• 検索結果がありません。

精神遅滞児の外的志向性に関する研究(II) : 環境的要因の検討

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "精神遅滞児の外的志向性に関する研究(II) : 環境的要因の検討"

Copied!
9
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)Title. 精神遅滞児の外的志向性に関する研究(II) : 環境的要因の検討. Author(s). 木村, 健一郎. Citation. 北海道教育大学紀要. 第一部. C, 教育科学編, 30(1): 181-188. Issue Date. 1979-09. URL. http://s-ir.sap.hokkyodai.ac.jp/dspace/handle/123456789/4799. Rights. Hokkaido University of Education.

(2) . 精神遅滞児の外向志向性に関する研究 ( 1 1 ) -環境的要因の検討-. 木. 村. 1. 健 一 郎. 問題と目的. 2 } に お い て 筆 者 は Turnur & 前報 「精神遅滞児における外的志向性に関する研究 (1) 」(1979) , 6 } o i Z i l d d t t ( 1 9 4 らが着目している外的志向性 6 ) r( uer r ece ness) の 研 究 が 精 神 遅 滞 児 (以 下 遅 ge ,. 滞児と記す)の学習活動の特徴や行動特性を理解するうえに, 新しい枠組みを提供するもの であり, 外的志向性の性質について, より詳細な検討の必要性を指摘した. その出発点として, 前報では同 1 } と類似の方法を用いて 分析 一 M A の 普 通 児群 と遅 滞 児 群 に つ い て, Achenbach & Zig l er(1968) , 方法の検討と, 遅滞児が普通児よりも外的志向的な課題解決様式をもっ ているか否かの確認を行っ た, その中 で外的志向性を課題解決様式としてとらえるためには, 単に基準到達までの平均試行数 といっ た課題解決の結果を指標とするのでは不適切 で, 課題解決の過程をより詳細に分析する必要 性があることを指摘し, そのうえで外的志向的な課題解決様式 の分類カテ ゴリーを仮説的に設定し 1 ) らの 結果 と同様 遅 滞 児が l た, そ の カ テ ゴリ ー に よ る 分 類 の 結 果 は, Achenbach & Zig er(1968) ,. 普通児よりもより外的志向的な課題解決様式をもつことを示すもの であっ た , 前報においては遅滞児の外的志向性の確認と分析方法の検討に焦点がおかれ, その結果の解釈, 即ち外的志向性の規定要因に関しては, ほとんど言及されなかっ た, 遅滞児群が同一MAの普通 児群より有意に外的志向的な課題解決様式をもつことは, Zig l er達 の 6 ) & Z i l 研 究に よ っ て 繰 返 し明 ら さ に さ れ て い る. (Tu l rnur s er & ger(1964) , Sander , Zig 5 )) こ の 差 異 が ど のよ う な要 因 に よ て 規 定 さ れ } Achenbach & Zigl But f ie l d( 19 er 68 ) er (1968)1 っ て い る か と いう 点 に つ いて, 彼 ら は 2 つ の 要 因 を あ げ て い る そ の 一 つ は, 現 在 ま でに 到 達 し て い ,. る認知発達の一般的水準, 他は自己の認知能力を用いて課題を解決しようと試みた時の成功-失敗 経験の相対的生起率 であると仮定している. 前者は認知的要因, 後者は環境的要因と云えよう , 8 ) らは一貫して環境要因を強調している 例えば 「MAを統一したたときにすら遅 Z i l ) 97 3 r(1 e g , 滞児群がより外的志向的 であることは, 認知の一般的発達水準よりもむしろ彼の認知能力を用 いた 際に, 子 どもが経験する特殊な成功-失敗経験の歴史である」 と主張し,「明らかに社会は子どもに 対しMAよりCAを基準にして対応している. 実際ある年令への期待は, われわれの子どもの教育 訓練の中に強固にうちたてられている. 普通児のMAはほぼCAと比例している そこで子どもの . 認知発達の水準と調和 した課題を連続的に提示される. その結果, 成熟とともに課題を処理するの に自己の認知能力を用いることによる成功経験を積み重 ねていくことになる, 他方遅滞児の場合に は, 彼のCAには適切な課題 であるが, MAには不適切な課題 にいつも直面することになる. これ らの課題は遅滞児にとっ てあまりにも困難であり, 自己の認知能力 への依存によるよりも, 外的手 181.

