Title
合議制行政機関の会議・会議録の公開
Author(s)
前津, 栄健
Citation
沖大法学 = Okidai Hōgaku(11-12): 79-105
Issue Date
1991-12-20
URL
http://hdl.handle.net/20.500.12001/6533
合議制行政機関の
五今後の課題 四会議・会議録に関する判例 わが国に情報公開制度が導入されて 合議制行政機関の意義としくみ 合議制行政機関の問題点 ロ附属機関 H行政委員会 はじめに 合議制行政機関の会議・会議録の公開 はじめに会
議
○年目になるが、。△【
議録の公開
(1) 九九一年十月一口〕現在、 六都道府県一六前
津栄健
亡九 区市町村が、情報公開制度は、「開かれた行政の実現」「住民参加の行政」「知る権利の確立」を実現する手段として導入され、
現在までのところ、文書などの公開を中心に制度化されてきている。しかしながら、「知る権利の保障」は、文書など
の公開だけを目的とする制度だけで充分保障されるものではない。本稿は、そのような認識に基づき、地方行政の意思決定に重要な役割を果たしている合議制行政機関の会議・会議録
の公開について、若干の検討を加えるものである。 (8)合議制行政機関とは、「複数の自然人により構成され、〈口議によりその意思が決定される行政機関」であり、独任制
行政機関に対する概念である。地方自治法は、執行機関として、委員会または委員の設置を求め、また、附属機関の設
(9)置を認めている。これらは監査委員を除き、〈ロ議制を採用している。これらの機関の意義としくみ、その問題点、会議・
会議録の公開に関する判例を通して検討していきたい。 相次いでいる。 沖大法学第十一・十二合併号 〈C (2)条例を制定したり、要綱を定め対応している。また、制度の利用件数も増し、定着化しつつあり、条例を「つくる」時
(3) 代から「使いこなす」時代に入ったとも一一一一口われている。しかし、近年の情報公開条例の内容についてみると、情報公開制度の理念に必ずしもかなったものとは言えない状況
にある。情報公開制度の理念からすれば、行政機関の保有する情報は原則として公開され、その例外として、適用除外
(4)事項が最少限の範囲で定められなければならないが、東京都の条例以後、〈ロ議制機関等の関係情報を適用除外にすなる
(5)どその範囲が拡大されている。また、条例を制定し、制度を導入したものの、その意義を充分に理解せず、制度の理念
(6) (7)に反するような運用もなされているようである。そのような状況に伴い、非公開決定処分に対する不服申立てや提訴も
け行政委員会 地方自治法に基づく現行の自治体組織の特色は、公選による独任制の行政機関を設置し、同じく公選による議会と対 等な地位につけ、両者の均衡、抑制をはかるという首長主義(ただし、地方自治法一七九条は議会による長の不信任議 決と、これに対する長の議会解散権をとり入れるなど、首長主義は、完全なものではない)と、長から独立した執行機 関である行政委員会または委員を設置して執行機関の多元主義を採用している点にある。前者の趣旨は、権限を集中す ることによって統一的かつ迅速な行政を推進し、その権限の行使についての責任の所在を明確ならしめようとする点に あり、後者の趣旨は、専門的知識の要求される分野や政党の影響を排除しなければならない分野など、公正・慎重な判 断が要求される分野については、ある程度独立した機関を設けて、権限の集中を排除し、民主的な統制を加えようとす 地方公共団体の執行機関として法律上設置しなければならない委員会および委員は、地方自治法一八○条の五によれ ば、次のとおりである。都道府県が設置しなければならないものとしては、教育委員会、選挙管理委員会、人事委員会 または公平委員会、地方労働委員会、収用委員会、海区漁業調整委員会、内水面漁場管理委員会、監査委員があり、市 町村が設置しなければならないものとしては、教育委員会、選挙管理委員会、人事委員会または公平委員会、農業委員 会、固定資産評価審査委員会、監査委員がある。 これらの委員会の設置目的は、①行政の中立性の確保、②専門的知識の必要性、③準司法的手続の必要性、④諸 ろ点にある。 二合議制行政機関の意義としくみ 合議制行政機関の会議・会議録の公開 △
沖大法学第十一・十二合併号 〈一一 (、) 団体の利害の調整の必要性、⑤個人の権利保護、⑥住民の行政参加などにあるとされる。したがって、各行政委員〈室 は、それぞれの組織、権限などの点で異なるが、各委員会は、その分野の執行権を有するほか、その権限に属する事務 に関し規則を制定する準立法的権限(’三八条の四第一一項)を有し、争訟問題などを処理するための準司法的権限(一一 ○二条の一一)を有する場合がある。 行政委員会は、独任制の長と異なり、数人の構成員からなる合議制機関である。委員は法律に特別の定がある場合を 除いて、非常勤とされる二八○条の五第五項)が、例外として、監査委員、人事委員会の委員(地公法九条十一項)、 収用委員会の委員(士地収用法五二条七項)は、常勤とすることができる。委員会の委員または委員は、職務上の公正 を期するため、当該普通地方公共団体に対し、その職務に関し請負をしたり、経費を負担する事業についたり、または 一定の職業上の地位につくことを禁止されており、兼職禁止規定に抵触するにいたった時には、その職を失う□八○ 条の五第六、七項〕・委員には、原則として、勤務日数に応じて報酬が支給され、また、職務を執行するために必要な 費用が支給される(一一○三条)。委員の選任資格、選任方法、任期などは、各委員会の設置目的にそって法定されてい るが、選任方法についてみると、長が議会の同意を得て任命するもの(たとえば、教育委員会、人事委員会など)が多 いが、議会で選挙されるもの(選挙管理委員会)、|部公選、|部長が任命するもの(海区漁業調整委員会、農業委員 会、内水面漁場管理委員会)など一様ではない。また、委員の身分や構成については、その職務執行の公正を期するた め、特別な配慮がなされているが、一方、住民は、選挙管理委員会、監査委員、公安委員会の委員について、その重要 な職責にかんがみ、地方自治法八六条を根拠に、また、教育委員会の委員については、地方教育行政の組織及び運営に 関する法律に基づき解職の請求をすることができる。農業委員会の委員については、委員の選挙権を有する者は解任の
