中学生の集団内におけるいじめの抑制要因-いじめ加害経験者といじめ加害無経験者との違いから-
2
0
0
全文
(2) 調査時期 2008年10月中句から下旬. 極的防衛〉では性別の主効果を得た(F(1,71):20,0. 調査内容 中学時代について,1)グループ所属. 87,pくlOO1)。F4く被害者責任>で性別(F(1,71)=1,. の有無,2)グループ内でのいじめの有無,3)グル. 284,p〈.05),いじめ加害関連3群(F(2,71)=4,152,. ープ内でのいじめ加害経験の有無,4)グループ内. pく.05)の両要因で主効果を得た。. でのいじめ被害経験の有無、各1項目。5)グルー. r被害経験群」r両経験群」r傍観群」の3群で. プ内でのいじめに対する認識尺度、25項目。. 「いじめ被害関連3群」を作成し,性別,いじめ. 6)Hayamizu et.a1.(2004)の仮想的有能感尺度. 被害関連3群の2要因分散分析を行った。仮想的. (ver2)11項目、7)Rosenberg(1965)の自尊感情尺. 有能感で「いじめ被害関連3群」の主効果を得た. 度の日本語版(山本地,1982)1O項目。. (F(2,59)=4,570,p〈.05)。F1く否定的感情〉でrいじ. 分析 中学時代のグループ内でのいじめに関し. め被害関連3群」の主効果を得た(F(2,59)・3,64. て男女差があるかを分析する。そして,中学生時. 3,p〈.05)。F2〈消極的防衛〉では,有意な交互作用. 代,グループ所属,グループ内いじめ,グループ. がみられた(F(2,59)=4,353,p〈、05)。. 内いじめ加害・被害経験の有無を組み合わせ,「加. 全体考察. 害経験群」r被害経験群」r両経験群」r傍観群」r無. 「いじめ関連6群」各群の特徴を述べたい。r加. 関係群」rグループ無所属群」のrいじめ関連6. 害経験群」ではグループ内いじめの原因は被害者. 群」を作成し,性別,いじめ関連の2要因分散分. にあると,加害者なりの加害理由を持っているこ. 析を行った。. とが示された。r被害経験群」では,学校生活にお. 結果 まず,中学生時代のグループ所属では男. いて他者軽視に基づく仮想的有能感を抱かざるを. 女問に有意な差がみられた(π2=9.17,仕1,ρく.01)。. 得なかったと考えられる。「爾経験群」は,「加害. しかし,グループ内いじめ,いじめ加害・被害経. 経験群」と比較すると、特に女子においてグルー. 験では男女間に有意な差はみられなかった。. プ内でのいじめから身を守るために周囲と同調的. 性別,いじめ関連6群の2要因分散分析を行っ. に振る舞うことが示された。「傍観群」では,く否. たところ仮想的有能感でいじめ関連6群の主効果. 定的感情〉以外に他群と差がみられなかった。『加. を得た(F(5,292)=3,954,pく、01)。F1く否定的感情>. 害経験群」と比較するとこの2群の違いとしてい. で性別(F(1,292)=12,438,pく.001)といじめ関連6. じめ行為を正当化しているかどうかということ、. 群(F(5,292)=7,872,pく.001)の両要因の主効果を. r傍観群」の自尊感情の低さも大きな特徴であっ. 得た。F2く消極的防衛>では交互作用がみられた(F. た。中学生は小学生と比べて,いじめに無関心な. (5,298)=2,818,pく.05)。F3くゲーム的感覚〉でいじ. 傍観者層が現れる(橋本,1999)。このことから,「無. め関連6群の主効果を得た(F(5,292)=4,667,pく.00. 関係群」と「グループ無所属群」では,他のグル. 1)。F4く被害者責任>で,いじめ関連6群の主効. ープ内いじめに対する無関心さが,社会的に望ま. 果を得た(F(5,298)=3,960,pく.01)。. しい回答を増やしたと考えられる。. r加害経験群」r両経験群」r傍観群」の3群で. 本調査は大学生に回答を求めたため,現在の中. 「いじめ加害関連3群」を作成し,性別,いじめ. 学生の回答とずれが生じている可能性がある。今. 加害関連3群の2要因分散分析を行った。その結果,. 後,調査対象者に対する十分なアフターケアを行. 自尊感情でいじめ加害関連3群の主効果を得た(F. う体制を整え,当事者である中学生に対して調査. (2,71)=3,809,pく.05)。F1〈否定的感情〉では性別(F. を行いたい。. (1,71)=12,201,pく.O1),いじめ加害関連3群(F(2,7. 主任指導教員 岩井圭司. 1)=7,385,pく.O1)の両要因で主効果を得た。F2く消. 指導教員 有園博子. 一169一.
(3)
関連したドキュメント
大きな要因として働いていることが見えてくるように思われるので 1はじめに 大江健三郎とテクノロジー
( 同様に、行為者には、一つの生命侵害の認識しか認められないため、一つの故意犯しか認められないことになると思われる。
「東京都北区いじめ防止基本方針」を見直すとともに、「東京都北区いじめ
「学生時代をどう過ごせばよいか」という問い
参加者は自分が HLAB で感じたことをアラムナイに ぶつけたり、アラムナイは自分の体験を参加者に語っ たりと、両者にとって自分の
一方で、平成 24 年(2014)年 11
本案における複数の放送対象地域における放送番組の
発生という事実を媒介としてはじめて結びつきうるものであ