(3) . 木 村 健一郎. がかりに依存するという外的志向性にむけてしまうことになる,」 と解釈している. 精神遅滞児の学習活動や行動特性を理 解するときに, われわれはともすれば彼らの障害そのもの からくる直接的な影響のあらわれであると考えがち であるが, 彼らが精神遅滞児として, 現在社会 の中 で生活しているという事実からくる間接的な影響を見逃しては ならない. 本研究の目的は, 外的志向性の規定要因, 特に環境的要因に焦点をあてて考察することにある. そこ で前報の普通児群と遅滞児群 (本研究においては養護学校児群) の資料に新たに施設収容遅滞 児群 (以下施設児群と記す) を加え, 同一MA でそれ ぞれ生活歴, 教育環境な どの異る三群を設定 し, 環境要因の外的志向性に対する影響について比較検討する,. 2. 法. 方. ( )被験児群 1 普通児群1 7名, 養護学校児群(前報における遅滞児群)20名は, 前報に用いられた被験児と同一 であ る.. 普通児群は函館市内K小学校2年~5年に在学する児童 で, MAとCAがほぼ対応していると思 われる者を担任教師に選ん でいただいた, 養護学校児群は一般社会の中 で生活している遅滞児群として設定した, 彼らの入学経路はほとん ど市内の特殊学級より転入してきた者で, 全員家庭からの通学児である, 施 設児群は2 4時間保護された社会の中 で生活している遅滞児群として設定した.北海道のT総合 援護 施設に収容されている児童20名 を対象とした. 彼らの収容期間の平均は, 4年0 ヶ 月 であ る, 全被験 児とも明らかな知覚-運動障害及び情緒障害のない者 である. 遅滞児の両群とも, 軽度遅 滞児を対象とした, 各群のCA, MA, I Qの平均は, 表1に示した通りである. ( 2 )装置, 課題, 手続き 前報に記載されたものと同一 であるのでここでは省略することにする. )実施期間 ( 3 昭和53年2 月 ~ 5 月にかけて である.. 表工. 被験 児群 N (女). 被験児群. 182. CA. MA. IQ. 養護 学校 児群. 20(7). 15: 3. 9: O. 63.8. 施 設 児 群. 20(5). 15:11. 9: 3. 62.3. 普 通. 1 7(9). 9: O. 児 群.

(4) . 精神遅滞児の外向志向性に関する研究 側. 表1 1 平均試行数 被験児群. 養護学校児群. 施 設 児 群. 普 通 児 群. M. 28,90. 28. 70. 26 76 ,. R. 15~55. 15~66. 15~52. SD. 11・71. 16,39. 10.73. ′q 。′ 、 、. .----・ 養 護 学校 群. .一 一 ・ 施 設 児 群. 、. .. o 、 、 ミゾ 」. 一 一 普通児群 \. 促進教刑, ,. 、 ・、. . ・. .. .. .. ・o--0 ・ \. ′\ / も--ィ. \. .\ 。\、. . 。′′・ \′′・. . 、。/ \. 10. 、--・. 0 ・、.′′o、./. 15. 20. (試行). 図1 平均反応時間の推移. 3. 結. 果. ( 1 )基準到達までの平均試行数 表1 1は, 各群の基準到達ま での平均試行数を示したものである 普通児群は 両遅滞児群よりも , , わずかに少い試行数 で基準に達しているが, 養護学校 児群と施設児群との間には 全く差が見いだ , されなかった,分散分析の結果, 平均試行数に関し 3群間に有意な差は見いだされなかっ た (F= , .. 0.1335. 琴=2/54 p >,05). この結果は3群とも, ほぼ同じ程度に課題解決に達したとみることができ MAを同一 にした効果 , が出ているものと考えられる. 前報と 同様, 単に平均試行数 では外的志向性の差 異を見いだすことは できなか た っ . ( 2 )平均反応時間 図1は各群の各試行毎の平均反応時間の推移を示したものである 図の5試行までの横線は 課 , , 題が提示された1秒後に手がかり刺激 (黄色豆球の点灯) が与えられ 6試行~20試行の横線は , , 課題提示後3秒後に手がかり刺激が与 えられたことを示すものである 第1回の促進教示は10試行 , 183.

