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河川の親水化が周辺地域に与える影響について
-埼玉県を事例として-
政策研究大学院大学 まちづくりプログラム MJU17714 三女子 正智
1 はじめに
戦後の河川整備は洪水による水害から都市を守る ため、治水を第一目的として進められた。その弊害 として、水際をコンクリートで固められ、深く掘り 込まれ、あるいは堤防で市街地と切り離されたこと により、生態系の多様性や景観など河川の多くの環 境面の機能が失われた。
その後、国民の間で環境に対する意識が高まり、
河川においても、水質の改善、オープンスペースと しての河川空間の利活用、景観の保全、生態系への 配慮などが求められるようになった。平成 9 年には 河川法が改正され、河川管理の目的に河川環境の整 備と保全が位置づけられ、多自然川づくり、地域と の協働による川づくりなどが進められている。
河川環境整備事業の事業評価は、CVM
(Contingent Value Method:仮想的市場評価法)に より行われる事例が多いが、バイアスの影響など信 頼性に関する問題があり、評価方法は確立されてい るとは言い難い。環境の評価手法の一つに、環境条 件の異なる多数の地価データを観察し、環境の価値 を計測するヘドニックアプローチがある。
本研究では、埼玉県で平成 20 年度から 23 年度に かけて実施された水辺再生 100 プランに注目し、河 川を親水化する取組が短期間のうちに複数の箇所で 行われたことから、取組の実施前後での効果を比較 するのに適した固定効果モデルを用いたヘドニック アプローチにより、河川の親水化が周辺地域に与え る影響を明らかにしようとするものである。
2 河川整備による環境の喪失と河川環境施策の変遷 2-1 河川整備による環境の喪失
戦後の河川整備においては、カスリーン台風(昭 和 22 年 9 月)などによる大きな被害が相次ぎ、戦後 復興と合わせて、治水対策が急務であった。
また、1960 年代からの経済の高度成長期において、
都市化の進展により都市水害が深刻な問題となり、
河川の流下能力の向上が求められた。
都市化の進展は河川のすぐ近くまで土地利用を促 進した。このため、限られた用地の中で流下能力を 確保することを余儀なくされ、直立に近い勾配で河 川を深く掘り込む、あるいは堤防を設ける、といっ た整備とならざるを得なかった。
こうして、当時の社会の要請とはいえ、洪水を速 やかに排除するという目的は達したものの、生態系 の多様性や優れた景観といった河川の環境面の機能 は失われてしまった。
2-2 河川環境施策の変遷
河川環境改善の取組は、昭和 30 年代の高度経済成 長期における工場等からの排水による水質悪化への 対応に始まり、その後、河川空間の利活用、まちづ くりと一体となった河川整備へと多様化していった。
1990 年代に入ると、自然や生態系に配慮した河川 整備が求められるようになり、平成 2 年度から多自 然型川づくりが全国的に進められた。
平成 9 年には河川法が改正され、河川管理の目的 に従来の「治水」「利水」に加え、「河川環境の整備 と保全」が位置づけられ、この後、自然再生事業や 河川環境整備事業が全国的に展開された。
表1 河川環境施策の変遷
年次 イベント
1958 河川の水質調査の開始 1965 河川敷地占用許可準則の制定
(河川空間をオープンスペースとして活用)
1983 河川環境管理基本計画の作成開始 1987 ふるさとの川整備事業
(まちづくりと一体化した河川整備)
1990 「多自然型川づくり」の推進、
「河川水辺の国勢調査」の実施
1993 環境基本法制定、清流ルネッサンス21 1997 河川法改正、環境影響評価法制定 2002 自然再生事業創設
2006 多自然川づくり基本方針
2011 河川敷地占用許可準則の一部改正
(民間事業者による営利目的の占用が制度化)
2015 ミズベリング・プロジェクト始動
(国土交通省(2008)をもとに筆者加筆作成)
3 埼玉県の取組 3-1 川の国埼玉
埼玉県は江戸時代、利根川の東遷、荒川の西遷が あり、見沼代用水など数多くの用水路が整備され、
豊かな穀倉地帯となり、江戸の繁栄を支えた。そし て現在の県の面積に占める水辺空間の割合約 5%、
一級河川荒川の最大幅員 2,537m はいずれも日本一 である。こうした川の特長もあり、埼玉県は「川の 国埼玉」を目指して「川の再生」に取り組んでいる。
3-2 川の再生
