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世界の粗鋼生産推移

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1

鉄鋼業の現状と課題

(高炉を中心に)

平成27年4月21日

経済産業省

(2)

1.鉄鋼業の現状

2.国内外の主要高炉メーカー

3.世界的な過剰供給構造と通商摩擦

4.過剰供給構造下における事業展開

5.海外企業の動向

6.環境の変化(技術・データ素材、安全、環境)

7.電炉業(普通鋼、特殊鋼)

8.政策的対応

9.論点

2

(3)

1.鉄鋼業の現状

(4)

産業機械産業

3.1兆円、9.4万人

自動車製造業

56兆円、95万人

情報通信機器産業

11兆円、24万人

川下

産業規模

 鉄鋼業(製造業)の国内総出荷額は18兆円(2012年)。従業員数は22万人。

 鉄鋼業(製造業)の製造業全体のGDPに占める割合は、7.2%(6.4兆円)

 鉄鋼は、産業機械、自動車、情報通信機器等の他産業の基盤となる産業。

鉄鋼卸売業 販売額:24兆円、従業員数:9万人

川上

川中

圧延、加工、鋳鍛造等

高炉、電炉

鉄鋼業

総出荷額:18兆円、従業員数:22万人

(出所)経済産業省工業統計調査、商業統計調査

4

(5)

鉄鋼は日本の基幹輸出品目

順位 1990年 2000年 2005年 2014年 輸出総額:41兆4569億円 輸出総額:51兆6542億円 輸出総額:65兆6565億円 輸出総額:73兆1052億円

1

自動車 17.8% 自動車 13.4% 自動車 15.1% 自動車 14.9%

2

事務用機器 7.2% 半導体等電子部 品 8.9% 半導体等電子部 品 6.7% 鉄鋼(3.96兆円) 5.4%

3

半導体等電子部 4.7% 事務用機器 6.0% 鉄鋼 4.6% 半導体等電子部品 5.0%

4

映像機器 4.5% 科学光学機器 5.1% 自動車部品 4.3% 自動車部品 4.8%

5

鉄鋼 4.4% 自動車部品 3.6% 科学光学機器 3.8% 有機的化合物 3.3%

6

科学光学機器 4.0% 原動機 3.2% 原動機 3.3% 原動機 3.5%

7

自動車部品 3.8% 鉄鋼 3.1% 有機的化合物 2.9% プラスチック 3.3%

8

原動機 2.7% 映像機器 2.7% 映像機器 2.7% 科学光学機器 3.3%

9

音響機器 2.3% 有機化合物 2.3% プラスチック 2.6% 電機回路等の機器 2.5%

10

通信機 2.1% プラスチック 2.0% 電機回路等の機 器 2.6% 非鉄金属 2.0%

 電子部品等の輸出が伸び悩む中、輸出総額に占める鉄鋼の割合は増加傾向。

 近年、日系自動車組立拠点向けの鋼板等の輸出が拡大。巨額の外貨を獲得する産業。

 粗鋼生産量1億1000万トンのうち、約4割(4200万トン)が輸出向け。

(出所)財務省貿易統計

5

(6)

鉄鋼業による付加価値

 鉄鋼輸出額の約4兆円に対し、主原料である鉄鉱石・原料炭の輸入額(輸出鋼材用)は約1兆円。(2014年)  鋼材1㌧当たりでは、平均販売価格の約8万2千円に対し、原料価格は約3万4千円。(2014年度見通し) 0.00 0.50 1.00 1.50 2.00 2.50 3.00 3.50 4.00 4.50 5.00 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 スプレッド 鉄鋼輸出額 鉄鉱石輸入額* 原料炭輸入額* 鉄鋼輸出額と原料輸入額(輸出鋼材用)の推移 ※ 鉄鉱石輸入額及び原料炭輸入額の全体に、鋼材輸出比率を掛け合 わせた金額を使用。 兆円 23420 51030 86000 75700 80200 33604 0 20000 40000 60000 80000 100000 120000 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 ■ 新日鐵住金 ■ JFEスチール ■ 神戸製鋼所 ■原料費 ■スプレッド ※鋼材1トン当たりの原料費は次の仮定を置いて計算。 ・銑鉄1トンを製造するために用いる鉄鉱石は1.5トン、石炭は0.5トン。 ・銑鉄1トンから製造される鋼材は0.87トン。 ・鉄鉱石と石炭の単価は、3社のHPの数値の平均を使用。為替レートはブ ルームバーグから。 ※スプレッドは、3社の平均鋼材単価から原料費を引いたもの。3社の鋼材価格 は、それぞれ3社のHPの数値。 円 各社の鋼材単価と原料費の推移 ※ 鉄鋼輸出額には電炉材も含まれ、また、原料炭輸入額には鉄鋼業 向け以外のものも含まれるなど、あくまで付加価値額の概数を把握 するための数字として参照されたい。

6

(7)

神戸製鋼所

高炉メーカー 4社

2014年度(見込み) 粗鋼生産量2013年度) 2014年度(見込み) 売上高 (2013年度) 2014年度(見込み) 経常利益 (2013年度) 新日鐵住金 47.6百万t (48.2百万t) 5.65兆円 (5.52兆円) 4100億円 (3610億円) JFEHD 31.3百万t (31.6百万t) 3.84兆円 (3.67兆円) 2100億円 (1737億円) 神戸製鋼所 7.6百万t (7.0百万t) 1.91兆円 (1.82兆円) 900億円 (850億円) 日新製鋼 3.93百万t (3.92百万t) 0.62兆円 (0.57兆円) 200億円 (166億円)

特殊鋼専業メーカー 10社

普通鋼電炉メーカー 32社

上位5社 2014年度 生産量 (見込み) (2013年度) 2014年度 売上高 (見込み) (2013年度) 2014年度 経常利益 (見込み) (2013年度) 大同特殊鋼 1.5百万t (1.5百万t) 4900億円 (4577億円) 220億円 (203億円) 山陽特殊製鋼 1.2百万t (1.1百万t) 1700億円 (1616億円) 80億円 (67億円) 愛知製鋼 1.0百万t (0.9百万t) 2395億円 (2374億円) 90億円 (98億円) 三菱製鋼 0.5百万t (0.7百万t) 1168億円 (1116億円) 53億円 (59億円) 新日鐵住金 ステンレス (2147億円) (72億円) 上位5社 2014年度 生産量 (見込み) (2013年度) 2014年度 売上高 (見込み) (2013年度) 2014年度 経常利益 (見込み) (2013年度) JFE条鋼 2.9百万t (2.7百万t) (2037億円) (46億円) 東京製鐵 2.2百万t (2.4百万t) 1620億円 (1390億円) 125億円 (32億円) 共英製鋼 1.7百万t (1.6百万t) 1850億円 (1747億円) 125億円 (31億円) 合同製鉄 1.2百万t (1.2百万t) 1300億円 (1310億円) 40億円 (-18億円) 大阪製鉄 0.8百万t (0.8百万t) 680億円 (690億円) 90億円 (52億円) 電気炉を用いて、鉄スクラップと、レアメタル等の副原料を用いて、硬さ、耐摩性等の 特殊な機能を持たせた高級鋼を製造。自動車部品等に用いられる。 電気炉を用いて、鉄スクラップ等から普通鋼を製造。中小企業比率が高い。 鉄鉱石と原料炭を用いた製鉄法(高炉法)に より鋼材を製造。

我が国鉄鋼メーカーの概要

(出所)各社IR資料

7

(8)

44% 5% 16% 8% 2% 4% 18% 3% 鉄鋼 溶接 アルミ・銅 機械 エンジニアリング 神鋼環境ソリューション コベルコ建機 コベルコクレーン 売上高 1兆8247億円 57% 6% 37% 鉄鋼 エンジニアリング 商社 売上高 3兆6669億円 86% 6% 4% 1% 3% 製鉄 エンジニアリング 化学 新素材 システムソリューション 売上高 5兆5,516億円

