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【記入例】     マイタケ由来アミノペプチダーゼの精製と性質

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(1)

秋田応用生命科学研究会

第18回 講演会

要旨集

平成23年5月27日(金) 13:00-

(2)

◎プログラム 講演 15(25)分、討論 5 分 13:00-13:05 会長あいさつ 秋田応用生命科学研究会会長 杉山俊博(秋田大・医) 座長 小林 正之(秋田県大・生資) 13:05-13:25 バキュロウイルス感染 Sf9 昆虫細胞によるヒトインターロイキン-2 の生産 ○進藤祐宜1、菊地賢一、後藤 猛秋田大・工資、秋田大院・工資) 13:25-13:45 アフリカツメガエル卵減数分裂におけるヒストンデアセチラーゼの影響 ◯岩下 淳、小玉 歩、阿部 達也(秋田県大・生資) 13:45-14:05 フィブリン分解を促進する糸状菌由来マルホルミンの構造活性相関 ◯小泉幸央1、長井賢一郎、蓮見惠司、小代田宗一、杉山俊博1 (1秋田大院・医、北里大・薬、東農工大農・応生科) 座長 畠 恵司(秋田県総食研セ) 14:05-14:25 マウスES細胞における

Egam1

ホメオタンパク質群の細胞内分布部位に関する解析 ◯佐藤 匠、伊波百恵、森 祐貴、春日 和、小嶋郁夫、小林 正之(秋田県大・生資) 14:25-14:45 ヒト胚性癌細胞株 NT2 細胞の未分化状態および分化過程における Tetra-peptide repeat homeobox 1 (TPRX1) 遺伝子の発現解析 ○森 祐貴、伊波百恵、佐藤 匠、春日 和、小嶋郁夫、小林正之(秋田県大・生資) 14:45-15:00 休 憩 座長 水野 幸一(秋田県立大・生資) 15:00-15:30 (特別講演)「秋田での研究展開と抱負 "内分泌細胞の分泌顆粒形成機序"の解析を中心に」 ○穂坂正博(秋田県立大・生資) 座長 小笠原博信(秋田県総食研セ) 15:30-15:50 異種放線菌を宿主としたカスガマイシンの恒常的生産 ◯春日 和、松尾 高志、山本 知佳、湊 由衣子、桑原 直哉、飯野訓昌、小林 正之、 上松 仁1、池田 治生2、小嶋 郁夫 (秋田県大、1秋田高専、2北里大・北里生命研) 15:50-16:10 D-アスパラギン酸 特異的エンドペプチダーゼ生産菌

Paenibacillus

sp. B38 由来セロビオ ース 2-エピメラーゼのクローニングと大腸菌における発現 ○韮澤 悟1、高橋砂織JIRCAS、秋田県総食研セ) 16:10-16:30 次世代シークエンサを利用した大規模塩基配列解析の試み ○福島淳、志村洋一郎、原光二郎、小西智一、鈴木英治、岡野桂樹、稲元民夫 (秋田県立大・生資) 16:30-16:35 閉会の挨拶 事務連絡(次回講演会開催について、交流会について、他)

(3)

バキュロウイルス感染 Sf9 昆虫細胞によるヒトインターロイキン-2 の生産

○進藤祐宜1 ,菊地賢一2 ,後藤 猛21 秋田大・工資,2 秋田大院・工資) [緒言] ヒトインターロイキン-2 (hIL-2)は T 細胞の増殖促進や NK 細胞の活性化などの生理機能を有す るサイトカインであり,抗腫瘍剤などに用いられている。大腸菌による hIL-2 の生産が行われている が,その多くは不活性な封入体として生成することが問題である。一方,昆虫細胞-バキュロウイル ス発現系(BEVS)は動物タンパク質の大量生産方法として利用されているが,内在性プロテアーゼ による分解が問題となっている。そこで本研究では BEVS による hIL-2 の生産を試み,プロテアー ゼ分解の抑制方法を検討する。 [実験方法]

hIL-2 cDNA をトランスフェクションベクターpFastBac1-Pgp64 の gp64 プロモーター下流に挿入し, バキュロウイルスゲノムを組み込んだ Bacmid DNA にトランスポゾンを利用してこの遺伝子を導入し て組換えバキュロウイルス(AchIL2)を作成した。指数増殖期にある Sf9 細胞を無血清培地 Sf-900

