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九州大学学術情報リポジトリ

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九州大学学術情報リポジトリ

Kyushu University Institutional Repository

ATPヌクレオチド3'-ピロホスホキナーゼ生産菌

Streptomyces morookaensisの形質転換ならびに非生 産性変異株との遺伝子、ゲノムの比較に関する研究

牟田, 滋

https://doi.org/10.11501/3100010

出版情報:Kyushu University, 1994, 博士(農学), 論文博士 バージョン:

権利関係:

(2)

第五章 Streptom yces morookaensis野生型株及び非生産性変異株の全DNAのパルスフィー ルドゲル電気泳動による分析

緒言

1984年にSchwa口z等によって発表されたPFGE(25)は、 従来の単一条件によるアガロース ゲル電気泳動では不可能であった50kbp以上の巨大DNA分子を分離、 分析できる方法であ る。従来のアガロースゲル電気泳動では、 一定方向に単一の電場をかけて泳動を行うが、

このときDNA分子は電場の方向に長く伸びた状態でアガロースゲル中を移動し、 ゲルのマ トリックスの分子ふるい効果で分離される。 しかし、 ゲルのポアサイズよりも大きいもの になると、 分子ふるい効果が働かず分離されなくなる。 これに対しPFGEでは、 異なる二 方向の電場を交互にかけるため、 DNAは電場の切り替えの度に方向転換することになる。

大きなDNA程この方向転換に要する時聞がかかるので、 相対的に移動距離が短くなり大き なDNAの分離が可能となる。

PFGEの分離に影響を及ぼす因子は、 パルスタイム(電場の切り替えの周期)、 ゲル濃 度、 電圧および泳動時間であるが、 様々な変法があるためにその条件は実際に使用する装 置について各自が試行錯誤して決定する。 本研究ではSmith等の開発したPFGE装置(3 7)と

同型のものと、 ゲルを回転させることで電場の切り替えを行うRGE (Rotary gel electrophoresis)装置(38)の二種類を使用した。

このPFGEの出現により、 以前には考えられなかった容易さで染色体の物理地図が作成 される等、 それが分子生物学の分野にもたらした影響は大きい。 放線菌でもこのPFGE法 によって明らかにされた重要な事実がある。 一つは1987年にKinashi等(24)が報告したS.

coelicolor A3(2)中の抗生物質メチレノマイシン生合成遺伝子を持った巨大線状プラスミド (SCP1)の発見で、 これ以降多くの放線菌から巨大線状プラスミドが発見される端緒となっ

た。

第四章で述べたように、 S. morookaensisのPPKase非生産性突然変異はPPKase構造遺伝子 の欠失変異であった。 S. morookaensis中には未だプラスミドは確認されていないが、 巨大

(3)

線状プラスミド上に本酵素遺伝子が存在し、 アクリフラピン処理によってそのプラスミド が欠失した可能性も否定できない。 そこでS. morookaensis中の巨大線状プラスミドの検索 と、 このPPKぉe遺伝子欠失変異のゲノムレベルでの解析を行うことにした。

第一節 S.moぽIro∞okμaens“i�βs野生型株及び 電気泳動用サンプルの調製

いかに巨大なDNA分子を分析できる方法があったとしても、 分析するDNAサンプルが始 めから細かく断片化していてはその分析能を十分に引き出だせない。 DNAは溶液中で扱う と勇断力によってたやすく切断される。 また細胞を破壊してDNA分子を取り出すと、 同時 に遊離してくる核酸分解酵素が自己のDNAさえも分解してしまう。 このようなDNAの分解 を避けるためにPFGEで分析するDNAの調製と取扱は、 その全ての操作を高濃度のEDTA存 在下、 アガロースゲルという支持体の中で行う。 また外部からの核酸分解酵素の混入を防 ぐために使用する試薬、 器具のうち可能なものは全てオートクレーブする。筆者は、 最初 はKinashi等が報告した方法(24)に基づき第二章の方法で調製したプロトプラストを低融点 アガロースゲルに埋め込んでDNAを調製していたが、 後半はプロトプラスト化そのものを もゲル中で行うKieser等の方法(39)がDNAの損傷がより少ないとの報告に基づいて調製法 を変更した。 ここには両方法を記載する。 また、 筆者の行った実験操作の評価のために、

PFGEでの分析例が報告されているStreptomycescoelicolor A3(2) M-130 (39)のDNAも調製し た。

方法

Kinashi法によるパルスフィールドゲル電気泳動用サンプルの調製

菌が十分に生育した斜面培地より数白金耳量の胞子あるいは菌糸を1伽11のGPmediumに 接種して300Cで2日間前培養した。 この培養物1m1を5伽11のGPGS mediumに接種して300Cで

(4)

更に2日間培養を行った。菌体は液紙(No. 101アドバンテツク東洋)を用いてブフナー漏 斗で吸引集菌した。得られた菌体は氷冷0.4 Mシュークロース溶液で洗浄後、36mlの medium MP3に慮、濁し、使用直前に1伽19/mlの濃度になるようにリゾチームとアクロモペプ チダーゼをそれぞれ溶解したmedium MP3溶液各4.5mlを加え、370Cで45分間穏やかに振濠 しながらプロトプラストを形成させた。第二章第一節と同様に処理後、最終的にプロトプ ラストをmedium恥1PWP 3mlに懸濁し、その一部を適当にmedium MPWPで希釈して血球計 測器によりプロトプラストの数を求めた。約1X 10可固分のプロトプラストを遠心分離 (650g, 10min, 40C)で沈殿させ、容器内に残った液にプロトプラストをクリーム状に分散 させた後、0.5M sucrose-TSEで、容量を1.5mlにあわせた。直ちに0.5M sucrose-TSE 1.5ml、

0.5M EDTA (pH 8.0) 0.3ml、予め融解して370Cに保温しておいた1.5%の低融点アガロース 溶液3.6mlを加えて手早く混和して直径6cmのシャーレに注いだ。アガロースが固化した後 に10X2印nmの大きさにゲルを切り分け、十分量のプロナーゼ処理液にゲル片を入れて37