請求をすることができる(農委法一四条)。 委員会または委員は、いずれも職権行使について、独立性を有し,長の指揮監督に服することなく、自己の名と責任 で個別的な処分を行うことができるが、地方公共団体の一機関であることから、長の所轄の下におかれ長の統轄権に服 する(一一一一八条の三、’四七条)。長は、行政の一体性を保持するために、委員会の予算の調整や執行、委員会等の事 務に関する議決案件の議会への提案権をもち、これらの権限を行使して間接的に委員会の活動をコントロールすること ができる。また、執行機関相互の組織運営の合理化をはかり、相互の権衡を保持するため、長には、委員会などに対し その職員の定数または身分上の取扱いについて、勧告し協議する権限が認められている(一八○条の三、四)。 次に、行政委員会の運営について、会議・会議録の公開の点からみてみたい。 まず、教育委員会は、戦前の教育行政が国家の強力な中央集権に基づいて行われていたことの反省に基づき、戦後ア (、) メリカの影響の下に設立されたもので、教育の政治的中立化と「地域教育行政の文化的独立」を民主参加によって達成 しようとするものであった。昭和一一三年に教育委員会法が制定され、まず都道府県に委員会が設置され、ついで昭和一一 (、) 七年には市町村にも設置されるにいたった。しかし、発足と同時に教育委員会に対する批判がなされ、教育委員〈奏法は 廃止され、これに代わって、地方教育行政の組織及び運営に関する法律(以下地教行法という)が制定された。それに よると、教育委員会は、学校その他の教育機関の設置・管理・廃止、教育財産の管理、教職員の任免、児童。生徒の就 学・入学・転学および退学、学校の組織編成などの教育に関する事務(地教行法一一三条)を管理執行する機関である。 教育委員会は、会議によって、意思決定をなし、その権限を行使する。旧教育委員会法は会議の公開制を採っていたが (三七条)、地教行法は、会議・会議録の公開についてなんら規定せず、教育委員会規則に委ねているとみられ(一四 合議制行政機関の会議・会議録の公開 △ ̄  ̄
地方労働委員会は、労働組合に関する事務、不当労働行為、労働争議のあっ旋、調停および仲裁などを行うが、公益 上必要があると認めたときは、その会議を公開にすることができる(労働組合法一二条一項)。 沖大法学第十一・十二合併号 〈酉 (羽) 条)、実際、多くの自治体で〈云議は公開されているようである。 都道府県警察を管理するために、都道府県知事の所轄の下に設置される公安委員会も、戦前国の事務として中央集権 (M) 的官僚的に運営されてきた}」との反省に基づき、戦後、その事務が地方に委譲された結果、設置されたものである。昭 和一三年に制定された警察法は、従来の国家警察と市町村自治体警察とに分離したが、その後、昭和二九年に新たに警 察法が制定され、従来の国家地方警察と市町村自治体警察が総合一元化され、都道府県警察が設置さた。公安委員会は、 警察活動の公正中立を保障するために、知事から独立して警察の管理にあたるものであり、可能な限りの公開が求めら (応) れろと》」ろだが、警察法には公開に関する規定はない。 選挙管理委員会は、当該地方公共団体の議会の議員および長の選挙に関する事務のほか、国、他の地方公共団体、そ の他公共団体の選挙に関する事務を管理する。選挙管理委員会の設置目的は、選挙の公平な運営と能率的な運営を確保 する点にある。選挙管理委員会の根拠法は、地方自治法であるが、公開に関する規定はない。 人事委員会または公平委員会は、近代的な公務員制度の樹立にともない、専門的技術的な人事行政の円滑な運営を確 保するために、地方公務員法に基づき設置されたものである。同法五○条によれば、不利益処分を受けた職員から不服 申立を受理した場合、その事案を審査しなければならないが、その職員から請求があったときは、口頭審理は公開で行 わなければならない。また、同委員会の議事は、証拠として後曰に残しておくため、議事録として記録しておかなけれ わなければならない。また、 ばならない(|一条三項)。
公開されない(六六条)c
海区漁業調整委員会、内水面漁場管理委員会は、いずれも、漁業法の定めに基づき、漁業調整のため必要な指示その
他の事務を行うものである・両委員会の会議は、いずれも公開でなされ、議事録が作成され、縦覧に供される(漁業法
一○|条一一一、四項、一一一三条)。農業委員会は、農地の利用関係の調整、農業生産の増進、農業経営の合理化などの農政事務を処理する権限を有して
いる・当委員会の総会および部会の会議は、公開され、その議事録は縦覧に供される(農業委員会等に関する法律一一六、
必要があると認められる以外は、原則として公開しなければならない(土地収用法六一一条)。ただし、裁決の会議は、