(5) . 木. 村. 健一郎. 表m 施設児群の課題解決過程の分析. 曝於\ 被. 時間外正答. 計. 試 行 数. 時間内誤数. 時間内正答. 時間外誤答. l. 0) 50(4. 8(2 0 0) .. 6(15 .0). 20 ( 50,0). l. 2. 2 1) 1(1. 5 6(1 ,o) 5(4 5 ,5). 4(3 6,4). 9) 3 9(2. 1 7(58 .6). 1( 9 .1) 1( 3 ,5). 0. 3. 1(9. 1) 6(2 0. 7). 4. 1 7(7). 0(0. 0). 0(0.0). 5. 6 1(5 1). 25(49.0). 0(0, 0) 20(3 9. 2). 00 7(1 ,0) 1( 1 ,9). 0. 5(1 7,2) 5(9,8) 4(0.0). 0. 0. 6. 1 5(5). 0(0. 0). 0(0 ). 1 6(6) 20(1 0). 0(0. 0) 0(0. 0). 1(66 ,7). 8. 0(0 0) . 0(0. 0). oo 0) 5(l , 3 2(3 .3). 0. 7. 1(1 0 .0). 0) 9(90 ,. I. 9. 48( 38). 1 0(26 3) .. 6(15 .8). 9(2 3, 7). l. lo. 3(1 5. o). 1(55 1 .0) 0(0.0). 5(25 .0). 0. 0) 0(0 . 2( 13 3) .. lo (100.0). l. 8(53 .3). 1( 6 7) .. 0. 1 0( 17.9). I. 3 0(20). 13(3 4 ,2) o) 1(5 .. 11. 20(1 0). 0(0. 0). 12. 5) 25(1. 4( 2 6 7) .. 0. 13. 66(56). 22( 3 9.3). 2 4(4 2, 9). 0(0 .0). 14. 15(5). 0{0 ,0). 3( 6 0,0). 2(4 0 .0). 0. 15. 1 7(7). 0(0,0). 0(0 0) . 0(0 0) .. 2(28 .6). 0. 16. 17(7). 0. 17(7). 0(0 0) . 2(2 8 .6). 1( 14,3). 17. 0(0,0) 4( 5 7 1) ,. 1. 4) 7 5( 6( 85 7 ,) 1(1 4. 3). 0( 0 .0). 0. 18. 17(7). 0(0.0). 4. 1(1 3). 4(5 7 .1). 0. 19. 15(5). 2( 4 0 .0). 0( 0 .0). 0. 20. 4 8( 3 8). 0(0.0). 0(0, 0) 0(0, 0). 28, 2( 6) 0, 3(6 0) 0(0. 0). 38 (100.0). 3. 後に与えられる. 施設児群の反応時間は, ほぼ普通児群のそれと同様な推移 をた どっ ている, 促進教示が与えられ る以前に, 手がかり刺激提示前反 応を行っ ており, 養護学校児群と対照的な推移を示している. 平 均反応時間という観点から見れば, 養護学校児群が手がかり刺 激に依存する傾向が強く, 促進教示 によっ てはじめて手がかりに依存しない 反応へ移行する, 他方, 施設 児群と普通児群は, 手がかり への依存 度は小さく, 自発的に手がかりに依存しない反応へ移行していくことが認められる. 3 ( )課題解決過程の分析 平均反応時間の推移から, 基準到達ま での平均試行数 では差が認められないが, 明らかに手がか りに関係した課題解決の様式の 差が, 養護学校児群と施設児群との間に存在していることが示され た. だが, 課題解決様式を明らかにするためには, 更に正答, 誤答も考慮する必要がある, そこ で 被験児一人一人の課題解決過程を, 試行数, 反応時間, 正誤答, 促進教示の与えられた回数にもと づいて整理した, 普通 児群, 養護学校児群に関しては前報を参照していただきたい. 表mは, 施設 児群の課題解決過程を整理したもの である, この表において, 試行数は基準到達までの試行数であ 0連続正答部分) を引いたものである. 時間内正 り,( ) 内の数値は試行数より10試行 (最後の1 答, 誤数は, 手がかり提示前の正誤反応数, 時間外正答, 誤数は, 手がかり提示後の正誤反応数 で ある. ( ) 内は%を示したものである. 184.

