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日常生活動作を利用した

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Academic year: 2021

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博士(スポーツ科学)学位論文  概要書

日常生活動作を利用した

レジスタンストレーニングの有用性

Feasibility of resistance training employing daily physical actions

2009年1月

早稲田大学大学院  スポーツ科学研究科

高井  洋平

Takai, Yohei

研究指導教員:  矢内  利政  教授

(2)

【第1章:緒言と目的】

  加齢に伴い骨格筋のサイズおよび収縮力は低下する.それらの変化は,高齢期における日常生活動作 の遂行能力の低下につながる.そのため,高齢化が進む我が国において,誰にでも実践可能な骨格筋の トレーニング方法を確立することは極めて重要な研究課題である.これまでに高強度のレジスタンスト レーニングは,筋のサイズおよび収縮力に対して有効であることが示されている.それに対し,近年で は,歩行(Rook et al., 1997),台の昇り降り(de Vreede et al., 2005),椅子の座り立ち動作(Kubo et al., 2003)のような日常生活動作を利用したトレーニングの効果に関する報告もなされている.しかしなが ら,このようなトレーニングの効果に関する先行知見は“効果あり”とするものと“効果なし”とする ものに分かれる.その理由の一つに,レジスタンスエクササイズとして採用する日常生活動作の主働筋 への負荷強度が明らかでないことが挙げられる.レジスタンストレーニングによって筋のサイズや筋収 縮力を増加させるためには日常生活水準以上の筋活動が必要である(Hettinger, 1968).これまでのとこ ろ,動作様式およびトレーニング効果の有無との関連で,日常生活動作の負荷強度を明確にした研究は ない.

  そこで,本学位論文では,日常生活動作における筋にかかる負荷強度を表面筋電図によって定量する と同時に,日常生活動作を利用したトレーニングの効果を検討することで,日常生活動作を利用したト レーニングの有効性を明らかにすることを主たる目的とした.

【第2章:日常生活動作における筋活動水準の定量化】

  若齢者および中高齢者を対象に,歩行,階段上昇および下降,椅子の座り立ち,および踵の上げ下ろ し動作における大腿前部および下腿後部の筋活動水準を,表面筋電図を用いて定量し,筋活動水準に対 する年齢および性の影響,ならびに最大筋収縮力との関係を検討した.筋活動水準は,等尺性最大随意 筋活動時の筋放電量を100とし,動作中の筋放電量を正規化し相対値で表した.その結果,大腿前部お よび下腿後部の筋活動水準には性差および年齢差が認められた.また,各動作の筋活動水準と体重当た りの等尺性最大随意膝関節伸展および足関節底屈トルクとの間に有意な相関関係が認められ,それらの 関係は年齢の影響を除いた場合であっても有意であった.それらの結果より,日常生活動作における筋 活動水準は,体重当たりの最大筋収縮力の影響を受けることが明らかとなった.

【第3章:日常生活動作を利用したトレーニングの効果】

  若齢女性および高齢女性を対象に,日常生活動作を利用したトレーニングを3ヶ月間実施し,筋のサ イズ,筋収縮力および動作パフォーマンスに対する効果を検討した.トレーニングの対象となった筋は,

膝関節伸展筋群および足関節底屈筋群であった.トレーニング前後に大腿前部および下腿後部の筋厚,

等尺性膝関節伸展トルク,および動作パフォーマンスとして高齢女性では通常歩行,Timed up & go,

および椅子の座り立ちタイムを,若齢女性では椅子の座り立ちタイムをそれぞれ測定した.その結果,

トレーニングによって,等尺性膝関節伸展トルクは両群とも10%増加した.両群とも筋厚に有意な変化 は認められなかった.高齢女性のみ動作パフォーマンスに有意な改善が認められた.また,高齢女性の 場合に,トレーニング前における等尺性膝関節伸展トルクとその変化率との間に有意な相関関係が認め られた.以上のような結果から,日常生活動作を利用したトレーニングは筋収縮力に有効であり,特に 高齢女性においては,動作パフォーマンスの向上にも有効であることが明らかとなった.

【第4章:総括論議】

  本研究で得られた主な知見は,1)日常生活動作における下肢筋群の筋活動水準は,体重当たりの等尺 性膝関節伸展および足関節底屈トルクの影響を受けること,および2)日常生活動作を利用したトレーニ ングは,年齢に関係なく等尺性膝関節伸展トルクを改善させることの 2 点である.これらの知見より,

日常生活動作を利用したトレーニングにより筋収縮力の改善を期待できる体重当たりの膝関節伸展ト ルクの閾値は,年齢に関わらず2.3 Nm/kgであり,このときの大腿前部における筋活動水準は 22%で あった.筋活動水準の性差は,最大筋収縮力の性差に起因するものであること,および相対的な負荷強 度が同じ場合,レジスタンストレーニングの効果に性差がないとする先行知見より,この閾値は男女に 関係ないことが示唆される.つまり,日常生活動作を利用したトレーニングは,ある筋収縮力レベルを 下回る者にとって筋収縮力を改善させるレジスタンストレーニングの手段として有効であるといえる.

参照

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