埼玉県は平成 18 年度に「川と暮らし」というテー マで約 500 名の県民を対象にアンケートを実施して いる。その結果によれば、身近な河川に愛着を感じ ると答えた人が 57.1%、水辺に近づきやすくした方 がよいと答えた人が 53.1%など、県民の河川環境改 善に対する期待がみられた。
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こうした県民のニーズを背景として、埼玉県が設 置した川の再生推進委員会は「川の国埼玉 川の再 生基本方針」を平成 19 年 11 月に策定し、川の再生 の意義及び目標、川の再生の基本方向、具体的な施 策、川の再生における取組の主体を示した。水辺再生 100 プランはその具体的な施策の一つで あり、平成 20 年度から 23 年度までの 4 年間にわた り、河川と農業用水路を合わせて 100 箇所の水辺を 県民との協働により整備した取組である。実施箇所 は一定の治水安全度を有しているところから選定さ れ、うち 5 箇所についてはモデル箇所として県が示 し、それ以外の箇所は主に県民からの提案を踏まえ て選定された。
取組の内容についても、地域住民を交えて検討さ れた。その多くは、河川や水路に沿った遊歩道や、
水辺に近づくことのできる、あるいは景観に配慮し た親水性護岸の整備からなる。一部では水質改善の ためのウェットランド整備やヘドロ除去なども行わ れた。4 年間の事業費の総額は 117 億円である。
図1 水辺再生100プランの主な取組 上:遊歩道整備の例(元荒川、越谷市)、 下:親水性護岸整備の例(越戸川、和光市)
(埼玉県ホームページより)
4 河川の親水化が周辺地域に与える影響
河川空間を楽しむことのできる遊歩道や、水辺に 近づくことができる護岸の整備、良好な景観の形成 といった河川の親水化の取組は、周辺の地域住民が 快適に過ごすことができるなど、居住環境の向上を もたらすと考えられる。
河川の親水化が周辺地域の地価に与える影響を模 式的に表わしたのが図2である。
図2 河川の親水化が周辺地域の地価に与える影響
左側の図は親水機能のない状態の地価を表わして おり、この状態で住宅(土地)の購入希望者の評価 を表す線と売却しようと現在の所有者の評価を表す 線とが交わる点により地価と土地のストックが決ま っている。
河川が親水化され居住環境が向上すると、その地 域において新規に住宅購入を検討する人たちの付け 値を上昇させる。右側の図は河川の親水化後の地価 を表わしており、この図において、購入希望者の評 価を表す線が上側にシフトする。一方、その地域か ら転居しようと検討している人にとっては、居住環 境がよくなることにより、転居せずにとどまること の価値が大きくなるため、移転に必要な機会費用が 増大する。このことは図中では、現在の所有者の評 価を表す線を上側にシフトさせる。
こうして、2つの線が交わる点は従前に比べて上 側にシフトし、それぞれの上がり幅によって土地の ストックは増減するものの、地価は上昇することが 考えられる。
5 河川環境整備事業に係る事業評価手法
今後、人口減少が進み、地方財政も縮小していく 中、限られた財源で公共事業を実施するには、事業 の必要性や効率性について説明責任が求められる。
このため、事業の経済効果を適切に評価する必要が あり、河川環境整備事業も例外ではない。
環境を経済的に評価する手法には、環境が人々の 経済行動に及ぼす影響から間接的にその価値を評価 する顕示選好法と、人々に環境の価値を直接尋ねる 表明選好法の二つがある。顕示選好法には、TCM
(Travel Cost Method:旅行費用法)、代替法やヘド ニックアプローチが、表明選好法には、CVMやコ ンジョイント分析がある1。
河川環境整備事業の便益の評価には、多くの場合 でCVMが用いられているが、バイアスの影響や集 計範囲の設定など、信頼性に関わる問題があり、そ の評価手法が確立されているとは言い難い。埼玉県 の水辺再生 100 プランの取組では、事業実施の前後 で近隣住民に対し、取組への評価や水辺に対する意 識の変化などをアンケートにより調査しているが、
経済的な評価は行われていない。
1 栗山(2003)
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ヘドニックアプローチは、公共財の便益や外部性 が地価に反映されるとする資本化仮説に基づいて、環境条件の異なる多数の地価データを統計的に分析 することにより、環境の価値を計測する手法である。
