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学位論文内容の要旨

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Academic year: 2021

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(1)

博 士 ( 医 学 ) 吉 田 一 人

学 位 論 文 題 名

ゴモリトリクローム変法染色による辺縁赤染筋線維の形態的特徴、

とくに辺縁平滑赤染筋線維について

学位論文内容の要旨

はじめに

  筋病理観察において ,ゴモリトリクローム変法 染色で細胞膜下に不規則な赤染部をもち内部が 崩れたragged red fiber(以下RRFと略す)を認める.このような筋線維は,ミトコンドリア筋症 ではある程度以上存在 するのが特徴であり,電子 顕徽鏡的畿察におぃて大小不同ミトコンドリア の異常集積とミトコン ドリア内バラクリスタリン 封入体などの異常を示す.一方,われわれは,

ゴモリトリクローム変 法染色で細胞膜下のほtヱ全周の薄層が均一に赤染され,内部が良く保たれ ている筋線維が出現す ることに注目した.しかし ,これらの辺縁平滑薄層赤染 線雑(smooth red filユぼ)は,辺縁不整のRRFの前段階なのか,あるいはこれらと異なる出現援序を示すものなのか 不明であり,病理学的 意味は十分には解明できていない.そこで,跚00thredfibぱ((以下SRFと 略す )とRRFとの 形 態的 相違 ,お よび 出 現す る筋 疾患 を検 討 し,SRFの出現磯序を考察 した.

材料・方法

  北 海道 大 学医 学部 附属 病院 神 経内 科に おい て1980年1月 か ら1994年10月 ま での14年10カ月 問に経験したヒト筋生 検試料738例を用い,以下の 検索を行った.

  1.組織学的検索

  ゴモリトリクローム 染色で筋細胞膜下にほほ全 周に平滑均一に赤染する薄層が存在し,筋線雑 内部 が良 く 保た れか つNADH染 色 で辺 縁が 濃染 さ れる 筋線 雑を ,「SRFJと定義した.こ れらの 標 本 に 対 し て 組 織 学 的 に ,SRFとRRF,SRF聞 の 形 態 お よ び 染 色 性 の 比 較 を 行 っ た .   2.定量組織学的検 索

  1)SRFとRRFの横断面の面積, 赤染部の面積および筋線維 径の比較:典型的な各々5症 例から I型 ,II型SRF40断 面 あ る ぃ ュ はRRF51断 面 を 選ん で面 積 を計 測し ,筋 線 雑径 を算 出し た.

  2)I型 ,n型SRFの横断面積, 赤染部面積および線雑径の比 較:I型SRFを認めたK.ugdbe曙‐

Wdandぱ 症候 群( 症 例I) とH型を 認め たミトコンドルア筋症 (症例4)との代表的各1症 例を選 び,線維の横断面積を 計測し,筋線維径を算出し た,

  3.臨床痛型との関 係

  臨 床 , 筋 病 理 診 断 とSRF, RRFが 観 察 さ れ る 症 例 と の 関 係 の 検 討 を 行 っ た .   4.SRFが観察された 代表的症例における臨床症 状、検査所見の比較

結果

  1.組織学的検索

  RRFは,ゴモルトリ クローム変法染色において筋 細胞膜下に赤く均一に濃染 する不整の縁取り を示 し,MめH染色では筋細胞膜 下が濃染され,筋線雑内部の 乱れが確認された.チトク ローム C酸化酵素染色,コハ ク酸脱水素酵素染色ではミト コンドリアの異常を認めた .電子顕微鏡観察 で,ミトコンドリア内 部にバラクリスタリン封入 体を確認した.SRFはI.n型 とその他を区別し た.I型:ゴモリトリ クローム変法染色では,筋細 胞膜下全周性に赤染する平 滑で薄い縁取りを 示した.このような筋 線雑は一般に太く,その内 部構造はよく保持されていた.N朋)H染色では 筋細胞膜下が濃染され たが,筋線維の乱れは見ら れなかった.チトクロームC酸化酵素,コハク

‑ 77ー

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酸脱 水素酵素染色は,正常であ った.電子顕微鏡観察では, ミトコンドリアの肥大,集積がみら れる のみで内部への異常封入体 の蓄積は観察されなかった.Kugelbetg‑Welander症候群などの慢 性神 経原性変化を示す症例にみ られた,II型:ゴモリトリク ローム変法染色で辺縁赤染部は平滑 でI型 に比 べ薄 く,全 周性とはなっていなかった. チトクロームC酸化酵素染色 ,コハク酸脱水 素醇 素染色でtよミトコンドリア 異常を示した,I子顛微鏡観 察ではRRFと類似していた.ミトコ ン ド リア 筋症 の症 例で み られ たが ,本 症に お けるRRFとは 光学 顕微 競的 に は異 なっ てい た,

  2.定量組織的検索

  1) .SRFとRRFの太 さと .赤 染 部の 面積および 筋糠雑径の比較:I型SRF径は ,RRFの約2倍の 大き さを示した.逆に赤染部の 筋線雑横断面に占める割台は ,I型SRFではRRFの半分以下であっ た .n型SRF径 は,RRFとほ ぽ同 様 の大 きさを示し た.赤染部の筋線維横断面に 占める割合は,

II型SRFではRRFの4分の1以下,I型SRFの半分以下であった.

