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漁場の 生物多様性を 調べよう - その評価のための基礎知見と応用 - 平成 31 年 3 月

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(1)

(平成31年3月作成)

平成31年3月

<水産庁への問い合わせ先> 増殖推進部 漁場資源課 生態系保全室 TEL:03-3502-8487 このパンフレットの内容は下記ページからもご覧になれます。 http://feis.fra.affrc.go.jp/seika/tayousei/index.html

漁場の

漁場の

生物多様性を

生物多様性を

調べよう

調べよう

- その評価のための基礎知見と応用 -

- その評価のための基礎知見と応用 -

漁場 生物多様性 このパンフレットの内容は、国立研究開発法人 水産研究・教育機構 中央水産研究所、日本海区水産研究所、瀬戸内海区水産研究所、 増養殖研究所の協力のもとに作成されました。 検 索

(2)

 漁業は、海洋生態系の一部を利用しており、漁場環境や生物多様性の影響を大きく受ける産 業です。このため、将来に亘って持続的に漁業生産を確保していくためには、漁場環境や生物多 様性が健全に維持されていくことが不可欠です。  しかしながら、近年、沿岸域の開発等が漁場環境や生物多様性に負の影響を及ぼしており、こ れらに適切に対応しなければ漁業活動が成り立たなくなる可能性が指摘されているところです。  このような状況に対応するためには、多様な海洋生物の共存下での漁業の発展を確保するこ とが必要であり、漁業の対象となっている海洋生物資源を適切に保存・管理していくことのみな らず、藻場・干潟等の保全・再生等を推進し、生物多様性を維持・向上していくことが重要となっ ています。  こうした背景を踏まえ、水産庁では、アマモ場、岩礁帯(藻場を含む)、砂浜域(干潟を含む)など 我が国沿岸の生物多様性に富む海域の漁場環境や生物多様性を維持・向上させる各種の施策 に資するため、漁場環境生物多様性指標等開発事業(H19~24)及び漁場環境生物多様性評価 手法実証調査事業(H25~29)を実施し、生物多様性評価手法の開発を行いました。  このパンフレットでは、漁場の生物多様性について、上記事業で開発された評価手法を解説す るとともに、それにより得られた知見などをご紹介します。  生物多様性の調査は、通常、種を同定することから始まります。主に形態の違いから同定する 従来の手法に加えて、遺伝子を用いて同定する簡便な手法が開発されつつあります。  遺伝子を用いた簡便な種同定手法の1つに、LAMP 法(注1)があります。LAMP 法は特殊な機器類を必要と しないのに加え、DNA の増幅結果を目で見て確かめることができます。また、使用するプライマー(注2)を変え ることにより、色々な二枚貝を検出することが可能です。  実際に LAMP 法を使用し、岡山県の県立高校で生物を専攻する生徒さんの協力を得て、岡山港付近で採 取したカキの種同定を行いました。その結果、岡山県沿岸部における幻のシカメガキの自生が明らかになりま した。

1.種を同定する

はじめに

遺伝子を用いた簡便な二枚貝の種の同定

~高校授業での実践風景~ (注1)LAMP法:簡便な遺伝子増幅法の1つ。DNAを一本鎖にすることなく、一定の温度下でDNAを増幅することができる。 (注2)プライマー:DNAの複製に必要なDNA断片。新しいDNA鎖が伸長する際の起点となる。 ●LAMP法の他にも色々な種同定手法があり、それらを漁業の現場に応用することも可能です。例えば、各地域に 特有の種を見つけることで、ブランドガキの候補調べや養殖用種苗の確保などに貢献することができます。 クロヒメガキ ケガキ マガキ シカメガキ 種構成比率 試料採集場所 100% 90% 80% 70% 60% 50% 40% 30% 20% 10% 0% 牛窓町鹿忍 水産試験場採取 牛窓港 日生 日生河 口 備前市穂浪 穂浪井 田 備前市東片上 シカメガキ用 プライマー プライマーマガキ用 スミノエガキ用プライマー イワガキ用プライマー 形態による種の判別が難しいカキ ランチジャーの中に1時間静置 DNAを採取  DNAの増幅結果は、にごりや紫外線 ライト下での蛍光を見て確かめること ができるよ。  上の写真では1番が光っているか ら、カキの正体がシカメガキだったこ とが分かるね。 それぞれのカキのDNAを増幅することの できるプライマーを、DNAに添加 実際の授業風景 岡山県沿岸のカキ類の分布状況

