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「物流効率化による経営改善と 環境負荷の低減」

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(1)

中小事業経営層向けセミナー

「物流効率化による経営改善と 環境負荷の低減」

事例集

平成24年5月

東京都 環境局

(2)

主体 目的・取組内容 効果

1.卸売業 A

営業力の強化、配送コストの削減を行うた め、営業担当者が自家用貨物車を使って行 っていた納品から営業用貨物車を利用し たメーカーからの直送に変更

・ 直送による走行距離の削減

営業用貨物車利用による積載効率

の改善

2.生活関連サービス業 B

納品時間を守るため、指定時刻に間に合う 配送ルートをドライバー情報と配車管理 によって実施

・ 納品時間の遵守

・ 最適ルート走行による走行距離の 削減

3.金属製品製造業C

リードタイムを短縮するため、複数メーカ ーがひとつの代理店に在庫管理まで一括 発注して在庫ポイントを確保

・ 走行距離の削減

積み合わせ配送による運行車両の 削減

4.飲食料品卸売業D

物流経費の削減のため、配送頻度や配送曜 日の見直しや夜間配送、共同配送などを実

・ 配送頻度の減少による総走行距離の削減

・ 1台で配送できる荷量の増加

・ 共同配送による運行車両数の削減

5.園芸等のサービス業 E

商品の形状が特殊でトラックに多量に積 み込むことができないため、輸送用の包装 を施し、1台の車両で多くの荷物を運べる よう工夫

・ 1台で配送できる荷量の増加

10

6.卸売業7社・

貨物運送業 F

開店前納品の実施と物流経費の削減のた め、遠隔地用の新しい物流センターを開設 するとともに夜間配送を実施

・ 納品時間の遵守

・ 走行距離の削減

・ 1 台で配送できる荷量の増加

12

7.飲食料品卸売業 G

過剰サービスにより利益率が低下したた め、最も効率的な納品の基準を策定し、顧 客に対し適切な納品回数の提案を実施

・ 配送頻度の減少による総走行距離

の削減 14

8.卸売業 H

顧客及び自社の売上げを確保するため、在 庫と納品方法の分析を行い、週 1 回の納 品や店舗間の横持ち輸送などの在庫管理 を実施

・ 在庫管理の見直しによる配送頻度

の削減 16

荷主

9.計測機器製造業Ⅰ

多頻度輸送による増加した物流経費の削 減のため、同業者が実施する共同配送に参 画し、物流経費を縮減

・ 共同配送による運行車両数の削減 18

10.貨物運送業 J 環境面への配慮から、CNG車を早期導入 ・ 企業の環境への取組姿勢やCNG 車の性能が評価され、事業を拡大 20

11.貨物運送業 K

労働環境の改善のため、カーナビなどの運 転補助機器を導入してドライバーの労働 環境を改善

・ うろつき走行の減少

・ 経済運転(エコドライブ)の実施 22

12.貨物運送業 L

環境を会社の特徴としていくため、きめ細 かい燃費管理(エコドライブ活動)を推進 し、事業拡大を期待

・ 経済運転(エコドライブ)の実施

24

13.貨物運送業 M ISOやエコドライブの取組を生かし、会 社の組織作りや組織力の強化

・ 安全性の高い輸送

26

14.貨物運送業 N

渋滞区間に巻き込まれることによる遅延 を避けるため、インターネットの無料サイ トを利用して最短経路検索を行い、混雑区 間を回避したルート決定を実施

・ 定時(定速)運行の実施

・ 走行距離の短縮

28

15.貨物運送業 O

納期遅れと車両待機や持ち戻り輸送を改 善するため、荷主の生産管理業務も含めて 受託して、配車を実施

・ 持ち戻り輸送の削減による走行距 離の抑制

・ 待ち時間の減少

30

16.貨物運送業 P

荷主との契約方法の変更に伴う荷物量及 び売上げの減少を防ぐため、混載による長 距離輸送を提案し荷物量と売上げの減少 を回避

・ 混載による運行車両台数の削減

32

物流事業者

17.貨物運送業 Q

ドライバーの労働環境を守り非効率な片 荷運行を回避するため、求貨求車システム を活用して代車(庸車)による輸送を実施

・ 帰り荷の確保による運行車両数の

削減 34

(3)

事例集の目的と見方

■中小事業者にも取り組みやすい事例を紹介

この事例集では、中小事業者にとって取組のヒントやきっかけとなるよう、「大きな投資や専門 の組織が必要」など大手事業者でないとなかなか取り組めないような事例ではなく、これまで「環 境対策に手を回す余裕がなかった」というような小規模な事業者でも直ちに取り組める内容を中 心に紹介しています。

■環境対策と物流対策は、経営改善と両立

トラック輸送に関わる環境対策には、ムリ・ムラ・ムダを省くことでコスト削減をもたらすも のが多くあります。また、物流対策・環境対策を行うことで、社員の「仕事の質の向上」や「新 規顧客の獲得」など思わぬ効果が現れた事例もあります。

■事例集の活用方法

事例集は、テキストの p.12 及び p.13 にある環境負荷低減効果のある物流効率化の代表的メ ニューに対応しています。表にある取組主体や物流上で期待できる効果、経営上で期待できるメ リット、着手のしやすさといった視点から事例が引けるようにしてあります。

そのため、例えば、テキストp.12 の取組の代表メニューから事例を探してもらうことも可能 ですし、経営上で問題認識を持たれている項目があれば、その項目に○がついている事例を探し て頂いても結構です。

さあ、是非、あなたの会社で、必要としている視点から、事例を探してみてください。

1

(4)

事例1 卸売業 A 社

取組主体と取組形態 荷主 : 卸売業(A 社)⇒取引先

取組内容 自営転換 経営面でのメリット 機材や人材の有効活用

営業担当者の自家用車による納品から営業用貨物車による納品に転換し、営業部門を強化、自 営転換により輸送も効率化

名 称:卸売業 A 社 所 在 地:東京都 会 社 規 模:社員数 40 名

取 引 相 手:各種製造業、物流事業者など 事業エリア:首都圏

〈営業担当者による納品の見直し〉

・ A社は、工具や精密機械、大型機械などの販売を行っている。特に販売製品のメンテナンス(修理)

