九州大学学術情報リポジトリ
Kyushu University Institutional Repository
堀進切羽における吹き出し通気の最適化に関する研 究
中山, 伸介
https://doi.org/10.11501/3175089
出版情報:Kyushu University, 2000, 博士(工学), 論文博士 バージョン:
権利関係:
第4章 掘進切羽における実際の通気技術上の問題の検討
4 • 1 緒 三
第2章においては、 実規模模型および可視化実験による風速分布などについて検 討を行い、 掘進切羽における流れの構造を明らかにした 。 次いで第3章では、 数値 流体力学プログラムを開発し、 実用上許容できる精度で、 風管通気を行う掘進切羽 の空気の流れのシミュレーションが可能であることを示した口
そこで本章では、 これらの結果と開発した数値流体力学プログラムを用いて、 掘 進切羽における実際の通気技術上の問題を考察するD 本解析では、 計算モデルとし て実際の掘進切羽を考え、 風管距離3 風管の大きさおよび風量の流れに及ぼす影響 を調べる。 さらに、 本解析により得られた解析結果から到達距離を求め、 これにつ いて考察を加える。
4 • 2 解析モデルと解析条件
本解析では、 図4・1に示す池島石炭鉱山における敷!福5.5m、 高さ2. 88m のC5.5 アーチ枠の坑道の掘進切羽を解析の対象とする。 切羽面に平行な断面の計算領域の 分害Ij図を風管の直径別に図4・2(a)�(c)に示す。 風管の直径の違いにより風管の'1l
心位置が具なるが、 壁面に最も近い風管表面と壁面との間隔はいずれの条件で{)等 しくしているn
通気条件、 すなわち風管距離、 風管直径、 風管の吹き出し風量の違いが流れに及 ぼす影響を調べるため、表4・1に示す7つの異なった解析条件のもとで計算を行うヲ
表 4・1 解析条件
解析番号 風管距離 風管の直径 通気量
L (m) o (m) Q(m3/s)
7 O. 8 3. 75
2 10 O. 8 3. 75
3 15 O. 8 3.75
4 10 O. 6 3. 75
5 10 1.0 3. 75
6 10 O. 8 2.50
7 10 O. 8 5.00
39
(b)風管直径
4
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池島石炭鉱山C5.5アーチ枠坑道
D=1.0 m
(池島C 5.5アーチ枠坑道) D=O.6 m
D=O.8 m
図4・1
ド
(c)風管直径 計算領域の分害iJ図
(a)風管直径
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図4・2
点。
4 • 3 数値解析の結果および考察
4 • 3・1 風管距離が流れに及ぼす影響
風管距離が流れのパターンに及ぼす影響について調べるため、 風管直径を 0.8m、
風量を 3.75m3/s一定とし、風管距離を変えて解析を行った1)。風管距離を7, 10, 15m に変えた場合の結果を、 それぞれ図4・3---図4・5 に示す白 これらの図において、
図((\)は、風管の中心を通る鉛直断面の速度ベクトル図であり、図(b)---(e)は切羽面 に平行な速度分布図である円
まず、 各風管距離における速度ベクトル図によれば、 いずれの風管距離において も、 噴流は切羽面に近づくにつれて鉛直庁向に拡がり、 切羽面に衝突後は戻りの流 れとなって床面を流れ去る分布を示す。 また、 風管の上部、 および下部付近におい ては遅い流れを示すなど、 いずれの結果もよく似た速度分布の傾向が見られる。 切 羽面近傍の流れを比べると、風管距離が最も短い7mの場合には、切羽面に衝突する 噴流の運動量が他の場合に比べて大きいため、 衝突した噴流の一部は上向きの流れ となっている。
次に、 切羽面に平行な断面における速度分布図を示し、 流れの分布をより詳細lに 検討する口 解析により得られた結果は図4・3---図4・5に示す通りであり、図(11)
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(d)は速度(u) の分布図、 図(e)は絶対速度 (
仇
2+νZ十w2 ) の分布図である。これらの結果によれば、 いずれの風管距離の場合においても、 戻りの流れは、 切 羽面の近傍で床面付近から天井部にかけて分布するが、 切羽面から離れるにしたが って、 左右の側壁付近に分離するようになる。 また、前述のように風管の上部およ び下部付近には、きわめて遅い流れの領域が認められることから、現場においては ガスや粉じんが、この部分に比較的停滞しやすい状況にあると推測される口
