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子どもへのテリングのサポート方法に関する考察 : 第三者の関わる生殖技術による出生について

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帝塚山大学心理学部紀要2012 年 第1号pp.87-98

一 第

者 の関 わる生殖 技 術 によ る出生 につ いてー

は じ め に 1

精子 や卵 子 の提供 ①onor Conception 、

子 ど も(以 後DC児 とい う) と養 子 の違 い

原 著 論 文

子どもへの テリ ングの サポート方法に関 する考察

才  村  眞  理

第 三 者 の 関 わる 生 殖 技 術 と い う の は 、 不 妊 治 療 の一 種 で あ り 、 夫 婦 の 遺 伝 子 を 引 き つ ぐ 不 妊 治 療 だ け で は 妊娠 に至 らな い場 合、 現 在 では 第三 者 の精 子 や卵 子 を 使 って 妊 娠 で き る時 代 とな っ て い る 。 現 在 、 日 本 で は 生 殖 技 術 に 関 す る 法 制 定 は さ れ て い な い が 、 日 本 産 科 婦 人 科 学 会 が 認 め て い る 第三 者 の精 子 提 供 に よ る 出 生 は1949 年 か ら 開 始 さ れ、 現 在1: 万人 以 上 す で に 出 生 し て い る と さ れ る ( 日 本学 術 会 議 生 殖 補 助 医 療 の在 り 方 検 討 委 員 会。2008 )。 ま た 日 本 産 科 婦 人 科 学 会 は 認 め て い な い が 、 第 三 者 の 卵 子 提 供 に よ る 出生 児 誕 生 も報 告 さ れ て い る 几 こ う し た 、 第三 者 の 関 わ る 生 殖 技 術 が 進 む 中、 不 妊 夫 婦 に と っ て は 福 音 と言 わ れる が、 一 方 で 問 題 も大 き い。 問 題 の 中 核 は 、 そ の 出 生 に至 る 経 緯 が 子 ど も に 秘 密 に さ れ て お り 、 子 ど もが 遺 伝 的 親 に つ い て 知 り た い と 思 っ て も 知 る こ と が 出 来 な い こ と で あ る 。 精 子 提 供 で 生 ま れ た 子 ど も た ち が 中 心 と な っ て2010 年 「 第 三 者 の 関 わ る 生 殖 技 術 を 考 え る 会 」 が 立 ち上 が り 、 子 ど も に そ の 出 自 に つ い て 秘 密 に さ れ る こ と の 弊 害 な ど、 さ ま ざ ま な 問 題 提 起 が な さ れ て い る D。 こ の 論 文 で は 、 そ う い っ た 問 題 を 少 し で も解 消 で き る よ う、 不 妊 夫 婦 が 子 ど も の小 さ い 頃 よ り そ の 出 生 に ま つ わ る 真 実 を 子 ど も に話 せ る よ う 「こ れを 匚テ リ ン グ 」 と い う ) サ ポ ー ト す る に は ど うす べ き か、 テ リ ン グ す る 際 の 阻 む 要 因 は 何 か、 テ リ ン グ が 可 能 と な る た め の 構 造 を 提示 し た 。 日 本 で は 第 三 者 の 関 わる 生 殖 技術 に よ り 作 ら れ た 親子 の テ リ ン グ の 方 法 に関 す る 論 文 は ほ と ん どな い た め 、 こ の 研 究 で は 、 海 外 で 行 わ れて い る ワ ー ク シ ョ ップ や レ ク チ ュ アを 参 考 に し、 ま た、 日 本 で 行 わ れ て い る 養 子 へ の テ リ ン グ方 法 を 含 む 養 親 講 座 を 参 考 と し た 。 今 後 こ の 研 究 の 成 果 が、 精 子 や 卵 子 の 提 供 で 家 族 を 作 る 親 子 や 医 療 関 係 者 へ の道 案 内 に な り 、 ひ い て は子 ど も の利 益 に つ な が る こ と を 期 待 し た。

以 後DCとい う) で 生 ま れ た

本 稿 で はDC児 へ の テ リ ン グ に つ い て 扱 っ て い る が 、 日 本 で はDC児 へ の取 り 組 み が ほ と ん ど な い た め 、 近 似 し て い る 養 子 の場 合 を 参 考 と し た。 し か し 、DC児 と 養 子 に は 違 い が あ る。 そ

