Title
[講演録]沖縄の産業経済の現状と技術課題
Author(s)
宮城, 弘岩
Citation
南方資源利用技術研究会誌 = Journal of the society tropical
resources technologists, 5(1): 29-41
Issue Date
1989-03-30
URL
http://hdl.handle.net/20.500.12001/14001
Vo
l
.5
No.1 1989 沖縄の産業経済の現状と技術課題沖縄の産業経済の現状 と技術課題
育 :城 弘 岩 (沖縄県工業連合 会 ) 県工業連合会の宮城で ございます. これか ら小1時間,私の,多分お もしろ くな い話が出て くるか も知れませんが,ひとっお付 き合 いをお願 い します. 今 日のテーマは 「沖縄の産業経済の現状 と課 題」で, このテーマについては, もう僕 は,痩 れるほどた くさんや ってきたので,本当はあま りや りた くないのです. というのは,その程度 は知 っていらっしゃるだろうという気持 ちも一 方にあ ります. したが って,それ もそこそ こで やめま して,私の休験,経験か ら見ての技術論 といいますか,技術のとらえ方,技術のあ り方 と取 り扱 い方 というものを,われわれ産業の現 場の方向か ら,ちょっと提言,提案を してみた いと考えてお りますので, ご了承お願いします. 先 ほどか ら当研究会の財務報告,会計報告 を 聞いていて,よ く少ない予算であんなにすぼ ら しい仕事をす るものと関心 してお ります.僕の 事務所でいえば1か月分の費用 に しかす ぎない んですけど,よ くあんな大 きなことをなさるか と感心 してお ります. 話 は,本題 に移 りますけど, この沖縄の経済 とか,産業 というのはもう多分皆 さん知 りつ く しているん じゃないか と思 うくらい私 は考えて お ります.その沖縄の産業 について,一つのと らえ方を してお ります.一つのとらえ方 という 意味 は,い くらものが入 って きて,い くらが出 *〒9
0
0
那覇市壷川1
5
5
-3.
ていったか というとらえ方を します.例えば, われわれが,毎 日毎 日生活を しているわけです けど,い くら外か らものが入 ってきたかと,あ るいはい くら買 ったか といいます と,沖縄では 実 は約1兆 1千億円,平均で,大体1兆1千億 円の買い物 を しているんです.その1兆1千億 円に対 して, どれだけ自分で稼 いでいるか とい うと約6千億円 ぐらい.つまり収支 はマイナス 5千億円 くらいになって きます. この 1兆 1千 億円 というのは, ほとんどこれは商品です.物 です.物が外か ら入 って くると,そのための支 払 いが 1兆 1千億円になります. われわれが,対価 として稼 いでいる6千億円 というものの中の約36%は物です.他 は物を外 に売 って稼 いでいる金であ りません.残 りのい わゆる6割ち ょっとの ものは, これはどっちか といいます とサー ビスです.あるいは観光だ と か,その他のサー ビスで もって,外か ら稼 いで きているということになってお ります. したが って,沖縄をこの一つの株式会社 とい うとらえ方を します と,売上が, 6千億円に対 して買い入れ,あるいは仕入れが, 1兆1千億 円ということになるわけです.明 らかに5
千億 円の赤字ですよとい う意味です.それでは,そ の赤字をどういうふ うに埋めているかといいま す と, これ こそ,ある意味では補助金的な性格 に近 いものですが公共工事 といいますか,ある いは地方交付税 だとか,国庫支出金だとか,あ るいは国の出先機関,あるいは米軍基地か ら約1
,
0
8
3
億円 ぐらいでや っと埋 め合わせを してい -29-宮 城 弘 岩 るというのが実状です. これを財政依存型の経 済 と普通一般にいわれてお ります. それともうーっ,貿易面をちょっと見ておき たいのですけど,沖縄の貿易 というのは,大休, これ もマイナス ・赤字大体4千億円 くらい毎年 つ くっているところです.まあ,たまたま去年 は良か った.良か ったという意味 は,実 は過去
2
年間において,入 って くる量 は同 じだけれど ち,支払 うお金が半分で済むという状態が2年 程発生 しましたので,いわゆるオイル安,円高, ドル安 という現象が起 こりま して, これが半分 半分 と,対前年比50%ずつ下がってきた関係で, 去年 はこれまでの輸入に対する支払 いが1
番少 ない金額1,200億円 ぐらいの支払 いにな りま し た. それと反対に,沖縄の輸出,これが1番高 く,2
5
2
億円です.従来, これ は もっとひどい状態 を示すのです.去年 はむ しろ歴史的 と言われる くらいよかった.その沖縄の輸出に対 して輸入 というものは, ものす ごく少なか った. これを ちなみに簡単 に読み上げて説明 しておきます. 58年 は輸出を1として,い くらの輸入があっ たか というと.輸出 1に対 して輸 入118.59年 は輸出1に対 して輸入81と、まあ金額 に します と5
千億円です.それが60年が輸出1
に対 して, 輸入22と.61年が輸出 1に対 して,輸入12と. それで昨年 は輸出1に対 して輸入 6というふ う な状態をたどっています. ということは逆算 し ます と支払わなくてもいい金が沖縄に相当たまっ たと,いうふ うに考えていいと思 う. したが って, ここ半年間,沖縄の景気はもの す ごくいいという意味 は二重の金余 り現象 とい いますか,豊かな状態を今続 けていると私 は見 ています.つまり, これまでの輸出入差額で一 番支払 いが少ないのは,去年だ ったんです.そ うす ると,払わな くていい金が沖縄にたまった というのと,去年の6月 くらいか ら内需拡大 と いう意味で,大体392億円のボーナスが沖縄 に 入 って きているんです.その二つの金を足すと, いま沖縄が一番豊かな,金銭的にです,時代 じゃ 南方資源利用技術研究会誌 ないか というとらえ方を しています. そ して, この沖縄の経済 も,実 はよ くよ く考 えて見ます と,先 ほどち ょっとふれましたけど, 沖縄の経済を引 っ張 っているのは何か といいま す と,公共工事なんです.