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自治基本条例による使途選択納税制度と共通施策支援制度

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自治基本条例による

使途選択納税制度と共通施策支援制度

はじめに

六五四三二一

自治基本条例の意義 栃木県における自治基本条例の検討状況 使途選択納税制度の検討 共通施策支援制度の検討 制度提案に共通する志向性 自治制度改革に対する含意 むすびに

児玉博昭

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白鴫法学第16巻1号(通巻第33号)(2009)34

はじめに

︵一︶本稿の背景 近年、地方分権などの自治制度改革に呼応して、全国の自治体でいわゆる﹁自治基本条例﹂の制定をめざす動きが活 発である。こうした動きは、市町村レベルで先行し、北海道ニセコ町のまちづくり基本条例や東京都杉並区の自治基本 条例がその嗜矢とされる。栃木県内では、宇都宮市、日光市、芳賀町、大平町、高根沢町が制定しており、この他に小

パロ

山市、栃木市などが制定を検討している。都道府県レベルでも、行政に関する規定のみではあるが、北海道が行政基本

パロ

条例を制定している。この他に神奈川県、高知県、群馬県などが自治基本条例の制定を検討していたが、つい先般、神 奈川県が都道府県で全国初となる自治基本条例を制定したところである。 このような中、栃木県においても﹁とちぎ自治基本条例︵仮称︶﹂の検討を進めてきた。庁内職員による研究会での 検討を経て、外部有識者による検討懇談会を発足させ、筆者もその検討懇談会の一員として二年間にわたり審議に参画 してきた。昨年秋にその報告書が公表されたこともあり、本稿では、栃.木県における自治基本条例の検討過程を事例に 取り上げる。 ︵二︶本稿の射程 自治基本条例は、自治体の基本理念、 囲は自治制度の全般に及ぶことになる。 組織運営や活動の基本原則などを総合的に定めるものである。必然的に検討範 栃木県においても研究会や検討懇談会を通じて幅広い検討がなされたが、紙幅

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には限りがあり、全ての検討課題を網羅的に取り上げることは難しい。 もっとも、自治基本条例に関しては、各地の自治体で同様に検討を進めており、すでに数多くの文献がある。条例の 構成や内容にとくに決まりはないが、結果的に検討内容はどの自治体にも共通するところが多い。他の自治体でも検討 がなされたような一般的な論点については、本稿では概説にとどめ、詳細は他の論考に譲ることとする。 本稿では、自治基本条例をめぐる様々な論点のうち、他の自治体や従来の論考で扱われていない、やや特異な論点と して、﹁使途選択納税制度﹂と﹁共通施策支援制度﹂を取り上げることにしたい。ここで使途選択納税制度とは、納税 者が特定税目の納税額の一定割合について使途を特定できるようにする制度をいい、また、共通施策支援制度とは、県 内の三分の一以上の市町村が取り組んでいる共通施策については、県が自動的に支援する制度をいう。 いずれも栃木県知事の福田富一氏が政策公約として掲げたものである。これらの制度は知事が公約としたために庁内 でも導入の是非が検討されたのだが、制度設計には問題点が多いといわざるを得なかった。実際、研究会では県職員も 困惑したようであり、検討懇談会でも有識者からは消極的、否定的な意見が相次いだ。 もちろん、ここで﹁制度化は困難である﹂と結論付け、議論に終止符を打つことは容易いことである。だが、こうし た知事の公約を﹁制度設計を知らない素人の発想﹂と決めつけてもいいのだろうか。職員や有識者の議論は、技術的な 細部にとらわれすぎて、大局的な視点を失っているように筆者には見受けられたのである。 筆者の関心は、制度自体の是非よりもむしろ制度提案の含意にある。なぜこうした制度が自治制度改革の縮図ともい える﹁自治基本条例﹂の中で提案されたのか。今後の自治制度改革の行方を占ううえでも示唆に富むように思われる。 そこで本稿では、制度の内容を具体的に検討したのち、これらの制度に共通する志向性を探るとともに、提案の含意を

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白鴎法学第16巻1号(通巻第33号)(2009)36 読み取り、今後の自治制度改革の方向性を見定めることにしたい。

自治基本条例の意義

そもそも自治基本条例とは何か。なぜいま自治基本条例が注目されているのか。 文献を参考に、自治基本条例の意義や制定の背景を確認しておこう。 まずは自治基本条例に関する既存の ︵一︶自治基本条例と都市憲章 自治基本条例は、自治体における政策決定や行政運営の基本事項を定める条例であり、﹁自治体の憲法﹂とも称され る。この自治基本条例は、米国のホーム・ルール・チャーターを範としており、条例として規範性を有する点で、従来 の宣言的な﹁市民憲章﹂などとは異なるものである。 米国のホーム・ルール・チャーターやわが国でのかつての都市憲章の試みについては、西田︵一九九八︶が簡潔にま

パぬロ

とめている。ニューヨーク市やロサンゼルス市、サンフランシスコ市などの大都市は、都市憲章を定めている。わが国 でもかつて、川崎市や逗子市などの革新市政のもとで、こうした米国型の都市憲章の制定が試みられたが、首長と学者 主導による起草であったため、議会の反発を受けて、成立には至らなかった。制度上の制約もあって制定の動きはいつ しか下火になった。それが、地方分権改革とあいまって、ニセコ町でのまちづくり基本条例の制定を皮切りに、再び注

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目されるようになったのである。 ︵二︶自治基本条例と地方分権改革 辻山︵二〇〇二︶は、自治基本条例の必要性とその背景について、地方分権改革前後の地方自治法を対比させて論じ パれロ ている。地方分権改革以前の旧地方自治法は戦前の地方制度を踏襲していたため、かつての地方自治は、﹁通達行政﹂ や﹁伺い行政﹂という言葉に象徴されるように、中央政府に大きく依存していた。ところが、こうした状況を一変させ たのが第一次地方分権改革である。地方分権推進委員会の勧告は、国と地方を﹁上意下達・主従の関係﹂から﹁対等. 協力の関係﹂へと改めた。さらに、地方分権一括法によって、機関委任事務が廃止され、条例制定権や自主課税権が拡 充されると、地方公共団体の自己責任・自己決定による﹁自治責任﹂の範囲が飛躍的に増大することとなった。だが、 そのことは、自治体がそれぞれ分権型社会の姿、自治を再定義しなければならないということも意味していた。自治基 本条例の中には今後の地方自治をめぐる様々な課題が集約されている。自治基本条例を制定するということは、今後の 自治のあり方を自ら明らかにすることに他ならないのである。

二栃木県における自治基本条例の検討状況

それでは、自治基本条例に関して栃木県はどのように取り組んできたのか。研究会や検討懇談会の報告書などをもと

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白鴎法学第16巻1号(通巻第33号)(2009)38 に、 栃木県における検討状況を説明することにする。 ︵一︶庁内職員による研究会 栃木県では、自治基本条例の制定にあたり、まずは検討課題を整理するために、平成十七年五月、庁内に﹁とちぎ自 治基本条例︵仮称︶に関する研究会﹂︵以下、研究会という︶を設置した。同研究会は、副知事を会長、総合政策部長、 経営管理部長を副会長とし、関係課長で構成されている。研究会の下には、関係各課の職員で構成されるワーキンググ ループが設置されている。研究会では平成十八年六月、検討結果を報告書にとりまとめ公表した。研究会では、自治基 本条例に関する論点が幅広く検討されているが、特に使途選択納税制度と共通施策支援制度に関しては、別枠で検討が なされている。 ︵二︶外部有識者による検討懇談会 栃木県では、次いで検討課題を審議するため、平成十八年十月、﹁とちぎ自治基本条例︵仮称︶検討懇談会﹂︵以下、 検討懇談会という︶を設置した。検討懇談会は、学識経験者︵行政法、行政学、政策学、財政学︶、県議会議員、関係 団体代表者︵経済同友会、市長会、町村会、NPO︶で構成され、・県総合政策課が事務局となっている。検討懇談会は ニ年間にわたり計十一回開催され、平成二十年十月、検討結果を報告書にまとめ知事に提出した。検討懇談会でも研究 会と同様に、自治基本条例に関する論点が幅広く検討されているが、特に、制定の必要性、住民投票制度、使途選択納 税制度、共通施策支援制度などに関しては、活発な議論がなされた。

