第6学年○組 社会科学習指導案
1 単元名 暮らしの中の政治 ~東日本大震災を乗り越えて~ ◇ 一部改訂の内容及び領域 (2)ア 国民生活には地方公共団体や国の政治の働きが反映していること 2 単元の目標 ○ 東日本大震災の被害状況や事後の対応に関心をもち,国や岩手県,釜石市の救援活動や災害復旧 の工事について意欲的に追究し,政治の働きと国民生活とのかかわりについて考えようとする。 【関心・意欲・態度】 ○ 東日本大震災において,国や岩手県,釜石市が,協力・分担の仕組みで救援活動や災害復旧の工 事をしていることや,行政と議会のしくみについて,政治は国民生活の安定と向上を図るために大 切な働きをしていることについて判断することができる。 【思考・判断・表現】 ○ 釜石市を中心とした震災からの復旧・復興を目指した政治の働きについて,資料から必要な情報 を読み取ったことを説明したり,分かったことを整理し資料に構成したりすることができる。 【資料活用技能】 ○ 国や岩手県,釜石市が国や岩手県と支え合いの関係で救援活動や災害復旧の工事をしていること や,被災者の願いを一日も早く実現するために国,県,市がそれぞれ議会と協力していることを理 解することができる。 【知識・理解】 3 教材観 4 本単元における言語活動 5 国語科との関連 6 評価方法 【本単元における自己効力感を味わう姿】 資料を効果的に活用し,釜石市の災害の状況や防災対策と震災からの復旧の仕組みと働きについて調 べたり考えたりしたことに自信を持った姿。また政治の仕組みや働きの見方について見通しをもった姿。 本単元の中心教材は,東日本大震災における釜石市の防災対策と震災からの復旧である。岩手県 釜石市は他の地域には類を見ない予防と対策を行っている。防災教育に熱心に取り組み小中学生の 被害を抑えたり,市の職員の労を惜しまぬ努力で,県内で一番早く避難所生活解消を達成したりす るなど被害の軽減に成果を上げている。特に仮設住宅の建設は,生活基盤が失われた被災者の願い の迅速な実現を目指す政治の働きであり切実感がある。また,国民の生命,健康,財産などを国, 県,市が分担・協力して守っていることが分かりやすい。さらに,現在進んでいる復興ビジョンに ついても国,県,市の役割分担についてこれまで学んだことを基に考えることができる。これらの 教材を中心に思考や表現をさせることは,政治が国民生活の安定と向上を図るために大切な働きを していることについての考えを深めていくことへとつながっていく。 ○発言やノート記述の分析 ・政治は,国民生活の安定と向上を図るために大切な働きをしていることについて,考えたこと を論述することができたか。 本単元における言語活動は,東日本大震災における国,県,市の救援活動と復旧活動について調 べたことを説明したり,それぞれの働きを仕組みと関係付ける話し合いをしたりすることが中心と なる。基礎の段階では,国,県,市それぞれの行為の価値とそのかかわりを観点に救援活動と復旧 の工事について,被災者の切実な願いを一日も早くかなえた働きと政治の仕組みとを関係付ける。 深化の段階では,国,県,市の役割を観点に釜石市の今後の復興ビジョンについて話し合い,政治 が国民生活の安定と向上を図るために大切な働きをしていることについての考えを深めていく。 〈本単元において習得したり用いたりする教科の言葉〉 願い 政治 議会 国会 予算 税金 選挙 国語科「話すこと・聞くこと」の内容エ「話し手の意図を捉えながら聞き,自分の意見と比べる などして考えをまとめること」が検討活動に転移する。また言語活動例のイ「調べたことやまとめ たことについて,討論などをすること」は資料を基に交流を行う社会科の学習に転移していく。7 計 画(9時間) 段階 配時 学 習 活 動 指導上の留意点・言語活動 基 礎 ① 基 礎 ② 2 が が ① が が ① が 2 が が が が が 4 が ① ① 1 ○○小学校内の施設「ふるさと館」の建設までの平常時 の政治の流れを調べ,住民の願いが政治によってかなえら れる過程をつかむ。 (1) ○○小学校内施設「ふるさと館」での行事を調べ,「ふる さと館」が市民の願いをかなえる施設であることを知る。 ・公民館四大行事(運動会,盆踊り,敬老祭,ほんげんぎょう) ・○○学級 ・アンビシャス (2) 願いが実現されるまでの計画・実現の過程を調べる。 住民の願い⇒ 市の計画⇒ 議会の承認⇒ 市が実現 ○ ○ 公 民 館 の建設実現 学 社 融 合 の 近代的施設 予 算 と 計 画 の審議・承認 「ふるさと館」建設」 2 東日本大震災における釜石市の被害の状況について調 べ,被災者の願いをかなえる政治の働きについて調べる課 題をつかみ,その解決のための見通しをもつ。 ・学校から避難した小中学生全員の命を救った津波防災対 策 ・被災者の連続発展する願いの把握 救命の願い→衣食の願い→住宅確保の願い <見通し> (内容)人命救助,生活支援,住宅支援の願い順に (方法)資料から被災者の願いの実現を観点に調べる。 3 国,岩手県,釜石市の救援活動や災害復旧の工事の様子 について調べ,被災者の願いをかなえる政治の仕組みや働 きについて理解する。 (1) 釜石市の人命救助の様子について調べ,国を超えた協力の 仕組みがあったことについて理解する。 市:避難所への誘導,被害状況の把握,人員把握 災害対策本部会議を開き各関係機関を采配 (自衛隊,消防,警察,海上保安庁,ライフライン担当者) 国:自衛隊の派遣(道路応急復旧,瓦礫処理,捜索) 海外(米,英)の救援隊の受入(瓦礫処理,捜索) 県:他県の警察(瓦礫処理,捜索,警戒,交通整理) 消防の応援要請(瓦礫処理,救助,救急搬送) ・救命の願い→全国,世界規模の救援→市の調整によるも れのない救援 (2) 釜石市の生活支援の様子について調べ,県からの物流の仕 組みを確立したことで安定的な分配が可能になったことを 理解する。 〔条件的思考〕(仮定) 市:物資(食料,毛布等)の調達とその均等配当 国:自衛隊の派遣(物資輸送,給食,給水,入浴支援) 県:救援物流拠点の開設(救援物資受け入れ,調達,配送) ・衣食の願い→食料を確保の必要性→県物流センターの 開設→県の調整による物資配給の安定化 ○「ふるさと館」の○○支館 長さんの話を伺い,公民館 行事は住民の願いをかなえ ていることや,町だけでは 建設が無理であることを理 解できるようにする。 ○ 震災からの出来事を示し た映像資料を提示し,津波 から逃れたものの,家族や 家,財産を失った人たちの 願いについてとらえ,その 願いをかなえる政治の必要 性から課題をつかむ。 ○ 震災発生から,被災者の 様子を示した写真や映像を 時系列に提示し,被災者の 連続発展する願いについて とらえられるようにする。 ○ 救援分担地図や統一記号 などを提示し,各関係機関 が早く的確に救援をしてい ることがつかめるようにす る。 被災者の願いはどのように実現されていったのだろうか。 旧施設時の○○学級 6 学級 66 人が利用 新施設になっての○○学級 13 学級 188 人が利用 釜石市の生活支援の様子に ついて以下の観点,様式,機 能で言語活動を行う。 【観点】〈働き〉 ・国,県,市の行為の分担 【様式】〈交流〉 ・物流拠点の価値の検討 【機能】〈認識〉 ・拠点開設の価値の認識 【言語活動】〈協働〉
仮設住宅建設における国, 県,市の仕事のかかわりにつ いて以下の観点,様式,機能 で言語活動を行う。 【観点】〈仕組み〉 ・国,県,市それぞれの行為 の価値とそのかかわり 【様式】〈交流〉 ・国,県,市それぞれの役割 の非代替性の検討 【機能】〈伝達→認識〉 ・国,県,市の役割の伝達 ・国,県,市の相互依存の関 係の認識 【言語活動】〈協働〉 深 化 が が ① が ① 本 時 1 (3) 仮設住宅建設の様子について調べ,国,県,市ができない ことを補い合い建設を実現させたことを理解する。 ○ 住宅確保の願いと仮設住宅建設に関わる,国,県,市の それぞれの行為やそれにかかわる費用について調べる。 ○ 県の調整のもと,国,県,市がお互いのできないことを 補い合って仮設住宅建設を実現したことを理解する。 ・行為の価値とその関連について考える。〔条件的思考〕(仮定) 国,県,市のそれぞれができることを行い,支え合う協力の関係 ・国,県,市ともに議会を通さずに仮設住宅を建設している 理由を考え,国,県,市の共通の願いについて見出す。 →1000 年に一度の大震災に対応して議会も協力 ・住宅確保の願い→県を中心とした国,市の相互依存の協力 →仮設住宅建設の早期着工 4 釜石市の復興は,国,県,市の3者がどのように役割分 担で進められるべきか考える。〔対比的思考〕(比較) ・防潮堤かさ上げ案 防潮堤現況復旧案 多重防御案 いずれも現況に基づく緻密な計画や長い年月,費用が必要 ・国:資金の援助 ・県:県内のとりまとめ,分配 ・市:計画策定,必要費用試算 ○ 議会後回しの理由を考え られるように,●●●市の 「ふるさと館」建設の様子 と比較し,迅速性に目が向 くようにする。 ○ 釜石市以外の仮設住宅建 設 入 居 実 現 の 日 数 を 提 示 し,釜石市の迅速性を実感 できるようにする。 