教材「坊っちゃん」研究(二〇一六年度卒業論文要旨集)
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(2) 教材「坊っちゃん」研究. 太宰治『魚服記』論. ことを目的とした。 『坊っちゃん』の文学的研究や、実践に関. 本研究では、夏目漱石の『坊っちゃん』の表現の仕方に関し て分析し、生徒が作品を評価することができる学習内容を示す. の損失による自殺との大きく二つの論に分かれている。本研究. 死んだ「学生」への思慕による追いかけと、自身の生きる意味. へと向かう。この行動について従来の研究は、先に「滝壺」で. 本作の登場人物のスワは、作品の最後で「滝」へと投身した 際に「小鮒」に変身する。そして、「なにか」考えた後に「滝壺」. 近代文学研究室 三四七七 酒井 優大. する研究の検討から、部分的な表現の考察に留まっていること. 国語科教育第一研究室 三五〇〇 谷垣 悠介. や、「一」以降を用いた指導の必要性を指摘した。. て考察することで、その原因を明らかにすることを目的とした。. として描き出し、欠点の多い人間が他者の欠点を責めるという. の組み合わせによって、 「坊っちゃん」を欠点を多くもつ人間. のものの人物像が描かれていると捉えた。漱石はこれらの表現. 「坊っちゃん」の他の人物に対する描写に、 「坊っちゃん」そ. ん 」 の 語 り に は 田 舎 へ の 偏 見 や 気 の 早 い 考 え 方 が み ら れ た。. 『坊っちゃん』では登場人物の台詞から「坊っちゃん」の理 屈で物を言うことができない一面を指摘した。また、「坊っちゃ. という仮説をもって、他の作品を確認した。. 描いている。 『坊っちゃん』はより一層落語の要素が見られる. 作者は、語りの視点を制限し、スワの内面を語り手に語らせ ないことで曖昧にしている。また、人間の死体が描かれないこ. てきた語りに対し、疑念を抱く構造が失われているのである。. 定されることがなくなり事実となる。語り手が事実として語っ. べている。これによって、スワが「小鮒」に変身したことは否. に太宰は、末尾の人間の姿のスワの死体の描写を削除したと述. 自殺のために「滝壺」へ向かったと言える。また作品の完成後. なくなる。しかし、変身後に「大蛇」にとって危険ではない「滝. 本作全体はスワに近接した視点から語られているが、最後の 場面では、それまで語られてきたスワの内面は語られることが. では語りの視点を分析し、読者の読みと作品構造の関係につい. 『吾輩は猫である』 『三四郎』 『そ 『坊っちゃん』について、 れから』の三作品と対照しながら表現の仕方を検討した。特に. 立体的な構成となっているといえる。. みをする可能性があったと言える。このために、従来の研究が. 『吾輩は猫である』では落語の要素を用いて人間社会を滑稽に. 「坊っちゃん」全編を予め生徒に通読させたり、 「二」 「三」 「四」「八」を読み聞かせたりすることで、 「一」以降の表現の. 二つに分かれていることが明らかになった。. とによって自殺の伏線があるにも関わらず、読者は希望的な読. 壺」を避ける様子から、スワは「小鮒」であることを自覚し、. 仕方から「坊っちゃん」 の人物像を考える学習内容を設定した。. - 71 -.
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