℃で終夜溶菌と除蛋白を行った。傾潟法でプロナーゼ処理液を除き、1E bufferで、SDSの発 泡がなくなるまでゲル片を数回洗浄後、0.5MEDTA中で40Cで保存した。

Kieser法によるパルスフィールドゲル電気泳動用サンプルの調製

Kinashi法と同様にして培養、集菌および洗浄した菌体を氷に浸けたホモゲナイザーに移 し、20mlの氷冷sucrose-TSE-EDT A溶液を少量ずつ加えながらホモゲナイズした。野生型株 の場合には懸濁液の0.8mlを、変異株の場合には懸濁液の2.4mlを遠心(1800g, 10min, 40C) し、容器内に残った液に菌体を分散させてから、sucrose-TSE-EDTA溶液で、容量を5.6mlに あわせた。予め融解して370Cに保温しておいた1.5%低融点寒天溶液5.6mlを加え、手早く 混和して直径8.5cmのシャーレに注ぎ、氷冷したアルミブロック上で素早く固化させた。

次いで使用直前にそれぞれ10mg/mlの濃度になるようにリゾチームとアクロモペプチダー ゼの両者を溶解した0.5M sucrose-TSE溶液10mlを重層し、370Cで終夜プロトプラスト化を 行い、次いで溶液を10mlのプロナーゼ処理溶液と交換して370Cで終夜溶菌と除蛋白を行っ

-47-

(5)

た。 プロナーゼ処理溶液を除き、 ゲルを10X20mmに切り分けて十分量のTE bufferで、SDSの 発泡が なくなるまで数回洗浄した後にKinashi法と同様にして保存した。

S. coelicolor A3(2) M-13 0のPFGE用サンプルの調製はGPmediumとGPGS mediumをそれぞ れTSB mediumとYEME mediumに変え、 また溶菌酵素としてリゾチームのみを使用してS.

morookaensisと同ネ柔に行った。

第二節 パルスフィールドゲル電気泳動の操作法

S. morookaensis中の巨大線状プラスミドの検索には、 Smith等の開発したPFGE装置(37)

と同型のものを使用したが、 実験のほとんどはRGE型の装置(3 8)(Cross field電気泳動装 置、 アト一社)を使用した。前者の場合にはDNAがカーブして泳動されるためにDNAの正 確な大きさの評価や各レーン問での比較が困難であるが、 後者はDNAをストレートに泳動 することができるσig. 5-1)。 ここ では 後者の装置での泳動操作法を記述する 。

方法

操作説明書に従って0.5X TBE bufferで、アガロースゲルを作製した。 PFGE用サンプルは DNA量の調節のために上限5mmまでで適切な大きさに切断した。 PFGE用サンプルとゲル の間に気泡がトラップされるのを防ぐために、 ウエルに0.5X TBE bufferを満たしてから PFGE用サンプルを挿入 した。 サンプルを泳動方向にょせ、 ウエル内のバッファーを除い た後、 0.5XTBE bufferに融解した1%低融点アガロース(TPTAKAR A宝酒造)を注いでサ ンプルを固定した。

泳動槽には予め0.5X TBE bufferを入れて冷却しておいた。 本装置の場合、 冷却を怠ると バッファーの温度が400C以上になり異常な泳動パターンを示すため、 100Cから150Cの温度 で泳動を行った。 また本装置ではゲルが左右に動くため、 ゲル強度の低いアガロースや低 濃度のゲルを使用すると、 泳動中にゲルがゲル作製トレイから剥がれてターンテーブルの 動きに連動しないことがある。 これを防ぐために泳動方向にかからない位置にガラスのキヤ

(6)

ピラリを刺し、 ゲルがトレイから剥がれてもターンテーブルと連動するようにした。

(7)

A B

+

+

Fig. 5-1. Two different types of the pulsed-field gel electrophoresis apparatus.

(A)

Pulsed fields gel electrophoresis with double inhomogeneous electrode configuration; (B) Rotary gel electrophoresis.

(8)

第三節 パルスフィールドゲル電気泳動によるS. morookaensis中の巨大線状プラスミド の検索

方法

これまでに発見された放線菌の最大の線状プラスミドは Strepωmyces lasaliensisのもつ

520kbpのプラスミド(pKSL) (24)である。 そこでこれ以下の分子量のものが分離できるゲル 濃度0.8%、 パルスタイム25秒、330Vの一定電圧で44時間泳動する条件で線状プラスミド の検索を行った。

第四節 S. morookaensisの染色体中に 認識部位の少ない 制限酵素の選択

PFGEで分析するDNAの大きさは、 制限酵素処理をした後でも数百kbp程度で、あることが

望ましいため、分析するDNAの中にその認識部位が少ない制限酵素を選択する必要がある。

そのような制限酵素を一般にレアカッターと呼ぶ。 そこで、G+C含量が70%以上と極めて高 い放線菌DNAのレアカッターを選択した。 1987年にMcClellandはCTAGという4塩基からな る配列が、G+C含量45%以上の染色体中にはあまり存在しない (40)と報告している。 そこ でこの条件を満たす もの、さらにAとTのみからなる6塩基の認識部位を持つ ものについて 検討した。 なお以降の実験は野生型株と非生産性変異株の一つである206B株について行つ た。

またPFGE用サンプルは低融点アガロースゲル中に DNAが存在しているため、 溶液中の DNAとは取り扱い上異なる点がある。 制限酵素処理の場合には、その反応系の容量はDNA が含まれているゲル片の大きで決定され、 溶液中のDNAの場合よりも大容量となるために 制限酵素が希釈により失活するおそれがある。 また使用する低融点アガロースの種類によっ ては制限酵素反応を阻害することもある。 更に低融点アガロースを使用しているために熱 処理やフェノール処理による酵素反応の停止操作が行えない。 ここではアガロースゲル中 のDNAの制限酵素処理法を詳述する。

(9)

