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骨盤部悪性腫瘍に対するHip transposition法を施行された患者の社会復帰

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Academic year: 2021

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(1)247. 骨盤部悪性腫瘍に対する Hip transposition 法を施行された患者の社会復帰. □実践報告. 骨盤部悪性腫瘍に対する Hip transposition 法を施行された患者の社会復帰 岡  佳純*1 黒住 千春*2 妹尾 勝利*2 国定 俊之*3 千田 益生*1 要旨:骨盤部悪性腫瘍に対し,創外固定術を併用した Hip transposition 法が施行された,10 歳代 女性の作業療法を経験した.術前評価では,すでに進学が決定しており,復学に対する不安がみら れた.早期よりトイレ動作訓練を中心に行い,術後 19 日で便座での排泄が可能となった.創外固 定器抜去後は,更衣・入浴動作訓練を中心に行った.術後 75 日で一時自宅退院となり,1 年後の 復学までの間に自動車免許を取得し,自家用車での通学も可能となった.今回,退院後も作業療法 を継続し,様々な場面を想定したアプローチを行った.その結果,目標としていた復学が可能とな り,社会復帰を見据えた作業療法の長期的な関わりの重要性が示唆された.. 作業療法 40:247∼252,2021 (事例報告),作業療法,学生 Key Words:がん,社会復帰,. 法は,合併症が少ない術式であると報告されており3∼5),. はじめに. 当 院 で は,2008 年 よ り 創 外 固 定 術 を 併 用 し た Hip. 骨盤部悪性腫瘍に対する外科的治療は,解剖学的な 複雑性,支持性等の理由から難渋するといわれている . 1). transposition 法が施行されている. Hip transposition 法とは,骨盤発生した腫瘍を,. また,骨盤部悪性腫瘍に対する患肢温存術は,人工関. 周囲の軟部組織を含めて広範切除し,大. 節や血管柄付き腓骨等を用いた様々な方法があるが,. 骨切り部へ設置し,大. 深部感染,インプラントの破損や緩み,創部の皮膚壊. である.臼蓋が切除されるため,立位の際に生じる大. 死等,それぞれ特有の術後合併症が発生し,その頻度. 骨頭の臼蓋への荷重は,仙骨や残存筋で受けること. も四肢と比較して高い .その中で Hip transposition. になる.約 6 週間,創外固定をすることで,翌日より. 2). 2019 年 5 月 20 日受付,2020 年 8 月 25 日受理 Reintegration of patients undergoing hip transposition for malignant pelvic tumors : A case study *1. *2. *3. 岡山大学病院総合リハビリテーション部 Kazumi Oka, OTR, Masuo Senda, MD, PhD : Division of Physical Medicine and Rehabilitation, Okayama University Hospital 川崎医療福祉大学医療技術学部リハビリテーション学科 Chiharu Kurozumi, OTR, Katsutoshi Senoo, OTR : Department of Rehabilitation, Faculty of Health Science and Technology, Kawasaki University of Medical Welfare 岡山大学大学院医歯薬学総合研究科運動器医療材料開発講座 Toshiyuki Kunisada, MD, PhD : Department of Medical Materials for Musculoskeletal Reconstruction, Okayama University Graduate School of Medicine, Dentistry and Pharmaceutical Sciences. 責任著者:岡佳純(e-mail:[email protected]) 0289-4920/21/¥500/論文/JCOPY. 骨頭を腸骨. 骨頭と仙骨を縫着させる方法. 離床が可能となるが,術側下肢は免荷となる.また, 創外固定期間中は,術側の大. 骨と非術側の腸骨が固. 定されているため骨盤前傾姿勢は困難で,骨盤後傾位 での動作が必要であるが,創外固定器抜去後は,痛み に応じて仙骨や残存筋への荷重が可能となる.術後合 併症としては,切除範囲に応じて約 5 cm 前後の脚長 差を生じる6)ので,靴の補高が必要となる場合が多い. そのため,術後のリハビリテーション医療が必要とな るが,骨盤部悪性腫瘍患者の作業療法(Occupational Therapy;以下,OT)に関する報告は見当たらない. 今回,骨盤部悪性腫瘍に対し,創外固定術併用の Hip transposition 法を施行された患者の復学を目標 とした OT を経験した.創外固定や化学療法による.

