Japan Advanced Institute of Science and Technology
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https://dspace.jaist.ac.jp/ Title 公的な婚活支援事業の効果的推進に関する研究-いしか わ結婚支援センターを事例として-Author(s) 河合, 一樹 Citation Issue Date 2019-03Type Thesis or Dissertation Text version author
URL http://hdl.handle.net/10119/15810 Rights
Description Supervisor:敷田 麻実, 先端科学技術研究科, 修士 (知識科学)
公的な婚活支援事業の効果的推進に関する研究
-いしかわ結婚支援センターを事例として -
Study of the effective promotion of public marriage-hunting
support businesses:
ISHIKAWA marriage support center
北陸先端科学技術大学院大学
先端科学技術研究科
1710057 河合 一樹
KAWAI Kazuki
修士論文
公的な婚活支援事業の効果的推進に関する研究
-いしかわ結婚支援センターを事例として -
Study of the effective promotion of public marriage -hunting support
businesses:
ISHIKAWA marriage support center
1710057 河合 一樹(KAWAI Kazuki)
主指導教員:敷田 麻実
審査委員主査:知識 敷田 麻実
審査委員:知識 敷田 麻実
知識 本田 弘之
知識 伊藤 泰信
知識 白肌 邦生
北陸先端科学技術大学院大学
先端科学技術研究科[知識科学]
平成 31 年 2 月
Study of the effective promotion of public marriage-hunting support businesses: ISHIKAWA marriage support center
KAWAI Kazuki
School of Knowledge Management,
Japan Advanced Institute of Science and Technology March 2019
Keywords: Marriage hunting,local government,Knowledge,
In Japan, the high number of unmarried people has been a social problem for half a century. In response to this, efforts by ‘marriage support projects’ targeting people who cannot seem to get married in each prefecture and municipality are increasing. However, there are prefectures and municipalities that have ended their marriage support projects for reasons such as the number of marriages not increasing and financial difficulties. Meanwhile, the number of marriages increased year after year in Ishikawa Prefecture after matchmaking businesses opened in 2007, with 610 marriages being recorded in 2015. Therefore, this research, by focusing on matchmaker businesses, aims to clarify the role of matchmakers in marriage and the reason for the increase in the number of marriages.
First, in order to clarify the characteristics of the matchmaker businesses, we conducted a questionnaire survey covering all 42 prefectures implementing marriage support projects. The questionnaire covered 1) basic information such as the number of unmarried people and the number of staff, plus the outline of the organization implementing the marriage support project; 2) evaluations of marital activity support projects; 3) the implementation status of marriage support projects; and 4) the approach to matchmaker businesses and the characteristics of the matchmaker project implementation organization. These factors were analysed while comparing the organization that carried out the matchmaker project and the system matching implementation organization.
The second survey was an interview survey carried out by those in charge of the matchmaker businesses. Its purpose was to clarify the roles of matchmaker business support projects and the nature of the support by companies. Specifically, it asked questions about the overall composition of the support project, the activities of the matchmakers, and the content of the educational support for would-be matchmakers.
The third survey was an interview survey conducted with three active matchmakers. Its purpose was to clarify the process by which matchmakers actually arrange marriages. The interview content was analysed using the KJ method. Matchmaker organizations are typically relatively small, with few staff and low project costs. They have fewer support project users than organizations that implement system matching projects. However, there are organizations like the Ishikawa Wedding Support Center that have seen great results, such as an increase in the number of marriages. It is not the ‘creation of encounters’ that is emphasized in the implementation of support projects by this matchmaking
business, but rather, they say that ‘we value each marriage and want to increase the number of marriages’.
The results of the survey showed that a matchmaker has three roles: ‘raising awareness of marriage’, ‘acting as a third party who makes objective judgments’ and ‘providing knowledge unique to a matchmaker or network’.
Also, in order for a matchmaker to fulfil its role, it needs to acquire knowledge for information management, freely exchange information among friends, find places where people can interact and regularly hold information exchange meetings.