  2)I,II型SRFの赤 筋、白筋線維、筋線雑径との 関係:症例1では,I型SRFの みが現れた.筋 線維tよ赤筋優位のfiber type groupingを示した.1型SRFtよ総筋穣維の722%を占め,赤筋線維が 大 部 分を 占め .陽 性隷 維 の径 は, 正常 の約2倍に 大きくなっていた.症例4で はII型SRFのみ現 れ, 正常コントロールと同様の 筋構成比を示した. II型SRFは総筋線雑の44.9%を占め,赤筋線 維が 大部分を占めた.陽性線雑 の径は,正常と同様であった .

  3.臨床病型との関係

  ヒ ト筋 生検 の738傍 (男391,女347例).年齢は 生後1週より78歳,平均3914巌(男37.9.女 412歳 )の 病型 と 筋隷 雑の 形態 と の関 連を 検討 した ,RRFは , 光学顕微鏡40倍 ,1視野に3個以 上認 めるものを陽性とすると,28症例(3.896)に限定され,全例がミトコンドリア筋症であった.

SRFは40倍 ,I視野 あた り10個 以上 認め るも の を陽 性と する と ,738症例 中158例(21.4% )に 認 め られ ,慢 性神 経原 性 変化 で173例 中87例(50.3%) にI型SRFが観察され, そのうちとくに Kugelberg‑Welander症候群にお ぃては34名中27名(79.4%) と高率にみられた.臨床的にミトコ ン ド リア 筋症 と診 断さ れ た42症例 中19例(452%) にII型SRFが 観察 され た .そ のう ち,lO例 はRRF,n型SRFの両者を,9蘭はn型SRFのみを認めた.

  4.代表的症例における検索

  慢 性神 経原 性変化を 示す症儲1のKugelberg‑Welander症候群,症例2の遺伝性 運勘感賞末梢神 経 症 では ,I型SRFを認 め た, ミト コン ドリア筋症 の症例3,4ではRRFは観察さ れなかったが,

一 部 の筋 隷雑 はn型SRFで あっ た. 症伺3に 比し て臨 床 的に 童症 であった症例3の母親は,筋病 理で 典型的なRRFを有した.

考察

RRFで は, 櫨々 の 原因 によ り, ミ トコ ンド リアDNAの欠 失め 牲 じ,ミトコンド リア酸化代甜異 常を 来たすと考えられる.RRFが 多数見られるときは,ミト コンドリア自体にー次的原因がある 病 態 を反 映し ていると 考えられる.一方,I型SRFは,ミトコンドリアの異常を 示さないで肥大 した 筋線雑であり,長期の臨床 経過を示すKugetberg一Welander症候群で高率に観察され,その出 現は ,残存筋線雑が長期にわた って肥大化していくのと同様 に過荊運鋤負荷に起因すると想像さ れ る .1型SRFにおける ミトコンドリアの細胞膜下 への集積は,太い残存筋線雑 が収縮機能を維 持す るために,ミトコンドリア が呼吸代謝の効率を保つ二次 的代償性反応であると推河される.

II型SRFはI型SRFとは 共存 せず , 異な る発現磯序 を持っと考えられる,ゴモリ トリクロニム変 法 染 色連 続切 片で 観察 し ても1本 の筋 繚維の断面 像が,II型SRFからRRFには移 行することはな い . すな わち ,II型SRFとRRFはゴモリトリクロー ム変法染色では,別種の線雑 とみなされる.

n型SRFで みら れる ミト コ ンド リア は,I型SRFでみ られ た代 償 性変 化と は異 なり ,RRFに 近似 した 異常ミトコンドリアによる と考えられる.また臨床的に は,症翻3の家族症例では,n型SRF とRRFは一 連の 変 化で あり ,軽 症 であ らわ れるII型SRFは童 症 にな るとRRFへ移 行す る可 能性 を 示 して いる .以 上よ り ,ミ トコ ンド リア筋症で 見られるH型SRFは,RRFと同 様,ミトコンド リ ア の崩 壊に 伴い発現 し,II型SRFは,ミトコンド リア筋症の進行に伴ってRRFへ移行していく 前段 階の線維であると考える.

結諭

  1. SRFはKvgelberg‑Welander症候群を中心とする慢性神 経原性変化に多く観察されるI型,ミ ト コ ンド リア 筋症 でRRFと 混在 し ても しく は単 独で 観 察さ れるII型 ,そ の 他に 分類 され た.

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参照

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