89% 5% 3% 3% 製鉄 エンジニアリング 化学 システムソリューション 経常利益 3,611億円 76% 11% 13% 鉄鋼 エンジニアリング 商社 経常利益 1737億円 39% 8% 17% 7% 5% 3% 17% 4% 鉄鋼 溶接 アルミ・銅 機械 エンジニアリング 神鋼環境ソリューション コベルコ建機 コベルコクレーン 経常利益 850億円 JFEHD 神戸製鋼所 新日鉄住金 日新製鋼 100% 鉄鋼 売上高 5764億円 100% 鉄鋼 経常利益 166億円

主要企業の売上高と経常利益の比較(

2013年度)

(出所)各社IR資料 60% 27% 13% 0% 50% 100% 日本 アジア その他 66 34 0% 50% 100% 日本 その他 65% 10% 25% 0% 20% 40% 60% 80% 100% 日本 中国 その他 81% 8% 7% 4% 0% 50% 100% 日本 東アジア 北米 その他 ※鋼材輸出比率(金額ベース)は、新日鉄住金47%、JFEスチール48%、神戸製鋼所31%、日新製鋼16%。 神戸製鋼所の鉄鋼事業の経常利益335億円のうち、約160億円は140万kW級IPP事業に拠るもの。 国 別 割 合

8

(9)

新日鐵住金室蘭製鉄所 新日鐵住金君津製鉄所 新日鐵住金名古屋製鉄所 新日鐵住金大分製鉄所 新日鐵住金八幡製鉄所 JFEスチール西日本製鉄所(倉敷地区) JFEスチール西日本製鉄所(福山地区) JFEスチール東日本製鉄所(千葉地区) JFEスチール東日本製鉄所(京浜地区) 新日鐵住金鹿島製鉄所 新日鐵住金和歌山製鉄所 日新製鋼呉製鉄所 神戸製鋼所加古川製鉄所 神戸製鋼所神戸製鉄所 ■ 新日鐵住金 ■ JFEスチール ■ 神戸製鋼所 ■ 日新製鋼 凡例

高炉メーカー製鉄所分布図

 日本国内における粗鋼生産量(高炉、電炉)は、年間約1億1000万㌧。

 高炉製鉄所の数は、新日鐵住金7、JFEスチール4、神戸製鋼所2、日新製鋼1。

 国内の高炉は全部で28基。

国内高炉における 粗鋼生産量シェア (2013年度) (出所)各社IR資料 新日鐵住金 53% JFEHD 35% 神戸製鋼所 8% 日新製鋼 4%

9

(10)

 粗鋼生産の4分の3を高炉メーカーが占める。  その他、電炉・単圧等様々なメーカーが存在。  需要先は、国内:海外が概ね6:4。 鉄鉱石 原料炭 スクラップ 高炉メーカー 4社 (77%) 新日鐵住金 JFEスチール 神戸製鋼所 日新製鋼 普通鋼電炉32社 (16%) 特殊鋼電炉10社 (7%) 加工業者 約2600社 海外需要家(41%) 韓国 18% 中国 15% ASEAN 31% 米国 6% その他 30% 国内需要家(59%) 土木 9% 建築 30% 造船 7% 自動車29% 産機 9% 電機 4% その他 12% 単圧メーカー 熔協メーカー など 【鉄鋼メーカー】 【鉄鋼流通】 【需要分野】 (普通鋼+特殊鋼) 鋳鍛鋼メーカー等

日本鉄鋼業の業界構造

・流通販売構造(2013年度)

 鉄鋼流通は、多くが一次問屋経由。複雑な販売形態。  販売形態は、「ひも付き」が主流。「店売り」は約4分の1。  「ひも付き」では「高級鋼」、「店売り」では汎用鋼が主体。 (出所)鉄鋼連盟資料 一次 問屋 (商社含 む) 約60社 二次問屋 (特約店) 約1,400社 直売(約5%) ひも付き(約70%) 店売り (約25%)

10

(11)

鋼材

橋 電車 船舶 自動車 建設物 ビル鉄骨と クレーン 産業機械 線材 薄板 厚板 形鋼 家庭電気用品

鋼材フローチャートとグレード

用途

フローチャート

グレード

ミドルグレード

スペック売りではあるが

技術的にやや高度な鉄鋼製品

ローグレード

スペック売りの汎用規格品

高級鋼(ハイエンド)

需要家のニーズに即して開発・製造する

用途に適した機能を持たせた鉄鋼製品

11

(12)

超ハイテン材(980、1180、1470MPa) 特殊鋼(線材) 無方向性電磁鋼板 機械構造用鋼 (重要保安部品向け) (出所)新日鐵住金HPの図使用、各社ヒアリング

自動車用部材における技術優位性

12

(13)

(出所)法人企業統計 11.1 -2 0 2 4 6 8 10 12 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 全産業 製造業 鉄鋼業 輸送用機械 建設業

 我が国の鉄鋼業における営業利益率は、中国の需要拡大により2005年度には他産業を大きく上

回る水準にあったものの、リーマンショックの影響で大きく下落。

 2013年には、主要需要産業である輸送用機械業や建設業の利益率がリーマン前を上回る中、鉄

鋼業はリーマン前の3分の1以下。

 背景にあると考えられるのが、中国・韓国企業の生産能力増強による世界鉄鋼市況の悪化。

我が国における産業別の売上高営業利益率推移

売上高営業利益率の推移

13

(14)

4897 2570 2896 1757 1506 914 1014 211 4187 3310 1813 1287 828 221 0 500 1000 1500 2000 2500 3000 3500 4000 4500 5000 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 新日鐵住金 JFEHD 神戸製鋼所 日新製鋼 設備投資額 減価償却費

設備投資額・減価償却費推移

 高炉各社の設備投資額は2007年・2008年をピークに減少傾向にある。 億円 2013年度 (単位:億円) 設備投資額 (売上割合) 売上 新日鐵住金 2570(4.7%) 55162 JFEHD 1757(4.8%) 36669 神戸製鋼所 1014(5.6%) 18247 日新製鋼 211(3.7%) 5764 2013年度 (単位:億円) 設備投資額 (売上割合) 売上 トヨタ 10200(4.0%) 256919 パナソニック 2170(2.8%) 77365 三菱重工 1370(4.1%) 33496 コマツ 1791(9.2%) 19537 東レ 1139(6.2%) 18378 (出所)各社IR資料

14

(15)

原料価格推移

 原料炭及び鉄鉱石の価格は、近年下落傾向。

 しかし、この影響で競争力の低い炭鉱や鉱山が閉鎖に追い込まれた場合は、大手サプライヤー

による市場の寡占化が更に進む可能性。

Vale 24% Rio Tinto 21% BHP Biliton 19% その他 35% 鉄鉱石の海上貿易量シェア (2014年/速報) 主要3社シェア 65% BHP 24% Anglo 7% Xstrata 4% Rio Tinto 5% その他豪 州15% 米国 18% カナダ 11% ロシア 8% その他 10% 主要4社シェア 39% 出所:大和証券キャピタル・マーケッツ 原料炭の海上貿易量シェア 62.00 117.00 0.00 50.00 100.00 150.00 200.00 250.00 300.00 350.00 11 .1Q 11 .3Q 12 .1Q 12 .3Q 13 .1Q 13 .3Q 14 .1Q 14 .3Q 15 .1Q 鉄鉱石 原料炭 7351 13960 0 5000 10000 15000 20000 25000 30000 11 .1Q 11 .3Q 12 .1Q 12 .3Q 13 .1Q 13 .3Q 14 .1Q 14 .3Q 15 .1Q ドル 円 四半期の鉄鉱石と原料炭の価格推移 (ドルベース・円ベース) 300.00 119.00 162.75 93.00 0.00 50.00 100.00 150.00 200.00 250.00 300.00 原料炭 鉄鉱石 ドル 年間の鉄鉱石と原料炭の価格推移 (ドルベース) ※四半期価格を平均 (出所)各社IR資料

15

(16)

2.国内外の主要高炉メーカー

(17)

