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児童創出評価基準表を利用した学習環境の開発と授業実践に関する研究

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(1)平成14年度 学位論文. 児童創出評価基準表を利用した 学習環境の開発と 授業実践に関する研究. 兵庫教育大学 学校教育研究科 学校教育専攻 教育方法コース. MO1027K 金 子 英 生.

(2) はじめに・・・… 。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・…. 1. 第1章 自己評価を促す他者評価とポートフォリオ・・・・・・・・…. 4. 1.1 「生きる力」と総合的な学習の時間・・・・・・・・・・…. 4. 1.2 総合的な学習の時間における学習活動・・・・・・・・…. 10. 1.3 自己評価・・・・・・…. ’ .’●’.’.●’●”11. 1.4他者謂西・・・・・・… 。・・・・・・・・・… 。。15 1.5 ポートフォリオ・・・・・・・・・・・・・… 一… 18 第2章 児童創出評価規準・評価基準表・・・・・・・・・・・・…. 22. 2.1 評価規準・評価基準表を利用したポートフォリオ・・・…. 22. 2.2 児童創出評価規準・評価基準表を利用したポートフォリオ・・24 2.3 児童創出による評価規準・評価基準表の作成・・・・・…. 2.4 学習の流れ・一・・・・・・・…. 。・・・…. 28. 。・・33. 第3章 電子ポートフォリオシステムの開発・・・・・・・・・・…. 3.1 システム開発の視点・・・・・・・・・・・・・・・…. 37. 。37. 3.2 開発のためのソフトウェア・・・・・・・・・・・・・…. 41. 3.3 システムの全体構造・・・・・・・・・・・・・・・・…. 42. 3.4 システムの開発・・・・・・・・・・・・・・・・・・…. 43. 3.4.1 システムの各機能の開発・・・・・・・・・・・…. 43. 3.4.2 写真資料の入力部分の開発・・・・・・・・・・…. 50. 3.5 システムの各インターフェイス・・・・・・・・・・・… 3.5.1 インデックスサーバー内の各インターフェイス・…. 54 54. 3。5.2 ポートフォリオサーバー内の各インターフェイス…. 57. 3.5.3 コミュニケーションサーバー内のインターフェイス・・72 第4章 授業実践と児童の活動・・・・・・・・・・・・・・・・…. 4.1 授業の設計・・・・…. 。・・・…. 。…. 75. 一・・。75. 4.1.1授業実践の目的・・・・・・・・・・・・・・・… 75 4.1.2 授業実践の単元構想・・・・・・・・・・・・・…. 75. 4.1.3 実践校の学習環:境・・・・・・・・・・・・・・…. 4.1.4 授業計画・・・・・…. 一・・・・・・・・…. 80. 4.1.5 学:習指導案・・・・・・・・・・・・・・・・・…. 4.2 授業の経過。・・・・…. 。…. 一・・・…. 78. 83. c・・90. 4.2.1 「問題設定」の段階・・・・・・・・・・・・・…. 90.

(3) 4.2.2. 「計画」の段階・・・・・・・・・・・・・・…. 4.2.3 f追究」の段階・・。・・・・…. 。一・…. 105. 110. 4。2.4 「単元のまとめ」の段階・・・・・・・・・・…. 116. 4.3 児童の活動と学習環境・・・・・・・・・・・・・・・…. 118. 4.3.1 他者評価とポートフォリオの改善・・・・・・…. 118. 4.3.2 他者のポートフォリオからの発見・一・・・…. 131. 4.3.3 自己評価とポートフォリオの改善・・・・・・…. 132. 4.3.4 次の学習につながる評価規準・評価基準表一…. 142. 4.3.5 児童の活動と電子ポートフォリオシステム・・…. 143. 4.4 まとめと今後の課題・・・・・・・・・・・…. ●’”147. おわりに・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・… 引用文献・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・…. 参考文献・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・…. 謝辞. 150 152. 153.

(4) はじめに. 今日の変化の激しい世の中では,知識の陳腐化が早まり,学校時 代に獲得した知識を大事に保持していれば済むということはなく, 生涯学習が叫ばれるようになった。. 学校教育では,社会の変化に柔軟に対応しうる人間を育成するた め,これまでの知識を一方的に教え込むことになりがちであった教 育を反省し,「総合的な学習の時間」を設けるなど,問題解決能力や. 自ら学び自ら考える力などの生きる力の育成を重視した教育への転 換を図ろうとしている。. このような中,児童が問題解決能力や自ら学び自ら考える力など の生きる力を育成するための学習は,どうあったらいいのかという 問題意識が,多くの教師に持たれている。従来の学習において,児 童の自己評価は教師が児童の学習結果を評価することに重点が置か れていた。その自己評価を,児童が児童自身の学習を評価し改善し ていくためのものにしていくことが大切であると考える。. そこで,本研究は,総合的な学習の時間において,問題解決能力 の育成を目指し,児童が児童自身の問題解決や学び方を自己評価し 改善していく学習を構成する。また,児童の自己評価を促す手立て として,ポートフォリオや他者評価を取り入れる。. 現在,総合的な学習の時間をはじめとして,ポートフォリオを用 いた学習が広く実践されている。ポートフォリオを用いた学習では,. 評価規準や評価基準表をもとに児童の学習過程の評価が行われる。. それらの実践の多くは,教師の側で評価したいことを,評価規準や 評価基準表として設定し,それを使って子どもに自己評価させ,学 一1一.

(5) 習の改善を行わせている。これでは,教師が児童を評価するための 自己評価であり,一人一人の子どもの自己評価は主体的なものでは なく,切実な学びとして学習が意識されていかない。. そこで,児童が,教師の支援を得ながら,各自の学習の目標を決 め,自ら評価規準として設定し,さらに,児童がそれをもとに評価 基準表を作る。その評価規準・評価基準表を児童が学習場面で利用 し,自らの問題解決や学び方を自己評価し,他者評価を得て,改善 しながら学習を進めていくポートフォリオとする。. そして,ポートフォリオを用いた学習を支援するため,ロンピュ ータ利用のメリットを活かし,自己評価機能や学習情報入力機能,. 学習情報抽出機能,ポートフォリオ編集機能,コミュニケーション 機能,閲覧機能を装備した電子ポートフォリオシステムを開発し, 活用する。. 上記の学習環境を開発し,小学校6年生において,「地域」を題材 として総合的な学習を展開する。. 本論文の構成は,次の通りである。. まず,第1章では自ら学び自ら考える力などの生きるカの育成が 望まれる背景や自己評価の重要性,児童の自己評価を促す他者評価 やポートフォリオについて述べる。. 第2章では,評価規準や評価基準表で振り返りを行うポートフォ リオの先行事例を分析し,本研究における評価規準,評価基準表の 創出の手立てについて述べる。. 第3章では,まず,コンピュータを利用したポートフォリオの利 点を述べる。そして,電子ポートフォリオシステムの機能について まとめ,システムの全体構成や開発したシステムのインターフェイ 一2一.

(6) スについて述べる。. 第4章では,実践校の児童の実態や学習環境,教師の願いをもと に作成した単元の計画および授業実践について述べる。そして,授 業実践での評価規準・評価基準表の創出の手順や児童創出の評価規 準・評価基準表を利用した自己評価・他者評価やシステムとポート フォリオの関わりについて述べる。最後に児童創出の評価規準・評 価基準表を利用した学習の成果と課題についての知見をまとめる。. 一3一.