公共工事が沖縄を引っ 張 ってお り, これまで16年間に沖縄に投入 され たお金 というのは2兆 6千億円 ぐらいあります. それを年平均に します と, 1千650億 円 ぐらい 毎年入 って きて,-人当た りにすると11万円 ぐ らいです.月間に しますと135億円 ぐらいにな ります.その3倍,去年,内需拡大 という意味 で沖縄 にぶち込まれていますから,約3倍のボー ナスを沖縄 は貰 ったことになるし,約3倍の仕 事量が沖縄 についたことになるわけです.その ことで今,非常に潤っているん じゃないかと思っ ています. しか し, これを純粋な経済の姿か ら見 ると, 異常 ということはいなめないん じゃないかと思 っ ています. というのは,先 はど申 し上 げたとお り,われわれが稼 ぐ以上の ものを,今,消費 し ているわけです.そ して足 りない分を公共工事 などで持 ってきていると,財政依存型 という意 味だ と思 うのです. 実 は, これを本土 と比べて,よ くわか らない んですけどね,本土 と比べる危険性 はた くさん あ りますが,特徴なところだけ申 しあげますと, 例えば建設業,GNP
とい う言葉 があ ります け ど,その中身をち ょっと話 します と,非常に特 徴的なのが5つ ぐらいあ ります.建設業が,本 土の平均の くらべて倍 くらいあ り,それか ら公 務員の数が本土平均に比べて2倍います し, ど うや ら失業対策 じゃないかと思 うぐらいです. それか ら製造業が非常 に少な く,極端に少なく, これは大体,本土が29な ら沖縄が 7という状態 です.それか ら不動産業が非常 に多 い. それか ら逆 に言 いますと,三次産業が肥大化 しているといいますか,極大化 しているといい ますか,非常に大 きい. ご存 じのとお り,沖縄 の 二次産業,いわゆる卸小売業,あるいは観光 も含めて,サー ビス産業, これが75%ぐらい, 30Vol. 5No,1 1989 /音円1 ぐ年度) 56 57 58 59 60 6i 王) r 61年度 は速 報値 であ る Z L )内は構成比 賓料 統 計課 「県民 所 得統 計」 図1.移輸 出入の推 移 (名目) 60 移 輸 入 ∽ 移 輸 出 表1.特徴的な産業別総生産比較 沖 縄 全 国 L.建設 業 1 3 7 2.公務 員数 17 8 3.製造 業 7 29 4.物 的生 産 12 23 5.不動産業 il 9 資料 /中縄 県の経 居候 ′兄(企画開発部62年度 ) 残 りは一次産業 と二次産業を足 して25というぐ らいになっています. このへん皆 さん ご存 じと 思 うのですけど, これがいわゆる沖縄の経済の 体質が弱いという状態を作 り出 しているのです. 別な言 い方を します と,三次産業偏重の経済 と いうことか もしれません. こういう経済体質 は 実をいいます と,世界中どこへ行 って も,その 三次産業が肥大化 している地域 とか,国 という のは体力 というものが ものす ごく弱 く借金国に なっているのです. そういうことで,三次産業,サー ビス産業が 非常 に肥大化 している状態 は,現象的にどうい うことが起 こっているかといいます と,まず働 く人間が非常に少な く,いわゆる汗水垂 らして 働 く人間が少ない.あるいは生産性,物を作 っ ている生産性が非常 に低いことにな ります. 別の言い方を します と, インフレの体質の強 -
-
3
1 沖縄の産業経済の現状 と技術課題 い経済の体質になってお ります.イ ンフレの体 質ですか ら,工業,産業を起 こそ うとす る場合 に非常 に難 しいのです.イ ンフレ社会 というの は,工業,産業 を起 こそ うとす る場合に非常 に 難 しいんです.イ ンフレ社会 というのは,工業 を起 こすのに大変難 しいのです. ものを作 ろう と思 って も,人件費だ とか,工場関係.土地代 が ものす ごく高 くついて,本当の意味の工場経 営,産業 を成 り立 たそ うという要素が,圧迫 さ れて しまう.イ ンフレは沖縄の産業を別な意味 か ら阻害 している要因 じゃないか とお もってい ます. それか ら,話をとば しますけど,要す るに沖 縄の経済 は今,一方ではイ ンフレのの体質であ ること, もう一方では二次産業が非常に弱いと いうことです.その意味の内容の話を引 き続 き や っていきますが,一つだけお断わ りしておき ます. このあたりか ら,私の, これは独断 と偏 見に入 っていきますけど,私の経験論をベース に して話を していきます. いわゆる, これまでに沖縄で,二次産業 はだ めなんだと言われて きた理由をち ょっと申 し上 げておきます と,一つには,非常 に本土 と離れ す ぎていること,遠隔性 ということでです.2
番 目が市場規模,マーケ ットの大 きさが小 さい こと. もう一つは塩害がひどいこと.それか ら労働 力が非常 に良 くないこと,劣悪 といわれてお り ます.それか ら土地が狭い.労働賃金が割 りか し高 く割高になっている.それか ら下請 け関連 の産業,企業がないこと.技術の集積が低いこ と.電力,水道料金が高 いこと, これ らが一番 不利であると言われている理由なんです.それ で もって大体平均的に,多 くの学者,先生 は, 沖縄での産業はだめなんだというふうに普通おっ しゃっています. 一つ有利な点 もあ ります.いわゆる労働力は 豊富であるという面 もあるし,亜熱帯気候に属 す るという面 もある,地理的有利性を持 ってい ること,あるいは貿易,流通確保に便利な場所宮 城 弘 岩 にあること,あるいは地場資源が豊富であると いう面 もあ りますけど,総 じて, この沖縄で産 業が起 こらない,起 こしえない,不可能である, 難 しいんだという場合の理由は,先 ほど申 し上 げた内容になって くると思 う. だけど,私 はこれに対 してほとんど賛成 は し てお りません. というのは,先 はどの理由とい うのは, ほとんどこれは平均的な ものの見方 な んです.あるいは,本土を基準 に したものの見 方になっていると思 う.っまり,時代が変わ っ てきているという意味です
.