Ⅱに懸濁させて細胞密度 5×106

cells/mL とし,AchIL2 を感染多重度(MOI) 0.1 pfu/mL で接種した。

1 時間振盪した後,新鮮培地をさらに加えて 1×106 cells/mL とし,28℃で振盪培養した。ウイルス接

種 3 日目の培地に 4 種類のプロテアーゼ阻害剤カクテル:Cocktail-A (mock),Cocktail-B (0.2 mM E-64,2 mM Leupeptin,0.2 mM Pepstatin A),Cocktail-C (20 mM AEBSF,0.02 mM Aprotinin, 0.2 mM Pepstatin A),Cocktail-D (20 mM AEBSF,0.02 mM Aprotinin,0.2 mM E-64,2 mM Leupeptin),または BSA,Triptone をそれぞれ添加した。6 日目まで培養した後,培養液と細胞画 分に分け,それぞれウエスタンブロットにより hIL-2 の生成挙動を分析した。培養液を PBS で透析し た後,Ni アフィニティー樹脂(Ni-IMAC Profinity)と混合した。5 mM Imidazole を含むリン酸緩衝液 (pH 8.0)で十分洗浄した後,500 mM Imidazole により hIL-2 を溶出させた。

[結果と考察]

BEVS による hIL-2 の生産を試みたところ,hIL-2 はウイルス接種 2 日目から発現して細胞外へ 漏出・蓄積したが,同時に部分分解も認められ,4 日目には完全に消失した。そこで,4 種類のプロ テアーゼ阻害剤カクテル(Cocktail-A,B,C,D)をウイルス接種 3 日目に添加したところ,システイン プロテアーゼ阻害剤(E-64,Leupeptin)を含む Cocktail-B,D の添加によってのみ細胞内・外の hIL-2 の分解が抑制された。以上より hIL-2 の分解はシステインプロテアーゼに起因することが分か った。

また,プロテアーゼ分解の競争阻害を期待してより安価な BSA または Triptone による hIL-2 分 解抑制ついて検討した。その結果,BSA の効果はほとんど見られなかったが,Triptone は濃度依 存的に hIL-2 のプロテアーゼ分解を抑制し,10%Triptone 存在下で大量の hIL-2 が生成されること が分かった。さらに,高濃度の Triptone を含む培養液上清から Ni アフィニティーカラムによる hIL-2 の精製を試みたところ,一段階のクロマトグラフィーにより単一の hIL-2 が得られた。

(4)

アフリカツメガエル卵減数分裂におけるヒストンデアセチラーゼの影響

○岩下 淳、小玉 歩、阿部 達也

(秋田県立大学 応用生物科学科 分子細胞機能グループ)

【目的】

動物の減数分裂から初期発生に至る過程では遺伝子の発現が大きく変化する。遺伝子

の発現の制御には、ゲノム DNA に含まれるヒストンタンパク質のアセチル化が大きく関与

する。トリコスタチン A (TSA)などのヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤で処理したツメガ