(7) 第1章 自己評価を促す他者評価とポートフォリオ 1.1. 「生きる力」と総合的な学習の時間. 変化の激しい世の中に柔軟に対応しうる人間を育成するため 文部省では,これまでの知識を一方的に教え込むことになりが ちであった教育を反省し,「総合的な学習の時間」を設けるなど 体験的な学=習や問題解決的な学習にじっくりとゆとりをもって 取り組んだりしながら,「自ら学び自ら考える力」などの「生き る力」の育成を重視した教育へと転換を図ろうとしている。. 図1−1に示すように,1996年(平成8年)7月に出さ れた中央教育審議会第一次答申「21世紀を展望した我が国の 教育の在り方について」では,子どもたちの生活の現状として, ゆとりのない生活,社会性の不足や倫理観の問題,自立の遅れ,. 健康・体力の問題,いじめや不登校の問題を指摘し,これから の社会については,国際化の進展,情報化の進展,科学技術の 発展や地球環境問題,少子化・高齢化社会などの深刻化を予想 している。. このような子どもたちの生活の現状とこれからの社会の展望 から,今後における教育の在り方として,時代を超えて変わら ない価値あるものをしっかりと身につけると同時に,時代の変 化とともに変えていく必要があるものに柔軟に対応していくこ とが大切であるとしている。. そして,これからの変化の激しい社会にあって子供たちに必 要となるのは,「生きる力」であると述べている。『「生きるカ」. とは,これからの変化の激しい社会において,いかなる場面で も他人と協調しつつ自律的な社会生活を送っていくために必要 一4一.

(8) これからの教育の在り方. 社会の展望. 現状. 総ロ化 情報化 科学技術の. 艪ニりのない生活 社会性の不足 マ理観のなさ 自立の遅れ 注N体力の問題 受験競争の過熱 「じめ 不登校 体験の不足. ュ展. ツ境問題 高齢化・少子化. 今後における教育の在り方. 平成8年7月 中央教育審議△噺申 @ 「21世紀を展 した我 「時代を超えて変わらない. 第一 ん申)’国の教. 在り方について」. 「時代の変化とともに. ソ値あるもの」をしっかり. @変えていく必要があるも. ニ身に付ける。. フ」に柔軟に対応していく。. 「生きる力」の育成 u生きる九=「これからの社会を生きていくのに必要となる力」. 自分で課題を見つけ,自ら学び, ゥら考え,主体的に判断し,. s動し,よりょく問題を解決する. 綜ソや能力. 自ら律しつつ,他人とともに. ヲ調し,他人を思いやる心や感 ョする心など,豊かな人間性. たくましく生きるための健康や体力. 図1−1 1996年7月 中央教育審議会第一次答申 「21世紀を展望した我が国の教育の在り方について」. 一5一.

(9) となる人間としての実践的な力』(1)であり,『単に過去の知識. を記憶しているということではなく,初めて遭遇するような場 合でも,自分で課題を見つけ,自ら考え,自ら問題を解決して いく資質や能力である』(1)と述べている。また,あふれる情報. の中から自分に本当に必要な情報を選択し,主体的に自らの考 えを築き上げていく力などは,この生きる力の重要な要素であ るとしている。. そして,これからの子どもたちに必要となる生きる力として, ・自分で課題を見付け,自ら学び,自ら考え,主体的に判断し,. 行動し,よりょく問題を解決する能力. ・自らを律しつつ,他者とともに協調し,他人を思いやる心や 感動するこことなどの豊かな人間性 ・たくましく生きるための健康や体力. ω. の3つを挙げている。また,生きる力を育む手立てとして,. ・学校,家庭,地域社会の連携と家庭や地域社会における教育 の充実. ・子どもたちの生活体験・自然体験等の機会の増加 ・生きるカの育成を重視した学校教育の展開 ・子どもと社会全体のゆとりの確保. (1). の4点をあげ,これからの学校教育の在り方としては,『「生き る力」の育成を基本とし,知識を一方的に教え込むことになり. がちであった教育から,子どもたちが,自ら学び,自ら考える 教育への転換を目指す』(1>とし,小中学校においては,『自ら. 学び自ら考える教育を行っていく上でも問題解決的な学習や体 験的な学習の一層の充実を図る』(1)と述べている。 一6一.

(10) また,「生きるカ」が全人的な力であることを踏まえ,横断 的・総合的な指導を一層推進し得るような新しい手立てを講じ て,豊かに学習活動を展開していくことが極めて有効であると し,総合的な学習の時間の設定を提言している[文部省1996]。. そして,1998年(平成10年)7月に出された教育課程 審議会答申「幼稚園,小学校,中学校,高等学校,盲学校,聾 学校及び養護学校の教育課程の基準の改善について」では,. 平成10年7月. 教育課程審議会答申 「時代を超えて変わらない. 社会の変化に柔軟に対応し得 髏l間の育成. @価値あるもの」を身に付け. 教え込む教育から, u自ら学び自ら考える教育」×}の、転換. 鞘課程の基準の改善の4)ゆねらい1 自ら学び自摂考える力の. 豊かな人間性や社会性,国際社. 逅ャ. ?ノ生きる目本人としての自 oの育成. ゆとりのある教育活動,基礎基本の確実な 闥?C個性を生かす教育 特色ある教育,特色ある学校づくり. 図1−2 1998年7月 教育課程審議会答申. 一7一.

(11) 図1−2に示すように,時代を超えて変わらない価値あるもの をしっかりと身につけさせ,なおかつ,社会の変化に柔軟に対 応し得る人間を育成する必要があると述べている。また,激し い変化が予想される社会において,主体的,創造的に生きてい くために自ら考え,判断し,行動できる資質や能力を育成して. いくことが重要だとして,『これまでの知識を一方的に教え込 むことになりがちであった教育から,自ら学び自ら考える教育 へと,その基調の転換を図り,子どもたちの個性を生かしなが ら,学び方や問題解決などの能力の育成を重視する』(2)ことを 述べている。. このような考え方に立って,教育課程の基準の改善のねらい として,. ・豊かな人間性や社会性,国際社会に生きる日本人としての自 覚を育成すること ・自ら学び,自ら考える力を育成すること. ・ゆとりのある教育活動を展開する中で,基礎基本の確実な定 着を図り,個性を生かす教育を充実すること. ・各学校が創意工夫を生かし,特色のある教育,特色ある学校 づくりを進めること. (2). の4つをあげている。. その中の2つ目にある自ら学び,自ら考える力を育成するこ とについては,『幼児児童生徒の発達状況に応じて,知的好奇 心・探究心をもって,自ら学ぶ意欲や主体的に学ぶカを身に付 けるとともに,試行錯誤をしながら,自らの力で論理的に考え 判断する力,自分の考えや思いを的確に表現する力,問題を発 一8一.

(12) 見し解決する能力を育成し,創造性の基礎を培い,社会の変化 に主体的に対応し行動できるようにすることを重視した教育活 動を積極的に展開していく必要がある』(2)と述べている。. また, 「総合的な学習の時間」が創設が述べられ,そのねらい. として,『各学校の創意工夫を生かした横断的・総合的な学習や 児童生徒の興味・関心等に基づく学習などを通じて,自ら課題を 見つけ,自ら学び,自ら考え,主体的に判断し,よりょく問題を 解決する資質や能力を育てる』(2)ことをあげている。また,『情. 報の集め方,調べ方,まとめ方,報告や発表や討論の仕方などの 学び方やものの考え方を身に付けること,問題の解決や探究活動 に主体的,創造的に取り組む態度を育成すること,自己の生き方 についての自覚を深めることも大きなねらいの一つ』(2)として いる[文部省1998】。. 以上の流れを受けて,1998年(平成10年)12月に出 された学校教育法施行規則では,国語,社会,算数,理科,生 活,音楽,図画工作,家庭及び体育の各教科,道徳,特別活動 に加えて,総合的な学習の時間が明示され,年間授業時数とし. て,第3・4学年には年間105単位時間,第5・6学年には 年間110単位時間が割り振られている【文部省1998]。. 総合的な学習の時間のねらいとしては,1998年(平成1 0年)12月に出された小学校学習指導要領の中で, ・自ら課題を見付け,自ら学び,自ら考え,主体的に判断し, よりょく問題を解決する資質や能力を育てること。. ・学び方やものの考え方を身に付け,問題の解決や探究活動に. 主体的,創造的に取り組む態度を育て,自己の生き方を考え 一9一.

