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良性骨腫瘍に対する診断工夫と

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Academic year: 2021

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中部整災誌 2015;58:1009 - 1010 1009

良性骨腫瘍に対する診断工夫と

ハイドロキシアパタイトによる再建の治療成績

安田剛敏

1)

,鈴木賀代

1)

,渡邉健太

1)

,堀 岳史

2)

,金森昌彦

3)

,木村友厚

1)

我々は良性骨腫瘍または腫瘍類似疾患に対して,

一期的に診断と手術を行ってきた.手術は腫瘍の掻 爬後に生じた骨欠損に対しては,体内に親和するが 吸収されないという特徴よりハイドロキシアパタイ ト顆粒(hydoroxyapatite: HA)を充填してきた1).診 断は手術に対する注意点の把握も目的とし単純X 線像を詳細に検討し,術中迅速組織検査を併用して きた.本研究の目的は,1)術前単純X線の診断の 有用性,2)当科における治療成績からの手術の妥 当性を検討することである.

対 象 お よ び 方法

対象は,1999 年 4 月から 2014 年 3 月までに体幹 を除く四肢の代表的な良性骨腫瘍または腫瘍類似疾 患である孤立性骨嚢腫(SBC,n=10),動脈瘤様骨 嚢腫(ABC,n=9),骨巨細胞腫(GCT,n=9)お よび線維性骨異形成(FD,n=8)で,術後 1 年以上 経過観察された 36 例である.男性 23 例,女性 13 例で,手術時平均年齢は 23 歳(5~58 歳)であっ た.術後平均観察期間は 46 ヵ月(12~96 ヵ月)で あった.発生部位は,上腕骨:11 例,大腿骨:11 例,脛骨:7 例,腓骨:5 例,橈骨:2 例であった.

手術方法は,組織を一部採取し術中迅速診断に提 出しその結果を待ち,悪性所見がない場合に手術を 続行した.掻爬後に海綿骨欠損部には顆粒状または ブロック状のHAを充填し,皮質骨欠損を伴う場合 にはHA顆粒の逸脱と骨のリモデリング阻害を防止 するため,体内吸収性骨接合材[HA/ポリ-L-乳酸

(poly L-lactide:PLLA)複合材料(Super Fixsorb MX Mesh®,Super Fixsorb)]を用い再建した2)

検討項目は,術前単純X線像の所見として,周 辺骨硬化,皮質骨の菲薄化,腫瘍内の隔壁およびす

りガラス状変化の 4 項目の有無を,骨軟部腫瘍を専 門とする最低 2 名で評価した(図 1).4 項目を選択 した意義は,簡便でありかつ手術の際に注意喚起に つながる所見とした(表 1).これらの項目につき 検者間の一致率と各腫瘍の診断に特徴的な所見の有 無を検討した.

手術成績は,最終病理組織での診断変更率,術 中・術後の合併症,再発率,骨形成が認められHA の輪郭が不明瞭になるまでの期間および患肢機能で ある.

Diagnosis device and reconstructive treatment outcome by transplantation of hydroxyapatite for benign bone tumors : Taketoshi YASUDA et al. (Department of Orthopaedic Surgery, Faculty of Medicine, University of Toyama)

1)富山大学医学部整形外科学教室 2)飯山赤十字病院整形外科 3)富山大学医学部人間科学 1 Key words : Benign bone tumor, Hydroxyapatites, Diagnosis

図 1 上腕骨単純X線正面像 12 歳,男性.左上腕 骨近位部孤立性骨嚢腫.周辺骨硬化あり,菲 薄化あり,腫瘍内の隔壁あり,すりガラス状 変化なしと読影する.