エル初期胚はヒストンのアセチル化が蓄積するとともに、眼形成などに大きな異常が生じる

ことが 20 年以上前から報告されてきた。しかし、胚発生や卵減数分裂においてヒストンのア

セチル化がどのような役割を果たしているのか詳細な研究は為されていない。

我々は以前ツメガエル未成熟卵の核質を別の未成熟卵に注入すると、第一減数分裂の

指標となる GVBD(germinal vesicle breakdown)が早く誘起される現象を見出した。この核質

には HDAC が局在している。従って核に局在する HDAC が卵減数分裂の進行に関与する

可能性がある。

本研究では、減数分裂の進行における HDAC の機能を明らかにするために、以下の実験

を行った。

【方法】

ツメガエルの卵巣から摘出したステージ6の未成熟卵にTSAなどの HDAC 阻害剤を添加

し、以下の点について解析を行った。

① TSA によって HDAC 活性を阻害した場合における減数分裂の進行を解析した。

② ツメガエルの未成熟卵から total RNA を抽出し、RT-PCR を用いてツメガエル HDAC

cDNA を合成した。その cDNA から HDAC mRNA を合成した。HDAC mRNA をツメガエ

ルの未成熟卵に注入し、減数分裂進行の指標となる GVBD の時期までの時間に与え

る影響を観察した。

③ HDAC mRNA 注入卵になどにおける、細胞周期関連分子 cdc2 の挙動の変化を観察

した。

【結果と考察】

◆ TSA(HDAC 阻害剤)で処理した卵は、無処理の卵と比較して TSA の濃度依存的に

GVBD が遅くなった。逆に HDAC mRNA を注入した卵では、対照群の卵と比較して

GVBD が早く誘起された。

◆TSA などによりGVBD誘起までの進行に影響が観察された卵では、cdc2 などの活性

も連動して変化している現象を観察した。

これらの結果から、GV に局在する HDAC に減数分裂の速度を上げる活性があることが

示唆された。

(5)

フィブリン分解を促進する糸状菌由来マルホルミンの構造活性相関

○小泉 幸央1、長井 賢一郎2、蓮見 惠司3、小代田 宗一1、杉山 俊博1 (1秋田大院・医、2北里大・薬、3東農工大農・応生科) 【目 的】近年、脳梗塞や心筋梗塞といった血栓性疾患の発症の増加が認められ、その治療な らびに予防がきわめて重要である。現在、抗血栓療法に用いられる血栓溶解剤として、血栓 の主成分であるフィブリン(Fbn)の分解酵素プラスミンの不活性前駆体プラスミノーゲンを 活性化するプラスミノーゲンアクチベーター(PA)が臨床利用されているが、血中での短い 半減期や全身の出血傾向といった副作用の危険性を有した酵素製剤である。このような問題 点の改善を目的とした遺伝子改変型の PA の開発と同様に、低分子型血栓溶解剤の開発が求め られている。このような背景から、血栓溶解を促進する低分子化合物の開発を目的に In vitro 血栓溶解評価系を用いたスクリーニングを行なった。約 2,500 種類の微生物培養抽出液を対 照としたスクリーニングの結果、糸状菌 Aspergillus niger が生産する分子内ジスルフィド結合 を有する環状ペンタペプチド、マルホルミン A1(MA1)を見出した1)。MA1は PA の一種で あるウロキナーゼ発現細胞を介したプラスミン活性を増加させるが、詳細な作用機序は現在 のところ不明である。今回、MA1の血栓溶解促進作用の向上と細胞毒性の低下を目指した構 造活性相関を展開した。 【方 法】In vitro血栓溶解試験は、[125 I]標識Fbnをコートしたマイクロプレート上で血漿及び 単球様U937細胞を反応後、反応上清に遊離した[125 I]Fbn分解物のγ-カウンターによる定量に より評価した。細胞毒性はMTT試験により評価した。構造活性相関に用いる天然型MA1同族 体は東理大の菅原二三男先生から恵与された。非天然型MA1誘導体は固相合成法により作成 した。 【結 果】MA1の構成アミノ酸であるD-Leu、L-Ileが異なる疎水性アミノ酸に置換された8種の 天然MA1同族体はいずれも[125I]Fbn分解を促進した。次に、MA1分子内ジスルフィド結合を還 元した結果、促進活性は消失した。続いて、MA1を構成するL-Val、D-Leu、L-Ile内の1残基 をLysに置換した3種のLys誘導体の活性評価の結果、いずれのLys誘導体にも促進活性を見出 せなかった。しかし、側鎖ε-アミノ基をtert-ブトキシカルボニル(Boc)基で保護したLys誘 導体には促進活性が検出された。同様に、疎水性アミノ酸をPheに置換した3種類のPhe誘導体 からも促進活性が検出された。以上の結果から、MA1の活性発現には分子内ジスルフィド結 合および疎水性側鎖の存在が重要なこと、さらに促進活性を示す誘導体の活性濃度領域はい ずれも1 – 5 µMで変動が見られないことがわかった。また細胞毒性は、Phe誘導体 > BocLys 誘導体 > MA1 >> 還元体 > Lys誘導体 の順番となり、[125I]Fbn分解促進活性と細胞毒性には 厳密な相関が観察されなかった。

1) Y. Koizumi, K. Hasumi, J. Antibiot., 55,78-82 (2002).