(3)

 漁業は、海洋生態系の一部を利用しており、漁場環境や生物多様性の影響を大きく受ける産 業です。このため、将来に亘って持続的に漁業生産を確保していくためには、漁場環境や生物多 様性が健全に維持されていくことが不可欠です。  しかしながら、近年、沿岸域の開発等が漁場環境や生物多様性に負の影響を及ぼしており、こ れらに適切に対応しなければ漁業活動が成り立たなくなる可能性が指摘されているところです。  このような状況に対応するためには、多様な海洋生物の共存下での漁業の発展を確保するこ とが必要であり、漁業の対象となっている海洋生物資源を適切に保存・管理していくことのみな らず、藻場・干潟等の保全・再生等を推進し、生物多様性を維持・向上していくことが重要となっ ています。  こうした背景を踏まえ、水産庁では、アマモ場、岩礁帯(藻場を含む)、砂浜域(干潟を含む)など 我が国沿岸の生物多様性に富む海域の漁場環境や生物多様性を維持・向上させる各種の施策 に資するため、漁場環境生物多様性指標等開発事業(H19~24)及び漁場環境生物多様性評価 手法実証調査事業(H25~29)を実施し、生物多様性評価手法の開発を行いました。  このパンフレットでは、漁場の生物多様性について、上記事業で開発された評価手法を解説す るとともに、それにより得られた知見などをご紹介します。  生物多様性の調査は、通常、種を同定することから始まります。主に形態の違いから同定する 従来の手法に加えて、遺伝子を用いて同定する簡便な手法が開発されつつあります。  遺伝子を用いた簡便な種同定手法の1つに、LAMP 法(注1)があります。LAMP 法は特殊な機器類を必要と しないのに加え、DNA の増幅結果を目で見て確かめることができます。また、使用するプライマー(注2)を変え ることにより、色々な二枚貝を検出することが可能です。  実際に LAMP 法を使用し、岡山県の県立高校で生物を専攻する生徒さんの協力を得て、岡山港付近で採 取したカキの種同定を行いました。その結果、岡山県沿岸部における幻のシカメガキの自生が明らかになりま した。

1.種を同定する

はじめに

遺伝子を用いた簡便な二枚貝の種の同定

~高校授業での実践風景~ (注1)LAMP法:簡便な遺伝子増幅法の1つ。DNAを一本鎖にすることなく、一定の温度下でDNAを増幅することができる。 (注2)プライマー:DNAの複製に必要なDNA断片。新しいDNA鎖が伸長する際の起点となる。 ●LAMP法の他にも色々な種同定手法があり、それらを漁業の現場に応用することも可能です。例えば、各地域に 特有の種を見つけることで、ブランドガキの候補調べや養殖用種苗の確保などに貢献することができます。 クロヒメガキ ケガキ マガキ シカメガキ 種構成比率 試料採集場所 100% 90% 80% 70% 60% 50% 40% 30% 20% 10% 0% 牛窓町鹿忍 水産試験場採取 牛窓港 日生 日生河 口 備前市穂浪 穂浪井 田 備前市東片上 シカメガキ用 プライマー プライマーマガキ用 スミノエガキ用プライマー イワガキ用プライマー 形態による種の判別が難しいカキ ランチジャーの中に1時間静置 DNAを採取  DNAの増幅結果は、にごりや紫外線 ライト下での蛍光を見て確かめること ができるよ。  上の写真では1番が光っているか ら、カキの正体がシカメガキだったこ とが分かるね。 それぞれのカキのDNAを増幅することの できるプライマーを、DNAに添加 実際の授業風景 岡山県沿岸のカキ類の分布状況