10年間, ここ5
年 単位で見て も時代が ものす ごく変わ って きてい る.180度 くらい変わ って きており,そしてどっ ちかといいます と,今まで申 し上 げた理由とい うのは,む しろ平均的な数字で もって論理が成 り立 っているん じゃないか という見方を してい るのです. 実際にわれわれが企業経営を行 う場合に,辛 均的なものの見方を絶対祝 しません.む しろ, こういった不利の条件があるとす るな らば,一 つ一つ自分の ものに していこうと,技術開発 し ていこうという,逆なとらえ方を しちゃうんで す. したが って,マクロでみれば恐 らく産業 は だめだろうと,不可能であろうという表現をな さる,だけどわれわれは,いわゆる経営の立場 か ら見 ると,む しろ逆 に開発すべ きものが豊富 だなあと,山 とあるというとらえ方を しちゃう んです.つまり,一つ一つ開発 していけば,棉 当先端の産業になれるんだけどというのが,常 日頃,僕が反省 しているところです. 逆 に言 います と,ちょうど今申 し上 げた不利 な条件を,円高 ・ドル安の時代,あるいは内需 拡大の時代,貿易黒字が非常 にたまって きて, 日米貿易,貿易摩擦,経済摩擦が出て くると, む しろ逆 にな って きているん じゃないか と,不 利 と言 っていたものが,すべて有利 と見る目が. これか ら出てきたん じゃないか と. いわゆるマ イナス要因が全部括弧で閉 じる時代 になってき たと,そうす るとプ ラスになるはず と.っま り 戦略的に非常にお もしろい地域 になってきた, 南方資源利用技術研究会誌 とい うふ うに僕 はとらえておるんです. そこで, もう一つ別の話 を してお きたい.沖 縄で本当に,産業が成 り立たなか った,成 り立 たせなか ったということの背景を.もう一度 シュ ミレーションしていきます と, これは前 も調べ たことがあるんですけど,儒教の国,例えば中 国 とか韓国,台湾,沖縄 も含めて,そ ういった 国々では,技術者 とい うものは, ものす ごく社 会的地位が低 いんです.中国では,
「チ ョウラ ウジョウ (臭老九)」 という言葉で呼ぶんです けど,チ ョウというのは臭 いという意味です. ラウというのは年 とっているという意味, ジョ ウというのは数字の九 という意味です.チ ョウ ラウジョウという言葉で呼ぶのですけど,ある いは 「キキイ ンコウ (奇器淫巧)」いろんな言 葉が出てきま して,沖縄の言葉で言 うとェタ非 人のことです.別な言い方をす ると官僚社会が 非常 に確立 されていて,技術者の社会的地位が ものす ごく低い. これはいわゆる儒教社会 に共 通的に見 られている現象です.そ して,新たに 開発 された技術 というの も,一般化 させ きれな いと,普遍化 しない,あるいは大衆化 しないと いう側面 も強 く持 っているんです.それが社会 的に技術者が非常に低 く位置づけ られていると いう歴史的な,あるいは宗教的な背景です. もう一つは,いわゆる1609年以降の薩摩統治 以降,為政者 といいますか,沖縄 Lを支配す る 方々が,二次産業の技術開発をあまり好まなかっ たと.そ ういう意味で,例えば韓国,台湾では, 日本語を切 り替える,あるいは学校の先生,に なるように人材を送 り出す とい うことで,統治 者 にとって技術開発 というのはあまり好まない. (旋盤一台あった ら) ピス トル とか,鉄砲 とか を作れますか ら,や っぱ し統治する側には具合 悪か ったと思 う.薩摩,明治,それか らアメ リ カ時代 というふ うに支配す る側 にとっては都合 の悪 いもんだ っただろうと思 う. それを,ちょうど1609年,僕 は興味あって見 ていたんだけど,いわゆる沖縄の石材技術 とい いますか,石の加工技術,つまり例えば崇元寺 -32-Vol. 5 No.1 1989 だ,真玉橋だ,円覚寺だという,あの加工技術 というのは,1609年以降と以前 とでは,全然達 うんです.数が以降は話にならないくらい低い んです. それか ら,仮に沖縄に名古屋地方並みの,い わゆる民間技術 というのが, もし成立するなら ば,恐 らく米軍の基地,機能の維持 は不可能だ ろうと思 うのです.例えば,香港か らさくら2 号で今,電波を送 っていますね,東南アジアの ニュースを東京で流すために.香港では,香港 から発 したニュースを,そのままキャッチして. ダビングして一般市販 しているんです.要する に, このファックスで も何で もいいですけど, 空中を飛び交 うもの, これはほとんどキャッチ できて,同時に-- ドコピーに取れる時代なん です. したが って,僕は日本の民間の技術,ハ イテク技術が沖縄に出て くると米軍基地の機能 は維持できないん じゃかいかと思 ったりもしま す.そういう意味で,伝統的に二次産業分野の 技術開発を押 さえてきたというmFJ面があります. さらには,明治以降,特に沖縄の企業経営者 が見た.企業者像 というのはどんな像かといい ますと,大体が商人で,大阪商人,鹿児島商人 が経営者なんです.経営者像 というのは商人な んです. ご存 じのとおり商人というのは,流通 業, ものを右か ら左に流す, これは流通業,商 人といわれる.商人 というのはあ くまで相手の 顔を見なが ら値を下げたり上げたりするのが商 人であります.つまり製造業思想 は,全然育て てないんです. 例えば,名古屋を基準に します と,いわゆる メーカー思想 というのは,沖縄では非常に少な いし,あるいは現在工場を経営 している方々と よ く話を しますと,商人的な発想で工場を経営 している方が圧倒的に多いんです.だか らよく 見てみると, 「あっ, この人が工場を経営する とうまくいかないだろうなあ」 というのを,工 場を診断 していくと非常によ くわかるのです. また, これはよく皆 さん科学技術 という言葉 をお聞 きだと恩 うんですけど,この科学技術は, 沖縄の産業経済の現状 と技術課題 僕 は沖縄ではまだ,技術は科学 と結びっいてい ないと考えているんです.人類の発生以来,ずっ と技術 というのは人頬 と共にあるのだけど, こ の科学 というのは実 は後か らやってきたもので す. この両者 はまだまだ結びっいていない.例 えば沖縄の民芸加工にしろ,あるいは焼 き物に しろほとんどそうです.つまり科学 という意味 は,産業化 という意味です.産業化 というのは 工場経営,特に大量生産,大量消費という原理 が根底に流れている産業だろうと思 うし, した が って例えば,焼 き物で も,沖縄ではみんな作 品作 りを一生懸命なさる. しか し,われわれが 本当に必要なのは作品ではなくて商品なんです. 商品作 りが ものすごく下手なんです.その分野 に携わる人たちが飯が食えないという状態を僕 は産業化 していないと考えているのです. これ をⅩ軸
