[様式-学 5]
博士論文要旨
論文題名:化粧品開発のための統計的画像解析による 顔アピアランス評価
立命館大学大学院情報理工学研究科 情報理工学専攻博士課程後期課程
ふりがな いがらし たかのり 氏 名 五十嵐 崇訓
本論文では,化粧品分野への応用を想定した顔アピアランス評価手法の提案を行う.ベ ースメイクアップ製品やスキンケア製品の開発,カウンセリング等において,顔やその肌 のアピアランス評価は重要な役割を担っている.従来の評価法は,複雑な特徴を示す顔を 直接取り扱うことが困難であった.そのため,顔のある部位(例えば頬部)を代表させ,
その特徴量を定量化するアプローチが一般的であった.本研究では,このような先行技術 の課題を解決するため,顔画像の特徴量解析に優れる統計的画像解析をベースとして,顔 画像をダイレクトに扱うことのできる顔アピアランス評価法の開発を行った.
統計的画像解析を行う上では学習用顔画像データベースが不可欠である.そこでまず,
顔画像を取得するための独自撮影システム(Multi-angle Image Capturing System)を開発し た.次に,これを用いて化粧前後の顔画像から構成された化粧評価用の独自データベース である「多視点・多照明化粧顔画像データベース(Multi-angle View Illumination Cosmetic Facial Image Database: MaVIC)」を構築した.さらに,MaVIC中の顔画像についてその形 状を全て正規化した「形状正規化化粧顔画像データベース」を用意し,化粧品の制御対象 である顔テクスチャの特徴のみにフォーカスした評価を実現する環境を整えた.
次に,このデータベースを用いて(1)製品の性能把握やカウンセリング等の診断,及び
(2)製品設計支援を目的とした評価法を提案した.まず(1)について 3 つの評価法を開 発した.第 1 の手法として,ベースメイクアップ製品の最重要性能である化粧仕上がりの 自然さの演出効果と,毛穴や色むら等の肌の欠点のカバー効果の両機能を同時定量化する,
主成分分析(Principal Component Analysis: PCA)をベースとしたEigen Dual-Subspace法を 開発した.第2の手法として,化粧において重要な質感である透明感を定量化するPCAを ベースとした固有差分累積法を開発した.第 3 の手法として,独立成分分析(Independent Component Analysis: ICA)の特性を用いて,化粧仕上がりの目標達成度を定量化するための 評価法を開発した.一方(2)について,肌の欠点に由来するテクスチャを顔画像から除去 し,理想的な顔アピアランス画像を生成(美顔化)する固有空間フィルタリング法を開発 した.次に,これを用いて目標化粧仕上がり(美顔)と試作品の作る仕上がりとの差異を 演算し,試作品の改善点を可視化する手法を提案した.以上(1),(2)を目的とした評 価法の開発を通じ,本研究は従来提案がなかった顔アピアランス評価法の確立に寄与した.