一方、切羽面からO. 5m の断面における絶対速度の分布を比較すると、 j凪�宇陀l維 により若干の差異が見られる。 すなわち、断面の左上部に最大速度のピークが、ま た床面の両隅付近に速度の小さい領域が現れるパターンは同じであるが、JÆl管距離 が15mの場合には、等速度線の間隔は広く、これらの分布が明確でない。 この|析IIÏÏ における最大速度は、風管距離が短い順に、3.5m/s, 2.2m/s, 1. Om/s程度であるが、
前章までの実測と数値解析の比較で確認してきたように、 実際の現場においては、
これと同じ通気条件であっても、 さらに小さい速度を示すことが予想される。
次に、 l噴流の減衰に与える 風管距離の影響について検討するため、 I噴流のl-þ心線
上の速度と 吹き出し口からの距離との関係について考察する口 この結果を示したも のが図4・6であり、縦軸には噴流の中心線上における速度を吹き出し円の速度で除 し、無次元速度を表示している。この結果によれば、吹き出し口から 6m付近までは、
風管距離による減衰の速度の大きさに違いは見られないD ところが、風管距離が7m と10mの場合、 切羽面から2m離れた付近から減少の速度を増し、 切羽面手前1m付
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図4・3流れの速度ベクトルと軸方向速度成分 (解析条件1 : L=7m, D=O.8m、Q= 3 . 75 m;� / s ) (b)坑道軸方向速度 u (x=lm)
(e)絶対速度Jzf+1Y2+W2(x二O.5m)
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(a)鉛直断面における速度ベク
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向速度 (d)坑道軸
流れの速度ベク
(解析条件2 : L=10m
図4・ 4
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近で急激に低下しているコ これに対して風管 距離が最も長い15mの場合には、 切羽 面付近の戻りの流れの強さが他の条件ほど大きくないため、 噴流の減衰の速度は切 羽面の直前まで小さいことがわかる。 以上のような考察から、 風管距離が変化する と切羽面近傍の速度の大きさに違いが現れるが、 基本的な流れのパターンはあまり 変化しないことが判明した。
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図4・6 風管距離(L)の違いによる噴流の中心軸における速度変化
次に、 これらの結果を用いて到達距離について考察を行う。 現在までに報告され ている到達距離の定義は、 大きく2つに大別できる。 すなわち、 流れの可視化によ
り決定される方法と、 最低速度に基づく方法である。 前者は、 流れの口J例化により
噴流の吹き出し口から流れが静止した点までの距離を到達距!維としているの これに 対して、 後者は、 A8HRAE (American 80ciety of Heating, Refrigerating and Air Conditioning Engineers. 1nc.)及び180に基づき、 実用的な観点から末端速度を
0.25 m/sとし、 この速度を示す点から噴流の吹き出し口までの距離を到達距離と定
めている。
現場では、 ガスが惨出することがあり、 このような場所ではガスの拡散を考慮に 入れて到達距離を決定する必要がある。 実際には、 そのガスの湧出箇所、 湧出量も 現場により異なるため、 到達距離を厳密に定めるには、 多くの実験を必要とする。
そこで、 本研究では、 従来の到達距離の定義から、 より厳しい基準を定めているも のを選び、 これにならって到達距離を求めることにする。
45
ここでは、 図4・6に示す風管距離が最も大きい15mの結果から、 到達距離を推 定することにするc・ 噴流の吹き出し口における速度は、 9.14m/s であり、 O.25m/s はその2.7%となる。 この値となる個所は、 この曲線の外にあるが、 この曲線は切羽 面付近でほぼ直線となるため外挿してO.25m/sとなる点を求めると、およそ1Gmで あることがわかる。 これは、 本解析で用いた坑道の水力直径(:3.4m)の約4.8倍であ り、 Spenceが示した4.5D, Rennerが示した5.1Dの値に近いことが確認される。
4 • 3・2 風管の直径が流れに及ぼす影響
次に、 風管距隣を10m、 風量を3.75m3/s一定とし、 風管直径を0.6, ]. Omに変え て解析を行い、 風管の直径の違いが流れのパターンに及ぼす影響について調べた、
その結果を示すと図4・7、 図4・8のようになる。 これらの図において、 図(a)は風 管の中心を通る鉛直断面の速度ベクトル図であり、 図(b) "-' (e)は、 切羽面に平行な 断面の速度分布図である。 ただし、 速度ベクトル図については、 速度ベクトルの分 布を比較しやすくするため、 吹き出し口の速度ベクトルの長さは、 両結果において 等しくした。
