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ドーム状レシプロカル構造の地震力を考慮した構造 形態創生

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(1)

ドーム状レシプロカル構造の地震力を考慮した構造 形態創生

著者 伊藤 文明

出版者 法政大学大学院デザイン工学研究科

雑誌名 法政大学大学院紀要. デザイン工学研究科編

巻 9

ページ 1‑6

発行年 2020‑03‑02

URL http://doi.org/10.15002/00023486

(2)

法政大学大学院デザイン工学研究科紀要 Vol.9(2020年3月) 法政大学

ドーム状レシプロカル構造の 地震力を考慮した構造形態創生

COMPUTATIONAL MORPHOGENESIS CONSIDERING JOINT STIFFNESS OF RECIPROCAL FRAME DOMED STRUCTURES

伊藤文明 Fumiaki ITO

主査 浜田英明 副査 吉田長行・宮田雄二郎

法政大学大学院デザイン工学研究科建築学専攻修士課程

The purpose of this study is to realize a Reciprocal Frame Structures shaped like dome. In this paper, I perforom computational morphogenesis considering the seismic force by computing the equivalent static seismic force using the CQC method and adding it to the structure as a static external force. Moreover, I consider the effect of earthquake motion on structures Reciprocal Frame Domed Structures.

Key Words: reciprocal frame, seismic force, computational morphogenesis

1. 序論

ドーム状Reciprocal Frame構造(Fig. 1)は部材同士が 互いに支え合うことで,長尺の木材を必要とせずに,大ス パンの架構を可能にする構造である.また,構成部材の断 面や長さなどが変化すると形状と構造性能の両方が大き く変化する.それは形状の変化だけでなく,部材本数や部 材長,部材せいなどが構造性能に大きな影響を与えてい るためである.ドーム状Reciprocal Frame構造の部材同士 の接合は,切欠きを施し,互いの材の上に載るだけになっ ている.冨永(2)は,切欠きによる部材間の隙間(以降,ガ タと呼ぶ.)と部材同士のめり込みが構造性能へ与える影 響が大きいと推測し,めり込みとガタによる接合部の回 転ばね剛性を算出,解析を行うことでドーム状Reciprocal

Frame構造への影響と,その特性を把握したが,この解析

では自重のみを考慮した解析のため,不確定な荷重であ る地震に対する検討はされておらず,ドーム状Reciprocal

Frame構造の地震時の挙動については把握できていない.

そこで本研究では, CQC法を基本とした応答スペクト ル法を導入し,告示波を用いた等価静的地震力を算出し.

解析を行う.これにより地震動による影響を考慮したド

ーム状Reciprocal Frame構造の構造形態創生を行う.

解析には,Rhinoceros のプラグインである grasshopper を利用する.具体的にはgrasshopperにおいて有限要素法 による構造解析プログラムを組み込んだGH_CPython(3)と 多目的位相最適化が可能な octopus(4)を組み合わせること で,構造解析と多目的位相最適化を同時に行う.

Fig. 1 Reciprocal Frame構造(1)

Fig. 2 最も単純なドーム状Reciprocal Frame構造

Fig. 3 パラメータ Fig. 4 切欠き比の考え方

(3)

2.理論

(1) ドーム状Reciprocal Frame構造の形状特性

Fig. 5-8にドーム状Reciprocal Frame構造の各パラメー タをそれぞれ部材せいh,交点比α,切欠き比βと定義し,

各パラメータを変化させた際の面積,ライズの推移を示 す.

まず,部材せいについて検討する.こちらは部材せい90,

105,120,150,180,210,240を表している.部材せい が大きくなるにつれ,全体形状がすぼまった形状となり,

見付面積が減少,ライズが高くなった.

次に交点比についてみていく.こちらは交点比 0.2~

0.8(0.5を除く)まで0.1ずつ増やしたものを表している.

交点比が0.2から0.8に近付くにつれ,ライズが高くなる.