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︵一一一︶検討の基本方針 栃木県では、とちぎ自治基本条例︵仮称︶の検討にあたり、基本的な考え方を次のように示した。すなわち、まず、 ﹁新たな自治の基盤づくり﹂のために自治基本条例を議論する必要があるとし、﹁地方自治の本旨に基づき、県の基本理 念、県政運営や活動の基本原則、県と県民、県と市町村等他団体との関係を規定し、県民を中心とする条例﹂の制定を 目指すとした。また、検討が必要な理由として、①県政運営のルール化、総合行政の推進を目指すこと、②県民参加、 協働の羅針盤とすること、③県と市町村との関係を明確化することをあげている。そして、検討する条例のイメージと して、前文から、総則︵基本理念︶、基本原則︵県民、県政運営、国や市町村との関係、県議会、その他の事項︶、最高 法規性といった構成を示している。さらに、条例の制定に向けては、有識者懇談会による提言をもとに、議会や市町村 とも協議しながら、条例素案や条例案を検討・作成し、議会で議決することになるが、その過程でシンポジウムやフォー ラムの開催、パブリック・コメントの実施、広報誌によるPRを通じて県民参加を図るとしている。 ︵四︶検討の主要論点 とちぎ自治基本条例︵仮称︶を検討するにあたり論点となったのは以下の諸点である。 まず、県の自治基本条例を制定する必要性については、条例が目指す方向性、制定の意義と目的、条例の構成などが 論点となる。例えば自治基本条例を制定する意義をめぐっては、次のような批判や疑問がある。そもそも、自治基本条 例をいくら﹁自治体の憲法﹂と称しても、現行の地方自治法のもとでは、法律に優越する憲法とは異なって、他の条例 に優越する効力を自治基本条例に認めることは難しい。また、基礎自治体である市町村ならばともかく、広域自治体で

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白鴎法学第16巻1号(通巻第33号)(2009)40 ある都道府県があえて自治基本条例を制定する必要性は乏しい。むしろ都道府県が自治基本条例を制定することで、か えって市町村の自治を制約しかねない。そうでなくとも、道州制の議論が高まり都道府県の先行きが不透明な中では、 なおさら制定する意義を見出しにくい、というものである。こうした批判や疑問に対しては、単に﹁分権の時代だから﹂ では説明になるまい。相応の理論武装が求められるだろう。 次に、自治基本条例に規定する内容については、①﹁基本理念﹂、②﹁県民﹂、③﹁県政運営﹂、④﹁市町村や国等と の関係﹂、⑤﹁議会﹂、⑥﹁最高法規性﹂に関する事項に大別することができる。 第一に、﹁基本理念﹂に関する事項では、理念規定の必要性、条例の主体と名宛、基本理念の性格と内容、住民自治 と団体自治の記述方法、規定の位置などが論点となる。例えば、基本理念に関しては、地方自治の本旨である住民自治 と団体自治を再定義するとともに、市町村への補完性・近接性の原理、住民との協働の原則を明文化することが考えら れる。地域独自の理念は、条文中に定めるよりも法規範性のない前文で謳うほうがよいだろう。 第二に、﹁県民﹂に関する事項では、論点となるのは、県民の定義に関しては、県民の範囲や在住外国人の取扱いな どである。県民の権利に関しては、権利の内容、既存の権利の確認、新たな権利の設定、保障を担保する制度などがあ げられる。県民の県政参加に関しては、住民投票制度の設計などがある。県民の義務や責務に関しては、義務規定の必 要性、責務の内容などがあげられる。例えば県民の権利として、憲法上明文のない知る権利などの新たな権利を明文化 することや参政権の年齢要件を引き下げることが考えられる。県民の範囲には、在住者のほか通勤・通学者も含めたり、 個人だけでなく事業者を含めたりすることも考えられるが、県民を地域活動の主体ではなく権利・義務の主体として厳 格に捉えるなら、あまり広義に解することはできないだろう。その他、住民投票制度のような県民参加の制度を設ける

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場合には、原則である議会制民主主義との関係を整理しておく必要がある。 第三に、﹁県政運営﹂に関する事項では、行政運営の基本指針と具体化、規定の内容と構成などが論点となる。個別 的には、まず、県政運営の基本原則に関しては、住民自治や団体自治の具体化、県民の県政参加の具体的な制度などが あげられる。例えば県民参加の具体的な制度として、納税者が使途を特定できるようにすることも考えられるが、こう した使途選択納税制度の是非については後述する。 また、県行政の推進に関しては、総合計画、政策評価、行政改革ならびに財政運営に関する規定、個人情報保護に関 する規定と法令・個別条例との関係などが論点となる。例えば県の総合計画に関しては、現行では計画の策定根拠もな く議会の議決事項でもないが、基本的な政策決定には法律の留保が及ぶとする考え方︵重要事項留保説︶から、自治基 本条例で基本構想と基本計画を議会の議決事項に追加することが考えられる。その他、政策評価結果の公表、行政改革 大綱や財政健全化計画の策定を義務づけること、個人情報の保護と情報公開の整合性を図ることなどが考えられる。 さらに、行政関係者の義務や責務に関しては、知事の義務、職員の責務などが論点となる。例えば知事に関しては、 広範な権限を有するため政治腐敗を防止する観点から多選を禁止することも考えられるが、立候補の自由を著しく制約 しないよう留意が必要である。その他、職員の倫理規定を設ける場合もあるだろう。 第四に、﹁市町村や国等との関係﹂に関する事項では、論点としては、市町村との関係に関しては、市町村への支援、 市町村からの意見の反映など、また、国等との関係に関しては、他の都道府県との連携などがあげられる。例えば市町 村との関係では、県内の市町村が共通して取り組む施策を県が自動的に支援することも考えられるが、こうした共通施 策支援制度の是非については後述することにしたい。

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白鴎法学第16巻1号(通巻第33号)(2009)42 第五に、﹁議会﹂に関する事項では、議会運営の基本原則、議員の責務などが論点にあげられる。条例を行政基本条 例ではなく自治基本条例と位置づけるならば、議会に関する規定は必須である。さらに条例の実効性を高めたければ、 単に議会と知事の関係、議員と県民の関係などを一般的に規定するだけでは足りない。議会報告会の開催、政務調査費 の情報公開、議員の定数や報酬の改定などを具体的に規定することが求められる。だが、知事の諮問委員会が議会に関 する事項を勝手に答申することは、いくら委員会に議会代表者がいても議会の反発は避けられない。議会に関する事項 はまずは議会側で検討し、議員提案で議会基本条例を制定することが望まれる。 第六に、﹁最高法規性﹂に関する事項では、自治基本条例と他の条例との優劣などが論点となる。現行の法体系では、 形式的に条例間に効力の優劣を認めたり他の条例より議決要件を厳しくしたりすることは困難といわざるを得ないが、 自治基本条例の趣旨を尊重する旨の規定を置くことで、自治基本条例を実質的に他の条例に優越させる余地はある。 ︵五︶検討内容の考察 上記のとおり自治基本条例の論点は多岐にわたるが、検討懇談会で最も議論となったのは、条例制定の必要性と、自 治の基本理念に関する事項である。 そもそも県が自治基本条例を制定する必要があるのか。どのような自治基本条例を目指すのか。制定することにいか なる意義があるのか。何のために自治基本条例を制定するのか。こうした条例の目指す方向性、制定の意義や目的が曖 昧なままでは、自治基本条例を制定する必要性は乏しいと言わざるをえない。その意味では、目指すべき自治の姿、自 治の基本理念というものを自治基本条例で明確に示していくことが、条例制定の必要性を裏付けるうえでも重要なかぎ