世界の主要鉄鋼メーカー

順位 1970年 1980年 1990年 2000年 2013年 世界生産量(上位10位) 5.95億㌧(1.73億㌧) 7.16億㌧(1.51億㌧) 7.70億㌧(1.51億㌧) 8.50億㌧(2.11億㌧) 16.49億㌧(4.45億㌧) 1 新日本製鉄(日本) 34.6 新日本製鉄(日本) 32.9 新日本製鉄(日本) 28.8 新日本製鐵 (日本) 28.4 Arcelor Mittal(欧州) 96.1

2 US Steel (米国) 28.5 US Steel (米国) 21.1 Usinor (欧州) 23.3 POSCO (韓国) 27.7 新日鐵住金 (日本) 50.1 3 British Steel (欧州) 25.6 日本鋼管(日本) 14.0 POSCO (韓国) 16.2 Arbed (欧州) 24.1 河北鋼鉄 (中国) 45.8

4 Bethlehem Steel (米国) 18.7 Finsider (欧州) 13.7 British Steel (欧州) 13.8 LNM (欧州) 22.4 宝山鋼鉄 (中国) 43.9

5 日本鋼管(日本) 12.9 Bethlehem Steel (米国) 13.6 USX (米国) 12.4 Usinor (欧州) 21.0 武漢鋼鉄 (中国) 39.3

6 Thyssen (欧州) 12.2 住友金属 (日本) 12.7 日本鋼管 (日本) 12.1 Corus (欧州) 20.0 POSCO (韓国) 38.4 7 住友金属(日本) 11.2 川崎製鉄(日本) 12.7 ILVA (欧州) 11.5 ThyssenKrupp (欧州) 17.7 江蘇鋼鉄 (中国) 35.1 8 川崎製鉄(日本) 11.0 Thyssen (欧州) 12.4 Thyssen (欧州) 11.1 宝山鋼鉄 (中国) 17.7 鞍山鋼鉄 (中国) 33.7 9 Finsider (欧州) 9.7 Usinor (欧州) 9.2 住友金属(日本) 11.1 日本鋼管 (日本) 16.0 首都鋼鉄 (中国) 31.5

10 Republic Steel (米国) 8.7 J&L (米国) 8.8 川崎製鉄(日本) 11.1 Riva(欧州) 15.6 JFEスチール(日本) 31.2

17

(単位)各社数値の単位は百万トン、(出所)World Steel Association

(18)

※日本企業は全て年度、宝山鋼鉄、ポスコ、アルセロール・ミタル、タタスチールは年、 ティッセンクルップは10/1~9/30決算に依る ※ブルームバーグより引用、日本企業は2014年度は見込み、1㌦=105.9円換算 ※新日鐵住金の2014年度営業利益見込みは未公表、ティッセンクルップは売上高、営業利益 率共に未公表 ※次スライドも同様 ムーディーズ格付け推移(Long-Term Rating) 注)神戸製鋼・日新製鋼の格付けは行われていない。 ムーディー ズ 2010 年 2011年 2012年 2013年 2014年 新日鐵住金 A1 A2 A3 (12年 4/23) A3 A3 JFEスチール A2 A3 (12年Baa1 5/23) Baa1 Baa1 ポスコ A2 A3 Baa1 (13年Baa2 11/25) Baa2 アルセロー ル ミッタル

Baa3 Baa3 (12年Ba1

6/11) Ba1 Ba1

ティッセンク

ルップ Baa3 Baa3 Baa3

Ba1 (13年 1/24) Ba1

国内外主要企業の収益状況

高炉各社の売上高・営業利益率 1.94 1.41 3.25 1.26 5.74 -3.14 -1.84 5.41 4.18 6.28 2.88 4.84 1.51 2.7 5.47 6.02 3.58 4.94 5.04 -4 -2 0 2 4 6 0 10000 20000 30000 40000 50000 60000 70000 80000 90000 営業利益率 (2013年) 営業利益率 (2012年) 売上高 (2012年) 売上高 (2013年) 売上高 (2014年) 営業利益率 (2014年) 百万㌦ (出所)各社IR資料、ブルームバーグ

18

(19)

国内外主要企業のROEと自己資本比率

ROE(%)

2012

2013

2014

自己資本比率

(%)

2012

2013

2014

新日鐵住金

(年度)

6

10

8

新日鐵住金

41

46

未公表

JFEHD

(年度)

3

6

8

JFEHD

39

41

未公表

神戸製鋼所

(年度)

5

10

10

神戸製鋼所

26

32

未公表

日新製鋼

(年度)

21

9

7

日新製鋼

26

29

未公表

宝山鋼鉄

(年)

9

5

6

宝山鋼鉄

54

53

未公表

ポスコ(年)

6

3

1

ポスコ

54

54

53

アルセロール・ミタ

ル(年)

6

5

2

アルセロール・ミタ

44

47

46

ティッセン

クルップ

10/1~

9/30)

46

8

未公表

ティッセン

クルップ

7

9

未公表

タタスチール

(年)

15

9

6

タタスチール

24

25

未公表

(出所)ブルームバーグ(3月末時点)

19

(20)

新日鐵住金、

 各国での鋼材市況の悪化等により、ドル建ての平均輸出価格は日中韓ともに近年下落傾向。

 ただし、日本については、円建てでは、円高修正の影響により、2013,14年と価格が上昇。

各社の増益要因となった。

日本の平均鉄鋼輸出価格(ドル) 日本の平均鉄鋼輸出価格(円) 中国の平均鉄鋼輸出価格(ドル) 韓国の平均鉄鋼輸出価格(ドル)

平均輸出価格の推移

0 500 1,000 1,500 2,000 2,500 3,000 3,500 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 EU 米国 インド 韓国 中国 世界計 0 50,000 100,000 150,000 200,000 250,000 300,000 350,000 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 EU 米国 インド 韓国 中国 世界計 0 500 1,000 1,500 2,000 2,500 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 米国 日本 EU インド 世界計 韓国 0 200 400 600 800 1,000 1,200 1,400 1,600 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 EU 中国 米国 世界計 インド 日本 (出所)鉄鋼連盟

20

(21)

 各国での鋼材市況の悪化等により、ドル建ての平均輸出価格は日中韓ともに近年下落傾向。

 ただし、日本については、円建てでは、円高修正の影響により、2013,14年と価格が上昇。

各社の増益要因となった。

日本の平均鉄鋼輸出価格(ドル) 日本の平均鉄鋼輸出価格(円)

鋼種別平均輸出価格の推移

0 500 1,000 1,500 2,000 2,500 3,000 3,500 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 継目無鋼管 棒鋼 線材 亜鉛めっき鋼板 形鋼 熱延薄板類 0 50,000 100,000 150,000 200,000 250,000 300,000 350,000 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 継目無鋼管 棒鋼 線材 亜鉛めっき鋼板 形鋼 熱延薄板類 0 500 1,000 1,500 2,000 2,500 3,000 3,500 4,000 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 継目無鋼管 棒鋼 亜鉛めっき鋼板 線材 形鋼 熱延薄板類 韓国の平均鉄鋼輸出価格(ドル) 0 200 400 600 800 1,000 1,200 1,400 1,600 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 継目無鋼管 熱延薄板類 亜鉛めっき鋼板 形鋼 棒鋼 線材 中国の平均鉄鋼輸出価格(ドル) (出所)鉄鋼連盟

21

(22)