方法

PFGE用サンプルを10X5X2mmに切り分け、 その2----4片を1.5ml容チューブに移した。

1Ebufferを4回以上交換して過剰なEDTAを除き、 続いてDTIを除いた制限酵素反応バッフア ーを加え4tに30分間以上置いた。 次いで、 ゲlレ2片までであれば制限酵素反応バッファー に終濃度0.02%のBSAと制限酵素20unitsを加えて500μlの容量で、 4片までであれば終濃度 0.02%のBSAと制限酵素40unitsを加えて1mlの容量で�370Cで終夜反応させた。 ただしDraIの 反応時間はKieserの報告(39)に基づいて4時間を超えないようにした。 制限酵素反応は反応 液をプロナーゼ処理液と交換し、 370Cで制限酵素を分解して停止させた。 その後プロナー ゼ処理液中のSDSの発泡がなくなるまでゲルを1Ebufferで数回洗浄し、 PFGE分析を行った。

第五節 パルスフィールドゲル電気泳動用サンプルの前処理

PFGEでは分解の少ないDNAを調製することが重要であるが、 十分注意を払ったにもか かわらず筆者が調製したPFGE用サンプルは壊れたDNAをかなり含んでおり、 PFGE分析で 数十本のバンドを生じる制限酵素で処理した場合には、 それぞれのバンドを区別すること すら困難であった。 これを改善するために、 制限酵素処理前にPFGE用サンプルを通常の アガロースゲル電気泳動に供することで、 サンプル中から壊れたDNAを除くことにした。

方法

厚み3 mm、 幅75mmのウエルを持った1.5%アガロースゲルを0.5X TBE bufferで、調製した。

筆者が調製しているPFGE用サンプルの大きさは10X20X2mmであるため、 ゲルの厚みは

10mm以上にした。 PFGE用サンプルをウエルに挿入後、 泳動状態追跡のためにBPB loading bufferを加えて80mAで、4時間泳動した。 泳動直後はPFGE用サンプルが崩れ易いため、 ゲル

を40Cで冷却した後にサンプルを取り出し、 10X5X2mmに切り分けて第四節の方法で制限 酵素処理を行った。

(10)

第六節 巨大DNA分子のサザンブロッテイングとハイブリダイゼーション分析

方法

PFGE後のゲルからのサザンブロッテイングは第四章第二節の方法では対応できなかっ た。 そこでナイロン膜を用いたアルカリブロッティング法(35)でサザンブロッテイングを 行った。 ゲルをO.4N NaOH-1.2M NaCI溶液に浸し、 ロータリーシェーカーで20分間穏やか に振濯してDNAを変性させる操作を2回行った。 uvによるDNAの断片化やDNAの脱プリン イじはハイブリダイゼーションの感度を低下させる原因となる(41)ため行わなかった。6X SSCの代わりにO.4N NaOH-1.2M NaCli容液を、 ニトロセルロースフィルターのイ℃わりにナ イロンメンブレンハイボンドN+(Amersham)用いて第四章第二節と同様にブロッティング を行った。 ブロッテイング終了後、 2XSSCでフィルターを洗浄し、 ペーパータオルで余 分な2XSSCを除いた後に10分間減圧乾燥してDNAをフィルターに固定した。 ハイブリダ イゼーションの操作は第四章第四節の方法で行った。

第七節 S. mηl 0ro∞Oぱ' ka記ens】1S1,βs野生型株及び 電気泳動による分析の結結a果

巨大線状プラスミドの検索に使用したサンプルはKinashiの方法に基づいて調製したもの である。 調製に使用するプロトプラストの数を野生型株、 変異株とも約1X 10可固に合わせ てDNA量の調整を行ったにもかかわらず、 野生型株に比べて変異株のDNA量は非常に少な かった。 これは後に判明した変異株での非常に大きなDNAの欠失のためと考えられる。

PFGE分析の結果、 巨大線状プラスミドと思われる明確なバンドは野生型株、 変異株のい ずれにも認められなかった。 1Mbp以上の分子量に相当する位置にDNAが存在しているが、

この位置はこの分析条件の上限で1Mbp以上の分子量のDNAが圧縮されて泳動されており、

また変異株にも同様の泳動パターンが薄いながらも認められることから、 野生型株に存在 している巨大線状プラスミドがアクリフラピン処理によって変異株では欠失しているとは

(11)

考えにくい(Fig.5-2)。

より詳細な分析のためにS. morookaensisのゲノムのレアカッター の選択を行った。検討 した制限酵素のうちSpe1 (A↓CTAGT)、 Ssp1 (AAT↓ATT)、 XbaIσ↓CfAGA)でS.

morookaensisのゲノムを切断した場合はMbp単位の大きさの断片もあるが、 約10kbpから約 700kbpの範囲にかなりの数の制限断片を生じた(Fig. 5-3)。各制限断片の分析は困難だが、

後に述べる二次元パルスフィールドゲル電気泳動(39,42)では 有用な制限酵素となった。

Dra 1 (TIT↓AAA)で切断した場合は制限断片の数は少ないものの、 その幾つかは本研究で 使用した泳動装置では分析が困難な大きさであった(Fig.5-4)。 最もよい結果はAse1 (AT↓

TAAT)で切断した場合で、 約70kbpから約1900kbpの範囲に散らばった制限断片を生じた σig. 5-3)。しかしその泳動パターンはバックグランドが高く、 バンドが密な部分ではその

同定が困難であったため、 第五節に述べた前処理を行った。

この前処理は有効で、 図に示すようなシャー プなパターンを示すようになった(Fig.5-5 )。

この操作はゲノムを分析する際に非常に有効であると考えられる。しかし線状プラスミド の検索を行う場合には、 この処理で線状プラスミドがPFGE用サンプル中から出てしまう ため使用できない。この処理を行ったS. coelicoJor A3(2) M-130のPFGE用サンプルをAseI、

SpeIで切断した場合の泳動パターンは文献(39)に示されているものと一致しており、

PFGE用サンプルの調製や制限酵素処理がうまくいっていることが明らかとなった(Fig.