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88 帝 塚 山大 学 心 理学 部 紀 要2012 年 第 1号 表1 . DC 児 と 養 子 の 違 い ① C児 とは精 子 や卵子 提 供に より生 ま れた 子ど もで、 こ こで は代理 出 産や胚 提 供は 含め ない) DC 児 養 子 ( 特 別 養 子 ) 血 の 繋 が り 親 子 関 係 一 方 の 親 の 血 の 繋 が り が あ る 一方 の み 遺 伝 的 親 で あ る た め 複 雑 な 家 族 関 係 と な る 血 の 繋 が り は な い 父 母 と も子 に 対 し て 同 等 に 遺 伝 的 に 繋 が ら な い 関 係 子 ど もの 妊 娠 可 能 不 可能 子 ど も の 養 育 期 間 と 状 況 出 生 時 か ら ( 妊 娠 中 か ら ) 養 育 可 。 不 妊 治 療 が 長 く 、 出 産 が ゴ ー ル に な っ て い る 場 合 も あ る 一 定 期 間 、 乳 児 院 等 で 育 て ら れ 、 そ の 後 養 親 宅 に て 養 育 ( 里 親 委 託 等 ) さ れ る こ と が 多 い 。 子 ど も の 試 し 行 動 等 お こ り 、 子 ど も が 家 庭 にな じ む ま で に 時 間 ・ 労 力 が 必 要 不 妊 の 受 容 不 妊 を 秘 密 に し 、 外 見 上 自 分 の 子 を 持 つ の で 、 不 妊 を 受 容 出 来 て い な い 場 合 も 多 い→ オ ー プ ン に で き な い 場 合 が 多 い 不 妊 を 受 容 し 乗 り 越 え 、 血 縁 に こ だ わ ら ず 、 養 親 を 選 択→オ ー プ ン に で き る 場 合 が 多 い 戸 籍 実 子 ①C 児 の 記 載 な し ) 法 的 に は 実 子 で あ る が 、 匚民 法817 条 の 2 によ る 裁 判 確 定 」 と の 文 言 が 記 載o 子 の 出 自 を 知 る 権 利 な し ( 日 本 で は 、 ド ナ ー を 知 り た く と も 知 る 仕 組 み、 法 律 が な い ) 養 子 は 戸 籍 上 、 実 親を た ど る こ と が で き る 親 か ら 子 ど も へ の テ リ ン グと 状 況 秘 密 に さ れ 、 成 人 し て 出 生 に つ い て 知 り ア イ デ ンテ ィ テ ィ ・ ク ラ イ シ ス に 陥 っ て い る ほ と ん ど テ リ ン グ さ れ て い る か 、 あ る い は 自 身 が 戸 籍 を み れ ば 養 子 と わ か る 筆 者 作 成( 筆 者 の 児 童相 談 所 で の里 親・ 養 親業 務 経 験 お よ び生 殖 補 助医 療 に 関 す る厚 生 科学 審 議 会 委員 経 験 、DC 児 への イ ンタ ビ ュ ー調 査 研 究* 等 を参 考 に作 成 ) * 才 村眞 理 編著 匚生 殖 補助医 療 で 生 ま れた 子ど も の出 自 を 知 る権 利」福 村 出版 、2008 年、pp216-228 の違 い について 表 口こ示 し た。 ここ で違 いとし てDC児 の場合 の方 が養子よ り もテリ ングが ほ とん どな さ れていな い 几 その理 由 として は、 私 見で あるが、DC児の場 合 は妻 が妊娠し 出産 す るため普通 の親子 と外 見上変 わらず、秘密 にする土壌 かおり、 また、親 の不妊問題 が子を持 つ ことにより 解決し たように みえ、 不妊は 恥ずかしい ので隠し たい、 テ リングする動機 がなく な るのではな いかと思 われる。 2 テ リ ン グ の 理 念 ( 考 え 方 の 基 礎 ) ( 1 ) 子 ど も の 出 自 を 知 る 権 利 匚出 自 」 と は 広 辞 苑 に よ る と、「 出 ど こ ろ 、 生 ま れ。 出 生 と 同 時 に 血 縁 に 基 づ い て 制 度 的 に 認 知 ・ 規 定 さ れ る系 譜 上 の 帰 属 」 と あ り 、「 子 ど も の 出 自 を 知 る 権 利 」 と は 子 ど も 自 身 が 誰 か ら生 ま れ た の か、 遺 伝 的 親 を 知 る 権 利 を 持 っ て い る と い う 考 え 方 に よ る も の で、1989 年 国 連 総 会 が 採 択 し た 子 ど も の 権 利 条 約(Convention on The Rights of the Chi ↓d) 第 7条 、 第 8 条 が こ の 権 利 の 根 拠 と 考 え ら れ る 。 第 7条 で は 匚児 童 は 一 中 略 一 出来 る 限 り 父 母 を 知 り か つ そ の 父 母 に よ っ て 養 育 さ れ る 権 利 を 有 す る。」 第 8条 で は 「 締 約 国 は 、 児 童 が 法 律 に よ っ て 認 め ら れ た 国 籍 、 氏 名 お よ び家 族 関 係 を 含 む そ の身 元 関 係 事 項 に つ い て 不 法 に 干 渉 さ れ る こ と な く 保 持 す る 権 利 を 尊 重 す るこ と を 約 束 す る 。 締 約 国 は 、 児 童 が そ の 身 元 関 係 事 項 の 一 部 ま た は 全 部 を 不 法 に 奪 わ れ た 場 合 に は、 そ の身 元 関 係 事 項 を 速 や か に 回 復 す る た め 、 適 当 な 援 助 及 び 保 護

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才 村 : 子 ど も へ のテ リ ン グの サ ポ ー ト方 法 に 関 する 考 察 89 を 与 え るU と な っ て い る 。 つ ま り 、 子 ど も は生 物 学 的 父 母 を 知 る 権 利 を 持 っ て お り 气 ま た、 そ の 身 元 関 係 事 項 、 ア イ デ ン テ ィ テ ィ の保 持 と も言 わ れ る が 、 自身 の 親 は誰 で そ の 親 と 子 ど も 自身 の 関 係 を 保 持 す る こ と が 必 要 で あ る こ と を 意 味 す る と 思 わ れ る ( 許 斐。1996 : 60 )。 そ し て、 子 ど も が こ の 出 自 を 知 る 権 利 を 行 使 す る た め に は、 親 が 子 ど もに 出 生 に ま つ わ る 真 実 を 予 め テ リ ン グ し て い な け れ ば 、 こ の 権 利 は使 え な い 。 2003年 に 厚 生 労 働 省 か ら 出 さ れ た 「 精 子 ・ 卵 子 ・ 胚 の 提 供 等 に よ る 生 殖 補 助 医 療 制 度 の 整 備 に 関 す る 報 告 書」 で は 、 生 ま れ た子 ど もの 出 自を 知 る 権利 を 認 め、 子 ど も が15 歳 以 上 に な れ ば ド ナ ー を 特 定 す る 情 報 ま で ア ク セ ス で き る と し た 。 ( 2 ) 子 ど も の ア イ デ ン テ ィ テ ィ の 形 成 な ぜ テ リ ン グが 子 ど も に 必 要 な の か ? こ の 疑 問 に 応 え る た め に 養 子 支 援 、 ラ イ フ ス ト ー リ ー ワ ー ク の実 践 が 参 考 と な る 。 養 子 支 援 で は、 厚 生 労 働 省 雇 用 均 等 ・ 児 童 家 庭 局 家 庭 福 祉 課 監 修 (2003 : 134) の 里 親 支 援 の マ ニ ュ ア ル に、 匚真 実 告 知 」 と し て 項 目を 上 げ 、『 子 ど も に 育 て の 親 で あ る こ とを 告 げ る と い う 「 真 実 告 知 」 は里 親 に と っ て 重 要 な テ ー マ で す。 か つ て は 幼 い 子 ど も に は、 そ う い っ た話 を す る の は 「 か わい そ う だ 」 と い う 風 潮 も あ り ま し た が 、 子 ど も た ち が 自 分 の生 い立 ちを 知 り、 自己 の成 長 の歴 史を 認 め てい く こ と は大 切 で、 自己 の ア イデ ン テ ィ テ ィ を 形 成 し て い く の に 欠 か せ な い も の で す 。』 と さ れ、 さ ら に 時 期 ・ 方 法 につ い て は 匚小 学 校 を 卒 業 す る ま で に」 匚親 子 関 係 の良 い 時 に 」 匚里 親 が 自 ら チ ャ ン スを 見つ け て 告 げ る」 と し て い る。 里 親 の中 に 養 子 前 提 の 委 託 を 行 う 里 親 があ り、 養 育 の み を 行 う 養育 里 親 と は 別 で あ る が 、 真 実 告 知 に 関 して は養 子 も里 親 委 託 児 も同 様 の考 え 方 が有 効で あ る。 次 に、Ryan ( = 2010 : 10, 12, 15-16) に よ る と 、 ラ イ フ ス ト ー リ ー ワ ー ク は、 子 ど も の 過 去 、 現 在 、 未 来 を 橋 渡 し す る 方 法 で あ り 、 子 ど もに 過 去 に つ い て話 す こ と に よ り 過 去 を い く 分 で も 取 り 戻 す こ と が で き、 そ う す る こ と に よ り 過 去 を 受 け 入 れ、 そ し て 事 実 を 知 っ た上 で 、 未 来 へ と 進 み始 め る 助 け と な る と 説 い て い る 。 そ し て 、 過 去 、 現 在 、 未 来 の 橋 渡 し によ り、 自 分 と い う イ メ ー ジ が で き 、 ア イ デ ン テ ィ テ ィ の感 覚 が で き る と し て い る 。 海 外 の 研 究 で も タ ー ナ ー と コ イ ル の 研 究(Turner ら。 2000 : 204卜2051) でDI ①onor insemination ; 精 子 提 供 ) で 生 ま れ た 子 ど も の ア イ デ ンテ ィ テ ィ の喪 失 に つ い て 指 摘 し て い る。 (3)自己 決定 親が自身 の子ど もにその出生 にまつ わる真 実を テリングす るかしない かは、結局 のところ、 親の自己 決定 にか かっている。 テリ ングは、 さまざ まな上記の 理由によ り必 要なこ とではあ る が、 そ れを するか しな いかは 親の決定権 にゆだ ねられている。里 親・養子支 援を推進 してい る 社団法人 家庭 養護促 進協会(2004 :3) では、「最 終的 に、『 真実 告知 』を する のがしな いの か は、 その当事 者であ る、 里 親や養 親の自 己決定 により ます。」 と してい る。 各国 の生殖医 療 に