サービスは、事業としても重要であり、定期的に訪問して営業を行うことにしている。

・ 納品時にも顧客サービスとして、社員が顧客に直接接することが何よりも重要と考え、A 社の社員 である営業担当者が自身で納品を行っていた。

・ しかし、景気悪化に伴い、営業部門の強化が必要となり、営業担当者を納品作業から営業活動に専 念させる必要が生じた。

〈自家用貨物車から営業用貨物車による納品への転換〉

1.事業者の概要

2.背景

3.取組内容とプロセス

・ A 社の取扱商品のうち、大型機器については、営業用貨物車によりメーカーから納品を行っている。

この実績なども考慮し、納品の際に営業担当者が直接対応することが必ずしも顧客ニーズではない と判断した。

・ これらを踏まえ、自家用車を使用した営業担当者による納品から、営業用貨物車による直接納品に 転換していくことにした。今では、多くの商品が問題なく納品され、顧客からのクレーム等も発生 していない。また、結果的に配送に掛かる人件費やその管理費の削減、納品の遅延リスクの回避な どにもつながった。今後とも、営業用貨物車への転換を一層進めていく予定である。

・ なお、16:00 以降の注文については、営業用貨物車による納品では翌々日になってしまい、工場の 操業に影響・支障をきたすため、このような緊急時の納品には営業担当者が納品を行っている。

(5)

〈物流効率化面での成果〉

4.成果

自営転換

・ 巡回型輸送から直送への転換によるリー ドタイムの短縮

人材の有効活用(営業 力の強化)

経営上のメリット

排出ガス(CO2等)の削減 積載率の向上

走行距離の削減 物流面での直接的な成果

環境面の効果

・ 自家用貨物車の走行距離の削減によるコ ストの縮減

〈環境面での成果〉

・ 営業用貨物車への転換によるCO2、大気 汚染物質の削減

・ 自家用貨物車の走行距離の減少によるC O2、大気汚染物質の削減

図 1 物流効率化による環境及び経営への影響

〈経営面での成果〉

・ 商物分離による人材資源の有効活用(営業力の強化)

※商物分離とは、商品の所有権の流れである商流と、ものの流れである物流が別になること。

○顧客ニーズを再確認してみませんか?

5.取組のポイント

⇒今の顧客サービスは、顧客ニーズと合致したサービスですか。仮に、適切なサービス水準とするこ とができれば輸送の効率化、配送に掛かる人件費の削減や人材資源等の有効活用ができる可能性が あります。

図2 自営転換のイメージ

出典:「幹線沿道地域の自営転換促進に関する調査研究報告書((社)兵庫県トラック協会) (国土交通省:全日本トラック協会パンフレットより)

(6)

事例2 生活関連サービス業 B 社

取組主体と取組形態 荷主 : 生活関連サービス業(B 社)(単独実施)

取組内容 配送ルートの変更

(ムダな走行の回避)

経営面でのメリット 機材や人材の有効活用 企業価値の向上

社内に配車係を設置し、配送先が変化する都度、輸送全体を最適化

名 称:生活関連サービス業 B 社 所 在 地:東京都

会 社 規 模:社員数 200 名

取 引 相 手:飲食店、ホテル、一般家庭など 事業エリア:首都圏

〈頻繁に変化する配送先への対応〉

1.事業者の概要

2.背景

・ B 社は、飲食店やホテル等のリネンサプライや、一般消費者を対象としたクリーニング店を経営し ている。そのため、飲食店やホテル等を相手とする商品の輸送と、系列のクリーニング店舗を相手 とする商品の輸送がある。リネンサプライ関係は自家用貨物車で、クリーニング関係は営業用貨物 車で輸送している。

・ リネンサプライ関係の輸送では、納品時間が取引先事業所の営業時間と密接に関係するため、顧客 の指定時間どおりに商品を届けることが重要である。

・ また、昨今の景気の悪化や契約先の業績などによって、取引先がたびたび変わる。このため、配送 先も大きく変化する。店舗の納品時間を加味しながら、顧客に指定時間どおりに商品を届けるため、

その都度効率よく輸送できるルートの設定が必要になる。

〈配車係による配送ルートの設定〉

3.取組内容とプロセス

・ B社は、配送先が非常に多いことから、物流事業者以外ではあまり見られない配車係を配置してい る。

・ 配車係は、車両のメンテナンス・管理や燃料代等の経費管理のほか、配送先への配送方法について も管理している

(7)

図3 配送ルートの変更のイメージ

〔見直し前〕 〔見直し後〕

② ③

⑥ ⑤

⑦ ④

顧 客 の 指 定 時 間 の 幅 の 中 で 効 率 的 に 輸 送 できる順番を決定

新規契約 契約切れ

② ③

② ③

・ 配送先に変化があった場合、配車係は、全ての配送先に指定時間どおりに商品を届けるため、地図 上で顧客の位置を確認し、道路事情に詳しいドライバーと相談しながら最適な配送順と到着目標時 間を設定している。この設定作業は、配送先に変化があった都度行っている。

・ 実際にどの道路を走行するかは、その時の道路状況等をドライバーが判断している。

4.成果

〈物流効率化面での成果〉

配送ルートの変更

・ 最適な配送ルート設定による輸送の効率化

企業価値の向上

機材の有効活用 排出ガス(CO2等)の削減 走行距離の削減

到着時間の正確性 物流面での直接的な成果

環境面の効果 経営上のメリット

・ 納品指定時間の遵守

〈環境面での成果〉

・ 走行距離の短縮によるCO2や大気汚染 物質の削減

〈経営面での成果〉

・ 信頼性の高い輸送サービスの提供によ る顧客の維持・確保

○配送ルートの決定はドライバー任せになっていませんか?