(4)

 生物がどのくらい多様に存在するかを評価する指標は色々あります。各指標の特色を理解し、 目的にあった指標で評価することが大切です。  肉眼で見えない小さな微生物や、夜間しか行動しない普段見られない生物でも、生化学的手 法や撮影などの手段を用いて見える化することでその多様性を調べることができます。  細菌同定用に開発された市販の BIOLOG プレート(注3)を利用して、細菌群集が分解できる有機物の種類 と、分解機能の強さを見える化して調べることができます。

3.生物の多様性を評価する

2.見える化して調べる

細菌群集の分解機能

 デジタルカメラやビデオカメラを干潟や藻場などに設置し、撮影することで、その場所に来遊する魚類など の大型生物を、採集によらない方法で調査することができます。希少水生生物の生息の有無や、食害を引き 起こす原因種を調べることも可能です。

カメラ撮影で調べる水生生物の多様性

 「シャノンの指数」(注4)は各種の相対的な比率を反映するため、密度が高くても低くても、相対的な頻度が同 じであれば指数の値は同じになります。一方、「森下の繁栄度指数」(注5)を用いた場合、多様度と密度の両方を 加味した指数を算出することができます。

用いる指標によって多様度を示す指数は異なる

 算出した多様度指数は、経時変化のモニタリングや群集間の比較、指数間の比較に用いることができ、そ こから生物群集の特徴や変化をとらえることができます。

生物相調査から群集の特徴や変化をとらえる

漁場A 漁場B 多様度指数を計算 多様度指数を計算 種数、シャノン、森下 etc. 蓄積 群集A 群集B 希釈 一定温度下で 48時間培養 →時間経過→ 漁場A 漁場B 漁場C 漁場D 種数 3 3 3 3シャノンの指数 3 2.83 2.38 3森下の繁栄度指数 9 10.7 12 18 (注3)BIOLOGプレート:細菌同定用に開発された試験キットで、複数個の穴が空いている。各穴には試薬や基礎培地とともに有機物が1種類ずつ添加されており、細 菌がそれらの有機物を利用して生育できるかどうかを調べることができる。 それぞれの穴には試薬や基礎培地とともに、 有機物(糖質、アミノ酸など)が1種類ずつ 添加されている。 細菌が有機物を利用できる場合には、呼吸を伴っ た増殖が起き、試薬が反応して青く発色する。 ●細菌群集の資化(分解)機能は土壌の健全性を評価する指標の一つとして期待されています。例えば、マング ローブ林を伐採して養殖池に転用した場所では、細菌群集が分解できる有機物の種類と、分解機能の強さがとも に減少することが観察されています。 (注4)シャノンの指数:生物多様性を示す指数の1つ。群集内の種数が多く、さらに群集内で各種が同程度の個体数を占めている場合に高い値を示す。 (注5)森下の繁栄度指数:生物多様性と豊かさを示す指標の1つ。群集内の種数が多く、各種が同程度の個体数で、全体の個体数が多いと高い値を示す。 ●それぞれの指標の特徴を理解した上で、目的別に使い分ける必要があります。 ●撮影装置は、市販カメラ、塩ビ管などの安価な材料で手作りできます。また、カメラの機能により、間欠撮影や ビデオ撮影、夜間撮影(ライト必要)も行うことができます。 多様度を測る指標の例 群集の違いを把握 複数の指標で比較 変化をモニタリング 手作り撮影装置 環境試料(土壌や海水) を採取 BIOLOGプレートに分注 発色により細菌群集の 資化(分解)機能を評価 浜名湖で撮影された生物 (左:タイワンガザミ、右:スズキ)

(5)