In this thesis, I analyse the activities of matchmakers and summarizes them using four categories: ‘Improving positive consciousness of marriage’, ‘selecting a partner’, ‘occupant mediation’ and ‘constructing a trusting relationship’. I point out the necessity of regular training, information exchanges and exchange meetings before becoming established as a matchmaker, as well as the need to establish an activity base for educational support and a mechanism for activities to be smoothly carried out. These findings will be valuable when a public support organization starts a new marriage support project from now on.
目次 第 1 章 はじめに ... 1 1 目的 ... 1 2 用語の説明 ... 1 3 論文の構造 ... 2 第 2 章 研 究 の 背 景 ... 3 1 未婚化・晩婚化の進行と対策 ... 3 1-1 未婚化・晩婚化の進行 ... 3 1-2 自治体が行う婚活支援事業の実態 ... 4 2 主な婚活支援事業について ... 5 3 結婚・婚活に関する先行研究 ... 7 3-1 未婚化・晩婚化の原因に関する先行研究 ... 7 3-2 結婚意思に影響を与える要因に関する先行研究 ... 8 3-3 仲人の役割に関する先行研究 ... 8 4 背景のまとめ ... 9 第 3 章 研究方法 ... 11 1 調査方法 ... 11 2 対象組織の選定理由 ... 12 第 4 章 婚活事業実施組織の分析 ... 13 1 調査結果 ... 13 1-1 婚活支援事業の実施状況 ... 13 1-2 仲人型事業の実施状況 ... 14 1-3 婚活支援事業実施組織が持つ課題 ... 15 2 仲人型事業とシステムマッチングとの比較 ... 16 2-1 基本情報の比較... 17 2-2 婚活支援事業で重視する点の比較 ... 18 2-3 課題の比較 ... 20 第 5 章 いしかわ結婚支援センター事業担当者の調査 ... 22 1 いしかわ結婚支援センターの概要 ... 22 1-1 いしかわ結婚支援センターの設立のきっかけと設立趣旨 ... 22 1-2 いしかわ結婚支援センターの主な取り組み内容 ... 22 1-3 仲人型事業が実施された経緯 ... 22 1-4 いしかわ結婚支援センターの仲人について ... 23 1-5 いしかわ結婚支援センターにおける仲人の位置づけ ... 23
2 仲 人 の 課 題/要望とサポート内容 ... 24 第 6 章 いしかわ結婚支援センターの事例研究 ... 26 1 仲人へのインタビュー調査 ... 26 2 仲人の活動内容 ... 26 3 活動内容に対する仲人の意見 ... 26 4 仲人の持つ知識・ノウハウ ... 27 第 7 章 考察 ... 30 1 仲人型事業実施組織に関する考察 ... 30 1-1 仲人型事業の実施に関するイメージ ... 30 1-2 仲人型 事業と シ ステムマ ッチン グ事業 との比較 からみ る仲人 型事業の 特徴に関 す る 考察 ... 30 1 仲人の役割 ... 31 2-1 未婚者の結婚に対する意識向上を行う ... 32 2-2 客観的な判断を行う第三者 としての存在 ... 32 2-3 仲人特有の知識やネットワークの付与 ... 32 3 現代の仲人の考察 ... 33 第 8 章 結論 ... 34 1 SRQ と MRQ へ の 回 答 ... 34 1-1 SRQ1:「仲人型事業の実施組織にどのような特徴があるのか」への回答 ... 34 1-2 SRQ2: 「 仲人 型 事 業 に おけ る 仲 人 の 活 動 内 容 と果 た す 役 割 」 へ の 回 答 ... 34 1-3 SRQ3:「 仲 人 型 事 業 に おけ る 組 織 的 な 仲 人 の 教育 と 活 動 サ ポ ー ト は 何か 」 へ の回 答 ... 34 1-4 MRQ:「 仲 人 型 事 業 を 通 じ て 婚 活 支 援 を 行 う に は ど の よ う な 活 動 の 仕 組 み や サ ポ ー ト が必 要 か 」 へ の 回 答 ... 34 2 理論的な含意 ... 35 3 実務的な含意 ... 35 4 今後の課題 ... 36 参 考 ・引 用 文 献 ... 37 付 録 婚 活 ・ 結 婚 支 援 サ ー ビス ア ン ケ ー ト ... 38
1 第 1 章 はじめに 1 目的 本 研 究 は 、 自 治 体 が 行 う 婚 活 支 援 事 業 の 効 果 的 推 進 の た め に 、 年 々 成 婚 数 が 増 加 し て い る「 い し か わ 結 婚 支 援 セ ン タ ー 」の「 仲 人 型 事 業 」に 着 目 し て 、 婚 活 支 援 事 業 で 仲 人 が 果 た す 役 割 や 、 成 婚 数 増 加 の 要 因 を 明 ら か に す る こ と を 目 的 と す る 。 ま た 研 究 内 容 を よ り 具 体 的 に 説 明 す る た め 、 以 下 の リ サ ー チ ク エ ッ シ ョ ン を 設 定 し て 研 究 を 進 め た 。 SRQ1: 仲 人 型 事 業 の 実 施 組 織 に は ど の よ う な 特 徴 が あ る の か 。 SRQ2: 仲 人 型 事 業 に お け る 仲 人 の 活 動 内 容 と 果 た す 役 割 SRQ3: 仲 人 型 事 業 の 実 施 に 向 け た 効 果 的 な 仲 人 の 教 育 と 活 動 サ ポ ー ト は ど の よ う な も の か 。 MRQ: 仲 人 型 事 業 を 通 じ て 婚 活 支 援 を 行 う に は ど の よ う な 活 動 の 仕 組 み や サ ポ ー ト が 必 要 か 2 用語の説 明 本 論 文 は 、 以 下 の よ う に 用 語 を 定 義 し た 。 婚 活 : 白 河 ほ か (2008)は 、 婚 活 と は 就 職 活 動 を 表 す 「 就 活 」 を 模 し た 言 葉 で あ り 、 未 婚 者 が 積 極 的 に 結 婚 相 手 を 探 す 活 動 を 指 す と 定 義 づ け て い る 。 こ の 婚 活 と い う 言 葉 は 、 白 河 ほ か (2008)で 初 め て 登 場 し 、 一 般 人 に 広 く 使 わ れ 始 め た の も 2008 年 に 同 書 が 出 版 さ れ て か ら で あ る (山 田 ほ か , 2013) 。 そ こ で 本 研 究 で は 、 白 河 の 定 義 に 従 っ て 、 婚 活 を 「 結 婚 し た い 異 性 と 出 会 う た め の 行 動 」 と 定 義 し た 。 婚 活 支 援 事 業 :ロ ジ ナ (2011)は 、 婚 活 支 援 事 業 を 、 国 や 自 治 体 が 家 族 と い う 個 人 の 問 題 に 介 入 し 、 家 族 政 策 と し て 若 者 に 男 女 の 出 会 い の 場 を 提 供 す る 活 動 だ と し て い る 。 一 方 、 内 閣 府 (2017)で は 、 未 婚 者 同 士 の お 見 合 い の 場 を 提 供 す る 「 マ ッ チ ン グ 事 業 」 や 「 婚 活 パ ー テ ィ 」 の ほ か 、 セ ミ ナ ー な ど の 未 婚 者 の コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン の ス キ ル ア ッ プ を 目 的 と し た 事 業 を 、 婚 活 支 援 事 業 と し て 紹 介 し て い る 。 こ の よ う に 実 社 会 で は 、 未 婚 者 が 成 婚 に 至 る ま で の サ ポ ー ト 全 般 を 婚 活 支 援 事 業 と し て 紹 介 し て い る た め 、 本 研 究 で も 婚 活 支 援 事 業 を 、「 未 婚 者 が 成 婚 す る ま で の 活 動 を 支 援 す る 事 業 全 般 」 と 定 義 し た 。
2 3 論文の構 造 本 論 文 は 全 8 章 で 構 成 さ れ て い る 。ま ず 第 1 章 と 第 2 章 で は 、研 究 の 目 的 、 研 究 の 背 景 に 加 え 、 本 研 究 と 類 似 性 の あ る 先 行 研 究 に つ い て 紹 介 す る 。 研 究 の 背 景 で は 、 未 婚 化 ・ 晩 婚 化 の 進 行 、 そ の 対 策 と し て 自 治 体 が こ れ ま で に 行 っ て き た 婚 活 支 援 事 業 の 特 徴 を 紹 介 す る 。 ま た 、 先 行 研 究 は 、 未 婚 化 ・ 晩 婚 化 の 要 因 を 分 析 し た も の や 、本 研 究 で 取 り 扱 う 仲 人 に 関 す る 研 究 を 紹 介 す る 。 第 3 章 で は 、 都 道 府 県 を 対 象 と し た ア ン ケ ー ト 調 査 、 い し か わ 結 婚 支 援 セ ン タ ー の 事 業 者 と 仲 人 を 対 象 と し た イ ン タ ビ ュ ー 調 査 の 調 査 方 法 と 、 調 査 対 象 の 選 定 理 由 を 説 明 す る 。 そ し て 第 4 章 で は 、 都 道 府 県 に 対 し て 行 っ た ア ン ケ ー ト 調 査 の 結 果 、 第 5 章 で は 、 仲 人 へ の イ ン タ ビ ュ ー 調 査 の 結 果 、 第 6 章 で は 、 仲 人 型 事 業 担 当 者 へ の イ ン タ ビ ュ ー 結 果 を 、 そ れ ぞ れ ま と め る 。 以 上 の 結 果 を 踏 ま え 第 7 章 で 総 合 考 察 を 行 い 、 第 8 章 で 、 本 研 究 の 結 論 に 加 え 実 務 的 示 唆 や 学 術 的 示 唆 を 述 べ た 。