5.取組のポイント

図4 物流効率化による環境及び経営への影響

⇒ドライバー個人の経験や勘による最適化ではなく、彼らの情報と専門知識を持った配車係が共同した組織的な 管理によって社内の輸送全体を最適化できれば、大幅な輸送の効率化につながる可能性があります。

(8)

事例3 金属製品製造業 C 社と同業数社

取組主体と取組形態 荷主 : 金属製品製造業等⇒卸売業(代理店)

取組内容 在庫ポイントの変更 経営面でのメリット コストの縮減 企業価値の向上

顧客の近くに在庫ポイントを設置し、リードタイムを大幅に短縮するとともに、多頻度少 量輸送を抑制し輸送を効率化

名 称:金属製品製造業 C 社 所 在 地:大阪府

会 社 規 模:社員数 140 名(契約含む)

取 引 相 手:卸売業、小売業、製造業など 事業エリア:全国

〈長いリードタイムによる顧客サービスの低下〉

・ C社は工具等の製造業である。製品の修理(メンテナンス)については、代理店(小売店)が行っ ている。顧客から代理店が修理依頼を受けると、代理店はC社に部品を注文、C社は代理店に注文 部品を輸送、代理店はその部品により製品の修理を行っている。

・ そのため、代理店に修理依頼があった場合、その都度C社に部品の注文を行うため、C社の工場や 倉庫が遠くにある場合は、修理を行うまでに2日以上を要する場合があった。

・ 製品を使用している顧客の多くは工場であるため、修理が遅れると操業自体が止まってしまうこと になり、修理までに要する日数(リードタイム)の短縮は、顧客サービスとして極めて重要であった。

〈在庫ポイントの設置によるリードタイムの短縮〉

1.事業者の概要

2.背景

3.取組内容とプロセス

・ C社では、リードタイムを短縮する方法として、修理需要の多い地域から近い場所に在庫ポイント を確保し、そこから部品を発送することとした。

・ 修理部品の多くは、小さな部品であることから、倉庫等を新たに確保する必要がなかったため、取 引関係にあった小売業者のスペースを間借りして、修理部品の在庫ポイントを設置した。この小売 業者とは、在庫管理業務や修理業務までまとめて代理店契約することにした。

・ 在庫ポイントの確保により、修理依頼を受けてから、その日のうちに修理を完了することも可能に なった。

(9)

・ また、これまでは修理依頼を受けると小口であってもその都度、大阪から東京にある代理店に部品 を輸送していた。在庫ポイントを設置したことで、商品をまとめて定期輸送することが可能になり、

物流の効率化にも役立った。

・ なお、代理店契約した小売業者は、このビジネスモデルを関西地区の複数の機械メーカーに売り込 み複数メーカーの代理店になっている。

〈物流効率化面での成果〉

・ 大阪から東京までの輸送が、小口の不定期 から定期になったことによる輸送の効率化

・ 複数のメーカーの在庫ポイント利用による 輸送の集約化

〈環境面での成果〉

・ 総輸送距離や輸送の集約化による貨物車台 数の削減に伴うCO2や大気汚染物質の削減

〈経営面での成果〉

・ リードタイムの短縮による顧客サービスの向上

○遠距離の多頻度少量輸送で物流サービスが低下していませんか。

4.成果

5.取組のポイント

図6 物流効率化による環境及び経営への影響 在庫ポイントの設置

(顧客ニーズへの対応)

企業価値の向上 コストの縮減

総輸送距離の削減 混載輸送による積載率の向上 物流面での直接的な成果

リードタイムの短縮

排出ガス(CO2等)の削減 経営上のメリット 環境面の効果

メーカー 部品の注文 代理店 修理依頼 顧 客

部品の輸送 修  理

遠距離であれ ば輸送に1日

実際の修理に

リードタイムは実質2日以上 1日

図5 在庫ポイントの変更イメージと変更後の輸送の集約化イメージ

〔ストックポイント設置後〕

〔複数メーカーの集約化後〕

メーカー 代理店

顧 客

修理依頼

定期的な輸送 修  理

実際の修理に 1日 メーカー

の部品ス トック

その日に修理も可能

メーカー 代理店

顧 客

修理依頼 定期的な輸送

修  理 複数メー

カーの部 品ストック

メーカー

メーカー 顧 客

メーカーの異なる複数のメ ンテナンス現場を巡回可能

〔従前〕

⇒遠距離地への輸送では、顧客の近くに在庫ポイントを設けたり、他のメーカーと共同化することで、

リードタイムの短縮、物流コストの削減につながる可能性があります。

(10)

事例4 飲食料品卸売業 D 社

取組主体と取組形態 荷主 : 飲食料品卸売業 D 社⇒飲食料品小売業等 取組内容 過剰サービスの見直し(輸送頻度の削減)

混雑時間の回避(夜間配送)

積み着け方法の改善

経営面でのメリット コストの縮減

機材や人材の有効活用

取引量に応じた輸送サービス、営業時間に応じた輸送サービスを取引先と協議のうえ改善 し輸送を効率化

名 称:飲食料品卸売業 D 社 所 在 地:東京都

会 社 規 模:東京事務所:車両台数 25 台(都内で 85 台)

取 引 相 手:飲食業、小売業等 事業エリア:全国

〈顧客ニーズに応じる中で利用率が低下〉

1.事業者の概要

2.背景

・ 商品の納品に対する顧客要求(配送頻度、時間指定等)が厳しくなっている。また、百貨店や駅は施 設規模が大きく、建物に入ってから配送に時間がかかるため、配送効率が低下していた。

・ さらに、商品価格が落ち込み薄利多売となる中で、利益を確保していくためには、物流面での効率 化に取り組むことが不可欠になっていた。

3.取組内容とプロセス

〈配送頻度の見直し〉

・ 小口の商品しか注文のない顧客に対しては、大口顧客と同じ水準の過剰な配送サービスを提供して いないか点検した。店舗当たりの売上を算出し、過剰なサービスと判断される場合は、配送費につ いて顧客と協議を行い配送頻度の削減を提案した。

・ また、曜日ごとの出荷品目や売上げを分析し、保存のきく商品については、配送日の変更を提案し た。

〈配送時間帯の見直し〉

・ 輸送の効率化(1回の配送で巡回できる店舗を増やし、貨物車に多く積むことで使用台数を減らす)

のため、道路混雑が激しい日中の納品を避け、午前7時前か深夜の配送への変更を提案した。

(11)

・ 取引先のうち、カラオケ店・居酒屋については、深夜も営業をしており、夜間にも検品・受取が可 能なため夜間配送を提案した。

・ 深夜・早朝配送に変更した場合は、販売価格を2%割引とし、深夜・早朝時間における納品を推進 している。

〈自営転換し共同配送〉

・ 輸送の効率化を図るため、フランチャイズチェーン店への輸送については、同業5社で積み合わせ を行い、営業用貨物車を用いて共同配送をしている。

〈車両・機材の工夫〉

・ 冷凍・冷蔵品の輸送においては、輸送の効率化を図るため、トラックの車室を低温品用と、冷凍・

冷蔵品用の2層に分割し、温度帯の異なる商品を一度に輸送し、配送車両数を半減させている。

・ また、庫内では温度を一定に保つ工夫として「ドライアイス(=CO2)」の使用をやめ、-15℃の 蓄冷材を使用し、CO2削減を行っている。

〈物流効率化面での成果〉

・ 配送車両台数の削減(27台→25台)

・ 輸送の効率化(巡回可能店舗数の増加)

・ 車両数の半減(2層式の採用)

〈環境面での成果〉

・ 車両数の削減、円滑な輸送、輸送の効率 化により、CO2や大気汚染物質を削減

〈経営面での成果〉

・ 輸送にかかわる経費の削減

○過剰な輸送サービスになっていませんか?