(13) ることができるようにすること。. (3). の2点をあげている[文部省1998】。. 1。2 総合的な学習の時間における学習活動. 1998年(平成10年)7,月に出された教育課程審議会答 申「幼稚園,小学校,中学校,高等学校,盲学校,聾学校及び 養護学校の教育課程の基準の改善について」の中で,今までの ような知識を教え込むような授業の在り方を改め,子どもたち が自分で考え,自分の考えを持ち,それを自分の言葉で表現す ることができるような力の育成を重視した指導を進めていく必 要があり,指導にあたって,教師は,子どもたちと共に学び考 え,子どもたちの問題解決を助けていく姿勢が大切であると述 べている。そして,学力については,単なる知識の量ととらえ るのではなく,自ら学び自ら考えるカなどの生きる力を身に付. けているかどうかによってとらえるべきであると述べている [文部省1998]。学力観が大きく転換し,学習指導の変革を教師 は求められている。. 1999年(平成11年)5月に出された小学校学習指導要領 解説総則編では,総合的な学習の時間での活動について,『一定. の知識を覚え込むのではなく,児童が直接体験したり,問題解 決に取り組む学習を積極的に取り入れていく必要がある』(4)と. 述べている。また,豊かな学習活動を展開するためには,学習 形態を工夫したり,地域の専門家など外部の人々の協力を得る とともに地域の学習機関や学習環境などを積極的に活用したり する必要を述べている[文部省1999】。. 一1(〉・.

(14) しかし,総合的な学習の時間における,具体的な授業の工夫 や授業実践は,学校現場にまかされており,問題解決能力や自 ら学び自ら考える力の育成を目指した授業はどうあったらいい のかという問題意識を多くの教師が持っている。. 1.3 自己評価 本節では,問題解決能力や自ら学び自ら考える力などの生き る力を育成する手立てとして,自己評価について述べる。. 自己評価とは,評価する人と評価される人が同一人物である 場合を指す[鹿毛雅治2000]。本研究では,児童が自分自身の学 習活動を評価することを自己評価と呼ぶ。. 小学校学習指導要領解説総則編では,総合的な学習の時間に おける教師による児童の評価方法のひとつとして,児童の自己 評価の活用を述べている[文部省1999]。. また,2000年(平成12年)12月に出された教育課程 審議会答申「児童生徒の学習と教育課程の実施状況の評価の在 り方について」は,目標に準拠した評価及び個人内評価の重視,. 指導と評価の一体化といった,どのように児童を評価し,その 後の指導に役立てていくかなど教師の側からの評価の在り方を 述べているが,その中に,自己評価についての記述がわずかな がら見られる。答申では,教師による児童の評価に児童による 自己評価を生かすことが有効であると述べるとともに,『自己 評価については,自ら学ぶ意欲などを見る上で有効であるばか りでなく,児童生徒が自分自身を評価するカや他人からの評価 を受け止める力を身に付け,自己の能力や適正などを自分で確 一11一.

(15) 認し,将来を探求できるようにするためにも大切である』㈲と 述べている[文部省2000]。. 従来の児童の自己評価は,教師が設定した評価項目について 児童が自らの学習の評価を行い,教師はその児童の自己評価を 児童の評価評定に生かしてきた。児童の自己評価は教師のため のものであったということができる。この自己評価観を児童の ためのものに転換していく必要がある。 佐藤真(1998)は,『自己評価は,評価・評定意識から脱却して,. 学習改善のみならず,学習者の学習活動の向上のための機能と して活用されなければならない』(6)と述べ,評価法の研究が児. 童の自己理解を促すといった視点がかなり欠如していたことを あげている[佐藤真1998]。. 高木展郎(2001)は,『指導者と・しての教師が主となって行っ. てきたこれまでの評価を,これからは学びを支える者のみでな く,学び手自身,さらに学びを共有する学び手同士が行うこと. に転換し,評価のパラダイムそのものを広げていかなくてはな らない』(7)と述べている。. 加藤幸次(2001)は,評価主体として教師と子どもを縦軸にお. き,横軸に評価対象として同じく教師と子どもをおいた,図1 −3のような「授業評価のマトリックス」を示し,従来の自己 評価は,教師が子どもを評価するというBの領域に限られたも のであり,本来の自己評価は,子どもが自らの学習活動を評価. するDの領域に属するものであると述べている[加藤幸次 2001】。. 一12一.

(16) T:教師. S:子ども 評価対象. 評価主体. T. S. T. A. B. s. C. D. 図1−3 授業評価のマトリックス[加藤幸次20011(8). 奈須正裕(1998)は,『学校は教師の納得のためにあるのでは. ない。子どもたちの納得のためにあるのである。子どもたち一 人ひとりが,より納得のいく在り方を求めて自身の生活を拡充 する。そのための学びと実践の場を学校と呼ぶのである。評価 も,このような学習指導観なり学校観の文脈の中で考えたい』 (9)と述べている。. 本研究では,総合的な学習の時間においては,児童が学んで いくという立場にたって,児童が自身の学習を自己評価してい く学習活動を構成したい。そのような学習活動を構成し,学習 を何度も行う中で,児童は学び方を身につけ,自ら学んだり考 えたり問題解決したりできるようになっていくと考える。 田中博之(2000)は,『自己評価とは,自らの学習の改善を目指. して,自己を対象化して客観的に把握し,薪たな学びへの意欲 を抱くこと』(鋤 とし,自己評価が「指示待ち人間」である子. 供たちを自ら探求する子供たちへと育てていくと述べている。. 一13一.

(17) また,自己評価の教育的意義として,目標が十分達成できたと ころについて自信を持つことができること,学習が不十分なと ころについては新たな達成意欲を持つことができること,自ら の学びの改善案やより高い目標を考える機会を持つことができ ることなどをあげている【田中博之2000】。. 学習が充分達成されたか,学習が不十分であったかどうかを 自己評価で判断するためには,「評価規準」や「評価基準表」が. 必要である[北尾倫彦2002]。本研究で,「評価規準」とは,何. を評価するのかという判断の根拠で,学習で児童が目指す姿の ことである。なお,評価規準は,単元の目標から評価の観点に 沿って設定する。「評価基準表」とは,どの程度であるかという. 判断の根拠で,評価規準がどの程度達成できたか判断したり,. 評価規準の達成を目指して次にやるべきことを判断したりする ために,評価規準の達成度をレベル分けして示した表である。. 自己評価に,評価規準や評価基準表を取り入れることで,児童 が自分自身の学習活動を見つめ,自分のカを高めていけるよう にしていく。. しかしながら,児童一人一人の力や活動や評価規準にしたい ことは,まったく同じではない。教師によって一律に評価規準 や評価基準表が設定された自己評価カードを一方的に与えるの では,児童一人一人の奮起は望めない。そこで,一人一人に対 応した評価規準や評価基準表にする必要ぷある。. 一人一人に対応した評価規準や評価基準表といっても,教師 が一方的に与えた評価規準や評価基準表では,児童の自己評価 の活動はより主体的なものにはならない。そこで,児童自身が 一14・.

(18) 評価規準や評価基準表を設定し,それを利用する自己評価にし ていく。このように自らが評価規準や評価基準表を設定し,自. 己評価していくことで,児童一人一人の最近接に働きかけ,児 童一人一人の学習の向上を促すことができると考える。また,. 自ら評価規準や評価基準表を設定し,自己評価しながら学習を. 進めていくことは,生涯に渡って学習していくカにつながると 考える。. しかし,今まで教師から与えられるだけの自己評価しか経験 していない児童にとって,自分自身の評価規準や評価基準表が. 創出できるようになるためには,段階が必要である【佐藤真 2002]。. そこで,「教師の支援により児童が評価規準・評価基準表を創 出する毅階」を経て,「児童が,独力で評価規準・評価基準表を 創出する段階」へと高めていく。. 本研究は,「教師の支援により児童が評価規準・評価基準表を. 創出する段階」における支援の工夫をしていく。詳しくは,2 章で述べる。. また,自己評価を促すために,児童が学習活動の成果などの 情報をいつでも振り返えることができたり,自分の評価規準や 評価基準表をいつでも確認したりできるように学習環境を工矢 する。. 1.4 他者評価 本節では,自己評価を促すための支援としての他者評価につ いて述べる。. 一1ξ卜.