3 第 2 章 研究の背景 1 未婚化・ 晩婚 化の 進行と対 策 1-1 未婚化 ・晩 婚化 の進行 近年、未婚 化・晩婚化といった社会 問題 が進行して いる 。1947 年には第 1 次ベ ビ ーブームによっ て、 過去最高の成婚 率 12%が記録され、1972 年の第 2 次ベビーブ ームでは、過去最高 の成婚数 1,099,984 組が記録されて いた(図 2-1)。し かし 1972 年以降、成婚数は減 少 傾向 となり、2015 年には 1972 年の成婚数 の半数近い 635,156 組しか婚姻は行 われ ていない (厚生労働 省,2017)。 図 2-1:成 婚 数 ・ 成 婚 率 の 推 移 内 閣 府 少 子 化 を め ぐ る 現 状1よ り 筆 者 作 成 図 2-2 は平均初婚年 齢の推移をまと めた グラフ である。1950 年の平均初婚年 齢は 男性 25.9 歳、女 性 23 歳と、両性と も 20 代のうちに結婚 して いる。しかし 2015 年 には男性 31.1 歳、女 性 29.4 歳まで初婚年 齢が上がって い る。このように、1950 年 以降、初婚年齢 は一 貫して上昇して おり 、晩婚化の問題は 60 年以上にわた って 進 行している。(厚生労 働省,2015)。 1 内 閣府 少 子化 を めぐ る現 状 : https://www8.cao.go.jp/shoushi/shoushika/whitepaper/measures/w -2017/29webhonpen/html/b1_s1-1-2.html (accessed 2019.0129) 1972年 過去最高の成婚数 10999804組 1947年 過去最高の成婚率 12.0% 0 2 4 6 8 10 12 14 0 200000 400000 600000 800000 1000000 1200000 1 94 7年 1 95 0年 1 95 3年 1 95 6年 1 95 9年 1 96 2年 1 96 5年 1 96 8年 1 97 1年 1 97 4年 1 97 7年 1 98 0年 1 98 3年 1 98 6年 1 98 9年 1 99 2年 1 99 5年 1 99 8年 2 00 1年 2 00 4年 2 00 7年 2 01 0年 2 01 3年 成 婚 率 成 婚 数 成婚数 成婚率
4 図 2-2: 晩 婚 化 の 推 移 厚 生 労 働 省 (2016)「 人 口 動 態 統 計 特 殊 報 告 「 婚 姻 に 関 す る 統 計 」 」 3 ペ ー ジ よ り 筆 者 作 成 未婚化・晩婚化 が進 行する一方で、内閣 府(2014)の結婚・家 族形成に関する 意識 調査報告書では 、「い ずれ結婚したい」と 考える未婚者の 割合 が 20 年続けて 80% 以 上を維持してい るこ とが判明してい る。このように、結 婚希 望者の割合が一 定水 準 を下回っていな いに もかかわらず、 成婚 数が減少してい るの が現状 である。 1-2 自治体が 行う 婚活支援 事業 の実態 未婚化・晩婚化の 問題に対し て 、自治 体では、未 婚者の結 婚を支援する「婚活 支 援事業」を 行ってき た。その内 容は、マ ッチングサービ ス、出会いパーティ 、講 座 の実施などであ り、出会いの場の創 出に 加えて、未婚者 のコ ミュニケーショ ン能 力 の向上を目的と した 講座等、幅広い サポ ート を行ってい る。また内閣府(2015)によ って、2015 年から、少子化問題への 対策 として 、結婚 や育児 等の支援を行 う 都道 府 県や市区町村に「地 域少子化対策強 化交 付金」が支給 される こととなった 。2018 年 に、この交付金 を受 給している 都道 府県 は 46 県で、ほぼす べての都道府県 が育 児 や結婚に関する 支援 を この交付金を 活用 して 行っている2。 実 際 に 、 内 閣 府 (2011)の 「 結 婚 ・ 家 族 形 成 に 関 す る 意 識 調 査 報 告 書 」 と 内 閣 府 (2017)「地域少子化 対策強化事業の 調査 研究・効果検証 と取 組事例調査報告 書」を 比較してみると 、婚 活支援事業を 実 施す る自治体組織数 は現 在増加傾向にあ り、事 業を実施したこ とが ある都道府県 は 、2011 年の 31 団体か ら 2017 年には 43 県、市 2 内 閣府 交 付決 定 済自 治体 一 覧 : https://www8.cao.go.jp/shoushi/shoushika/meeting/koufukin/h30/pdf/tousho/koufu_ichiran .pdf (accessed 2019.0122) 25.9 27.2 26.9 27.8 28.4 28.8 30.8 31.1 23 24.4 24.2 25.2 25.9 27 29.2 29.4 20 22 24 26 28 30 32 34 1950年 1960年 1970年 1980年 1990年 2000年 2010年 2015年 年 齢 夫 妻
5 区町村は、2011 年の 552 市区町村か ら 2017 年の 1286 市区町村 まで増加した。こ の ように、未婚化・晩 婚化の進展に対 応す る形で、各自治 体の 婚活支援事業も 活発 化 してきている状 況に ある 。 このように婚活 支援 事業 を取り組む 自治 体 は増えている が、成婚数が増加し た自 治体ばかりでは ない 。内閣府(2017)によ れば、過去に婚 活事 業に取り組んだ にも 関 わらず事業を行 わな くなった自治体 は、43 県の内 16 県存在し、半数近い組織 が事 業 を 継 続 で き て い な い と 述 べ て い る 。 取 り 組 ま な く な っ た 理 由 と し て は 、「 財 源 不 足」が 4 割近くを占 めており、「 成婚数が 増えなかった 」、「財 政難」などの理 由か ら、婚活支援事 業の 必要性を感じな がら も事業を続けら れ て いない自治体が 存在 す る (内閣府,2017)。 2 主な婚活 支援事 業につい て 婚活支援事業の 中で も中心的な事業 とな る のが、未婚 者同士 を引き合わせる マッ チング事業であ る。このマッチング 事業 には、大きく 分けて 2 つのタイプが存在し ている。まず大 部分 の自治体で取り 組ま れているのが 、婚活 支援事業担当者 の登 録 内容をデータベ ース などで管理し、未婚 者が自らコンピ ュー ターなどの検索 機能 を 使ってお見合い 相手 を見つける「 シ ステ ムマッチング 」と呼 ばれるものであ る。そ して、もう 1 つのタイプが、支援組織に所属する仲人が、婚活支援を希望する未婚 者と相談の上で 、お見 合い 相手を選ん で斡 旋する「仲人型 事業」というものであ る 。 図 2-3 はシステムマ ッチング のお見 合い 手順をまとめた もの である。シス テムマ ッチングを利用 する には 、まず利用 者の プロフィール情 報を システムに登録 する 必 要がある。登録 され ると、未婚者の プロ フィール画面が 作成 され、コンピュ ータ 上 やタブレット等 で他 の未婚者のプロ フィ ール情報を参照 して 、自由にお見合 い相 手 を選択すること が可 能になる。この 際に 登録され る主な プロ フィールの情報 は 、年 齢や居住地等の 属性 に加え、職業や 収集 といった社会的 地位 、今まで何回 お 見合 い を申し込まれた かと いったお見合い の活 動記録であり、これ らを参照しなが らお 見 合い相手を選択 する こと ができる。 一方、図 2-4 は仲人型事業のお見合いプロセスをまとめたものである。仲人型事 業を利用する場 合に も、システムマ ッチ ングと同じく未 婚者 の プロフィール を ま ず 登録する必要が ある 。しかし 登録後 に、未婚者が自らお 見合 い相手を選択す る 必 要 はなく、担当と なっ た 仲人が未婚者 の代 わりに、希望に 合致 したお見合い相 手を 選 び、お見合いの 実施 へと進んでいく 。こ のプロセスにお いて 、未婚者は仲人 と数 回 にわたって面談 を行 うのが一般的で 、こ のため 未婚者は 登録 情報以上の 内容 を加 味 してお見合い相 手を 選ぶことが可能 にな る。
6 図 2-3: シ ス テ ム マ ッ チ ン グ の お 見 合 い プ ロ セ ス 小 林 (2016)「 婚 活 に お け る 結 婚 の 規 定 要 因 は な に か ─ 結 婚 研 究 の 視 点 か ら , え ひ め 結 婚 支 援 セ ン タ ー を 事 例 と し た 量 的 分 析 ─ 」 73 ペ ー ジ よ り 筆 者 作 成 図 2-4: 仲 人 型 事 業 の お 見 合 い プ ロ セ ス 内 閣 府 (2011)「 平 成 22 年 度 結 婚 ・ 家 族 形 成 に 関 す る 調 査 報 告 書 」 24 ペ ー ジ よ り 筆 者 作 成 仲人型事業は現 在 5 県で実施されており、その中で最も成婚数の多いものが、石 川県の「いしかわ 結 婚支援センター」で 行われている「縁 結 び ist」という仲人型事 業である。2005 年に始められてから、2015 年には累計でお見合い数 13000 件、成 婚数は 610 組に達している。他の自治体が「成婚数が増えなかった」という理由で 事業を中止する 中で 、石川県の仲人 型事 業は年々成婚数 を増 加させている3。 3 石川県「 い し か わ エ ン ゼ ル プ ラ ン 2015」 の実 施状 況 に つい て : http://www.pref.ishikawa.lg.jp/kodomoseisaku/angelplan2015/documents/shiryo1h28.pdf(a ccessed 2019.1.17)