環境面の機能の利用価値はCVMよりもヘドニック アプローチによる評価が有効であると考えられるこ とから、本研究では、ヘドニックアプローチにより 河川の親水化による便益を計測しようとするもので ある。
6 実証分析 6-1 分析方法
埼玉県内の一級河川で水辺再生 100 プランの取組 が実施された 70 箇所のうち、河川の親水化に該当し ない箇所や実施箇所から 1,000m の範囲に地価公示 の標準地または埼玉県地価調査の地点が存在しない 箇所を除いた 51 箇所を分析対象とした。
河川の親水化の実施箇所と地価公示の標準地及び 埼玉県地価調査の地点との直線距離をGIS上で計 測し、0~200m、200~500m、500~1,000m の3つに 区分した。
水辺再生 100 プランは平成 20 年から 23 年の4年 間で実施された。取組の実施前後の地価の変化を観 察するため、平成 17 年から 26 年までの 10 年間分の パネルデータを作成し、固定効果モデルによるDI D分析を行った。トリートメントグループは実施箇 所の周辺 1,000m までの範囲、コントロールグループ は実施箇所以外で河川から 1,000m までの範囲とし た。
【推計1】
河川の親水化の効果として地価の上昇率と上昇の 及ぶ範囲を確認するため、次式により推計した。実 施箇所周辺の土地の利用状況による違いを調べるた め、住宅地、商業地、工業地について行った。
lnPrit=αit
+β1×(事業実施後ダミー×実施箇所 0~200m 範囲ダミー)it
+β2×(事業実施後ダミー×実施箇所 200~500m 範囲ダミー)it
+β3×(事業実施後ダミー×実施箇所 500~1,000m 範囲ダミー)it
+β4~12×(各年次ダミー)it+εit
Pr:公示地価及び県調査地価、α:定数項、β1~12:各係数、ε:誤差 項、i:実施箇所、t:年次
【推計2】
次に、実施後の維持管理や利活用等のレベルの違 いによる影響を確認するため、レベルが高いグルー プと低いグループとに区分し、次式により推計した。
この維持管理や利活用等のレベルは、平成 28 年度に 埼玉県が河川管理者の立場から、①維持管理状況、
②利活用の状況、③住民活動の状況について総合評 価したもので、本研究では3つの各項目を4段階で 評価し、全ての項目が上位2段階となる箇所につい て、維持管理レベルを「高」と評価した。
lnPrit=αit
+β1×(事業実施後ダミー×実施箇所 0~200m 範囲ダミー
×維持管理等レベル高ダミー)it
+β2×(事業実施後ダミー×実施箇所 200~500m 範囲ダミー
×維持管理等レベル高ダミー)it
+β3×(事業実施後ダミー×実施箇所 500~1,000m 範囲ダミー
×維持管理等レベル高ダミー)it
+β4×(事業実施後ダミー×実施箇所 0~200m 範囲ダミー
×維持管理等レベル低ダミー)it
+β5×(事業実施後ダミー×実施箇所 0~200m 範囲ダミー
×維持管理等レベル低ダミー)it
+β6×(事業実施後ダミー×実施箇所 0~200m 範囲ダミー
×維持管理等レベル低ダミー)it
+β7~16×(各年次ダミー)it+εit
Pr:公示地価及び県調査地価、α:定数項、β1~16:各係数、ε:
誤差項、i:実施箇所、t:年次 6-2 分析結果と考察
【推計1】
表2 (推計1)結果
住宅地では、河川の親水化を実施した箇所から 200m までの範囲において、取組を実施していない場 所と比較して有意水準 1%で 2.0%の地価上昇がみら れ、実施箇所から 200m よりも遠いところでは、地価 の変化は有意にみられなかった。このことから、実 施箇所から 200m までの範囲の住宅地においては、河 川を親水化したことが居住環境の向上を通じて地価 の上昇をもたらしたと考えられる。
一方、商業地、工業地については、河川の親水化 を実施した箇所から 200m まで、200~500m、500~
標準誤差 事業実施後ダミー×実施箇所0~200m範囲ダミー 0.01966 *** 0.00592 事業実施後ダミー×実施箇所200~500m範囲ダミー -0.00321 0.00331 事業実施後ダミー×実施箇所500~1,000m範囲ダミー 0.00175 0.00219
2006年度ダミー -0.01530 *** 0.00180
2007年度ダミー -0.00430 ** 0.00180
2008年度ダミー 0.02282 *** 0.00180
2009年度ダミー -0.02047 *** 0.00180
2010年度ダミー -0.06612 *** 0.00181
