生活単元学習指導案 1 単元名 「かかわって遊ぼう」 2 指導についての考え方 ○ 対象児Aは,入学当初、多動性が目立ち、やり取りの成立に難しさが見られた。こ れまでに受容性を高めやりとりを促す指導を行なってきた結果、担任との間で、日常 生活の簡単な指示理解や要求の表出などのやり取りが成立するようになってきてい る。1 学期末に、担任の注意を引くようなからかい行動や歌を歌ってもらい、リズム に合わせて身体を揺らすなどのかかわりを楽しむような行動も見られた。その反面、 次の活動への切り替えの難しさがあり、集団での学習活動や騒がしい場面になると、 表情が硬く受動的な参加態度が増えるなど、その時々の環境変化に応じて自己の行動 を調節しながら自己を適切に位置付けることに課題がみられる。 ○ 本単元「かかわって遊ぼう」は、人と直接身体を触れ合って遊んだり、積み木・お もちゃなどの物を介して人とかかわって遊んだりする活動を通して、相互作用行動を 高めていくことをねらいとした単元である。すなわち、環境に対する安全感を基盤と する他者との共同注意や人とかかわる楽しさの体験を通して、他者の働き掛けを受け 入れ応答していくことや、自分から他者に積極的に働き掛け、その結果を楽しむとい ったやり取りを連続させていこうとする行動を高めていくことである。このやり取り を連続させていく体験を通して、人と一緒に行動(情動)を調整していく力や、環境 に応じて社会的な行動調整力を培っていくと考える。また、かかわり遊びは、抱っこ 遊びやくすぐり遊び、模倣遊び、鬼ごっこ等の身体を触れ合うことや、見立て遊び、 ごっこ遊びや構成遊びなどのおもちゃや道具を使うことで、やりとりや遊びを深めて いく活動である。これらの活動は、相手の表情や身振り、動きといった変化の意図を 推察・理解することや、それに応答しながら、やり取りを続けていく力を高めていく ことができる。また、児童の興味・関心や自由な表出に基づいた活動を工夫したり、 かかわり方を柔軟に行ないやすく、児童の自発的、対人志向的な表出を促す上で有効 であると考える。 ○ 指導に当たっては,活動の体験が明確になるように、活動の構成及び教師のかかわ り方を工夫する。 詳細は以下のとおりである。 ① 活動の構成 ・ 「児童に遊びの始発性があり、教師が児童の自由な表出行動に沿いながら活動 を展開する主導的活動」と「教師に遊びの始発性があり、教師の指示性が色濃い 受動的活動」を構成する。 ・ 活動のメリハリや意図を明確にするために、受動的活動と主導的活動を交互に 繰り返して行なう。1単位時間内の時間配分については、児童のその時の体調等 に配慮しながら次第に受容的活動の時間を長くしていく。 ・ 児童の興味関心に沿ったおもちゃ 、見立てや構成遊びに応用できるようなも のを用意する。 ② 教師のかかわり
、 、 、 、 ・ 児童のもつ物理的/心理的距離感に配慮しながら表情 身振り 視線 指差し 動作といった動作性言語を活用する。 ・ 平行遊び、マーカーを中心にした受容、応答的な的なかかわり ・ 注意喚起、モデリングを中心にした始発性をもったかかわり ・ 「はじめ―展開―結果―終わり」という遊びの流れや 「合わせる―合わせら、 れる」という関係やかかわりの意図等の遊びのフォーマットを明確にする。 3 目標 ○ 教師が示す表情や身振りの違いに気付き、応答することができる。 ○ 視線の追随、交互視、模倣、参照視行動、遊びの催促等の表出行動が増える。 ○ 場面ごとの切り替えに円滑に応じることができる。 4 学習計画(総時数8時間 )) 5 本時 ( )1 本時指導の考え方 ① 前時の学習から 児は前時の学習において、自分からそれぞれの活動の場に戻る、やってくる等 A の行動調整 や音声を通したやりとりが 見られるようになってきている 「できた」。 という社会的参照(確認)の姿も , 回みられた。5 6
変化が見られた様子は以下のとおりである。 ○ 受動的活動時間 ・ 7個のブロック構成課題を、色と形を含めて同じに構成することができた。 ・ できた後は、自分の二つのブロックと T1 のブロックをそろえ、T1 を見て手を 打つ (社会的参照行動承認・確認)。 ○ 切り替えの場面 ・ 終わりの挨拶の場面では 「挨拶しようか」という全体への働き掛けのみで、、 自分からやってきてT1の近くに座る。 ・ 受動活動への切り替えの場面では、T1が椅子に座り「A 君おいで、始める」と 呼びかけると、しばらく無言で遊びを続けていたが、自分からいすに着席して課 題活動に応じる等、まだ遊びたい気持ちを自分でコントロールしながら応じる姿 があったこと ○ 主導的活動時間 ( ) 、 ・ 前時のマーカーを覚えていて パズルブロックでゼロの文字が出てきたとき の方を向いて「ぜろ」と声を出して言う。