(19) 他者評価とは,評価する人と評価される人が別人である場合 を指す[鹿毛雅治2000]。本研究では,教師や他の児童,中学生. や地域の人が,学習者の学習活動を評価することを他者評価と 呼ぶ。また,ある児童の学習活動を他の児童が評価することを 相互評価と呼ぶ。他者評価の中に,相互評価は含まれるものと する。. 波巌(2000)は,問題解決活動をコントロールするのがもう一. 人の自分であり,その存在を「司令塔」と呼んでいる。司令塔 としての自分は,今,問題解決のどの部分に取り組んでいるの か全体の中の位置付けを意識したり,もっと別のやり方はない のかなどよりよいものを目指したり,次は何をしたらよいかな ど新たな目標の設定に関わったりする自己評価活動をする。そ. して,この「司令塔」は,2つの側面がある。2つの面とは, 現在の自分に満足せずに常に高い目標を設定し,さらなる努力 を促す働きをする面と,現在の自分を肯定し現状に満足する働 きをする面である【波巌2000]。. 児童にとって,この両面のバランスのとれた成長が大切と考 えるが,学習活動において,現在の自分を肯定し現状に満足す る面が強く表れては,現状より向上が望めない。そこで,その ような面が強く現れている児童については,学習活動において は,さらなる努力を促す働きをする面を児童から引き出し向上 を促すよう支援することが必要となる。また,学習において,. 児童の活動が正しい方向に進んでいないことも考えられる。そ のような揚合には,方向修正が必要となる。そのための支援と して,他者評価を行う。そして,さらに向上を求めたい点につ 一16・.

(20) いては,アドバイスとして児童に返していく。. 秋田喜代美(2002)は,自己評価の力は,自己評価活動を繰り. 返すのみでは育たず,教師や他の大人から,共に学ぶ仲間から 評価される経験を通して,多様な評価の観点を取り組むことが 大切であることや前に書いた振り返りを次の時間の最初に見る 時間をとってから活動することの大切さを述べている[秋田喜 代美2002]。井上正明(1997)は,子どもに自己評価をさせた場. 合,必ず教師がチェックし,児童の学習の軌道を調整すること が大切であると述べている[井上正明1997]。佐藤真(2002)は,. 相互評価させる場合,友達を評価することによって自らもまた. 振り返る契機になることを児童に指導する必要を述べている [佐藤真20021。これらの点もしっかりと押さえた指導にしてい く必要がある。. 安彦忠彦(1987)は,子どもの成長を幼児期,小学校3年生ま. で,小学校4年生以後の3段階に分けて説明している。幼児期 の子どもは自己中心性が強く自己評価も主観的で自分の都合に 合わせた勝手なものであるが,やがて両親や教師といった周囲 の大人による他者評価が,自分の行動基準として絶対的なもの. となり,小学校4年生以後になると他者の言うことを自ら判断 して取捨選択しようとし始め,他者評価を相対化してそこから も学びながら自己評価を客観的で視野の広いものにすることが できるようになるという[安彦忠彦1987】。このことから,小学. 校4年生以後の児童には,自己評価を支援するものとして他者 評価・相互評価が有効に働くといえる。. 一17」.

(21) 1.5 ポートフォリオ 本節では,自己評価を促すための有効な学習方法としてポー トフォリオについて焦点をあてて述べる。. これからの教育に求められているのは,知識の量を中心とし た学力観・評価観ではなく,自ら学び考える力など生きる力を 中心とした学力観・評価観である。教育課程審議会答申「児童 生徒の学習と教育課程の実施状況の評価の在り方について」で は,評価方法の工夫改善について,『学習活動の特質に応じ,学. 習の過程における児童生徒のレポートや作品など具体的事例を 保存し,学習の進め方などの指導に役立てる評価も有効である』. ㈲と述べている。このような評価方法として最近注目されてい るのがポートフォリオ評価である。. ポートフォリオとは,もともと,紙バサミ,折りかばん,書 類携帯用ケースといった入れ物なり容器のことを意味する言葉 である[高浦勝義2000]。一般的には,ある人がやってきた仕事 や活動について体系的に収集した物をさし,建築,写真,芸術,. 広告,ジャーナリズムの専門分野では,これらの仕事に従事す る人が,自分の顧客や雇い主に自分の技術や技能,やり遂げた ことやそめ成長の軌跡を示すために,自分の仕事のサンプルや よい作品を集めてポートフォリオとしてファイルやフォルダー に保存したりしている[寺西和子2001】。. ポートフォリオが教育現場へ導入されるにいたった背景は,. 1980年代後半にさかのぼる。この時期,学力向上を強調したレ ポート「危機に立つ国家(Nation at Risk)」(1983年)を契機と. して,各学区,学校での教育成果を点検し,説明責任の要請に 一1&.

(22) こたえるものとして標準テストが多用される。しかし,その標. 準テストに対し,学校の教育成果を評価できるのかという疑問 や批判が起こり,リアルな課題に取り組ませる過程で子どもた ちを評価する「真正の評価」の必要性が提唱されるようになる。. その「真正の評価」の具体的な方法としてポートフォリオ評価 が提起された。【田中耕治2001]。. ポートフォリオ評価とは,学習活動において児童生徒が作成 した作品,レポートをはじめ,作文や活動中の写真などファイ ル(ポートフォリオ)に入れ保存しそれを評価に生かしていく方 法であるf田中耕治2001】。. ポートフォリオ評価が登場した背景を見ると,当初,ポート フォリオ評価は,教師が児童を評価するための評価方法であっ たということができる。. 加藤幸次(2001)は,ポートフォリオを「教師用ポートフォリ. オ」と「子ども用ポートフォリオ」という2種類の分類をして いる。「教師用ポートフォリオ」とは,教師が自ら指導を振り返 り,反省するために用いるポートフォリオで,「子ども用ポート. フォリオ」とは,児童が自らの学習活動を振り返り,反省する ために用いるポートフォリオ』である[加藤幸次2001]。. 「子ども用ポートフォリオ」の利点としては,自分が自発的 に学びの伸びや変容を多面的多角的かつ長期的に評価し,新た な学びに生かすことができ【安藤輝:次1999】,一人一人の子ども. の自己学習力の向上に通じる[高浦勝義2002]ことがあげられ る。. 本研究では,学習の成果物を自己評価したり,相互評価した 一19.

(23) りすることで,自分の学びを振り返り,自分の学びを改善して. いく「子ども用ポートフォリオ」を学習に取り入れていく。本 研究では,「改善」を「児童が,問題や計画,追究方法,追究の 成果をよりよいものに変更する」と定義する。. 表1−1は,ポートフォリオ評価を取り入れた学習において, 収集物と収集物から選択・編集したものの呼び方の一覧である。. 表1−1 収集物と収集物から選択・編集したものの呼び方 収集物. 収集物から. 参考文献. I択・編集したもの 元ポートフォリオ. 凝縮ポートフォリオ. [鈴木敏恵2000]. ワーキング. アセスメント. │ートフォリオ. @ポートフォリオ. [B.D. Shakleeら P997]. 学習ファイル. ポートフォリオ. [寺西和子2001]. 鈴木敏恵(2000)は,「元ポートフォリオ」と「凝縮ポートフ. ォリオ」と呼んでいる。「元ポートフォリオ」は,テーマに関 係するものをすべて入れておくもので,時系列に収集されてい る。凝縮ポートフォリオは,すべての情報の中から重要なこと. や本質的なことを簡潔に盛り込んだものである[鈴木敏恵 2000】。. B.D. Shakleeら(1997)は,「ワーキングポートフォリオ」と. 一2(〉・.