まず、 速度ベクトルの解析結果によれば、 流れの分布の傾向はよく似ているとい えるが、 風管直径が1.Omの解析結果において、 切羽面に向かう流れの領域、 および その速度が、 比較的大きいことが理解できる。 これは、 風管の直径が小さい場介に 比べて、 噴流の有する運動量が遠くまで保たれていることを示している。
次に、 切羽面に平行な断面における等速度線図の比較を行い、 風管直径の違いに よる影響を検討する。 両者の解析結果によれば、 等速度線の間隔に違いが兄られる が、 以下に述べる点において、 流れの分布の傾向は、 ほぼ一致していることがわカ る。 つまり、 切羽面付近における左右の偵IJ壁下部の近傍で、 比較的遅い流れを示し たり、 切羽面から離れるにしたがって、 戻りの流れが左右に分離する分布を示して いる。 しかし、 風管直径がO. 6mの場合、 噴流の吹き出し速度が大きいので、 全体を 通じて速度は大きく、 例えば切羽面から1mの断面における最大速度は、 風管l直径
1mの2.2m/sに対し、 その約2倍の4.4m/sを示している。
さらに、 噴流の減衰について検討を行うため、 噴流の中心線の速度とj凪符の吹き 出し口からの距離との関係を図 4・9(a)に示す。 これによれば、 いずれの解析にお いても、 一定の風量を与えているため、 風管の直径が小さいほど全領域を通して速 度は大きいが、 逆に早く減衰していることが認められる。
方、 図4・9(b)は、 図4・9(a)の縦軸を無次元化したものであり、 噴流の111心 線の速度を吹き出し速度で除した無次元速度と、 風管の吹き出し口からの距離の関 係を表している。 この曲線によれば、 風管直径が大きいほど、 コアの存在する助主
区間が長いため、 全領域において速度は大きいことが理解される円
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図4・ 8流れの速度ベクトルと軸方向速度成分
(解析条件5 : L=] Om, D=] .Om, Qニ3.75 m�-!/s) (d)坑道軸方向速度 (x=lm)
(x=O.5m) u
(e)絶対速度.Ju2 + v2 + w2
(b)坑道軸方向速度
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Oistance from the duct outlet (m)
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風管直径(D)の違いによる風管軸上の絶対速度の変化
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図4・9
49
以上のような考察から、 風量を一定とした場合、 風管の直径を小さくした方が、
到達距離が大きくなることが確認された。この場合、風管の抵抗が大きくなるため、
現場ではこれらのバランスを考慮した上で、 適切な風管を選ぶ必要があると思われ る.
4・ 3・ 3 風量が流れに及ぼす影響
次に、風管から吹き出す風量が流れに及ぼす影響を調べるため、風管距離を 10m、
風管直径をO.8m一定とし、 風量を変えて計算を行った。 風量を2.5, 5.0m3jsに変 えて解析した結果を示すとそれぞれ図4・10と図4・11のようになる。 なお、 速度 ベクトル図において、流れのパターンの比較を容易にするため、 吹き出し口のベク トルの大きさは等しくしている。
まず、速度ベクトル図を示す両図(a)を比較すると、吹き出し速度が異なるにもか かわらず、 流れのパターンに違いは見られない。 また、 両図(b) "-' (e)の等速度線h' についても、 速度の大きさは異なるが、 分布の傾向はほぼ一致していることが確認 できる口
次に、 噴流の中心線の最大速度と風管の吹き出し口からの距離との関係を図4・
12に示し、 噴流の減衰について考察を行う。 ここで、 縦軸は噴流の中心線における 最大速度を吹き出し口の速度で除し、 無次元速度として表示している。 この結果に よれば、 吹き出し口から切羽面まで、 いずれの風量の曲線も一致している。 すなわ
ち、 流れの相似則が成立していることが確認される。
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12
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(x=lOm)
II
流れの速度ベクトノレと軸方向速度成分 (解析条件7 : L=10m, D=O.8m, Q=5.0 m:i/s)
-a・44・a -aa・4
4砂ーー4・-
11
4 5 6 7 8 10
Distance from the face (m)
(a)鉛直断面における速度ベクトル(y=1.5m) 9 3
2
。
。
(d)坑道軸方向速度 (x=5m)
u
図4・ ]1