8 主 眼 仮設住宅建設に係る岩手県,国,釜石市の役割を関係付けて考えることにより,被災者の願いへの 一日も早い対応に向け,県の調整の基に国,県,市が連携分担し議会の協力も得て,仮設住宅建設を 実現したことを理解できる。 <言語活動における本時の仮説> 仮設住宅建設について以下のように言語活動を行えば,国,県,市ができないことを補い合って被 災者の切実な願いに迅速に応えたという考え方を深めることができるであろう。 ① 国,県,市の行為について調べたことを観点に出し合い,関係付ける。 ② 国,県,市の協力分担の価値を見出す。 9 準 備 教師:国,県,市の仕事を時系列にまとめる模造紙 色カード 釜石市の復興について以下 の観点,様式,機能で言語活 動を行う。 【観点】〈働き〉 ・国,県,市の行為の分担 【様式】〈交流〉 ・国,県,市の役割分担の検討 【機能】〈伝達→認識〉 ・国,県,市の役割分担の伝達 ・願いをかなえる政治の認識 【言語活動】〈協働〉 県の調整のもと,市が計画を策定や必要な費用の試算 を行い,国が資金を準備すべきである。 国 資金援助 県 依頼 市 調査と報告 資金なしでは不可能 財源確保可能は国 仲立ちなしでは遅い 仲立ち可能は国 調査報告なしでは不可能 把握可能は市 事態の緊急性 安 全 + 景 観 の 良い街づくり 【自己効力感】 釜石の復興について,これまで学習してきたことを基 に考え,話し合うことができた。 被災者の願いに一日も早く対応できるように,県の調整 のもと国,県,市が連携分担し,議会の協力も得て仮設住 宅建設を実現した。 【自己効力感】 人命救助,生活支援のときに学習したことを生かして国,県, 市の行為のかかわりを結びつけて考えることができた。
10 展 開 学 習 活 動 指導上の留意点・言語活動 つ か む 見 通 す 調 べ る 深 め る ま と め る 1 前時学習を想起し,本時学習のめあてを確認する。 2 めあての解決法を確認し,本時学習を見通す。 3 国,県,市で行為の事実を出し合って整理し,それぞれの役 割とその価値を分析して相互依存の関係を見出す。 国(首相) 県(知事) 市(市長) 3/15 990 億円支援の 約束 (4/28 国会) 3/12 建設数調査依頼 3/15 資金支援の依頼 3/16 建設地調査依頼 (4/27 県議会) 3/12 建設数調査 3/15 5 千戸必要報告 3/16 5 千戸分 建設地調査 報告 (3/31 市議会) ・震災1週間で建設着工(東北3県で最速) ・市から必要数(5 千戸)報告後,すぐ国へ資金支援の依頼 ・990 億円支援の約束後,すぐ市へ建設地調査を依頼 4 行為の価値について分析し,相互依存の関係を見出す。 (1) 行為の価値とその関連について考える。〔条件的思考〕(仮定) 国,県,市のそれぞれができることを行い,支え合う連携 (2) 国,県,市ともに議会を通さずに仮設住宅を建設している理 由を考える。 (平常時)願い→市計画→議会承認→市実行 (非常時)願い→市計画→市実行→議会承認 迅速 ・1000 年に一度の大震災に対応して議会も協力 5 本時学習を振り返り,まとめる。 ○ 釜石市や岩手県,国の予 算の内訳や仕組みを前時 に調べ,ズレをつかんでお く。 ○ 国,県,市の行為を簡単 に言えるように,カードを 色分けしたり,文末表記を そろえたりする。 ○ 議会後回しの理由を考 えられるように,●●●市 の「ふるさと館」建設の様 子と比較し,迅速性に目が 向くようにする。 釜石市,岩手県,国はどのようにしていち早く仮設住 宅建設を実現させたのだろうか 被災者の願いにいち早く対応できるように,県の調整のも と国,県,市が連携分担し,議会の協力も得て仮設住宅建設 を実現した。 仮 設 住 宅 建 設 に お け る 国,県,市の仕事のかかわ りについて以下の観点,様 式,機能で言語活動を行う。 【観点】〈仕組み〉 ・国,県,市それぞれの行 為の価値とそのかかわり 【様式】〈交流〉 ・国,県,市それぞれの役 割の非代替性の検討 【機能】〈伝達→認識〉 ・国,県,市の役割の伝達 ・国,県,市の相互依存の 関係の認識 【言語活動】〈協働〉 3/11 東日本大震災発生(願いの発生) 3/19 仮設住宅建設着工(1 週間後) 資金援助 依頼 調査と報告 【自己効力感】 人命救助,生活支援のときに学習したことを生かして国, 県,市の行為のかかわりを結びつけて考えることができた。 <見通し> (何を)国,県,市の行為 (どのように)それぞれの行為を結び付ける。 事態の緊急性 資金なしでは不可能 財源確保可能は国 仲立ちなしでは遅い 仲立ち可能は県 調査報告なしでは不可能 把握可能は市 国は資金,県は調整,市は実務。 3 者の密接な連携が,短期間での仮設住宅建設を実現。