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90      帝塚山大学心理学部紀要2012年 第1号 関 する法 律を概 観して も、 テリ ングを 強制 する法 律はない( 才村 眞理。2006) 。 イギリ スのオ リビ ア・ モ ンツ チ(Olivia Montuschi) の テリ ングの マニ ュア ルで も、 まず第 1に 匚話 すこ とを 決意す る」 から始 まっている(Montuschi = 2011 : 4-5)。 3。 テ リ ン グ を 実 行 す る た め の 必 要 条 件 ( 1 ) 不 妊 で あ る こ と の受 容 世 界 で 最 も 早 くこ の 問 題 に 着 手 し た ケ ン・ ダニ ェ ル ズ(Ken Daniels) は 親 が 「 不 妊 だ と 告 知 さ れ た こ と に よ る 喪 失 感 や 、 悲 し みを 認 知 す る と い う こ と の 重 要 さ 」(Daniels = 2010 : 61) を 指 摘 し て い る。 こ の不 妊 を し っ か り 嘆 く ク リ ー プ ワ ー ク を 行 い 、 不 妊 につ い て オ ープ ン に 人 に話 せ る 状 態 に な ら な い と 子 ど も へ の テ リ ン グ の 段 階 に 進 ま な い と 思 わ れ る。 不 妊 は 男 性 で も 女 性 で も そ の 不 妊 の た め に 人 間 と し て 失 格 だ と か 、 自 分 が 何 か 悪 い こ と を し て 不 妊 にな っ た わ け で は な い の で、 自 分 を 責 め る必 要 は な い な ど 、 カ ウ ン セ リ ン グを 受 け たり し て 自 身 の 負 い 目 を 乗 り 越 え る必 要 か お る( 大 野。2011 : 67-68) 。 ( 2) 安定 した信頼できる 親子関係 子 ど もが幼少の頃より 出生に まつ わる真実 について、 親自身 が話 すこ とによって、 オープ ン な姿 勢が子 どもに伝 わる。 子 どもは親を信頼 し、長い 期間の育児 と共に何度 もその真実 が語 ら れ、 親子関係 に組 み込 まれる と、 将来の親子 関係が安定 した ものとなり、 自信を持 った親を子 どもは自 らのモデル として取り入 れること ができる。 テリ ングの時 期が 匚幼少 の頃」 が望 まし い ことに関 しては、卵 子提供等を 日本 で組織的 に実 施して いるJISART (日 本生 殖補助医 療標 準化 機関) のガ イド ライ ン(JISART. 2011 :14) に「幼少 時(小学 校入学 前が望まし い) よ り非 配偶者間 体外受精 により生 まれた子であ る旨を子 に告知す るよう努 める旨言明して いなく てはならない」 としてい る。 安定 した信頼 できる親子 関係の もとでテリ ングするこ との価値に つ い ては、 養 子 の場合 であ る が、 メ アリ ー・ ワト キ ンス とス ーザ ン・フ ィ ッ シャー(Mary

Watkins and Susan Fisher) が事例を もと に証 明してい る(Watkins. 1993 : 225-241)。

( 3 ) 日 本 にお い て オ ープ ン さ の 文 化 の 醸 成 日 本 で 昔 か ら の言 葉 と し て 匚沈 黙 は 金 」 匚察 し の 文 化 」 な ど 何 も か も言 わ な い 方 が 美 徳 だ と さ れ た文 化 が あ っ た。 そ し て、 癌 な ど 重 病 の病 気 に 関 し て 、 日 本 で 昔 は 本 人 に 秘 密 にし てい た。 し か し 、 現 在 で は 癌 な ど の 告 知 を 医 師 自 ら患 者 に 説 明 し、 イ ン フ ォ ー ムド コ ン セ ント の 考 え 方 が浸 透 し て き て い る 。 少 し ず つ オ ー プ ンに す る 文 化 が 広 が っ て き て い る と思 わ れ る 。 ま た、 性 同一 性 障 害 者 の 性 別 の取 扱 い の特 例 に 関 す る 法 律 も2003 年 に 創 設 さ れ、 性 同 一 性 障 害 の カ ミ ン グ ア ウ ト な ど、 こ れ ま で 秘 密 にさ れ て い た 問 題 もオ ープ ン に な り つ つ あ る。 精 子 提 供 や卵 子 提

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才 村 : 子 ど も へ のテ リ ン グの サ ポ ート 方 法 に 関 する 考 察       91 供 で 生 ま れ た 子 ど も へ の テ リ ン グ は 、 さ ま ざ ま な 家 族 の 成 り 立 ち が あ り 、 さ ま ざ ま な 人 間 が い る の だ と い う オ ー プ ン な 考 え 方 が 土 壌 に な い と 実 行 で き な い と 思 わ れ る 。