7 このようにシス テム マッチングとは 違い 、仲人という 第三者 を婚活支援事業 に介 入させていると いう 点に、仲人型の マッ チング事業 の大 きな 特徴がある。し かし こ れまでに、どの よう にして仲人が成 婚数 を伸ばしている のか 、仲人はどのよ うな 役 割を果たしてい るの か等の分析は な され ておらず、事業 に仲 人を取り入れる こと の 有効性やその仕 組み について の言及 もほ とんどみられな い。 3 結婚・婚 活 に関 する先行 研究 3-1 未婚化・ 晩婚 化の原因 に関 する先 行研究 我が国は、人口減 少や少子化 など の社 会課題を抱えて おり 、その一因だと され る未婚化・晩婚 化に 関する研究 はこ れま でに多数行われ てき た。例えば、 中 村 (2011)は、未婚化・ 晩婚化 の大きな 要因 の一つが、 結婚 の自 由化に伴い、 結 婚に 対する価値観が 変わ ってきたことだ と述 べている。これ は、1947 年の民法改正 に より、男性・女 性が 共に結婚に対し て平 等の権利を持つ よう にな ったことで 、結 婚は誰しもがす るの が当たり前とい う社 会規範が薄れて いき 、結婚は個人で 自由 に行うものであ ると いう社会認識が 生ま れ、その結婚の 形態 も 従来のお見合 い結 婚から恋愛結婚 へと 移ってきたとい う 説 明である。また 山田 ほか(2013)は、恋愛 結婚が主流にな った ことで 、結婚は した い人だけが行う 嗜好 品 のようなもの にな ったと述べてお り、 結婚相手に求め る条 件も年収や容姿 とい ったものへと変 化し たと分析してい る。 一方、堤(2009)は、1973 年から始まっ た 高度経済成長に よる 女性の賃金の引 上 げが晩婚化の主 要因 だと述べており 、女 性が独身でいて も生 活に不自由しな くな ったことや、独 身で いることで生活 費以 外に、趣味にお 金を つかうことが で きる という理由から 、積 極的に結婚する 人が 減少したと分析 して いる。また加藤 (2011)は、それまで の未婚化の議論 を総 括し、未婚化を もた らす要因 を、経 済面 と社会面の両面 から 考察した。経済 面か らの考察は、堤(2009)にも通じるもので あり、高度経済 成長 と 1980 年代以降の経 済成長の低迷に よる 階級格差の拡大 が、 女性の賃金上昇 と男 性の賃金低下を 引き 起こし、 女性を 養え ない男性を生み 出し たことで未婚化 の進 行に拍車がかか った というものであ る。 一方、社会面か らの 未婚化の要因の 考察 は、 親族・地域 社会 ・会社などの近 しい 人達による配偶 者を 支援する仕組み の弱 体化 に関するも ので ある。 見合い婚 が主 流だった頃は、 未婚 者が結婚の適齢 期を 迎えると、その 未婚 者と親しい間柄 の者 が、お見合い相 手を 紹介してくれる など 、未婚者の結婚 を支 援する仕組みが でき ていた、 という こと である。これに 関し ては、中村(2011)も同様の指摘を行 って おり 、見合い婚 が主 流の時は、結婚 の適 齢期になると親 戚や 職場の同僚等、 様々 な人から結婚の 催促
8 やお見合い話が 持ち 掛けられ 、結婚 に自 信がない者も、 周り のお世話によっ て結 婚ができていた が、 現在はそのよう な 支 援がなくなって いる と指摘している 。 以上のように、 これ までの先行研究 では 、 未婚化・晩婚 化の 要因が、大きく 分 けて、「結 婚観の変化 」「経済状 況の変化 」「地域社会の変 化」 という 3 つの側 面か ら考察されてき た。 そしてこれらは 、 1947 年の民法改正、1970 年代の高度経済 成 長期の経験、そ の後 の地方都市の衰 退な どを契機として 、段 階的に進展して きた と指摘されてい る。 3-2 結婚意思 に影 響を与え る要 因 に関 する先行 研究 未婚化・晩婚化 の要 因は、未婚者の 心理 面からも様々に 研究 されている。 伊 東 (1997)は、未婚者の 結婚意思に影響 を与 える心理学的な 諸要 因 を調査し 、「知覚さ れた統率力(自分から 見た自身の結婚 の難 易度 )」が最も重要だ と結論付けてい る。また小林(2016)は、自分の容姿 (ル ックス、身体的 魅力 )に対する意識 が 、 自己の結婚等の キャ リアアップに 多 大な 影響を与えてい ると 分析 している。 他 方、国立社会保 障(2017)の調査は、結婚に 対する願望と結 婚へ の 行動の関係性 を 分析している。 この 分析からは、 結 婚希 望者の多くは、 結婚 に向けて活動 を 行っ ておらず、未婚 者の 多くは結婚意思 が徐 々に低下してい って いると分析して い る。 これらの論文や 調査 で共通して言及 され ているのが 、結 婚へ の自信の無さ が 、 結婚意思を弱め るこ とに つながり、 未婚 者の婚活 を妨げ てい るというもので あ る。結婚に自信 がな い者は 、自分か ら結 婚の可能性を遠 ざけ 、結婚意思がま すま す低下していく とい う悪循環に陥っ てし まっているとい える だろう 。 3-3 仲人の役 割に 関する先 行研 究 湯沢(1994)や中村(2011)は、1947 年の民 法改正前に主流 だっ た 、仲人による 「取り決め婚」 と、 恋愛がそのまま 結婚 に結びつく「現 代型 結婚」を比較し 、 当 時の仲人の役割 を分 析している。こ の中 では、戦前期に おけ る仲人 の役割は 、異 性の引き合わせ だけ でなく、両者の 結婚 を正式に承認す る「 立ち合い人」の 側面 があったと指摘 し、 結婚における仲 人の 権利 も強かった と述 べている。また 、阪 井(2010)は、「仲人親 」に 言及し、仲 人と お世話される者 の関 係は、 信頼に基 づい た「奉仕関係」 が基 調にあると 説明 して いる。戦前期、 仲人 は自分の子供の よう に献身的に未婚 者の お世話をし て、 未婚 者は「仲人が紹 介し てくれた相手な ら信 用できる」とお 見合 いに臨んでいた よう である。一方、 坂井(2007)は、仲人婚は
9 明治時代の「家 族主 義」に基づ いた 「国 家の要請」であ り、 仲人は自由婚を 取り 締まる「補導者 」や 「監視者」とし ての 役割 も持ってい たと 述べている。 このように、見 合い 結婚 が主流だっ た頃 は、 異性の引き 合わ せや 結婚の承認 を 行う仲人は、結 婚す る上で非常に重 要な 存在であった( 山田 ほか,2013)。しかし 図 2-5 からも明らか なように 、1965 年以降は恋愛結婚が 見合 い結婚 の割合を 上回 っており、2015 年には見合い結婚の 割合 は 5.5%しかない。こ の結果、現代に おい ては、仲人の存 在は 希薄化しており 、未 婚者の結婚を第 三者 がお世話する仕 組み もほとんどみら れな くなってしまっ てい る。 図 2-5:仲 人 型 事 業 の お 見 合 い プ ロ セ ス 国 立 社 会 保 障 (2015)「 出 生 動 向 基 本 調 査 ( 結 婚 と 出 産 に 関 す る 全 国 調 査 ) 」 38 ペ ー ジ よ り 筆 者 作 成 4 背景のまと め 我が国では、未婚 化・晩婚化の進 展に 歯止めがからず 、人 口減少や少子化 とい っ た社会課題の一 因に なっている。こ のた め、近年、国や 自治 体が婚活支援に 向け た 事 業 を 活 発 化 し て い る が 、 成 婚 数 の 増 加 に 、 成 果 を 上 げ ら れ て い な い 組 織 も 多 い 。 今後は、事業実 施状 況やその評価を もと に 、婚活支援事 業の 更なる改善を図 って い く必要があるだ ろう 。 これまでに、公的 機関によって婚 活支 援事業として中 心的 に行われてきた もの が、 未婚者同士を引 き合 わせるマッチン グ事 業というもので ある 。このマッチン グ事 業 はその実施プロ セス から 、システ ムマッ チングと、仲 人型事 業という 2 つのタイプ 69 69.1 59.8 53.9 54 49.8 44.9 33.130.4 24.9 17.7 12.7 7.7 6.2 5.3 5.5 13.4 14.6 21.4 33.136.2 41.1 48.7 61.566.7 72.6 80.284.8 87.2 87.4 88 87.7 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 見 合 い 結 婚 ・ 恋 愛 結 婚 の 割 合(%) 見合い結婚 恋愛結婚
10 に分類すること がで きるが、これま であ まり注目されて こな かった仲人型事 業で 成 婚数の増加に大 きな 成果をあげてい る組 織が存在してい る。仲人は、見合い 婚が 主 流であった際に は、結婚の引き合わ せや 承認のために非 常に 重要な存在であ った が、 恋愛婚が主流と なっ た現在には、あ まり その存在や役割 が意 識されなく なっ てし ま っている。 先行研究では 、未婚 化・晩婚化 に関わる 要因として 、結婚観 、経済状況 、地域 社 会などの変化に 加え 、結婚形態の変 化や 未婚者の結婚意 思の 低下などの、多 様な 要 因が成婚数に影 響を 及ぼしている こ とが 明らかとなって いる 。本研究では、現代 の 結婚支援事業の うち に存在している 仲人 が、どのような 活動 を行うことで、上記 の 課題に対処する こと に成功している かを 分析する 。この こと によって、婚活 支援 事 業の更なる発展 に寄 与するだけでな く、現代社会の仲人 の役 割を再考察する こと に つながると考え てい る。
