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外部放射線治療の呼吸性移動対策における聾唖者への視覚的息止め照射法

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Academic year: 2021

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京都市立病院紀要 第 38巻 第 1号 2018 26 背     景  外部放射線治療では,主に自由呼吸下で治療を行って いる.外部放射線治療機器の改良により,体外的な信号 を得ることで腫瘍の呼吸性移動を確認しながら治療を行 うことが可能になった.そのため,呼吸性移動を伴う肺 や肝臓などの治療では,息止め照射法を用いる場合があ る.息止めを行うことで,腫瘍の移動範囲が小さくなる. 放射線治療を行う際に照射範囲を小さくでき,正常組織 への影響を低減できる(図 1).息止め照射を行う場合に は,腫瘍の動きと呼吸波形との相関性があることが重要 である.事前に相関性を確認した後に,呼吸管理ツール (安西システム Ver3.2A[GE])を用いて,呼吸波形を直接 視認し,呼吸停止下で治療を行う.通常は操作室からマ イクロフォンを通して,照射室内にいる患者に息止めを 指示する方法を用いるが,聾唖者の場合は聴覚的に息止 めの指示を伝えることは非常に困難である.よって,聴 覚的な伝達方法以外の検討が必要になった. 目     的  聾唖者に対する呼吸性移動対策における視覚的な指示 による息止め照射法に関して報告する.また息止めの再 現性と治療時の室内環境について検討を行った. 対     象  対象は 60代男性で,聾唖者一名,健常者一名である. 方     法

 外部放射線治療機器( Synergy TM:Elekta社製)の寝 台上に患者を仰臥位とし,息止めを視覚的に指示するた めにプレゼンテーション用のスライドをプロジェクター ( EBS04:EPSON社製)を用いて投影した.治療体位は 仰臥位であるため,スライド 指示は天井に投影するのが 体勢的に一番見やすい.しかし治療機器によって視野が 遮られる場合があるため,視野が確保される足側の壁面 に映し出した.治療中に体勢を変えずにスライド 指示を 見ることができるように,患者の頭上に三脚を設置し, そこに反射鏡を固定,その反射鏡を介して間接的にスラ イドが見えるようにした(図 2).  スライド の文言は,定型文で「息を吸って,吐いて, 要   旨  当院では,肺癌や肝腫瘍等の呼吸性移動を伴う部位に外部放射線治療を行う際,息止め照射法を採用している.息止め照射 法を用いる場合,操作室からマイクロフォンを通して,照射室にいる患者に息止めを指示する.聾唖者に対して息止め照射法 で治療を行う際,聴覚的な指示が困難なため,息止めを指示するためにプレゼンテーション用のスライドをプロジェクターを 用いて投影し,視覚的に伝える方法を考案した.この方法の息止めの再現性と治療時の室内環境について検討を行い,本手法 が通常の息止め照射法と同等に照射することができることを確認した. (京市病紀 2018;38(1):26-28) Key words:外部放射線治療,息止め照射,呼吸波形,聾唖者

外部放射線治療の呼吸性移動対策における聾唖者への

視覚的息止め照射法

(地方独立行政法人京都市立病院機構京都市立病院 放射線技術科 ) 山本 安澄  福本 賢大  田中 和徳  小菅 友裕 宮井 明  花井 悠起  津川 和夫 足方の壁面に映し出したスライド 及び患者の頭上に 設置した三脚と反射鏡 図 2 照射環境 a.⮬⏤࿧྾ୗ b.࿧྾೵Ṇୗ ⭘⒆ ↷ᑕ⠊ᅖ 図 1 自由呼吸下 (a)と呼吸停止下 (b)の腫瘍の動きと照射範囲

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27 止めて下さい」などを複数作成した.患者は各スライド 指示に従い息止めを行った.一方,技師は息止めが正確 に実施されているかを確認するため,腹壁の動きから取 得した呼吸波形(図 3)を監視しながら照射した.息止 め再現性があるかを,通常の息止め照射法(通常法)と 聾唖者の息止め照射法(聾唖者法)の呼吸波形の位置か ら,変動係数( %)を用いて比較した.2群間において は t検定を用いて両側検定を行った.一方,照射環境に ついては患者に聞き取り調査を行った. 結     果  通常法は変動係数が 6.65( %),聾唖者法は 6.81( %) であり,両者の息止め再現性に大きな差は認めなかった. また,2群間の t検定では P値 0.86で有意差はなかった (表 1).  また,患者の聞き取り調査では目が疲れるという意見 があった. 考     察  患者の目の疲れという訴えに対しては,照射室内の照 明輝度を調整することで眼精疲労を軽減することができ た.また,実際の治療にかかる時間は 15~ 20分で,患 者はその間スライドを見続けなければならないので,反 射鏡を大きくすることで眼精疲労改善ができた.しかし, この方法は毎回照射前のセッティングに時間がかかる上, 鏡が患者や治療機器に接触する可能性がある.現在では バーチャルリアリティ (VR)の技術が発展してきており, タブレットとゴーグルなどのヘッド マウントディスプレ イを用いた呼吸管理方法がある.この手法を用いること で患者の疲労を少なく,安全に息止め照射で治療を行う ことができると考えられる. 結     語  聾唖者の呼吸性移動対策において,視覚的な指示によ る息止め照射法を実施した.本手法では通常の息止め照 射法と同等に照射することが確認できた. 図 3 患者の腹壁信号から取得した呼吸波形の一例 ㏻ᖖἲ ⫏။⪅ἲ ኚືಀᩘ㸦%㸧 6.65 6.81 P ್ 0.86 表 1 通常法と聾唖者法の呼吸波形の位置における 変動係数の比較

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京都市立病院紀要 第 38巻 第 1号 2018 28

Abstract

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Department of Radiological Technology,Kyoto City Hospital

When we perform external radiotherapy in our hospital,we use respiration-gated radiotherapy to treat tumor sites affected by respiratory motion such as lung and liver tumors.In respiration-gated radiotherapy,the patient is instructed to hold his/her breath in the irradiation room by a voice coming from a microphone in the operator’s room.However, the deaf-mute patient cannot hear the instructions,so we improved the visual instruction method which projects a slide on a screen for the patient to visualize.The reproducibility of this method and the treatment room environment during therapy were discussed.This visual method was confirmed to be as effective for irradiation as the usual audio respiration-gated method.

(J Kyoto City Hosp 2018; 38(1):26-28)

参照

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