韓国ポスコの研究開発費は増加傾向。中国メーカーによる技術面での追い上げも加速。

鉄鋼業は他産業と比較して、研究開発費の売上に占める割合が低い。

研究開発費動向

ポスコのキム・ジェヨル・マーケティング戦略室 長は「最近自動車用鋼板分野で韓国と中国の 技術格差が3年から1年に縮小した。中国の 追撃が予想よりも早い」と話した。価格競争力 で優位に立つ中国が技術力でも韓国に迫り、 ポスコは危機感を高めている。 (朝鮮日報14 年2月3日) 「日本の技術は中国に徹底的に研究され、模 倣され、そして分野によっては超えられつつあ るというのが現実である」。宗岡正二・新日鉄 住金会長は、3日に経団連会館で開催された 日本鉄鋼協会創立100周年記念式典で記念 講演を行い、中国鉄鋼業の技術キャッチアッ プに対して危機意識を強く持つべきだと提言し た。(日刊産業新聞15年2月5日) 中国メーカーの技術力追い上げ ポスコは、「鉄鋼本源競争力の強化」を目標に 掲げて、2014年のR&D投資額を前年比2 0%以上増額した。 (鉄鋼新聞15年2月5日) 韓国メーカーの研究開発費増額 研究開発費 (売上割合) 売上高 新日鐵住金 644(1.2%) 55162 JFEHD 312(0.9%) 36669 神戸製鋼所 285(1.6%) 18247 日新製鋼 37(0.6%) 5764 ポスコ 522(0.9%) 55188 トヨタ 9105(3.5%) 256919 パナソニック 4788(6.2%) 77365 三菱重工 1385(4.1%) 33496 コマツ 644(3.3%) 19537 東レ 555(3.0%) 18378

22

研究開発費 2011 単体 /連結 2012 単体 /連結 2013 単体 /連結 2014 単体 /連結 新日鐵住金 (年度) 319/481 331/601 244/644 NA JFEHD

(年度) NA/319 NA/337 NA/312 NA 神戸製鋼所 (年度) 221/314 213/308 NA/285 NA 日新製鋼所 (年度) NA NA/45 NA/37 NA ポスコ(年) 370/438 364/438 NA/522 NA/698 宝山鋼鉄

(年) NA/625 NA/481 NA/540 NA 河北鋼鉄

(年) NA/300 NA/268 NA/282 NA 武漢鋼鉄

(年) NA/27 NA/28 NA/100 NA

アルセロー

ル・ミタル(年) NA/244 NA/227 NA/264 NA/274

各社の研究開発費 ※ ブルームバーグから引用 ※ 宝山鋼鉄に関しては、平成26年度製造基盤技術実 態等調査事業(アジア主要鉄鋼企業の市場戦略調 査)から引用 (単位:億円) ※ 研究開発費の売上高比率 (他産業との比較) (2013年度) (単位:億円)

(23)

3.世界的な過剰供給構造と通商摩擦

(24)

0 100 200 300 400 500 600 700 800 900 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 中国 EU 日本 アメリカ インド 韓国 中国:8億2100万㌧ (14年) (百万トン) (年) 日本:1億1100百㌧ (14年) 【各国粗鋼生産量の推移】 1000 1200 1400 1600 1800 2000 2200 2400 粗鋼生産能力 粗鋼生産量 見掛消費量 (百万トン)

世界的な過剰供給構造(需給ギャップ)

 世界の鉄鋼需要は、景気後退を受けて2009年に大幅減となったが、2010年以降回復。中長期

的には、先進国が伸び悩む中で、新興国への需要シフトが一段と進展。

 しかし、需要を上回る急激な粗鋼生産能力の向上により、世界の鉄鋼市場は、需給ギャップが

生じており、過剰供給構造となっている。

【世界の鉄鋼市場におけるギャップ】

(出所)World Steel Association「 Crude steel production 」 15年粗鋼生産能力(予測): 23億1000万㌧ 15年粗鋼生産量(予測): 16億5600万㌧ 約6億5000万㌧ 出典:OECD鉄鋼委員会統計、オーストラリア資源・エネ ルギー経済局統計より経済産業省作成 ※13年の生産能力は推計値、14,15年の全データは予測値

24

(25)

アジア地域での鉄鋼業の事業展開

 アジアの成長マーケットでの鉄鋼需要を直接取り込むため、近年、各国鉄鋼メーカーが、

各地で高炉を建設。

 日本の鉄鋼メーカーは、現在のところ、アジアでの粗鋼生産は行っていない.

(出所)報道より作成 POSCO(尼・バンテン州チレゴン) 1期300万トン(2013年稼働) 2期300万トン (計画) POSCO(印・オディシャ州) 1200万トン (計画) 現代製鉄(韓・唐津) 1期400万トン(2010年稼働) 2期400万トン(2010年稼働) 3期400万トン(2013年稼働) 中国鋼鉄(台・高雄) 250万トン(2010年稼働) タタスチール(越・ハティン省) 450万トン (計画) 台湾プラスチック(越・ハティン省) 2250万トン(2020年までの2期合計) (計画) (1期710万トンが2016年稼働予定) 首鋼集団(馬・トレンガヌ州) 1期70万トン(2015年稼働) ライオングループ(馬・スランゴール州) 200万トン(2015~2016年稼働予定) JFE(越・ダナン) 350万トン(FS中止) 宝鋼集団(中・広東省湛江) 893万トン (2015年9月稼働予定) 武漢鋼鉄(中・防城港市) 920万トン(2016年稼働予定) 山東鉄鋼集団(中・山東省日照市) 810万トン (2016年稼働予定)

25

(26)

 中国企業の粗鋼生産能力は、

2008年から2014年の間に約1.6倍となる見込み。更に20

16年には、宝鋼等の複数の大型高炉一貫製鉄所の操業開始が予定されている。

 韓国企業の粗鋼生産能力は、2008年から2014年の間に約1.5倍となる見込み。2015年

半ばには、ポスコがインドネシアにおける高炉増設の是非を決定するとも言われている。

 他方、

中国の鋼材見掛消費量は、2014年に減少に転じた。(前年比▲3.8%)

GDP

は、約11兆7千億元(2008)から

約19兆2千億元(2014)へ

約1.6倍

に増加

GDP

は、約1180兆ウォン(2008)から

約1433兆ウォン(2014)へ

約1.2倍

に増加

中国・韓国企業の生産能力向上

(出所)IMF 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 110 120 2008 2009 2010 2011 2012 ※2013 ※2014

韓国企業の生産能力と国内消費

国外能力 国内能力 見掛消費 (百万トン) ※2013年は見込み値、14年は予測値 出典:OECD(生産能力)

1.5倍

0.9倍

0 100 200 300 400 500 600 700 800 900 1,000 1,100 1,200 2008 2009 2010 2011 2012 ※2013 ※2014

中国企業の生産能力と国内消費

国内能力 見掛消費

1.6倍

※2013年は見込み値、14年は予測値 出典:OECD(生産能力) (百万トン)

1.6倍

26

(27)

2008年 2009年 2010年 2011年 2012年 2013年 2014年 韓国 20,165 19,994 24,332 28,472 29,821 28,536 31,579 0 5 10 15 20 25 30 35 輸出量 (百 万 ト ン

韓国鋼材輸出量

2008年 2009年 2010年 2011年 2012年 2013年 2014年 中国 59,270 24,590 42,560 48,910 55,800 62,340 93,780 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 輸出量 (百 万 ト ン

中国鋼材輸出量

約1.6倍

約1.5倍

 中国の鋼材輸出量は、リーマンショックの影響で一旦落ち込んだものの、生産能力の増強、内

需の減少、増値税の輸出時の還付措置により、2014年に急増。

韓国の鋼材輸出量は、リーマンショック後も落ち込まず、2008年から2014年の間で、約1.6

倍に増加。

約1.6倍

(出所)中国海関総暑 (出所)韓国政府通関統計

中国・韓国からの輸出の増加

27

(28)

(出所)韓国鉄鋼新聞、中国物資価格信息、鉄鋼新聞

 日本は、 2011年4月の75000円から、 一旦は2012年12月に57000円になったが、国内

景気回復等に伴って上昇に転じ、2015年3月は66000円。

 中国と韓国では、2011年以降下がり基調。

中国 2011年4月 5060元 → 2015年3月 2790元 ▲約45% 韓国 2011年4月 1010ウォン →2015年3月 750ウォン ▲約27%

 ASEANでは、設備稼働率が下落を続け、近年は50%を大きく下回っている状況。

鋼材市況と設備稼働率

(日本:百円、韓国:千ウォン、中国:十元)