11 第 3 章 研究方法 1 調査方法 本論文の研究の方 法は、大き く 3 つに 分けることがで きる 。まず 1 つ目が 、仲 人型事業実施組 織の 特徴を明らかに する ため に行った、 婚活 支援事業を実施 する 全 42 県を対象とした アンケート調査 であ る。こちらの調 査で は、1)未婚者数やス タッフ数等の基 本情 報、 婚活支援事 業を 実施している組 織の 概要、 2) 婚活支援 事業の評価、3) 婚 活支援事業の実 施状 況、 4) 仲人型事業 に対する考え方 の 4 つの調査項目を 設け 、仲人型事業を 実施 する組織とシス テム マッチング実施 組織 を比較しながら 、仲 人型事業実施組 織の 特徴を分析した 。な お、アンケート 調査 は 2018 年 9 月中に質 問用紙と依頼状 を作 成し、回答期間 も含 めて 2018 年 10 月 1 日から 11 月 15 日の 間に行った。 2 つ目の調査が、 仲 人型事業を実施 する 組織の運営 利用 者に 対して行ったイ ンタ ビュー調査であ る。 本調査は、仲人 型の 婚活支援事業が 期待 する仲人の役割 や、 仲人が活動する ため に 行っている運 営者 からの サポート の内 容などを明らか にす ることを目的と した 。具体的には、 支援 事業全体の仕組 み、 仲人の活動内容 、仲 人になるための 教育 サポートの内容 など を質問した。 回 答者 は 3 名おり、1 人 は い しかわ結婚支援 セン ターの職員、あ との 2 人は石川県結婚 支 援・ワークライ フバ ランス推進グル ープ の職員 とした。 いし かわ結婚支援セ ンタ ーの職員には、 2018 年の 5 月、10 月、11 月の計 3 回イン タビ ューを行い、石 川県 結婚支援・ワー クラ イフバランス推 進グ ループの職員に は石 川県庁で 11 月にイン タビューを行っ てい る。なお、イン タビ ューは一人当た り 30 分から 60 分かけて行 っている。 最後、3 つ目の調 査 が、 仲人型事業 にボ ランティアで参 加し ている、仲 人 3 名に 対して行ったイ ンタ ビュー調査であ る。 本調査 では、仲 人が どのようなプロ セス でお見合いを斡 旋し ているのか 明ら かに することを目的 とし た。図 3-1 は仲人へ のインタビュー 調査 の詳しい質問項 目で ある。これは、 2018 年 5 月にいしか わ結 婚支援センター の職 員 に予備調査を 行い 、大まかな仲人 の活 動内容をまとめ た あ とに、活動のプ ロセ ス ごとに質問項 目を 設定することで 作成 した。回答を得 た仲 人は 3 名で、イ ンタ ビューは 1 件あ たり 60 分行った。聞き取 った内容は、プ ロセ スごとに KJ 法により 分析を行ってい る。
12 図 3-1:仲 人 へ の イ ン タ ビ ュ ー 調 査 の 質 問 項 目 2 対象組織 の選定 理由 1 つ目の調査は 、 都道府県の単位 で公 的事業として 婚 活支 援事業を実施 し てい る 全 42 県を調査対象と している 。1 つ目 の 調査では、全国 の婚 活支援事業実施 組織 を網羅的に調査 する ことで、仲人型 事業 実施組織の特徴 を明 らかにすること を意 図している。 2 つ目と 3 つ目の調査 では、いしかわ結婚 支援センターの 仲人 型事業 の仲人と 事 業担当者を調査 対象 とした。その理 由 は 、いしかわ結婚 支援 センター がこれ まで に仲人型事業の みで 610 組の成婚数を 記 録するなど、全 国で も先進的に仲人 型の 婚活支援事業で 成果 を 上げているた めで ある。このため 、本 研究の目的とし てい る、仲人の婚活 支援 事業 における役 割や 、婚活支援事業 に仲 人を取り入れる ため の仕組みなどを 調査 する対象として 適し ていると判断し た。
13 第 4 章 婚活事業実施組織の分析 1 調査結果 本章では、筆者 が 2018 年 10 月から 2018 年 11 月までの間に、全国の婚活事業実 施組織を対象に 実施 したアンケート 調査 の結果 をまとめ る。対象とした組織 は、内 閣府(2017)の報告で、都道府県の単位で公的事業として事業を行っている と回答し た 42 組織とした。本調査では、そのうち 21 組織からの回答を得た(回収率:50%)。 1-1 婚活支援 事業 の実施状 況 まず現在実施さ れて いる婚活支援事 業の 種類 に着目する 。図 4-1 は各組織が現在 行っている婚活 支援 事業をまとめた もの であり、図中の 確固 の中の数字は県 数を 示 している4。システム マッチング、情 報発 信、婚活セミナ ー、イベントの開催 など の 多様な事業が開 催さ れており、その 他に 分類され ている もの も含め ると、そ の種 類 は 10 種類以上に及ん でいる。 図 4-1:婚 活 支 援 事 業 実 施 状 況 ( 複 数 回 答 可 ) 1) マッチング事業の実施状況 実施が確認され た事 業 の中で、マッチ ング 事業に該当する「 シス テムマッチング 」 は 62%で行われてお り、 筆者が着目 した 「仲人型事業」 は 24%で実施されて いる ことが確認でき た。システムマッチ ング と仲人型事業を 合わ せると 、86%が、未 婚 4 実 際 の ア ン ケ ー ト で は 、 実 施 し て い る マ ッ チ ン グ 型 事 業 に つ い て 、「 マ ッ チ ン グ(お 見合 い 相 手 を シ ス テ ム が 選 択)」「 マッ チ ン グ(お見 合 い相 手を 利 用 者が 選 択 )」「 マ ッチ ン グ (お 見合 い 相 手 を 仲 人 が 選 択)」 の 3 項目 で 質 問し て いた が、「 マ ッ チ ング (お 見 合い 相手 を シ ステ ム が選 択)」 と「 マ ッチ ン グ(お 見合 い 相 手を 利 用者 が 選 択 )」 がど ち らも シ ステ ムマ ッ チ ング の 内容 と 同 じ だ っ た た め 、2 つ を統 合 し てシ ス テム マ ッ チン グ と し、「 マ ッ チン グ(お 見合 い 相手 を 仲 人 が 選 択)」 は分 か りや すい よ う 仲人 型 事業 と し た。 33%(7) 57%(12) 33%(7) 57%(12) 67%(14) 52%(11) 24%(5) 62%(13) 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% その他 イベントの開催 ボランティアの育成 婚活セミナー 情報発信 相談事業 仲人型事業 システムマッチング 割合
14 者の出会いを創 出す る マッチング事 業を 行っていた。 2) マッチング事業以外の実施状況 相談事業は、未 婚者 の結婚に関する 悩み 等、結婚に関す る相 談全般を受け付 ける 事業である。ま た、情報発信は県内 の市 区町村で行われ てい る婚活支援事業 につ い て、ホームページや メ ールマガジン 等 で配 信される事業で ある。婚活セミナーで は、 未婚者のコミュ ニケ ーション能力を 向上 させる講座やグ ルー プワーク等が行 われ 、 未婚者のスキル アッ プ が目的とされ てい る。また、イベ ント の開催は、出会 いパ ー ティや旅行、街 コン 等が該当 してい た。このように、未 婚者 同士の出会いの 創 出 だ け で な く 、 結 婚 に 対 す る 意 識 の 向 上 や 結 婚 の た め の ス キ ル 向 上 を 目 的 と し た 事 業 が、多角的に実 施さ れていることが 分か る。 さらに図 4-2 は、過去に実施したことがあるが、現在は中止した事業をまとめた 結果 であ る 。21 組織の内、57%が何らかの事業を現在までに中止していることが 分 か る 。 ま た シ ス テ ム マ ッ チ ン グ や 仲 人 型 事 業 な ど 、 未 婚 者 の 引 き 合 わ せ を 行 う 、 婚活支援の中心 的と なる 事業を中止 した 組織 も 24%存在していた。 図 4-2:中 止 し た 婚 活 支 援 事 業 ( 複 数 回 答 可 ) 1-2 仲人型事 業の 実施状況 図 4-3 は、今後の仲人型のマッチング事業の実施意欲をまとめたものである。 仲人型事業を現 在実 施している組織 は 24%と少ない状況にあったが(図 4-1)、今 後の仲人型事業 の実 施意欲に関して も、「 実施したくない 」と 回答した組織が 43%(9) 19%(4) 10%(2) 14%(3) 14%(3) 5%(1) 19%(4) 0% 5% 10% 15% 20% 25% 30% 35% 40% 45% やめた事業はない イベントの開催 ボランティアの育成 婚活セミナー 相談事業 仲人型事業 システムマッチング 割合