マルホルミン天然型同族体および非天然型誘導体

aa1 aa2 aa3 aa4 aa5

天然型 MA1 D-Cys D-Cys L-Val D-Leu L-Ile MA2 D-Cys D-Cys L-Val D-Leu L-Val MA3 D-Cys D-Cys L-Val D-Leu L-Leu MA3(MB1b, MC) D-Cys D-Cys L-Val D-Ile L-Val MB1a D-Cys D-Cys L-Val D-Leu L-alloIle MB2 D-Cys D-Cys L-Val D-Val L-Leu MB3 D-Cys D-Cys L-Val D-Ile L-Leu MB4 D-Cys D-Cys L-Val D-Ile L-Ile MB5 D-Cys D-Cys L-Val D-Val L-Ile 非天然型 3-LysMA1 D-Cys D-Cys L-Lys D-Leu L-Ile 4-LysMA1 D-Cys D-Cys L-Val D-Lys L-Ile 5-LysMA1 D-Cys D-Cys L-Val D-Leu L-Lys 3-BocLysMA1 D-Cys D-Cys L-BocLys D-Leu L-Ile 4-BocLysMA1 D-Cys D-Cys L-Val D-BocLys L-Ile 5-BocLysMA1 D-Cys D-Cys L-Val D-Leu L-BocLys

3-PheMA1 D-Cys D-Cys L-Phe D-Leu L-Ile 4-PheMA1 D-Cys D-Cys L-Val D-Phe L-Ile 5-PheMA1 D-Cys D-Cys L-Val D-Leu L-Phe D-Cys L-Ile D-Cys D-Leu L-Val NH NH HN HN N H O O O O O H S S マルホルミン A1

(6)

マウス ES 細胞における Egam1 ホメオタンパク質群の細胞内分布部位に関する解析

○ 佐藤 匠,伊波 百恵,森 祐貴,春日 和,小嶋 郁夫,小林 正之 (秋田県大・生物資源) 【緒言】 マウスにおける最初の細胞分化は,8 細胞期から桑実期にかけて開始する内部細胞塊と栄養外胚葉への 細胞分化である。私たちは,その分子機構を解明するため,8 細胞期から桑実期にかけて発現量が増加する 遺 伝 子 を 探 索 し た 。 そ の 結 果 , Egam1 ホ メ オ タ ン パ ク 質 群 ( Egam1[29kD] , Egam1N[14kD] お よ び

Egam1C[17kD])を発見した1)。初期胚を構成する未分化細胞のモデルとしてマウス ES 細胞を用いた機能解析 により,Egam1 ホメオタンパク質群は未分化状態の維持または細胞分化に関与することが示されている。よっ て,Egam1 ホメオタンパク質群は転写調節因子として遺伝子発現の調節に関与すると推定している1,2) 転写調節因子の核への移行は核膜孔によって制御されており,その機構は次の通りである。1.アミノ酸配 列中に NLS(核移行シグナル)を含む場合,NLS 結合タンパク質である Importin ファミリーにより核への移行が 促進され,核へ局在する。2.NLS を含まなくても分子量 40kD 以下である場合,拡散によって核膜孔を自由に 通過することにより,核と細胞質に分布する。 Egam1 ホメオタンパク質群が転写調節因子として機能するためには,核へ分布すると予想されるが不明で ある。そこで本研究では,これらの細胞内分布部位について検討した。 【材料および方法】 マウス ES 細胞における Egam1 ホメオタンパク質群の細胞内分布部位を検討するために,免疫染色法を用 いた。なお,マウス ES 細胞では Egam1 ホメオタンパク質群(3 種)が発現している。免疫染色に用いる抗 Egam1N 抗体と抗 Egam1C 抗体は,構造上の関連性から Egam1 も認識する。そこで,Egam1 ホメオタンパク質 群を強制発現させることにより,それぞれのタンパク質を優位に検出できるマウス ES 細胞を作製して,細胞 内分布部位の検討に用いた。

Egam1 ホメオタンパク質群それぞれを強制発現させた ES 細胞における Egam1,Egam1N または Egam1C (FITC),および Oct4 (DyLight594)を二重免疫染色し,蛍光顕微鏡により細胞内分布部位を観察した。なお, Oct4 は ES 細胞で発現しており,核に局在することが既知である転写調節因子である。