(6) . 精神遅 滞児の外向志向性に関する研究 血 ). 表N 課題解決様式による分類 久永元群. カテゴリー. 手がかり 依存型. 養護学校児群 1 0( 50,o). ( ) 内は%. 施 設 児 群. 普 通. 児 群. 6(30.0). 3( 17,6) 4(2 3 ,5). 手がかり 利用型. 5(25,0). 5.0) 3( 1 .. 手がかり 無視型. 5(2 5 0) ,. 1 1(55,0). 1 0( 58.8). 計. 2 0( l o o ,o). 20 (100.o). 1 7(99.9). 前報 で抽出した課題解決過程の分類カテ ゴリーは以下の通り であった , 手がかり依存型-促進教示が与えられたもの 即ち試行数が多く 時間外反応の割合の多い . ,. ①. も の,. ②. 手がかり利用型-最初の5試行内 で手 がかり刺 激と正刺 激との連合を形成し 時間外正反 , 応 を行うが, その間に課題の抽象的関係 を抽出し 促進教示を与 えられる , こ と なく, 自 発 的 に 時 間 内 正 反 応 へ と 移 行 す る も の ,. ③. 手がかり無視型-手がかりに対する敏感さが低く手がかり刺激と正刺激との連合が最初の5 試行で形成されないまま手がかりとは無関係 に時間内反応へと移行してい く もの ,. 前報 では更にサ ブカテ ゴリーを設定したが, 被験 児の数 が少なく, 細分化 して分析 の対象とな り得ないの で本研究では3 カ テ デリ ー に と どめ た. 以上のカテ ゴリーにもとづ いて, 施設児群の一人一人の課題解決様式を分類したものが表Nであ る, 表の養護学校 児群, 普通 児群の資料は, 前報に記載 されたものと 同じである 手 がかりに依 . 存し, 促進教示が与えられないと時間内反応に移行しないもの, 促進教示が与 えられても時間外正 答を続けるもの, 促進教示が与えられると時間内反応 に移行するが 誤反応が多くなるものなど , , 課題の抽象的関係を抽出できない依 存型は, 養護学校群に最も多く(50%) 次に施設児群(30%) , , 普通児群 (1 7. 6%) となっ ている. 他方手がかりに依存せず, 出来ても出来なくても自己の認知能 力を用いて解決しよう とする無視型は, 養護学校 児群が最も少なく (25%) 施設児群 (55 5%) , . , 普通児群 (58,8%) はほぼ同じ割合を示 している 最も効率的な課題解決様式と考えられ 手がか , , りを利用 しつつ,真の解決をはかるという利用型は 養護学校 児群と普通児群とがほぼ同じ割合(25 , . 0%, 23,5%) を示し, 施設児群は15 %と低くな 0 ている っ , , 全体の傾向について, 3 × 3分割表によるカイ2乗検定を行っ た結果 3群間の課題解 決様式の , 傾 向 に 関 し, 有 意 な差 は 見 い だ さ れ な か っ た (12=6 4343 ・好= 4 2 > p > 1 . , , ,)ただ養護学校群. において, 課題解決様式の傾向が他群よりもはっ きりしていること 即ち依存型 が他の様式よりも , 大きな割合を示 していることが示された . 手がかりへの依存について, 依存型と非依 存型 (利用型, 無視型をまとめた) にわけて分析した 結果, 養護学校 児群と普通児群の間に5%水準での有意差 が認められた (尤2=421 2 デ=1 . . 21 . ,メ 02 5) 又養護学校児群と施設児群間には有意な差を示す傾 向が認められた (ガ ニ1666 > p >. . 6 , α 〆=1 . 2 〉P 〉. 1) 他方, 施設児群と普通児群間には有意な差は全く認められなかっ た . 次に手がかりに対する敏感さという点から, 依存型と利用型を1つにまとめ 無視型とに分けて , 分析した結果, 養護学校 児群と普通児群間に有意な差が認められた(諺 =436 0 5> p 〆=1 . , . 66 α >. 02 5) 又養護学校 児群と施設児群間には有意な差 を示す傾向が認められた (が =3 75 ず=1 . . 05) 他方, 普通児群と施設児群間には有意な差は全く認め られなかっ た .1 > p > , . 185.