(24) 「アセスメントポートフォリオ」と呼んでいる。「ワーキング. ポートフォリオ」は,児童の作品すべてを保存したもので,1. 週間に1度ないし2週間に1度「アセスメントポートフォリ オ」に特定の作品を移す[B.D. Shakleeら1997]。. 寺西和子(2001)は,「学習ファイル」と「ポートフォリオ」. と呼んでいる。学習ファイルは,子どもたちの諸活動や作品を 順番に集めたもので,学習ファイルから「振り返り」「選択・. 編集」「話し合い」を行ってポートフォリオとなる[寺西湘子 2001]。. 「元ポートフォリオ」を選択・編集したものを「凝縮ポート フォリオ」と呼んだり,「ワーキングポートフォリオ」を選択・. 編集したものを「アセスメントポートフォリオ」と呼んだり, 「学習ファイル」を選択・編集したものを「ポートフォリオ」. と呼んだり,様々な名称があるが,それぞれの内容は同じもの である。. 本研究では,子どもたちの諸活動や作品を順番に集めたもの を「学習ファイル」と呼び,学習ファイルから再編集されたも のを「ポートフォリオ」と呼ぶ。. 。21。.

(25) 第2章 児童創出評価規準・評価基準表 本研究は,総合的な学習の時間において,問題解決能力の育 成を目指し,児童が自身の問題解決や学び方を自己評価し改善 していく学習を構成する。児童の自己評価を促す手立てとして. ポートフォリオや他者評価を取り入れていく。また,1.3で 述べたように児童創出の評価規準・評価基準表を使って自己評 価を行う。. 本章では,評価規準・評価基準表を利用したポートフォリオ の特徴や児童創出評価規準・評価基準表を利用したポートフォ リオの先行事例とその問題点をあげる。そして,本研究のポー トフォリオにおける児童創出評価規準・評価基準表の在り方を 述べ,その創出の手順や学習の流れについて述べる。. 2.1 評価規準・評価基準表を利用したポートフォリオ 総合的な学習の時間をはじめとして,ポートフォリオを用い た学習が広く実践されている。ポートフォリオを用いた学習で は,評価規準や評価基準表をもとに児童の学習成果や学習過程 の評価が行われている。. 寺西和子(2001)は,ポートフォリオ評価の特徴として,子供. 自身の問題解決力や表現力などの活動的知性を育て,とらえる ことのできる評価であることをあげている。また,単に学習物 を収集し蓄積しただけの学習ファイルやフォルダーは,ポート フォリオとは言えないとし,学習ファイルからポートフォリオ となるためには,「目的・めあて」「内容」「自己評価」「選択・ 編集」「相互評価(話し合い)」「評価基準(criterion)」が必要 一22一.

(26) であると述べている。そして,図2−1に示すように,評価基 準をもとに学習ファイルが再構成されたり,相互評価や自己評 価が行われていくという。寺西和子(2001)は,子供たちに育て ようとする能力や学力を評価基準(criterion)と言っている。 寺西和子(2001)の言う評価基準とは,本研究で言う評価規準の ことである。本研究で言う評価基準表のことを,寺西和子(2001). は,それぞれの能力の熟達の度合いとか水準とかという言葉を 使い,その必要性を述べている[寺西和子2001]。. しかし,「育てようとする能力や学力」という言葉にも表れて いるように寺西和子(2001)のいう評価基準(本研究で言う評価. 規準)や水準(本研究で言う評価基準表)は,教師主導で設定 するものとしての色合いが強いといえる。. i\\話し合い 話し合い. 相互評価. 相互評価 自己評価 \. 璽 兀 途. \ \、. 中. 印 目的・めあて. L鳥1再構成. goal. 図2−1ポートフォリオ作成過程 一23一.

(27) 高浦勝義(2000)は,子どもは能動的な学習者で,教師は学習. の促進者であるが,評価計画の立案は,教師が中核的任務を担 うと述べている。また,学習の成果を評価する基準は,学習指 導要領に記載されている内容を「関心・意欲・態度」「思考・判. 断」「表現・技能」「知識・理解」といった4っの観点(生活科 は3つの観点)にそって具体化される必要があると述べている。. 総合的な学習の時間の評価基準についても学習指導要領に記載 されているねらいを観点にそって具体化していく必要を述べて いる[高浦勝義2000】。高浦勝義(2000)の言う「評価する基準」 とは,本研究で言う評価規準のことである。. 高浦勝義(2000)の評価する基準(本研究で言う評価規準)に. ついての考えも,教師主導で設定するものとしての色合いが強 いと言える。. 2.2 児童創出評価規準・評価基準表を利用したポートフォ リオ 教師が評価規準や評価基準表を児童に提示し,学習課程の評 価を行わせた場合,児童はそれを切実なものとして内面化する ことができない。したがって,教師の設定した評価規準や評価 基準表を使って児童に自己評価させても,主体的な児童の学習 にはなりにくい。そこで,児童自らが評価規準や評価基準表を 創出することで,学習場面において意識することを促し,主体. 的に学習を行えるようにする実践が諸学校で行われた。表2− 1は,諸学校の先行事例から児童による評価規準・評価基準表 創出型の実践を抽出したものである。 一24一.

(28) これらの実践から,さらに問題点をあらいだし,本研究の授 業の視点として生かすことにする。. 先行事例では,評価規準のみを創出している場合と評価規 準・評価基準表の両方を創出している場合の二通りがある。. 勝見健史(2002)は,評価の観点を児童とともに創出し,その. 枠内で児童一人ひとりが自分なりの到達規準を自覚化しながら 学習を進めていく「規準創出型」のポートフォリオ評価の方法 を考えた[勝…見健史2002]。. 須甲英樹(2002)は,評価の観点をアイテムという形で児童と. の話し合いの上で抽出し,児童一人ひとりが自分の学習活動に あうように内容を具体化させるという操作を通して評価規準を 創出させている。[須甲英樹2002】. 大橋巌(2002)は,生徒に,生徒各自が作成した研究レポート. を持ち寄り,それぞれのレポートのよさを見つけ合い,グルー プ毎に評価規準を創出させている。さらに,グループで出され た評価規準を使って,お互いのレポートをもう一一度評価し合う. 作業を通して,よりよい評価規準に作り変えている。また,教 師が提示した評価基準表の例に従って,各評価規準の評価基準 表をグループで創出させる[大橋巌2002]。. 石堂和代(2002)は,生徒に美術の作品を見る場において大切. だと思われる内容,造形的な特徴などを話し合わせ,評価規準. を創出させている。また,評価規準に含まれる2つの要素が達 成されているもの,どちらかの要素が達成されているもの,両 方とも達成されていないもので,レベル分けをするという方法 で評価基準表を創出させている[石堂和代20021 一25一.

(29) 表2−1 児童による評価規準・評価基準表創出の実践 実践者 (実践校). 学年 領域. 出典. 須甲英樹 (福井県大 野市立 森 霞小学校). 児童に決 やり方・評価方法 めさせた もの. 5・6年 評価規準. 複式. (個人別). 総合的な 学習の時 間. [須甲英樹. ・今までの学習の経験か ら「学習の質を高める ためにどのような態度 や取り組みが必要なの か」を学級全員で明ら かにする。. 2002】. ・学級で7っの学習のめ あてを設定. ・児童一人一人が今回の 学習で目指すめあてを 選ぶ。. ・児童が,めあての達成 にむけて,具体的な目 標を設定する。. 大橋巌. 中学校. (福井大学 社会・地. 教育地域科 学部附属中. 理. 評価規準. ・各自,課、題を行い,レ ポートにまとめる。. 評価基準. ・グループで互いのレポ 一トを見合う中で,そ れそれのレポートのよ さを見つけあい,評価. (学級). 表(学級). 学校). [大 橋 巌. 規準を創出する。. 2002]. ・グループで出された評 価規準を一覧にまとめ たものをもとに,話し 合いよりよい評価規準 にする。. ・評価基準表の例に従っ て,各評価規準の評価 基準表をつくる。. ・作られた評価基準表に 従い,レポートの再作 成をする。. 一26一.