【結果および考察】

ウェスタンブロット法により,Egam1 ホメオタンパク質群それぞれを強制発現させた ES 細胞におけるタンパク 質発現量を検討した。その結果,強制発現させたタンパク質の発現量は明確に増加していることが判明した。 よって,免疫染色においても強制発現させたタンパク質が検出されることが示唆された。

Egam1 ホメオタンパク質群強制発現ES 細胞において,Egam1,Egam1N,Egam1C は Oct4 と同様に核に局在 することが示された。すなわち,Egam1 ホメオタンパク質群は核内において,転写調節因子として機能すると 考えられる。また,Egam1 ホメオタンパク質群のアミノ酸配列中に NLS が存在することが示唆された。 今後は,Egam1 ホメオタンパク質群が直接的に転写調節を行う標的遺伝子を同定すること,および Egam1 ホ メオタンパク質群のアミノ酸配列中に存在すると推定される NLS を同定することを予定している。

【参考文献】 1. Saito et al., Cloning of complementary DNAs encoding structurally related homeoproteins from

preimplantation mouse embryos: their involvement in the differentiation of embryonic stem cells., Biology of

Reproduction, 82: 687-697 (2010), 2. Saito et al., Relationships between homeoprotein EGAM1C and the

expression of the placental prolactin gene family in mouse placentae and trophoblast stem cells., Reproduction,

(7)

ヒト胚性癌細胞株 NT2 細胞の未分化状態および分化過程における Tetra-peptide repeat homeobox 1 (

TPRX1

) 遺伝子の発現解析

○ 森 祐貴,伊波 百恵,佐藤 匠,春日 和,小嶋 郁夫,小林 正之 (秋田県大・生物資源) 【緒言】 マウスにおける最初の細胞分化は,8 細胞期から桑実期にかけて開始する内部細胞塊と栄養外胚葉への 細胞分化である。しかし,その分子機構は充分には解明されていない。私たちは,最初の細胞分化を制御す る分子機構を解明することを目的として,桑実期に発現量が増加する遺伝子の探索を行った結果,ホメオタン パク質 Egam1 を発見した。Egam1 は,初期胚のモデル細胞である ES 細胞の細胞分化に関与することが示さ

れている1)。また,マウス ES 細胞においてEgam1 mRNA はレチノイン酸添加(+RA)分化誘導により発現が誘

導される。 Egam1遺伝子はマウス第 7 染色体にコードされている。またTPRX1遺伝子は,ヒト第 19 染色体にコードさ れている。染色体上におけるEgam1とTPRX1の位置関係は一致している。さらに,Egam1 の N 末端側ホメオ ドメインと TPRX1 のホメオドメインは paired タイプであることから,TPRX1はEgam1のヒトオーソログ遺伝子で あると推定される。TPRX1 は精巣と目で発現していることが既知であるが,具体的な機能は報告されていな い。 そこで本研究では,未分化状態維持および分化誘導処理した細胞におけるTPRX1の機能を明らかにするこ とを目的として,精巣由来であり,また神経系に分化誘導することができる,ヒト胚性癌細胞株 NT2 細胞の未 分化状態と分化過程におけるTPRX1 mRNA の発現について検討した。 【材料及び方法】 未分化状態維持培養および+RA分化誘導培養(14日間)したNT2細胞からRNAを精製し,cDNAを合成した。