4。 テ リン グの 実行 へ の ス テ ップ

上 記 2、 3 に よ り テ リ ン グ の理 念 や テ リ ン グ を 実 行 す る た め の必 要 条 件 に つ い て み て き た 。 こ れ らを ま と め て 匚親 か らDC児 へ の テ リ ン グ は ど の よ う に し て 実 行 さ れ る の か 」 に つ い て 図 1 に 示 し た。 こ こ で、 テ リ ン グ の 言 葉 を ど う 使 う か と か 、 テ リ ン グ の方 法 が 先 に あ る の で は な く、 テ リ ン グ が 実 行 で き る た め に は、 まず 親 が 自 身 の 子 ど もを 持 て な か っ た 不 妊 とい う 事 実 を ど う 乗 り 越え て い る か、 恥 の 概 念 を 克 服 し てい る か が重 要 で あ る 几 下 の ステ ッ プ か ら 上 の ス テ ッ プ へ 上 か っ て い く 必 要 が あ る テ リ ン グ の 流 れ テ リ ン グで き る環 境要 素 テリ ング の実行 絵 本・ 先輩 の 話・ ロ ー ルプ レ イ

声 こ 引

| 日 本 の オ ープ ンさ の文 化 土 壌 | 話 し て も大丈 夫 とい う安 心・ 自 信 ← テ リ ン グ の サ ポ ー ト ← ← 安 定 し た 親 子 関 係・ 子 ど もの ア イデ ンテ ィ テ ィ への 理 解 ・ 子 ど もの 出 自 を知 る権 利 の 考 慮 不 妊 の受 容 → 恥 の 概 念 か ら の 解 放 → 親 とし て の 自信 → オ ープ ン にで き る家 族 の 土 壌 の 醸成 不 妊 の グリ ー フ ケ ア ( 自身 の子 ど もを 持 て な か っ た気 持 を 十 分 嘆 く)「あ な たの責 任で は な い」と夫 婦 で 支 え あ う そ の他 、 親自 身 精 神的 に解 決 し な け れ ば なら な い 問題 を 解 決 図 1. 親 か ら DC児 へ の テ リ ン グ は ど の よ う に し て 実 行 さ れ る の か ( 筆者作成) 5 。 子 ど も へ の テ リ ン グ の サ ポ ー ト 方 法 を 学 ぶ グ ル ー プ ワ ー ク こ こ で 以 下 に 取 り扱 っ た ワ ー ク シ ョ ッ プ や レ ク チ ャ ー、 養 親 講 座 は 、 す べ て 当 事 者 の グ ル ー プ ワ ー クを 主 体 と し て サ ポ ート す る こ とを 中 心 とし て お り、 こ こ で は グル ー プ ワ ー クと 総 称 し た。

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92       帝 塚山大学心理学部紀要2012 年 第1号

(1 )DCネ ッ ト ワ ー ク の ワ ー ク シ ョ ップ

DCネ ッ ト ワ ー ク と は 、 イ ギ リ ス に お い て1993 年 に 創 設 さ れ た 精 子 提 供 に よ り 子 ど もを 持 っ た オ リ ビ ア・ モ ン ツ チ が率 い るDC児 を もつ 親 グ ル ー プ で あ る 。

BICA ( 英 国 不 妊 カ ウ ン セ リ ン グ 協 会; British Infertility Counseling Association) の 記 事(Montuschi. 2010) に よ る と 、 ワ ー ク シ ョ ップ に つ い て以 下 の 通 り 説 明 し て い る。

『DCネ ッ ト ワ ー ク は、 2 種類 の ワ ー ク シ ョ ップ を 運 営 し て い る 。 一 つ は、DCに よ り 親 と な る 準 備 の た め の もの で 、 2つ 目 は、 こ のよ う に し て 親 と な っ た 人 々 の テ リ ン グ の 方 法 に つ い て であ る。 イ ギ リ ス の 新 し い 法 律 「2008 年 ヒ ト の 授 精 及 び 胚 研 究 法 」(the Human Fertilisation and Embryology Act 2008 ; 略 し て2008 年HFE法 ) に対 応 し て い る。 法 律 が 改 正 さ れ る 前 に、

出生 証 明 書 にDCで 生 ま れ た こ と の 注 釈 を 付 け よ とい う 意 見 が 出 た が 、 政 府 は そ れを 拒 否 し た。 な ぜ な ら、( 子 ど も が 出 生 証 明 書 を みて 知 る の で は な く ) 親 に テ リ ン グ を 薦 め 、 そ の や り方 を 教育 す る こ と、 ま た こ れ か ら の親 に つ い て は、 自 身 の子 ど もに テ リ ン グす る こ と が 重 要 で あ る と不 妊 ク リニ ッ クが 知 ら せ る こ とを 規 定 す る こ と が 良 い と 考 え た か ら で あ る。 テ リ ン グ の ワ ー ク シ ョ ッ プ は、DC で生 ま れ た 子 ど もに 親 が そ の 出 自 に つ い て テ リ ン グ す る 際 、 そ し て 子 ど も のニ ー ズ や理 解 に お い て 成 長 し 変 化 す る に つ け、 そ の 問 題 に つ い て テ リ ン グ し 続 け る 際、 親 が 自 信 を 持 っ て で き る よ う に す る こ と で あ る 。 こ の 取 り 組 み は ユ ニ ー クな 作 業 で あ り 全 く 新 し い も の で あ る。 ワ ー ク シ ョ ッ プ の最 大 数 は18人 で、 そ の人 数 が 親 密 さ を 保 ち、 ペ ア や 小 グ ル ー プ に 分 か れ る の に 有 効 で あ る。 2人 の フ ァ シ リ デ ー タ ー ( い つ も男 性 と 女 性 の ペ ア ) は非 常 に 困 難 な 感 情 を 扱 う た め 、 安 全 で 構 造 化 さ れ た 場 を 提 供 で き る 大 で あ り、DCネ ット ワ ー ク の 親 か ら 選 ば れ た大 で あ る 。』 以 上 の こ と か ら 、 テ リ ン グ の ワ ー ク シ ョ ップ の 外 観 を み た。 次 に 、 筆 者 はDCネ ッ ト ワ ー ク の リ ー ダ ー で あ る、 オ リ ビ ア ・ モ ン ツ チ を 訪 ね 、 そ の ワ ー ク シ ョ ッ プ の お り 方 に つ い て2010 年 9月 イ ン タ ビ ュ ーを 行 っ た。 以 下 は そ の イ ン タ ビ ュ ー の 筆 者 ロ ンド ンで2010年 7月26日 開催 のプ ロ グラム 時 間 活   動 時 間 活   動 9:45 コ ー ヒ ー タ イ ム 、 参 加者 の 申 込 書 記 入 午 後 匚00 昼 食 10 : 00 挨 拶 、 今 日 1 日 の 説 明 2 :00 実 際 の ス キ ル ー テ リ ン グ につ い て 異 な っ た シ ナ リ オ で 考 え る : 匚な ぜ」 より も 匚どの よ う に」 10 : 10 今 日 の 目 的、 エ ク サ サ イ ズ の 紹 介 3 二15 休 憩 11 : 00 わ か っ て い る こ と と ま だ 未 知 の こ と : 子 ど も に テ リ ン グ す る こ と の r 解 、 テ リ ン グ し な い 場 合 の 結 果 3:25 反 応/ 具 体 的 な ス キル につ い て デ ィ スカ ヽヅシ ョ ン 11 : 20 テ リ ン グ に つ い て の 望 み や 恐 れ に つ い て 考 え る 機 会 を 与 え る 3:50 結 論 12 : 05 休 憩 4:00 終 了 12 : 15 長 い 展 望 一 親 自 身 や 子 ど も の ア イ デ ン テ ィ テ ィ に つ い て 考 え る