これは交点比が0.2や0.8のように接合部同士の距離が近 くなり,部材に角度がつくことで,ライズが増加している と思われる.交点比が大きくなるにつれ面積は増加する (Fig. 6).

次に切欠き比についてみていく.こちらは切欠き比0.1

~0.4まで0.1ずつ増やしたものを表している.切欠き比 が大きくなるにつれ,ライズが低くなり,面積が増加して いる(Fig. 8).

(2) 回転ばね剛性

研究の知見に基づく力学的仮定やめり込み実験の結果 をもとに,加圧面の長さ,幅,材厚,余長部の寸法を変数 としためり込み基準式(5)(6)(7)を応用し,Reciprocal Frame構 造の回転ばね剛性の定式化を行う.式中の記号について

は Fig. 8 に示す.めり込み基準式より,(1-4)式が表され

る.

Σ𝑁 𝑙 𝑥 𝑦 𝐶 𝐸 𝜃 𝑏

1

2 (1)

Σ𝑁 𝑥 𝑦 𝐶 𝐸 𝜃 𝑏

1 2

2𝑏

3𝑥 1 e (2)

Σ𝑀 𝑙 𝑥 𝑦 𝐶 𝐸 𝜃 𝑏

1

3 (3)

Σ𝑀 𝑥 𝑦 𝐶 𝐸 𝜃 𝑏

1 3

2𝑏

3𝑥 1 e (4)

Y 軸方向は全体が加圧面となり縁端距離がゼロである ため,𝐶 =1,x方向のつり合いΣ𝑁 Σ𝑁 より

𝑥 3𝑙

4𝑏 1 e 6𝑙 (5)

モーメントのつり合いΣ𝑀 Σ𝑀 Σ𝑁 𝜇𝑏 𝑀より

𝑦 𝐸 𝜃

3𝑏 𝑥 2𝑥 𝑏 1 e 𝑙 𝑥

3

2 𝑙 𝑥 𝜇𝑏 𝑀 (6)

また,𝐾 であることから,(6)式より

𝐾 𝑦 𝐸

3𝑏 𝑥 2𝑥 𝑏 1 e

𝑙 𝑥 3

2 𝑙 𝑥 𝜇𝑏 (7) 回転ばね剛性の式は(7)式となる.

Fig. 5 部材せいによる面積,ライズの変化

Fig. 6 交点比による面積,ライズの変化

Fig. 7 切欠き比による面積,ライズの変化

Fig. 8 接合部めり込みと寸法

(4)

3.CQCによる法等価静的地震力の算出

(1)CQC法による地震応答評価(8)

CQC法とは,水平地震入力に対し,複雑な特徴を示す ラチスシェル構造の地震応答を等価な静的荷重として評 価し,地震応答に対するラチスシェル構造の安全性を検 定する応答スペクトル法の1つである.本研究における

ドーム状 Reciprocal Frame 構造についても形状がラチス

シェル構造に似ていることからCQC法を適用する.

まず,CQC法の評価式を次の(8-15)式に示す.

𝛽 𝜙 𝑀 𝐼

𝜙 𝑀 𝜙 (8)

𝑚 𝜙 𝑀 𝐼

𝜙 𝑀 𝜙

∑ 𝑚 𝜙

∑ 𝑚 𝜙 (9)

𝜌 8 ℎ ℎ 𝐴 √𝛾

1 4ℎ 1 4ℎ 𝐵 (11)

𝐴 ℎ 𝛾 ℎ 4𝛾ℎ ℎ ℎ 𝛾ℎ (12)

𝐵 1 𝛾 4𝛾ℎ ℎ 1 𝛾

4 ℎ ℎ 𝛾 (13)

|𝑢| 𝑃 𝜌 𝑄 (14)

𝑃 𝛽 𝜙 𝑆 𝑇,ℎ

𝑄 𝛽 𝜙 𝑆 𝑇,ℎ (15)