4.成果

積み付け方法の改善 夜間配送、共同配送 過剰サービスの見直し

巡回可能店舗数の増加 物流面での直接的な成果

配送頻度の削減

図7 物流効率化による環境及び経営への影響 経営上のメリット

物流経費の削減 機材・人材の有効活用

排出ガス(CO2等)の削減 環境面の効果

5.取組のポイント

⇒取引先の出荷頻度や売上の分析を行い、輸送サービスを見直すことができれば、輸送コストの削減 につながる可能性があります。

○取引先の営業時間に合わせた輸送に変更することはできませんか?

⇒取引先の営業時間等を勘案し、輸送時間を見直すことができれば、輸送効率の向上につながります。

(12)

事例5 園芸等のサービス業 E 社

取組主体と取組形態 荷主 : 園芸等のサービス業 E 社(単独実施)

取組内容 積み着け方法の改善 経営面でのメリット コストの縮減

輸送の効率化を図るため、商品(植物)の包装を工夫

名 称:園芸等のサービス業 E 社 所 在 地:東京都

会 社 規 模:車両台数5台 取 引 相 手:事業所、一般家庭

事業エリア:東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県

〈輸送効率の悪い植物輸送〉

1.事業者の概要

2.背景

・ E社は、観葉植物等を事務所や一般家庭に納めている。

・ 観葉植物の輸送は、枝葉の形状が特殊なため、1台の貨物車に積載できる量には限界がある。その ため、大量の植物を輸送しなければならない場合には、車両を2台用立てて輸送しなければならな いなど、輸送効率が悪いことが問題になっている。

〈植物をコンパクトに包装〉

3.取組内容とプロセス

・ 通常、観葉植物の輸送は、1台に5~6本積んで輸送する。これ以上積み込むと、枝葉が擦れ合っ て商品を痛めてしてしまうことになる。

・ このような場合には、観葉植物全体にラッピングすることもある。

・ ラッピングや梱包は、枝葉が左右に広がるのを抑えることとなることから、観葉植物の大きさをコ ンパクト化できる。このため、より多くの観葉植物の積み込みが可能となり、輸送の効率化が図ら れる。

・ 販売や仕入の際には、専用のダンボールで梱包することも多い。専用ダンボールを使用すると定型 化できるので、1台のトラックに大量に積載することも可能である。路線便などのトラックに委託 して輸送することも可能となる。

10

(13)

〈物流効率化面での成果〉

・ 形状のコンパクト化による積載率の向 上(満載時には、何もしない場合に比べ おおむね5~10%は積載量が増加)

〈環境面での成果〉

・ 積載率の向上により輸送台数が減少す るため、CO2や大気汚染物質の削減に 寄与

〈経営面での成果〉

・ 物流経費の節減

○荷姿、積載方法を見直しできませんか?

4.成果

5.取組のポイント

積み付け方法の改善

積載量の増加

環境面の効果 経営上のメリット

物流面での直接的な成果

物流経費の削減 排出ガス(CO2等)の削減

図8 物流効率化による環境及び経営への影響

⇒荷姿をコンパクト化し、積載効率を向上できれば、輸送コストの削減等につながる可能性がありま す。

図9 観葉植物の梱包例

11

(14)

事例6 卸売業7社と貨物運送業F社

取組主体と取組形態 荷主と物流事業者の協働 : 卸売業7社⇒貨物運送業F社 取組内容 在庫ポイントの変更

混雑時間の回避(夜間配送)

経営面でのメリット 機材や人材の有効活用 企業価値の向上

卸売業と運送業が協働し新しい物流センターの設置と夜間輸送体制を実現、輸送の効率化、

物流コストの削減を実現

1.事業者の概要

名 称:卸売業7社、貨物運送業F社 所 在 地:福岡県

取 引 相 手:ドラッグストア 事業エリア:九州(鹿児島県)

2.背景

〈配送先の増加による輸送効率の悪化〉

・ 卸売業7社は、ドラッグストアへの納品を運輸事業者に委託 して、共同配送にて納品している。

・ ドラッグストア店舗への配送は、福岡県にある物流センターに 商品を集約して、そこから物流事業者が各店舗に配送している。

・ しかし、遠距離地域への配送については、店舗の開店時間前に納品 するという「納品時間指定」があり、これを守るためには配車台数 を多くする必要があった。このため、輸送効率が低下していた。

・ 特に、鹿児島県では、営業開始時間を過ぎてから納品が行わ れていたため、店舗から「開店前に納品して欲しい」との要 望があった。しかし、鹿児島への配送における卸売業7社の 物流コストは大きな負担となっていた。

物流センター

〈新しい物流センターの設置〉

・ 卸売業7社は、輸送を担っている物流事業者F社を交え、

輸送効率の悪化への対応策を検討した。この対応策の検討に あたっては、次の2点を条件とし検討を行った。

・卸売業7社の物流経費が増加しないこと。

・店舗から要望の出ている開店時間前の納品が実施されること。

3.取組内容とプロセス

物流センター

新設の物流センター

物流センター

新設の物流センター

夜間配送 の実施

物流センター 物流センター

〔従後〕

〔従前〕

図10 在庫ポイントの変更及び 夜間配送の実施例

12

(15)

・ 検討の結果、新たに鹿児島地域用の物流センターの設置を行い、開店前の納品に対応することにし た。

・ なお、物流センターの設置には、中小企業庁やトラック協会の補助・助成制度を活用した。

〈物流経費を抑える夜間配送の実施〉

・ しかし、物流センターの設置だけでは、納品時間は守れても物流経費が増加してしまう。コスト増 を抑えるために、夜間配送を実施することにした。

・ 夜間配送により、前日の 20 時から当日 10 時まで 14 時間を配送に充てられることとなり、1回 の配送でより多くの店舗への納品ができるようになった(1台の車両に多くの荷物を積めるように なった(積載率の向上)。)ことから使用する車両台数の削減が図られた。

〈物流効率化面での成果〉

・ 遠距離配送の減少と夜間配送による配送先店 舗数が増えたことによって1台当たりの積載 量が増加し、車両運行台数を1/3に削減

〈環境面での成果〉

・ 夜間配送により円滑な走行が可能になるこ とに伴うCO2や大気汚染物質の削減

〈経営面での成果〉

・ 顧客ニーズを満足させたことによる顧 客の維持・確保(物流事業者)

・ 輸送にかかわる経費の節減(卸売業7社)

○様々な関係者と協力して課題解決に当たっていますか?