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才 村 : 子 ど も へ のテ リ ン グの サ ポ ート 方 法 に 関 する 考 察       93 の メ モ よ り オ リ ビ ア ・ モ ン ツ チ の 了 解 を 得 て 記 載 し た も の で あ る 。 O − 7 歳 の 子 ど も を 持 つ 親 へ の ワ ー ク シ ョ ッ プ の プ ロ グ ラ ム は 以 下 の 通 り で あ っ た 。 こ の ワ ー ク シ ョ ッ プ の 目 的 は 、 親 が 自 信 を 持 つ こ と 、 子 ど も の 養 育 全 期 間 を 通 じ て 助 け に な る ス キ ル を 明 ら か に す る こ と 、 未 来 へ の 基 礎 を 築 く こ と 、 で あ る 。 方 法 と し て は 、 2 人 で 、 あ る い は 、 小 グ ル ー プ で 、 ま た み ん な の 前 で 、 男 女 に 分 か れ て 、 テ リ ン グ に つ い て の 話 を す る 機 会 が 与 え ら れ る の で あ る 。 話 は テ リ ン グ を 始 め た か ど う か だ け で は な く 、 そ の 不 安 を 共 有 し 、 オ ー プ ン に す る こ と の 意 味 や 家 族 や 友 人 の 中 で の 意 見 の 不 一 致 や 不 妊 の 長 い 旅 な ど に つ い て 話 し 合 う 場 を 提 供 し て い る 。 説 明 文 書 の 中 に は 、 法 的 な 問 題 、 子 ど も の 発 達 の 問 題 、 養 子 か ら 学 ん だ こ と 、 DC に よ り 生 ま れ た 人 た ち か ら 学 ん だ こ と 、 親 が テ リ ン グ す る 方 法 、 研 究 論 文 が 含 ま れ る 。 こ こ で 強 調 さ れ る こ と は 、 親 が テ リ ン グ を 行 う と 決 定 し た こ と に よ る 快 適 さ と 自 信 が 、 子 ど も に と っ てD C が 自 身 の 物 語 の 一 部 と な っ て い る と い う こ と に 貢 献 し 、 そ の こ と が 、 子 ど も がD C を 受 け 入 れ る た め の 最 も 重 要 な 要 素 で あ る と い う こ と で あ る 。 以 下 は フ ァ シ リ デ ー タ ー が 説 明 す る 内 容 の 一 部 で あ る 。 フ ァ シ リ デ ー タ ー と は 、 グ ル ー プ の 話 し 合 い を 潤 滑 に 進 め る 役 目 の 人 で 、 DC 児 の 親 で あ り 、 か つ 、 専 門 的 技 術 を 持 っ て い る 人 で あ る 。 一 養 子 の 告 知 の 場 合 も 、 よ り 早 い 時 期 に さ れ る ほ ど 良 く 、 子 ど も 時 代 に 告 知 さ れ な か っ た 、 D C に よ り 生 ま れ た 人 た ち は 養 子 と 同 様 、 時 々 違 和 感 を 感 じ 、 話 さ れ な か っ た こ と で し ば し ば 親 を 責 め て い る 。 結 局 、 子 ど も に 何 か 起 こ っ た の か が 問 題 で は な く 、 子 ど も に ど の よ う に そ れ を 理 解 さ せ る か が 問 題 で あ る 。 子 ど も の 幼 少 期 に テ リ ン グ す る こ と は 子 ど も が DC に つ い て ど の よ う に 感 じ る か に つ い て 保 護 的 効 果 を も っ て い る 。 一 以 上 で あ る 。 ワ ー ク シ ョ ッ プ で は 、 次 に 、 テ リ ン グ に つ い て の 望 み や 恐 れ 、 心 配 に つ い て 男 女 の グ ル ー プ 、 そ し て シ ン グ ル ウ ー マ ン や レ ス ビ ア ン の グ ル ー プ に 分 か れ て 話 し 合 う 機 会 を 用 意 し て い る 。 そ の 後 、 長 期 的 展 望 に つ い て 、 個 人 、 ペ ア 、 グ ル ー プ の 単 位 で 語 る 機 会 も 用 意 し て い る 。 こ の ワ ー ク シ ョ ッ プ で は 、 さ ま ざ ま な 人 々 の グ ループ ワ ー ク に お い て テ リ ン グ へ の 感 情 に つ い て 語 る こ と が で き 、 い ろ い ろ な 意 見 や 感 情 か お る こ と を 知 り 、 自 身 の 感 情 に つ い て も 吟 味 す る こ と が で き る 。 い く つ か の 事 例 に つ い て デ ィ ス カ ッ シ ョ ン す る こ と に よ り 、 テ リ ン グ に つ い て よ り 広 く 、 オ ー プ ン に 語 り 合 え る 場 を 用 意 し 、 こ の よ う な ワ ー ク シ ョ ッ プ の 場 の 提 供 が 必 要 で あ る と 思 わ れ た 。 (2)ド イツにおける ペトラ・ト ーン(Petra Thorn) のレ クチ ャー ドイ ツのソー シャルワーカ ーであり、不 妊カウ ンセラーであ るペトラ・ トー ンの行う不妊 ア ドバイザ ー養成講座 より、 テ リングの サポート方法 について みると、以下 の通りであ った(才 村眞理。2011 : 74-79)。 なおド イツで は、1990年 胚保護 法により精 子提供 のみが許可 されてい る。 ペ トラ はカ ップ ルへ のグル ープワ ークに より、DC児 へのテ リング につ いて も準備 ができ