表 1 術前単純X線像と手術での意味合いの関連

(2)

第  58  巻  第  5  号 1010

結 果

術前単純X線像:検者間の所見一致率は,周辺 骨硬化:90%,菲薄化:92%,隔壁:90%,すりガ ラ ス 状 変 化:95% で あ り, 各 検 者 間 の 一 致 率 は 90%以上であった.各所見の出現率は,周辺骨硬 化:61%,菲薄化:89%,隔壁:75%,すりガラス 状変化:72%であった.腫瘍別では,GCTとFDで はすりガラス状変化を全例に認めるのに対し,SBC とABCでは 47%に認めるのみで,大きく 2 群に分 けることができた(図 2).SBCとABCでは,周辺 骨 硬 化 の 有 無 で 違 い を 認 め,SBC:70%,ABC: 22%であった.GCTとFDでは,隔壁の有無で違い を認め,GCT:89%,FD:62%であった.菲薄化 は全ての腫瘍で 60%以上の頻度で同様に認められ 非特異的であった.

手術成績:術前単純X線像と術中迅速組織診断 を合わせて,永久標本での病理組織診断で診断が異 なった症例は 36 例中 1 例(2.8%)のみでABCが SBCと診断されていた.術中の合併症はなかった.

術後にABCの 1 例(2.8%)で手術部位感染を認 めたが,デブリードマンで感染は制御された.HA やmeshに起因する局所炎症や感染は認めなかった.

再発はGCT:3 例,ABC:2 例の 5 例(13.2%)に 認めたが,再度掻爬,HA充填を行い,再々発は認 めていない.骨形成が認められHAの輪郭が不明瞭 になるまでの期間は平均 26(12~42)週であった.

また,部位による検討では上肢(n=13):24±11.3 週, 下 肢(n=23):27±8.9 週 で あ り 有 意 差 は な か っ た(t検 定,p=0.96). 術 後 患 肢 機 能 は 全 例 100%であり,良好に保たれていた.

症 例

42 歳,女性.左腓骨遠位部ABC.術前単純X線

像およびCTで,周辺骨硬化なし,菲薄化あり,皮 質骨の膨隆あり,隔壁ありと読影し(図 3),ABCを 疑い手術を行った.術中の迅速組織診断では,嚢胞 および血管腫様の間質に小円形細胞とわずかに多核 巨細胞を認め,ABCに合致していた.皮質骨を開 窓し,隔壁を切除しながら腫瘍を掻爬した.掻爬し た海綿骨部分にはHAを充填し,開窓した皮質骨部 分には正常な解剖形態となるようにmeshで再建し た.術後 28 週でHAの輪郭が不明瞭となり,術後 1 年で完全に癒合した(図 3).

考 察

骨腫瘍では単純X線は必須の検査で,特徴的な 所見を示し,診断に有用であるとされている.一方 で,それぞれの所見は各腫瘍別に羅列されているの みで,それらの頻度や有用性についての記載はほと んどない.本研究では症例数が少ないものの,各所 見ごとの頻度と腫瘍に特徴的な所見を明らかにし た.年齢や骨自体の発生部位を加えることによって 診断率は向上すると考えられる.今後はさらなる検 査所見を加えより画一された診断アルゴリズムの確 立が望まれる.

文 献

1) 安田剛敏,金森昌彦,野上重治,他.骨腫瘍 切除後のハイドロキシアパタイト充填術の治 療成績.中部整災誌 2007;50:629-630.

2) 安田剛敏,鈴木賀代,堀 岳史,他.皮質骨 欠損を伴った骨腫瘍に対する生体内吸収性骨 接合材を用いた治療経験.中部整災誌 2013;

56:1423-1424.

図 3 A 術前X線像,B 術後 2 週,C 術後 1 年

(一部は文献 2 より引用)

図 2 各腫瘍における単純X線所見の陽性頻度

図 1 上腕骨単純 X 線正面像 12 歳,男性.左上腕 骨近位部孤立性骨嚢腫.周辺骨硬化あり,菲 薄化あり,腫瘍内の隔壁あり,すりガラス状 変化なしと読影する.

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1991 年 10 月  桃山学院大学経営学部専任講師 1997 年  4 月  桃山学院大学経営学部助教授 2003 年  4 月  桃山学院大学経営学部教授(〜現在) 2008 年  4