2011年度ダミー -0.09135 *** 0.00181
2012年度ダミー -0.11304 *** 0.00188
2013年度ダミー -0.12276 *** 0.00188
2014年度ダミー -0.12039 *** 0.00188
定数項 11.64007 *** 0.00128
自由度調整済決定係数 0.7085
観測数 7,840
標準誤差 事業実施後ダミー×実施箇所0~200m範囲ダミー -0.01448 0.01635 事業実施後ダミー×実施箇所200~500m範囲ダミー -0.00245 0.01114 事業実施後ダミー×実施箇所500~1,000m範囲ダミー -0.00558 0.00662
2006年度ダミー -0.01526 *** 0.00532
2007年度ダミー 0.00633 0.00532
2008年度ダミー 0.04832 *** 0.00532
2009年度ダミー -0.00441 0.00532
2010年度ダミー -0.06122 *** 0.00532
2011年度ダミー -0.09178 *** 0.00532
2012年度ダミー -0.11412 *** 0.00556
2013年度ダミー -0.12465 *** 0.00556
2014年度ダミー -0.12204 *** 0.00556
定数項 12.28126 *** 0.00376
自由度調整済決定係数 0.6509
観測数 1,950
標準誤差 事業実施後ダミー×実施箇所0~200m範囲ダミー 0.01366 0.01055 事業実施後ダミー×実施箇所200~500m範囲ダミー 0.00053 0.01769 事業実施後ダミー×実施箇所500~1,000m範囲ダミー -0.00703 0.00928
2006年度ダミー -0.02518 *** 0.00586
2007年度ダミー -0.01610 *** 0.00586
2008年度ダミー 0.02635 *** 0.00586
2009年度ダミー -0.01079 * 0.00586
2010年度ダミー -0.05553 *** 0.00586
2011年度ダミー -0.08517 *** 0.00586
2012年度ダミー -0.10811 *** 0.00605
2013年度ダミー -0.11539 *** 0.00605
2014年度ダミー -0.11178 *** 0.00605
定数項 11.32696 *** 0.00414
自由度調整済決定係数 0.8149
観測数 480
*、**、***はそれぞれ10%、5%、1%水準で統計的に有意であることを示す。
工業地
係数 住宅地
係数
商業地
係数
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1,000m のいずれの範囲においても、地価の有意な変 化はみられなかった。商業地や工業地には、河川の 親水化は地価には有意な影響を与えていないものと みられる。【推計2】
表3 推計2結果
親水化の取組を実施した箇所のうち、その後の維 持管理や利活動、住民活動の水準が高いグループに おいては有意水準 1%で地価が 2.3%上昇しており、水 準が低いグループの 1.6%(有意水準 5%)を上回った。
住民団体や市町村による雑草の刈払いや清掃活動 など地域活動が熱心なところでは、維持管理水準が 他に比べて高く、良好な景観が継続的に保たれてい る。利活用水準の高い箇所は、遊歩道や河畔を訪れ る人の数が多く、地域活動として自然観察会、川ま つりといったイベントが定期的に開催されていると ころもある。利活用水準が高いことは、近隣住民の 河川への効用が高いことを表している。
このように、維持管理や利活用、地域活動の水準 が高い箇所では、それぞれの活動が好循環を形成し、
より良好な景観や居住環境が保たれることで、地価 の上昇にも影響していると考えられる。
6-3 便益の計算
分析結果をもとに、河川の親水化の取組による地 価の上昇額を便益として計算した。計算の対象は分 析対象の 51 箇所とし、推計1の結果である実施箇所 から 200m までの範囲の住宅地の地価が 2.0%上昇す るものとして計算した。
各実施箇所から 1,000m までの範囲にある公示地 価及び県調査地価の値を平均したものを当該エリア の地価とし、事業箇所から 200m までの範囲にある住 宅地の面積に乗じて地価の合計を算出した。これに 河川の親水化による地価上昇率 2.0%(95%信頼区 間:0.8%~3.1%)を乗じて地価上昇分の合計額を算 出した結果、51 箇所の合計で 159 億 4,700 万円とな った(95%信頼区間:63 億 7,900 万円~247 億 1,800 万円)。なお、51 箇所の整備に要した費用は 74 億 5,400 万円である。