収用委員会は、土地の収用または使用に関する決裁などを行うが、審理の公正が害される虞があるときその他公益上
固定資産評価審査委員会は、固定資産課税台帳に登録された事項に関する不服を審査決定する権限を有する。その不
服申立についての口頭審査の手続きによる審査は、公開して行わなければならない(地方税法四一一一一一一条六項)。
委員会の公開、会議録の作成については、以上のように、現行法上、①なんらそれに関する規定がないもの、②必要
に応じて公開を認めるもの、③会議の公開ばかりでなく、議事録の作成義務および縦覧義務まで求めるものまであり、
その対応は一様ではない。 二七条)。 ロ附属機関地方自治体は、法律または条例によって、執行機関の附属機関として、自治紛争調停委員、審査会、審議会、調査会
合議制行政機関の会議。会議録の公開 (六六条) ◎ 〈三その他の調停、審査、諮問調査のための機関を置くことができる(一一一一八条の四第三項)。地方自治法一一○一一条の一一一第
四項および別表第七は、法令により必置すべき附属機関を指定している。それによると、都道府県が設置しなければな
らない附属機関は、知事に属するものとして、防災会議、国土利用計画地方審議会、環境衛生適正化審議会、保母試験
員、地方社会保険医療協議会、森林審議会、建築審査会、私立学校審議会など四○機関に及び、また、都道府県教育委
員会に属する附属機関として、教科用図書選定審議会、スポーツ振興審議会がある。市町村が設置しなければならない
附属機関は、市町村防災会議、民生委員推薦会、国民健康保健運営協議会など一五機関に及んでいる。このように法律
(妬)に根拠をもつもの以外に、条例に根拠をもつ附属機関、さらに、要綱に根拠をもつ長の私的諮問機関がある・現在、附
(Ⅳ)属機関は、自治行政のかなり広い分野にわかり多数設置され、審議〈室、調査会、審議会などの名が付されている。
附属機関は、「執行機関が直接住民を対象とした行政の執行権を有するに対して、これら執行機関の要請により、そ
の行政執行のための必要な資料の提供等いわばその行政執行の前提として必要な調停、審査、審議又は調査等を行なう
(旧)ことを職務とする機関である。したがって、直接住民を対象とした執行権を有しないものである」とされている・附属
(四)機関は、法律に特段の定めがないかぎり、独自の立場で行政決定をすることはできず、執行機関に意見を具申するにと
どまり、また、その場合の答申は、行政機関の意思を法的に拘束するものなく、執行機関は、答申を十分に考慮したう
えで、自己の責任と判断で最終決定を行うことができる。審議会への付議は、政治的にはともかく、法的意味で執行機
(m) 関の責任を免除するものではない。附属機関の委員は非常勤であり、その庶務は、法律又はこれに基く政令に特別の定がありるものを除く外、その属す
る執行機関の部局が担当する(一一○二条の一一一第一一、’’一項)。 沖大法学第十一・十二合併号 〈一〈附属機関の設置目的は、一般に、①行政の民主化(行政への国民(住民)参加)、②専門知識の導入、③公正の確保、
(皿)④利害の調整、⑤各種行政の総合調整等にあるとされる。行政の民主化は、委員などが国民や住民に代わって審議する
ことによって、官僚の独善化阻止、官僚制打破といった行政の民主化、もしくは政策決定への民意の反映にあるとされ
る。また、専門知識導入の目的は、行政の専門分化、複雑化に対応するため、その道の専門家、権威者を起用し、その
威信による威信づけをはかることにある。さらに、公正の確保、利害の調整の目的は、住民のあいだに存在する対立す
る利害の調整を審議会を通して行おうとすることにあったり、対立する利害の代表相互が、|堂に会することによって、
理解し合い、話し合いすることにある。各種行政の総合調整の目的は、セクショナリズムにおちいりがちな行政各部門
理解し合い、話し合いするこし (配) 間の調整を果たすことにある。委員の選任は、一定の資格要件を有するもののなかから首長が自由裁量により任命する方法がとられている。委員の
構成は、①行政機関の職員、②議会の議員、③関係団体。組織の代表者、④学識経験者で構成されるのが一般的であり、
(鋼)なかには、委員構成が法律で定められたり、通達によって指導されているものもみられ、また、学識経験者については、
特に関係業務について学識経験ある者と限定したり、または公正な判断をすることが出来る者と明示したりしたものも
(蝿) みられる。審議会などの附属機関の運営は、委員の構成も含めて、その招集から答申に至る全過程にわたり、行政過程の適正化
(適正手続)と民主化(行政活動への国民(住民)の関与)という行政手続の法理に叶うように慎重に行わなければな
(妬)らない。また、手続に関する明文の規定が存在しない場〈ロでも、悪意、独断の介入の余地のないような手続が採られな
(妬) 枠Uればならない。 合議制行政機関の会議・会議録の公開 ′へ 卍=その運営は、通常、諮問、審議(審理)、答申案の作成・決定(決議)、答申の順で行われる。
まず、多くの場合、行政庁の諮問を待ってその権限を行使するが、合議機関がその行為能力を取得するためには法令
に従い正当に組織されなければならない。審議過程は、悪意、独断ないし他事考慮を疑うことが客観的にいわれがない
(”)と認められるような手続によって行われなければならない。そのような手続きに叶うか否かの判断は、たとえば、①委
員の構成に違法はないか、②審議会に公正な資料が提出されたか、③考慮すべき要素に欠けたところはないか、④考慮