(30) 表2−1. 児童による評価規準・評価基準表創出の実践 (前頁からのつづき). 実践者 (実践校). 学年 領域. 出典. 勝見健史 (神戸大附. 児童に決 やり方・評価方法 めさせた もの. 6年. 評価の観. 総合的 属住吉小 な学習 評価規準 学校). 点. の時間. (個 人. ・前単元の自分の学びの姿 (よい点や反省点)をワ 一クシートに書き出す。 ・自分の学びの姿を発表し. 合い,評価の観点にそっ. 別). [勝見健史. て分類する。. 2002]. ・観点のもと,今回の目指 す姿を評価規準として創 出する。. ・単元のどこで意識する目 罪なのかを位置付けてい く。. ・教師との対話を通して, 評価規準の修正をする。 :石堂和代. (福井大学. 教育地域科 学部附属中. 中学生 美術. 評価規準 (学級). 評価基準 表(学級). ・作品で大切だと思うこと を洗い出してまとめ,評 価規準にする。. ・評価規準をもとに評価基. 準表を作成する。2つの 要素が達成されているも の,どちらかの要素が達 成されているもの,両方. 学校). 【石堂和代 2002】. とも達成されていないも ので,レベル分けをする。. 一27一.

(31) 大橋巌(2002)や石堂和代(2002)の先行事例での評価規準・評. 価基準表の創出の方法は,個またはグループでアイディアを出 し合い,最終的にはクラス共通のものを作り上げるというもの. である。評価規準・評価基準表を皆で一緒に創ることによって 児童一人一人に評価規準・評価基準表を内面化させ,振り返り の材料とすることで主体的な学習を促すことを目指しているが 最終的にクラス共通のものとしているために,その役割が十分 機能していないと考える。. また,勝見健史(2002)や須甲英樹(2002)の先行事例では,児. 童が評価規準だけを創出しているので,自己評価や相互評価を するときに振り返りの視点が明確に捉えにくいと考える。. 2.3 児童創出による評価規準・評価基準表の作成 ポートフォリオを用いた学習は,学びの過程を長期的に評価 していくが、その過程における評価のためには評価規準・評価 基準表が重要となる。. 評価規準・評価基準表には多くのとらえ方があるが、1.3 に述べたように,本研究で,「評価規準」とは,何を評価するの. かという判断の根拠で,学習で児童が目指す姿のことである。. なお,評価規準は,単元の目標から評価の観点に沿って設定す る。「評価基準表」とは,どの程度であるかという判断の根拠で,. 評価規準がどの程度達成できたか判断したり,評価規準の達成 を目指して次にやるべきことを判断したりするために,評価規 準の達成度をレベル分けして示した表である。. 評価規準・評価基準表の関係を図2−2に示す。 一28一.

(32) 単元の目標. 評価の観点. 評価規準. 評価基準表. 図2−2 評価規準と評価基準表の関係. 橋本哲史(2001)は,学習の各段階で評価規準を意識しながら. 子ども自身が自分の学びを振り返る電子ポートフォリオシステ ムを開発し,総合的な学習の時間における授業実践を行ってい る。そこでは,教師が学級全体に共通の評価規準を設定し,児 童はその評価規準をもとに学習の振り返りを行っている。[橋本 哲史2001】。. 一29一.

(33) しかし,児童一人ひとりの実態は一様ではなく,目指したい 目標も同じではない。この評価規準が教師の視点によって作成 し提供されるのでは、児童にとって,切実な学びとして学習が 意識されていくことはできない。. また、評価規準のみでは,児童が学習の各段階における振り 返りをする場合,漠然としすぎていて、児童にとっての自己評 価は困難になる。そこで、評価規準の達成に向けて,レベル分 けした評価基準表を作成し,用意する必要がある。. 本研究では,児童一人一人が,各自の学習の目標を決め,教 師の支援を得ながら評価規準を設定し,さらにその評価規準を もとにして児童自らが評価基準表を作成する。これにより、自. 分の学習過程をより主体的に振り返りながら評価改善すること を通して学習を進めていくことをねらう。その評価規準や評価 基準表を各学習場面で有効に活用するための学習環境として電 子ポートフォリオシステムを開発し、総合的な学習の時間の授 業を行う。. 本研究では,児童は図2に示す①から⑦の流れによって,評 価規準を創出し,個々の評価基準表を作成していくことになる が、①から⑤の評価規準の作成までは勝見健史(2002)と同様の. 手法を採用する。以下、児童による評価基準表創出までの手順 を示す。. 一30一.

(34) 皇児童… ①反省点. ②評価の観点 ③目標. ④評価規準. ⑤確認・修正の支援. ⑥評価基準表. ⑦確認・修正の支援. 図2−3 評価規準・評価基準表創出の流れ ①反省点の明確化. 児童は1学期の自分の学習を振り返り、うまくいかなかった こと等の反省点をあげてワークシートに記し明確化する。そ の後、相互に発表し合い共有する。. ②評価の観点による分類. 児童のあげた反省点を、教師が評価の観点にそって分類し, 一覧にする。. ③目標設定. 児童は共有された一覧を確認して自分の課題をつかむことで 今回の学習における目標を明確にする。そして、「今までの学. 習における自分の姿」と「今回の学習で目指す自分の姿」を 一31一.

(35) ワークシートに記す。この目標は一人ひとりの評価規準作成 の素案になるものである。この時、児童に「今までの学習に おける自分の姿」と「今回の学習で目指す自分の姿」を把握 させるとともに、評価基準表を活用して学習し自分自身を変 えていくことへの意識化を図る。. ④評価規準の作成. 児童が今回の学習で目指したい自分の姿を具体的にはっきり とさせ、評価規準を設定する。. ⑤評価規準の確認・修正. 教師は児童の設定した評価規準が、達成が容易な目標や達成 不可能な目標にならないように留意しながら学習活動にあっ たものになるよう支援する。また、振り返りにおける利用を 考慮しながら表現が適切であるかどうか、具体的に記述でき ているかどうか等についても、児童と教師の対話の中で修正 していく。そして、児童が自分自身で確認して納得するとい う活動を通して、評価規準として確定する。. ⑥評価基準表の作成. ③の目標設定時に明確にした「今までの学習における自分の 姿」と「今回の学習で目指す自分の姿」を評価基準表の現在 の姿(レベル1)と目指す姿(レベル4)として設定し、評価基準. 表の例を参考にしながら、さらにその中間の姿(レベル2・3). を考えることで数段のレベルを有する評価基準表を作成する。 ⑦評価基準表の確認・修正. 教師は児童が設定した個々の評価基準表について,各段階の 表現が適切であるかどうか,もとの評価規準に合ったものに 一32一.

(36) なっているかどうか確認する。修正が必要な場合には、児童 と教師の対話の中で修正していく。そして、児童が納得した 上で評価基準表として確定する。. 単元の終わりの段階では,児童の設定した各評価基準表にお ける現在のレベルが明らかになり,次の単元の学習での評価規 準や評価基準表を設定する参考資料となる。. 2.4 学習の流れ 学習は、図2−4に示すように「問題設定」「計画」「追究」. 「単元のまとめ」の大きく4つの段階で構成される。この学習 の特徴は、それぞれの段階で作成されるポートフォリオを児童 自らが創出する評価規準・評価基準表に基づいて自己評価や他 者評価を行い、そこでの評価をふまえて各段階のポートフォリ オの再構成を行うところにある。また、児童一人ひとりが評価 規準・評価基準表を意識するのは,学習の流れの中で設定され た自己評価・他者評価の場面だけでなく、学習ファイルからポ ートフォリオを編集するための情報を選択する場面等、学習活 動全体を通して、児童一人ひとりが評価規準・評価基準表を意 識して学習をすすめることになる。. 一33一.