未分化マーカー(NANOG),原始内胚葉マーカー(GATA6),神経外胚葉マーカー(MASH1),栄養外胚葉マー

カー(CDX2),およびTPRX1 mRNA発現量をReal-time RT-PCRにより定量した。 【結果】 1) +RA分化誘導したNT2細胞では,未分化状態維持培養時とは明らかに異なる形態のコロニーが認められ た。 2) 未分化マーカーであるNANOGの発現量は,未分化状態維持培養時では高く,+RA分化誘導培養時では有 意(p<0.05)に減少した。逆に,分化マーカーであるGATA6,MASH1,CDX2の発現量は,+RA分化誘導培養 開始後,有意(p<0.05)に増加した。 3) TPRX1 mRNA発現量は,未分化状態維持および分化誘導培養時において検出限界以下であった。 【考察】 NT2 細胞において,TPRX1 は未分化状態の維持および原始内胚葉,神経外胚葉,栄養外胚葉への分化と の関連性は低いことが示された。 TPRX1 は精巣と目で発現していることから,偽遺伝子ではないことが示されている。そこで今後は,TPRX1 と Egam1 強制発現ベクターをそれぞれ構築し,ヒト NT2 細胞とマウス ES 細胞にそれぞれ遺伝子導入し,細胞 分化への影響を比較する予定である。 【参考文献】

1. Saito et al., Cloning of complementary DNAs encoding structurally related homeoproteins from preimplantation mouse embryos: their involvement in the differentiation of embryonic stem cells. Biology of Reproduction, 82: 687-697 (2010)

(8)

秋田での研究展開と抱負

"内分泌細胞の分泌顆粒形成機序"の解析を中心に)

穂坂正博(秋田県立大学 生物資源科学部 応用生物科学科 分子細胞機能研究グループ) 〜内分泌細胞の分泌顆粒形成機序の解明〜 内分泌細胞では、ペプチドホルモンは、粗面小胞体上で合成された後、ゴルジ装置を経 て、トランスゴルジネットワーク (TGN) から分泌顆粒に選別輸送されて、貯留され、細 胞外刺激により分泌される(調節性分泌経路)。一方、外部刺激による調節を受けない、 成長因子、膜蛋白質、アルブミン等の血清タンパク質等の分泌タンパク質は、TGNから 細胞表面に移行する経路で輸送される(構成性分泌経路)。 内分泌細胞の分泌顆粒にはペプチドホルモン、グラニンタンパク質群、ペプチドホル モンを活性化するプロセシング酵素群が含まれ、また顆粒上には分泌制御タンパク質や 顆粒内環境を整えるイオンチャンネルとポンプが存在している。私は、これまで『ペプ チドホルモンが分泌顆粒へ選別されるメカニズム』を解析し、分泌顆粒中でクロモグラ ニン A(CgA)と結合するタンパク質、セクレトグラニン III(SgIII)を同定して解析を 行い、1)SgIII は CgA と分泌顆粒内の弱酸性、高カルシウム環境で強く結合し、CgA の 調節性経路への選別受容体として機能する(Mol. Biol. Cell 13, 3388-3399, 02)、2)SgIII は高コレステロール組成をもつ分泌顆粒膜と直接結合して顆粒へ選別輸送される(J. Biol. Chem. 279, 3627-3634, 04)、3)SgIII は CgA と 1:1 のストイキオメトリーで結合するのみ ならず、凝集した多量の CgA と結合できる、SgIII は CgA とペプチドホルモンの凝集体 を分泌顆粒に輸送する (Mol. Endocrinol. 22, 1935-1949, 08)、ことを示した。本研究会では、 高コレステロール顆粒膜を基盤としたペプチドホルモン選別輸送メカニズムを中心に、 我々の最近のデータを交え分泌顆粒形成について概説する。 〜低酸素病態イメージングプローブの開発〜 病気の超早期診断・治療の実現に向けて病態を非侵襲的に検出し、その分布を画像化し て生体情報を得る『分子イメージング技術』の開発が世界的に推進され、分子イメージ ング技術は臨床医療学においても中心的な役割を果たしている。近年、我々の研究グル ープはがん、動脈硬化、脳梗塞、心筋梗塞部位といった低酸素病態に焦点を当て、その 超早期診断に向けて、簡便で安価な分子イメージング技術の確立を目指している。現在、 我々は、低酸素環境下でのみ発光するイリジウム錯体(BTP、分子量 712)を生体に投与 し、その発光を利用して低酸素病態を検出する全く新しいタイプの分子イメージング法 を確立しつつある(Cancer Res. 70, 4490-4498, 10)。本研究についても簡単に紹介する。 参照:http://www.akita-pu.ac.jp/bioresource/dbt/molb/mhosaka/

(9)

