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北海 道に おける冬期道路管理の政策評価に関する研究

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Academic year: 2021

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博 士 ( 工 学 ) 浅 野 基 樹

学 位 論 文 題 名

北海道における冬期道路管理の政策評価に関する研究 学位論文内容の要旨

  1990(平成2)年に「スパイクタイヤ粉じんの発生の防止に関する法律(以下、スパイク タイヤ規制法)」が全国的に施行され、スパイクタイヤの使用は実質的に全面禁止された。

北海道のように、多雪寒冷な厳しい冬期気象条件の土地に多くの人口を抱える地域は世界 的にも希であり、このような地域でスパイクタイヤを全面的に禁止する政策を導入してい ることは非常に先駆的である。

  法の施行の結果、車粉問題は解消された。しかし、北海道では、当初想定していなかっ た非常に滑りやすい路面が発生し、冬型事故の増加、凍結防止剤散布量の増加および冬期 交通特性の悪化などの負の影響も現れた。従来の道路除雪に加えて、冬期路面管理の充実 は重要な課題となっている。

  本論文では、スパイクタイヤ規制による脱スパイクタイヤ政策を冬期道路管理における ーつの大きな政策としてとらえ、目標が達成されたかどうか、残された課題は何かなどを 明確化する政策評価を行った。,

  第 1章 序 論 で は 、 本 研 究 の 背 景 と 日 . 的 、 及 び 内 容 と 構 成 を 示 し た 。   第2章では、政策評価の理論と体系として、政策及ぴ政策評価の定義、政策評価の目的、

政策評価のあり方、政策評価の類型、および評価の尺度と論理モデルについて、一般的な 理論と考え方を示し、スパイクタイヤ規制による脱スパイクタイヤ政策が政策として評価 できることを示した。

  第3章では、スパイクタイヤ規制の土木史上の意味を示した。戦後、我が国は1956(昭 和31)年の雪寒法の制定以来、それに基づく雪寒五箇年計画の継続実施等により道路上の 雪を取り除くといういわゆる 除雪 事業を飛躍的に発展させてきた。しかし、スパイク タイヤ規制法の施行以来、非常に滑りやすいいわゆる っるっる路面 が発生し、その対 策として、凍結防止剤の散布、ロードヒーティングの整備および凍結抑制舗装や排水性舗 装等の敷設などの事業や技術開発が急速に進んだ。スパイクタイヤ規制は、雪寒道路事業 に、雪氷路面対策を重要な施策として加えた土木史上の大きな転換点であったことを示し た。

  第4章では、スパイクタイヤの普及からスパイクタイヤ規制法施行までの一連の経緯、

およびスパイクタイヤ規制後の成果と課題等から脱スパイクタイヤ政策の評価を示した。

「スタッドレスタイヤの走行により、すべり易い圧雪路が出来得る可能性があること」、

および「タイヤの種類による性能差は路面による影響が非常に大きいこと」はスパイクタ イヤ規制法施行前に指摘されていたが、結果として、これらの技術的指摘は活かされなか った。「市民意識調査」等でも、即時全面禁止というよりも、スタッドレスタイヤの改良

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や冬期路面改善といった条件のもとで将来的にスパイクタイヤの全面禁止を求めるという 意見の方が圧倒的に多かった。また、スパイクタイヤ規制法の附帯決議「.道路管理者の 負担が過重とならないよう配慮すること、.二次公害が発生しないよう留意すること、・

スパイクタイヤ粉じんの発生状況、スパイクタイヤに替わるタイヤの開発状況等を勘案し、

必要に応じスパイクタイヤ粉じん対策のあり方に検討を加え、脱スパイクタイヤ社会の実 現 に 向 け て 所 要 の 措 置 を 講 ず る こ と 、 等 」 が 軽 視 さ れ て い る こ と を 示 し た 。   第5章では 、スパイクタイヤ規制に係わる各主体への帰着便益を示した。スパイクタイ ヤの規制によって私達が得た良好な環境に対し、同人各である私達道路利用者は相当な対 価を支払っていることを示した。結果として、現在の良好な大気環境を維持しつつ、損失 を 軽 減 す る よ う な 冬 期 道 路 管 理 、 交 通 政 策 が 必 要 で あ る こ と を 示 し た 。   第6章では 、論理モデル(ロジックモデル)を用いて、脱スパイクタイヤ政策に係わる 投入、活動、結果および成果を整理し、本政策の成果と課題を整理した。「スパイクタイ ヤの使用を規制する」という手段により、「スパイクタイヤ粉じんの発生を防止し、もつ て国民の健康を保護するとともに、生活環境を保全する」という目的は達成された。しか し、それとともに現れている諸課題からは、事前評価が不十分で、プロセスが最適であっ たとは言い難いことが示された。脱スパイクタイヤ政策の評価の目的は、スパイクタイヤ 規制についてアカウンタビリティーを向上させることにある。スパイクタイヤ規制法の附 帯決議に即し、大気環境、道路管理、交通事故、冬期交通特性、凍結防止剤の環境影響等 を総合的に最適化するアウトカム指標等を利用した冬期道路管理マネジメントシステムの 導 入 、 な ら ぴ に 国 民 へ の ア カ ウ ン タ ビリ テ ィ ー向 上 が 必要 で あ るこ と を 示し た 。   第7章 で は 、 本 研 究 の 成 果 を と り ま と め る と と も に 、 今 後 の 課 題 を 列挙 し た 。