Y
軸で見ると,
Ⅹ軸がむ しろ科学 である とし,先 はど申 し上げた産業化であり,工場で ある.Y
軸がいわゆる伝統工芸 というもの, い わゆるアー トの世界だと思 う.だから縦線に引っ 張 ったのがアー トの世界であり,横線に引っ張っ たのが底辺 としての,む しろサイエンスの世界 だろうと思 う.われわれが学校で勉強するのは, 圧倒的にこのサイエンスの部分が多い.アー ト の部分は勉強 しておりません. もっとわか りやす く言いますと,たとえば金 城次郎 さんの焼 き物を,私の目の前に20万,何 十万円というものを見せ られた時に,恐 らく私, 何の意味かさっぱりわか らないと思う.そこで, もし僕に見せるんであったら1個200円か300円 のシーサー小で十分です.そのシーサー小を見 て,焼 き物を見て,僕がそれに興味を持ち,恐 らく一年過 ぎて2千円のものを買 うか もしれま せん.2千円で買 って, さらに興味を持 って僕 は20万円の焼 き物の意味,価値がわかるんです. したがって,私がY軸.縦軸 と言 ったのは, い わゆる非常に手の届かない状態,沖縄の場合. 我々の所得水準か ら見て,何十万円という高い, 織物だとか,焼 き物 というのは, これはもはや 芸術品であって,一般商品ではない. したがっ -33-宮 城 弘 岩 て トー トーメ一に飾 るのがおちで しょうと, し たが って トー トーメ一に飾 る状態では産業 とは 言わないんです.芸術と言 ったはうがいい. トー トーメ-か ら,台所 まで引 っ張 って きま して, そこで初めて大量 に使 っていこう,大量に消費 していこうと,そこで初めて産業になるのです. その底辺部分がより長 く広 く,また厚 ければ厚 いほど,高 いY軸が立つで しょう. っ ま りY軸 の高いもの,芸術品な要素の ものは, この底辺 が しっか りしていないと売れないで しょうし, 非常に ぐらつ きやすいで しょうという意味です. さらに詳 しく申 し上げたいけれども, まだ沖縄 では,技術 というものが科学 としっか り結 びっ いていないという印象を持 っています. それでは, これまで沖縄に,技術 というのが どういう形で導入 されてきたか というふ うなこ とを考えて見ます と,非常にいい例,典型的な 例が,恐 らく芋,キ ビ,パイ ンじゃないかと, 農業分野でわか りやすいんで説明 します.例え ば,芋でも
1
6
0
5
年,キ ビが1
6
2
3
年に入 ってきて いる.パイ ンが多分戦後だろうと思 うんです. 重要なのは,外か ら入 ってきた技術がそのまま であるという意味です.3
0
0
年 の歴 史に もかか わ らず外か ら入 った技術がそのままで しかない, いわゆるそれ以上の技術の開発がなされてない という意味です. この3
0
0
年以上 , あ るいは こ の期間何をや っていたか という疑問がす ぐ出て くる. 今みたいに自由化の問題だとか,国際化の問 題 になって くると全 くもう対応で きない. これ を恐 らく研究室だとか,あるいは試験場では, いや違 うよともっとで きてるとお っしゃるか も しれませんが,産業化,事業化 されている段階 での判断です.いわゆる外か ら持 って きた技術 は,そのままであり,それ以上の技術の開発, 向上 はなされていないのです.パ イ ンに して も そうじゃないか と思 う. ところが ご存 じのとお り.あるアメ リカ人が 中国へ行 きま して変な ミカ ンを買い込んでいっ て.カ リフォルニアですか,そこで開発 したの 南方 資源利用技術研究会誌 がいわゆるグレープフルーツだといわれている もの,それですね.それか ら同 じく毛のはえた ような変な果物を中国か らニュー ジーランドへ 持 っていって開発 したのが,今非常に売れてい るキューウイであると言われてお ります. この 類の ものは,オ リジナ リティーを持 っていて, さらなるオ リジナ リティーを作 り出 し.そこを みます と,や っぱ りこれは産業化 しているなあ とわかって くるんです. 恐 らくこれか ら,沖縄の農業が国際化 し,自 由化 に耐えてい くとした ら,最近よ く出て くる 生産性の問題,あるいは合理化の問題,あるい は技術等の問題 は必ず問われてきます.合理化 だとか.生産性,あるいは要す るにほとんど工 場現場でわれわれが頻繁に,ふんだんに使 って いる用語がた くさん出て くる.つまりガットで 自由化が決定 されて以降, どんどん こういう言 葉がた くさん出て くるんだけど,実際の農家 と いうのはわか っていません.言葉 は知 っていま すけど突 っ込んだ話をすると,そ ういった意味 はわか らないです,生産性だ とか何 とかという のは. つまり,外か ら入 って きた技術が,今以上の ものにな らなければいかないという側面 と, ち う一つ これが国際的に耐えるような状態 になる には,そこに初めて,いわゆる工業的な要素, 別な言 い方を します と規格化.あるいは画一化 という,あるいは形が同 じもの,色が同 じもの, あるいはサイズが同 じもの,あるいは味が同 じ ものというものが,相当程度で きないと産業化 はで きない.今非常に活発になっている リゾー ト, リゾー トのホテルで沖縄の地場の もの,例 えば野菜に しろ,果物 に しろ,魚 に しろ,なぜ 買わないか ということを考えていただければわ かるんですけど商品 として供給で きないのです 沖縄側が.要す るにまだいわゆる産業 というか 企業 といいますか,いわゆる工場的なセ ンス, 考え方で これがで きあが ってない.場合によっ ては,恐 らく農家が農業をやる時代はもう終わっ たか もしらんと,個々別々にさせちゃうと,やっVol. 5 No.1 1989 ぱ し,今申 し上 げた規格が画一化 というのは, ほとんど得 られないだろうと思 う.そ うす ると これは,農家がやる農業の時代か ら企業が農美 をやる時代 に変わるか もしらんなあというのが, 実感 として持 ってお ります. 先 はどの話 に戻 りますけど,要するにキ ビに しろ,あるいは芋 に しろ,あるいは恐 らくパイ ンもそうだと思 うんですけど,外か ら入 って き たもの以上の技術開発がなされてない. これは 農協の皆 さんに大変に悪 いんですけど,農協の 皆 さんは,外国へ,県外に行 った場合に, これ を失敬 して もらって くるんです.