 生物がどのくらい多様に存在するかを評価する指標は色々あります。各指標の特色を理解し、 目的にあった指標で評価することが大切です。  肉眼で見えない小さな微生物や、夜間しか行動しない普段見られない生物でも、生化学的手 法や撮影などの手段を用いて見える化することでその多様性を調べることができます。  細菌同定用に開発された市販の BIOLOG プレート(注3)を利用して、細菌群集が分解できる有機物の種類 と、分解機能の強さを見える化して調べることができます。

3.生物の多様性を評価する

2.見える化して調べる

細菌群集の分解機能

 デジタルカメラやビデオカメラを干潟や藻場などに設置し、撮影することで、その場所に来遊する魚類など の大型生物を、採集によらない方法で調査することができます。希少水生生物の生息の有無や、食害を引き 起こす原因種を調べることも可能です。

カメラ撮影で調べる水生生物の多様性

 「シャノンの指数」(注4)は各種の相対的な比率を反映するため、密度が高くても低くても、相対的な頻度が同 じであれば指数の値は同じになります。一方、「森下の繁栄度指数」(注5)を用いた場合、多様度と密度の両方を 加味した指数を算出することができます。

用いる指標によって多様度を示す指数は異なる

 算出した多様度指数は、経時変化のモニタリングや群集間の比較、指数間の比較に用いることができ、そ こから生物群集の特徴や変化をとらえることができます。

生物相調査から群集の特徴や変化をとらえる

漁場A 漁場B 多様度指数を計算 多様度指数を計算 種数、シャノン、森下 etc. 蓄積 群集A 群集B 希釈 一定温度下で 48時間培養 →時間経過→ 漁場A 漁場B 漁場C 漁場D 種数 3 3 3 3シャノンの指数 3 2.83 2.38 3森下の繁栄度指数 9 10.7 12 18 (注3)BIOLOGプレート:細菌同定用に開発された試験キットで、複数個の穴が空いている。各穴には試薬や基礎培地とともに有機物が1種類ずつ添加されており、細 菌がそれらの有機物を利用して生育できるかどうかを調べることができる。 それぞれの穴には試薬や基礎培地とともに、 有機物(糖質、アミノ酸など)が1種類ずつ 添加されている。 細菌が有機物を利用できる場合には、呼吸を伴っ た増殖が起き、試薬が反応して青く発色する。 ●細菌群集の資化(分解)機能は土壌の健全性を評価する指標の一つとして期待されています。例えば、マング ローブ林を伐採して養殖池に転用した場所では、細菌群集が分解できる有機物の種類と、分解機能の強さがとも に減少することが観察されています。 (注4)シャノンの指数:生物多様性を示す指数の1つ。群集内の種数が多く、さらに群集内で各種が同程度の個体数を占めている場合に高い値を示す。 (注5)森下の繁栄度指数:生物多様性と豊かさを示す指標の1つ。群集内の種数が多く、各種が同程度の個体数で、全体の個体数が多いと高い値を示す。 ●それぞれの指標の特徴を理解した上で、目的別に使い分ける必要があります。 ●撮影装置は、市販カメラ、塩ビ管などの安価な材料で手作りできます。また、カメラの機能により、間欠撮影や ビデオ撮影、夜間撮影(ライト必要)も行うことができます。 多様度を測る指標の例 群集の違いを把握 複数の指標で比較 変化をモニタリング 手作り撮影装置 環境試料(土壌や海水) を採取 BIOLOGプレートに分注 発色により細菌群集の 資化(分解)機能を評価 浜名湖で撮影された生物 (左:タイワンガザミ、右:スズキ)

(6)

ホームページは ここからもアクセスできるよ。  漁場の評価を行う場合、生物多様性だけでなく生物量の観点からも評価を行うことが重要と 考えられます。漁場の生物量との関係性が認められる指標もいくつか見つかりました。  線虫は、メイオベントス(注6)の代表種です。干潟で調査を行った結果、線虫の分布量がマクロベントス(注7) 分布量と正の相関を示しました。