(2) 248. 作業療法・40 巻 2 号・2021 年 4 月. 治療期間であっても継続的に OT を実施し,環境要. 表 1 術前・作業療法終了時の ROM. 因に左右されない動作の獲得を目的とした介入を行っ. ROM( ° ). 術前(右/左). 終了時(右). たことで,復学が可能となったので報告する.. 股関節屈曲. 80P/95. 100P. なお,本報告については本人とその家族に口頭で目 的,プライバシーの保護について説明し,同意を得た. 症例紹介 症例:症例は 10 歳代女性で,診断は右骨盤骨肉腫 であった.診断時は,高校を卒業した直後で,すでに. 伸展. 0/0. 15. 外転. 45P/45. 内転. 20/20. 50 ─. 外旋. 45/45. 70. 内旋. ─/─. 90. 膝関節屈曲. 140/140. 130. 足関節背屈. 10/10. 10. (P は痛み,─は記録なし). 大学への進学が決まっており,通学には公共交通機関, あるいは自家用車の利用が必要であった.自宅は一戸 建てで自室は 2 階にあり,寝具は布団を使用していた.. MRI 所見:右腸骨翼周囲に,10 cm 大を超える腫. 表 2 術前・作業療法終了時の MMT MMT. 術前(右/左). 終了時(右). 瘤性病変を認めた.右腸骨,臼蓋,恥骨,坐骨の一部. 股関節屈曲. 未/4. 2+. に腫瘍周囲の浮腫が広がっており,関節内部にも進展. 伸展. ─/─. 2. 外転. 未/3. 2+. 内転. ─/─. 3. 膝関節屈曲. 3/5. 4−. 現病歴:201X−1 年 8 月に右股関節痛が生じ,近. 伸展. 3/5. 4. 医を受診した.剥離骨折疑いにて経過観察されていた. 足関節背屈. 5/5. 5. していた. 既往歴:特記すべき既往歴はなかった.. が痛みが増強し,201X 年 3 月に MRI 画像にて腫瘍. (未は痛みのため未計測,─は記録なし). が疑われ,当院紹介となった.生検の結果,右骨盤骨 肉腫と診断され,術前化学療法が施行された.4 月の 大学の入学式に出席した後,1 年間の休学となった.. 2.手術内容. 術前化学療法を施行後,201X 年 7 月に手術目的で入. 骨盤部分は,腸骨から寛骨臼を含む坐骨まで骨切り. 院となり,OT が処方された. 術前術後評価および手術内容. 切除された.また,大. 骨転子部を骨切りして股関節. 包外切除し,仙骨前面と仙腸関節部も骨切りとなった. 小殿筋,腸腰筋,梨状筋,短外旋筋はすべて切除とな. 1.術前評価. り,中殿筋の一部,大. 安 静 時 に お け る 痛 み は NRS(Numerical Rating. の近位部等も,腫瘍とともに切除摘出された.さらに,. 筋膜張筋,縫工筋,大. 直筋. Scale;以下,NRS)で 0,荷重時には 4 であった.. 腫瘍を摘出した後,大 骨を仙骨断端に引き上げ,内・. 股関節最大屈曲は 80°であり,関節可動域(Range of. 外腹斜筋,腹横筋の断端と,恥骨筋,大. .徒 Motion;以下,ROM)制限が認められた(表 1). 筋,中殿筋が縫合された.その後,左腸骨翼と右大. 手筋力検査(Manual Muscle Testing;以下,MMT). 骨転子下にピンを刺入し,創外固定器で固定された. において,膝関節屈筋群,伸筋群ともに筋力低下を認 めた(表 2).なお,股関節屈曲と外転は,痛みのた. .固定後の右大 (図 1). 直筋,縫工. 骨の屈曲角度は,座位がとれ. る程度の可動性は確保されていた.. め実施困難であった.日常生活動作(Activities of Daily Living;以 下,ADL)は,患 肢 免 荷 の た め,. 3.術後評価. 歩行・階段昇降動作は松葉杖を使用し,入浴ではシャ. OT 再開時の痛みは,NRS で安静時 1∼2,動作時. ワーチェア,トイレでは手すりを使用していたが,そ. は 4 で あ り,自 己 調 節 鎮 痛 法(Patient Controlled. れ以外は自立であった.機能的自立度評価法(Func-. Analgesia;以下,PCA)が導入された.この期間の. tional Independence Measure;以 下,FIM)の 運. ADL は,ベッド上での食事,整容動作以外は全介助で,. 動項目は,87/91 点であった.心理面では,家族・本. FIM 運動項目は,29/91 点であった.PCA による安. 症例ともに退院後の復学に関する不安が強かった.. 静時の疼痛コントロールは良好であり,ベッド上ギャッ ジアップが約 40°まで可能であった..