笛を もらって くる,種を もらって くる,ただで もらって くる という習慣が身についていますか ら, したが っ て.ある意味では, これ泥棒みたいな格好です. これはどうい うことを意味するかということ, こういったことは,結局 はその農協の トップに しろ,あるいはわれわれ企業経営者に しろ,あ るいは行政 もそ うですけど,技術 はただである という, ものの見方に置 き換え られて しまうん です.つまり技術開発,人間の努力,あるいは 人間のエネルギーを投入す るとか,あるいはい くら金を使 うとかいうことへの認識が非常 に甘 くなる. したが って,沖縄ではそ ういった技術 開発に対す る努力 というのは評価 されない.あ るいは企業 レベルでみて も技術水準が非常 に低 いということになってきます. ここにある研究所が沖縄で調べた飼料がある んですけど,その沖縄 のいわゆ るR&D,技術 開発の水準 とい うのが,平均 します とほとんど 技術の必要性を認識 していないか,認識 してい て も,要員は平均 して一人か二人.そ してい く らぐらい金を使 っているんですか というと,大 休200万か ら400万円,沖縄の大体の企業の売上 は
5
億円ですか ら1%
割 るんです.研究開発に 投入 されているお金 というのは対売上費に して1%
割 っているとい う状態.いかにこれで技術 が低 く見 られているか,あるいは技術開発に熱 心ではないか.それに対す る熱意がない.そ こ に対す る投 入というのが,いかに弱いかという 沖縄の産業経済の現状 と技術課題 のが出てきているん じゃないかと思 うんです. 普通です と,大体5, 6%
,いいところにな ると9%です.そこまでいかないと,本当の自 分の技術開発 というのは難 しいん じゃないかと 思 います. 時間がないの下、データはオ ミッ トします. / 幾っか資料があ りま して,技術開発で各企業が, 要す るに社会が,あるいは行政で もいいですけ ど,エネルギーを投入す るんだ と,時間かかる んだと,金がかかるんだとい う認識 はかなり低 いということがいえると思 う. 実 はつい先月,私の方で,沖縄の人材, これ 技術について各工場を回 りま して,いろんなこ とを しらべて きてみたんです.そこでいわゆる 沖縄の人材で もいい し,技術でもいいんだけど, ほとんど トップが,それを認識 していないかま たは,その必要性を全 く感 じていないんです. そ してかつて,例えば,石油プラントで も,い わゆる装置産業分野 において,プラント技術だ とか,あるいはイ ンスペクター,熔接技術,エ ンジニア リング, さらにセメント業界で もそう です けど,10年前,20年前の技術をまだ誇 らし げに持 っている.そ して,それが我が社の技術 だ と思 い込んでいる経営者 というのはわ りか し 多いんですね.本当にもう沖縄で使えな くなっ た技術だ というのにまだ自分の優れた技術だと 思 っている方 もい らっしゃる. しか し,よ く考えてみます と, この技術 とい うのは時代 と共 にといいますか,時代によって, あるいは社会の変動 によって,あるいは企業規 模によって,あるいは経済の発展段階において, 全然同 じ技術で も差が出て くるし,評価が違 っ て くる し,必要性が異なって くるというふ うな 実感を受 けています. それと,沖縄か らわれわれは,県産品を本土 にた くさん ものを うっている,売 っているんだ けど,特 にアイスク リーム関係ですけど,いわ ゆる生産,試験研究 というよりむ しろ栄養要素 分析 とか, スペ ックの分析,あるいは衛生分析 こういった化学分析の人間が,非常にこれまた 35-宮 城 弘 岩 足 りないんですね.今琉大の方 に,卒業生を何 人か頼むと3年間待 たないと一人 (技術) も獲 得 しえないと言われているぐらいです.産業開 発か らみるとそのへん,あれっという感 じを持 っ ている. したが って出荷前の検査態勢が うまく 作れないので,た くさんの移出を したいんだけ ど,それがネックになって,販売,あるいは売 上が伸ば しえないとい うことが実態 として出て きてお ります. これは別な分野で もいわれてい ます.非常に本土で売れるんだけど, どうして も出荷前 にすべての検査をチェックしないとい かんと,だけど人はいないという現象が起 こっ ている. あるいはもう一つは,工場現場における例え ば付加分析だとか,工程編成だとか日常,工場 でどうしてもこうコス トとの絡みで,人材,あ るいは技術が必要なんだけど, これ らの技術 も もちろんなければ,人 もいないとい うのが現状 なんです.われわれの産業界の今の現状か らい きます と, これがいわゆる生産管理, もしくは 品質管理, もしくはコス トの管理 という面で究 極的には競争で きない状態を作 り出 していると いう意味にな ります. 加えて技術の素地がないといった らいいか も しれませんけど,新 しい技術が入 って きた場合 に, この技術を評価す る技術がない,つまり新 しく本土か らこの技術 はどうで しょうと売 り込 みにきます.売 り込みに くるんだけど, この技 術がいいのか悪 いのか評価で きない.鵜呑みに して金を支払 って, ドロンとされるケースも幾 つか出てきているんです.つまり.その技術 と いうのはいったい誰が開発 して,どこか ら入 っ てきて,誰が持 ってきたんだ という技術情報 さ え もない. したが って, これは先 はど技術蓄積 が非常に低 いという意味は.逆に言 うと外か ら 入 って くる技術を評価す る技術がないとも言え ると思 う. そういった意味で, これ も飛ば しますけど, 沖縄で私がいろんな企業を訪問 して感ずる技術 者の不足,あるいは技術不足 というのは,実 は 南方 資源利用技術研究会誌 人余 り現象だ と,一方で言われなが ら,実 は一 方では非常 に物足 りない, これはあるソーセー ジメーカーで聞いた話ですけど,例えば畜産関 係で,技術 を育成,養成す る場合に,ひとっの ブタとかヤギを,あるいは牛を見せて, この一 頭か ら肉が何キロ取れますか と,生 きたままの こういった生 きものを見せた場合に,肉がどの 種類 くらい取れるかと,たとえ肉その ものを見 せて,その肉が処理後,何時間たっているんで すか とか,あるいはこの肉はどの部分の肉です か というふ うに詰めて話 をす ると, もう残念 な が ら,琉大の学生 は全然わか らんという結論が 聞 こえます.