• 検索結果がありません。

制度化された⼟地慣習法と狩猟採集⺠ハッザ

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "制度化された⼟地慣習法と狩猟採集⺠ハッザ "

Copied!
2
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

41

制度化された⼟地慣習法と狩猟採集⺠ハッザ

-アフリカ、タンザニアの事例から

富山大学経済学部 雨宮洋美

1. 問題の所存

昨今話題となっている人間の安全保障というテーマをあげるまでもなく、途上国の開発 と法律・法制度支援との間で垣間見られる問題について取り組むことが求められている。

広くいえばアフリカを含む多くの途上国における土地とは、市場経済における商品とし て扱われるものからはほど遠いものである。特に経済人類学・社会学等の見地からは、土 地とは居住の場、肉体的安全のための条件、風景、生活を安定化させるものとして人間が 生きるために必要なものとして扱われている。これに対し、日本をはじめとする市場経済 化が進んだ近代的所有権概念の国にとって土地は取引の対象であるという大きな違いがあ り、こうした違いがアフリカの国々において土地の権利をめぐる問題をもたらしていると いても過言ではない。

2.具体的な研究成果

1)筆者はこれまで東アフリカのタンザニアをフィールドとし、世界銀行の市場経済化の圧力 の末に規定された新しい法規定(「村土地法」)と既存の土地に対する慣行の双方から現 地における土着の土地に対する権利、取引慣行等を考察してきた。既存の研究を基に今年 度は、農耕・牧畜民を対象として規定された「村土地法」の範疇外に置かれるエスニック・

グループである狩猟採取民の中でもその絶滅さえ危惧されているアルーシャ州リフトバレ ーを拠点とするハッザを対象とした調査に基づき土地問題と狩猟採取民の現状と今後の研 究の必要性の示唆を論文(雨宮洋美.2008.「アフリカの貧困と土地所有権-タンザニアに見 る土地のセイフティ・ネット機能」『名古屋大学法制論集』2008年3月号(刊行予定))とし てまとめた。同論文においては、社会保障の皆無なタンザニア地方農村において一種のセ イフティ・ネット機能を果たすべく慣習法をフォーマル化した「村土地法」は定着・農耕 化を推し進める政府により制定されたものであり、キャンプ生活で移動し狩猟採取を生業 とする狩猟採取民の土地の営みとは相容れないものであることを述べている。農耕、定着 居住をしないハッザは一定の土地を占めず、広範囲の土地を移動する生活形態であるため、

特定の村に属することを前提とし一定の場所を使用し続けることにより認められる慣習的 使用権を柱とした登記、抵当権設定等の規定を設ける村土地法規定の適用外にあるといわ ざるをえない。

慣習と一言でいってもその内容は、地域、エスニック・グループ、村等により様々である。

村をベースといた村構成員という身分に直結し慣習に基づく権利、権利付与、土地管理を

(2)

42

謳う法は、政策的な観点からも多様なエスニック・グループによる文化の多様性を無視し て作られたことが明かにされた。「村土地法」規定は、「国家土地政策」に従い制定され ているが同政策内で権利主体として保護されるべき国民としては農耕民・牧畜民があげら れるのみである。政府公刊書、地方で収集した資料等に基づき以上の点をまとめ、狩猟採 取民が土地の権利を認められるためには村に属する=定着化する、という文化的・民族的 な変容を余儀なくされるという現実に直面していることを述べ、法はその国の文化等に根 ざして制定されるべきものであることから鑑みると本末転倒であることを示唆している。

以上の考察は、限られた日程における現地調査と収集した資料に基づくことから、さらに 最新・詳細なデータをフォローしてどのような法規定がタンザニアの現実に合致するのか ということを考察することも次回の課題としたい。

2)以上の問題点の示唆を含め、本年度中はタンザニアを題材に土地所有権と開発、慣習的土 地所有権のフォーマル化と経済発展にかかわるテーマで、以下の学会および研究会等にお ける報告を行っている。

①2007年9月 アフリカ土地制度研究会(於:アジア経済研究所)

「タンザニアにおける土地所有権の現状-『1999年村土地法』を題材とした法の施行と村 の実態-」

②2007 年 10 月 先導的学術センター(AFC)研究プロジェクト助成 紛争解決と秩序・

制度の構築に関する総合研究( 於:龍谷大学アフラシア平和開発研究センター)

「タンザニアにおける土地所有権―『1999年村土地法』の規定と村の実態を題材にコモン ズを考える―」

③2007年11月 国際開発学会企画セッション個別報告(於:沖縄大学)

「土地所有権のフォーマル化と経済発展―タンザニアを事例として―」

④2008年3月 TICAD IV 準備勉強会(於:国際協力銀行(JBIC))

「アフリカの土地所有権と農村開発について-タンザニアを題材に-」

参照

関連したドキュメント

M407 のグルクロン酸抱合体である M583 は胆汁中に検出されたが、糞中では検出されな かったため、胆汁排泄された M583 が消化管内の

 もちろん, 「習慣的」方法の採用が所得税の消費課税化を常に意味するわけではなく,賃金が「貯 蓄」されるなら,「純資産増加」への課税が生じる

つの表が報告されているが︑その表題を示すと次のとおりである︒ 森秀雄 ︵北海道大学 ・当時︶によって発表されている ︒そこでは ︑五

本論文での分析は、叙述関係の Subject であれば、 Predicate に対して分配される ことが可能というものである。そして o

  支払の完了していない株式についての配当はその買手にとって非課税とされるべ きである。

度が採用されている︒ の三都市は都市州である︒また︑ ロンドン及びパリも特別の制

次に、ニホンジカの捕獲に係る特例については、狩猟期間を、通常の11月15日~2月15日

捕獲数を使って、動物の個体数を推定 しています。狩猟資源を維持・管理してい くために、捕獲禁止・制限措置の実施又