その後、 のマーカーにも視線を T2 T1 合わせて「ぜろ」と1回くり返したこと ・ 大好きな信号機のおもちゃの登場に喜び、遊びの場を離れて自己の遊び(信号 機の色をスイッチを使って変えていく)を楽しんでいたが、自分で遊びの場に戻 り、プラレールやミニカーを使って遊び始めたこと(T 1、T 2、B 児が遊んで いる場) ・ プラレールで遊びながら、T1のひざや肩に乗ってきたり、「(青で 発車―) 」「(赤 で) キキぃー、とまれ」等のT1の音声を聞いて声を立てて笑う。 ・ ミニカーと信号機を使った A 児の遊びに、車を走らせる、信号の色を変えると いった介入を行っても、その場から離れたり、T1 の腕を止めたりするなどの行動 はみられなかった。 教師のかかわりにおいて 効果的であったと考えられる点 ○ 児童の言動に教師の理解や意図をのせたマーカーのタイミングがあったこと ○ 信号機の色の変換という遊びを言葉を通して共感していった後に、ミニカーを 使って実生活により近い遊びのモデリングを行ったこと。 ○ マット(遊び活動の場)から離れたとき、すぐに止めずに見守り A 児の表出の 意図を探り、A児が今したい遊びとしての理解を示したこと ○ T1がA児とかかわる場面、 児とかかわる場面を明確にしていったこと。B 課題として考えられる点 ○ おもちゃ特にプラレール遊びでのマーカー、身振りなどのかかわり手の変化や 遊びの楽しさに気付くことができるようなタイミング、働き掛け方であったか
○ 児童の始発性や思いを大切にしたかかわりであったか。 ・ 教師が下を向きかかわったため、児童の視線や動きに気付かずに、児童の思い を汲んだ応答やかかわり、やりとりにつなげていくかかわりができない部分が多 かった。 ○ 受動的活動において、やりとりが連続するような働きかけであったか ・ 児童からの始発的な相互作用行動を生かせず、課題の終了と誤解を生じるよう な働き掛けがあったこと。 ○ 教師同士の役割が明確に機能していたか。 ・ T2に発せられた表出に、T1が応える。T2がマーカーしてしまう等のずれ ② 本時指導における留意点 本時は、本単元の最終時であり、まとめの時間である。本単元のまとめとして 、児 童の始発性を多く引き出すために 、働きかけ−待つ(反応を確かめる)のかかわり 方を基本にし、児童の遊びや切り替え、表出行動の変容を確かめたい。具体的なか かわりにおいては、上記の反省を踏まえ、以下のことに留意して行う。 ○ 主導的活動では、おもちゃを介した遊びを共感するとともに一緒に楽しもうと するような働き掛けを行う。 ・ 見守りを中心に行い、A児がマット内にいるときは、おもちゃ箱の近くに位置 し、移動しないように心がける。 ・ マーカーは、A児の共同注意を起こせるように、頻度を控え、タイミング、声 の大きさ(中 、リズム、トーン(高め、はっきりと)に気をつける。) ・ 遊びの最中のマーカーやパラレルトーク やセルフトークの回数やタイミング を厳選し、かかわり手の変化を際立たせるように心がける。 ・ 児童の表出−特に視線に留意し、児童の思いを適切に理解したパラレルトー クに留意しながら応じる(遊びの催促) ・ A 児に応じた遊びの「はじめ―中―おわり」を表情や言葉で明確にし、催促を 促せるように動きを途中で止めてA児の顔を見る等のかかわりを行う ・ 視線や B 児の周りにいるなどのときは、指差しや視線,表情を使って関心を 示し、A児の意図を確かめるようにかかわる。また、B児の遊びに入っていける ように、まず、T1が遊びに加わりA 児におもちゃを渡す。B 児が遊んでいるお もちゃと同じ物を渡す。 ・ プラレールで遊んでいるときは、可能な範囲で A 児の遊びの模倣を音声をつ けてA児の横で行いかかわり手に注意を促す。 ・ 音声は短い言葉をリズムよく繰り返す。 、 ( 、 ) 。 ○ 受動的活動では 積み木遊びの継続と動作模倣 身振り 動作 を行っていく ・ 片足で立つ等の自分の身体に注意を向け、分かりやすい課題を加える。 ・ ふり遊びは、日常生活の諸動作を中心にやり取りが連続していくように 行う (洗顔―髭剃り―整髪、材料を切る―いためる―盛る―食べる等) ・ ブロック構成でふり遊びを促すときは、そのふりの概念を示すような音声や 身振りを必ず行う ・ 課題から注意がそれてしまうような働きかけはしない。
○ その他の配慮について ・ T2 は、見守り、マーカーを中心に行うことと、B 児中心にかかわりを深める といった役割分担を明確にする。 ・ 学習の準備は、開始7分前に始め、学習への期待が意欲的な活動につながるよ うに心がける。 6 学習指導計画(計8時間) 第1次 「きづき、安全感 3時間 時 かかわり手や活動が分かる ① 1 2時 かかわり手のかかわりに気付く。 ② 第2次 「共同注意」 3時間 1時 かかわり手の表情や身振りの違いに気付き、応答する。 かかわって遊ぶ遊びを楽しむ ③ 第3次 「表出の高まり」 2時間 2/2 自分から遊びの催促をしたり、やり取りを続ける。 ②本時