(3) 骨盤部悪性腫瘍に対する Hip transposition 法を施行された患者の社会復帰. a.斜線:腫瘍範囲,黒線:骨切り線. 249. b.Hip transposition 法と創外固定術後. 図 1 骨盤 X 線写真. 図 2 ベッドから車いすへの移乗動作. 目標と介入方針. で上げ,さらに創外固定器が当たらないようアームレ ストを跳ね上げて使用した.術側膝関節が伸展位で免. 早期の復学に対する本症例と家族のニーズが高いこ. 荷できるように,介助者が本症例の動きに合わせて下. とに加え,術前評価の結果より,痛みを有しながらも. .動作中,痛みは 方から術側下肢を保持した(図 2). 松葉杖を使用して ADL が修正自立であったこと,さ. 増強しなかったが,術後貧血によると考えられる脈拍. らに自験例では運転動作が可能となった例があったこ. 数の上昇,気分不良の訴えがあり,車いす座位の持久. と等を踏まえ,OT の目標は,次年度前期からの復学. 性は低かったが,家族と一緒に気晴らしに散歩に出か. とした.術後の介入は,1.創外固定期間中,2.創外. ける等,徐々に離床時間を増やした.. 固定器抜去後から退院まで,3.退院後から復学まで. 術後 7 日に PCA は終了となった.翌日,病棟トイ. の期間に分けて実施し,各期間の目標は,1.介助下. レでの排泄を目標に,ポータブルトイレを使用して便. でのトイレ動作獲得,2.福祉用具等を利用したセル. 座への移乗動作訓練を開始した.骨盤後傾位での,プッ. フケア動作の獲得,3.復学に向けた ADL,手段的日. シュアップによる移乗動作は,便座までの移動に時間. 常 生 活 活 動(Instrumental Activities of Daily Liv-. を要した.術後 12 日で,免荷での立位動作が可能と. ing:IADL)の獲得とした.. なり,立位での移乗を行った.着座の際,介助者が保. 作業療法経過と作業療法終了時評価. 持した術側膝関節がわずかに屈曲することで痛みが増 強した.そこで,高さ 40 cm の足台を作成し,便座. 1.創外固定期間中(術後 6 日∼42 日). に着座している間,その足台の上に術側下肢を置くこ. OT は,術後 6 日より再開となり,早期離床を促す. とで,便座での座位保持が可能となった.術後 19 日. ためベッドから車いすへの移乗訓練を行った.処置や. で尿道留置カテーテルが抜去され,術側下肢の保持や. ケアの直後は痛みが増すので,訓練時間を調整した.. 下衣の上げ下げに介助を要するものの,トイレでの排. 移乗訓練では,術側膝関節を屈曲すると痛みが生じる. 泄が可能となった.. ため,車いすのレッグサポートをシート座面の高さま. 術後 21 日には,術側下肢に 10 kg までの荷重が許.