4.成果

図 11 物流効率化による環境及び経営への影響 排出ガス(CO2等)の削減

環境面の効果 車両運行台数の削減

着時刻指定の遵守 物流面での直接的な成果

夜間配送の実施 在庫ポイントの変更

企業価値の向上 機材や人材の有効活用

経営上のメリット

5.取組のポイント

⇒輸送の効率化、物流コストの削減等、複雑な物流問題を解決するためには、様々な関係者が協力し、

役割・分担を共有して取り組むことが必要です。

13

(16)

事例7 飲食料品卸売業 G社

取組主体と取組形態 荷主 : 飲食料品卸売業(G社)⇒小売業 取組内容 過剰サービスの見直し

(輸送頻度の削減)

経営面でのメリット コストの縮減

受注単位や輸送頻度の見直しによる輸送効率の向上

名 称:飲食料品卸売業 G社 所 在 地:兵庫県神戸市

会 社 規 模:社員数 55 名

取 引 相 手:小売店(酒屋、食品店、食品スーパー、総合スーパー)

事業エリア:京阪神地区

〈多頻度少量輸送の見直し〉

・ G社は、酒屋や個人食品店が主要顧客だったが、食品スーパー、総合スーパーなどの量販店との取 引が拡大するに伴い「1個単位の注文」や「土日を含む注文」といった多頻度少量の輸送サービス が増え、物流コストの増加と利益の減少という事態に直面していた。

・ このままでは利益がさらに減少していくことを認識し、物流コストの増加原因である「多頻度少量輸 送」について見直す必要があると考えた。具体的には、量販店における望ましい発注単位や納品頻度 の姿を想定し、これを実現する輸送サービスのあり方を描くことが不可欠と判断した。

〈非効率な輸送実態と対応策〉

・ G社は、まず、各店舗ごとに、これまでの取引実績

の分析※コラム 2 参照を行った。この結果、スーパー各店

からの注文は、酒屋や個人食品店よりも注文単位が 小さく、売上も月 3 万円/店未満と個人食品店より も少ないレベルの店が多いことが明らかになった。

さらに、在庫及び出荷量の分析を行った結果、量販 店への出荷経費は目安としている対売上高の 3%

を上回り、7%を越える場合もあることが判明した。

・ これらを踏まえ、スーパーとの取引条件を以下のと おり設定した。

・店舗当りの取引が、月販 10 万円以上(卸

1.事業者の概要

2.背景

図 12 取組の流れ 顧客への交渉

新規顧客との交渉条件として提示

既存顧客へ拡大 自社物流の数値化の取組

・納品頻度は週2回

・基本発注単位は10個

望ましい棚の姿を実現する物流サービス

・最低でも同一商品が5個以上陳列

・基準在庫を1週間(週1回転)を目安

・1店舗当たり月販 10 万円以上の達成 顧客毎に「望ましい棚の姿」

物流コスト分析

3.取組内容とプロセス

14

(17)

値ベース)である。

・各商品の基準在庫は 1 週間分(週 1 回転)を目安とする。

・各商品は常時最低でも 5 個以上陳列する。

〈輸送の効率化に向けて〉

・ 取組の第一段階としては、「新規顧客」に対し、最初から「発注単位は 10 個」「発注頻度は週 2 回」

という取引条件を提示して交渉を行うことにした。この条件に対する反応は総じて協力的であった。

・ これらの条件の受け入れが難しい場合でも、次善の策として「発注単位 10 個はOKだが、注文は 毎日」、「10 個は無理だが、5 個ならOK」といった条件交渉をするようになり、輸送効率の極端 な低下は防げるようになった。

・ 今後、第二段階として、対象を既往顧客にも拡大していくことを考えている。

〈物流効率化面での成果〉

・ 輸送効率の向上

納品回数 出荷作業コスト

(対売上比)

「発注単位 10 個」の顧客A 11 回/月 対売上比 3.0%

「従来の物流」の顧客B 24 回/月 対売上比 7.7%

〈環境面での成果〉

・ 出荷回数が減少したことにより、CO2 及び大気汚染物質の排出量が減少

〈経営面での成果〉

・ 輸送経費の削減による利益率の向上

○過剰な物流サービスになっていませんか?

⇒取引先の出荷頻度や売上の分析を行い、輸送サービスを見直すことができれば、輸送コストの削減 につながる可能性があります。

4.成果

過剰サービスの見直し

物流経費の削減 排出ガス(CO2 等)の削減

図 13 物流効率化による環境及び経営への影響 積載率の向上

物流面での直接的な成果

経営上のメリット 環境面の効果

5.取組のポイント

http://www.chusho.meti.go.jp/shogyo/shogyo/2004/040524butu_abc_zouho.htm 物流 ABC は、中小企業庁から「物流 ABC 準拠による物流コスト算定・効率化マニュアル」とし て公開されています。

物流ABC(Activity-Based Costing)は、「活動基準原価計算」と呼ばれており、簡易な物流コ スト分析手法です。これを用いると客別の物流コスト把握などが可能となります。

物流コスト分析には、様々な方法があります。その中のひとつに物流ABCがあります。

【コラム2】:物流コスト分析

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(18)

事例8 卸売業 H社

取組主体と取組形態 荷主 : 卸売業(H社)⇒荷主(小売業)

取組内容 在 庫 管 理 の 見 直 し

(配送頻度の削減)

経営面でのメリット コストの縮減 売上げの増加

販売商品を見直し、在庫回転率の向上、輸送頻度の削減の実現、物流の効率化を実現

名 称:卸売業 H社 所 在 地:広島県 会 社 規 模:社員数7名

取 引 相 手:総合スーパー、食品スーパー等 事業エリア:中国地方

〈新事業の黒字化〉

・ H社は呉服商を営んでいたが、時代の変化とともに「セール専用品」のカジュアル系の卸売業者に 転換しつつ、事業拡大を進め、今日では下着・靴下などの通年衣料品も取り扱っている。