本研究では,(14)式によって算出した応答加速度に各節 点の質量成分を乗じたものを等価節点地震荷重として採 用し,有限要素法を組み込んだ解析プログラムを用いて 静解析を行う.なお,(14)式の応答加速度は絶対値で算出 されるため,各節点の応答加速度方向については,入力地 震動の応答に対して適切に設定する必要がある.応答加 速度方向の決定方法については次節以降に示す,

(2)設計用入力地震動

設計用入力地震動は,稀に発生する地震動(以下,レベ

ル1)を想定した告示波とし,工学的基盤位置で設定した

模擬地震動に建設省告示第1457号第10で規定された表 層地盤による加速度の増幅率Gs = 1.5を乗じることで,

基礎レベルでの設計用入力地震動とする.なお,応答加速 度方向を決定する際,上下動入力による応答への影響は 小さいものと仮定し,上下動については入力せず,水平動 入力のみ考慮するものとする.また,ドーム状Reciprocal

Frame構造は点対称な構造物であるが,Fig.9のようにx

方向入力と y 方向入力によって異なる応答をする可能性 があるため,x方向とy方向を区別して入力する.

(3)等価静的地震力の算出

前述の通り,(14)式の応答加速度は絶対値で算出される ため,各節点の応答加速度方向については,入力地震動の 応答に対して適切に設定する必要がある.本研究では,刺 激係数と加速度応答スペクトルの積を用いてこれを刺激 関数と呼び,その指標とする.具体的には,固有振動解析

から得られる各自モードの固有周期を用いて各自モード の加速度応答スペクトルを算出し,対応する刺激係数を それぞれに乗じたものの中から,最大の値をとるモード が支配的な応答を示すモードとして選出し,そのモード の固有ベクトルが有する各成分の符号を各節点における 応答加速度の方向として採用する.Table1に解析概要を,

等価静的地震力の算出法フローをFig.10に示す.

Fig.9 地震の入力方向の違いによる影響の概念図

Table.1 解析概要

使用材料 杉加工材

支持条件 ピン支持

接合条件 上端 :ピン接合 下端 :ばね接合 力学的

制約条件

最大変位を直径で除した数値:

𝛿 𝐿 1 200

設計変数 部材せい,部材幅,切欠き比,

交点比,節点集中荷重

変数範囲

部材せいℎ mm: 90,105,120,150,180,210,240

部材幅 𝑏mm: 90,105,120,150,180,210,240 交点比∝:0.2,0.3,0.4,0.6,0.7,0.8 切欠き比 𝛽 : 0.1,0.2,0.3,0.4 節点集中荷重[N m⁄ ]:50,500,1500

Fig.10 切欠き比による面積,ライズの変化

(5)

4.地震力を考慮した構造形態創生

(1)解析概要

本節では,4章で算出した等価静的地震力を考慮した構 造形態創生を行う.解析モデルは 3 章の固有振動解析に 使用したモデルと同様のものする.目的関数は被覆面積,

歪エネルギーとして解析を行うことで,地震に対しても 変形を最小限に抑えられ,かつドーム状構造物として十 分に役割を果たせるような大きい形状の個体の獲得を目 指す.なお,被覆面積はドームReciprocal Frame構造の水 平投影面積を指す.

(2)𝑥軸方向入力における位相最適化個体の分布 等価静的地震力を𝑥軸方向に入力した場合の解析を行 い,位相最適化をした結果をFig.12に示す.

Fig.12 から位相最適化の結果における各個体の分布か

らパラメータに着目して大まかなグルーピングを行う.

個体分布から各個体のパラメータを確認したところ,

Fig.11 の塗りつぶし部分のように交点比を軸としてまと

まった分布になっていることが分かった.グラフを見る と,交点比0.7の個体は被覆面積が大きくなっており,交 点比が小さくなるにつれて被覆面積は小さくなっている.