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q4 4E
(ε)20一ω工
(c)坑道軸方向速度 (x=lm)
(x=O.5m) 向速度 u
(b)坑道軸
(e)絶対速度
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Distance from the duct outlet (m)
有次元速度(縦軸) (a)
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同
同
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1.1 0.9
0.2 0.8
0.6 0.5 0.7
0.4 0.3 Oコ~コ
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9 1011121 31 415 8
7 6 4 5 3 2
。
Distance from the duct outlet (m)
無次元速度(縦軸)
風量(Q)の違いによる風管軸上の絶対速度の変化
、、,F''、hU〆,,、、
図4・ 12
53
4 . 4 結 言
木章では掘進切羽における実際の通気技術上の問題を検討するため、 実際の掘進 切羽の現場における空気の流れの 解析を行い、 通気条件と流れのパターンとの関係、
を調べた~ 本章の結果を要約すると以下のようになる。
(1)通気条件を種々に変えて行った解析により、 基本的な流れのパターンを示し、 通 気上問題となる個所を指摘した。 つまり、 切羽面に到達した噴流は、 向きを反転し て戻りの流れとなり、 左右の倶IJ壁の近傍を流れ去る。 風管の下部では、 遅い流れと なるため、 この部分におけるガスの停滞に注意を要する。
(2)風管距離の違いが流れのパターンに与える影響について基本的な考察を行い、現 実に見られる距離の範囲では、流れのパターンの差異は小さいことを明らか にした口 (3)風管の直径と流れのパターンとの関係について検討し、噴流の風量を一定とした 場合では、 風管の直径を小さくすると到達距離は大きくなるが、 逆に 噴流の減衰の
速度は増加することを明らかにした。
(4)噴流の減衰曲線から到達距離を推定した結果、 本解析に用いた坑道の場合の 到 達距離は、 水力直径のおよそ4.8倍となることが判明し、 従来の実験により得られ た結果に近いことが明らかとなった。
54
第5章 掘進切羽におけるメタンガスの室内実験
5 • 1緒
円IJ章までに、 掘進切羽における空気の基本的な流れと、 通気条件が流れのパター ンに与える 影響を検討してきた。 炭鉱においては、 メタンガスが発生することが多 いため、 これを速やかに希釈し安全な濃度レベルを維持するための通気技術の指針 を得るためには、 メタンガスの挙動を明らかにする必要がある。
従来、 この対策に関する研究の必要性があったにもかかわらず、 室内実験や現場 計測のいずれについても、種々の測定技術の問題から、詳細に研究した例は、Leach1) や高木2)の研究があるのみである。 前者の研究では、 採炭切羽から放射性元素や
酸化窒素を放出し、 これらのガスが通気によって拡散する過程の濃度分布を測定し ている。 しかし、 彼らの研究は、 ガスが一様に拡散するに要する距離を求めること を目的としており、 木研究の検討に直接役立っところは少ない口 後者は、 通常の直 線状の坑道にメタンガスを流して濃度を測定する実験であるため、 この結果をt屈進 切羽のような複雑な流れを伴う空間におけるメタンガスの濃度分布の検討にそのま ま応用することはできない。 このように、 現在まで掘進切羽におけるメタンガスの
挙動に関する詳細な研究はほとんど行われていないと言ってよい。
以じのことから、 掘進切羽におけるメタンガスの挙動を明らかにするためには、
現場の状況を適切に再現した実験による系統的な検討が必要であると言える。
本軍では、 このような観点から、 模型を用いた室内実験を行い、 通気条件によ てガスの濃度分布がどのように影響されるかについて検討した 結果を述べる、
5 • 2 実験装置および実験方法
5 • 2・1 実験装置
芙験装置の構成は、 図5・1と写真5・1に示す通りである白 切羽模型は、 坑道存13 とガス室から構成され、 いずれも透明な塩化ビニールからなり、 断面は高さ20cm lþ� 40cmの長方形である。 このガス室に充満したメタンガスが、 切羽面をモデル化し た焼結金属を通って測定区間である坑道部分に入る仕組みとなっている。 模型坑iìí の天井には、 風管の模型として内径6cmの塩化ビニール製のパイプが取り付けられ ているむ この風管の吹き出し口と切羽面の間隔はO. 5mに固定されている。
坑道区間におけるメタンガス濃度の測定は、 次のように行った。 すなわち、 内径