28

(出所)日本鉄鋼連盟資料 ASEAN6ヵ国の粗鋼生産と 生産能力および稼働率の推移 熱延鋼板の価格推移 (日本、韓国、中国)

(29)

注) セーフガード調査 の対象は全地域 AD調査国 被調査国(アジア) 中国 7件、 台湾 3件 韓国 2件、 越 1件 中国、韓国 4件 尼 2件、 台湾 1件 中国 4件、韓国、台湾 3件 日本、越、タイ、馬 1件 ベトナム 中国、台湾、尼、馬 1件 インド 中国、韓国 3件、馬 1件 中国 日本 1件 台湾 中国、韓国 1件 中国 5件、 韓国 4件、台湾3件 印、日本 2件、 タイ 1件 韓国 5件 中国、印 4件、泰、尼 3件 台湾、比、越 2件、日本 1件 メキシコ 中国 6件、 韓国 1件 コロンビア 中国 2件 ペルー 中国 1件 中国 7件 韓国、台湾 3件、 越 1件 中国、韓国、台湾 6件 日本、タイ 4件 馬 3件、尼 2件 印、越 1件 中国 6件、印 4件 台湾 2件、韓国、日本 1件 ロシア 中国 3件 トルコ 中国、台湾、馬、越 1件 豪州 EU タイ マレーシア インドネシア 米国 カナダ ブラジル インドネシア 5件 インド 2件 タイ 2件 コロンビア 2件 マレーシア 1件 フィリピン 1件 エジプト 1件 ヨルダン 1件 モロッコ 1件 セーフガード調査国

AD/CVD

SG

2011年 14件 2件 2014年 28件 8件

 2011年から2014年にかけて、鉄鋼製品

を対象とした貿易救済措置(注)の調査開始

件数は倍以上に増加。

 全世界で取られる貿易救済措置のうち、約

2~4割が鉄鋼製品を対象としている。

全措置に占める鉄鋼関係の比率

AD

24.5%

CVD

41%

SG

17%

(参考)2011年以降に調査開始されたAD、SG ※シロ認定以外 注) 2015年3月末時点

通商摩擦の増加

(出所)OECD資料 AD: アンチ・ダンピング措置(特定国対象) CVD: 補助金相殺関税措置(特定国対象) SG: セーフガード措置 (全地域対象) (注)輸入国における特別関税の賦課

29

(出所)日本鉄鋼連盟資料より 経済産業省作成

(30)

米州諸国の懸念

30

米国、カナダ、メキシコ政府 連名ステートメント (2014年6月)  世界の鉄鋼生産能力の伸びが鉄 鋼需要を上回る場合、世界の企 業は今後何年にもわたって著しい 過剰供給問題に直面することに。  新たな能力増強や非効率設備の 維持のための支援は、各市場に おけるもっとも効率的な鉄鋼生産 者をリスクに晒す。  過剰能力は世界的な問題である。 過剰能力問題による影響を緩和 又は最小化するために輸出を行 う企業は、他の国における市場環 境を破壊。

米Economic Policy Institute報告書 (2014年5月)  世界の過剰生産能力は5億トン を超え、アジア金融危機後の2 倍以上の水準。  不公正な輸入の急増は、米国鉄 鋼生産者から市場と生産を収奪。  (特に中国、韓国、インド、他の 鉄鋼輸出国における)国際的な 過剰生産能力の急速な伸びは、 世界の鉄鋼市場を不安定化。  米国鉄鋼業界の危機により、 2013-2014年に貿易救済措置の 申請の波が押し寄せ、これは通 常の水準を遥かに上回る。  貿易救済措置法の執行は、米国 鉄鋼業界の生存に不可欠。 中南米鉄鋼協会ステートメント (2013年12月)  この地域は鋼材の輸出者か ら輸入者に転じた。安価で大 量の輸入は、不公正貿易課 税措置に繋がる。  アジア(特に中国)からの輸 入の伸びは、地域内の貿易 に損害をもたらす。  大量の輸入によって雇用問 題が発生。対処が必要。  輸入を監視し、不公正な貿易 慣行を特定する必要。政府に 産業空洞化対策の警鐘を鳴 らす必要。

30

(31)

尼クラカタウ・ポスコの稼働と通商摩擦

 2013年12月、インドネシアにおいて、韓国ポスコと尼クラカタウの合弁会社による高炉が稼働

し、厚板、半製品等の出荷を開始。(投資額は約4000億円)

 インドネシア国内での販売先が得られなかった結果

、高炉の稼働率が8割に達した2014年第2

四半期以降、台湾、マレーシアへの厚板輸出を急増させるとともに、タイ、韓国等への半製品の

輸出を開始。

 この影響等により、マレーシアで厚板に対するセーフガード調査が開始されたほか、台湾でも厚

板に対するアンチ・ダンピング調査開始申請の可能性(※)が報じられるなど、

新たな通商摩擦の

引き金

となっている。

(※)台湾向けの輸出が大きく伸びているインドネシアと韓国のみならず、大幅に減少している

日本も対象との報道。

日本が巻き添えを受けている事例

31

(32)

4.過剰供給構造下における事業展開

(33)

生産拠点集約による競争力強化

 高炉各社は、価格競争力強化のため、生産拠点を集約するとともに、集約先の設備の強化を

実施中。

新日鐵住金 ・君津製鉄所の第3高炉を休止。 他方、第2、第4高炉の出銑比の向上を予定。(2015年度末目途) ・八幡製鉄所小倉地区の第2高炉を休止。 他方、同製鉄所戸畑地区の第4高炉の出銑比向上等を予定。 (2018年度末目途) <主な集約化の動き> 加古川製鉄所 (加古川市) 高炉2基 生産能力:約700万トン 神戸製鉄所 (神戸市) 高炉1基 生産能力:約100万トン →休止へ 神戸製鋼所 ・神戸製鉄所の高炉を休止。(2017年度目途) ・他方、ブルーム連続鋳造設備の新設、溶銑予 備処理設備の導入等、加古川製鉄所を強化。 (総額500億円) 日新製鋼 周南製鋼所 (周南市、旧日新製鋼) 衣浦製造所 (碧南市、旧日本金属工業) 製鋼工程増強 製鋼工程休止へ 呉製鉄所 ・衣浦製造所の製鋼工程を休止。(2015年末予定) ・他方、転炉設備の増強、連続鋳造設備の新設 等、周南製鋼所を強化。(総額270億円) 八幡製鉄所小倉地区 (旧住友金属工業) 第2高炉休止へ 八幡製鉄所戸畑地区 (旧新日本製鐵) 出銑比向上 (出所)各社HP

33

(34)

海外生産拠点設立の動き

 高炉各社は、粗鋼生産ではなく、最終製品に近い鋼材を現地ユーザーにタイムリー、低コストで供

給すること等を目的に、下工程(冷延、めっき等)を拡充。アジア中心に、下工程で外需取込み。

新 日 鐵 住 金 神 戸 製 鋼 所 ・冷間圧造用鋼線製造・販売の合弁会社(メキシコ) 主要製品:冷間圧造用鋼線(CHワイヤー) 総投資額:43億円 出資比率:神鋼商事40%、メタルワン25%、神戸製鋼所10%、 大阪精工10%、 Simec10%・O&k American5% 稼働予定:2015年末 ・鞍山鋼鉄集団公司との合弁会社設立(中国) 主要製品: 自動車用鋼板 総投資額: 290億円 出資比率: 神戸製鋼所49%、鞍鋼51% 稼働予定: 2016年 ・特殊鋼圧延の合弁会社設立(中国) 主要製品: 自動車部品用特殊鋼 総投資額: 1億2400万ドル 出資比率: 日新製鋼55%、伊藤忠丸紅鉄鋼35%、 米ワージントン社10% 稼働予定: 2015年末 ・アルセロールミタル(AM)との合弁会社設立(米国) 主要製品: 熱延鋼板、冷延鋼板、溶融亜鉛めっき鋼板 買収総額: 15.5億ドル 出資比率: 新日鐵住金50%、AM社50% 買収完了: 2014年2月 ・クラカタウ(KS)との合弁会社設立(インドネシア) 主要製品: 自動車用鋼板 設備投資額: 3億ドル 出資比率: 新日鐵住金80%、KS社20% 稼働予定: 2017年半ば J F E ス チ ー ル 日 新 製 鋼 ・自動車用溶融亜鉛鍍金ラインの建設(インドネシア) 主要製品: 自動車用鋼板 総投資額: 3億ドル 出資比率: JFEスチール100% 稼働予定: 2016年3月 ・大径溶接鋼管の合弁会社設立(UAE) 主要製品:パイプライン用大径溶接鋼管 総投資額:3億ドル 出資比率:JFE27%、SENAAT51%、MISI22% 稼働予定:2018年10月 (出所)各社HP