異種放線菌を宿主としたカスガマイシンの恒常的生産

◯春日 和、松尾 高志、山本 知佳、湊 由衣子、桑原 直哉、飯野訓昌、小林 正之、 上松 仁1、池田 治生2、小嶋 郁夫 (秋田県大、1秋田高専、2北里大・北里生命研)

【背景と目的】

放線菌 Streptomyces kasugaensis が生産するアミノグリコシド抗生物質カスガマイシン (KSM)は、イネのいもち病用農薬として広く用いられている。我々は S. kasugaensis A1R6 株 より KSM 生合成に関与する約 20kb の kas 遺伝子クラスターをクローン化して遺伝子解析を 行った。また、KSM 生合成系の発現には KSM 生合成酵素遺伝子群に先立ち生合成経路特 異的転写活性化遺伝子 kasT が発現する必要があることを明らかにした。そこで我々は、KSM を生産しない放線菌 Streptomyces lividans TK21 を宿主とし、kas 遺伝子群とともに kasT を 過剰発現させることにより異種放線菌での KSM 生産に成功した。現在、KasT に依存せずに 発現する KSM 生合成遺伝子カセットを構築し、これを異種放線菌および他の細菌に導入する ことにより KSM 生産を導く研究を行っている。

【方法と結果】

(1)恒常的 KSM 生産を導く遺伝子カセットの構築: kas 遺伝子群のうち kasT の上流に、 Streptomyces avermitilis 由来の構成的プロモーター(PrpsJ)を連結した KSM 生合成遺伝子カ セット I を構築した。また、kas 遺伝子群の各転写単位の上流に種々の細菌で機能するプロモ ーター(Pneo)を連結して再編成した KSM 生合成遺伝子カセット III を構築した。さらに、これら 2 つのカセットにイノシトール生合成関連遺伝子 ino1 を挿入した KSM 生合成遺伝子カセット II および IV を構築した。以上の 4 カセットを、Streptomyces 属放線菌の染色体組込み型ベクタ ーpTYM19 に連結して、異種放線菌における KSM 生産プラスミドベクターpKSM109、 pKSM125、pKSM81、pKSM126 を作製した。 (2)放線菌における KSM 生産性: 4 種のプラスミドを S. lividans JT46 に導入し、KSM の生産 性を調べた。KSM 発酵生産実験を行ったところ、pKSM109、pKSM125 を導入した 2 株は S. kasugaensis の KSM 高生産株 R6S1 と同レベルの KSM を安定して生産した。一方、 pKSM81 または pKSM126 の導入株では KSM 生産量がクローン間で安定せず、特に pKSM81 は宿主内で KSM 生産カセット自体が安定に保持されないことがわかった。これは、 相同組換えにより KSM 生合成遺伝子カセットが分解したためと考えられる。 (3)大腸菌における KSM 生産性: pKSM81 では Pneo の下流に各 kas 遺伝子群を連結して いるため、大腸菌に導入して kas 遺伝子群を発現させられると期待された。pKSM81 を導入し た大腸菌では耐性遺伝子群や ino1 の発現は確認できたが、この形質転換体での KSM の生 産は検出されてなかった。 現在、Rhodococcus 属細菌など、Streptomyces 属放線菌に遺伝学的に近縁の細菌を宿主 とした KSM 生産系の確立に取り組んでいる。

(10)

D-アスパラギン酸特異的エンドペプチダーゼ生産菌

Paenibacillus

sp. B38

由来セロビオース 2-エピメラーゼのクローニングと大腸菌における発現

○韮澤悟(独法 国際農林水産業研究センター)、高橋砂織(秋田県総合食品研究センター)

【目的】

次世代シークエンサーにより解析した

Paenibacillus

sp. B38

1)

ゲノム塩基配列から、ヒトレニン

結合タンパク質(N-アセチルグルコサミン 2-エピメラーゼ)

2)

と相同性のある酵素を

in silico

スク

リーニングし、これをクローニングするとともに大腸菌で発現させ、得られた組換え酵素の性

質を解析したので報告する。

【方法】

ゲノム塩基配列、酵素アミノ酸配列の相同性検索には BLAST を用いた。酵素遺伝子の取得

Paenibacillus

sp. B38 より精製したゲノムを鋳型とした PCR 法により行った。大腸菌における

酵素生産は pET28a を用いた。酵素活性は、GlcNAc 、Lactose 及び Cellobiose を基質に用い、

DIONEX-HPLC で分析した。分子会合の解析には Superdex 200 (10/30)カラムを用いた。

【結果と考察】

Paenibacillus

sp. B38 ゲノム塩基配列より、ヒトレニン結合タンパク質(

GenBank Acc. No.