すべきでない要素を過大評価していないか、⑤反対派の意見を検討したか、⑥代替案を検討したか、などの点からなさ
(鯛)れなければならないと解されている。答申案の作成は、委員長、委員の中から選任された起草委員あるいは事務局職員
に委ねられるが、実際の執筆には、事務局職員があたり、委員長、起草委員がそれを審査し、加筆・修正する場合が多
(鯛)いようである。答申案の決定は、申し〈ロわせ・内規等で全員一致あるいは出席委員の過半数の多数決でなされる。行政
庁に対する答申の効力は、前記したように、諮問機関たる審議会などの答申は、法的拘束力を有せず、行政庁は、答申
と異なる行政処分などをなすことができる。したがって、審議会が行政庁に対し答申の完全実施を要求する法的権利を
有するわけでもなく、また行政庁は、答申通りの処分などを行ったからといって、それに対する国民(住民)の非難を
(釦)行政庁自らのものとして受け止めず、審議会に責任転嫁する》」とは許されないと解される。
審議会などの審議過程を公開の点からみてみくと、原則は非公開となっている。その主な理由は、審議会の席上にお
(狐)ける委員に発一一一一口の自由を保障することにあるとされる。しかし、行政の民主化、あるいは後述するような審議会の現実
において果している役割や問題点からすると、行政過程の公開は重要であり、むしろ原則公開とし、委員の発言の主体
(型)性の確保その他の理由により公開がふさわしくない場〈ロに例外的に非公開とすべきであり、また、住民が、後曰く云議の
沖大法学第十一・十二合併号 ′゛、 ′へ模様を知り、判断の資料とするためにも、議事録の閲覧も認められるべきであると考えられる。
まず、行政委員会についての問題点について若干考察してみたい。行政委員会は、執行機関の多元主義のもとに、法律の定めるところにより設置されるが、現行の自治体の行政委員会
の中で、地方自治法に直接の根拠をもつものは、選挙管理委員会のみであって、他は、公安委員会は警察法、人事委員
会もしくは公平委員会は地方公務員法、教育委員会は地方教育行政の組織及び運営に関する法律、地方労働委員会は労
働組合法、収用委員会は土地収用法、海区漁業調整委員会および内水面漁場管理委員会が漁業法、農業委員会は農業委
員会等に関する法律、固定資産評価委員会は地方税法にそれぞれ設置根拠規定を有している。もちろん、各委員会の設
置根拠規定が多数存在すること自体は問題ではないが、現行法は、委員会の権限、委員の数・資格、選任方法・任期、
定足数、議事手続、規則制定権、委員の解職請求、委員の常勤、非常勤などについて、詳細に画一的に定めている。そ
(調)の結果、自治体の地域的実情に応じた委員会の組織や運営は極めて困難とされている。また、運営面でも、現行の法制
度の結果、「国の多元的な法規制が中央省庁の系列に沿って行われ、法令のみならず、行政指導や通達等を通じて、自
(鍵) 治体の自治組織権を著しく拘束している」と指摘されている。 また、行政委員会は、職権行使の独立性を有し、長の指揮監督に服することなく、自己の名と責任で個別的な処分を三合議制行政機関の問題点
合議制行政機関の会議・会議録の公開 ノヘ ブマュ教育委員会は、当初、旧教育委員会法のもとで、①教育行政の地方分権化、②教育行政の民主化、③教育行政の自主
性確保といった三大原則を制度的にも機能的にも保障する制度として創設され、公選の委員で組織されていたが、教育
行政の政治的中立性と教育行政の安定の確保を名目とした公選制の廃止や公開原則の後退によって、父母・地域住民の
(釘)教育行政への参加の途がせばめられてきた。このような経緯にかんがみると、〈云議規則に基づく公開ではなく、法律に
基づく公開原則の導入が求められなければならない。公安委員会の会議については、現行警察法はなんら規定していない。また、情報公開を実施している都道府県で、公
安委員会を実施機関としている例はない。その理由は、公安委員会は、警察法に基づき、都道府県警察を管理するが、
ある。き上意下達的集権を容易に導くタテの教育行政機構の中に組み込まれ、他方で長とのヨコの関係でも一般行政権への従
意義は建前として維持しつつも、「一方では国↓都道府県教育委員会(教育長)↓市町村教育委員会(教育長)のごと
を行うものとすると定めている。教育委員会については、原則的にはなお住民に基礎をおき、合議制執行機関としての
会は市町村に対し、都道府県または市町村の教育に関する事務の適正な処理を図ろため、必要な指導、助言または援助
業委員会等に関する法律一一三条)。また、地教行法四八条は、文部大臣は都道府県または市町村に対し、都道府県委員
督をうけ(漁業法一一七条、’三一一条)、農業委員会の議決についても、知事は再議権および取消権を有している(農
行うことができるが、個別的にみれば、海区漁業調整委員会および内水面漁場管理委員会は、主務大臣または知事の監
(鍋)属を余儀なくされ、その結果、法制・運営の両面でその自主性・自律性を発揮しうる地位におかれているとはいえない」
(銘〉と指摘されている。実際、情報公開制度の運用の面でも、文部省および大阪府教育委員〈雪の強い指導がなされた例も
沖大法学第十一・十二合併号 ナ四 ・警察が犯罪の予防・鎮圧・捜査、被害者の逮捕、交通取締りその他公共の安全と秩序の維持をその職責とする以上、犯
罪捜査の手段・方法の秘匿、情報提供者の匿名性、被疑者その他関係者のプライバシー、関係者の生命・身体の安全の
保持などの観点から、情報を秘匿する必要があるといわれている。しかし、この理由づけについては、犯罪捜査に関す
る情報は非公開とすべき場合があるといえるが、これは適用除外事項の問題であり公安委員会を実施機関から除外する