(4) 250. 作業療法・40 巻 2 号・2021 年 4 月. 可され,立ち上がりや平行棒内歩行も可能となった.. 当であると判断した.シャワーチェアまでの移動は,. 術後 42 日で創外固定器が抜去され,車いすやトイレ. 手すりや浴槽の縁等につかまりながら見守りで可能で. への移乗が最小介助となった.また,上衣の更衣等ベッ. あった.また,自動車への乗降動作では,術側股関節. ド上 ADL が修正自立となり,FIM 運動項目は 48/91. の屈曲筋力低下により下肢の挙上が困難であったため,. 点になった.. 術側下肢を保持する介助が必要であった.術後 75 日 で一時退院となり,退院時の FIM 運動項目は 70/91. 2.創外固定器抜去後から退院まで. 点であった.. (術後 43 日∼75 日) 創外固定器を抜去したことで骨盤前傾姿勢をとるこ と が 可 能 と な り,荷 重 が 許 可 さ れ た が,股 関 節 の. 3.退院後から復学まで(術後 76 日∼1 年) 術後の自宅退院から復学までの間,化学療法治療の. ROM は,屈 曲 60°,伸展 0°,外転 45°,内転−20°,. ため計 4 回の入退院を繰り返したが,その間も医師の. 膝関節は屈曲 40° と制限を認めた.特に,足部へのリー. 指示と本症例の希望もあり,体調や感染リスクに考慮. チが必要となる下衣更衣や洗体は介助が必要であった.. しながら OT を継続した.若年齢であり,今後の生. そのため OT では,トイレ動作に加え,下衣更衣動. 活の質も考慮し,学校生活をはじめ,どのような環境. 作やシャワーチェアを使用した洗体動作の獲得を目標. でも下衣更衣や入浴が行えることを目標とした.ベッ. とした.創外固定器抜去後 4 日で歩行器歩行が可能と. ド上では端座位で下肢が組めるようになり,ズボンや. なり,トイレのドアの開閉や下衣の上げ下げ訓練を行っ. タイツは下肢を組んで術側下肢から通す方法で更衣が. た.立位時は,主に非術側下肢で荷重しており,一側. 可能となった.また,入浴動作では,立位での跨ぎ動. に手すりがあれば移乗は可能であった.ズボンの着脱. 作訓練を 20 cm から開始した.膝屈曲筋力の向上に. は,端座位で非術側下肢を挙上する際に,バランスを. 伴い,終了時には,浴槽底面から縁まで 55 cm の跨. 保持するための手すりがあれば,術側下肢から通す方. ぎ動作が可能となり,浴槽への出入りが自立となった.. 法で可能であった.しかし,術側の靴下や靴の着脱は,. 術後 100 日より,復学において必要となる動作に. 股関節と膝関節の屈曲可動域不足によって足部への. ついて重点的にアプローチした.学校等,外出先では. リーチが困難であった.そこで代償動作として,術側. いすがないことも想定し,立位での更衣動作獲得を目. 股関節外旋位で足部へのリーチ動作を獲得するため,. 標とした.学校では,靴箱および更衣室に座る場所が. ベッド上長座位で靴下の着脱を目的としたリーチ動作. ないことから,手すりや壁を右手で支持した立位で,. 訓練を開始し,靴下着脱動作訓練も並行して行った.. 左手を術側下肢の足部までリーチする訓練を行った.. 靴の着脱は,端座位で靴べらを使用することで可能と. その結果,股関節を外旋位にすれば足部へのリーチが. なった.下. の洗体は,ループ付きタオルを作成し,. 可能となり,術側下肢にズボンを通すことが可能となっ. リーチ不足を代償した.その結果,病棟シャワー室に. た.靴の着脱は,バランスを保持しやすいように,右. て洗体は自立した.. 側面の壁にもたれた状態で右手に松葉杖を持ち,支持. 術後 48 日で院内 ADL は修正自立となった.また,. 基底面を広めに保つように指導し,立位で安定して着. 脚長差に対して 8 cm の補高靴を作成し,両側松葉杖. 脱可能になった.また,通学には,地理的な利便性に. での歩行,階段昇降,床上動作訓練が見守りで可能に. 加え,術側の膝関節および足関節の筋力が MMT 4 で. なった.さらに自宅の環境に合わせた OT を重点的. あったことからアクセル・ブレーキ動作は可能である. にすすめた.自宅環境は,玄関に約 20 cm の段差が. と判断し,自動車運転免許の取得を目標とした.OT. あり,ベッドはなく,トイレに手すりもないとのこと. では,踏み込みおよび踏み替え動作を中心としたアク. であった.シャワーチェアは術前に購入済みであった.. セル・ブレーキ動作訓練を行った.. そこで自宅トイレを想定し,便座に着座の際,片手を. 術後 191 日より,自動車教習所に通った.自動車. 先に便座について座るよう指導し,手すりがなくても. 教習所の 3 階まで松葉杖で昇降し,原付バイクを跨ぐ. 着座が可能となった.入浴では,片脚起立が困難なた. ことも可能となり,自動車免許を取得することができ. め,浴槽への出入り動作は,バスボードを利用する方. た.同時期に,本症例と家族が大学へ赴き,駐車場,. 法を試みた.しかし,バスボードへ着座の際,表面が. 洋式トイレの場所を確認した.駐車場に関しては大学. 固く,術創部に痛みが出現したため,シャワー浴が妥. 側からの配慮があり,校舎に近い場所に駐車スペース.