15 40%と半数近く存在しており、多くの組織がその実施に対して消極的であるとい うことが分かっ た。 このように、仲 人型 事業を実施しな い理 由をまとめたも の が 図 4-4 である。費 用がかかるとい う理 由で 、事業を実 施し ていない組織が 最も 多い。同様のコ メン トは、その他の 自由 記述欄にも多く みら れており、仲人 型事 業はお金がかか ると いうイメージが 、多 くの組織で認識 され 、 事業実施に対 する 消極的な姿勢を 生み 出している。こ の他 の理由として、 ボラ ンティアの管理 方法 が定まっていな いこ とや、仲人とな るボ ランティアが集 まら ないこと を、事 業を 実施していない 理由 に挙げている組 織も 少なからず存在 して いる。事業実施 に必 要な 人材の確保 も含 めた、仲人型事 業の 実施に必要な環 境の 構築が、事業実 施の ための大きなハ ード ルとなっている とい え る。 図 4-3:仲 人 事 業 実 施 意 欲 図 4-4:仲 人 事 業 を し な い 理 由 1-3 婚活支援 事業 実施組織 が持 つ課題 7%(1) 13%(2) 33%(5) 7%(1) 40%(6) 0% 5% 10% 15% 20% 25% 30% 35% 40% 45% 割 合 40%(6) 7%(1) 7%(1) 13%(2) 33%(5) 0% 10% 20% 30% 40% 50% その他 ボランティアが集まらないから ボランティアを管理するシステムが ない 個人情報の取り扱いに不安 費用がかかるから 割合
16 図 4-5 は、婚活支援事業実施上の課題についての自由記述内容を 5 つに分類し てまとめたもの であ り、それぞれの 具体 的な記述内容は 表 4-6 にまとめた。婚活 支援事業の実施 の課 題として 最も多 く挙 げられていた も のが 、利用者数が少 ない という内容の記 述で あった。具体的 な課 題としては、未 婚者 数が少ないため マッ チングができな いこ と や、男女比に 偏り があるため 、男 性側 が女性側に出会 えな いこと、若い世 代が 会員にならない こと などが挙げられ てい た。 この他に共 通し て挙げられた課 題は 、未婚者の結婚 や婚 活に 対する意識 向上 、セクハラやパ ワハ ラの対応、県内 の他 の結婚相談所と の連 携の強化などで あっ た 。 図 4-5:婚 活 支 援 事 業 実 施 の 課 題 表 4-6 婚 活 支 援 事 業 実 施 の 課 題 の 具 体 例 分 類 コメント内 容 利 用 者 数 ・マッチング会 員 が減 少 傾 向 であること ・男 女 比 がアンバランスであること ・若 い世 代 の会 員 数 を増 やすこと 利 用 者 との関 わり方 ・「結 婚 」「婚 活 」への意 識 付 け ・「セクハラ・パワハラ」との兼 ね合 い 経 費 ・予 算 と人 材 の確 保 事 業 内 容 ・実 施 体 制 の見 直 し 外 部 組 織 との連 携 ・県 内 の結 婚 相 談 所 との連 携 強 化 2 仲人型事 業とシ ステムマ ッチ ング と の比較 41%(9) 18%(4) 9%(2) 9%(2) 23%(5) 0% 5% 10% 15% 20% 25% 30% 35% 40% 45% 割 合
17 本小節では、本 研究 で着目している 仲人 型事業の実施 組 織の 特徴を詳細に検 討 するため、シス テム マッチング を実 施し ている 組織の回 答と 、組織体制、事 業実 施の主目的、事 業実 施の課題などに 関し て 比較を行った 。 2-1 基本情報 の比 較 まず利用者数、 スタ ッフ数 等の基本 情報 に関して、仲人 型事 業実施組織とシ ステムマッチン グ事 業実施組織の 比 較を 行った。図 4-7 は、組織の利用者数を まとめたもので ある 。 仲人型事業を 実施 している すべて の組 織が、利用者数 6400 人に達していないが、システムマッチング事業を実施している組織のう ち、45%は 6400 人を超える利用者がいることが分かる。 一方、図 4-8 は組織に従事するスタッフ数を比較したものである。仲人型事 業実施組織 の 60%が 10 人未満の人数で運営を行っているのに対し、システムマ ッチング事業実 施組 織 は 67%が 10 人以上と比較的多くの人数で事業の運営を行 っていた。さら に図 4-9 は昨年度の事業費を比較したものである。仲人型事業 実施組織の事業 費は 80%が 32,000,000 円未満なのに対し、システムマッチング を行っている組 織の 約 78%は 32,000,000 円を超える事業費で運営を行ってい る。このように 、仲 人型事業実施組 織は 、 システムマッ チン グ 事業実施組織 と 比較して、利用 者数 、スタッフ数 、 事業 費のすべての面 で、 小規模なものが 多 いことが分かる 。特 に、仲人型事業 を実 施しない理由 と して 最も多く挙げら れ ていた費用は、 実際 にはシステムマ ッチ ング 事業と比較 して 少額であること が 判明した。 図 4-7:利 用 者 数 の 比 較 55%(6) 18%(2) 18%(2) 0% 9%(1) 100%(5) 0% 0% 0% 0% 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 割 合 システムマッチング 仲人型事業
18 図 4-8:ス タ ッ フ 数 の 比 較 図 4-9 事 業 費 の 比 較 2-2 婚活支援 事業 で 重視す る点 の比較 次に、婚活支援 事業 にお いて重視す る点 や現事業の捉え 方 な どの、事業 実施 に 対する姿勢を比 較し た。図 4-10 はシステムマッチング実施組織と仲人型事業実施 組織の婚活支援 事業 を実施する上で 重視 している点の回 答結 果 の比較である 。費 用は事業に必要 なコ ストを表し、パ ート ・アルバイトは ボラ ンティアといっ た常 勤するスタッフ 以外 の従事者の人数 を表 している。 差が みら れたのは成婚数 と 、 33%(3) 33%(3) 22%(2) 0% 11%(1) 60%(3) 40%(2) 0% 0% 0% 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 割 合 システムマッチング 仲人型事業 22%(2) 44%(4) 22%(2) 0% 11%(1) 80%(4) 0% 20%(1) 0% 0% 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 割 合 システムマッチング 仲人型事業
19 パート・アルバ イト の項目であり、 成婚 数は全ての仲人 型事 業実施組織が重 視し ていると回答し たが 、 システムマッ チン グ は 73%の回答となっている。またパー ト・アルバイト は、 仲人型事業実施 組織 のみが重視して いる と回答 している 。 図 4-11 は、双方の組織の事業を通じた成婚数の増加に対する自己評価を比較し たものである。 仲人 型事業実施組織 のう ち 60%が成婚数の増加に「高い効果があ った」と評価し てい るが、 システム マッ チング 実施組織 は 22%しか成婚数の増加 に対する効果を 実感 していない。 一 方、 図 4-12 は事業実施を通じた出会いの創出 に関する自己評 価の 結果を比較した もの であるが 、全て の仲 人型事業実施組 織が 「高い効果があ った 」という評価を 下し ていないのに対 して 、 システムマッ チン グ実施組織 の 67%が「高い効果があった」と回答している。このように、事業実 施の効果に対す る自 己評価は、仲人 型事 業実施組織とシ ステ ムマッチング実 施組 織で明確に分か れて おり、前者は 成 婚数 増加に対する効 果を 強く実感し、後 者は 出会いの創出に 対す る効果を強く実 感し ていた 。 図 4-10:婚 活 支 援 事 業 を 実 施 す る 上 で 重 視 す る 点 の 比 較 45%(5) 73%(8) 9%(1) 64%(7) 0 18%(2) 40%(2) 100%(5) 20%(1) 60%(3) 20%(1) 40%(2) 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 割 合 システムマッチング 仲人型事業
20 図 4-11:成 婚 数 評 価 の 比 較 図 4-12:出 会 い の 数 評 価 の 比 較 2-3 課題の比 較 図 4-13 は課題に関する自由記述をまとめたものを、仲人型事業実施組織とシス テムマッチング 実施 組織で分けた 結 果で ある。仲人型事 業実 施組織の課題は 全体 的にばらついて いる が、 システムマ ッチ ング 実施組織は 利用 者数に関する課 題に 偏向しているこ とが 分かる 。この結 果よ り、システムマ ッチ ングを実施する 上 で、利用者数の 確保 は最も重要な課 題と いう ことが分か る。 36%(4) 27%(3) 36%(4) 60%(3) 40%(2) 0% 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 割 合 システムマッチング 仲人型事業 67%(6) 33%(3) 11%(1) 0% 0% 40%(2) 40%(2) 20%(1) 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 割 合 システムマッチング 仲人型事業
21 図 4-13:仲 人 型 事 業 実 施 組 織 と シ ス テ ム マ ッ チ ン グ 実 施 組 織 の 課 題 の 比 較 58%(7) 8%(1) 8%(1) 0% 25%(3) 25%(2) 25%(2) 13%(1) 13%(1) 25%(2) 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 割 合 システムマッチング 仲人型事業