理由とはなりえな咽・警察行政は住民生活に密着し、強力な権力の行使を伴うことから、人権と深くかかわるものであ
り、民主的コントロールのもとにおかれる必要があり、「公安委員会だけを特別扱いする考え方は警察を聖域化する考
(調)えにつながり、民主警察の維持発展と逆行する危険な考え方」であるとの反聿祀もある。また、警察官の不祥事の解明、
航空機事故、原子力発電所などの事故に関する捜査当局の調査資料の公表、デモ・集会の許可や規制の方法、個人の素
(㈹)行・思想調査などについて公開を求める一戸も強い。確かに、これらの課題を自治体レベルで解決するには限界もあり、
国レベルの情報公開立法で解決されなければならない面もあるが、可能な限りの公開が求められるところである。
次に、附属機関たる審議会の問題点について考察してみたい。
地方自治法上の附属機関の設置については、法定主義・条例主義が採られているが、実際には、府県の場合には規則、
また市町村の場合には、府県に比べて規則、規程、あるいは要綱による場合が多くみられるようである。法令で設置さ
(い〉れろ附属機関は、国の各省庁の「ひもつき審議〈云であり、形式化されている」》」とが多く、「国が自己の政策を地方自
治体に浸透させる組織的手段として系列下にある審議会を広範に活用してい魂」状況にあり、「自治体の自治組織権を
(綱)侵害し、ひいては審議会等の形骸化をもたらしている」と指摘されている。審議会が、官僚の作成した案に対して「免
罪符」を与えたり、「権威づけ」を行う役割を果たしたり、あるいは、住民の間で対立がはげしく、執行機関が決断す
(盤) 合議制行政機関の会議・〈云議録の公開 九一ろ自信のない事項について、無反省に審議会に追随し、審議会を「かくれみの」にして責任回避の手段として利用する
(妬〉 傾向があるとされる現状からすると、できる限り条例によって設置すべきであろう。委員の選任は、一般に、事務局で検討して、首長が選任するという形が採られるが、行政側が選ぶ以上ある程度の制
(妬)約はあり、長や執行機関の考え方に著しく違う意見をもつものは敬遠されてしまう。審議〈雪の委員構成は、前記したよ
うに、①行政機関の職員、②議会の議員、③関係団体・組織の代表者、④学識経験者で構成される。行政機関の職員の
(柳)加入については、審議会は行政側の諮問を受ける立場にあるので、不合理であり、|種の矛盾であり、「適当でないと
いうより、弊害がある」といわれている。議員を審議会に加えることの理由は、行政側からすれば、議会側の言質をとっ
たかたちになり、その答申に基づく政策、施策、予算などの成立を容易にすることができ、議会側からすれば、審議会
(網)は議会よりも早く問題を検討するため一つの情報源となることや委員のポストが役職の一つになることなどが挙げられ
ている。しかし、議会と審議会とではそれぞれの役割や機能も異なり、また、議員自体も一貫した言動を示すことが困
難となるだろう。首長主義を採るわが国の地方制度の下では、立法部の議員が行政部の諮問機関に加入することは望ま
しい姿ではないだろう。また、学識経験者の審議会への加入のメリットは、職業的公務員が持ち合わせていない、いわ
ば在野の専門的知識を活用することにある。しかし、「学識経験者」の範囲はあいまいで、議員や職員OBも含める場
(鯛)〈ロも多いようである。また、「学識経験者」として社会的承認が一応成立していると考えられる「大学教授」の場合に
(印)も、人選が「専門的・学術的識見によりは一般的・世間的知名度に重きを置く傾き」があると指摘されている。委員の
(a) 構成については、指摘した以外にも委員の顔ぶれの固定化などの問題がある。審議会の運営についての重要な問題点は、会議が非公開でなされている点である。その理由は前記したように委員の
沖大法学第十一・十二合併号 九一一自由な発言の保障にあり、確かに、委員は発言内容につき個人的攻撃を受ける可能性もあるが、行政実務は如何に困難
(兜)であり一つの決定にいかに多様な価値観の交錯があるかを一人でも多くの市民に知らせることは、最高の市民教育」で
もある。また、民主的観点からしても、審議会の委員といえども住民の批判の対象外に逃れることは許されないところ
(閃)であり、委員も、就任に際して、そのわきまえをもつべきであろう。
附属機関設置の重要な目的が、行政への住民の参加であり、また、「開かれた行政」の推進のためにも、附属機関の
(鴎) 会議・会議録の公開が強く求められるべきである。ここでは、合議制機関の会議・会議録の公開に関する判例について概観してみたい。
行政委員会については、現在まで、情報公開条例で争われた事例はないが、会議の公開・会議録の閲覧請求権および
情報公開制度の意義を考える際、参考となりうる判例を採りあげてみたい。また、附属機関については、埼玉県行政情
報公開条例事件と東京都公文書開示条例事件を採りあげることにする。 (閉)⑪裁決に対する不服事件(最一一判昭和一一四年一月一一曰)
村選蛍管理委員会の当選を無効とする決定について、その無効を争った事件である。最高裁は、選挙管理委員会の会