・ 通年衣料品の取扱は、新事業であったが、安定した収入が期待できるため、今後も取り組んでいく ことにしている。この事業を継続・拡大していくためには、赤字を避ける必要があり、売上を増加 させる取組が必要になっていた。

〈販売商品の見直し、不良在庫の防止〉

1.事業者の概要

2.背景

3.取組内容とプロセス

・ 当初、H社は、在庫に、多様なラインナップの通年衣料品を揃え、週6回納品を行っていた。しか し、売上は伸びなかった。

・ 粗利の小さい通年衣料品で収益を伸ばすためには、より多く販売することの他、物流を効率化し、

経費を抑制してくことが必要になる。H社は、商品を売れ筋商品だけに絞り、在庫をできる限り少 なくして在庫回転数を上げ、物流を効率化する方法を取り入れることにした。

・ この取組に向け、回転率、交叉比率(粗利益率×商品回転率)、POS情報などの分析を行った結果、

以下のような在庫管理を行うこととした。

・売れる商品を絞り、売れるだけ納品する

・週1回を超える納品は行わない

・店舗から店舗への商品移動(店舗間の横持ち輸送)も行う(通常は、その店舗で売り切る、

又は返品するパターンが多い。)

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〈物流効率化面での成果〉

・ 納品頻度を週1回にしたことにより、

トラックの総走行距離が1/6に削減

〈環境面での成果〉

・ 走行距離が減少したことにより、CO2 や大気汚染物質の削減

〈経営面での成果〉

・ 納品回数の削減により、物流経費が減少

○販売商品の見直しで物流の効率化を検討してみませんか?

4.成果

5.取組のポイント

図 15 物流効率化による環境及び経営への影響 在庫管理の実施

コストの縮減 売上げの増加 経営上のメリット

排出ガス(CO2等)の削減 配送頻度の削減

積載率の向上 物流面での直接的な成果

環境面の効果 図 14 納品方法の見直しイメージ

〔従前〕

〔従後〕

店頭在庫のあ る店舗間でや りとり

売れ筋商品 に特化

1回/週:配送 6回/週:配送

⇒販売商品とその商品の輸送は、一体的関係にあります。商品の見直しにより、物流コストの削減に つながる可能性があります。

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事例9 電気機械器具卸売業 Ⅰ社

取組主体と取組形態 荷主 : 電気機械器具卸売業7社と貨物運送業

取組内容 混載化・共同化 経営面でのメリット コストの縮減

共同配送に同業他社とともに参加し、物流に係る経費・手間を軽減

名 称:電気機械器具卸売業 Ⅰ社 所 在 地:東京都

会 社 規 模:社員数 61 名(2008 年4月現在)

取 引 相 手:製造業(町工場)、精密機器小売業 事業エリア:主として関東圏

〈多頻度輸送による物流コストの増加〉

・ Ⅰ社では、自家用貨物車で商品の配送を行っていたが、物流に係る経費の高騰で悩んでいた。また、

配送業務は、営業部門とは別の部門が担当していたが、納品時には営業担当者が立ち合わなければ ならないなど、営業担当者が物流に振り回されていた。

・ このようなことから、10 年ほど前に、自家用貨物車の所有をやめて営業用貨物車へ委託を行った。

その後、営業用貨物車による共同配送に変更した。

・ 自家用貨物車の使用時や営業用貨物車への委託では、4回/日の配送が行われていた。これらの多 頻度配送には同業者も含め困っていた。

〈共同配送に参加〉

1.事業者の概要

2.背景

3.取組内容とプロセス

・ 自家用貨物車のドライバーが高齢化したことから、自家用貨物車の所有・輸送をやめ、営業用貨物 車による配送に転換した。

・ その後(4~5年前)、同業者から共同配送参加への誘いがあり参加を決定した。共同配送では、発送回 数が2回/日で定時の輸送となっている(12:00 と 17:00 に発送。12:00 便が翌日の午前の納品、

17:00 便が翌日の午後の納品となる)。なお、共同配送は東京都内と神奈川県の一部のエリアを対象に、

Ⅰ社を含む荷主7社で実施している。それ以外のエリアについては路線便で対応している。

・ 自家用貨物車での輸送から共同配送に切り替えるにあたっては、2つの問題点があった。

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・ 第一は、「営業情報が他社に知られる」という懸念である。これに対しては、共同配送に参加してい る各業者の主力商品がそれぞれ異なっていたこと、運送業者が独立した第3者的な立場にあること から、万が一、情報が伝わることがあったとしても大きな影響はないと判断した。

・ 第二は、配送頻度の減少による顧客サービス水準の低下。つまり4回/日の輸送から2回/日に変更 することによって顧客を失うのではないかという懸念である。これに対しては、サービス低下によ る顧客の減少より、物流の効率化による経費節減の効果の方が大きいと判断した。配送頻度減少に ついての苦情は発生していない。今まで「顧客サービス」として実施していた4回/日の配送は、

実際は顧客にとっても必要のない「過剰サービス」であったことが分かった。

〈物流効率化面での成果〉

・ 3台で 12 回行っていた輸送が共同化に参 加した他社も含めて、1日当たり1台で2 回になったことによる物流の効率化

・ 共同化のため、荷姿の統一などの梱包の手 間は増えたが、出荷時刻が固定でき人員を 効率的に配置できるようになった。

〈環境面での成果〉

・ 運行回数が 1/6 になったことによるCO2 や大気汚染物質の削減

〈経営面での成果〉

・ 物流経費の節減

○同業者との共同輸送を考えてみませんか?