5-6)。

次にサザンブロッティングとハイブリダイゼーション分析を行った結果、 切断しない場 合には原点に、 制限酵素で切断すると、 SpeI、 SspI、 XbaIでは制限断片が密になってい る部分のため判断しにくいが、 AseI、 Dra1で切断した場合にはそれぞれl050kbp、 1350kbp の位置にPPKase構造遺伝子とのハイブリダイゼーションが認められたσig. 5-7 and 5-8)。

この大きさはこれまでに報告された巨大線状プラスミドの大きさをはるかに上回り、 しか もその制限断片が206B株で失われていたことから、 206B株は染色体中から非常に大きな DNAの欠失をおこしていることが判った。

放線菌は遺伝的に不安定であるといわれている。その原因の一つに遺伝子の欠失がある。

(12)

本研究と同様に、 変異誘導によって放線菌の染色体から欠失がおきた例はs. am bofaciens 等(26,27)で報告されている。 これらの例では、 欠失と同時に過度に増幅されたDNA配列 (26, 27)が認められることが多い。 しかしS. morookaensisにはそのようなDNA配列は認め

られず(データは省略)、 放線菌の欠失変異では特異な例である。

(13)

2 3

370kbp 290kbp

260kbp

Fig. 5-2. Pulsed-field gel electrophoretic separation of DNA from Streptomyces morookaensis strains.

Lane 1, wild type引rain genomic DNA; 2, 206B genomic DNA; 3, 203C genomic DNA. Running conditions were 330V for 44hr with pulse t泊le 25sec in 0.8% agarose geL For the buffer used refer to the text.

(14)

1 2 3 4 5

1100kbp

Fig. 5-3. PFGE resolution of Ase 1-, Spe 1-, Ssp 1- and Xba 1 digested genomic DNA of S. morookaensis wild type-strain and its mutant 206B.

Lane 1, wild type-strain genomic DNA digested wi出Ase 1; 2, 206B genomic DNA digested with Ase 1; 3, wild type-strain genomic DNA

digested with Spe 1; 4, 206B genomic DNA digested with Spe 1; 5, wild type-strain genomic DNA digested with Ssp 1; 6, 206B genomic DNA digested with Ssp 1; 7, wild type-strain genomic DNA digested with Xba 1; 8, 206B genomic DNA digested with Xba 1; M, S. cerevisiae

chromosomes as size markers. Running conditions were 100V for 1hr 釦d出en 180V for 43hr with pulse time 110sec泊1.5% agarose gel. For the buffer used refer to the text.

(15)

M 1 2

1100kbp・P

23kbp・ー

Fig. 5-4. PFGE resolution of Dra 1 digested genomic DNA of S.

morookaensis wild type-strain and its mutant 206B.

Lane M, S. cerevisiae chromosomes and lambda DNA Hind III digest as síze markers; 1, wild type-strain genomic DNA digested with Dra 1; 2,

206B genomic DNA digested with Dra 1. Running conditions were 100V for 1hr and then 180V for 43hr with pulse time 110sec in 1.5% agarose gel. For the buffer used refer to the text.

(16)

2 3 4 2 3 4

Fig. 5-5. PFGE resolution of Spe 1- and Xba 1 digested genomic DNAs of S. morookaensis wild type-strain and its mutant 206B.

A, Genomic DNA was directly digested with restriction enzymes. B,

Genomic DNA was digested with restriction enzymes after elimination of the degraded genomic DNA (see text). Lane 1, wild type-strain genomic DNA digested with Spe 1; 2, 206B genomic DNA digested with Spe 1; 3,

wild type-strain genomic DNA digested with Xba 1; 4, 206B genomic DNA digested with Xba 1. Running conditions were 100V for 1hr and then 180V for 43hr with pulse time 70sec in 1.50/0 agarose gel. For the buffer used refer to the text.

(17)

4 5 M

3

DA ・hu 'K ハU ハU 1i 1i

48.5kbp

Fig. 5-6. PFGE resolution of Ase 1-, Dra 1-, Spe 1-, Ssp 1- and Xba 1 digested genomic DNA of Streptomyces coelicolor A3(2) M-130 . Lane 1, genomic DNA digested with Ase 1; 2, digested with Dra 1; 3,

digested with Spe 1; 4, digested with Ssp 1; 5, digested with Xba 1; M, S.

cerevisiae chromosomes and lambda concatemers as size markers.

Running conditions were 100V for 1hr and then 180V for 43hr with pulse time 110sec in 1.5 % agarose ge1. For the buffer used refer to the text.

(18)

M 1 2 3 4

Di Lu bh ハU ハU1ti -『i

225kbp・ー

1 2 3 4

Fig. 5-7. PFGE resolution (A) and Southem blotting analyses (B) of出e genomic DNA of S. rnorookaensis wild type-strain.

Lane M, S. cerevisiae chromosomes as size markers, 1; S. rnorookaensis genomic DNA; 2, genomic DNA digested with Xba 1; 3, digested with Spe 1; 4, digested with Ssp 1. Running conditions were 100V for 1hr and then 180V for 43hr with pulse t加le 110sec in 1.5% agarose gel. For the buffer used refer to the text.

(19)

M

388 kbp)lー

2 3 4 5

f

2 3 4 5 6

4・( 1350 kbp

4・( 1050 kbp

4・( 360 kbp

Fig. 5-8. PFGE resolution

(A)

and Southem blotting analyses (B) of Ase 1-, Dra 1-and Ssp 1 digested genomic

DNA

of S. morookaensis wild type­

strain and its mutant 206B.

Lane M, S. cerevisiae chromosomes and lambda concatemers as size

markers; 1, wild type-strain genomic

DNA

digested with Ase 1; 2, 206B genomic

DNA

digested with Ase 1; 3, wild type-strain genomic

DNA

digested with Dra 1; 4, 206B genomic

DNA

digested with Dra 1; 5, wild type-strain genomic

DNA

with Ssp 1; 6, 206B genomic

DNA

digested

with Ssp 1. Running conditions were 100V for 1hr and出en 180V for 43hr with pulse t出le 110sec in 1.5% agarose gel. For the buffer used refer to出e text.