四会議・会議録に関する判例 合議制行政機関の会議・会議録の公開 プーヒj- -  ̄「地方公務員法は、人事委員会の議事は、議事録として記録して置かなければならないと規定するにとどまり、その 細目は人事委員会の定めるところに委ねている。そして、本件に適用される人事委員会規則には、議事録にどのような とができよう。 ろために、当雷 「人事委員会の審査手続は、審査決定の慎重性と内容の合理性を担保するものであり、また、その議事録は、手続の 経過および結果を記録してこれを公に証明するものであるから、厳格な意味での手続的正義を実現する上からいえば、 右の手続を適正かつ公正に行ない、その議事録を正確に記録しているというだけにとどまらず、さらに、これを保障す るために、当事者に対し議事録閲覧の機会を与え、これに関する不服申立ての途を開いておくことが望ましいというこ (略) ②行政処分無効確認請求事件(最一一一判昭和一一一九年一○月一一二日) 知事から免職処分を受けた上告人が、県人事委員会に免職処分について審査請求を行い、その審査係属中に、人事委 員会の議事録の閲覧を拒否された事件である。最高裁は、人事委員会の議事録と閲覧請求権について、次のように判示 している。 定することもできない。」 当時、会議の津 した事例である。 議と議事録について以上のように判示している。 「選挙管理委員会は、その会議について会議録をつくらなければならない旨の法令の規定はないから、村選挙管理委 員が会議録を作らなかったことが違法であるとはいえない。又、会議録がないからといって、会議を開かなかったと断 沖大法学第十一・十二合併号 会議の運営について法制上の整備がなされていなかったとはいえ、合議制機関の意義や法的手続の意義を軽視 L_ 茜
方法で、どのような内容を記録すべきか、また、その議事録を一般の閲覧に供すべきかどうかについては、何ら規定す
るところがない。このような法制の下においては、審査請求者に議事録の閲覧請求権が与えられているものとは認め難
く、従って、審査請求者は、人事委員会によって議事録の閲覧請求が拒否されたからといって、その拒否処分の取梢ま
たは無効確認の訴を提起することを許されないものといわなければならない。」本件の場合も、法制上の不備があるとはいえ、審査の対象である当該職員が公開を要求し、かつ閲覧請求の主体であ
る以上、認めてもよいであろう。 (印) ③懲戒免職処分取消請求事件(最三判昭和四九年一一一月一○曰)教育委員会の行った懲戒免職処分が、旧教育委員会法の定める会議の公開に違反するか否かを争った事件である。
「同法のもとにおける教育委員会の会議の公開は、会議の公正な運営を確保するとともに、各委員の活動を住民の直
接の監視と批判にさらし、あわせて次期選挙の際における判断資料を得させるためのものであるという点において、重
要な意義を有するものであり、これに違反して行われた議事が暇疵を帯びるものであることは、いうまでもない。」
「しかしながら、このことから直ちに、教育委員会の会議の過程において形式上いささかでも右公開原則に違反する
ところがあれば、常にその議決の効力に影響を及ぼすものとすることは相当でなく、具体的事案における違反の程度及び能様が当該議案の議事手続全体との関係からみて実質的に前記公開原則の趣旨目的に反するというに値しないほど軽
微であって、その暇疵が議決の効力に影響を及ぼすとするには足りない場合もありうると解すべきである。」
「以上の点をあわせ考えるときは、本件免職処分の決議には、その審議を秘密会でする旨の議決が完全な公開のもと にない会議で行われた点において形式上公開違反の暇疵があるとはいえ、右処分案件の議事手続全体との関係からみれ 合議制行政機関の会議・会議録の公開 九三「会議の議案に利害のある住民や関心のある住民は、委員長の許可を得て傍聴すれば、その会議の模様を承知できる が、その会議の曰に差し支えがあって傍聴できなかった住民あるいは傍聴人の数が制限されて会場に入場できなかった 住民などは、後日、会議録を閲覧することによって、会議の模様を承知できるのである。そうすると、会議公開の原則 の前述の目的を満たすためには、会議の曰に傍聴を許すだけでは足りず、傍聴できなかった住民のためにも会議録の閲 て右免職処分の議決そのものを取り消すべき事由とするにはあたらないものと解するのが、相当である。」 ばその違反の程度及び態様は実質的に前記公開原則の趣旨目的に反するというに値いしないほど軽微であり、これをもっ 当時の最高裁が、会議の公開は、「会議の公正な運営を確保するとともに、各委員の活動を住民の直接の監視と批判 にさらす」意義があるとした点は注目すべきであろう。しかし、本件の公開違反の瑠疵が、公開原則の趣旨目的に反す るというに値いしないほど「軽微」であるとした点については、疑問が残る。 (配) 側会議録閲覧不許可取消事件(大阪地判昭和五五年九月一一四日) 箕面市の住民が、同市教育委員会に対し、会議録の閲覧・謄写の許可申請を行ったが、不許可となった。本件はその不 許可の取梢を求めた事件である。 箕面市教育委員会「会議規則二条三項は、被告の会議を原則的に公開することにしている。」 「会議公開の原則を担保するものに、会議規則六条の傍聴を許可する規定、傍聴規則と、会議規則四条、五条の会議 録作成に関する規定とがある。これらの規定からすると、被告が会議を公開して傍聴を許可し、その都度会議録を作成 する第一の目的は、会議の審査が公正に行われることを担保するために、住民に審議の状況を知る機会を与えることにする第一の目的は、会議の審末 あるとしなければならない。」 沖大法学第十一・十二合併号 空く