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94       帝塚山大学心理学部紀要2012年 第1号 るとした。 ①カ ップ ルへのさまざ まな情報提 供;法律( 出自を知 る権利、ド ナーと親 の違 い、出生 届等) について の情報提供、 テリ ングについて 考え る機会を与 える、 秘密にし たい人 には秘 密の弊 害 事例を話 す ②不 妊を嘆 くグリーフ ケア;カ ップ ルがどう乗 り越えた か、 グリ ーフケアの必要 性 ③不 妊の受容 とオープ ンに話 すこ と;このこ とを 他人 に話 せるか ④子 ど もを妊 娠した時 に起きる予 想;さま ざまなフ ァンタジ ー( 私のお腹 に悪魔か、天 使がい る) がおこ る ⑤テリ ングの方法と子 どもの反応 ;年齢毎 のテリ ング後 の子ど もの予想でき る反応 につ いて話 し、 対処 ができるよう 準備する、両 親が 自信を 持って話 すと子ど もにも対処で きる ⑥思 春期 に起こ る子 どもの反 応への 準備;匚お 前な んか親じ ゃない」 と言 われた 時どう対 処す るか。 ド ナーを知り たい気 持の理 解。 以 上の カップルへの グループワ ークの手 順により、 カップル がテリ ングを 不安な く行 えるよ う、 サ ポート してい る。 ここで も、 まず不妊 のグリ ーフケアがき ちんと行 われた後で、 不妊に つい てオ ープ ンに話すこ とが出来 るのだと説明 している。 ( 3 ) 家 庭 養 護 促 進 協 会 の 養 親 講 座 筆 者 は 、 里 親 ・ 養 子 支 援 を 行 っ て い る 家 庭 養 護 促 進 協 会 が 実 施 し て い る養 親 講 座 に20n 年 6 月 4 日 (PM 1 :30- 5 :00 ) に 参 加 し 、 子 ど も へ の テ リ ン グ の サ ポ ー ト 方 法 を 調 査 研 究 し た。 養 親 講 座 は 3 回 シ リ ー ズ ( 第 1、 第 2 、 第 3土 曜 日 午 後 )、 そ れ ぞ れ年 3 回 O ・6 ・10 月 ) 開 催 さ れ 、 養 子 の テ リ ン グ の ロ ー ルプ レ イ が メニ ュ ーに 入 っ て い る 1 回 目 に参 加 し た 。 ス タ ッ フ は 6 名、 参 加 の里 親 あ る い は 里 親 候 補 者 は15 組 (27 名 ) で あ っ た 。 講 座 の 流 れ は以 下 のよ う で あ っ た。 ① 自 己 紹 介 ・ 他 己 紹 介 ゲ ー ム ②男 女 に 分 か れ て グ ル ー プ ワ ー ク ; 養 子 を 迎 え る に あ た っ て 楽 し み ( 子 ど も の 成 長 、 家 族 で 旅 行 な ど ) や 不 安 ( 子 ど もに 真 実 を ど う 話 す か、 近 隣 へ の 接 し 方 、 し つ け や 反 抗 期 へ の 対 処 な ど ) の 気 持 ち を 述 べあ う。 1 グ ル ー プ は 5名 程 度 。 ③ グ ル ー プ 発 表 ④ テ リ ン グo のロ ー ル プ レ イ ・ 様 々 な 場 面 o 歳 で テ リ ン グ す る 場 面 、 匚も ら い っ子 」 と言 わ れ、 泣 い て 帰 っ て き た 場 面 、 近 所 の 人 に 養 子 に つ い て 説 明 す る場 面 、 中 高 生 の 子 ど も が 親 を 無 視 す る場 面 ) で のロ ー ル プ レ イ ⑤ ま と め と感 想 講 座 参 加 よ り 筆 者 が学 ん だ こ と は、 こ れ か ら 養 親 と な る 人 が 、 自身 の 不 安 を 述 べ るこ と に よ り不 安 を は っ き り さ せ る こ と が 出 来 、 ま た 、 同 じ 境 遇 の人 に 話 し 、 そ し て 聞 く 立 場 にな る こ と

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才 村 : 子 ど も へ のテ リ ン グの サ ポ ート 方 法 に 関 する 考 察       95 で 安 心 が 得 ら れ る こ と 、 ロ ー ル プ レ イ を 行 う こ と に よ り 具 体 的 に そ の 事 態 を 想 定 し 、 未 来 に 起 こ る べ き 事 態 を 想 像 で き 、 そ れ に 準 備 で き る こ と 、 テ リ ン グ に つ い て は 幼 少 期 に 行 う こ と が 推 奨 さ れ 、 幼 児 に 分 か る 言 葉 で 話 す こ と の 練 習 が で き る こ と な ど で あ り 、 講 座 参 加 の メ リ ッ ト は 大 き い と 感 じ ら れ た 。 6。 親の テリング への サポート に必 要な ステップ 親 からDC 児 への テリ ングが実行 さ れるため には、 4で見 てき た 匚テ リン グの 実行 のステ ッ プ」を理 解し、そ のうえで親ヘ テリ ングのサポ ートを する必要 かおる。 そしてそ のサポート方 法は 5で見 てきた ように グル ープ ワー クの方 法を とることが良 いと思 われる。 そ の際、 親が テ リン グを実 行でき るためのサ ポート方法 については、 段階的 に必 要な要 素を クリ アしていくこ とが重 要であ る。 匚テ リングす る親 へのサ ポートに必 要な要 素」 を 図 2に示 し、 テリ ングの サ ポートは以下 の流 れを 考えた。 下 の ス テ ッ プ か ら 上 の ス テ ッ プ へ 段 階 的 に サ ポ ー ト す る 子 ど も の 幼 少 時 か ら テリ ングの 実行 自 己 決 定 を 自 由 に で き る( 強 制 で な い ) 絵 本 ・ ロ ー ル プ レ イ 等 テ リ ン グ 方 法 の 提 供 テ リ ングし た後 の 子 ど もの反 応 な ど未 来 につ い て予測 でき る サポート→ 安心 ・自 信を もつ 同 じ境 遇の人 の話 を聞 く・ド ナーの 存在を 考え られ るサ ポート → 不妊 の受容 とオ ープ ンさ・ 子 ど ものア イデ ンティ ティと 出自 を 知 る権利 の理解 への サ ポート 不 安 につい て考え 、話 す機 会を作 る・不 妊 の長 い旅 を他 の人 に語 る場 の提供 情報提 供; テリ ン グの意義・ し ない場合 のデメ リ ット・ 子 ど もは DC で 生ま れた事 実よ り も親 が自 信を 持たず 恥と思 って い ること の方が 問題・ 不妊 の グリ ーフケ アの必 要性・ テリ ン グの幼少 期から の必 要性 図2.テリングの親へのサポートに必要な要素( 筆者作成) く さま ざまな情報 提供→テ リングへの不安 につい て話 せる サポート・不 妊の辛さを 他人 に話 せるサ ポート→不妊 の受 容と オープ ンさを もてるよ うサポ ート→ テリ ング後の子 どもの反応 に つ いて わかり安心 できるサ ポート ・親 とし ての自信を 持てるよ うサ ポート→ テリ ングの自己決