(20)

第六章 Streptom yces mon∞'kaensis野生型株及び非生産性変異株206Bのゲノムサイズの 決定

緒言

第五章で述べたように、 アクリフラピン処理で得られた206B株は本酵素構造遺伝子を含 む大きなDNAをその染色体中から欠失していた。 しかし欠失の大きさは判っていない。 そ こで野生型株と206B株のゲノムサイズを決定し、 両者の差として欠失の大きさを求めるこ とにした。 そこで両株の全ゲノムをレアカッターで切断後、 PFGEで断片を分離して各々 の分子量を求め、 その総和をもってゲノムサイズとすることにした。 ここで問題となるの は、 PFGEで分析できる範囲内で大きさに片寄りがなくしかも適当な数の制限断片を生じ るレアカッターの選択と、 制限断片が密になっている部分、 特にほぼ同じ分子量を持つた めに重複して泳動されている制限断片をうまく分析する方法の検討である。 前者について は第五章第四節の結果から、 野生型株と206B株のゲノムを切断した場合に約70kbpから約

1900kbpの範囲に散らばった制限断片を生じるAse 1を選択した。 後者についてはまず泳動 条件を検討したがそれだけでは分析できない部分が残ったため更に検討を加えた。

第一節 蛍光測定による重複して泳動されている制限断片の確認

制限断片が重複して泳動されている部分はエチジウムブロマイド染色後に異様に幅の広 いバンド、 あるいは他に比べて蛍光が強いバンドとして確認されることが多いが、 泳動結 果の写真を肉眼で判断するのでは客観性に欠け、 また写真撮影の露出時間によっても誤差 が大きいと考えられる。 そこで染色後のゲルを直接クロマトスキャナーで測定することに した。

(21)

方法

yeast chromosome PFG marker、lambdaladder PFG marker、lambda DNAの印刷III分解物を PFGEあるいは通常の電気泳動後、 エチジウムブロマイドで染色して水銀ランプを励起光 源とするこ波長クロマトスキャナーCS-900(島津製作所)あるいは、 クセノンランプを励 起光源とするCS-9000(島津製作所、 生物化学講座所有)を用いて測定した。 またs.

morookaensisのゲノムのAseI分解物についても同様に測定した。

第二節 二次元パルスフィールドゲル電気泳動による重複して泳動されている制限断片 の確認

PFGE後、 制限断片が重なっている可能性のある部分を別種の制限酵素で処理し、 再度 PFGEする二次元PFGE (39, 42)で重複した制限断片の確認を行った。もし2本重複していれ

ば、 二次元自のPFGE後に出現してくる制限断片の分子量の総和は、 一次元日での値の2倍 の値を示す(Fig. 6-1)。ただし小さな制限断片は検出できないために正確に2倍の値は得ら れないが、 重複している制限断片の確認には十分な能力を持つと考えられる。

方法

Seakem GTG agarose (FMC)をオートクレーブで完全に融解および滅菌してゲルを作製し た。ゲル作製用のガラスプレート、 コーム等は70%エタノールでよく拭い、 泳動槽は滅菌 水で濯いだ後に、 オートクレーブした0.5X TBE buffer を入れた。ウエル(2X 125mm)に PFGE用サンプルを隙間なく詰めた。 このときサンプルはウエルに入る最大の大きさにし、

二次元自の分析に十分な量のDNAが得られるようにした。第五章第二節と同様にして泳動 後、 マーカ一部分とサンプル部分の一部をエチジウムブロマイドで染色し、 二次元PFGE による分析が必要な制限断片の位置を確認した。分析が必要な部分を染色していないゲル

から切りとり、 TE bufferで数回洗浄後、 一次元日の泳動方向と平行に2mmの厚さにゲル片 を切り分けた。続いて第五章第四節の方法で制限酵素処理して二次元自のPFGEを行った。

(22)

frrst

"

" 11

"

同咽・350kbp M・・390kbp

M・・240kbp 日咽270kbp

℃口。υω∞

日咽圃190kbp 日咽圃110kbp

80kbp

.

50kbp

.

20kbp

.

800kbp 2 bands ↓

sum

Fig. 6-1. A schematic illustration of analysis of the overlapping fragments.

(23)

第三節 S. morookaensis野生型株及び非生産性変異株206Bのゲノムサイズ

S. morookaensis野生型株および206B株のゲノムサイズ決定のために、 ゲル濃度、 パルス タイム、電源電圧、 泳動時間をさまざまに組み合わせた6.6kbpから1.9Mbpの範囲内の分析 に適する各条件を見い出したσig. 6-2 and 6-3)。 本研究ではその中の適切な条件を使用して 分析を行った。 ゲノムサイズの決定に使用している制限酵素Asel処理で生じる制限断片が 最も良く分離されたのはFig.6-3の条件のうち、1.5%のゲルを使用し、パルスタイム110秒、

100Vで1時間泳動した後に電圧を180Vに上げてさらに43時間泳動した場合であった。 この とき12本の野生型株のAse 1制限断片(A,B, C, D, E, F, 0-1, 0-2, H-l, H-2, 1, J)のうちの10本 が、206B株では7本(1,11,111,VI, V-l, V-2, VI)のうちの6本が分離された(Fig. 5-8 and Table 6-1)。 最大の制限断片はFig.6-2の条件のうち、1%のゲルを使用し、 パルスタイム10分、

75Vで95時間泳動することで野生型株のものは1850k旬、 206B株のものは1700kbpと測定さ れた(Table 6・1)。

次に、 制限断片が重複して泳動されている部分の確認のために、 クロマトスキャナーで 蛍光を測定した。 その結果、制限断片の位置の確認は可能で、またlambdaDNAのHindIII