ドーム状Reciprocal Frame構造において,各パラメータの

うち,交点比が被覆面積の大小に最も大きな影響を与え ていると言えるが,2つの目的関数による位相最適化にお いて片方の目的関数を被覆面積とした場合,パレート解 群に交点比が高い 0.7 の個体が選ばれやすくなってしま うため,形状の自由度が低くなると推測される.

次にFig.11中のパレート解群の中から,被覆面積最大

の個体A,パレート最適解の個体D,歪エネルギー最小の 個体Iを抽出し,性能の比較を行う.

個体Aは部材せい120,交点比0.7,切欠き比0.3とな っている.しかし,部材せいが小さい部材を使用すること で,最大変位と歪エネルギーが他の個体に比べて圧倒に 大きな値となっている.個体Dは部材せいが最大に近い

180mmとなり,力学的性能と最大面積のバラン スの取れ

た形状であることがわかる.次に,個体Iは面積と歪エネ ルギーが最小個体で,交点比が個体 A,D に比べて小さ く,荷重分布は個体の全体に満遍なく作用していること がわかる.これは,交点比が小さくなり,外力の作用する 節点の集中を避けられたためと考える.

歪 エ ネ ル ギ ー

被覆面積の逆数 1/m

Fig.11 目的関数平面上での個体位置

-32.3 16.9 -18.2 17.6 -73.3 0

個体A

-5.75 5.10 -5.95 5.84 -13.5 0

個体D

-0.97 0.96 -1.18 1.05 -1.68 0

個体I

Fig.12 𝑥,𝑦,𝑧方向変位図[cm]

○ max:840.0 ○ max:546.0 ○ max:400.0

〇 max:839.0 〇 max:552.0 〇 max:400.0 個体A 個体D 個体I

𝑥軸方向荷重分布図

○ max:557.6 ○ max:823.0 ○ max:99.6

〇 max:273.1 〇 max:825.0 〇 max:100.8 個体A 個体D 個体I

𝑧軸方向荷重分布図

Fig.13 各方向荷重分布[N] (○:正方向 〇:負方向

0 1.0

個体A 個体D 個体I 曲げ応力度図

0 1.0

個体A 個体D 個体I 軸応力度図

Fig.14 各許容応力度図

以上より,𝑥軸方向入力において,個体の形状によって 荷重分布が異なり,変形性状も大きく異なるが,地震力そ のものの影響は小さいと考えられる.

N∙m

(6)

(3)𝑦軸方向入力における位相最適化個体の分布 等価静的地震力を𝑦軸方向に入力した場合の解析を行 い,位相最適化をした結果をFig.15に示す.

まず,前節と同様に,Fig.15より位相最適化の結果にお ける各個体の分布からパラメータに着目して大まかなグ ルーピングを行う.個体分布から各個体のパラメータを 確認したところ,Fig.15の塗りつぶし部分のように交点比 を軸としてまとまった分布になっていることが分かった.

この分布は前節と同様なものと言える.グラフを見ると,

交点比0.7の個体は被覆面積が大きくなっており,交点比 が小さくなるにつれて被覆面積は小さくなっている.ド

ーム状Reciprocal Frame構造において,各パラメータのう

ち,交点比が被覆面積の大小に最も大きな影響を与えて いると言えるが,𝑥軸方向入力の場合と同様に,パレート 解群に交点比が高い0.7の個体が選ばれやすくなり,形状 の自由度が低くなると推測される.

次に,前項Fig.15におけるパレート解群の中から,被 覆面積最大の個体A,パレート最適解の個体C,歪エネル ギー最小の個体Iを抽出し,性能の比較を行う.