22 第 5 章 いしかわ結婚支援センター事業 担当者の調査 1 いしかわ 結婚支 援センタ ーの 概要 本節では、石 川県で 仲人型事業を実 施す る組織の運営 担 当者 へのヒアリング 調査 の結果をもとに 、い しかわ結婚支援 セン ターの概要をま とめ る。まずいしか わ結 婚 支援センターの 設立 経緯や設立の趣 旨を 説明した後、具 体的 な取り組み内容 を説 明 し、いしかわ結 婚支 援センターの仲 人の 位置づけについ て述 べる。 1-1 いしか わ結 婚支 援センタ ーの 設立の きっかけ と設 立趣旨 いしかわ結婚支 援セ ンターは石川県 から の委託を受けた「い しかわ結婚・子育て 支援財団」により 2016 年に設置された。 この「いしかわ 結婚 ・子育て支援財 団」 は、1996 年から現在 まで、県の少子 化問 題に取り組んで きた 団体である。 いしかわ結婚支 援セ ンターの事業目 的は 、結婚したい 若者に 異性との出会い の場 を提供し、石 川県内 の出産数・成婚数を 向上させること であ る。2018 年度の基本 方 針として、仲人 の取 り組み支援や石 川県 の結婚応援企業 への 支援、若者の結 婚に 対 する意識を高め る等 、婚活支援事業 を重 点的に取り組ん でい くことが掲げら れて い る。 1-2 いしか わ結 婚支 援センタ ーの 主な取 り組み内 容 現在のいしかわ 結婚 支援センターの 主な 事業は、「仲人 型事業 」「 相談事業 」「県 内の結婚に関す る情 報発信」「婚活 セミ ナー 」の 4 つに 分け られる。 相談事業は、「婚カ フェいしかわ」とい う窓口を設置し、結 婚に関する様々 な相 談を受け付ける もの である。相談は 公式 ホームページの お問 い合わせフォー ム か 電 話で申し込むこ とが でき、専任の相 談員 による個別の面 談を 受けられる 。情 報発 信 は、ホームペー ジや メルマガ等を通 じて 、県内の婚活支 援に 関する情報を発 信す る ものである。婚 活支 援に関する情報 は、公的機関が発信 する ものだけでなく 、企 業 主催の婚活情報 など も含められてい る。婚活セミナーは 、外 部講師を呼び、コミ ュ ニケーション能 力や 結婚への意識啓 発を 目的として開催 する ものである。一 方的 に 講義を行うもの だけ でなく、様々な 企画 やワークショッ プを 通じて 、アクテ ィブ に スキルを習得で きる 機会が多数提供 され ている。 1-3 仲人型 事業 が実 施された 経緯 仲人型事業は、「結 婚を希望する未 婚者 に出会いの場を 提供 したい」「結婚に対 してポジティブ にな ってほしい」と いう 目的から実施に 至っ た事業である。また 事 業開始以前から 、「 定年後も社会貢 献が したい」「前職 の経 験を活かして結 婚の お
23 世話がしたい」など 、誰かの結婚を お世 話したい 、手伝 いた いという考えを 持つ 関 係者がいたこと から 、1 人ひとりを 丁寧 にお世話しよう とい う仲人型事業 の 着想 に 至った。 1-4 いしか わ結 婚支 援センタ ーの 仲人に ついて 在籍する仲人は 現在 450 名に及び、全 て一 般公募により集 まっ たボランティア で あり、いしかわ 結婚 支援センターに 登録 されている。仲 人と してセンターに 在籍 す る た め に は 、 い し か わ 結 婚 支 援 セ ン タ ー の ホ ー ム ペ ー ジ や 新 聞 ・ 広 報 等 で 仲 人 (縁 結び ist)に応募し、 事前講座を 受講 する 必要がある。 1-5 いしか わ結 婚支 援センタ ーに おける 仲人の位 置づ け 図 5-1 は仲人と各ス テークホルダー との 相関図 をまとめ たも のである。い しかわ 結婚支援センタ ーの 仲人に求められ る役 割は、利用者の 結婚 について考えて 、お 見 合いをサポート する こととされてい るが 、サポートはい しか わ結婚支援セン ター に 登録している利 用者 に とどまらず、デー タベ ースに登録 され ていない未婚者 を引 き 合わすなど、い しか わ結婚支援セン ター の枠を 越えて人 や情 報を繋げている 。ま た 仲人の活動内容 は、利用者のお見合 い斡 旋だけでなく、セミ ナーの手伝いや 講演 等 と、多岐にわた る。 この他に、仲人 同士 でも、お見合い 斡旋 の知識・ノウハ ウや 、 担当する利用者 の情 報交換なども行 われ ており、仲人を ハブ として様々なス テー ク ホルダーが繋が りを みせている。 図 5-1:仲 人 と 各 ス テ ー ク ホ ル ダ ー と の 相 関 図
24 2 仲人の課題/要望とサポート内容 事前講座からお 見合 い斡旋までの流 れと 、いしかわ結 婚支援 センターの仲人 への サポートの内容 をま とめたものが、図 5-2 である。仲人のお見合い斡旋までの流れ を、「事前講座」「 利用者選び」「お見 合い相手」の 3 つに分けて、各フェーズで センターによっ て行 われるサポート 内容 と、仲人の課題 と要 望をそれぞれま とめ て いる。活動する 上で の仲人側の課題 /要望をプロセスごとに確認していく。 1) 事前講座 事前講座は、個 人情 報の保護や人権 問題 に関する講座の 他、仲人としての活 動内 容や婚活支援事 業の 必要性など、仲 人と して活動する上 で必 要な知識を学ぶ こと である。仲人は定年 後に応 募する人 がほ とんどであり、高齢 者の割合が高い。そ のため若い人と のコ ミュニケーショ ンの 方法や考え方な ど、ギャップの違い につ いて知りたいと いう 要望が みられた。そ の対策として、事前 講座だけでなく、コ ミュニケーショ ンの 方法や現代の結 婚観 につい てなど、若い 世代とのギャッ プを 埋める教育がな され ている。 2) お 見 合 い 相 手 選 び お見合い相手選 びは 、担当する利用 者の お見合い相手の 情報 をセンター内に ある タブレット端末 や他 の仲人との交流 から 収集し、利用者 の希 望条件に合致し た者 や相性が良いと 思わ れる者を選ぶこ とで ある。お見合い 相手 を選ぶ際には、タブ レット端末等の 電子 媒体が使えない とい った課題や、仲 人と して活動を始め たば かりで、お見合 い相 手の情報やどう やっ て選べば良いの か分 からないという 課題 が出てくる。その対 応策として、活動拠 点や電子媒体・紙媒 体の両方でプロ フィ ールを閲覧でき る準 備をしている。活動 拠点はいしかわ 結婚 支援センターの 縁結 び ist 交流サロンの他に、県内 3 地区にサテライトが設置されており、仲人はそ こを自由に出入 りす ることができる 。仲 人はそこで互い の 利 用者について情 報交 換や、お見合い の経 験などを他の仲 人 と 共有することが でき る。 3) お見合いの斡旋 お見合い斡旋で は、利用者とお見合 い相 手が出会う場所 を決 め、お見合い 相手に 立ち会うことに なる 。お見合い 場所は利 用者やお見合い 相手 が集まりやすい 場所 を基準に決めら れる ため、お見 合いする 場所が決まった が仲 人の家から遠い 場合 も多く、多大 な移動 時間や費用等 、仲人 側の負担が増え ると いった課題が出 てく る。そこでい しかわ 結婚支援センタ ーで は、お見合い のため の交通費等の助 成金 を出している。こ れ により、広い地域 で 利用者のお世話 や、距離に制限なく お見 合い相手の選択 が可 能となる。
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26 第 6 章 いしかわ結婚支援センターの事例研究 1 仲人への イン タビ ュー調査 本章では、仲 人型 事業における仲 人の 活動内容と果た す役 割を明らかにす るた め に、いしか わ結婚支 援センターの仲 人に 対して行ったイ ンタ ビュー調査を 、KJ 法に よ っ て ま とめ た 結 果 を 示 す 。 KJ 法は①収集された意見を内容が類似するもの同士 でグループ分け する 、②グループ分 けし たものを、更に 内容 的に類似したグ ルー プ でまとめ、小さ いグ ループから大き いグ ループに包括す る、③最後にグルー プ化 さ れたものを、関 係性 を考慮しながら 空間 に配置する、と いう 手順で情報をま とめ て いった。 2 仲人の活 動内容 まず本節で は、イ ンタビュー調査 によ って明らかとな った 仲人の活動内容 をま と めた結果を示す 。仲 人がお見合いを 斡旋 するまでに、「 結婚 に対するポジテ ィブ 意 識の向上」「お見 合 い相手の選択 」「 お 見合いの斡旋 」「 信 頼関係の構築 」とい っ た 4 つの活動がみられた。 1) 結 婚 に 対 す る ポ ジ テ ィ ブ 意 識 の 向 上 「結婚に対する ポジ ティブ意識の向 上」では、主に結婚 に対 して自信のない 利用 者への励ましや 、前 向きになっても らう ためのアドバイ スが 行われている。 2) 引き合わせるお見 合い相手の情報 集積 「引き合わせる お見 合い相手の情報 集積 」では、利用 者にふ さわしいお見合 い相 手を探すために 、お 見合い相手のプ ロフ ィールや対話を 通じ た情報の集積が 行わ れ ている。 3) お見合いの斡旋 お見合いに向け て、利用者が気づい てな い癖や当日の服 装等 、利用者へのア ドバ イスが行われる 。ま たお見合い相手 と仲 人が事前に対話 を済 ましているため 、お 見 合い相手が触れ られ たくない話題等 、お 見合いでの禁止 事項 についても事前 に教 え られる。 4) 信頼関係の構築 「信頼関係の構 築」では、利用者に 仲人 である自分を信 頼し てもらうために 、お 見合い当日まで に何 度も顔を合わ せ 、結 婚やお見合い相 手に 関する相談を適 宜行 う などの、対話が 行わ れてい る。 3 活動内容 に対す る仲人の 意見