(5) 骨盤部悪性腫瘍に対する Hip transposition 法を施行された患者の社会復帰. 251. が確保された.術後 270 日となる 4 月からは,自家. 化学療法と並行しての OT は,副作用の影響等で. 用車で通学が可能となり,最終的な目標であった復学. 中断になることも多々あるが,本症例は,体調に合わ. が達成され,OT は終了となった.. せて継続した.化学療法中は,ベッドサイドを訪問し, 下肢のリーチ動作訓練等,負担の少ないプログラムを. 4.作業療法終了時評価. 実施した.これにより副作用による体力低下を回避す. 痛みはわずかな荷重時痛のみであった.股関節の. ることができ,これまでの自験例と比較しても,早期. ,MMT は 2 レベ ROM は屈曲以外の制限はなく(表 1). の自宅退院や復学が可能であった.すなわち,動作時. . ルであったが,膝関節は 4,足関節は 5 であった(表 2). の痛みや体調に応じた OT アプローチを継続してい. ADL は,FIM 運動項目は 86/91 点で,室内であれば. くことは,活動レベルを維持・向上でき,早期に社会. 独歩,長距離であれば 1 本松葉杖にて歩行が可能と. 復帰させるためには特に重要と考える. 骨肉腫の罹患率は 0∼20 歳の小児例で最も多く9),. なった. 考. 社会復帰の目標として復学を求められる年齢である.. 察. 本症例も,大学までの通学,広いキャンパス内の移動,. 骨盤部悪性腫瘍は,症状発現から診断まで日数を要. 校舎の階段,トイレ等,復学を目指すために解決すべ. することが多く,治療開始時には進行している例が多. き多くの課題があった.さらに,職業選択を含め,今. いとされ ,手術による侵襲も大きい.本症例は,骨. 後どのような環境で生活していくか確定していない年. 盤切除だけではなく,大. 骨転子部と仙骨の一部も骨. 代でもあることから,福祉用具等を用いて自立が可能. 切りされており,侵襲は広範位であった.先行研究は. となる動作においても,可能な限り環境による制限を. 見当たらないが,筆頭著者が経験した過去の例 では,. 排除し,活動の自由度を確保することが重要である.. 7). 8). NRS で 10 レベルの痛みを訴える患者が多く,トイレ. 今回,創外固定術を併用した Hip transposition 法. 動作獲得までに 50 日を要した例もあった.しかし,. を施行された患者の OT を通して,長期にわたる継. 本症例は 19 日で介助下でのトイレ動作が可能となり,. 続的な関わりの重要性が示唆された.また,切除範囲. 最終的に目標とした復学を果たすことができた.. や年齢,社会背景等によって,獲得し得る動作やそれ. 痛みに関しては,鎮痛剤の使用に加えて訓練時間の. に要する期間,方法が異なると予測されるため,骨盤. 調整を行うことや,疼痛を回避するための介助方法を. 部悪性腫瘍に対する創外固定術を併用した Hip trans-. 考 慮 し な が ら OT を 実 施 し た こ と で,開 始 時 か ら. position 法の OT についてさらに症例を重ね,効果. NRS 4 までの痛みで動作訓練を実施することができ,. 的介入方法や効果に影響する各要因等を検討すること. 安静時の痛みのコントロールも良好であったと推察し. が,今後の課題である.. た.創外固定器抜去までは,術側大. 骨と非術側腸骨. 文   献. の固定によって背もたれを起こすと疼痛が出現するた め,通常,リクライニング式車いすを使用することが 多いが,本症例は,痛みのコントロールが良好であり, 標準型車いすの座位保持が可能であったことから, OT 開始直後から早期離床と気分転換を図ることがで きた.このことから,創外固定期間中は,疼痛コント ロールと離床のための環境設定が重要である.また, トイレ動作時における痛みに対してその原因を分析し, 足台を作成することで,創外固定期間中の目標であっ た介助下でのトイレ動作を早期に獲得することができ た.このように,創外固定期間中であっても,問題が 生じている場面で環境調整を含めた活動レベルへの介 入を行うことは,痛みをコントロールしつつ早期に活 動を獲得させ,抜去後の活動・参加へとつなげる重要 なアプローチと考える.. 1)遠矢政和,横山良平,大石秀和:骨盤発生の悪性骨腫 瘍に対する手術症例 8 例の術後合併症の検討.整形外 科と災害外科 65(4):649-651,2016. 2)Gebert C, Wessling M, Gosheger G, Aach M, Streitbürger A, et al : Pelvic reconstruction with compound osteosynthesis following hemipelvectomy. Bone Joint J 95B(10) : 1410-1416, 2013. 3)Hoffmann C, Gosheger G, Gebert C, Jürgens H, Winkelmann W : Functional results and quality of life after treatment of pelvic sarcomas involving the acetabulum. J Bone Joint Surg Am 88(3) : 575-582, 2006. 4)Winkelmann W : A new surgical method in malignant tumors of the ilium. Z Orthop Ihre Grenzgeb 126(6) : 671-674, 1988. 5)Gebert C, Gosheger G, Winkelmann W : Hip transposition as a universal surgical procedure for periace-.