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を握ることになる。 では、自治の基本理念として何をうたうのか。どのような内容を盛り込むべきか。地方自治の本旨である﹁住民自治﹂ と﹁団体自治﹂の原則を確認することは当然として、問題はこれらを具現化するために県民の県政参加や県民の権利保 障、国や市町村との役割分担などをどのように考えていくかである。県民との関係、国との関係のいずれに焦点を当て るかで、﹁住民自治﹂と﹁団体自治﹂のどちらを重視するか異なってくる。また、市町村との関係では﹁補完性.近接 性﹂の原理、民間との関係では﹁協働﹂の原則などにも言及しなければならないが、補完や協働のあり方は決して一様 ではない。 このように自治基本条例の検討においては、今後の自治のあり方を明らかにするという姿勢が最も肝要である。もち ろん、具体的な制度を伴わない抽象的な理念だけでは、法規範性を有する条例として議論する必要性は乏しい。しかし 一方で、いくら個別の制度を創設しても全体的な指針を明示できなければ、自治基本条例として制定する意義は見出せ ない。そこで、次項以下では、いわば各論として個別の制度設計を検討していくが、再び総論に戻って制度全体の方向 性を考察することにしたい。

三使途選択納税制度の検討

県民との関係をどのように規定するかは、自治基本条例の重要な論点の一つである。前述のとおり、栃木県では自治

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白鴎法学第16巻1号(通巻第33号)(2009)44 基本条例の検討にあたり、県民参加の具体的な制度として﹁使途選択納税制度﹂ の議論をもとに、この使途選択納税制度の是非を検討する。 が提案された。そこで、検討懇談会で ︵一︶制度の意義 ﹁使途選択納税制度﹂とは、納税者が特定税目の納税額の一定割合について使途を特定することができるというもの である。関係者の間では﹁県税の使途の一部を県民が選べる制度﹂とよばれていたが、非納税者を含めた県民全体の意 向を予算編成に直接反映させるような制度と区別するために、本稿では﹁使途選択納税制度﹂とよぶことにする。使途

パルレ

選択納税制度に関しては、すでに石村教授による詳細な考察がある。石村︵二〇〇五︶では、租税法の立場から日米の 制度比較を通じて理論的な課題を検討しているが、本稿では地方行政の観点から都道府県での制度化を想定して実務的 な課題を中心に整理することにする。 ︵二︶検討の背景 実際にこうした制度を制定した例としては、千葉県市川市の﹁納税者が選択する市民活動団体への支援に関する条例﹂ があげられる。この制度は﹁市民活動団体支援制度︵一%支援制度︶﹂とよばれ、NPOの支援、市民の参加、納税意 欲の高揚を目的に、個人市民税の納税者が、一定の要件を充たす市民活動団体を選択すると、納税額の一%相当︵ただ し団体の事業費の二分の一を上限とする︶を当該団体に支援できるというものである。

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︵三︶検討の結果 使途選択納税制度に関しては、

パれロ

うに結論付けている。 研究会での課題整理や検討懇談会での議論をふまえ、検討懇談会報告書では、次のよ 県税の使途の一部を県民が選べる制度については、納税者が税の使い道に対して自らの意思を反映することによ り、県政への県民参加を促すものである。現状において、この制度を創設し実施するためには、憲法上の問題を始 め税目の選定、対象事業の選定、費用対効果等様々な問題点があり、必ずしも導入する環境が整っているとは考え られない。自治基本条例との関係で言えば、県政への県民参加を規定することにより、県民の意識の醸成を図ると いったことが考えられるが、県政への県民参加を促進し、県政への県民の意思の反映方法するための諸方策につい ては、当該制度に限定せず、幅広く検討すべきであると考える。今後、趣旨を活かしていくためには、まず、寄附 制度の拡充について可能性を探る必要があると考えており、納税者の意思を反映する仕組みを持つふるさと納税制 度の運営状況なども参考にしながら検討すべきである。 ︵四︶検討内容の考察 検討懇談会での筆者の発言を整理しつつ、上記の検討結果について解説しておきたい。 自治基本条例においては、県政運営の基本原則、特に県民との関係を規定する必要がある。県民との関係に関する事 項としては、基本的な考え方として、県民への説明責任、県民の県政参加のあり方を示すことなどが考えられる。では、

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白鴎法学第16巻1号(通巻第33号〉(2009)46 さらに具体的な仕組みとして、県民の県政参加について使途選択納税制度のような規定を設けることは妥当といえるで あろうか。 まず、そもそもこうした制度を自治基本条例に設けてもよいのか、自治基本条例の性格との整合性が問題となる。確 かに、自治基本条例は自治全般の基本的な事項を定めるものであり、個別具体的な制度を設けることはあまりなじむも のではない。しかし、一般的抽象的な規定ばかりであれば、逆に条例の実効性に欠け制定の必要性も乏しくなる。現行 法のもとでは自治基本条例も他の条例と性格は異ならないことからすれば、逆に個別具体的な制度を設けてはならない という根拠もなかなか見当たらない。そこで、制度そのものについて先に検討を進めることにする。 県民の県政参加として納税者が特定税目の納税額の一定割合について使途を特定することに関しては、①﹁県政参加﹂ を促すことになるのか、②﹁納税者﹂だけに認めるのか、③﹁特定税目﹂とは何か、④﹁納税額の一定割合﹂とはいく らか、⑤﹁使途﹂はどのように設定するのか、⑥どのように﹁特定﹂するのか、⑦﹁特定﹂にはどこまで拘束されるの か、といったことが問題となる。 第一に、﹁県政参加﹂という目的に関しては、県政に県民の意見を反映させるとともに納税者の意識を高めることに もつながるといった制度の趣旨や効果には一定の理解が得られると思われる。ただし、納税者の権利意識を強調するこ とは、租税の性格との関係で問題がある。やはり租税は、国民が一方的に納税の義務を負い強制的に徴収されるもので あり︵租税の権力性︶、政府に目的に沿って支出する義務を課すものではなく、反対給付との牽連関係はない︵租税の

