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北部ベトナム紅河デルタの海岸地帯における農地土 壌の劣化

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Academic year: 2021

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九州大学学術情報リポジトリ

Kyushu University Institutional Repository

北部ベトナム紅河デルタの海岸地帯における農地土 壌の劣化

グェン, ワン, ティン

https://doi.org/10.15017/1931987

出版情報:Kyushu University, 2017, 博士(理学), 課程博士 バージョン:

権利関係:

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(様式6-2)

氏 名 グェン ワン ティン 論 文 名

Degradation of Agricultural Soils in a Coastal Zone of the Red River Delta, Northern Vietnam

(北部ベトナム紅河デルタの海岸地帯における農地土壌の劣化)

論文調査委員 主 査 九州大学 教授 小山内 康人 副 査 九州大学 准教授 松元 賢 副 査 九州大学 准教授 百村 帝彦 副 査 九州大学 准教授 仙田 量子 副 査 九州大学 特任教授 黒澤 靖

論 文 審 査 の 結 果 の 要 旨

健全な土壌環境を含む河口環境は生態学的均衡や良質な水産養殖の生産に重要であるため,河口 域における(堆積物を含む)土壌の重金属汚染は,深刻な問題である.本論文では,北部ベトナム・

紅河最下流部のバ・ラット(Ba-lat)河口において表層土壌ボーリングにより試料(土壌コア)採 取を実施し,それらの土壌特性とともに有害元素であるヒ素(As), クロム(Cr), 鉛(Pb), カ ドミウム(Cd), 亜鉛(Zn), 銅(Cu)の濃度を精密分析した.これら有害元素の濃度は河床やマ ングローブ林で比較的高い値を示すものの,平均値はAsを除いてベトナムの農業土壌の許容基準値 を概ね下回ることを明らかにしている.相関関係と主成分分析により,As, Pb, Zn, Cd, Cu は人為 起源であるのに対し,Cr は非人為起源であることが示唆された.また,土壌コアの上部層中に As や重金属類が濃集しており,最近数十年間における紅河上流での集中した人的活動がBa-Lat河口の 河口生態系に対して,これらの有害元素含有の上昇を引き起こしている可能性を指摘した.土地利 用区域での重金属類濃度の空間分布は,マングローブ林が重金属類の分散を防ぎ河口環境を維持す る重要な役割を果たしていることについても言及した.

これまでベトナムの土壌汚染関連研究では実施されてこなかった ICP-MSによるAsと重金属類の 濃度分析を実施し,さらに,土地利用区域で異なる土壌および堆積物の鉱物学的特徴をXRD および FE-EPMA を用いて分析した.多くの土壌試料は結晶質鉄鉱物や鉄マンガン(水)酸化物中に高濃度 のAsを含むが,重金属類は主に炭酸塩鉱物,鉄マンガン酸化物および珪酸塩鉱物中に含まれること を明らかにした.FE-EPMA を用いた WDS による精密定性分析では,土壌コア試料,特にマングロー ブ林土壌および河川堆積物中に,Asが鉄(水)酸化物またはフランボイダルパイライトの表面上に 存在することを見出した.

これらの有害元素を除去するための新たな手法開発では,シュウ酸,クエン酸およびアスコルビ ン酸を含む生物分解性有機酸を用いた土壌洗浄法を用いて,一連の劣化土壌の再生試験を実施した.

その結果,単体のシュウ酸,クエン酸溶液に比べ,これらにアスコルビン酸を混合した溶液は高い Asの除去効果を示し,ある試料ではアスコルビン酸とシュウ酸の混合溶液により約80%のAsが取 り除かれることが明らかになった.これは,同じ条件下のアスコルビン酸とクエン酸の混合溶液に 比べて概ね2倍の除去効果を示した.本論文の研究により,生物分解性有機酸を用いて,環境に好 適だけでなく As に汚染された土壌に対し非常に高い再生手法を発見したことは画期的である.な

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お,極めて実質的ななヒ素(As)除去手法開発により,特許取得を目指している.

以上から,本研究では,北部ベトナム・Ba-lat河口の農業利用地の土壌について,これまでベト ナムにおける関連研究では実施されてこなかったICP-MSなどを利用した最先端精密分析を実施し,

Asおよび他の重金属類による土壌汚染の実態を明らかにするとともに,アスコルビン酸とシュウ酸 の混合溶液などの生物分解性有機酸を用いた画期的As除去技術を開発し高い汚染土壌再生手法を 見出した.これらの研究内容は今後の農業政策を推進する上でも極めて重要な制約を与えるもので あり学術的意義は大きい.従って,本論文は博士(理学)の学位に値すると判断される.

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