(10)

96      帝塚山大学心理学部紀要2012年 第1号 定→ テリ ングの実行 > ここで、 養子 のテ リングの サポ ート との違 いは、匚不 妊の受 容」を 入 れている という ところ であ る。 こ のような流 れに沿 って 進める サポート グル ープ を日 本でも作 って いく必要 があると 思 われる。 お わ り に 日本で は、 不妊の夫婦 が集団で集 まる場 の用 意は ほとんどない のが現状で ある。し かし、 今 後 テリ ングの必要性 が出てくる とすれば、 このような場 の用意 が必 ず必要 となって くると思 わ れる。 そし て、 この論文 で示 し たテリ ングの流れおよ びサポ ート の流れはあ くまで、一 つのモ デル案であり、 今後実践 の中でこ れらの実効性を 渕る必要 がある。今後 の研究 に期待したい。 ( こ の 研 究 は平 成22 年 度 特 別 研 究 費 に 関 する 規 定 及 び 帝 塚 山 学 園学 術 教 育 研 究 助 成 基金 の運 用 に 関 す る 申 し 合 わせ に 基づ く助 成を 受 け て い る) ;王)

1) JISART (http://www.jisar七.jp/taigai.html. 2011.9.4)

JISART ( 日本 生 殖 補 助 医 療 標 準 化 機 関 ) に よ る と、JISART で の卵 子 提 供 実 績 は18 件 と さ れ、 出生 児 は 6人 と な って い る。 2)「 第 三 者 の 関 わ る生 殖 技術 につ い て 考え る 会」 ホ ー ムペ ージ (「iaisansha.exblog.」p. 2011.9.4) に よ る と、 精 子 提 供 で 出生 し た人 の 声 と し て[ ド ナ ーを 知 り た い。 身体 的 特 徴 や 病 歴 と い っ た情 報 で は な く、 ま る ご と の 人 間 と し て知 り たい。 ]「 事 実 を 知 ら せ ない の は 子 ど もを 思 って のこ と だ と 言 わ れ るけ れど 、 本 当 に 子 ど も の た め な の か ?事 実 を 知 っ た ら 子 ど も が傷 つ く と 言 う け れ ど、 じ ゃあ 、 な ぜ 子 ど もを 傷 つ け る よ う な 技 術を 使 っ た の ?」 等 々 子 ど もの 側 か らの 悲 痛 な意 見 が 出 てい る。 3) 慶 応義 塾 大 学 産 婦人 科 教 室 の ア ン ケー ト 結果 を み る と、 父 親 は(146/190 人 、 子 ど も0 -11 歳) 2000 年 調 査 ( 久 慈 直 昭 他。2000 「 非 配 偶 者 間人 工 授 精 に よ り 挙児 に至 っ た 男 性 不 妊 患者 の 意 識 調 査」 日本 不 妊 学 会 雑 誌45 (3 )) であ り、 提 供者 は(32 人) 2004 年 調 査( 吉 村 案 典2007. 厚 生 科 学研 究 「 生 殖 補助 医 療 の安 全 管 理 お よ び 心 理 的 支援 を 含 む統 合 的運 用 シス テ ムに 関 す る研 究」 総 合 研 究報 告 書。 296-297) で あ る がーこ れ ら によ る と、 AID ( 精子 提 供) を 行 っ た 父 親 へ の調 査 で は、 告 知 につ いて ; 絶 対 にし な い63 %、 出来 れば し た くな い18 %、 出 来 れ ば し た い 1 % と出 て お り、 提 供者 への 調 査 で は、 知 り た い の はし か た な い67 %と 出 て い る か、 会 い に 来 る 可 能 性 が あ っ た ら提 供 し な か っ た67% 、 そ れで も提 供 し た30% と な っ て い る と報 告 さ れて い る。 こ の 結 果 を 元 に、 告知 が前 提 と な る と す る と、 提供 者 が 減 少 す る の で は とい う 心 配 が あ り、 そ う な ればAID は 進 め に く い と の 結 果 が 出て い る の で 医 療者 が告 知 に 反 対 し て い る原 因 の ひ と つ か もし れ ず、 告 知 、 つ ま り テ リ ン グが 進 まな い 原 因で あ ろ う。 一 方、 養 子 の 告知 につ い て は以 下 のデ ー タ かあ る。 岩 崎美 枝 子 (2005 )「 配 偶 子・ 胚 提 供 に よ る 親子 関 係 へ の 心 理 的 支 援」 平 成16 年 度 厚 生 科 学研 究費 補 助 金 子 ど も家 庭総 合 研 究 事 業 「 生 殖 補 助医 療 の安 全 管 理 お よ び 心 理 的 支援 を 含 む 統合 的 運 用 シ ステ ムに 関 する 研 究」報 告 書。150  に よ る と、95 % の養 親が 告知 し た( す る) と 答 え てお り 、 そ の85% が 就 学前 に告 知 し た( する ) と 答え て い る。 ま た、「 環 の 会 が提 唱 して い るテ リ ン グ

(11)

才 村 : 子 ど も へ のテ リ ン グの サ ポ ー ト方 法 に 関 する 考 察 97

に 関 す る 検 討 と 提 言 」2010 年  NPO 環 の 会 発 行  に よ る と. 2007 年 に 実 施 さ れ た56 件 の 質 問 紙 調 査 で は 養 子 で あ る こ と の テ リ ン グ に つ い て 全 家 庭 が 実 施 あ る い は 実 施 す る つ も り で あ る と の 回 答 を 得 て い る 。