34

(35)

35

【日韓5社の主な自動車用鋼板生産拠点】 国名 (2013年自動車 生産台数 (万台)) 新日鐵住金 JFEスチール 神戸製鋼所 日新製鋼 POSCO 中国(2212) BNA(50%) GJSS(50%) KAA (49%) (2016稼働)

Nisshin Steel (Nantong) High-Tech Sheet(90%) NBSS (20%) POSCO(広東、重慶) (100%) タイ(253) SUS(52.2%) NSGT(100%) TCR(35%) TCS(81%) JSGT(100%) POSCO-COATED STEEL (100%) (2016稼働) インドネシア (121) KNSS (80%) (2017稼働) JSGI (100%) (2016稼働) 検討中(報道) ベトナム(4) CSVC(30%) 検討中 マレーシア(60) BAHRU STAINLESS SDN. BHD. (30%)

インド(388) JCAPCPL(49%) JSW(15%) POSCO Maharashtra (100%) 米国(1105) AM/NS Calvert (50%) I/N TeK(40%) I/N Kote(50%) PRO-TEC Coating (50%) Wheeling-Nisshin (100%)

メキシコ(305) TENIGAL(49%) POSCO MEXICO

(100%) ブラジル(374) UNIGAL (30%) 欧州(1618) ArcelorMittal (技術提携) ThyssenKrupp (技術提携) voestalpine Stahl (技術提携) voestalpine Stahl (技術提携)

海外事業展開 ~自動車用鋼板~

 自動車用鋼板の生産拠点は海外勢より進んでおり、近年は韓国メーカーも新興国への積極的な進

出を図っている。

(36)

海外事業展開 ~自動車用鋼管・棒線 / エネルギー用鋼管~

【日韓5社の主な自動車用鋼管・棒線生産拠点】

【日韓5社の主なエネルギー用鋼管生産拠点】

(出所)各社HP

36

新日鐵住金 JFEスチー 神戸製鋼所 日新製鋼 POSCO 中国 無錫NSP (60%) GYA(66%) 広州旭 (20%) 嘉興JFE (51%) KWP F(60%) KSW (50%) JYSF (60%) KSP (47%) POS-SEAH STEEL WIRE (南通、天津) (25%) タイ SNP (61%) TSP (55%) Kobe CH Wire (30%) Mahajak Kyodo(28%) 検討中? インド ネシア 検討中? ベトナ VSP (60%) インド NPI (70%) ANS Steel

Tubes (25%) 米国 Seymour Tubing (80%) Grand Blanc Processing (20%) Nisshin Automotive Tubing (89%) メキシ Nippon Steel Pipe Mexico (55%) KCHM (50%) (2015稼働) ※神鋼商事40%、 神戸製鋼所10% POSCO MVWPC (67%) (2015稼働) 欧州 Ascometal (技術提携) ACERINOX (15%) Ascometal (技術提携) 新日鐵住金 JFEスチー 神戸製鋼所 日新製鋼 POSCO 中国 Baoji-SMI Petroleum Steel Pipe (25%) BHNK (26% ) PYP(24%) インド サウジア ラビア NPC (33%) UAE AL GHARBIA PIPE(27%) (2018稼働) 米国 Southern Tube (100%) (2015稼働) California Steel(50%) USP (35%) ブラジル VSB (40%)

(37)

生産拠点の先行整備(自動車用鋼板)

○タイ

自動車生産台数は253万台(2013年)。 JFEスチール及び新日鐵住金が2013年に各1ライ ン稼働させており、新たにポスコが1ラインを着工。 (計3ライン) ・JSGT 生産能力:40万トン/年 総投資額:3億ドル 出資比率:JFEスチール100% 稼 働:2013年4月 ・NSGT 生産能力:36万トン/年 投資額 :3億ドル 出資比率:新日鐵住金100% 稼 働:2013年10月 ・ポスコ(タイ) 生産能力:45万トン/年 稼働予定:2016年6月(予定)

○インドネシア

自動車生産台数は121万台(2013年)。 JFEスチール及び新日鐵住金が2016~2017年に 各1ラインの稼働を予定。(計2ライン) ・JSGI 生産能力:40万トン/年 総投資額:3億ドル 出資比率:JFEスチール100% 稼働予定:2016年3月 ・KNSS 生産能力:48万トン/年 設備投資額: 3億ドル 出資比率: 新日鐵住金80%、KS社20% 稼働予定: 2017年半ば

※ ポスコが新規立ち上げを検討中

仮に立ち上がった場合には、自動車用鋼板の

現地生産能力が“過剰”となるおそれ。

 自動車用の溶融亜鉛めっき設備は、1ラインで年間40万トン前後の鋼板処理が可能。自動車換

算で80~100万台程度。1ラインにつき300~400億円程度の投資が必要。

 タイ及びインドネシアでは、日韓企業が拠点を構築し飽和状態にあり、新たに参入しようとしても

売り先が見つからないおそれ。

37

(38)

日系企業と海外企業の加工流通拠点

(例:タイ)

 日系企業は、商社も含めて多くの加工流通拠点を現地に設置し、きめ細かい販売網を構築して

いる。他方、海外企業で現地に加工流通拠点を設けている例は少ない。

日系企業

海外

企業

(出所)平成25年度アジア産業基盤強化等事業(アジア地域における鉄鋼産業基盤戦略調査)報告書

38

(39)

機密性○ 機密性○

 各国政府の保護主義的措置が特に多く見受けられる業界であり、「現地で生産 → 周辺国に輸

出」というビジネスモデルが容易に成立しない。(通商摩擦のリスク)

 投資先の国における確実な需要が見込まれるかどうかの見極めが肝要。(特に高炉については、

減産が容易ではない。)

 特に、大規模製鉄所の建設に当たっては、人権侵害・環境破壊を理由とした反対運動に直面も。

【ポスコのインド事業】 (人権問題) ポスコは、年産1200万トンの高 炉をインド・オディシャ州に建設す る事業を計画する。 しかし、2013年10月、地元住 民への影響等を理由に、国連人 権高等弁務官事務所専門委員 会が中止を勧告。 国連の同委員会が個別企業の 事業に対して勧告を行うことは、 極めて珍しい。 計画は現在も進行中。

海外事業に伴うリスク

【ティッセンクルップの米州事業】 (不十分な国内需要) (稼働率の低迷) ティッセンクルップは、鉄鉱石産 地で半製品を製造、需要地近く で自動車向け高級鋼板に加工す るサプライチェーンを想定して、 ブラジルに高炉、米国には熱延 工場(年産500万トン)等を設置。 しかし、十分な需要を開拓できず、 多額の赤字を計上した結果、米 国工場を2013年に売却。 【ポスコのインドネシア事業】 (不十分な国内需要) (通商摩擦の発生) ポスコは、約4000億円を投じ、 インドネシアに高炉・厚板製造ラ イン(年産300万トン)を設置。 しかし、インドネシア国内での十 分な需要がないため、周辺国へ 大量に輸出。通商摩擦に発展。 同様の理由により、半製品を韓 国で引き取らざるを得ない状況 も発生。 (出所)報道情報、各社HP

