 発現症例数 総投与量(mg/m2 0 5 10 15 20 25 30 35 0∼300 301∼600 601∼900 901∼1,200 1,201以上 調査中・不明 9 5 14 23 11 9 8 12 8 1 5 13 死亡例以外 死亡例 累積症例数 総投与量(mg/m2 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 100以下200以下 300以下 400以下500以下 600以下 700以下 800以下 900以下1,000以下1,100以下1,200以下1,300以下1,301以上 調査中 ・不明 7 9 8 13 10 17 14 17 19 42 46 25 29 30 33 35 41 5 13 59 59 58 54 51 32 23 5 3 6 2 死亡例以外 死亡例 死亡例 死亡例以外 合計 発現日までの本剤投与量 の中央値(範囲) 850(57−1,700) N=41 671(85−1,218) N=59 716(57−1,700) N=100

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5.発現日までの本剤投与回数

発現日までの本剤投与回数の中央値(範囲)を表 4 に、発現日までの本剤投与回数の分布および累積 症例数を図 4、図 5 に示しました。 発現日までの本剤投与回数の中央値は 9 回(範囲:1 − 57 回)でした。投与開始初期より発現し、現 時点で明らかな傾向は認めていませんが、10 回以上投与した症例では発現症例中における死亡例の割 合が比較的高い状況でした。 表4. 発現日までの本剤投与回数の中央値(範囲) 調査中および不明症例は除く集計    図4. 発現日までの本剤投与回数の分布    図5. 発現日までの本剤投与回数ごとの累積症例数 発現症例数 投与回数 0 5 10 15 20 25 30 1∼3回 4∼6回 7∼9回 10∼12回 13回以上 調査中・不明 11 4 11 19 8 5 12 16 15 13 2 2 死亡例以外 死亡例 累積症例数 投与回数 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 110 120 1回以下2回以下3回以下4回以下5回以下6回以下7回以下8回以下9回以下10回以下11回以下12回以下13回以下14回以下15回以上 調査中 ・不明 6 8 11 8 14 9 22 9 17 10 15 17 41 45 25 28 29 34 35 44 2 2 70 65 61 57 53 32 23 4 3 2 死亡例以外 死亡例 死亡例 死亡例以外 合計 発現日までの本剤投与 回数の中央値(範囲) 10(1−57) N=44 9(1−19) N=70 9(1−57) N=114

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6.本剤投与開始時の肺の状況

本剤投与開始時の肺の状況を表 5 に示しました。 「肺転移有」の発現例に占める割合は 38.1%(45/118 例)であり、「間質性肺炎、肺線維症(疑)合併有」 は 10.2%(12/118 例)、「肺気腫(疑)合併有」は 8.5%(10/118 例)でした。 「肺転移有」における死亡例の比率は 44.4%(20/45 例)でした。また、「間質性肺炎、肺線維症(疑) 合併有」における死亡例の比率は 66.7%(8/12 例)でしたが、「間質性肺炎、肺線維症(疑)合併有」の症 例数は少なく、傾向は明らかではありませんでした。 表5. 本剤投与開始時の肺の状況 ※( );肺の状況別の合計例に対する比率  [ ];総計 118例に対する比率 死亡例 死亡例以外 合 計  肺転移有 20例 (44.4%) [16.9%] 25例 (55.6%) [21.2%] 45例 (100.0%) [38.1%]  間質性肺炎、肺線維症(疑)合併有 8例 (66.7%) [6.8%] 4例 (33.3%) [3.4%] 12例 (100.0%) [10.2%]  肺気腫(疑)合併有 2例 (20.0%) [1.7%] 8例 (80.0%) [6.8%] 10例 (100.0%) [8.5%] 全体 46例 [39.0%] 72例 [61.0%] 118例 [100.0%]