4.成果

共同配送

コストの縮減 経営上のメリット

排出ガス(CO2 等)の削減 車両運行台数の削減

積載率の向上 物流面での直接的な成果

環境面の効果

図 16 物流効率化による環境及び経営への影響

5.取組のポイント

⇒共同配送による懸念・短所を克服し、同業者等と共同で配送ができれば、物流のためにかかってい た手間やコストが大幅に削減できる可能性があります。

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事例 10 貨物運送業 J社

取組主体と取組形態 物流事業者 : 貨物運送業J社(単独実施)

取組内容 低公害車両の導入 経営面でのメリット 売上げの増加

CNG(圧縮天然ガス)車両による事業展開により、取引先が拡大

名 称:貨物運送業 J社 所 在 地:東京都

会 社 規 模:社員数 19 名、車両台数12台

取 引 相 手:大手運輸会社の協力会社として運行、化学系製造業、介護用品、医療関係 事業エリア:関東一円

〈エネルギー、環境問題への取組〉

1.事業者の概要

2.背景

・ J社は、運輸事業とともに、ガソリンスタンドも経営していたため、エネルギー問題や軽油・ガソ リンによる排ガスの問題については、身近な問題として考えていた。

・ 平成6年の「ディーゼル車の排ガスに含まれるNOx の総量削減に関する特別措置法」の施行につ いて、自動車メーカー主催の説明会に出席したとき CNG 車のことを知った。

・ 環境問題には以前から関心があり、当時はまだ充填スタンドが広く普及していない状況ではあった が、将来性を見越しCNG車両の導入を決めた。

〈CNG車両の営業車両への活用〉

3.取組内容とプロセス

・ J社の所在地と主要顧客のエリアには、当時からすでに CNG 充填施設があったことと、当時の CNG 車両の走行可能距離が、J社の営業車両の1日平均走行距離とほぼ同じであったことから CNG 車両の活用が可能と考え導入を決定した。

・ 導入時には、充填施設が少ないことに加え、先進技術であったため故障への対応に心配があったが、

充填施設に関しては、ドライバーから特に不満や苦情も出ておらず問題ない状況である。

〈CNG 車の導入効果〉

・ CNG 車両は、排出ガスがクリーンであり、ディーゼルエンジンに比べると騒音・振動が小さいこと に特徴がある。これらのことから、取引先である医療関係メーカーや介護関係者等から注目を集め 事業拡大につながった。また、新規の取引契約も増加した。

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(23)

・ 当時、燃料代は、軽油とほとんど同じであった。そのため、燃費では1運行で 20 円くらいの割高 であるが、CNG 車の購入に対する補助制度※コラム 3があることや、CNG 車を導入したことで新規の 取引契約がとれたこともあり、収益上はマイナスとは考えていない。

・ 現在では、充填所の増加、車両性能の向上により、中距離輸送も問題なくできるようになってきて いる。今後も事業展開を拡大していきたいと考えている。

〈物流効率化面での成果〉

・ ―

〈環境面での成果〉

・ CNG 車の導入により、CO2や大気汚染 物質が削減

〈経営面での成果〉

・ 環境にやさしい取組が評価され、事業 が拡大

○低公害車で代替できる輸送はありませんか?

⇒従来低公害車では対応が困難だった輸送も、低公害車の性能向上により、代替が可能な場面が増え ています。低公害車に積極に転換することで環境問題に取り組むことができます。

4.成果

図 17 物流効率化による環境及び経営への影響 低公害車の導入

環境面の効果 経営上のメリット

排出ガス(CO2等)の削減 売上げの増加

5.取組のポイント

http://www.kankyo.metro.tokyo.jp/vehicle/subsid/index.html

東京都 環境局 自動車公害対策部 規制課 低公害化支援係

限度額(車両総重量 3.5t超8t以下:10 万円/台、車両総重量8t超:20 万円/台)

・ CNG自動車 通常の最新規制適合車との価格差

限度額(最大積載量4t未満 164,000 円/台、最大積載量4t以上 571,000 円/台)

・ ハイブリッドトラック 通常車両との価格差から国の補助額を除いた額の1/2

中小企業者の方のハイブリッドトラック、CNG自動車の購入に対して、補助を行っています。

○ ハイブリッドトラック、圧縮天然ガス自動車(CNG自動車)の導入補助 (2)最新規制適合車への買換え

(1)指定低公害・低燃費車の購入

東京都では、中小企業者の方が低公害車等を購入するための融資あっせんを行っています。

○ 融資あっせん

【コラム3】:低公害車の購入補助

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事例 11 貨物運送業 K社

取組主体と取組形態 物流事業者 : 貨物運送業 K社(単独実施)

取組内容 配送ルートの変更 エコドライブ

経営面でのメリット コストの縮減 売上げの増加

機材や人材の有効活用 企業価値の向上

運転補助機器の導入により、輸送の効率化、運転のしやすい労働環境が実現でき、ドライ バーの余裕を生むことになって新たな仕事の受注も拡大

名 称:貨物運送業 K社

1.事業者の概要

所 在 地:埼玉県

会 社 規 模:車両台数 10 台 取 引 相 手:製造業

事業エリア:首都圏

〈経営環境の悪化〉

2.背景

・ 景気の低迷や競争激化など、利益の出にくい経営環境となっている。

・ K社も、6~7年前は非常に厳しい経営状況にあった。経営環境の悪化に加えて、環境規制の強化 もあり、事業が立ち行かなくなる寸前の状況であった。

・ このような状況から脱するため、平成 18 年から経営改善に取り組んでいた。

〈運転補助機器の導入〉

3.取組内容とプロセス

・ 厳しい経営状況のなか、輸送の効率化と安全を図るため、カーナビ、ドライブレコーダー、バック アイカメラ等の運転補助機器を導入した。

・ これにより、はじめての配送先に配送する場合もドライバーが道に迷うことがなくなり、安全確認 も容易になった。加えて、ドライバーに運転の余裕が生まれ、交通事故がなくなったりもした。

※現在、「重量・高さ制限道路など」を表示する大型車用のルート案内機器は販売されていない。

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・ さらに、交通事故等による離職率が下がったことによって、ドライバーを顧客毎に固定することが 可能となったり、運転に余裕が生まれたことによって仕事が丁寧になったりし、荷主との信頼関係 が向上し新しい仕事の受注につながった。また、事故コストの削減、エコドライブと輸送の効率化 により燃費の改善などにもつながった。

〈物流効率化面での成果〉

・ カーナビによる混雑区間の回避、うろつ き走行の回避から最短ルート走行への 移行に伴う輸送の効率化

〈環境面での成果〉

・ 燃費の向上や迷走走行の削減によるC O2や大気汚染物質の抑制

〈経営面での成果〉

・ 余裕、安心のある労働環境の実現

・ 新しい仕事の受注増加

・ 事故コスト、燃料コストの縮減

○ドライバーに無理な労働を強いることで顧客サービス水準の低下につながっていませんか?