39

(40)

(参考)ポスコ海外子会社の業績

(出所)ポスコFinancial Statementsから作成

 ポスコは、韓国国内の需要鈍化を想定し、海外生産拠点を多数設立。

 しかし、まだ殆ど利益を上げることができていない状況。

Zhangjiagang Pohang Stainless Steel Qingdao Pohang Stainless Steel POSCO-Thainox Public Company Ltd POSCO-VST

POSCO-Vietnam PT Krakatau POSCO POSCO-Malaysia POSCO-India Private POSCO Maharashtra Steel POSCO Electrical Steel India

POSCO ASSAN TST STEEL Industry POSCO-Mexico その他の海外子会社:計 合計 2014年損益 (100万ウォン) 2014年損益 (100万米ドル) 所在国 業種 稼働年 (設立年) 7,336 7 中国 ステンレス製造・販売 (1997年) -7,313 -7 中国 ステンレス製造・販売 2004年 3,799 3 タイ ステンレス冷延製造・販売 1993年 -4,416 -4 ベトナム ステンレス冷延製造・販売 2009年 -6,334 -6 ベトナム 冷延鋼板製造・販売 2009年 -250,848 -229 インドネシア スラブ・厚板の製造・販売 2013年 -5,933 -5 マレーシア 電気メッキ鋼板の製造・販売 2006年 71 0 インド 一貫製鉄所建設に向けた会社 (2005年) -26,742 -24 インド 亜鉛メッキ、冷延鋼板等の製造・販売 (自動車、家電、建設向け) 2012年 189 0 インド 電磁鋼板(無方向性)の製造・販売 2013年 -14,543 -13 トルコ ステンレス製造・販売 2013年 (2011年) 168 0 メキシコ 自動車用鋼板の製造・販売 2009年 101,676 93 -202,890 -185

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(41)

5.海外企業の動向

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【韓国における鋼材価格】

(出所)韓国鉄鋼新聞 (月)

【韓国2社の国内販売量・輸出量の変化】

※単位:千㌧ 2010 2014 ポスコ 国内 販売量 20383 18368 0.90倍 輸出量 11082 15969 1.44倍 2014年の国内販売量・輸出 量は非公表。 生産量は13年 比20%増。10年比70%増。 2010 2013 現代製鉄 国内 販売量 7805 13101 1.68倍 輸出量 3349 3316 0.99倍 (出所)2社IR資料

 現代製鉄は、2010年~2013年にかけて高炉3基(1200万トン)を建設。

 その影響等により、韓国国内の鋼材価格は下落傾向。

 ポスコは、国内で現代自動車等向けのシェアを失い、輸出を拡大。海外での能力拡大も追求。

 その間、ポスコの営業利益率は大幅に低下。(2010年:11.6%

→ 2014年:4.9%)

※ 2005年は27.2%

韓国メーカーの能力増強

600 700 800 900 1,000 1,100 1,200 1,300 1,400 6 8 10 12 2 4 6 8 10 12 2 4 6 8 10 12 2 4 6 8 10 12 2012 2013 2014 熱延鋼板 (高炉) 厚板 (一般) 亜鉛メッキ

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(43)

河北鋼鉄:欧州鉄鋼流通企業買収 2014年11月、鉄鋼商社であるデュフェルコ社(スイス) の子会社の株式51%を取得。  首鋼集団:マレーシアミニ高炉稼働 現地企業との合弁で南部ケママン地区に建設した年 産70万トンの製鉄所の営業生産を2月に開始。 宝鋼集団:東南アジア下工程 (検討中) タイに鋼管工場、ベトナムで製缶工場を稼働。現在、 自動車用鋼板の海外工場建設を検討中。 青山鋼鉄:東南アジア下工程 (計画) インドネシアにニッケル銑鉄工場、ステンレス製鋼工 場を建設予定。 南京鋼鉄:インドネシア一貫製鉄所 (計画) 現地企業との合弁で、年産100万トンの一貫製鉄所 を建設予定。

中国メーカーの海外進出

【2013年~】  新シルクロード(一帯一路)構想 中央・東南アジア、欧州・アフリカを取り込む開発戦略。アジアインフラ投資銀行(AIIB) が資金面のサポートを実施。(自国の過剰生産能力解消を狙ったものとの見方も。) 【2014年】  鉄鋼業規範条件適合企業リスト (工信部)  鉄鋼など企業再編・統合市場環境の更なる最適化に向けた意見 (国務院)  14~15年の省エネ・排出削減及び低炭素発展に向けた行動プラン (国務院)  生産能力を淘汰する企業リスト (工信部) 【2015年】  生産能力の海外進出推進(走出去)方針 (国務院) 鉄鋼、非鉄、建材、紡績などの産業が、国内設備を利用して海外で川上・川下に至るま での関連生産ラインを建設し、製品・技術などの海外進出を実現するよう支援。  鉄鋼産業調整政策(素案) (工信部) 生産設備の稼働率を2017年までに8割に引き上げ。2025年までに世界で競争力を 持つ大手鉄鋼グループを3~5社に集約。 (出所)各種報道

 中国政府は、過剰生産能力を内政上の課題として問題視しており、過当競争防止、環境汚染防止

の観点から様々な施策を実施。しかしながら、一連の施策で淘汰された設備は一部に止まる。

 無秩序な能力増強は抑制する方針を示しているが、依然として多くの製鉄所建設・拡張を予定。

 最近の施策では、「海外需要の創出・取り込み」、「生産能力の海外進出」を掲げており、中国企業

は海外市場開拓を模索。

 今般、「鉄鋼産業調整政策」素案を公表。設備稼働率を2017年までに8割へ引き上げるとしている。

【中国政府の主な取組】 【中国企業の主な海外展開】

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(44)

東アジア企業が実施・検討中の設備投資

○高炉建設 (オディシャ州)

 年産1200万トンの製鉄所建設を計画。2013年10月、地元住民への影響等を理由に国連人権高等 弁務官事務所専門委員会が中止を勧告するも、2014年1月、印韓首脳会談を機に計画前進。モディ 印首相は計画継続の意向。

○高炉建設 (ジャークハンド州)

 インド鉄鋼公社(Sail)によれば、同公社が進める年産300万トンの一貫製鉄所建設に関心を表明。

○鉄鋼加工工場建設 (グジャラート州)

 2014年12月、年産11万トンの鉄鋼加工工場新設を決定。

○溶融亜鉛めっき鋼板工場建設 (ラヨーン県)

 年産45万トン規模の工場が2016年6月に竣工予定。  日系自動車メーカー向けのシェア拡大を狙う。

○ファイネックス建設 (重慶)

 重慶鋼鉄との合弁により、年産300万トン規模の製鉄所を本年に着工予定。

○鋼板加工工場増設 (重慶)

 2014年12月には、年産14万トン規模の第2工場新設のための増資を決定。

○製鉄所拡張

 高炉増設により、クラカタウ・ポスコの生産能力を年産300万トンから年産600万トンに拡張する計画 の実施の有無について、本年6月までの意思決定を予定。  高炉増設を見送る場合でも、自動車用鋼板工場等の新設を検討中。 【イ ン ド ネ シ ア 】

ポスコ :

アジア各地で粗鋼生産能力の増強を計画

(出所)各種報道

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(45)

東アジア企業が実施・検討中の設備投資

○特殊鋼工場建設

 年産100万トンの特殊鋼工場が2016年2月に稼働予定。

○東部特殊鋼買収

 東部特殊鋼(年産30万トン)の買収を計画。

現代製鉄 :高炉増設が完了し、

韓国国内での特殊鋼向け投資を本格化。

宝山鋼鉄 :

大規模製鉄所が本年9月に稼働予定。

○高炉建設 (広東省湛江)

 年産893万トンの高炉一貫製鉄所の建設が進行中。本年9月に第1高炉、2016年に第2高炉、熱 延工場、冷延工場が稼働予定。

中国鋼鉄 :