悪 口言 っているわけではないんで すよ.そ ういうふ うに聞 いて きま したので申 し 上 げてお ります.話をまた飛ば します. そ うい うことで,基本的に今,沖縄の現状を 見て きたことを話 してきま したけど,そこで沖 縄で,なぜ,産業,二次産業が起 こらないか と いうことを考えていきます場合に,非常 に重要 な点 は,僕 はこのへんでいわゆる本土か らの も のの考え方 はやめた方がいいだろうというのを, 大体 いっ も言 っています. 皆 さん,先端技術,先端 という言葉をよ くお 聞 きだと思 う.つまり,この世の中で先端といっ た ら何だろうということです.仮 に技術が形 と して現れてきた場合に, もはや これは先端技術 ではないんです.その技術を生み出 した思想 と いうのがあるんです.考え方です. この思想が 実 は先端をい くんです.その思想が形 として, 技術 として ものに変え られて, 目の前に現れた 時点で, もはや これは先端 とはいえないんです. つまり.そういった先端思想を持 っている人は, い くらで も先端技術を生み出せ るし,作 り出せ るんです.そこで先端のオ リジナ リティーとい うのは.常 に作 り出せ る態勢にあること.いわ ゆるこれは,技術以前の思想の段階まで考えな いと技術 というのは,実 は本物 としては受 け入 れ られない. よ く技術移転だ とか,技術を買 うと言 います けれども.実 はこれは多 くの場合,不可能だ と -3
6-Vol. 5 No.1 1989 言われているんです.技術を買 う,技術を移転 するというのは,その技術の背景にある思想 ま ではなかなか入れ られないんですね,根付かな いんです.そうす るとこの思想まで入れないと, 先 はどのキ ビとか,パイ ンとか,芋みたいに, 外か ら入れたままの状態で,何百年,何十年 と い うことになって しまいます.いわゆる技術 を 生み出すその背景にあった思想,考え方 という ものを入れないとオ リジナ リテ ィーの技術 は作 れない し,自分の技術 も作れないだろうと,そ ういうふ うに考えていきます と,考え方を変え まして,沖縄であるがゆえの思想 といいますか, 沖縄であるがゆえの技術を構築す る方法が,当 然出て きて もおか しくないはず と. したが って,私 は,本土か ら来たすべての技 術を.沖縄の目で もうーBl見直そうという考え 方 に立 っているんです.すべて外か ら入 ってき た技術を,沖縄の視点で もう一回見直そ うとい うふ うにとらえ方を しているんです. そうす ると,われわれの生活の中で当然出て きているものとして,例えば塩害の問題だとか, あるいは冷房の問題, これを開発すべ きなんで す.例えば三洋電横だったか, 「ウチナ-びけ ん」 とい うテ レビのコマーシャルがあったんで すけど.要す るに例えば, トヨタの新車を買 っ てきま して,名護か ら沖縄市 まで3年間通 った らポロポロになるということをよ く聞 きます. つまり本土の実験室, トヨタの実験室で,いか に沖縄を想定 して防錆用 ペイ ンティング,ある いはコーティングして も,現実の沖縄 に持 って きます と, この塩害防止 もほぼ, ほとんど役 に たたないんですね.つまり実験室 と現実 という のは, もう外気 も含めて非常 に達 うんです. 逆 に言 います と,先 はど申 し上げま した,そ の沖縄であるがゆえの技術開発,先 ほど塩害が あるか ら沖縄で産業 は成 り立 たないのだという 意味ではな くて,逆に塩害 というのを真 っ正面 か らとらえま して,それに取 り組みます と,塩 害防止 に対す る,関す る技術 というのは恐 らく 先端技術 に成立す るん じゃないか, 日本ではで 沖縄の産業経済の現状 と技術課題 すね. とい うのは,沖縄にあるといいますか, そういった塩害に関す る技術開発がなされて, 沖縄で通用す るということになった場合に,忠 らく本土 より優れた技術になっているだろうと 思 う.そうします と, この塩害に対す る技術 と いうのは,実 は南中国 とか,あるいは東南 アジ ア各国にいくらで も, これはマーケ ッ トが広 げ られるのです.その沖縄の一番 ネックになって いた技術を逆 にこれを自分の ものに して開発す ると,実 はこれが商品になって売れるんです. そういうとらえ方の方が僕 はいいん じゃないか と思 う. あるいは,冷房で もそうです. これ も永遠の テーマと私が申 し上 げたのは,暑 いところです か ら,今 も外にでるとものす ごい暑 いんです. 実 は本土のクーラーだ と思 うんですけど.沖縄 の各家庭にあるクーラーは実 はだめなんです. 何がだめかというと寿命が非常 に短 い,本土 と 比べた ら恐 らく3分の 1, もしくは2分のlぐ らいの寿命 しかないんです. これは恐 らく大気中に塩分が相当入 っている という意味 もあるで しょうが,実 は別 な意味 も ある. これをよ く僕 は事例で申 し上げるんです. 私 は単身赴任 になっていま して,名古屋時代 も 単身赴任です. 日立の冷蔵庫を 1個持 っている のです. この日立の冷蔵庫を僕 は自炊 もよ くや るものですか ら,冷蔵庫 に満配 に して使 ってい ま した. しか し,名古屋では650円か ら800円 ぐ らいです1か月の電気料が. ところが沖縄にき ます と1,300円にす ぐとぴあが っち ゃったんで す. どう考えて もわか らない. どうして沖縄の 電気料 はそんなに高いんだろうと. これを単純 に,平均 して沖縄の電力,あるい は電気料金が高 いか ら高いという問題ではない という事が後でわか ったんです.っまり暑 さと いう観点か らいきます と, 一実 は名古屋のほう が圧倒的に夏 は暑 いです.沖縄は涼 しいんです. だけど電気料金が何でそんな40%も値上が りす るんだろうというふ うに考えてみたが結論がわ か らない.そ して名古屋か らたまたま友達が来 ー
37-宮 城 弘 岩 たので,ちょっと調べて くれ と,俺の電気料金 が何でそんなに高 くなるかわか らないと.単純 に沖縄の電気料金が高 いということで, とて も 解決できないはずだか ら,調べて くれ と. わか ったのが,実 は沖縄の電気の品質が悪 い というのに気が付 いたんです.つまり,沖縄の 電気は恐 らく
6
0
サイクルか5
0