パハロ

非対価性︶とするのが通説的な理解であろう。 第二に、﹁納税者﹂に限ることに関しては、非納税者との関係で問題が生じる。高額納税者であるほど意見が反映さ

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れる一方で、非納税者には参加の機会が与えられないことになり、法の下の平等︵憲法十四条︶に反するおそれがある からである。実際、東京都足立区では、非納税者との不平等が問題になり、制度化が見送られている。 第三に、﹁特定税目﹂に関しては、広く県民を対象とする個人県民税であれば比較的想定しやすいが、その場合でも 県民税は市町村民税とあわせて市町村が賦課徴収を行うため、制度化にあたっては市町村の協力が不可欠である。県の 出先機関が直接賦課徴収を行う自動車税なども庁内では検討されたようだが、課税対象や課税目的を考えると適当では ない。 第四に、コ定割合﹂に関しては、明示はないが、市川市と同じ一%が適切な水準とはいえない。市川市の場合は、 身近な地域で活動する特定の団体を指名するため、納税者も使途を把握しやすい。一方、栃木県の場合は、単に施策の 目的や分野を指図するだけで、納税者は実感しにくいからである。特定される割合が高すぎると財政を硬直化させるこ とになるし、逆に特定できる割合が低すぎれば納税者の納得感は得られまい。 第五に、﹁使途﹂の範囲やレベルに関しては、例えば福祉や環境といった施策レベルで指定するのか、日光杉並木の 保存といった事業レベルで指定するのか、設定の仕方がいくつか考えられる。使途を細かく限定すると財政の硬直化を 招きかねず、逆に使途を大まかに指定するだけでは実効性に乏しくなる。 第六に、﹁特定﹂の方法に関しては、例えば申請書に納税通知書番号と使途を記入して郵送してもらうことになる。 申請書を送付するとなると、源泉徴収者には新たに郵送しなければならない。申請書を窓口で配付するとなると、納税 者がわざわざ受け取りに来なければならない。いずれにせよ申請書の仕分け作業には膨大な事務コストが発生する。実 際、北海道札幌市では、費用対効果が問題となり、制度化が見送られている。

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白鴎法学第16巻1号(通巻第33号)(2009)48 第七に、﹁特定﹂の効果に関しては、知事の予算編成権および議会の議決権との関係で問題がある。県民の意向を予 算編成に直接反映させることは、知事や議会の判断を著しく制約することになり、知事の予算編成権︵地方自治法百四 十九条二号︶及び議会の議決権︵同法九十六条二号︶に抵触するおそれがあるからである。納税者の意向と知事や議会 の判断が異なった場合はどのように対処するのか。この点は、知事や議会が予め指定した選択肢の中から納税者が選択 するという形式をとれば、知事や議会の権限に抵触することは避けられるかもしれない。 このように使途選択納税制度の導入には問題点も多い。自治基本条例で一般的な制度と位置づけるのはなおさら難し い。そこで、使途選択納税制度の代替案を検討しなければならないことになるが、より現実的な提案としては、いわゆ る﹁ふるさと納税﹂制度と同様に、寄附制度を拡充し、寄附金に対する税額控除を活用することが考えられる。 控除は租税支出︵租税歳出︶ともよばれるが、財政支出と同様の効果がある。しかも、税金の場合はいったん県に入 金されるため財政統制を貫徹せざるを得ないのに対し、寄附金の場合は県に入金されないため財政統制を緩和する余地 があり、納税者の主体性をより尊重することができる。そう考えると、基金制度の活用なども十分に可能性があり、必 ずしも使途選択納税制度の導入に固執しなくともよい。 あるいは、県民の県政参加が目的ならば、むしろ県民投票を制度化するほうがよい。すなわち、県が県民に重大な影 響を与える政策を決定する場合には、県民の意思を確認する仕組みを設けることを条例に規定する。住民投票に関して は、合併や施設建設をめぐりすでに多くの自治体で実施されているが、個別設置型か常設型か、諮問型か拘束型かなど、

ぬロ

いくつかの制度設計が考えられる。県民本位をうたうならば、使途の特定よりも民意の反映こそ優先すべきであり、こ うした制度を自治基本条例の中に規定することのほうが有意義であると考える。

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49自治基本条例による使途選択納税制度と共通施策支援制度(児玉)

四共通施策支援制度の検討

自治基本条例のもう一つの重要な論点が、市町村との関係をどのように規定するかである。前述のとおり、栃木県で は自治基本条例の検討にあたり、市町村の県政参加の具体的な制度として﹁共通施策支援制度﹂が提案された。そこで 前項と同様、検討懇談会での議論をもとに、この共通施策支援制度の是非を検討する。 ︵一︶意義 ﹁共通施策支援制度﹂ するというものである。

パルレ

とよぶことにする。 とは、県内の三分の一以上の市町村が取り組んでいる共通施策については、県が自動的に支援 関係者の間では﹁三分の一条項﹂とよばれていたが、本稿では一般化して﹁共通施策支援制度﹂ ︵一一︶検討の背景 実際にこうした制度を制定した例があるわけではないが、知事公約となった背景には、具体的には乳幼児医療費助成

パリロ

制度の拡充をめぐるいきさつがあったと思われる。 乳幼児医療費助成制度とは、乳幼児が医療機関を利用した場合に医療費の自己負担額を市町村が助成する制度である が、従来の制度では、助成の対象が就学前の児童に限られていた。市町村が独自に対象年齢を拡大している場合があり、 市町村ごとに制度にばらつきがある。また、助成の方法も隣接する他の県では現物給付方式であるのに対して、栃木県

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白鴎法学第16巻1号(通巻第33号)(2009〉50 では立替えを必要とする償還払い方式であった。そこで、子育て家庭の経済的負担を軽減するため、市長会や町村会は 数年来、県に対して対象年齢の拡大と現物給付方式の導入など制度の拡充を要望してきた。 福田富一知事は、知事就任前の宇都宮市長のときからこの問題を認識しており、知事選では、﹁小学校三年生までの 医療費無料化﹂、さらには﹁未就学児童の医療費の現物給付の実現﹂までを公約に掲げた。福田知事は就任後から市町 村長との﹁政策懇談会﹂において乳幼児医療費助成制度の拡充に向け協議を始めたが、新たな財政負担を伴うため、財 政力の乏しい一部の市町村は、制度の拡充に消極的であった。何とか合意にこぎつけたものの、なかなか市町村の足並 みがそろわないという状況がしばらく続いたのである。 福田知事は、おそらくこうした経験もあって、市町村の個別事情にかかわらず、県全体として容易に制度の底上げが できるような仕組みとして、この制度を自治基本条例に規定することを提案したものと推察される。 ︵一一一︶検討の結果 共通施策支援制度に関しては、

パけレ

うに結論付けている。 研究会での課題整理や検討懇談会での議論をふまえ、検討懇談会報告書では、次のよ これは、県内の三分の一以上の市町村が取り組んでいる施策について、県が自動的に支援する内容を持つ条項を 自治基本条例に規定するものである。しかし、県と市それぞれの自治体としての主体性、知事の予算執行権や議会 議決権を考えるとこのような内容を持つ条項を自治基本条例に規定することは難しいと考える。自治基本条例には、

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県と市町村の関係や、それぞれの役割分担を規定すべきであり、それらの趣旨に沿って市町村の県政への意見反映 の仕組みを工夫すべきであると考えており、現在、県と市町が協議を行う場である市町村長会議や政策懇談会等に おいて、このための仕組みは用意されていると考えている。今後は、市町村長会議や政策懇談会等を更に活用して、 県と市町村がそれぞれ事務レベルから連携し、政策研究の段階から調整を重ねる等、より市町村の意思を反映でき るルートを増やすべきであると考える。 ︵四︶検討内容の考察 前項と同様、検討懇談会での筆者の発言を整理しつつ、上記の検討結果を評釈する。 自治基本条例においては、市町村との関係を規定する必要がある。市町村との関係に関する事項としては、基本的な 考え方として、県と市町村との役割分担、県から市町村への権限移譲、市町村の県政参加のあり方を示すことなどが考 えられる。では、さらに具体的な仕組みとして、県の市町村に対する支援について共通施策支援制度のような規定を設 けることは妥当といえるだろうか。 まず、使途選択納税制度の場合と同様に、そもそもこうした制度を自治基本条例に設けてもよいのかが問題となるが、 ひとまず制度そのものについて検討を進めることにする。 市町村への支援として県内の三分の一以上の市町村が取り組んでいる共通施策を県が自動的に支援することに関して は、①﹁市町村への支援﹂につながるのか、②なぜ﹁三分の一以上﹂なのか、③﹁共通施策﹂をどうとらえるか、④ ﹁自動的﹂に支援してよいのか、⑤どのように﹁支援する﹂のか、といったことが問題となる。