分解物に対してはそれなりの定量性が認められた。 しかし実際の S. morookaensisのPFOE 泳動パターンでは蛍光の強い部分、 すなわち制限断片が重複している可能性のある部分を 検出することはできたが、制限断片が何本重なっているかは判らなかった(データは省略)。

そこで重複している制限断片の本数を調べるために、 泳動条件の変更や、二次元PFOEを 行った。 先に述べた制限酵素Ase 1処理で生じる制限断片を最も良く 分離できる条件で分離 した場合に約500kbp付近に認められる野生型株のバンドG、約400kbp付近に認められる野 生型株のバンドHと206B株のバンドVは蛍光が他のバンドに比べて強く 制限断片が重複し ている可能性があった。 バンドGは1.5%のゲルを使用し、 パルスタイム70秒、100Vで1時 間泳動した後に電圧を180Vに上げてさらに43時間泳動することで0-1 (505kbp)とG-2 (480kbp)の2本のバンドに分離された(Fig. 6-4)。 しかし、バンドHとVは泳動条件の変更だ

けでは分離できなかったため、 これらの制限断片をSspl等で更に処理して二次元PFGEで 分析した。 まず、 バンドHをSspIで処理すると4断片(325kbp,240kbp, 155kbp,20kbp)に切

(24)

断された。 新たに生じた制限断片の分子量の総和は740kbpとなり、 一次元日に得られた 分子量の約2倍の値を示した。 XbaIで処理した場合も同様であったことから、 バンドHは H-1 (395kbp)とH-2 (380kbp)の2本の制限断片が重複していることが判った(Fig. 6-4 and Table 6-1)。次に、 バンドVをSpeIで処理すると3断片付OOkbp,300kbp,56kbp)に切断された。新 たに生じた制限断片の分子量の総和は756kbpとなり、 一次元自に得られた分子量の約2倍 の値を示した。 SspI、 XbaIで処理した場合も同様であったことから、 バンドVはV・1 (440kbp)とV-2 (420kbp)の2本の制限断片が重複していることが明らかとなったσig. 6-5 and Table 6・1)。 以上の実験の結果S. morookaensis野生型株のゲノムサイズは8.5Mbpで、 変異株 206Bのそれは4.9Mbpで、あり、 変異株は本来のゲノムの43%にも及ぶ極めて大きなDNAを 欠失していることが明らかとなっt-:CTable 6-1)。

-67-

(25)

A B

bP-!;; 19問自

6.6kbp

D E

1900kbp 1900kbp

4.4kbp

C

1900kbp

225

kb

p

F

225kbp

Fig. 6-2. PFGE resolution of S. cerevisiae chromosomes, lambda

DNA

concatemers and its H i nd III digest in 1 % agarose gel.

(A)

75V for 65hr with pulse time 70sec;

(B)

75V for 95hr with

pulse time 10min;

(C)

75V for 140hr with pulse time 10min;

(D)

100V for 44hr with pulse time 10min; (E) 180V for 30hr with pulse time 2min; (F) 180V for 30hr with pulse time 4min. For the buffer used refer to the text.

(26)

A

ny hU LKA 「「J

勺ム

D

945kbp

9.4kbp

B C

1900kbp

815kbp

E

p hU Lh ハUハU噌,,A噌EEA

9.4kbp

Fig. 6-3. PFGE resolution of S. cerevisiae chromosomes, lambda

DNA

concatemers and its H i nd 111 digest in 1.5 % agarose gel.

(A)

60V for 168hr with pulse time 30min; (B) 180V for 30hr with pulse time 4min; (C) 100V for 1 hr and then 180V for 43 hr with pulse time 70sec;

(D)

100V for 1 hr and then 180V for 43 hr with pulse time 90sec; (E) 100V for 1hr and then 180V for 43hr with pulse time 110sec. For the buffer used refer to the text.

(27)

Table

ふ1.

The size of the

Ase 1

restriction fragments and estimation of the genome sizes of

S. morookaensis

wild type-strain and its mutant

206B.

wild tyPe-strain

206B

Fra gment Size (kbp) Fra zment Size (kbp)

A 1850 I 1700

B 1370 11 950

C 1050 111 750

D 960 1V 485

E 776 V-1 440

F

540 V-2 420

G国1 505 V1 110

G-2 480

H-1 395

H-2 380

I 97

J 68

Total

8471

Total

4855

(28)

3

540kbp 390kbp

4

540kbp 390kbp

25kbp 20kbp

Fig. 6-4. Two-dimensional PFGE of overlapping restriction

fragments from the S. morookaensis wild type-strain after digestion with Ase 1 (first dimension) and then S sp 1 or X ba 1 (second

dimension) .

Panel 1, the genomic DNA digested with Ase 1; 2, the overlapping

restriction fragments at the first dimension; 3, the same as in panel 2, digested with Ssp 1; 4, the same as in panel 2, digested with X b a 1. The running conditions in the first dimension were 100V for 1 hr and then 180V for 43hr with pulse time 110sec in 1.5% agarose gel.

The running conditions in the second dimension were 100V for 1 hr and then 180V for 43hr with pulse time 70sec in 1.5% agarose gel.

For the buffer used refer to the text.

(29)

-l85kbp 420kbp

420kbp 3

ny 'D TK fao p、J

ny LU LA ∞4 1斗

325kbp 23kbp

-+40kbp 6SJ.,.hr

Fig. 6-5. Two-dimensional PFGE of overlapping restriction

fragments from the S. morookaensis 206B after digestion with Ase 1 (first dimension) and then Sp e 1, Ssp 1 or Xba 1 (second dimension).

Panel 1, the genomic DNA digested with Ase 1; 2, the overlapping restriction fragments at the first dimension; 3, the same as in panel 2, digested with Spe 1; 4, the same as in panel 2, digested with S s p 1; 5, the same as in panel 2, digested with X ba 1. The running

conditions in the first dimension were 100V for 1 hr and then 180V for 43hr with pulse time 110sec in 1.5% agarose gel. The running conditions in the second dimension were 100V for 1 hr and then 180V for 43hr with pulse time 70sec in 1.5% agarose gel. For the buffer used refer to the text.