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学位論文審査の要旨 主査

副査 副査 副査

教授 教授 教授 助教授

佐藤 加賀屋 小林 中辻

学 位 論 文 題 名

馨一 誠一 英嗣     隆

北海 道に おける冬期道路管理の政策評価に関する研究

  1990(平成2)年に「スパイクタイヤ粉じんの発生の防止に関する法律(以下、スパイク タイヤ規制法)Jが全国的に施行され、スパイクタイヤの使用は実質的に全面禁止された。

北海道のように、多雪寒冷な厳しい冬期気象条件の土地に多くの人口を抱える地域は世界 的にも希であり、このような地域でスパイクタイヤを全面的に禁止する政策を導入してい ることは非常に先駆的である。

  法の施行の結果、車粉問題は解消された。しかし、北海道では、当初想定していなかっ た非常に滑りやすい路面が発生し、冬型事故の増加、凍結防止剤散布量の増加および冬期 交通特性の悪化などの負の影響も現れた。従来の道路除雪に加えて、,冬期路面管理の充実 は重要な課題となっている。

  本論文では、スパイクタイヤ規制による脱スパイクタイヤ政策を冬期道路管理における ーつの大きな政策としてとらえ、目標が達成されたかどうか、残された課題は何かなどを 明確化する政策評価を行った。

  第 1章 序 論 で は 、 本 研 究 の 背 景 と 目 的 、 及 び 内 容 と 構 成 を 示 し た 。   第2章では、政策評価の理論と体系として、政策及び政策評価の定義、政策評価の目的、

政策評価のあり方、政策評価の類型、および評価の尺度と論理モデルについて、一般的な 理論と考え方を示し、スパイクタイヤ規制による脱スパイクタイヤ政策が政策として評価 できることを示した。

  第3章では、スパイクタイヤ規制の土木史上の意味を示した。戦後、.我が国は1956(昭 和31)年の雪寒法の制定以来、それに基づく雪寒五箇年計画の継続実施等により道路上の 雪を取り除くといういわゆる 除雪 事業を飛躍的に発展させてきた。しかし、スパイク タイヤ規制法の施行以来、非常に滑りやすいいわゆる っるっる路面 が発生し、その対 策として、凍結防止剤の散布、ロードヒーティングの整備および凍結抑制舗装や排水性舗 装等の敷設などの事業や技術開発が急速に進んだ。スパイクタイヤ規制は雪寒道路事業に、

雪氷路面対策を重要な施策として加えた土木史上の大きな転換点であったことを示した。

  第4章では、スパイクタイヤの普及からスパイクタイヤ規制法施行までの一連の経緯、

およびスパイクタイヤ規制後の成果と課題等から脱スパイクタイヤ政策の評価を示した。

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「スタッドレスタイヤの走行により、すべり易い圧雪路が出来得る可能性があること」、

および「タイヤの種類による性能差は路面による影響が非常に大きいこと」はスパイクタ イヤ規制法施行前に指摘されていたが、結果として、これらの技術的指摘は活かされなか った。「市民意識調査」等でも、即時全面禁止というよりも、スタッドレスタイヤの改良 や冬期路面改善といった条件のもとで将来的にスパイクタイヤの全面禁止を求めるという 意見の方が圧倒的に多かった。また、スパイクタイヤ規制法の附帯決議「・道路管理者の 負担が過重とならないよう配慮すること、.二次公害が発生しなぃよう留意すること、・

スパイクタイヤ粉じんの発生状況、スパイクタイヤに替わるタイヤの開発状況等を勘案し、

必要に応じスパイクタイヤ粉塵対策のあり方に検討を加え、脱スパイクタイヤ社会の実現 に 向 け て 所 要 の 措 置 を 講 ず る こ と 、 等 」 が 軽 視 さ れ て い る こ と を 示 し た 。   第5章では、スパイクタイヤ規制に係わる各主体への帰着便益を示した。スパイクタイ ヤの規制によって私達が得た良好な環境に対し、同人各である私達道路利用者は相当な対 価を支払っていることを示した。結果として、現在の良好な大気環境を維持しっつ、損失 を 軽 減 す る よ う な 冬 期 道 路 管 理 、 交 通 政 策 が 必 要 で あ る こ と を 示 し た 。   第6章では、論理モデル(ロジックモデル)を用いて、脱スパイクタイヤ政策に係わる 投入、活動、結果および成果を整理し、本政策の成果と課題を整理した。「スパイクタイ ヤの使用を規制するJという手段により、「スパイクタイヤ粉じんの発生を防止し、もっ て国民の健康を保護するとともに、生活環境を保全する」という目的は達成された。しか し、それとともに現れている諸課題からは、事前評価が不十分で、プロセスが最適であっ たとは言い難いことが示された。脱スパイクタイヤ政策の評価の目的は、スパイクタイヤ 規制にっいてアカウンタビリティーを向上させることにある。スパイクタイヤ規制法の附 帯決議に即し、大気環境、道路管理、交通事故、冬期交通特性、凍結防止剤の環境影響等 を総合的に最適化するアウトカム指標等を利用した冬期道路管理マネジメントシステムの 導 入 、 な ら ぴ に 国 民 へ のア カ ウ ン タビ リ テ ィー 向 上 が必 要 で ある こ と を示 し た 。   第7章 で は 、 本 研 究 の 成 果 を と り ま と め る と と もに 、 今 後の 課 題 を列 挙 し た。

  これを要するに、著者は、スパイクタイヤの全面禁止を例に冬期道路管理の政策評価を 実施し、ロジックモデルを用いて全面禁止政策の効果と課題を明確にし、冬期道路管理マ ネジメン卜システムの提案を行ったものであり、交通安全工学、都市交通計画、道路管理 工学の発展に貢献するところ大なるものがある。

  よって 著者は、 北海道大学博士(工学)の学位を授与される資格あるものと認める。

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参照

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