D01085

3)

)とアミノ酸配列の相同性をもつ配列を検索したところ、約20%の相同性をもつORFを

得た。この ORF より推定されるアミノ酸配列は、種々の微生物ゲノムから推定されるアミノ酸

配列と約 40-60%の相同性があった。つぎに、大腸菌により本酵素を生産し、その基質特異性

を調べたところ、lactose 及び cellobiose はエピメリ化したが GlcNAc はエピメリ化しなかった。こ

のことから、本酵素はセロビオース 2-エピメラーゼであることが示唆された。既知のセロビオ

ース 2-エピメラーゼと 37-44%のアミノ酸配列の相同性があった。また、ゲルろ過の解析によ

り、活性型酵素は SH 基還元状態で二量体を形成しており、酸化状態では単量体で不活性であ

ることが明らかになった。また、SH 基修飾剤である N-ethylmaleimide 及び iodoacetic acid によ

り活性が阻害されることから、遊離 SH 基が活性発現に必須であることが推定された。本酵素

においても、ほ乳類エピメラーゼにおいて活性発現に必須な 380 番目のシステイン残基

4)

が保

存されており、このことは酵素の構造機能相関を考察する上で大変興味深い。

【参考文献】

1. Takahashi. S.

et al

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J. Biochem

. 139, 197-202 (2006)

2. Takahashi, S.

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4. Takahashi, S.

et al

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J. Biochem

. 126, 639-642 (1999)

(11)

次世代シークエンサを利用した大規模塩基配列解析の試み

○福島淳、志村洋一郎、原光二郎、小西智一、鈴木英治、岡野桂樹、稲元民夫

(秋田県大・生資)

2007 年に次世代シークエンサ装置が発売され、その後、生物の遺伝子研究は部分的に 大きく様変わりしたと言えるかもしれない。この機械は、今までのサンガー法に元づく DNA シークエンサの最低でも数千倍の能力がある。現在の最新機種では、1 回の解析で 最大600 G(6 x 1011)塩基の配列を解読できるという。ヒトのゲノムサイズは3 G 塩基 であるので、その200 倍という膨大な量である。このような機械は国内でも既にかなり の数が導入され、稼働している。受託で解析する企業も現れているが、秋田県内では今 のところ導入されていないと思われる。実際の利用目的は今後さらに拡大すると考えら れるが、現時点では、微生物から高等動植物のゲノム解析に用いられていることはもち ろん、環境微生物の網羅的メタゲノム解析、遺伝子発現の網羅的解析、遺伝子変異解析 等にも応用されている。本機器は急速に改良が進んでいる状態で、細菌ではまずゲノム 配列を解析してから研究が開始するという時代が到来する可能性が高い。また、高等真 核生物の研究においても近い将来、ゲノム配列を決定してから開始するということも十 分考えられる。このように、おそらく今後 5 年の間には生物学全体に大きく影響を与え る技術となると考えている。 県立大学ではこの次世代シークエンサ装置の導入を目指し、その解析に必要な環境や 知識について、県立大学内バイオインフォマティクス研究会が中心となって検討してい る。また、県立大学バイオテクノロジーセンターでの受託可能性についても検討を行う 予定である。今回は発売されている装置の特性を知るために、二つのメーカーの機種を 使用して依頼配列解読を行った。ここでは、途中経過であるがその解析についての一部 と問題点などを報告する。解析に供したものは、細菌のゲノム3種、真菌ゲノム1種、 動物の腸内細菌の網羅的解析2サンプルである。また、真核生物の組織で発現するRNA についても網羅的に解析を行う予定である。

(12)

事務局連絡先

(秋田県総合食品研究センター内)

E-mail

[email protected]

TEL

018-888-2000

FAX 018-888-2008

URL

http://www.arif.pref.akita.jp/appl-mic.htm

担当

小笠原博信、樋渡一之、高橋砂織

参照

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