サイクルかわか ら ないんですけど,実 はその一定の (公差 )で流 れていないなあというのがわか ったんですね. したがって,一定の (公差)で流れていないと いう意味 は場合によってはフル回転 し,あるい は急回転 し,急停止 し,あるいはこの電気でい います と,明 るくなったり暗 くなった りす る. したが ってそのことか ら,非常 にモーターが傷 みやすい,あるいはセ ンターがずれやすい.逆 に言います と,そこで非常に動力を費や して, 結局 は電気料金が高 くなるんだなあというのが, 1年後にやっとわか ったんです.そんな もんで す. つまりこれは,本土の ものをそのまま持 って きた場合,あるいはクーラーで もそのまま持 っ て きた場合,単純に電気の質の悪 さプラス,忠 らく塩害ですね, この大気中に含まれている 塩素の部分が多いという意味か らあるいは機械 構造の問題か ら家電製品 は非常に傷みが早 い. いわゆる経済寿命が短 くなる.結果的に沖縄の 消費者 は高 く買わされているというふ うになっ て くると思 う. したが って.本土か ら来 た家電 関係で もすべて, もう一度沖縄で見直そ うと, 沖縄の視点か ら見直 さないといかんなあと思 う ようになったのです. もしも例えば, これが沖縄ゆえに,だと思 う んですけど,沖縄で何かが開発されてコントロー ルボ ックスで もいい,I
Cを使 った何か開発 され て, これが この冷蔵庫に取 り付けられて,本土 並みの電気料が払われるよ うになった ら, これ は商品になるというふ うにとらえて しまうんで すね.そのよ うに, もう一度沖縄の視点で海外 の技術,外の技術を見直す と,やるべ き仕事 は たくさんある. 南方 資源利用技術研究会誌 それ と今,琉大の森田先生が今進めている沖 縄 スペ ックというのがありますね,沖縄住宅の. あれ も徹底的にや ったほうがいいと思 うんです. つまり沖縄の気候,風土 に合 うスペ ックという のを全部ばっちり作 っておいて,そのような企 画の製品を使 うと,実 は電気料金が安 くなりま すよと,快適になりますよというふ うに指導 し ていけば,実 は新 しいマーケ ットもそこででき て くる.単純 に本土か ら持 って きて取 りつける というばかばか しいことはやめ られるん じゃな いか と思 う. したがって, これ も同 じことで, よ く沖縄のホテルには日本間がた くさんあ りま す.だけど, これはある本で読んだんですけど, 本土 の平均の湿度が大体1
3
-1
4
%
である. しか し沖縄 は1
9
-2
0
%
ぐらいですよと.だか ら本土 でふすまを作 って くるとか,あるいは障子を張 り付 けてか ら沖縄 にもって くると狂 って くる. こういったものは南建材 という会社で一生懸命 研究 しているんですけどね.だか ら本土か ら持 っ て くるとだめな もの もあるんです.逆に言 うと, こういう性格の ものは沖縄で作 らないといけな いのです. ス トレー トに外か ら入 ってきたもの を無批判無条件に買い入れ,取 り付けるという 問題 というのが当然そこに起 こる. それとそこまできます と,実 はこの沖縄の視 点 といいますか,沖縄であるがゆえの技術開発 があるん じゃないか と,沖縄であるがゆえの産 業 というのが,そこで改めて出て くるん じゃな いかというふ うに考え られ ると思 う.そ うす る と,そういったものの考え方が出てきます と, お もしろい展開が今度 は出て きます. 先 はどち ょっと触れま したけども,沖縄で商 売, ビジネスをやる場合に,大体商売変えが非 常 に早 い,あるいは他の業への変化が早 いんで す. 1年か 2年で,す ぐ商売 は終わ っちゃうん です.あるいは別なものにす ぐ事業変えを して い く. という意味 は技術の分野で も言えるんで す. ということは,ある事業を していて,す く2,3
年 した ら別の事業に切 り替え,切 り群え ていきますと,そこに残念なが ら技術の連続が -38-Vol. 5 No.1 1989 出てこない,技術の蓄積が出てこないとい うふ うになって くるんですね. これは名古屋に非常 にいい事例があるんです. あるタイプライターのメーカーですけど,いや 本当は元 は ミシン製造業です.いわゆる産業革 命の初期の段階に生 まれた愛知県のある企業で すけど, これは繊維作業で ミシンをつ くってい た. ミシンを造 るファクターというのは,電気 であり,鋳物であり,あるいはプ レスであ りと いう形で,ベニヤでありという4つか5つ ぐら いの基本的な技術 しかあ りませんで した.そ し て戟後 この会社がや りだ したのは,まず電気技 術を使 って, ご存 じの皆様 の自転車 に くっつい ていた電気モーター付 き自転車です. これは失 敗す るんですけれど.それか らそのベニヤ加工, ベニヤ板を加工す る技術を活用 して,実 はこれ で今ではピアノを作 るとかね.あるいはプ レス の技術を使 ってタイプライターとか.今はプ リ ンターまで作 るようになったとか.あるいは鋳 物の技術を使 って,そのまま非常に特殊な工作 機械を作 っているとかいうふ うに,ひとっの企 業があって,その中に根底に流れている基本的 な技術 があ って, その技術 にオ ンされて次 々 に開発 されていくプロセスの商品 というのがあ るんです. これをその時代 と共 に作 りだ してい くと,ちょうどあの例の新潟県の蕪市や三条市 と同 じですよ.根底 はちっとも変わ らない,だ けど作 っている商品 というのは時代に応 じて変 わ って くる.つまりそこに技術の連続 というの が出て くるはず と.そ こまでいかないと僕 は外 か ら入 ってきた技術を十分に消化できないん じゃ ないかと.つまりそこまで くるとオ リジナルの 台湾,韓国,香港, シンガポールの商品, いや オ リジナルの技術 というのがで きるはずだとい うふ うに考えてお ります.非常 に技術開発の物 語 というのはお もしろくなるんです, つまり, 今,NICSの商品, まあNIESEとい いますが.NICSの商品が 円本に大量 に流れて きてお ります.沖縄 にもだいぶ入 ってきていま すけど, この段階 まできますと.その台湾の完 沖縄の産業経済の現状と技術課題 成品 というのは僕 らか ら見ると,すべて半製品 に見えちゃうんです.韓国製品 も半製品に見え る.あるいはフィリピンの もの もすべて半製品 に見える.素材か ら半製品 まで加工 したんだ. 