Posted at the Institutional Resources for Unique Collection and Academic Archives at Tokyo Dental College, Available from http://ir.tdc.ac.jp/
Title
Consideration of shear modulus in biomechanical
analysis of peri-implant jaw bone : Accuracy
verfication using image-based multi-scale
simulation
Author(s)
内藤, 裕義
Journal
歯科学報, 114(1): 68-69
URL
http://hdl.handle.net/10130/3252
Right
論 文 内 容 の 要 旨 1.研 究 目 的 インプラント周囲顎骨に発生する負担過重を回避するためには,顎骨の支持能力とインプラント周囲に発生 する応力を予測する必要があり,歯科インプラントに関する生体力学的研究が行われている。特に三次元有限 要素法を用いた解析は,非破壊で様々な条件下における応力評価を行うことができるため,近年盛んに行われ ている手法である。しかし,これまでの研究では海綿骨を一塊のブロックとして均質化した等価材料モデルを 使用しており,特に海綿骨領域における解析誤差について指摘されている。そのため我々は,海綿骨構造を忠 実に再現した有限要素モデルを用いて応力解析を行い,特にインプラント周囲の海綿骨が生体力学的に果たす 役割について報告すると同時に,インプラント周囲顎骨における応力評価を行う際は,海綿骨領域の力学的物 性値について詳細に検討する必要があることを報告した。しかしながら,海綿骨を均質材料としてモデリング する際に与える力学的物性値に関しては議論すべき点が多く残されている。そこで本研究では,海綿骨の力学 的特性,特にせん断特性が歯科インプラントのシミュレーション解析精度に及ぼす影響を明らかにすることを 目的として,均質化法により得た海綿骨の等価物性値を用いた均質化モデリングを行い,骨梁構造を再現した 精細モデルのシミュレーション結果に対する精度検証を行った。 2.研 究 方 法 試料は,生前にインプラントが埋入され15年間使用していた82歳の男性遺体より採取した,インプラントを 含む下顎骨を用いた。試料の撮像はマイクロ CT を用いて行い,得られた画像データを用いて三次元有限要素 モデルの作製を行った。海綿骨領域の骨梁構造を忠実に再現した精細モデルと,海綿骨領域を均質材料とし て,骨密度分布に応じてそれぞれ3領域,6領域に分割したモデルを作製した。精細モデルの構成材料は骨お よびインプラントとし,骨はヤング率15GPa,ポアソン比0.30,インプラントはヤング率110GPa,ポアソン 比0.35を与えた。また,領域分割モデルにおける海綿骨のヤング率とポアソン比は,均質化法を用いて等価物 性値と骨密度における指数関数を算出し,それぞれ E=2.89ρ2.36 ×10−4 ,v=1.38ρ0.114 ×10−1 を与えた。せん断 係数は,骨梁構造を考慮した近似曲線として G=1.72ρ2.20×10−4から算出した数値と,従来の線形複合則から 算出した数値をそれぞれ適用した。海綿骨を6領域に分割し,骨梁構造を考慮したせん断係数を与えた FE モ 氏 名(本 籍) ない とう ひろ よし
内
藤
裕
義
(東京都) 学 位 の 種 類 博 士(歯 学) 学 位 記 番 号 第 1970 号(乙第755号) 学 位 授 与 の 日 付 平成24年4月11日 学 位 授 与 の 要 件 学位規則第4条第2項該当学 位 論 文 題 目 Consideration of shear modulus in biomechanical analysis of peri-implant jaw bone : Accuracy verfication using image-based multi-scale simulation
掲 載 雑 誌 名 Dental Material Journal 第32巻 3号 425−432頁 2013年2月
論 文 審 査 委 員 (主査) 阿部 伸一教授 (副査) 栁澤 孝彰教授 小田 豊教授 矢島 安朝教授 松永 智講師 歯科学報 Vol.114,No.1(2014) 68 ― 68 ―
デルをモデル A,3領域に分割し,骨梁構造を考慮したせん断係数を与えたモデルをモデル B,3領域に分割 し,線形複合則に基づいたせん断係数を与えたモデルをモデル C とした。荷重負荷時の節点変位および応力 状態を三次元有限要素法により解析し,評価を行った。計測点の変位ノルムを測定し,精細モデルを基準とし て,それぞれのモデルの変位誤差を%で算出した。応力評価には,フォンミーゼス相当応力の分布図を用い た。 3.研究成績および結論 せん断係数を均質化法による数値シミュレーションにより正確に予測し,海綿骨領域を等価な均質材料とし て置き換えるモデル化を行った結果,顎骨の変形を10%程度の誤差で予測することができた。均質化モデルの 領域分割数を増やせば,より精度は向上すると期待される。一方,せん断係数を線形複合則で簡易に予測した 場合の誤差は40%を超えた。以上の解析から,インプラント周囲骨梁構造における力学を考えるうえで,せん 断係数の正しい評価が必須であるとの結論を得た。また,海綿骨領域を均質化したモデルを使用した場合,骨 梁構造が果たす荷重伝達様式を表現できないため,皮質骨の応力値の信頼性も低下することから,骨梁構造を 忠実に表現した数値シミュレーションが望ましいと考えている。 論 文 審 査 の 要 旨 インプラント周囲顎骨における生体力学的研究として,三次元有限要素解析が盛んに行われているが,海綿 骨を均質材料としてモデリングする際に与える力学的物性値に関しては議論すべき点が多く残されている。そ こで本研究では,海綿骨の力学的特性,特にせん断特性が歯科インプラントのシミュレーション解析精度に及 ぼす影響を明らかにすることを目的として,均質化法により得た海綿骨の等価物性値を用いた均質化モデリン グを行い,骨梁構造を再現した精細モデルのシミュレーション結果に対する精度検証を行った。 せん断係数を均質化法による数値シミュレーションにより正確に予測し,海綿骨領域を等価な均質材料とし て置き換えるモデル化を行った結果,顎骨の変形を10%程度の誤差で予測することができた。均質化モデルの 領域分割数を増やせば,より精度は向上すると期待される。一方,せん断係数を線形複合則で簡易に予測した 場合の誤差は40%を超えた。 以上の解析から,インプラント周囲骨梁構造における力学を考えるうえでせん断係数を考慮することが必須 であり,特に CT 値に基づく解析を行う場合,インプラント周囲海綿骨におけるせん断係数を正しく評価する 必要があるとの結論を得た。 本審査委員会は,1)研究試料の背景,2)簡略化モデルに与える力学的物性値の妥当性,3)解析シミュ レータの精度検証,4)せん断係数を考慮する重要性,などについての質疑がなされたが,概ね妥当な解答が 得られた。今後の研究課題として,複数の試料体から三次元有限要素モデルを作製して,力学解析をさらにす すめることが要望された。以上より,本研究で得られた結果は,今後の歯学の進歩,発展に寄与するところ大 であり,学位授与に値するものと判定した。 歯科学報 Vol.114,No.1(2014) 69 ― 69 ―