(37) 馴邑巴駒願墨目目陽蘭翻. オリエンテーション. 問. 題 設 定. 評価規準と評価基準表を作成する 研究テーマを決める 1問題設定ポートフォリオ① 璽 ほ. 他者評価. コ. 「=====ごニコ======ごごごごご=ご. 1問題設定ポートフォリオ② 聰 奮. o. 他者評価. ■露鱒鷹働履騙●●■8. 評価規準と評価基準表を作成する. 計 画. 問題解決の計画を立てる ロ. ロ. ニ. ロ. 他者評価. ・ 計画ポートフォリオ① ====:==工=:==:=:二 の. 他者評価. コ. ・ 計画ポートフォリオ② 唾 ■. 自. 虞口攣●腰髄膿購劇顧奮. 己. 評価規準と評価基準表を作成する. 評 価. 計画に従って追究する. 追 究. き. ロ. ほ. ほ. ・ 追究ポートフォリオ①. 他者評価. ・. =二二=::::=1:=:=二:::二二. 他者評価. ロ. ・ 追究ポートフォリオ② ロ. コ. :ニニニニ====ご二==二ニニニご. 他者評価. コ. 1 追究ポートフォリオ③ 量 8. 轄 聯 陶 噺 騨 一 単 哺 口 齢 翰. 騨 脚 一 吻 騨 獅 印 一 一 學 學 鱒 資. 獅覇●墨口蘭羅嚢鶉■顧. 単 元 の. 単元を振り返る 屡囎顯階精一驕闇儒一一薗. 胴騨一帰聯一一鞠騨}一一「. き. ロ. ;単元まとめポートフォリオ. 1. 他者評価. ま と. め. I_脚噛__騨馴鞘韓_。噂學口_障輯即_卿爾.._騨_」. 圏劇欄珊冒8贋5層響麟. 図2−4 学習の流れ. 一34一.

(38) 図2−5は,評価と学習活動との関連を示すものである。児 童は、自ら創出した評価規準・評価基準表に基づいて自己評価 しながら、学習ファイルに蓄積された学習情報からポートフォ リオに必要な情報を判断し,選択・編集を行い,ポートフォリ. オ1を作成する。さらに、他の児童などから他者評価を得るこ とで,自己評価を深め、次の活動の手だてを得る。そして,ポ. ートフォリオ1はポートフォリオ2へと再構成される。他者評 価の場面で、他者は,学習者の評価規準・評価基準表や自己評 価,学習ファイルを参照して,評価を行うことになる。これら の学習活動は,各段階において同様に行われる。. 問題設定. 計画. ポートフォリオ1→2. ポートフ リオ1→2. 学習ファイル 他者評価 他者評価 自己評価. 自己評価. それぞれの段階での. 評価規準 自己評価. 評価基準表. 自己評価. 他者騨価. 他者評価. 単元のまとめ. 追究. 問題設定ポートフォ・リオ2. 計画ポートフォリオ2 追究ポートフォリオ3. ポートフォリオ1→2→3. 図2−5 評価と学習活動との関連 一35一.

(39) 児童がポートフォリオを再構成していく学習過程では、自己 評価や他者評価が重要な活動となる。自己評価においても他者 評価においても,児童が自ら創出した評価規準・評価基準表を 意識して学習を進めることになる。すなわち、学習活動の中核 に評価規準・評価基準表が存在することになる。だからこそ児 童一人ひとりにとって切実な評価規準・評価基準表として存在 することが求められる。評価規準・評価基準表は,時間を必要 としたとしても、児童自身に創出させる意味がある。. さらに、児童が常に評価規準・評価基準表を意識し、その自 己評価活動に有効に利用することを可能にするための学習環境 の構築が必要になる。. 一36一.

(40) 第3章 電子ポートフォリオシステムの開発. 3.1 システム開発の視点 本研究でのポートフォリオは,第2章で述べたように小学校の総合的 な学習における問題解決過程の問題設定段階,計画段階,追究段階の各 段階において,児童自らが設定した評価規準・評価基準表をもとに,自 らの学習を自己評価し,クラス内の児童などの他者評価によって,自ら. の学習をよりょく改善していくものである。そして,このような学習を 積み重ねることによって,児童の主体的な学習と問題解決能力の育成を 目指す。. ポートフォリオを活用した実践には,コンピュータを活用して学習の 成果物を電子化してファイルに保存していくものと,紙を活用して学習 の成果物を物理的なファイルに保存していくものとがある。本研究では,. 前者の灘ンピュータを活用して学習の成果物を電子化してファイルに保 存していくポートフォリオを「電子ポートフォリオ」と呼ぶ。また,後 者の紙を活用して学習の成果物を物理的なファイルに保存していくポー トフォリオを「紙ポートフォリオ」と呼ぶ。. 紙ポートフォリオの欠点を補う電子ポートフォリオの利点として,次 のことがあげられる。 ・保管に場所をとらない。. ・学習ファイルやポートフォリオの検索や閲覧が容易に素早くできる。. ・コンピュータの画面上で,1つの学習成果物を同時に多くの人が閲覧 できる。. ・様々なデータを一括管理できる。 ・データの複写が容易にできる。. ・ハイパーリンク機能を利用し,成果物や評価を関連付けることができ. 一37..

(41) る。. そこで,これらの利点を生かし,本研究では電子ポートフォリオシス. テムを開発し利用する。システムの開発に際しては,2.4で述べた学 習の流れに対応したものにしていく。そのため,本システムには,次に 述べる機能を持たせていく。. 図3.1−1は,ポートフォリオ学習の流れとシステムの関係を表し たものである。. 児童は,学習の各段階で自分の評価規準や評価基準表を創出していく。. 創出した評価規準や評価基準表は,学習旧いつでも,確認できるように する。そして,自分の評価基準表と自分の現在の姿を照らし合わせ,自 己評価できるようにする。システムに,これらの「自己評価機能」を設 ける。. 学習者は,学習中に得た学習情報を,学習ファイルに蓄積していく。. そこでシステム上に学習ファイルを個人個人に用意し,学習情報の入力 や編集ができる「学習情報入力機能」を設ける。. 児童がポートフォリオを編集する場面では,学習ファイルを見て,学 習情報を振り返り,自分の学習問題や評価規準と照らし合わせ,重要な 学習情報をとらえさせていきたい。そこで,学習情報の中から重要な学 習情報を抽出する「学習情報抽出機能」を設ける。. 児童は,重要な学習情報をもとにポートフォリオを作成していく。作 成されたポートフォリオは,さらに改善が加えられ,よりよいポートフ ォ・リオに編集していく。そこで「ポートフォリオ編集機能」を設ける。. 児童が作成したポートフォリオは,クラスの仲間などの他者評価を通し て,よりよいものへと改善が図られる。そこで他者評価を助けるために,. 掲示板を利用した「コミュニケーション機能」を設ける。. 一38・.

(42) 活動. 学習情報・ホ㌧トフォ財・自己評価・他者評価. システム. 閲覧機能. 学習情. 学習情報編集機能. の作 ャ・蓄. 学習ファイルDB. 学習情. マ. 自己評価. 自己評価機 b. 自己評価DB. 閲覧機能. 重要な. @. 学習情報抽出機能. w習情 の抽. 学習プア伊DB. 自己評価機. o. 自己評価DB. 自己評価. ポート. 閲覧機能 ぎ. ヨ. 学習ファイルDB. tォリ. PF 1. 重要な学習情報. Iの作. ャ. 編. 自己評価DB. 己評価 ポートフォリオ編焦. 能. …. 樵. ポートフォリオ. @ DB 灘ミュニケーション機能. ポート. 掲示板DB. tォリ. Iの改. P. @. 閲覧機能. ‘. PF 1. 重要な学習情報 自己評価. ポートフォリオ編. 学習フアイルDB. 申評 自己’評価DB. 目b. ポートフォリオ. @ DB コミュニケーション機能. @掲示板DB. 図3.1−1. ポートフォリオの学習の流れとシステムとの関係 一39一.