4.漁場の生物量を評価する

生物量の簡便な指標① 線虫

 アサリの炭素安定同位体比(δ13C 値)を調べることで、その海域の植物プランクトンの豊富さがわかり、二 枚貝類の養殖適地の選定などに役立つと期待されています。 (注8)植物プランクトンの生育密度が高くなると、植物プランクトン自身のδ13C値が高くなることが知られており、これを捕食したアサリのδ13C値も高くなることが 理由と考えられます。 (注6)メイオベントス:1mm目合のふるいを通過する底生生物の総称。ただし、本調査では目合2mmのふるいを使用して調査した。 (注7)マクロベントス:1mm目合のふるい上に残る底生生物の総称。ただし、本調査では目合2mmのふるいを使用して調査した。 アサリのδ13C値を調べることで、植物プランクトンの豊富さが推定できると同時に、これをエサとするアサリ などの生物の生産量の指標になる。 ●線虫の分布量を調べることでマクロベントスの分布量が多い干潟であるかどうかを推定するのに役立ちます。 アサリのδ13C値は、各海域のクロロフィルa量 (エサの量)と正の相関を示す。(注8) アサリのδ 13C値は、各海域のアサリの生産量 とも正の相関を示す。

生物量の簡便な指標② 炭素安定同位体比

 持続的な漁業生産を可能にするためには、漁場環境及び生物の多様性を表す適切な指標を開 発し、その指標をもとに保全策を講じていくことが重要です。  また、全国の干潟漁場で生物調査を行った結果からは、生物量と生物多様性との間に負の相 関が認められています。生物の量と多様性との関係性についてはさらに知見を集積して確かめ る必要がありますが、漁場の評価をする際には、生物の量と多様性の両面から評価することが重 要と考えられます。  生物多様性に配慮した漁場のあり方の検討材料として、生物群集を対象とした現場の調査に 挑戦してみてはいかがでしょうか。 ※水産動植物の種類や採捕の方法によっては、各都道府県の漁業調整規則により、許可等が必要な場合があります。

おわりに

 詳細については、国立研究開発法人 水産研究・教育機構 瀬戸内海区水産研究所のホーム ページ(以下のアドレス)からご覧になれます。

詳しくはホームページへ

●群集解析ツール/群集データの多変量解析法と  R のコードの解説  お手持ちのデータから、生物多様性の程度を計算できます。 ●干潟の生物多様性の評価と調査の手引き  カメラ撮影で魚類相を調べる方法も紹介されています。 ●岩礁生態系の生物多様性の評価と調査の手引き  岩礁生態系における生物相調査の例が紹介されています。 http://feis.fra.affrc.go.jp/seika/tayousei/index.html 0 50 100 150 200 250 300 350 0 50 100 150 マクロベントスの分布量 線虫の分布量 干潟の線虫の分布量とマクロベントスの分布量の関係 (1干潟3定点の平均) -21 -19 -17 -15 -13 -11 0 5 10 15 アサリのδ 13C値 (2013~2014年採取、‰) 海域のクロロフィルa量 (2009~2011年平均、μg/L) クロロフィルa量とアサリのδ13C値の関係 -20 -18 -16 -14 -12 0.01 10 10000 アサリのδ 13C値 (2013~2014年採取、‰) (gw.w./0.12m 2) アサリの生産量 (2009~2011年平均、t/km²) アサリの生産量とアサリのδ13C値の関係 (μgw.w./6.6cm2) マクロベントス (アサリなど) メイオベントス(線虫など)

(7)

ホームページは ここからもアクセスできるよ。  漁場の評価を行う場合、生物多様性だけでなく生物量の観点からも評価を行うことが重要と 考えられます。漁場の生物量との関係性が認められる指標もいくつか見つかりました。  線虫は、メイオベントス(注6)の代表種です。干潟で調査を行った結果、線虫の分布量がマクロベントス(注7) 分布量と正の相関を示しました。