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白鴎法学第16巻1号(通巻第33号)(2009)52 第一に、﹁市町村支援﹂という目的に関しては、県政に市町村の意向を反映させるとともに市町村間の格差を是正す るといった制度の趣旨そのものには異論は少ないように思われる。都道府県は、基礎自治体である市町村を包括する広 域自治体として、広域的機能、連絡調整機能および補完機能を担っており︵地方自治法二条五項参照︶、共通施策支援 制度は、地方自治法の規定とも合致する。ただし、地域間の格差を是正することが支援になるとは必ずしもいえない。 施策の画一化が地域の個性を喪失させてしまうこともある。 第二に、﹁三分の一以上﹂という基準に関しては、過半数とか三分の二以上ではなく、なぜ三分の一以上を基準とす るのか合理的な根拠に欠ける。また、市町村の規模は考慮せずに、単純に市町村の数だけで判断していいのか疑問が残 る。何より問題なのは、三分の一の市町村が取り組むということは、三分の二の市町村が取り組んでいないということ である。残る多数の市町村の意向を無視し、施策を強制することになってしまう。 第三に、対象となる﹁共通施策﹂に関しては、施策の性格や内容によって支援の要否も異なりうる。施策といっても、 自治体間で政策的な協調が必要なものから、各自治体が地域事情に応じて独自に対応するものまである。支援の要否は、 市町村の実施状況だけでなく、施策の重要性や緊急性、さらには財政状況などを含めて総合的に判断されなければなら ない。 第四に、﹁自動的﹂という基準に関しては、行動選択の判断としてあまりに一方的、機械的すぎる。そもそも県と市 町村は対等・協力の関係に立つ。それは県の意向を一方的に押し付ける関係でもなければ、市町村の意向を一方的に受 け入れる関係でもない。また、県は連絡調整機能を担っている。機械的に対応することは、県本来の役割を放棄するも のであり、市町村との対話を軽視することにもなりかねない。

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第五に、﹁支援﹂の内容や方法に関しては、財政的支援、技術的支援、人的・組織的支援など多様な形態が考えられ る。県の補助負担を増額する以外にも、県の規制条例を制定する、県の職員を派遣する、県の出先機関に逆委託すると いった措置も含めてよい。広く解すれば、県の優先課題と位置づけ協議の場を設けることも含まれるかもしれない。 このように共通施策支援制度の導入にも問題点が多い。自治基本条例で一般的な制度と位置づけるのはなおさら難し い。そこで、共通施策支援制度の代替案を検討しなければならないことになるが、より現実的な提案としては、県と市 町村の政策対話を制度化することが考えられる。すなわち、県が市町村に重大な影響を与える政策を決定する場合︵条 例の制定、計画の策定など︶には、知事と市町村長が事前に協議する場を設けることを条例に規定する。知事と市町村 長が意見交換を行う場としては、すでに﹁市町村長会議﹂や﹁政策懇談会﹂が設置されているが、制度上の位置づけは 必ずしも明確ではない。市町村重視をうたうならば、自動的な支援よりも県と市町村の対話こそ重要であり、こうした 制度を自治基本条例の中に規定することのほうが有意義であると考える。

五制度提案に共通する志向性

序論で述べたとおり、本稿の関心は、﹁使途選択納税制度﹂や﹁共通施策支援制度﹂が妥当なのか、制度自体の是非 を問うことよりもむしろ、なぜこうした制度が提案されたのか、提案の含意を読み取ることにある。そこで、制度の目 的と手段、条例との関係に照らして、これら二つの制度に共通する特徴を抽出し、制度提案の志向性を解明してみたい。

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白鴎法学第16巻1号(通巻第33号)(2009)54 ︵一︶制度の目的−県政参画 まず、制度目的をみると、﹁使途選択納税制度﹂は、県政に県民の意思を反映させるものであり、﹁共通施策支援制度﹂ も、県政に市町村の意向を反映させようとするものである。ともに開かれた住民本位・市町村重視の県政をめざす県の 姿勢を示すものである。 住民自治の観点からすれば、県政運営を担うのは県民から選ばれた知事と議会である。県民の信託を受けた知事や議 会には、県政運営にあたっては、県民の意思を反映させることはもちろん、県民の主体的な県政参加を促すことも求め られよう。また、住民自治に最も重要な役割を果たすのは、基礎自治体である市町村である。﹁補完性・近接性﹂の原 理から考えても、住民に身近な市町村が優先され、その市町村を補完するのが広域自治体である県の役割である。県政 運営にあたっても市町村の意向を軽視することは許されない。都道府県の自治基本条例を検討する中で住民本位や市町 村重視の県政をうたうことが多いのは、広域自治体が自治基本条例を制定する意義を強調するためとも考えられる。 しかし逆に、この﹁補完性・近接性﹂を理由として、広域自治体が自治基本条例を制定することに否定的な意見もあ る。すなわち、住民に身近な基礎自治体である市町村ならば、自治基本条例を制定する意義もあるが、住民とは市町村 を介してより間接的な関係にしか立たない広域自治体では、制定の必要性が乏しい。また、市町村が制定した自治基本 条例と県の自治基本条例が抵触することも想定されるというのである。たしかに県の自治基本条例の制定の仕方によっ ては、規律密度を高めてしまい、市町村の自由度を狭めかねないことには留意が必要だろう。

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︵一一︶制度の手段−自動制御 次に、制度手段の点では、﹁使途選択納税制度﹂は、納税者が県税の使途を直接的に特定することで、いわば財政運 営を自動的に制御しようとするものである。﹁共通施策支援制度﹂も、県が市町村の施策を自動的に支援することで、 いわば行政運営を自動的に制御しようとするものである。いずれの制度も県政運営の自動制御という点では共通してい る。そこで、この自動制御の是非を考えてみる。 森田︵二〇〇〇︶によると、組織における行動の決定は、状況の判断と行動選択の判断からなる。状況が流動的で行 動選択が複雑な場合には、連絡・調整や報告・指示が逐一必要となるが、こうした﹁手動制御﹂の状態は情報伝達に多 大なコストを必要とする。これに対して、状況が予測可能で行動を定型化できる場合には、事前に判断基準や行動類型 を規則等に定めておくことができる。規則等に基づいて決定する﹁自動制御﹂の範囲を広げることで、組織は効率的に

ハぬロ

行動できるようになる。 しかし、こうした自動制御を適用できる場面は限られている。高度な判断を要する場合にまで過度に自動制御化する と、対応に柔軟性を欠き、かえって混乱を招くことになる。 また、県政運営の自動制御化は、首長や議会、広域自治体のもつ調整機能を没却するものでもある。その意味では、 自治基本条例によって広域自治体の存在意義を明らかにするどころか、広域自治体にとっては自己否定につながりかね ない。なぜこうした提案が当事者からなされるのか理解に苦しむところだが、裏を返せば、知事や議会、県の調整能力 が機能不全に陥っているということなのかもしれない。