(7) . 木 村 健一郎. 4. 考. 察. i l e r達の主張 g 本研究は, 外的 志向性の環境的規定要因の検討を目的とするものであっ た, 特に Z する「成功-失敗経験歴」の 外的志向性に及ぼす効果に焦点がおか れた. もし「成功-失敗経験歴」 が外的志向性の規定要因 だとするならば, 養護学校児群は養護学校という教育 環境の中 で, 皮らの 能力に適合した課題が与えられているが, 学校外 での経験を通し, 多くの失敗経験の蓄 積がなされ ていると考えられる. 他方施設児群は, ほぼ24時間施設という保護された社会 で指導をう け, 彼ら の能力に 調和 した環境におかれており, 失敗経験がより少いものと考えること ができる. それ故, 養護学校児群が最も高い外的志向性を示し, 次に施設児群, 普通児群の順序になる だろうと仮定す ることが出来る. 実験の 結果は, 手がかりのある弁別学習課題において, 養護学校児群が最も 手がかりに敏感で, しかもその手がかりに依存するという外的志向的な課題解決様式を用いて解決を計ろうとする傾向 の強いこと が示 された. 他方施設児群は普通児群との間に 有意な差が認められず, むしろ手がかり に依存 しない内的な課題解決様式をもつ傾向にあることが示された, この結果は同一MAの遅滞児 群において, 異る環境における経験歴が, 外的志向性に効果 をもたらすことを明 らかにしたもので, 上記の仮 説に支持を与えるものである, 本研究の出発点においては, 漠然と 彼らの生活環境, 教育環境の違いが 「成功-失敗経験歴」 の 違いを 生じさせているであろうと想定したが, その実証的裏づけはなく, 解釈に止まら ざるを得な い. 問題は生活環境, 教育環境の どのような相異 が外的 志向性に影響を及ぼして いるのかを明らか に する必要がある. 又 「成功‐失敗経験歴」 だけ ではなく, 他の要因も考えら れる であろう. 本研 究ではその 点の堀下げに欠けている. だが研究の過 程 でいくつかの要因が浮か びあがっ てきた. 以 下今後の課題という意味で, 外的志向性に影響を及ぼす環境要因のいくつか を考察してみることに する. まず養護学校児群と施設児群の生活の場の違い が指摘されるだろう. 養護学校児群は 1日の÷以 i l e r達が 指摘しているようにCAを基準として動い g 上の時間を一般社会 で過している, そこ では Z ている社 会であり, 当然彼らの能力 以上の課題状況に 直面する機会が多く, 失敗経験を積み重ねる ことになり, 失敗回避傾向を増大させる結果と なり, 外的な手がかりに依存した課題解決様式を身 につけるこ とになろう. 他方施設児群は 24時間保護された生活環境に あり, 彼らの能力に適合した 課題状況にかこまれ, 自己の能力を用いた解決が成功する機会を多く経 験するだろう, そのことが 養護学校児群の依存型の割合の 多さ, 施設児群の無視型の割合の 多さにあらわれてきたものと解釈 できよう. だが施設児群の場合, 逆に自己を過大 視して客観的な自己を認知 できないため, 手がか りを利用せず, 無視‐錯誤型を示すことになる 可能性が考えられるが, 本実験 ではその割 合は少な か っ た.. 上記で論議した点と深いか か わりをもっ ているが, 親の子 どもの能力に 対する期待と, 子ども 7 ) は 家族性遅 l i ) 971 r(1 e g .Z , の能力の 不一致が重要な要因となるだろう. 例えば, R ,Yando & E 志 有意に高い外的 器質性遅滞児が たところ 比較を行 っ 滞児と器質性遅滞児に対して外的志向性の , 向性を示したことを報告している. その中 で器質性遅滞児の外的志向性を, 脳の器質的な損傷によ るよりもむしろ, 器質性遅滞児の親が一般に子どもの能力に対し, より高い期待をもっ ており, そ の不 一致が子どもに 多くの失敗経験を積み重ねさせている結果であることを示唆している, 本研究 における施設児群と養護学校児群の差は, この親の期待という点からも解釈しうるであろう. 一般 186.