4.漁場の生物量を評価する

生物量の簡便な指標① 線虫

 アサリの炭素安定同位体比(δ13C 値)を調べることで、その海域の植物プランクトンの豊富さがわかり、二 枚貝類の養殖適地の選定などに役立つと期待されています。 (注8)植物プランクトンの生育密度が高くなると、植物プランクトン自身のδ13C値が高くなることが知られており、これを捕食したアサリのδ13C値も高くなることが 理由と考えられます。 (注6)メイオベントス:1mm目合のふるいを通過する底生生物の総称。ただし、本調査では目合2mmのふるいを使用して調査した。 (注7)マクロベントス:1mm目合のふるい上に残る底生生物の総称。ただし、本調査では目合2mmのふるいを使用して調査した。 アサリのδ13C値を調べることで、植物プランクトンの豊富さが推定できると同時に、これをエサとするアサリ などの生物の生産量の指標になる。 ●線虫の分布量を調べることでマクロベントスの分布量が多い干潟であるかどうかを推定するのに役立ちます。 アサリのδ13C値は、各海域のクロロフィルa量 (エサの量)と正の相関を示す。(注8) アサリのδ 13C値は、各海域のアサリの生産量 とも正の相関を示す。

生物量の簡便な指標② 炭素安定同位体比

 持続的な漁業生産を可能にするためには、漁場環境及び生物の多様性を表す適切な指標を開 発し、その指標をもとに保全策を講じていくことが重要です。  また、全国の干潟漁場で生物調査を行った結果からは、生物量と生物多様性との間に負の相 関が認められています。生物の量と多様性との関係性についてはさらに知見を集積して確かめ る必要がありますが、漁場の評価をする際には、生物の量と多様性の両面から評価することが重 要と考えられます。  生物多様性に配慮した漁場のあり方の検討材料として、生物群集を対象とした現場の調査に 挑戦してみてはいかがでしょうか。 ※水産動植物の種類や採捕の方法によっては、各都道府県の漁業調整規則により、許可等が必要な場合があります。

おわりに

 詳細については、国立研究開発法人 水産研究・教育機構 瀬戸内海区水産研究所のホーム ページ(以下のアドレス)からご覧になれます。

詳しくはホームページへ

●群集解析ツール/群集データの多変量解析法と  R のコードの解説  お手持ちのデータから、生物多様性の程度を計算できます。 ●干潟の生物多様性の評価と調査の手引き  カメラ撮影で魚類相を調べる方法も紹介されています。 ●岩礁生態系の生物多様性の評価と調査の手引き  岩礁生態系における生物相調査の例が紹介されています。 http://feis.fra.affrc.go.jp/seika/tayousei/index.html 0 50 100 150 200 250 300 350 0 50 100 150 マクロベントスの分布量 線虫の分布量 干潟の線虫の分布量とマクロベントスの分布量の関係 (1干潟3定点の平均) -21 -19 -17 -15 -13 -11 0 5 10 15 アサリのδ 13C値 (2013~2014年採取、‰) 海域のクロロフィルa量 (2009~2011年平均、μg/L) クロロフィルa量とアサリのδ13C値の関係 -20 -18 -16 -14 -12 0.01 10 10000 アサリのδ 13C値 (2013~2014年採取、‰) (gw.w./0.12m 2) アサリの生産量 (2009~2011年平均、t/km²) アサリの生産量とアサリのδ13C値の関係 (μgw.w./6.6cm2) マクロベントス (アサリなど) メイオベントス(線虫など)

(8)

(平成31年3月作成)

平成31年3月

<水産庁への問い合わせ先> 増殖推進部 漁場資源課 生態系保全室 TEL:03-3502-8487 このパンフレットの内容は下記ページからもご覧になれます。 http://feis.fra.affrc.go.jp/seika/tayousei/index.html

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漁場 生物多様性 このパンフレットの内容は、国立研究開発法人 水産研究・教育機構 中央水産研究所、日本海区水産研究所、瀬戸内海区水産研究所、 増養殖研究所の協力のもとに作成されました。 検 索

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