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白鴎法学第16巻1号(通巻第33号)(2009)56 ︵三︶条例との関係ー具体的制度 制度と自治基本条例との関係をみると、﹁使途選択納税制度﹂と﹁共通施策支援制度﹂のいずれも基本条例を個別条 例に近づける具体的な制度を規定する点では共通している。 自治基本条例といっても形式に決まりはなく、自治体の基本理念を中心に定める﹁理念型条例﹂から、団体の組織運 営や活動の基本原則を中心に定める﹁指針型条例﹂、さらには、住民自治のための具体的な制度を定める﹁制度型条例﹂ まで、多様な形態を想定できる。 ﹁理念型条例﹂は、初期の自治基本条例に多く見られたが、従来の市民憲章などと大差がなく、あえて法規範性を有 する条例として制定する意義を見出しがたい。そこで、近時の自治基本条例は、具体的な制度を規定する﹁制度型条例﹂ が多くなっている。 自治基本条例を制定することには、そもそも懐疑的な見方も根強い。もともと自治基本条例は、一般的抽象的な規定 が多く、条例としての実効性に欠けるため、あえて制定する必要性に乏しいというのである。県知事が公約で自治基本 条例に具体的な制度を設けようとしたのは、自治基本条例を制定する必要性を強調したかったからとも考えられる。 しかし、こうした具体的な制度の規定に関しては、制度の具体的な内容は個別の条例や要綱などにゆだねられるため、 個別の条例等を制定すれば足りるといった反論が考えられる。また、自治基本条例には首長の交替や議会の議員構成の 変化があっても影響されない普遍的な事項を規定すべきであり、属人的な知事公約を盛り込むべきではないとの批判や、 自治基本条例の改正に厳格な手続が要求された場合、詳細な手続を規定することで条例の内容が硬直化してしまうといっ た批判もありうる。

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57自治基本条例による使途選択納税制度と共通施策支援制度(児玉) ︵四︶制度提案のジレンマ このように二つの制度には共通の特徴があり、提案には一定の志向性を看取することができる。確かに制度設計に詰 めの甘さはあるものの、決して何の脈絡もない提案というわけではなさそうである。 しかし、興味深いのは、いずれの点をみても、広域自治体が自治基本条例で具体的な制度を創設することには一種の ジレンマが存在している。すなわち、広域自治体としては、自治基本条例の制定にあたり、住民や基礎自治体を重視す ることで条例の意義を強調し、堅固な制度を設計し、かつ詳細に規定することで条例の実効性を確保しようとする。と ころが、具体的な制度を規定するほど、住民に身近な基礎自治体の自治を制約することになり、広域自治体も調整.補 完機能が硬直化し、基本条例としての性格も曖昧になる。自治基本条例を制定する意義を強調するはずが、逆に自治基 本条例を不要とする論拠ともなってしまうのである。都道府県レベルの自治基本条例は、市町村レベルの自治基本条例

パぱロ

に比べて簡素であるのは、こうした理由によるものと考えられる。 広域自治体の自治基本条例の場合には、具体的な制度を創設するという形で条例の独自性を打ち出すことは難しい。 やはり今後の自治のあり方を明らかにするという自治基本条例の原点に戻り、基本的な理念や指針を明示するというと ころから制定の意義を示していくべきであろう。

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白鴎法学第16巻1号(通巻第33号)(2009)58

六自治制度改革に対する含意

自治基本条例を制定する意義は、今後の自治のあり方を明らかにすることにある。その意味では、自治基本条例の制 定は自治制度改革の縮図あるいは指標ともいえる。だとすれば、自治基本条例の検討を通じて、自治制度改革の方向性 を見すえることもできるはずである。そこで、近時の自治制度改革を考察する代表的な文献を手がかりに、先の制度提 案の含意を読み取り、そこからさらに今後の自治制度改革の方向性を見定めることにしよう。 ︵一︶団体自治の拡充から住民自治の確立へ 西尾︵二〇〇七︶は、地方分権改革についての認識と評価を提示している。同書では、第一次分権改革の構図につい て、地方分権推進委員会による調査審議と勧告を拘束していた諸条件をあげ、第一次分権改革の成果の範囲が、まず地 方六団体の総意に依存したところで大きく限界づけられ、次いで関係省庁が同意した範囲内に限界づけられたことを明 らかにし、第一次分権改革の成果と限界について、機関委任事務の全面廃止、関与の定型化・ルール化と係争処理制度 の創設、必置規制の緩和などを成果としてあげる一方、地方税財源の充実確保、法令の規律密度の緩和、事務権限の移 譲、地方自治制度の再編成、住民自治の拡充、﹁地方自治の本旨﹂の具体化を残された課題にあげている。 地方自治の本旨には、住民の自己統治を意味する﹁住民自治﹂と、地方政府の自律を意味する﹁団体自治﹂が含まれ る。従来の自治制度改革は、機関委任事務の廃止など、団体自治を充実させるという面では大きな成果をあげたといえ るが、住民自治を確立させるという面では不十分であったといわざるを得ない。

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59自治基本条例による使途選択納税制度と共通施策支援制度(児玉) そのように考えると、自治基本条例の検討課題とされた﹁使途選択納税制度﹂には、住民︵納税者︶不在の自治制度 改革に対する不満が見てとれる。だとすれば、今後の自治制度改革の推進、特に広域自治体での自治基本条例の制定に あたっては、﹁住民自治﹂の確立に力点を置き、統治権力との距離を縮め﹁住民の自己統治﹂を実現することが課題と なるように思われる。まずは自治基本条例の制定過程自体に住民が主体的に参画していくことが、住民自治の確立に向 けた出発点となるだろう。 ︵二︶総合性指向・普遍主義から多様性指向へ 金井︵二〇〇七︶は、自治制度およびその改革の傾向性を考察している。同書によると、分権改革に存在する傾向性. 拘束性として、自治制度および自治制度官庁には﹁総合性﹂指向が存在するという。ここでいう﹁総合性﹂とは、①国 と自治体を相互に連関させて自治制度を構築するという﹁融合性﹂と②自治体レベルで各種の行政分野を可能な限り広 く包含しようとする﹁統合性﹂を合わせたものである。この﹁総合性﹂は、個々の自治体にとっては、自己の管轄を限 りなく膨張しようとする﹁膨張主義﹂となる。他方、自治制度を一般的に全自治体に適用できるように構築しようとす る﹁普遍主義﹂がある。この﹁総合性目膨張主義﹂と﹁普遍主義﹂は、ともに自治制度官庁、自治制度、自治体に内在

ハあロ

する傾向性であると指摘する。 そのように考えると、自治基本条例の検討課題とされた﹁共通施策支援制度﹂は、県と市町村を相互に連関させよう とする﹁融合性﹂を含む総合性指向、自治制度を全市町村に適用できるようにしようとする﹁普遍主義﹂など、従来の 自治制度改革の傾向性が自治体にも根強いことをうかがわせる。そうなると、今後の自治制度改革においても、こうし

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白鴫法学第16巻1号(通巻第33号)(2009)60 た﹁総合性H膨張主義﹂と﹁普遍主義﹂の傾向性が続くようにも思われる。 しかしながら、こうした傾向性には強い疑問がもたれている。実際、共通施策支援制度に関しては、融合性や普遍主 義という制度の根底にある発想そのものに批判や疑問の多くが向けられていた。また、例えば、近年の市町村合併︵平 成の大合併︶は、全ての自治体は総合的な行政体にふさわしく合併して規模を拡大する必要があるといった、まさに ﹁総合性口膨張主義﹂と﹁普遍主義﹂の論理が支配していたが、合併後の検証で厳しい批判にさらされている。加茂 ︵二〇〇七︶は、今後の自治制度改革の方向性に言及しているが、最近では﹁合併・統合﹂型の改革に加えて﹁自立・