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7.ステロイドパルス療法に対する反応の状況

ステロイドパルス療法に対する反応の状況を表 6 に示しました。 間質性肺炎等発現例に占めるステロイドパルス療法施行例の割合は 60.2%(71/118 例)であり、間質 性肺炎等発現からステロイドパルス療法開始までの日数(発現日を 0 日とした)の中央値は 2 日(範囲: 0 − 164 日)でした。 また、ステロイドパルス療法に反応した症例(治療後に回復、軽快した症例)は 35.2%(25/71 例)で した。 表6. ステロイドパルス療法に対する反応の状況 ※ ( );総計118例に対する比率   〔 〕;ステロイドパルス療法が行われた71例に対する比率   〈 〉;ステロイドパルス療法が行われなかった46例に対する比率 ステロイドパルス療法の有無 反応(転帰) 間質性肺炎等の症例数※ 有 回復または軽快 25( 21.2% )〔 35.2% 〕 未回復 6( 5.1% )〔 8.5% 〕 後遺症 1( 0.8% )〔 1.4% 〕 死亡 37( 31.4% )〔 52.1% 〕 調査中・不明 2( 1.7% )〔 2.8% 〕71( 60.2% )〔 100.0% 〕 回復または軽快 27( 22.9% )〈 58.7% 〉 未回復 8( 6.8% )〈 17.4% 〉 死亡 9( 7.6% )〈 19.6% 〉 調査中・不明 2( 1.7% )〈 4.3% 〉46( 39.0% )〈 100.0% 〉 調査中・不明 1( 0.8% ) 総計 118( 100.0% )

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Ⅴ.参考文献

間質性肺炎についての概説

日本呼吸器学会:薬剤性肺障害の評価 治療についてのガイドライン,メディカルレビュー社,2006. 日本呼吸器学会:特発性間質性肺炎 診断と治療の手引き,南江堂,2004. 吉田清一監修:がん化学療法の有害反応対策ハンドブック 第 4 版,先端医学社 : 228-236, 2004. 弦間昭彦:間質性肺炎,日本臨牀 65 増刊号 8: 299-303, 2007.

間質性肺炎に関するWebSite

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医薬安全性情報部

〒104-0061 東京都中央区銀座7-16-21(銀座木挽ビル4F) Tel. 03(5550)8967

医薬学術部 くすり相談室

〒104-0061 東京都中央区銀座7-16-21(銀座木挽ビル6F)   0120-589601

医薬営業部

医薬札幌支店 〒062-0020 北海道札幌市豊平区月寒中央通7-6-20(JA月寒中央ビル6F) Tel. 011(856)8815 医薬仙台支店 〒980-0014 宮城県仙台市青葉区本町2-16-10(NBF仙台本町ビル4F) Tel. 022(268)8960 医薬東京第一支店 〒103-0013 東京都中央区日本橋人形町1-18-12(日土地人形町ビル2F) Tel. 03(3664)8960 医薬東京第二支店 〒330-0854 埼玉県さいたま市大宮区桜木町1-10-2(GINZA YAMATO 3 5F) Tel. 048(650)2181 医薬横浜支店 〒220-0023 神奈川県横浜市西区平沼1-39-3(三石ヨコハマビル7F) Tel. 045(316)5421 医薬名古屋支店 〒460-0002 愛知県名古屋市中区丸の内3-17-6(ナカトウ丸の内ビル5F) Tel. 052(950)3801 医薬京都支店 〒600-8023 京都府京都市下京区河原町通松原上ル2富永町338(京都四条河原町ビル8F) Tel. 075(353)5077 医薬大阪支店 〒542-0081 大阪府大阪市中央区南船場1-16-10(大阪岡本ビル7F) Tel. 06(6264)2100 医薬広島支店 〒732-0827 広島県広島市南区稲荷町2-14(住友生命広島稲荷町ビル9F) Tel. 082(568)1161 医薬福岡支店 〒815-0033 福岡県福岡市南区大橋2-1-1(大橋花村ビル2F) Tel. 092(541)4407

参照

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