7 政策提言
(1)河川を親水化する場合の実施地域の選定
まちづくりを進めるにあたり、住宅地を流れる河 川を親水化することは、居住環境の向上をもたらす ことから有効である。
地価の上昇は 2.0%という割合で表わされること から、地価のより高い地域で実施した方が、便益の 額は大きくなる。これは、一般的に地価の高い地域 は、高度な土地利用がされ、人口密度も高いことか ら、利用価値もその分大きくなるものと考えられる。
便益額を大きくする観点からは、実施箇所の選定に あたっては、河川周辺に住宅地が広がっており、地 価の高い地域とするのが効果的である。
(2)整備内容と便益の及ぶ範囲に応じた事業主体の決定 河川の親水化がもたらす地価上昇の便益が及ぶの は、整備箇所から 200m までの範囲である。便益の及 ぶ範囲からすれば、遊歩道や親水護岸の設置といっ た整備内容であれば、実施主体は必ずしも河川管理 者である必要はなく、その地域の市町村が公園整備 と位置づけて行うことも考えられる。三大都市圏や 都市部においては一人当たりの都市公園面積が少な く、その確保が課題となっているが、まちなかの河 川空間を活用することができれば、より効率的なま ちづくりが可能となる。整備後に地域住民から長く 愛されるためにも、彼らの協力が欠かせず、その話 し合いには、距離感が近く、地域の状況やニーズを 熟知した基礎自治体の方が適当であるとも考えられ る。整備内容と便益の及ぶ範囲に応じて適当な主体 が実施すべきである。
(3)実施にあたっての住民参画
河川の親水化の取組を実施した箇所のうち、その 後の維持管理や利活用、住民活動の水準が高いグル ープは水準が低いグループに比べ、地価上昇率が高 かった。
維持管理、利活用、地域活動が好循環を形成する ことで、より良好な河川空間や地域の雰囲気が生ま れ、居住環境の向上がもたらされると考えられる。
河川の親水化を実施するにあたっては、花壇やイ ベントスペースといった住民の活動の場を設けると ともに、事業完了後も、アダプト・プログラムなど の地域活動が継続されるよう、ハードとソフトの両 面から整備するのが望ましい。こうした活動を通じ て地域コミュニティが形成されるという副次的な効 果も期待できる。活動の中心となるのは地域住民で あることから、構想段階から事業完了後の維持管理 の段階まで、地域住民を積極的に参画させるべきで ある。
参考文献
栗山浩一(2003)「環境評価手法の具体的展開」、吉田文和・北畠能房編『環境の評価とマネジメン ト』岩波書店,67-96.
国土交通省(2008)「河川環境の整備・保全の取 組―河川法改正後の取組の検証と今後の在り方―」
標準誤差 事業実施後ダミー×範囲0~200mダミー×維持管理等レベル高ダミー 0.02329 *** 0.00854 事業実施後ダミー×範囲200~500mダミー×維持管理等レベル高ダミー -0.00409 0.00497 事業実施後ダミー×範囲500~1,000mダミー×維持管理等レベル高ダミー -0.01012 0.01404 事業実施後ダミー×範囲0~200mダミー×維持管理等レベル低ダミー 0.01633 ** 0.00812 事業実施後ダミー×範囲200~500mダミー×維持管理等レベル低ダミー -0.00262 0.00428 事業実施後ダミー×範囲500~1,000mダミー×維持管理等レベル低ダミー 0.00578 0.00447
2006年度ダミー -0.01530 *** 0.00180
2007年度ダミー -0.00430 ** 0.00180
2008年度ダミー 0.02282 *** 0.00180
2009年度ダミー -0.02047 *** 0.00180
2010年度ダミー -0.06618 *** 0.00180
2011年度ダミー -0.09144 *** 0.00181
2012年度ダミー -0.11302 *** 0.00188
2013年度ダミー -0.12273 *** 0.00188
2014年度ダミー -0.12037 *** 0.00188
定数項 11.64007 *** 0.00127
自由度調整済決定係数 0.7090
観測数 7,840
*、**、***はそれぞれ10%、5%、1%水準で統計的に有意であることを示す。
住宅地
係数