パロ

連合﹂型の改革も有力な選択肢となっている。こうしたことをふまえると、今後の自治制度改革の推進、特に広域自治 体での自治基本条例の制定にあたっては、自治の平準化を目指すよりもむしろ﹁多様性﹂指向への転換を図り、多様な 統治形態を認めつつ﹁自立の共通基盤﹂を構築することが広域自治体の役割となるように思われる。

むすびに

最後に、本稿の検討内容を要約したうえで、 義を確認して、本稿を結ぶことにする。 ドロアとラスウェルの代表的な政策科学論を引用しながら政策学的な意

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︵一︶自治基本条例と自治制度改革 自治基本条例は、自治体の基本理念、組織運営や活動の基本原則などを総合的に定めるものである。地方分権改革に 伴い、各自治体が自治を再定義することが求められる中で、注目されるようになった。 市町村を中心に自治基本条例の制定が活発化する中、栃木県でも自治基本条例の制定を検討してきたが、自治基本条 例の一般的な論点とは別に、知事公約との関係から﹁使途選択納税制度﹂と﹁共通施策支援制度﹂が検討課題にあげら れた。 使途選択納税制度とは、納税者が特定税目の納税額の一定割合について使途を特定することができるというものであ る。また、共通施策支援制度とは、県内の三分の一以上の市町村が取り組んでいる共通施策については、県が自動的に 支援するというものである。 前者は県政に県民の意思を反映させ、後者も県政に市町村の意向を反映させるものであり、いずれも県政参画の推進 を目的とする。また、前者は使途の特定を通じて財政運営を自動的に制御し、後者も一律の支援で行政運営を自動的に 制御するものであり、いずれも県政運営の自動制御という手段をとる。さらに、両者は自治基本条例に個別具体的な制 度を規定する点でも共通している。 いずれも制度設計には問題点が多い。だが、興味深いのは制度自体の是非よりもむしろ制度提案の含意である。政策 学的な視点からは、知事公約の背景や意図にも着目しつつ、自治制度改革という文脈の中で理解することが重要であ至 近年の自治制度改革を概観すると、従来の改革では﹁団体自治﹂の拡充に傾注し、﹁住民自治﹂の確立は未だ十分と はいえない。使途選択納税制度の提案には、こうした住民不在の自治制度改革への不満が見てとれる。そこで本稿では、

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白鴎法学第16巻1号(通巻第33号)(2009)62 今後の改革では﹁住民自治﹂の確立が課題であると指摘した。また、わが国の自治制度には、﹁総合性︵融合性.統合 性︶﹂指向と﹁普遍主義﹂の傾向があるといわれる。共通施策支援制度の提案には、こうした自治制度改革の傾向性が うかがえる。本稿では、今後の改革では﹁多様性﹂指向への転換が必要となると言及している。 ︵二︶知事公約の非合理的過程の解明 ドロアは、﹃政策科学のデザイン﹄において、政策科学によるパラダイムの革新を唱えているが、その中で﹁政策科 学は、超理性的過程︵創造性、直観、カリスマ、価値判断等︶および非合理的過程︵深層動機など︶の重要な役割を明

パぴマ

確に確認する﹂と述べている。 本稿で取り上げた鳳共通施策支援制度﹂などは、提案された経緯も不明で、制度設計にも多くの不備があり、必ずし も合理的に説明できるものではない。法学であれば、制度設計に合理性を欠くとして、正面から取り上げることはない かもしれない。しかし、政策学では、知事がこうした制度を公約に掲げたのには何かの必然性があるのではないか、そ の背景を探ることは、政策決定や制度設計の改善を進めるためにも重要な作業なのである。 ︵三︶自治制度改革というコンテクストでの理解 また、ラスウェルは、﹃政策科学序説﹄の中で、政策科学の志向性について論じているが、その一つに﹁コンテクス ト志向﹂をあげている。コンテクスト志向とは﹁社会プロセスおよび政策決定プロセスの全体的関連状況を視野に入れ たアプローチを志向する﹂ことであり、伝統的な諸科学が陥りがちな﹁視野の断片化﹂を克服しようとするものである。

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本稿で取り上げた﹁使途選択納税制度﹂などは、これまでもっぱら市民活動支援の制度として議論されてきたため、 自治制度を構成する議会制度や税財政制度など他の諸制度との整合性が十分に検討尽くされているわけではない。その 意味では、今回のように使途選択納税制度が、市民活動促進条例といった個別条例ではなく、自治制度全般を規定する 自治基本条例に位置づけられたことは、自治制度における全体との関連や、自治制度改革という時代の潮流のもとで、 これらの制度を理解する良い契機であったといえるだろう。

付記

本稿は、とちぎ自治基本条例︵仮称︶検討懇談会に参画したことを契機に、筆者の見解をまとめたものであり、白鴎 大学大学院法学研究科の法政研究会での報告をもとにしている。検討懇談会では、中村祐司座長をはじめ委員の方々に は大変お世話になった。また、事務局である栃木県総合政策部総合政策課の鈴木峰雄氏、福田研一氏には本稿につき貴 重なご意見をいただいた。関係の皆様方にはこの場を借りて心よりお礼を申し上げたい。もちろん本稿に関する責任が 筆者にあることはいうまでもない。 ︵1︶ ︵2︶ 杉並区自治基本条例の制定に関しては、筆者も、上田章先生︵立法学︶、駒村圭吾先生︵憲法学︶、田丸大先生︵行政学︶の協力を得なが ら、区議会議員の研究会を支援する形で参画した経験がある。検討過程の詳細は、田丸大﹁自治基本条例の制定過程ー杉並区自治基本条例 を主な素材として.1﹂駒澤大学﹃法学論集﹄第三巻第一号一六九−二〇一頁︵二〇〇三年一二月︶を参照されたい。 県内市町村の条例制定状況は、次のとおり。宇都宮市自治基本条例︵平成二一年四月一日施行︶、日光市まちづくり基本条例︵平成二〇 年四月一日施行︶、芳賀町まちづくり基本条例︵平成一八年四月一日施行︶、大平町自治基本条例︵平成一六年七月一日施行︶。高根沢町ま ちづくり基本条例︵平成二〇年六月一〇日施行︶。なお、南河内町まちづくり基本条例︵平成一六年四月一日施行︶は旧南河内町︵現下野

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64 白鴎法学第16巻1号(通巻第33号)(2009) ︵3︶