l. 2mm, 外径2mmの銅管15本をその先端が鉛直方向に等間隔に止ぶように配問し、
この管から真空ポンプを用いて混合気体を吸引し、 サーミスター熱伝導式メタンガ ス検知器で濃度を測定した。
55
z
Gas Chamber
0.3
z
0.4 y
図5・ 1 掘進切羽模型の概要
写真5・ 1 掘進切羽模塑の概要
56
x
(m)
5・2・2 実験方法および実験条件
ガスの実験の条件設定には、 式(5.1 )で定義されたフルード数3)を用い、 この値が 実際とほぼ同じになるようにした。 本実験で想定 する現実の坑道は、 断面積8m2、
水力等価直径3.19mである。 現実と模型のそれぞれの代表長さ をそれぞれの水力等 価直径とし、 これらを式(5. 1)に代入すれば、 現実の坑道の代表速度(めと模型坑 道の代表速度( v)との関係は、 式 (5.2) のようになる。
区UM y一一向
(5. 1)
V二0.32V (5. 2)
ここに、 Fr :フルード数, Llρ=1ρ。-ρjI (kg/m3) , ρ。:空気の密度(kg/m3)
,
ρi メタンガスの密度(kg/m3), V 代表速度(m/s) , L:代表長さ (m), g 重力 加速度(m/s2 )である。
次章で詳しく述べるが、 筆者らの調査4)における平均のメタンガス量と凪管から 吹き出す通気速度はそれぞれ 0.01m3/s, 7m/s程度であり、 一応の円安としてこれら
の値を本実験の基準とした。 以上のこ とを踏まえて設定した実験の条件は、 表5・2 に示す とおりである。
表5・2 実験条件
実験番号 風管の吹 き出し メタンガ ス惨出量 口の風速V(m/ s) w(x 10-5) (m3/s)
l 3
2 1 8
3 20
4 3 3
5 3 8
6 3 20
7 5 3
8 5 8
9 5 20
57
5 • 3 実験結果および考察
5 • 3・ 1 通気量とメタンガス渉出量が濃度分布に与える影響
まず、 切羽面から惨出するガスを8 X 10-5m3/s一定とし、 風管から吹き出す噴流 の速度を変えて実験を行った4)5) 6)。 風管吹き出し風速を1 m/s, 5m/s に設定した場 合のメタンガス濃度分布を、 それぞれ図5・2と図5・3に示す。
坑道中央鉛直断面のガス濃度分布は両図の図(a)に示すようであり、風管の下部に 濃度の比較的高い部分が現れていることが認められるこ この部分は、 前章までの'tE 気の流れの検討で示したように、 流れが停滞する部分に一致するっ この速度の遅い 部分では、 ガスの浮力による流れが卓越するため、 ガスが蓄積するものと考えられ る。 この位置でガスの濃度が高くなるのは、 経験的に知られているものの理由が明 らかにされておらず、 本研究によって初めて明らかにされたD また、 この部分以外 にも、 両右には切羽面の床面近傍に流れの淀みにより高濃度領域が生じていること から、 現場では切羽面の上部だけでなく切羽面の下部におけるガスの蓄積にも注意 を払う必要がある。
次に、 ガスが停滞しやすい天井付近の濃度分布を検討するため、 天井から5mm(夫 規模換算で6cm) の水平断面の濃度分布を図5・2(b)と図5・3の図(b)に示す引 これ らの結果によれば、 天井の中央付近から切羽面付近にかけては、 噴流が通り過ぎる ため濃度は比較的低いが、 切羽面の側壁付近では、 流れの停滞により高い濃度を示 している。
さらに、 切羽面に平行な断面における濃度分布について考察を行う。 図5・2(c)
~図5・2(e)は、 吹き出し速度をlm/sとした場合における、 切羽面から0.05,0.2,
0.6m (実規模換算で0.6m, 2.4m, 7.2m) 離れた断面の濃度分布である。 このがi'*か ら、 切羽面から離れるにしたがって、 天井付近の濃度が次第に高くなり、 切羽I(] Îカ
ら最も遠い断面(x=0.6m)では、 天井に近づくにしたがって濃度が高くなる層状の濃 度分布を示す。 これは、 前に述べたように、 切羽面から戻ってくる流れの速度の低 下に伴って、 ガスの浮力による流れが卓越し、 ガスが天井付近に集まったことが原 因として考えられる。
これに対して、吹き出し速度が5m/sの場合では、 図5・3(c)�(e)に示すように、
断面の中央部から天井にかけての領域では、 ガスは希釈されているため濃度は比較 的低いが、 床面の隅で濃度が高くなる分布を示す。 この濃度の高い領域は、 |拘i在ま での流れの検討で示した戻りの流れのピークの位置におおむね一致している。 この ことから、 本条件のように噴流の吹き出し速度が比較的大きい場合には、 ガスは反 りの流れに取り込まれ、 床面の隅を流れ去るものと考えられる。
次に、 風管から吹き出す噴流の速度を一定とし、 切羽面から惨出するガスの註を 変えて行った実験の結果について検討する。 図5・4と図5・5に、 吹き出し速度を
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