(43) 相互作用を行う場合には,他者の情報を容易に閲覧できるようにする 必要がある。また,児童が自分自身の学習ファイルやポートフォリオな どの情報も自由に見ることができる必要がある。そこで「閲覧機能」を 設ける。. 本システムに装備する機能は, ・「自己評価機能」. ・「学習情報入力機能」 ・「学習情報抽出機能」 ・「ポートフォリオ編集機能」 ・「コミュニケーション機能」 ・「閲覧機能」 である。. 一40・.

(44) 3.2 開発のためのソフトウェア ここでは,3.1で述べた機能を装備した電子ポートフォリオシステ ムを開発するためのソフトウェアについて述べる。 ソフトウェアに必要な機能は,. ・児童が書き込んだり閲覧したりする画面を自由にカスタマイズできる こと。. ・児童が自己評価や学習情報,ポートフォリオなど書き込んだものが保 存され,また修正が可能であること。. ・だれもが自分の操作するパソコンで自由に必要な見たい情報を見るこ とができること である。. これらのことから,データベースソフトを使いWEB上で操作が可能 なものを開発する。データベースソフトは,Microso£t Accessやファ イルメーカーPro 5などのデータベースソフトが考えられる。 ファイルメーカーPro 5は, Web諏ンパニオンというプラグインを利用. することによってWEBサーバーとしての機能を容易にもたせることが できる。そのことによって,ファイルメーカーPro 5からインターネット. 上にデータベースを公開することができる。さらに,ホームページPro というWEBページ作成ソフトを使用すると,ファイルメーカーPro 5と WEBブラウザ問の通信を操作するCGI(CQm組on Gateway Interface) 機能を持たせるためのCDML(Claris Dynamic Markup Language)タグを容. 易に作成することができる。. そこで本研究では,WEB上でのデータベースの公開ができ,カスタ マイズも可能な,ファイルメーカーPro 5を活用する。 WEB上で児童が 操作する画面のカスタマイズは,ホームページPro 3を活用し編集する。. 一41一.

(45) ファイルメーカーPro 5とホームページPro 3を使ったシステム作成 の具体的な手1頂については,橋本哲史(2001)が詳しく述べている。. 3.3 システムの全体構造. 本システムは,図3.3−1に示すようなLAN回線でつながれてい る児童用コンピュータにサーバーを組み込んだシステムである。・. □ 騙 ミュニケーションサ バ. □醐 ポートフォリオ ーバ1. 繍. 遺. 芳. 唱騒昌. 蟷一. □. ポートブォリ サーバ2ポートフォ事オサーバ3 ポートフ リオサーバ4. □ インデックスサーバ. 児童用ロンピュータ 合計29台. 図3.3−1 システムの全体構造 児童用コンピュータは,Windows機で学習者の人数分のコンピュータ が実践校に配備されている。本実践で使用するシステムのサーバーとし て,6台のコンピュータを使う。 インデックスサーバーは,「情報閲覧機能」を支援する役割をもたせる。. 一42一.

(46) インデックスサーバーには,コンピュータ(Windows機)1台を使用す る。. ポートフォリオサーバーには,個人個人の評価規準・評価基準表,学 習ファイル,ポートフォリオなどの学習情報を入れるデーターベースを 用意する。ポートフォリオサーバーは,「自己評価機能」「学習情報入力 機能」「学習情報抽出機能」「ポートフォリオ編集機能」「閲覧機能」を持. つ。ポートフォリオサーバーには,たくさんのデータベースを備えなけ. ればならず,負荷を分散させるために4台のコンピュータ(Mac機)を 使用する。. コミュニケーションサーバーは,「諏ミュニケーション機能」を持つ。. コミュニケーションサーバーには,他者評価を行うための掲示板を用意 する。掲示板は,ポートフォリオを他者評価する場面ごとに個別に用意 する?コミュニケーションサーバーには,1台のコンピュータ(Mac機) を使用する。. 学習者は,児童用の諏ンピュータを使用し,Webブラウザを通して サーバにアクセスする。. 児童用のコンピュータのWEBブラウザのホームには,インデックス サーバーにあるインデックス画面を登録し,WEBブラウザをクリック するとインデックス画面が表示されるようにする。. 3.4 システムの開発. 3.4.1 システムの各機能の開発 (1)「自己評価機能」. 児童が創出する評価規準・評価基準表を入れるデータベースをそれぞ. れのポートフォリオサーバーに1っずつ用意する。児童1人当たり5つ 一43一.

(47) までの評価規準とその評価基準表をデータベースに入れることができる。. 評価基準表は,レベル0からレベル4までのレベルを設定することがで きる。. また,児童が行う自己評価のデータを保存するため,1人に1つのデ ータベースを用意し,それぞれのポートフォリオサーバーに置く。 個人のトップの画面に「自己評価」ボタンを装備する。「自己評価」ボ. タンをクリックすると,自己評価のトップ画面に切り替わる。自己評価 のトップ画面には,「自己評価をする」のボタンと「自己評価を見る」の ボタンを設ける。「自己評価をする」のボタンをクリックすると,自己評. 価を書き込める画面にかわる。自分の設定した評価規準と評価基準表を 見ながら,今の自分のレベルと次にやるべきことを書き込めるようにす る。. 「自己評価を見る」のボタンをクリックすると評価規準や評価基準表 を見ることができるとともに,自分が以前にした最薪の自己評価を確認 することができるようにする。また,今までしてきた自己評価を一覧で 確認できるようにする。. HTMLファイルとしては,自己評価のトップページ,自己評価入力ペ ージ,最新の自己評価を見るページ,学習の各段階での自己評価の一覧 を見るページを児童個々に用意する。. (2)「学習情報入力機能」. 児童が得た学習情報は,学習ファイルに入力し,蓄積していく。その 学習情報を蓄積する学習ファイルのデータベースを児童個々に用意し, それぞれのポートフォリオサーバーに置く。 個人のトップの画面に「学習ファイル」ボタンを装備する。「学習ファ. ー44一.

(48) イル」ボタンをクリックすると,学習ファイルのトップ画面に切り替わ る。学習ファイルに入力できるものとして,テキスト以外に写真資料を. 入力できるようにする。学習ファイルには,新しい情報を入力できるよ うにするとともにする一度入力された情報を修正できるようにする。ま. た,入力画面はテキスト領域とし,入力画面で児童が作成したレイアウ トが表示画面で反映されるものにする。. HTM:Lファイルとしては,学習情報を入力するページ,学習情報を修 正するページを用意する。. (3)「学習情報抽出機能」. ポートフォリオを編集する際に,漠然と編集するのではなく,自分の 学習問題や評価規準・評価基準表に照らし合わせて,今一度学習ファイ ルの情報を見直しさせたい。そして,学習情報の中で重要な情報を選び, ポートフォリオの編集をさせていく。. 正司和彦(1998)は,探究活動において子どもの情報の読み取りを支援. するために,ラベル化としおり機能の必要性について述べている。しお り機能は,子どもが大切だと思う情報にしおりをつけることによって,. 自分で選んだ情報を整理し関係づけてまとめることができるものである としている【正司和彦1998]。. 各ポートフォリオには,「重要な学習情報を見る」のボタンを用意し,. そのボタンをクリックすると,児童が選んだ重要な学習情報が一覧で表 示されるようにする。一覧表示には,データベースの検索機能を使う。. ポートフォリオを編集する際に,児童は学習ファイルから重要な学習情 報を選ぶ。児童は,選んだ学習情報のページにある「重要のしるし」の 欄に重要を表す言葉を入力することで,その言葉が学習ファイルのデー. 一45一.

参照

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