27 図 6-2 は仲人の意見を KJ 法によりまとめたものである。本節では、KJ 法によ りまとまった仲人の意見を、それぞれ活動内容ごとに紹介していく。 1)結婚に対する ポジ ティブ意識の向 上 「結婚に対する ポジ ティブ意識の向 上」には、「利用者 が結 婚に対して前向 きに なれるよう励ま す」や「今の自分を 無理 に変えるなとア ドバ イスを行い、今 の自 分 を認めさせる」とい った意見があり 、利 用者との対話を 通じ て結婚意識を向 上さ せ ようという思い が仲 人に みられた。 2) 引き合わせるお見 合い相手の情報 集積 「引き合わせる お見 合い相手の情報 集積 」には、「プ ロフィ ール上では分か らな い、性格や愛嬌 を見 る」や「話して みて 暖かさを感じる か」、また「親やギ ャン ブ ルに依存してい ない か」といった意 見が あり、プロフィ ール 上では分からな い情 報 を見ていること が分 かった。また その他に は、利用者か ら得られ る情報として 、「利 用者自身も知ら なか った異性に対す る意 外な好みが分か る」など、利用者本 人も 認 識していない情 報を 見つけていた。 3) お見合いの斡旋 「お見合いの斡 旋」には、「利用者の 気 づいていない癖 を指 摘する」「服にシ ー ルや値札をつけ たま まではないか 」「お 見合い前に相手 が触 れられたくない 話題 を 教える」といっ た利 用者が不用意な 行動 をしないよう注 意を 促す意見が見ら れた 。 また「この 服を着な さい」や「こう すれ ば結婚ができる 」等 のような直接的 なア ド バイスはされて おら ず、あくまで利 用者 の結婚に向けた 行動 を支援するよう な内 容 となっていた。 4) 信頼関係の構築 「信頼関係の構 築」には、「お見合いま で何回も話すこ とで 、利用者の好みや性 格などを理解で きる 」「信頼が得ら れる と、言いにくい 希望 条件を素直に話 して く れる」「お互い 何度 も会っているの で、アドバイス がし やす い」といっ た意見が 見 られた。この結 果か ら 、利用者と信 頼関 係を構築するこ とに より、お見合い 相手 を 紹介しやすくな る他 、利用者の情報 を得 やすくなる等、信頼 関係の構築はこ れま で の意見のほぼ全 てに 関係しているこ と が 分かった。また「信 頼関係の構築」はお 見 合い の成 功に も 関わ って おり 、「 自 分 (仲人)が立ち会うので信用できる」といった 強固な信頼関係 があ ったからこそ成 立す るお見合いがあ ると いう意見が みら れた 。 4 仲人の持 つ知識 ・ノウハ ウ 図 6-2 より、仲人の持つ知識・ノウハウに関する意見をまとめたところ 「仲人に なる前に身につ けた 知識」と「結婚 支援 センターで仲人 とし て働き始めてか ら得 た
28 知識」の 2 つに分けられた。「仲人になる前に身に着けた知識」では、利用者やお 見合い相手がど れだ け真剣に婚活に 取り 組んでいるか 、どう すれば利用者や 未婚 者 の人間性を見ら れる かといった、お 見合 いの斡旋や前職 の経 験が元になった もの が みられた(表 6-1)。また、同じ地域に住んでいるお見合い候補となりそうな 未婚者の 情報や、仲人型 事業 で働けそうな 仲 人の 人材を見つける 等、地域のコミュニ ティ に 関する情報を仲 人が 持っていること が分 かった。 また「結婚支援 セン ターで仲人とし て働 き始めてから得 た知 識」は仲人にな るた めに受けた事前 講座 が主な内容とな って おり、特に人権 保護 や個人情報等の 法に 関 する知識や、仲 人型 事業でのお見合 いの 斡旋方法、また 年代 が違う人との考 え方 の 違 い や コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン の 方 法 が 、 新 た に 得 ら れ た 知 識 と し て 挙 げ ら れ て い た (表 6-1)。 表 6-1:仲 人 の 持 つ 知 識 ・ ノ ウ ハ ウ 情 報 の 内 容 仲 人 に な る 前 に 身 に 着 け た 知 識 ・ ノ ウ ハ ウ ・ 利 用 者 や お 見 合 い 相 手 の 結 婚 に 対 す る 本 気 度 が 分 か る ・ 利 用 者 や お 見 合 い 相 手 の 性 格 や 人 間 性 を 見 る こ と が で き る ・ 地 域 の 未 婚 者 に 関 す る 情 報 ・ 地 域 の 人 材 に 関 す る 情 報 仲 人 に な っ て か ら 身 に 着 け た 知 識 ・ 人 権 保 護 に 関 す る 知 識 ・ お 見 合 い の 斡 旋 方 法 ・ 年 代 が 違 う 人 と の 考 え 方 の 違 い や コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン の 方 法
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30 第 7 章 考察 本 章 で は 、 い し か わ 結 婚 支 援 セ ン タ ー の 仲 人 型 事 業 を 対 象 に 、 仲 人 の 果 た す 役 割 を 分 析 し 、 仲 人 を 介 し た 結 婚 支 援 事 業 の 成 果 の 理 由 を 考 察 す る 。 1 仲人型事 業実施 組織に関 する 考察 1-1 仲人型事 業の 実施に関 する イメー ジ 結 婚支 援 事 業の 中 心 的 な業 務 と なる も の が 、未 婚 者 同士 を 引 き 合わ せ る マッ チング事業である。そして、このマッチング事業は、主に利用者が自らデータベ ース を 検 索し て 婚 活 相手 を 探 し出 す シ ス テム マ ッ チン グ と 、 支援 組 織 に属 する 仲人 が 未 婚者 同 士 を 引き 合 わ せる 仲 人 型 事業 に 大 別す る こ と がで き た 。こ のう ち、本研究で着目した 仲人型事業を実施している組織は、アンケート調査に回答 のあった 21 県の内 6 県しか存在していない。また仲人型事業の今後の実施に対 しても 16 県の内 6 県の 40%が「実施したくない」と消極的な姿勢を示してい る。このような仲人型事業を実施しない理由のうち、40%は事業実施に費用がか かることへの懸念であり、18%はボランティアが集まらない 、ボランティアを管 理す る シ ステ ム が な いこ と 等 への 不 安 で あっ た 。 シス テ ム マ ッチ ン グ 事業 と違 い、ボランティアの確保や教育等が必要となる仲人型事業には、更なる費用や人 材確 保 と いう 新 た な 負担 が 必 要だ と い う イメ ー ジ が持 た れ て おり 、 そ の導 入は 進んでいるとはいえない状況にある。 このような現状の中、仲人型事業を 2005 年から実施している、石川県のいし かわ結婚支援センターは、「結婚を希望する未婚者に出会いの場を提供したい」 「結婚に対してポジティブになってほしい」という目的から、仲人型事業の実施 に至っていた。事業開始以前から、「定年後も社会貢献がしたい」「誰かのお世 話をしたい」というボランティアスタッフも存在しており、事業の実施時の仲人 の人材確保にも大きな不安がなかったようである。現在では、450 名にも及ぶボ ランティアスタッフが、仲人として活動に従事している。また、昨年度の事業資 金も、年間 18,243,000 円と他組織に比べて特段高いということはない。このよ うに 、 多 大な 資 金 や 人材 確 保 のコ ス ト が 必要 で あ ると い う イ メー ジ を 抱か れて いる仲人型事業ではあるが、実際には、低コストで事業実施に成功して成果を挙 げている組織が存在しているということが確認できた。 1-2 仲 人 型 事 業 と シ ス テ ム マ ッ チ ン グ 事 業 と の 比 較 か ら み る 仲 人 型 事 業 の 特 徴に関する考察
31 表 7-1 は仲人型事業 実施組織とシス テム マッチング実施 組織 の基本情報、事業費 対する評価、事 業で 重視する点、課 題を まとめたもので ある 。これらの情報 を比 較 しながら、両者 の活 動趣旨を考察す る。 まず表 7-1 からは、 システムマッチ ング 実施組織に比べ 仲人 型事業実施組織 は、 スタッフ数、事 業費 が少なく、仲人 型事 業を実施しない 理由 の 1 つである「 高い 費 用が必要」とい うイ メージは確認で きな いことが分かっ た。また、利用者数 に関 し ては、システム マッ チング事業の方 が仲 人型事業実施組 織よ り利用者が多い 傾向 に ある。これらの結果 か らは、仲人型事業実 施 組織は比較的小 規模 で運営されてお り、 このためスタッ フ数 、事業費に関し ても 多大なコストを 必要 としていない状 況に あ ることが推察さ れる 。 婚活支援事業の 実施 に際して重視す る点 としては、シ ステム マ ッチング実施 組織 が支援事業の利 用者 数を重視してい るの に対し、仲人型 事業 実施組織は支援 事業 を 通じた成婚数を 重視 していた。この 傾向 は、事業の自己 評価 として仲人型事 業実 施 組織が成婚数を 高く 評価しているの に対 して、システム マッ チング実施組織 が出 会 いの創出に対し て高 い評価をしてい たこ とからも うかが える 。 このように、シ ステ ムマッチング実 施組 織には、 成婚数 を上 げるというより も、 男女に出会いの 場を 提供してお見合 い 数 を増やし、多く の人 に結婚の機会を 提供 す るという事業実 施目 的が存在してい る。一方、仲人型事 業実 施組織は、規模 は 小 さ いが、一人ひと りの 結婚のお世話を 丁寧 に行い、確実に 成婚 数を増加させた いと い う考えが存在し てい ると思われる。この 特徴は事業実施 の 課 題にも表れてお り、シ ステムマッチン グ実 施組織が利用者 数の 増加を課題とし て挙 げているのに対 し、仲 人型事業実施組 織は 利用者 との関わ り方 を事業の課題と して い た。 表 7-1 仲 人 型 事 業 と シ ス テ ム マ ッ チ ン グ 実 施 組 織 の 比 較 仲人型事業 システムマッチング 基本情報 スタッフ数 低 高 利用者 数 低 高 事業費 低 高 事業に対 する評価 成婚数 高 低 出会いの数 低 高 重視点 ・成婚数 ・一定の利用者 数 課題 ・利用者との関わり方 ・利用者の不足 1 仲人の役 割