(8) . 精神遅滞児の外向志向性に関する研究 側. に施設収容児の親は, 子どもと接触する機会が年数回と少く, 又施設に入ることが出来たという安 心感が先に立ち, 子どもの能力に対する期待も低く, 無関心になる傾向がみうけられる 他方養護 . 学校児群の親は, 一般に子どもの教育に 対する関心が強く しかも子どもの能力以上の期待をもつ , ものが多い. このことが養護学校児群の失敗経験を増幅し より依存的な外的志向的課題 解決様式 , をとらせる結果になるのではないかと思われる . 教育環境の中 では, 教育内容, 教育方法等が重要な要因となろう 施設教育の内容は 生活指導 , , , 作業指導, 学習指導等によっ て構成されているが, 一般に生活中心の指導であり その中では社会 , 的自立の動機づけ, パーソナリティ の側面を重視している そこ では目から考え行動するという自 , 主性, 自発性が強調される, 本研究の対象となっ た軽度の子どもは 施設内 ではリー ダーシッ プを , とらされる立場におかれており, 特にその面の指導を受けているものと推定される このような指 , 1 ) らが間接的な証拠を見い 導の外的志向性に 対する有効性については,Ach i l enb ach&Z r(1968 ) e g だしている, それは教師が長期間外的志向性を媒介する変数を操作している遅滞児の学級を偶 然発 見したというの である, そこ では教師が子どもの自己評価を高めるために 当初多くの成功経験を , 与え, その後徐々に正しい反応よりも自分目からの思考に対し強化を与 えていく という手続 きを と っ てい た, Achenbach らがその学級 の子ども達に対し外的志向性の実験課題を与えたところ. ,他 の グルー プの遅滞児よりも手がかりに依存することが少なかっ たばかり でなく 普通児よりも手が , かりに依存する ことが少なかっ たことを記載している , 他方養護学校 での指導は, 一般に社会自立の認知的側面に強調点がおかれたカリキュ ラムが構成 さ れ, バ ー スナ リ テ ィ, 動 機 づ け の 側 面 の プ ロ グラ ム がカ リ キ ュ ラ ム の 中 に 十 分 に 設 定 さ れ て い る. とはいい難い, そこ では教師の配慮によっ て十分な手がかり が与えられたうえでの学習が多く 手 , がかりによる課題解決様式 が強化されていく可能性が含まれているのではないかと考え られる だ , が, Achenbach らの記載している事例は 実験的な操作を経ておらないの で 今後このような実験 , , 教育的な方法を取り入れていくことが必要であろう , 最後に普通児群の場合, 本研究では ほぼCAとMAが対応した者を選ん でいただいた その意味 , では学級内でも安定し, 彼らの能力に調和した課題ととり組んでいるものと思われる 学校や家庭 , において, 自分 で考え行動するという指導がなされ, 親の期待ともほぼ合致しているものと推定さ れる. その結果が手がかり無視型の割合が多く, 自己の力 で真の解決を計ろう とする態度にあらわ れたもの と思われる. しかし上で述べたような環境要因が適切 に与えられな い場合も十分考えられ る,. 8 }(1 Zi l 97 3) らは, 外的志向性が子どもの特殊な経験歴からく る課題解決様式 であるとするなら e r g ば, 課題に 対して自己の認知能力を用 いた解決が, しばしば失敗に帰すことになる年少児や 両親 , が子どもの能力以上の知的な要求をする子ども達にも認められるであろうこと を示唆している こ , )(1 の点を確めるために, 高木5 979未発表)は普通学級内の学習遅進児を対象と して外的志向性の検 討を行っている, 普通学級の学習遅進児は, 最近 「おちこぼれ」 と称され 現在の教育における大 , きな問題の一つとなっ ている, 彼らは通常の学業についていけず 常に解決困難な課題に直面 し , , 多く の失敗経験を積み重ね自己の能力に対する自信を喪失 していると推定さ れ 精神遅滞 児と同様 , な課題状況におかれて いるものと思われる. それ故より大きな外的志向性を示すであろうという予 測にたっ て, 特殊学級内の遅滞 児と比較を行っ た その結果, 明らかな差異は認め られなかっ たが , , 普通 児群の方が, 遅滞児群よりも外的志向的な課題 解決を行っ ている傾向が認め られている . 以上今後の課題 ということ で環境要因のいくつかに考察を加えてみたが 一つの養護学校 一 つ , , の施設のみを対象とした だけ では不十分であり, 又筆者の少ない体験に基づき実証的な検討を経た 187.