(6) 252. 作業療法・40 巻 2 号・2021 年 4 月. tabular tumors of the pelvis. J Surg Oncol 99(3) : 169-172, 2009.. 学会誌 111(1):7-12,1997. 8)岡 佳純,千田益生,国定俊之,築山尚司,松山宜之:. 6)Gebert C, Wessling M, Hoffmann C, Roedl R, Winkel-. 創外固定併用 hip transposition 法を施行された骨盤腫. mann W, et al : Hip transposition as a limb salvage. 瘍患者の ADL について.第 47 回日本作業療法学会抄. procedure following the resection of periacetabular. 録集:O057,2013.. tumors. J Surg Oncol 103(3) : 269-275, 2011.. 9)遠藤 誠,川井 章:小児四肢悪性骨腫瘍に対する患. 7)堀田哲夫,高橋栄明,生越 章,塩谷善雄,斎藤英彦, 他:骨盤部に発生した骨軟部腫瘍の治療経験.新潟医. 肢・機能温存の試みと課題.日小児血がん会誌 52(5): 369-375,2015.. Reintegration of patients undergoing hip transposition for malignant pelvic tumors : A case study. Kazumi Oka*1 Chiharu Kurozumi*2 Katsutoshi Senoo*2 Toshiyuki Kunisada*3 Masuo Senda*1. *1. *2. Division of Physical Medicine and Rehabilitation, Okayama University Hospital. Department of Rehabilitation, Faculty of Health Science and Technology, Kawasaki University of Medical Welfare *3. Department of Medical Materials for Musculoskeletal Reconstruction, Okayama University Graduate School of Medicine, Dentistry and Pharmaceutical Sciences. We carried out occupational therapy on a woman in her teens who underwent hip transposition arthroplasty following resection of pelvic sarcoma combined with temporally external fixation. At the time of diagnosis, she was supposed to go to university, and in the preoperative evaluation, she felt anxious about returning to school. The occupational therapy focused on toilet movement training before removal of the external fixation, and she was able to excrete using a toilet seat 19 days after surgery. After removal of the external fixation, we focused on changing clothes and bathing exercises. 75 days after the operation she was discharged to her home. She was able to get her driver s license and drive herself to school one year after the treatment. The results indicate the importance of preoperative occupational therapy on the targeted recovery. Key words : Malignant tumor, Rehabilitation, Case report, Occupational therapy, Student.

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図 1 骨盤 X 線写真

参照

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