(30)

第七章 総合考察

現在知られている3'-ピロリン酸型ヌクレオチド合成酵素には3種ある。 まず最初に発見 されたE. coliや他の細菌類のリボゾームに存在するストリンジェントフアクター(1)、 B.

brevisとB. stearothennophi1usの菌体内可溶性画分に存在する(p)ppGpp合成酵素(2,3)、 そし てS.morl∞kaensis他数種の放線菌が生産するPPKaseである。 このうちPPKase�まATPや dATPのß,yピロリン酸を、 さらにppppAのy,8ピロリン酸をプリン、 ピリミジン、 リボ、そし てデオキシリボヌクレオチドとその誘導体の3'水酸基に転移する(4,5)。 またApnA (n=3-- 5)をも基質とする(6)。 このようにPPKaseは、 同様の機構でATPからGの)TPにのみピロリ ン酸を転移する他の2種に比べて広い受容体活性を示す。 その生産物のうち3者に共通の (p )ppGpp (1)は細菌一般の多面的な緊縮制御の信号物質として知られているが、 PPKaseは

緊縮制御非依存性(11)のため、 アミノ酸飢餓等の生育に不都合な状態に細菌を置くことな しに人為的な緊縮制御状態を作りうる可能性を持つ酵素としてその応用が期待される。 ま た、 当研究室で各種3'ーピロリン酸型ヌクレオチドの生理活性を調べたところ、 ppCpp(8) が蚕さなぎのコリオンmRNAの翻訳を in vitroにおいて3倍に促進する等、 興味深い生理活 性を示すものが見いだされている。 このことから、 PPKaseは新規な生理活性を示す3'-ピ ロリン酸型ヌクレオチド合成酵素としてもその応用が期待される。 既にPPKase遺伝子のク

ローニング、 塩基配列の決定や異種菌への導入など(15,16,17,18)が行われているが、

PPKaseの生産菌そのものにおける生理的な役割はまったく不明で、ある。 この点を明らかに するにはPPKaseを生産しない変異株、 特にPPKase遺伝子のみを失った変異株を取得し、

その性質を調べることが最も確実と考えられる。 そこで本研究では、 まず、 PPKase遺伝子 のみを失った変異株の取得のために必要なS. morookaensis野生型株の形質転換法を確立し た。 また、 S. morookaensis野生型株とアクリフラピン処理によるPPKase非生産性変異株の

一つ206B株のゲノムサイズを決定し、 206B株が本来のゲノムの43%に及ぶDNAを欠失し ていることを明らかにした。

S.morookaensis野生型株のプロトプラストは単層寒天法ではほとんど再生しないため、

重層寒天法で本菌のプロトプラストの再生を行った。検討した諸点の中で最も効果が認め -73-

(31)

られたのは、 炭素源としてのグリセロールの使用であった。 改良の結果、 対数増殖期後期 の菌から調製したS.morookaensis野生型株のプロトプラストを再現性良く約10%の率で再 生できるようになった。 また、 この再生培地はS. jividans TK24株のプロトプラストに対し ても有効であって、 一般的な有用性が認められた。

次にS. griceus由来のカナマイシン耐性遺伝子を持ったプラスミドpANT3-1(33)の導入に よる、 カナマイシン耐性能の獲得を指標とするS . morookaensis野生型株の形質転換系を確 立した。 第四章で述べたように本実験は当研究室の豊野によって継続され、 形質転換効率 も1μgDNAあたり5.5X 104個の効率を達成するまでになった。 更に、 同氏によって

PPKase遺伝子のみを失った変異株を取得する実験が進行している。

次に野生型株と非生産性アクリフラピン変異株の全DNAに対して、 クローン化されたS.

morookaensis野生型株の本酵素遺伝子を含む7.lkbpのDNA断片をプロープとし、 サザ、ンプ ロットハイブリダイゼーシヨン実験を行い、 変異株がPPKぉe遺伝子を含む7kbp以上の DNAを欠失していることを明らかにした。 S. morookaensis中には未だプラスミドは確認さ れていないが、 放線菌にしばしば存在する巨大線状プラスミド(24)上に本酵素遺伝子が存 在し、 アクリフラピン処理によってそのプラスミドが欠失した可能性も否定できない。 そ こでS. morookaensis中の巨大線状プラスミドの検索をPFGEで行ったが、 野生型株と変異 株のいずれにも認められなかった。 そこでS. morookaensis野生型株と、 複合培地中で野生 型株と同程度の生育を示す酵素非生産性変異株206B株についてこの欠失変異のゲノムレベ

ルでの分析を行った。 まず、 S. morookaensisのゲノムのレアカッターを選択し、 約70kbp から約1900kbpの範囲に散らばった制限断片を生じるAse1 (AT↓TAAT)を見いだした。 ま た、 制限酵素処理前にPFGE用サンプル中から分解したゲノムDNAを除く方法を開発し、

泳動パターン中のバンドが密な部分でもパックグランドが低いシャープな泳動パターンを 得ることに成功した。 この方法は様々な生物のゲノムをPFGEで分析する際に有効な方法 と考えられる。

次にS. morookaensis野生型株と206B株の全ゲノムをレアカッターで切断してPFGEで分 離後、 前述のDNA断片をプローブとして、 サザンブロットハイブリダイゼーション実験を

(32)

行った。 野生型株の場合には、 1050kbpのAseI断片と1350kbpのDraIσTI↓AAA)断片にハ イブリダイゼーションが認められた。 この大きさはこれまでに報告された最大の巨大線状

プラスミドの大きさ520kbpを はるかに上回っている。 しかも、 206B株では相当する制限断 片が失われていた。 これらのことから、 206B株では染色体中からPPKaseJ宣伝子を含む非 常に大きなDNAが欠失していることが判った。