ベトナムの大型製鉄所計画への増資を予定。

○高炉建設

 台湾プラスチックの高炉一貫製鉄所計画(年産2250万トン。2016年から稼働予定。)への出資比率 を5%から25%に拡大予定。 【ベ ト ナ ム 】

○原料会社増資

 2014年、鉄鉱石・原料炭採掘会社Aquilaの株式保有率を15%から85%に拡大。

○電磁鋼板工場建設

 本年1月、電磁鋼板工場の稼働を開始。拡張計画は、内需の成長鈍化により当面見送りの模様。 【イ ン ド 】

45

(46)

6.環境の変化

(素材、設備、安全、環境、データ)

(47)

素材間競争

 これまでも、鉄道車両、航空機等に使用される素材が、鋼材からアルミ、炭素繊維強化樹脂等

に置き換わってきた。

 今後、鋼材の主要需要分野である自動車向けについても、軽量化ニーズに応えるため、同様の

素材間競争が本格化する見込み。

【将来的な材料選択の例】

(出所)技術研究組合

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(48)

自動車用鋼板(ホットスタンプ材)

 日本の鉄鋼メーカーが冷間加工用の高張力鋼板(ハイテン)に強みを有する一方、欧米自動車

メーカーは、超高強度の鋼板に熱間加工用のホットスタンプ材を用いる傾向。

 日本の自動車メーカーの間でも、ホットスタンプ材の使用を拡大する動きが出つつある。

ホットスタンプ工程(新日鐵住金HPより) ホットスタンプ材の最近の動き 中国における自動車販売台数推移 ■韓国ポスコのホットスタンプが、ルノーのコンセプトカー「イオラブ」に採 用。 (鉄鋼新聞2015年2月5日) ■「新日鉄住金はマツダ(株)、アイシン高丘(株)と共 同で、2011年、世 界最高強度の引張強さ1800 メガパスカル級ホットスタンプ用鋼板を 使用したバンパービームを開発し、マツダのクロスオーバーSUV「CX ―5」に世界で初めて採用され、「アテンザ」、「アクセラ」、「デミオ」など にも採用が拡大しています。」(季刊新日鉄住金 Vol8) ■「ハイテン材を積極的に取り入れてきたトヨタ自動車でも、ホットスタンプ の採用を拡大しようという動きが出始めている。15 年度に生産を開始 する次期「プリウス」に照準を合わせ、系列の部品メーカーがホットスタ ンプ材の供給に向けて準備を開始した。」(2014年自動車年鑑) (出所)戦略研レポート 2014.8.12(三井物産戦略研究所)

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(49)

49

設備老朽化対策、安全対策

 高度成長期に建設された設備が老朽化。各地の多くのコークス炉は今後10年以内に改修時期

を迎え、大規模な投資が必要となる見込み。

 産業事故も近年多発。労働者の安全確保、重要産業への悪影響回避の観点から、対策の強化

が求められている。

【鉄鋼業界における死亡者数の推移】 (出所)日本鉄鋼連盟「労働災害統計調査」 15

○新日鐵住金

・君津製鉄所

稼働時期: 2016年12月

投資額: 290億円

・鹿島製鉄所

稼働時期: 2016年8月

投資額: 180億円

○JFEスチール

・東日本製鉄所(千葉地区)

・西日本製鉄所(倉敷地区)

※稼働時期・投資額は非公表。

【実施中のコークス炉改修】

【設備トラブル数の推移】 1件 2015年 3月現在 2015年 3月現在 4名

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(50)

CO2削減対策

 日本の鉄鋼業は、世界で最も高いエネルギー効率を実現。

 更なる省エネ・

CO₂排出削減を進めるため、省エネ補助金による設備投資支援、環境調和型製鉄

プロセス技術開発(コース50)の革新的技術開発等を実施。

鉄鋼業のエネルギー効率国際比較(2010年時点) (出所)省エネ小委事務局資料「産業部門の省エネルギー対策について」より (出所)RITE『2010年時点のエネルギー原単位の推計』(指数化は日本鉄鋼連盟) 製造業のエネルギー消費原単位の推移 業種別温室効果 ガス排出量 鉄 鋼 29.7% 化 学 36.9% 製造業・業種別 エネルギー消費 素材系 77.3% (出所)資源エネルギー庁「総合エネルギー統計」を基に作成 非素形材 22.7% 紙・パルプ 5.4% 窯業土石 5.3% 2012年度 5,774(PJ) (出所)環境省・経済産 業省「温室効果ガス排 出量算定・報告・公表 制度による「平成22 (2010)年度温室効果ガ ス排出量の集計結果」

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(51)

データの更なる活用

 品質改善、生産効率改善、事故・設備トラブル防止、技能伝承、省エネルギー促進の観点から、

製造業でも、データの取得、ビッグデータの活用に向けた検討が進みつつある。

 鉄鋼業界でも、将来の企業競争力を左右する可能性がある課題。

(1)製造物にセンサー等をつけることでデータを取得 ⚪商品にセンサー等をつけて稼働状況管理・予防保 全サービス提供へ コマツ(KOMTRAX)、DMG森精機(MORI-NET) ⚪プラントにセンサーを張り巡らせて事故を予防 中国電力(島根原発) (2)生産工程にセンサー等を張り巡らせて生産工程を 見える化 オムロン(富士通)、東芝機械(NEC) (3)暗黙知の形式知化等その他の取組 ⚪熟練者のノウハウを見える化 ダイセル(ダイセル式生産方式) ※化学品製造過程の温度管理、異常発生 時対応等の職人技をITマニュアル化 他業界における取組の例 (図の出所)JFEスチールHP 鉄鋼業界における可能性 (例) 熱間圧延プロセス 加熱炉から巻取り機に至る長い工程の操 業条件データを集約し、個別製品の品質デー タと照合して分析を行うことで、品質に合わせ た最適な操業条件を自動的に特定(更には 最適条件による各工程の自動制御)を実現 できないか。

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(52)

7.電炉業(普通鋼、特殊鋼)

(53)

電炉の生産能力と生産量(千トン) 棒鋼と鉄スクラップの価格推移(円) 注)緑線は棒鋼価格、スクラップ価格の価格差  粗鋼生産に占める普通鋼電炉メーカーの割合は約2割。  普通鋼電炉製品は殆どが建設資材用であり、約5割が鉄筋用の小型棒鋼(年産約900万トン)。  建設需要が中長期的に減少傾向にある中、 生産能力が過剰との見方も。  生産コストの4~6割を占める原料(鉄スクラップ)価格の上昇に加え、建設需要の減少、電気料金の値上げ 等の影響により、昨年2,3月に東京、埼玉、北海道の3社が事業撤退(現在は全32社)。  2014年度は、原料価格の下落、製品価格の安定により、上場メーカーの多くは増収増益見込み。 (出所)経済産業省「生産動態統計」 ※生産能力は、基数・容量に、一定の係数等を乗じて算出されたもの (出所)日本経済新聞

普通鋼電炉メーカーの特徴

77.2 51.3 59.7 0.0 10.0 20.0 30.0 40.0 50.0 60.0 70.0 80.0 90.0 0 5,000 10,000 15,000 20,000 25,000 30,000 35,000 40,000 45,000 50,000 生産能力(千トン) 生産実績(千トン) 設備稼働率(%)

53

112,000 51,000 61,000 68,000 12,000 23,500 0 20,000 40,000 60,000 80,000 100,000 120,000 2002 年 1 月 7月 2003 年 1 月 7月 2004 年 1 月 7月 2005 年 1 月 7月 2006 年 1 月 7月 2007 年 1 月 7月 2008 年 1 月 7月 2009 年 1 月 7月 2010 年 1 月 7月 2011 年 1 月 7月 2012 年 1 月 7月 2013 年 1 月 7月 2014 年 1 月 7月 2015 年 1 月 差額 棒鋼価格(円) スクラップ価格

参照

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 当社の連結子会社である株式会社 GSユアサは、トルコ共和国にある持分法適用関連会社である Inci GS Yuasa Aku Sanayi ve Ticaret