向 こうか ら見れば完成品だ とおっしゃるか もし れないけど,われわれか ら見ると, これは部品 の集合だと,つまりわれわれが入 り込む余地が あるなあと,特に向 こうの地域というのは品菅, 品質管理が ものす ごく弱 く発達 していませんか ら.そこで別の実 はコンセプ トを,商品 コンセ プ トを持 っておれば,実 は新 しい製品が,商品 が,作れると考えるのです.先 はど申 し上げた 家電, クーラー,あるいはこの教室の蛍光灯で もいいんですけど, これの組み立て産業が沖縄 で成立す る.今,台湾 の方 でJIS認定工場 が増 えつつあるんです.そこか ら部品を持 って きて 組み立て る.あるいは沖縄の新洋商会みたいに, たとえば厨房施設 というのは, これまでナショ ナルの ものを,そのままそっくり取 り付 けてい たものを,ユーザーのニーズに応 じて中国か ら 台湾か らあるいは韓国か ら部品を入れま して, 自分たちで組 み立てて,お客 さんの好むような 状態であてはめてい く.そのほうが圧倒的に付 加価値が高 いんです.そ ういうふ うに非常にう ま くや っている会社 もあるのです. さらに別な話に移 りますけど, 沖縄の, い わゆる二次産業分野 は非常 に商人の世界で成 り 立 っている.例 えば沖縄 のGNPが トー タルで 1兆7千円 ぐらいですか,あるいは商売がそれ だけあるとす ると,別な二次産業的な発想をす る人が出て くるとなると,実 は恐 らくそれに相 当す る新 しい ビジネスが,僕 は生 まれて さて も おか しくないとい うふ うに考えているんです. いっ もかん じているのは, 1千億円の商売があ るとす ると,恐 らく
2
千億円の二次産葛的な発 想でやるべ き産業,仕事があるというふ うに僕 は理解 しちゃうんです.そ うすると,先 はビオ リジナ T)テ ィーというのができ 上がると,ある いは沖縄であるがゆえの ものの考え方がで きて きます と,実 はもう一一Jl'進んだ形で,現実 とい 39宮 城 弘 岩 うのはそこまでいっていませんけど.考え方が どうして もひっようになって くるという意味で す. 実際.っぶ さに沖縄の各工場を見て感ずるの 那-つあるんです.いわゆる付加価値の付け方, これが非常に弱 いんですね.つまり僕の理屈で いきます と, ものを加工す るということで もっ て,付加価値がで きあが ります. これは潜在付 加価値 と普通言 っているんですけど, これだけ では付加価値 は生 まれてこないのです.実 は時 間管理ですね,時間管理を徹底化す る,合理化 することによって,管理化付加価値 と呼ばせて もらっているんですけど,それ も出て くるはず よと. さらに仕入れの研究,素材を研究す る, あるいは仕入れ先を研究す ることによって も, これ購買化付加価値 というのも出て くるはずと. さらに,いわゆる軽薄短小 というのを担 ってい こうじゃないかというふ うに考えて きます と, これは知識集約化付加価値 とい うのが出て くる はずと.あるいは作業工程を,短 く工数を少な くしてい くことによって, これを僕 は技術集約 化付加価値 ということも言えるん じゃないかと. あるいはもっと発展 させま して,沖縄調の もの をオ ンす ることによって,カルチャー化付加価 値 も出て くるはず と. さらに最近 はバイオが非 常に盛んですか らバイオをこうくっつける,バ イオというバイオ化粧品 とあ りま したね,そう いっ ものをオ ンす ることによってベ ンチ ャー化 付加価値 もあるん じゃないか と. さらに沖縄で あるがゆえのファッション性 を投入す ることに よって ファッション化付加価値 も出るん じゃな いかと
.1
2
個 ぐらい考えが出て きます. こういった面か ら考えていきます と単純に, 商品開発,あるいは製品開発,あるいは元 とな るオ リジナル開発だけでな くて,いわゆる産業 化 という側面か ら見ていきます と,いろんなや り方があるとい うことをお気づさになると思 う. そ して, これまで皆 さん,多分そ うだと思 う んですけど, この技術開発 という場合に,我 々 は直 ぐ直感的にひらめ くのは商品開発,製品開 南方資源利用技術研究会誌 発だ というとらえ方を しちゃう.実は過去15年, あるいは10年間,本土でやっていた技術開発 と いうのは,商品開発では,ほとんどないんです. ほとんどというのは, これは工数を もっと少な くしよう,工程をもっと短 くしよ うとす る開発 なんです.工程 ・工数を もっと短 くしよう,少 な くしようとす る考え方なんです.だか ら,商 品開発,製品開発 というのは, これはプロダク トイノベーションというやつで,今売れている もの, これか ら売 ろうとす るものをいかに安 く す るか と,工程 をいかに短 くす るか ということ です. 競争条件 とは, ご存 じのとお り,品質 と価格 と納期ですね, もっと易 しくいいます と良 いも のを安 く早 くとい う作 る側の哲学があるんです. そこを考えていきます と,プロセスのイノベー ションがはるかに重要 なんです. いわゆる競争,僕 は先 ほど,製造業 は素材を 加工 して積み重ねてきてある価値がで るという ことを単純 に申 し上 げて きたけれども,それだ けではだめで,競争条件を設定 し,どうして も これを安 く作 ると,競争がで きるという状態を 想定 しな くちゃな らない.そ うなると今売 って いるもの, これか ら売 ろうとす るもの,特 に今 売 っているものをいかに安 く作 るか,品質的に はそんなに差 はないので,その安 く作 るための 手法が開発 されるべきなのです.実 はある意味 では短納期で もあるんですね.だか ら,む しろ プロダク トイノベーションよりもプロセスイノ ベーションが, もっともっと重要かなあという とらえ方を してお ります. お時間のよ うで, このへんでやめますけど, た くさんの失礼 なことを言 ったか もしれません が,僕の考えていることを申 し上 げたところで す. ただ,学校だ とか研究所で,ぜひや って欲 し いのは,外か らの技術を評価す る技術,あるい は外か ら入 って きた技術を消化す る技術,自分 の ものに しちゃう技術, この素地,畑 というも のを作 って欲 しい,そ うす るとわれわれ産業界 ー40-Vol. 5 No.1 1989 の方 も, もっと金,時間をかけて,先ほど申 し 上げた付加価値のつけ方にもっと研究できるの にというふ うにとらえております.以上です. どうもありがとうございました. - 41-沖縄の産業経済の現状 と技術課題