4) 許 斐 有(1996) に よ る と こ の 父 母 を 知 る 権 利 は 生 物 学 的 親 の こ と で あ ろ う と 解 釈 し て い る 。

5) 2 つ の 論 文 を 参 考 に し た 。 ①Daniels, Ken (2004) Bu 丿Iding a Fa・ily with the assistance of Do月or lnseminati・θs, Dunmore Press  ②Daniels, Ken (2003) F \。om Sec・ecy and Sha 。7e to Opennes ぶand Acceptance, Third PaΓ砂 Conceptic刑Across Culture?。・Social,£e即y a心 £ihical Perspec 加 6 , Jessica Kingsley Publishers, 149-165

6 ) 家 庭 養 護 促 進 協 会 で は , 自 身 の 里 子 に 養 子 で あ る こ と を 告 げ る こ と を 真 実 告 知 と 言 っ て い る か , こ こ で は そ の 真 実 告 知 を[テ リ ン グ ] と し た 。

文  献

Daniels, Ken (2004) Buildings a 凡j。砂。・with the assistanc・e of di。∂r j。a?。inati。, Dunmore Press. (=2010. 仙 波 由 加 里 訳 『 家 族 を 作 る 一 提 供 精 子 を 使 っ た 人 工 授 精 で 子 ど も を 持 っ た 人 た ち 』 人 間 と 歴 史 社 ) JISART (2011) 「 精 子 ・ 卵 子 の 提 供 に よ る 配 偶 者 間 体 外 受 精 に 関 す るJISART ガ イ ド ラ イ ン」 許 斐 有(1996) 「 子 ど も の 権 利 と 児 童 福 祉 法 」 信 山 社

厚 生 労 働 省 雇 用 均 等 ・ 児 童 家 庭 局 家 庭 福 祉 課 監 修(2003) [ 子 ど も を 健 や か に 養 育 す る た め に 一 里 親 と し て 子 ど も と 生 活 す る あ な た ヘ ー ] ( 財 ) 日 本 児 童 福 祉 協 会

Montuschi, Olivia (2006) Telling and Ta ぬng about Do 刀or Conception:・ G㎡de for Pare 。ts, Donor Conception Network. (=2011. 才 村 眞 理 訳 『 大 好 き な あ な た だ か ら , 真 実 を 話 し て お き た く て 一 精 子 ・ 卵 子 ・ 胚 の 提 供 に よ り 生 ま れ た こ と を 子 ど も に 話 す た め の 親 向 け ガ イ ド 』 帝 塚 山 出 版 会 )

Montuschi, Olivia (2010 ) DC Network project support new legislation, 杤C4 ゐurnal of凡 所/卵 a 朗seling 17(2) summer, British Infertility Counselling Association

日 本 学 術 会 議  生 殖 補 助 医 療 の 在 り 方 検 討 委 員 会(2008) 「 対 外 報 告  代 理 懐 胎 を 中 心 と す る 生 殖 補 助 医 療 の 課 題 一 社 会 的 合 意 に 向 け て ー 」 報 告 書

大 野 和 基 (2011 )「 男 性 の 1 % は 無 精 子 症 」『 ア エ ラ 』2011.9.5 号 ,朝 日 新 聞 出 版

Ryan, Tony and Walker, Rodger (2007) Life Story Work: A practical guide to helping childre,刀unde 門a 刀丿 話冱『 past ( ― 2010. 才 村 眞 理 ・ 浅 野 恭 子 ・ 益 田 啓 裕 監 訳 [ 生 ま れ た 家 族 か ら 離 れ て 暮 ら す 子 ど も た ち の た め の ラ イ フ ス ト ー リ ー ワ ー ク ー 実 践 ガ イ ド ] 福 村 出 版 ) 才 村 眞 理 (2006 )「 ソ ー シ ャ ル ワ ー ク に よ る 子 ど も へ の テ リ ン グ に 関 す る 研 究 」『 帝 塚 山 大 学 心 理 福 祉 学 部 紀 要 』 才 村 眞 理(2011) 「 人 工 授 精 を 利 用 し た フ ァ ミ リ ー ビ ル デ ィ ン グ の グ ル ー プ ワ ー ク に お け る 一 考 察 − ド イ ツ に お け る セ ミ ナ ー 参 加 と カ ッ プ ル へ の イ ン タ ビ ュ ー よ り ー 」『 帝 塚 山 大 学 心 理 福 祉 学 部 紀 要 』7 社 団 法 人 家 庭 養 護 促 進 協 会(2004) [ 真 実 告 知 事 例 集 − う ち あ け る ]( 改 訂 版 ) 家 庭 養 護 促 進 協 会 大 阪 事 務 所 発 行

Turner, A.J. and Coyle, A (2000 ) What does it mean to be a donor offspring? The identity eχperiences of adults conceived by donor insemination and the implications for counseling and therapy, Human

鳬7 。・ ぬction 15(9)。2041-2051

(12)

98 帝 塚 山大 学 心 理学 部 紀 要2012 年 第 1号

A study of How to Support Parents in Telling Their Donor

Conceived Children about Their Origins

Mari Saimura

Abstract

Donor conceived children have fallen victim into an identity crisis, because they are raised not knowing their origin 丘om their parents and they suddenly find out about the truth of their birth when they become adults.

In order to avoid this situation, parents should tell their children the truth of their birth from early childhood. But often parents 猊cl anχious and uncertain about teⅢng their children the truth.

In this study, l present how to support parents in teⅢng the truth about their children's birth origins. l had the opportunity to interview the organizer of ”TeⅢng and Talking Workshop" held in the UK. I also took part in a workshop held by an infertility counselor, for experts, in Germany・

l have also studied a workshop in Japan that foster parents took part in.

Conclusion : These following steps support parents of DC children (including potential parents) on how to tell the truth.

The first step ; to offer parents and potential parents the information, for eχample, about the importance of teⅢng the truth and the risk of not t eⅢng the truth.

Next step ; to provide parents and potential parents with grief work so they may accept their own infertility.

The third step ; to give parents and potential parents an opportunity to participate in group work so they may share their own feelings with other infertile couples.

The fourth step ; to offer advice on specific methods for teaching parents who have decided to tell their children the truth, n 〕r eχample, useful picture books and role playing et c・

Finally, after completing these procedures, it is time to start leⅢng their children the truth.

Most adopted parents overcome grief of their infertility, but parents of DC children often cannot, so they need grief work to cope with their infertility.

参照

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