(9) . 木 村 健一郎. ものではない. それ故筆者の独断, 偏見があらわれているかもしれない. 今後実証的な検討を加え て いく つ も り であ る.. 3 }(1 =an 971 ) が指摘しているように, 認知的な側面の cMi 現在の精神遅滞児の教育は, 一般に Ma 改善に強調点がおかれたカリキュ ラムが構成され, 動機づけ, バースナリティ の側面の 改善 プロ グ ラムが十 分に組み込まれていない. 環境要因による動機 づけ, バースナリティ 形成が, 彼らの学習 活動, 行動特性等に 大きな影響を もたらしていることが次第に明らさにされてきている. 今後, 動 機づけ, バースナリティ の改善が, 彼らの学習活動の 改善に効果をもち, それが彼らの認知発達に どのよう な効果を及 ぼすかという点を明らさに していく必要があるだろう.. イ寸. 記. 前報及 び本研究は, 北海道心理学 会第25回大会, 日本教育心理学会第20回大会にて報告したも のに加筆 しまとめたもの である, 実験に協力 していただいた養護学校, K小学校, T総合援護施 設の諸先生及び児童生徒の皆さん に心より感謝いたします,. 文. 献. land r ta iesinnonna l l i t teg e rded ing and pr r a ng s ig l ea rn ob em‐ earn e r 1) Achenbach ,E. 1968 Cuel ,& Z ,T. l h i l d D ‐ 一 8 4 8 h i l d C t 3 9 8 2 7 8 n m e e v e o c r en p . .. 9巻 979 精神遅滞児における外的志向性に関するる研究(1) 北海道教育大学紀要第一部C2 2) 木村健一郎 1. 2 号 139一140 i l ded l l t ionofthe ment heeducat ona iva i a e ar t l t onint yr l l em of mo . Except 3) MacMi an ,D. 1971 Theprob i l dr ch en 37 579÷÷586 ing o f imi i i t d i t na on l ea rn f i l sc r d sin the d ig l ‐ r ec ednes er e r e er 4) Sande r s , E. C. 1968 0ut , & But , E. , B. Z 4 8 3 7 5 3 6 l h l 7 3 A b - l d d h i d l l J l d a s c o t t n o r m r n r e c e y n r e a p rma an me a y no . .. ... 979 外的志向性に関する研究 北海道教育大学函館分校昭和53年度卒業論文 5) 高木律子 1 i l dr dedch landr fnorma t l l ingo en ar i e l v ob em so sinthepr . r ‐d r ect ednes .J 6) Turnur J er e ,E.19640ute , .& Zig l i lsycho landsoc ‐一436 Abnorma a . 69 . 427. i ins l i tu fins i i t t l l tut ‐ ‐ ed and non di ona z il ngo vi ob em‐ so er r ect ednessinthe pr er 7. ) Yando .E,1971 0ut ,R.& Zg l lpsycho --288 l i l dr l i landr i ta a opment t rdedch en e rma ona z ed no . 4 277 .Deve 1 irab i l i l ft he l ty h f en d t t d h i l d o d t v e 1 u o e e l E 9 7 3 Wh t e r o r m on o r e c r e n r e a p .ln R. M.AI 8) Zig p ,A.D. er y . . f Ma iam Pr i i 1 3-3 5 U i d l t t e s s fC i i t o h n n v e r s R P T i d n l e & ( )T e e v e o Co t v y o n r taz s e o e so p o s e r e g r zo . . . . , (本 学 講師・ 函館 分校). 188.

(10)

参照

関連したドキュメント

1、研究の目的 本研究の目的は、開発教育の主体形成の理論的構造を明らかにし、今日の日本における

まず, Int.V の低い A-Line が形成される要因について検.

こうした背景を元に,本論文ではモータ駆動系のパラメータ同定に関する基礎的及び応用的研究を

本研究の目的は,外部から供給されるNaCIがアルカリシリカ反応によるモルタルの

これまた歴史的要因による︒中国には漢語方言を二分する二つの重要な境界線がある︒

 介護問題研究は、介護者の負担軽減を目的とし、負担 に影響する要因やストレスを追究するが、普遍的結論を

2 つ目の研究目的は、 SGRB の残光のスペクトル解析によってガス – ダスト比を調査し、 LGRB や典型 的な環境との比較検証を行うことで、

暑熱環境を的確に評価することは、発熱のある屋内の作業環境はいう