そこで、 この欠失の大きさを野生型株と206B株のゲノムサイズの差として求めることに した。泳動条件の変更や二次元町GE分析から、 野生型株と206B株のゲノムをAseIで切断 すると野生型株では12本(A,B,C,D,E,F,G回1,G-2, H-1, Hム1,J)の制限断片が、 206B株で は7本(1,II, III, VI, V-1, V・2,VI)の制限断片が生じることが確認された。 最大の制限断片は 野生型株では1850kbp、 206B株では1700kbpであった。 以上の実験の結果、 S. morookaensis 野生型株のゲノムサイズは8.5Mbp、 206B株のそれは4.9Mbpで、あり、 206B株は本来のゲノ ムの約43% (3.6Mbp)にも及ぶ極めて大きなDNAを欠失していることが明らかとなった。

放線菌は遺伝的に不安定であるといわれている。 遺伝子の欠失もその原因の一つである。

本研究と同様に変異誘導によって放線菌のゲノムから大きな欠失がおきた例はS.

am bofaciens等(26,27)で報告されているが、 今回明らかになった3.8Mbpの欠失は現在最大 である。 また、 S. am bofaciens等(26,27)では欠失と同時に、 過度に増幅されたDNA配列 が 認められているが、 S. morookaensisにはそのようなDNA配列は認められず、 放線菌の欠失 変異では特異な例である。 また、 このように大きなDNAを 失っている206B株が複合培地 中で野生型株と同程度の生育を示すことは、 206B株が栄養成長に必要な遺伝子を残してい ると考えられ、 放線菌が生存するために必要な最小のゲノムの大きさを調べる良い出発材 料となるかもしれな い。

今後、 解析が必要なのは206B株では本来のゲノムのどの部分がどのように欠失している のかと いう点である。 そこで野生型株と206B株のゲノムの物理地図の作成が要 求される。

物理地図作成ではPFGEによって分離された制限断片が、 どう繋がっていたのかを決定せ ねばならない。 既にE. coliではゲノムの物理地図(43)が作成されているが、 その方法は詳 細な遺伝学的地図と数多くクローン化された既知の遺伝子を利用するものである。 放線菌

(33)

でもS. coelicolor A 3(2) (39)やS. lividans 66 (44)で物理地図が作成されているが、 両菌とも 既に遺伝学的地図が存在し、 また多くの遺伝子がクローニングされている。 一方、 S.

mOIl∞kaensisでは詳細な遺伝学的研究がなされておらず、 また本菌からクローニングされ た遺伝子はPPKase遺伝子のみであり、 E. coliなどの物理的地図の作成方法を踏襲すること はできない。 そこでリンキングプローブを用いた物理的地図の作成法が提案される。 この 方法は元々お互いにつながっていた制限断片の切断部分、 即ち制限酵素の認識部位とその 近傍をカバーするDNA配列を持ったリンキングプローブを使って制限断片を繋ぎあわせ、

ゲノム本来の姿を復元していく方法である。 ここで問題となるのは リンキングプロープ の取得法である。 幾っか方法があるが、 以下の二つの方法が利用可能と考えている。

一つは、 PFGEでは同じ分子量であっても直鎖状DNAと環状DNAとでは著しく異なった 泳動挙動を示すことを利用した方法(45)である。 まず、 全DNAを物理地図作成に使用する 制限酵素Aとは認識部位が重ならない制限酵素Bで分解し、 この分解物を制限酵素Aの認識 部位がないプラスミドに連結する。 この組換えプラスミドを制限酵素Aで切断すると、 目 的のリンキングプローブのみが直鎖状になる。 このリンキングプローブをPFGEで単離し、

環状に戻した後に形質転換操作を行ってリンキングプローブを取得使用する方法である。

もう一つは、 全DNAを制限酵素Bで分解後、 分子内連結して全ての断片を環状にする。 続 いて制限酵素Aで切断し、 その認識部位を持つために直鎖状となった目的のリンキングプ ロープをベクターに組込む方法である。 どちらかの方法でリンキングプロープが取得され たならば、 全DNAを制限酵素Aで切断してPFGE後、 そのリンキングプローブを用いてサ ザンブロットハイブリダイゼーション実験を行う。 ハイブリダイズが認められた2本の制 限断片はゲノム中で、繋がっていたことが判る。 リンキングプローブを変えてこの操作を繰 り返し、 全ての制限断片を繋ぎ合わせてゲノムの物理地図を作製する。

我々は今までに前者の方法のうちリンキングプローブを単離するためのPFGE条件の検 討と、 後者の方法によるリンキングプローブの取得を試みたが、 ゲノムの物理地図の完成

には到らなかった。 このニフのリンキングプローブの取得法が検討され、 早い時期にS.

morookaensis野生型株と変異株のゲノムの物理地図が作成されることが望まれる。

(34)

謝辞

本研究を行うにあたり、 温かく御指導と御助言を賜わりました九州大学大学院農学研究 科遺伝子資源工学専攻向井純一郎教授に深甚の謝意を申し上げます。

本論文をまとめるにあたり、 御懇切な御校関を賜わりました九州大学大学院農学研究科 遺伝子資源工学専攻緒方靖哉教授に厚く御礼申し上げます。

本研究中、 御助言御鞭捷を賜わりました九州大学大学院農学研究科遺伝子資源工学専攻 久原哲助教授に心から謝意を表わします。

本研究にあたり始終、 助言と協力を頂きました九州大学大学院農学研究科遺伝子資源工 学専攻遺伝子制御学講座の皆様に御礼申し上げます。

(35)

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参照

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東京大学 大学院情報理工学系研究科 数理情報学専攻. [email protected]

In 1989 John joined Laboratory for Foundations of Computer Science, University of Edinburgh, and started his career in computer science.. In Edinburgh John mostly focused

19370 : Brixham Environmental Laboratory (1995): Sodium Chlorate: Toxicity to the Green Alga Scenedesmus subspicatus. Study No.T129/B, Brixham Environmental Laboratory, Devon,

(ed.), Buddhist Extremists and Muslim Minorities: Religious Conflict in Contemporary Sri Lanka (New York: Oxford University Press, 2016), p.74; McGilvray and Raheem,.