Fig.17について,部材せいを小さくし,交点比,切欠き

比を大きくすることで被覆面積を大きくできるため,個 体Aは部材せい90mm,交点比0.7,切欠き比0.3となっ ている.しかし,部材せいが小さい部材を使用することで,

最大変位と歪エネルギーが他の個体に比べて圧倒に大き な値となっている.これは,𝑥軸方向と比べて部材せいと 部材幅が15mm 小さくなっている.しかし,交点比はや はり,0.7と変わらず,歪エネルギーに大幅な違いは見ら れない.個体Cは部材せいが最大に近い180mmとなり,

力学的性能と最大面積のバランスの取れた形状となって いることがわかる.次に,個体Iは面積と歪エネルギーが 最小個体で,交点比が個体Aと個体Cに比べて小さい.

各方向変位図から,他の個体と比べて,𝑥軸方向変位と𝑦 軸方向変位,𝑧軸方向変位のどれもが,変位の性状に大き な違いがあることが分かる.これは,他の個体よりもスパ ンにたいしてライズが高く,ドーム状構造物にみられる 変形をするためと考えられる.

また,Fig.18より,曲げ,軸力の許容応力度を満たすの

は個体Iのみとなった.全体的に各図を比較してみると,

地震力の入力方向による違いはあまりみられなかった.

歪 エ ネ ル ギ ー

被覆面積の逆数 1/m

Fig.15 目的関数平面上での個体位置

-39.8 24.6 -23.9 25.1 -77.3 0

個体A

-5.83 5.30 -6.37 6.03 -15.7 0

個体C

-0.96 1.07 -32.3 0.96 -1.56 0

個体I

Fig.16 𝑥,𝑦,𝑧方向変位図[cm]

○ max:626.0 ○ max:549.0 ○ max:353.0

〇 max:657.0 〇 max:530.0 〇 max:357.0 個体A 個体C 個体I

𝑦軸方向荷重分布図

○ max:487.2 ○ max:823.0 ○ max:99.5

〇 max:253.8 〇 max:825.0 〇 max:102.7 個体A 個体C 個体I

𝑧軸方向荷重分布図

Fig.17 各方向荷重分布[N] (○:正方向 〇:負方向)

0 1.0

個体A 個体C 個体I 曲げ応力度図

0 1.0

個体A 個体C 個体I 軸応力度図

Fig.18 各許容応力度図

以上より,𝑦軸方向入力においても,個体の形状によっ て荷重分布が異なり,変形性状も大きく異なるが,地震力 そのものの影響は小さいと考えられる.

N∙m

(7)

(4)地震力の有無を含めた多目的位相最適化 本節では,自重のみを考慮した解析結果と(3),(4)で行っ た解析の結果を比較し,考察する.Fig.19 は,Fig.11 と

Fig.15のグラフ及び,新たに自重のみを考慮した解析を行

い,多目的位相最適化した結果を合成したグラフである.

まず,地震力の入力方向による影響について,Fig.19をみ ると,個体の分布にほとんど差がなく,同様の分布をして いることがわかる.また,地震力の有無による影響につい て,同図をみると,これも,地震力を入力している個体と 同様の分布をしており,歪エネルギーと被覆面積の両方 とも差がほとんどみられない.ここで,Fig.19から,x軸 方向入力パレート最適個体,y軸方向入力パレート最適個 体,自重のみを考慮したパレート最適個体を抽出したも のを図4.22に示す.個体のパラメータに着目すると,す べてのパレート最適個体において,部材せい180mm,部

材幅120mm,交点比0.7,切欠き比0.2となっている.ま

た,歪エネルギーは多少のばらつきはあるものの,ほとん ど変化がみられないず,各方向変位図においてもほとん ど差がみられない.これは,第3章の通り,設計用入力地 震動がレベル1の告示波であり,自重に対して10%から 30%程度の地震力しか入力していないため,等価静的地 震力による影響が小さく,変化がみられなかったと考え られる.