(弱) ⑤埼玉県行政情報公開条例事件(浦和地判昭和五九年六日m一一日) 原告は、埼玉県行政情報公開条例に基づき、同県都市計画審議会の議事録における事務局説明部分の公開を求めたが、 非公開となった。本件は、この非公開決定処分の取梢を求めた事件である。 「会議の非公開とその会議の経過や結果を記録した会議録を事後的に開示することは事柄の性質上両立しえないでは 判例である。 つ。このようにみてくると、被告の会議公開の原則の規定は、会議録の閲覧請求を含むものとするのが相当である。」 している。)この住民の直接民主主義の制度は、会議公開の原則とともに、教育委員会の悪意や独断を排するのに役立 監査請求、住民訴訟など)を行使するきっ掛けをつかむことができるのである(げんに、原告は別訴で住民訴訟を提起 覧を許すことが必要になる。このようにして会議の模様を知った住民は、地方自治法上の権利(教育委員の解職請求、 また、「閲覧を許して謄写をさせないと、不正確な記憶に基づく情報が流布される虞れがあり、却って得策ではない。 それを防止するため、要点をメモさせることは、既に謄写を許したことになる。このようにみてくると、閲覧請求権に は、謄写請求権が含まれるとした方が合理的である。」 この判決の意義は、地教行法が会議公開についてなんら規定せず教育委員会の規則に委ねている下で、積極的に会議 録の公開の必要性と会議録の閲覧・謄写請求権を認めた点にある。情報公開が求められている状況の中で一石を投じた ないと考えられる」 「情報公開条例制定の動機及び経過並びに前掲の同条例の条文内容に照らしてみると、同条例は、『公文書』の形式 で存在する行政情報は原則として全部公開するという理念を基本とするものであることが明らかであり、前記基本計画 合議制行政機関の会議・会議録の公開 九壱
においては、このことが明示されていることが認められるのである。.…:情報公開条例六条二項一号は、:::条文も同 条例の右基本理念に即して厳格に解釈されなければならず、したがって、県審議会の会議録の公開性が排除されている というためには、その旨が法律又は条例に明文をもって規定されているか、少なくともその旨が法律又は条例の当然の 解釈として肯認できる場合でなければならないというべきであって、審議会条例の委任を受けた運営規則に県審査会の 会議を非公開とする旨の規定があることの一事をもって、同会の会議録の記載が情報公開条例六条二項一号の行政情報 に該当するとは到底いえない。」 「ことに、都市計画地方審議会の権限とされる事項については、関係者間の激しい利害の対立、錯綜が予想され、そ のことが地方自治体の行政意思形成の過程に審議会の議を経るものとした理由の一つであり、審議会の議事を住民意思 に根ざしたものとするには、かかる意思形成過程における情報の公開が不可欠な手段であって、また、|面地方自治体 の行政の陥りがちな、腐敗、事大・形成主義や技術的専門的事項であるための住民意思からの離反などの諸弊害に対す る有効な対応手段ともいえる。その意味で、かような場合における情報の公開こそ、情報公開条例の理念に合致し、地 方自治法からも明らかな国政以上に要求される住民の直接参加など、憲法の定める地方自治(住民自治)の本旨の具現 の基礎として最も重要なものと考えられる。」 本判決の意義は、情報公開制度の理念を最も重視し、行政側の行政運営上の便益最優先の考え方に厳しい判断を下し た点にあるといえるだろう。また、本判決は、わが国初の情報公開条例に関する判決であり、会議の非公開が必ずしも 会議録の非公開を意味しない、とした点で高い評価を受けたが、その後の公開条例の制定に影響を与えることになっ た ◎ 沖大法学第十一・十二合併号 九〈
「公文書開示条例においては、原則として、公文書の公開が定められ、例外的に、合議制機関等情報についてはその
議決等により非開示とす余地が認められるのであるから、公文書開示条例の制定を念頭に置いてされた本件の議決は、
法的にみると、会議の要録を公開するという点に意味があったのではなく、むしろ会議録に相当する文書は非開示とす るという点にこそ意味があったものと解される。」 「このようにみていくならば、本件議決が会議録相当文書は非開示とすることをその内容としていたという点は明確 であって、二義の解釈を入れる余地はない。」 「開示する否かの判断は合議制機関等の自主的判断に委ねられ、しかも事前かつ包括的な形で非開示を定めることも許容されていると考えられるから、控訴人主張のように、合議制機関等が、非開示議決をするに当たり、公文書に記載
した情報の具体的内容を検討し、当該情報を非開示とすべき実質的理由の有無を個別具体的に判断しなかったとして、 その議決の違法をいうことはできない。」 「|股に、合議体における自由關達な審議の保障のためには、審議が終了した後といえども、審議の過程での発言内 容等が外部に公開されない保障のあることが必要な場合も十分考えられるのであるから、本件非開示議決が、環境影響 評価審議会の終了後も含め全面的に非開示を定めたからといって、その判断が合理性を持つ判断として許容される限度 訴を棄却した。 本件は、その韮 (印) ⑥東京都公文書開示条例事件(東高判平成一一年九月一一一一曰)原告は、東京都公文書等に関する条例に基づき、環境影響評価審議会の文書の公開を求めたが、非開示と決定された。