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︵7︶ ︵8︶

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︵16︶ 市︶の合併に伴い失効した。 小山市自治基本条例の検討に関しては、本学の法政策研究所が、受託研究として小山市に対し指導助言を行っている。検討内容の詳細は、 市村充章﹁受託研究報告・小山市自治基本条例制定指導業務﹂﹃白鴎大学法政策研究所年報﹄創刊号︵二〇〇七年三月︶六九頁以下を参照 されたい。 北海道行政基本条例︵平成一四年一〇月一八日公布、施行︶。 神奈川県自治基本条例︵平成二一年三月二七日公布、施行︶。 とちぎ自治基本条例︵仮称︶の検討経緯については、栃木県庁のホームページを参照のこと。 算日\\藝質①津Oo日σqこb\質①ぐω巨お騨銭\冨器Φ旨Φ8き\旨o巨匹ぎ巨窪巨 自治基本条例の取組事例を紹介した文献としては、例えば、大和市企画部編著︵牛山久仁彦監修︶﹁ドキュメント・市民がつくったまち の憲法﹂ぎょうせい︵二〇〇五年︶、山口道昭・西川照彦編著﹃使える1岸和田市自治基本条例﹄第一法規︵二〇〇五年︶、内仲英輔﹃自治 基本条例をつくる﹄自治体研究社︵二〇〇六年︶、石平春彦﹃﹁自治体憲法﹂創出の地平と課題﹄公人の友社︵二〇〇八年︶など、枚挙にい とまがない。 自治基本条例に関する基礎的な文献として、とくに自治基本条例の基本的な構成や一般的な論点に関しては、さしあたり﹃自治基本条例・ 参加条例の考え方・作り方﹄月刊﹃地方自治職員研修﹄臨時増刊第七一号︵二〇〇二年︶、松下啓一﹃自治基本条例のつくり方﹄ぎょうせ い︵二〇〇七年︶などを参照のこと。 福田富一﹁とみかず政策宣言﹂。平成一七年度第一四回知事定例記者会見︵平成一七年一二月二七日︶会見録も参照。 西田裕子﹁都市憲章、自治基本条例とは何か﹂﹃自治立法の理論と手法﹄ぎょうせい︵一九九八年︶六七−七九頁。 辻山幸宣﹁自治基本条例の構想﹂﹃自治体の構想四機構﹄岩波書店︵二〇〇二年︶一−二〇頁。 ﹃﹁とちぎ自治基本条例︵仮称︶に関する研究会﹂報告書﹄二〇〇六年六月。 ﹃﹁とちぎ自治基本条例︵仮称︶検討懇談会﹂報告書﹄二〇〇八年一〇月。 ﹁とちぎ自治基本条例︵仮称︶の検討における基本的な考え方について﹂。 重要事項留保説︵本質性理論︶に関しては、宇賀克也﹃地方自治法概説︵第二版︶﹄有斐閣︵二〇〇七年︶一六四頁を参照。また、条例 による議決事項の追加に関しては、市村充章﹁地方議会議決事件の追加制度﹂﹃白鴎法学﹄第二二巻第一号︵二〇〇六年五月︶二一三− 二一二九頁を参照のこと。 議会基本条例に関しては、例えば、神原勝﹃自治・議会基本条例論﹄公人の友社︵二〇〇八年︶などを参照のこと。

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︵17︶ ︵18︶ 2019 2221 2423 ︵25︶ ︵26︶ ︵27︶ ︵28︶ ︵29︶ 自治基本条例の最高法規性に関しては、例えば、南川諦弘﹁自治基本条例の最高規範性について﹂地方自治職員研修・前掲書七一−七七 頁、上田章・笠井真一﹃条例規則の読み方・つくり方︵第二次改訂版︶﹄学陽書房︵二〇〇六年︶三三二−三三八頁︵杉並区自治基本条例 の解説部分︶を参照のこと。 市民アンケートの結果を通じて予算の配分額を決定する例としては、﹁志木市未来を切り拓く新たな住民自治基金条例案﹂などがある。 松下啓一・茶屋順子﹃新しい公共を拓くパーセント条例﹄︵慈学社、二〇〇六年︶三〇1三二頁を参照。 石村耕治﹁日米におけるタックス・チェックオフの展開﹂﹃白鴎法学﹄第一二巻一号︵二〇〇五年五月︶一頁以下。 市川市市民活動団体支援制度の概要に関しては、いちかわボランティアNPOウェブを参照のこと。 辟聲\\藝oQΦ巨α。 。。㎝bOヨ\一〇臣屏餌≦餌\一〇げ蒔①要91<OF日9R\⇒○目R辟日 前掲・検討懇談会報告書二〇頁。検討懇談会の第六回議事録も参照のこと。 石村・前掲論文五二頁以下を参照。石村教授は﹁タックス・チェックオフは、伝統的に、租税が持っているとされてきた一方的・一権力的 な課徴金としての性格を変える意義を有している﹂として、必ずしも伝統的な租税概念にはとらわれない立場をとる。 松下・茶屋・前掲書二四頁、三九−四三頁を参照。 ︵仮称︶札幌市市民活動促進条例素案に関するパブリック・コメントの結果を参照のこと。 響登\\華位蔓も 088目ρ冒\ω霞巨ミω巷bO旨\眞○員Φ一\﹂81の爵暮9耳巨 石村・前掲論文五三頁、松下・茶屋・前掲書四三−四五頁を参照。石村教授は﹁議会が、予算権限の一部を納税者に委譲することにもつ ながる仕組みといえる﹂として、伝統的な議会の予算権限にはこだわらないようにも思われる。 栃木県の﹁ふるさと“とちぎ”応援寄附金﹂制度では、使途を指定しないこともできるが、使途を指定する場合には、﹁文化振興基金﹂、 ﹁とちぎの元気な森づくり基金﹂、﹁地域福祉基金﹂、﹁日光杉並木街道保護基金﹂に充当する形で、文化の振興、森林の保全、福祉の向上、 日光杉並木の保存に使途を特定することができる。 石村・前掲論文五四頁も参照のこと。石村教授は﹁むしろタックス・チェックオフの方が、使途指定された税金がいったん国庫に入ると いう意味では、所得控除などの措置によるよりも問題が少ないともいえる﹂として、財政における議会中心主義の観点からは控除よりもタッ クス・チェックオフのほうが望ましいとしている。 住民投票制度に関しては、例えば、武田真一郎﹁条例による住民投票の制度設計﹂地方自治職員研修・前掲書九二−一〇七頁などを参照 のこと。 自治基本条例の要否および三分の一条項の賛否に関しては、下野新聞社が栃木県議会議員選挙の際に立候補者に対しアンケート調査を実

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︵38︶ 施している。辟日\\馨め巨ヨ○房罠Poρむ\冨P逡ミ一①訂器P屏く○\囹口σqく罠巴βけ巨 乳幼児医療費助成制度の拡充に関する知事の見解については、知事定例記者会見︵平成一七年度第一回、第四回、第五回、第八回︶の会 見録などを参照のこと。 前掲・検討懇談会報告書二〇頁。検討懇談会の第八回議事録も参照のこと。 森田朗﹃改訂版現代の行政﹄放送大学教育振興会︵二〇〇〇年︶九五−九八頁を参照。 都道府県と市町村の条例の相違に関して、木佐茂男﹁自治基本条例の論点と到達点﹂地方自治職員研修・前掲書三四頁。また、実際の条 例の条文数を比較してみると、例えば、大平町自治基本条例は五六条で構成されているのに対して、神奈川県自治基本条例は二六条で構成 されている。 西尾勝﹃地方分権改革﹄東京大学出版会︵二〇〇七年︶H章および皿章。 金井利之﹃自治制度﹄東京大学出版会︵二〇〇七年︶序章および1章。 加茂利男﹁平成の地方自治改革ーこれまでとこれから﹂﹃日本型地方自治改革と道州制﹄自治体研究社︵二〇〇七年︶九頁以下。 ドロア︵網魯の爵Φ一∪目R︶﹃政策科学のデザイン︵U8斜p胤R勺呂qωq①p8ω︶﹄︵一九七一年︶に関しては、宮川公男﹃政策科学入門 ︵第二版︶﹄東洋経済新報社︵二〇〇二年︶、六六頁。 ラスウェル︵国貰〇一αUU窃ω譲9︶﹃政策科学序説︵>国①三①妻9勺9身ω9Φ88︶﹄︵一九七一年︶に関しては、宮川・前掲書五四頁。

︵本学法学部准教授︶

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