歪 エ ネ ル ギ ー

被覆面積の逆数 1/m

Fig.15 目的関数平面上での個体位置

5.結語

(1) 総括

本研究で提案された構造形態創生は,地震力を考慮した 上で,歪エネルギーの最小化,被覆面積の最大化とした多 目的最適化問題をパレート解で得られた形状を力学的性 能の面で論じた.等価静的地震力を考慮し,歪エネルギー と被覆面積を目的関数とした多目的位相最適化を行った 場合,被覆面積については,交点比の影響を強く受けるた め,パレート解に交点比が高い個体が選ばれやすくなる.

また,個体によって,交点比の影響を強く受け,地震力の 荷重分布が大きく異なり,変形性状も変わることが分か った.ただし,設計用入力地震動がレベル1の告示波の場 合,地震力そのものの影響は小さく,パレート最適個体を 獲得することができた.

(2) 今後の展望

以下に,今後の研究への展望を挙げる.

本研究では,ドーム状Reciprocal Frame構造の地震力を 考慮した解析を行ったが,いくつかの課題が残るものに なった.1 つ目は,モデル化についてである.Reciprocal

Frame 構造の特性としてダミー材にモーメントは伝達し

ないが,モデルの問題上,モーメントが伝達されている.

2つ目は,部材本数についてである.現状のプログラムで は部材本数が6のみしか対応していないため,Reciprocal

Frame構造の特徴である,部材本数の変動による形状の変

化を解析できていない.3つ目は,地震力についてである.

本研究で取り扱った地震波は,レベル 1の告示波となっ ている.詳細に,地震力について検討するには,入力地震 波の種類を増やし,レベル2の地震波についても検討す る必要性がある.

本研究は,Reciprocal Frame構造の初歩的な研究の一部 であり,風による吹き上げや,地震力を考慮した浮き上が りの検討を行う必要がある.そういった検討をさらに重 ねていくことで,純粋な木造でのReciprocal Frame構造の 実現に近付くのではないかと考えられる.

参考文献

(1) Udo,T.,Reciprocal Frameworks Tradition and Innovation,gta,2015

(2) 冨永大貴,ドーム状レシプロカル構造の接合部剛性 を考慮した構造形態創生,法政大学修士論文,2018 (3) “food4Rhino” https://www.food4rhino.com/app/ghpython (4) “food4Rhino” https://www.food4rhino.com/app/octopus (5) 稲山正弘,木材のめり込み理論とその応用,東京大

学学位論文,1991

(6) 木質構造基礎理論 日本建築学会,丸善,2010 (7) 木質構造接合部設計マニュアル 日本建築学会,丸

善,2009

(8) ラチスシェル屋根構造設計指針,日本建築学会,丸善,

2016

(9) 藤井大地,パソコンで解く骨組みの力学,丸善,1998 (10) 藤井大地,骨組の静的・動的・弾塑性解析,丸善,2001 (11) 藤井大地,Excelで解く 3次元建築構造解析,丸善,

2005

(12) O.Popovic,RECIPROCAL FRAME STRUCTURES,

1996

(13) O.Popovic Larsen,Reciprocal Frame Architecture, Elsevier,2008

(14) J.CHILTON,Development of Timber Reciprocal Frame Structures in the UK, IASS

(15) B.Senechal , C.Douthe , O.Baverel , Analytical Investigations on Elementary Nexorades,JOURNAL OF THE INTER NATIONAL ASSOCIATION FOR SHELL AND SPATIAL STRUCTURE vol.26 No.4,2011 N∙m

Fig. 2  最も単純なドーム状 Reciprocal Frame 構造
Fig. 5-8 にドーム状 Reciprocal Frame 構造の各パラメー タをそれぞれ部材せい h, 交点比 α , 切欠き比 β と定義し, 各パラメータを変化させた際の面積,ライズの推移を示 す. まず,部材せいについて検討する.こちらは部材せい 90, 105 , 120 , 150 , 180 , 210 , 240 を表している.部材せい が大きくなるにつれ,全体形状がすぼまった形状となり, 見付面積が減少,ライズが高くなった.  次に交点比についてみていく.こちらは交点比 0.2 ~ 0

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