件は、その非開示決定の取消を求めるものである。本判決はおおむね第一審判決と同様の判断を示して、原告らの控 合議制行政機関の会議・会議録の公開 九九合議制行政機関は、以上概観してきたように、地方行政において重要な意義と役割を果たしている。しかしながら、 その会議・会議録の公開に向けての整備は、かなり遅くれているのが現状である。それどころか、情報公開条例の適用 除外事項に、合議制行政機関の関係情報を安易に含めてしまう傾向すらみられる。 (印) アメリカでは、’九七二年に「連邦諮問委員会法」、一九七六年には「サンシャイン法」を制定し、〈奉議の公開に努 をうかがうことができるだろう。 の判例からは、会議の公正を確保するため、あるいは住民の参加資料の点から会議・会議録の公開の意義を認める動き 以上、判例を概観してみたが、会議の公開や会議録の公開についての考え方はそれぞれ異なっている。しかし、近年 しまう危険性があるといえるだろう。 ら、開示を求める立場だけから限定解釈することはできないとしている。合議制機関を実質的に実施機関から除外して とによって得られる利益と開示されることによって影響を受ける側の利益とのバランスの上に認められるものであるか たとして、非開示議決の存在を認め、また、開示請求権についても、一般的包括的な開示請求権ではなく、開示するこ 本判決は、本件審査会における議決の趣旨については、会議録に相当する部分の文書を非公開とする点に意味があっ を超えたものであるとはいえず、審議会が違法な議決を行ったということはできない。」 五今後の課題 沖大法学第十一・十二合併号 ―つつ
(舵)
めている。わが国でも、自由人権協会が、一九八一二年に「会議公開法案」、「会議公開条例案」を提示している。また、
(閲)那覇市のように、「会議公開の指針」を定め、実際に対応している例4℃みられる。
会議・会議録の公開を充実させるためには、単に会議を公開にするだけではなく、住民に会議の公開、議事内容を周
知させ、委員にはあらかじめ資料を配布し議論を活発なものにするための工夫や、会議録作成の義務づけ、作成の基準
作り、閲覧、謄写、保管などに関する条例化が必要だろう。行政過程を民主的なものとして、合議制行政機関の設置を
意義あるものとするためにも、また、「知る権利の確立」「住民自治」「行政への住民の参加」を充実させるためにも、
各自治体の今後の取り組みに期待し見守りたい。 (1)毎日新聞調べ一九九一年一○月一二日。(2)『那覇市情報公開制度運用状況の公表』(那覇市総務部総務課情報公開センター平成一一一年三月一一一一日)によれば、那覇市の
一九九○年四月一日~九一年一一一月一一一一日までの公開請求件数は一一一一一一件、そのうち公開一一五件、部分公開一一件、非公開一一一件、取り
下げ一件となっている。また、情報提供で対応できる公開請求が減少し、組織的判断を必要とする請求へと質的な変化が生じて
いると指摘している。 (4)拙稿「情報公開法」佐久川政一・福里盛雄・水野益継『法学入門』’九八八年、八千代出版四二○頁。 (5)たとえば、群馬県、愛知県、兵庫県などの条例。沖縄県の一九九○年の廃案となった条例案も適用除外としていた。(6)『情報公開と個人情報の保護-情報主権の確立をめざしてI』一九九○年、日本弁護士連合会二頁によれば、たとえば条例に
は情報の記録義務や保存義務に開する条項が含まれいないため、情報を記録せず公開を逃れる運用がなされていると指摘している。また、沖縄タイムス’九九一年七月三一日によれば、①これまで公文書に記載していた事項を記載しない②文書を細分し一
件の公開範囲を狭めるなど、既に条例を制定した自治体の中で”防衛策“を熱心に研究している県もあるという。 (7)これまでに二件なされている。拙稿「情報公開条例に関する判例の動向」では一一一件についてふれている。 (3)毎日新聞・前掲 合議制行政機関の会議・会議録の公開 一つ一(Ⅲ)佐藤功「審議会」行政法講座四巻『行政組織』’九六五年、有斐閣一○八頁。荻田保「審議会の実態」年報行政研究七号一一一四
頁以下。 (別)原田・前掲一二○頁。(四)建築基準法七八条に基づく建築審査会は、不服申立の審査のみでなく行政処分の認可など強力な権限をもつ。
(岨)長野士郎『逐条地方自治法』’九七五年学陽書房三九一頁。 ある。 (Ⅳ)市匿(肥)原田尚彦『地方自治の法としくみ』’九九○年学陽書房二九頁によれば、ある程度、行政慣行として承認されているようで
(咽)室井敬司「自治体における合議制機関」兼子仁・礎野弥生編著『地方自治法』一九八九年学陽書房一一一一一一一頁。
(Ⅲ)俵・前掲二六六頁。(旧)文部省などによると、教育委員会会議について、都道府県で非公開なのは、北海道・新潟県・兵庫県・香川県の四つだけで、
(皿)園部・田中舘前掲四九二頁。俵静夫『地方自治法』’九八一年有斐閣二五八頁。 (、)兼子仁『教育法(新版)』’九八二年有斐閣三四九頁。 (皿)園部・田中舘前掲四五七頁。政令指定年でも大阪を除く九市が傍聴を認めている(阿部泰陸「会議・会議録公開の法と政策」都市問題研究一一一七巻一号一九八
五年、七二頁による)。その後、新潟県も公開になった。しかしながら、傍聴にあたって教育委員長の許可や人数制限があるな
どの制限をしているところが多いという(室井敬司「自治体合議制機関の会議・会議録の公開」亜法一一一一一巻一号三五頁による)。
(9)’九九一年四月一百の地方自治法の改正により、監査委員の定数が二人以上である場合においてはその合議によるものとされ
(8)園部逸夫・田中舘橘『セミナー地方自治法l学説・判例・実例を中心にI』(全訂版)’九八二年ぎようせい四五八頁。
数は一四八といわれている。いう二九八五年四月一日現在)。仲地博編著『沖縄の自治と自治体』一九八五年ひるぎ社四二頁によれば、沖縄県の審議会の
八○頁によれば、愛知県の場合、法律・条例設置の審議会の一一一四に対して法令等に基づかない協議会等は一七九にものぼると
)市橋克哉「地方自治の焦点と論点諮問行政l地方自治法からみた地方自治体の審議会」法学セミナー、’九八七年一一一九一一号
た(七五条の四項)。 沖大法学第十一・十二合併号 |□一一宛)以上佐藤仁「審議会の役害」地域開発一九七八年一六○号四頁参考。