4.成果

人材の有効活用(社員の定着)

売上げの増加 コストの縮減 企業価値の向上

排出ガス(CO2等)の削減

図 18 物流効率化による環境及び経営への影響 混雑区間の回避

うろつき走行の削減 物流面での直接的な成果

経営上のメリット 環境面の効果 エコドライブ

配送ルートの変更

5.取組のポイント

⇒労働環境の改善が、結果的に事業の効率化や経営コストの削減、新規事業の受注拡大につながる場 合があります。

情報提供:株式会社物流産業新聞社「物流ウィークリー」:http://www.weekly-net.co.jp/

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事例 12 貨物運送業 L社

取組主体と取組形態 物流事業者 : 貨物運送業 L社(単独実施)

取組内容 エコドライブ 経営面でのメリット コストの縮減 売上げの増加

機材や人材の有効活用 企業価値の向上

環境問題への取組や会社全体でのエコドライブ活動を通じ、ドライバーの質が向上、取引 先からの新たな仕事の受注を実現

名 称:貨物運送業 L社 所 在 地:東京都

会 社 規 模:社員数 20 名、車両台数 23 台

取 引 相 手:建築関係(建築資材、壁材、ガラス、大型資材など)

事業エリア:東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県

〈環境問題への取組〉

1.事業者の概要

2.背景

・ 環境問題への意識が高まるなか、これからは事業経営においても「環境問題」への対応が必要にな ると認識していた。しかし、L社のような中小企業での対応は困難と半ば諦めていた。

・ (社)東京都トラック協会の「グリーンエコプロジェクト」を知り、経営は厳しい状況であったが、

これに参加し環境対策に取り組むことにした。

〈燃費記録のドライバーへのフィードバック〉

・ 当初は、給油の度に、給油した燃料の量と走行距離を控え、その 記録から燃費を算出し、毎月各ドライバーにフィードバックする とともに可視化した。この結果、「前月より燃費を良くしよう」

という意識がドライバーに芽生えた。これにより、全体で5%程 度燃費が向上した。

・ 次の段階として、ドライバー同士だけでなく事務員も含め、勉強 会や意見交換などエコドライブ活動を継続すると、社内のコミュ ニケーションが活発化し、社内に「環境」への取組機運が高まっ ていった。

図 19 グリーン・エコプロジェ クトパンフレット

3.取組内容とプロセス

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(27)

〈ドライブレコーダーの取付〉

・ 続いて、ドライブレコーダーを全車に装填した。ドライブレコーダーは「急発進」や「急加減速」

の記録が採れるので、各ドライバーが運転の仕方の改善に役立てることができる。この段階までで、

燃費が 13~15%程度改善した。

〈エコドライブ活動のさらなる推進〉

・ エコドライブ及びエコドライブ活動の取組をはじめて3年程度であるが、最大の変化は、社内コミ ュニケーションの活性化によってドライバーの業務知識・コミュニケーション能力が上がったこと である。これにより、顧客対応の改善につながり、信用度が向上した。また、ドライバー自身も仕 事への取組意欲が高まった。

・ 「環境」への取組は、まだまだ新規事業を受注するような段階には至っていない。しかし、すでに 契約している顧客から新たな仕事の依頼があるなど、徐々に変化が出てきている。環境問題への取 組だけでなく、経営改善にも大いに役立つ取組であると実感している。

〈物流効率化面での成果〉

4.成果

エコドライブ

・ エコドライブによる燃費の向上(当初:5%、

ドライブレコーダー導入後:13~15%)

〈環境面での成果〉

・ 燃費の向上によるCO2や大気汚染物質の削減。

〈経営面での成果〉

・ 燃費向上による経営コストの削減

・ ドライバーの質の向上

・ 「環境」への取組をキーワードとした社内 コミュニケーションの活発化

・ 環境への取組による事業拡大機会の増加

○エコドライブなど身近な環境問題に取り組んでいますか?

5.取組のポイント

図 20 物流効率化による環境及び経営への影響 企業価値の向上

機材や人材の有効活用 売上げの増加

コストの縮減 排出ガス(CO2等)の削減 環境面の効果 燃費の向上

物流面での直接的な成果

経営上のメリット

⇒エコドライブに取り組みやすい職場環境を作るエコドライブ活動を続けることによって、事業コス トを大きく削減することができたり、社員のコミュニケーション能力の向上が仕事の品質向上に役 立つこともあります。

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事例 13 貨物運送業 M社

取組主体と取組形態 物流事業者 : 貨物運送業(M社)⇒荷主(鉄鋼業)

取組内容 エコドライブ 経営面でのメリット コストの縮減 売上げの増加 企業価値の向上

「環境」をテーマに、ISO やエコドライブへの取組により、社員の意識の変化、仕事の品質が向上

名 称:貨物運送業 M社 所 在 地:東京都

会 社 規 模:社員数 59 名、車両台数 58 台(2t、4t、15t、トレーラ等)

取 引 相 手:鉄鋼業 事業エリア:関東一円

〈会社の成長性に不安〉

1.事業者の概要

2.背景

・ 現社長は、5年前に社長になった時、企業としての成長について考えた。当時の社内の雰囲気は、

企業としての生き残りにさえ不安があった。その原因は、「挨拶ができない」「遅刻が多い」など、

他の業界なら当たり前のことができていない運輸業界共通の課題があるとともに、会社が組織的に 機能していないためと考えた。

・ このような状況を打破するため、社員一丸となって取り組むテーマが必要と考え、「環境」というシ ンプルなテーマを設定した。

〈ISOやエコドライブへの取り組みによる社員意識の変化〉

3.取組内容とプロセス

・ M社は、「環境」というテーマの下、ISO14001 の取得や、東京都トラック協会が推進するグリ ーン・エコプロジェクトへの参加を契機としてエコドライブに取り組むことにした。ISOでは運転 手からみた「コースマニュアル」を作成した。このマニュアルは、手書きのコース地図に、毎日ル ート情報やお客様情報を書き加えていくものであり好評である。

図 21 グリーン・エコプロジェクト参加車両用のステッカー

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(29)

・ また、「競争はチーム力」との考えのもと、大型車両、小型車両ごとにドライバーをグループ化して 目標を立て、業務の改善活動を続けている。

・ ドライバーは、今でも毎月、努力、節約、燃費向上などのテーマを決めて改善への取組を続けてい る。このような、エコドライブやエコドライブ活動の結果から、次のような好循環が生まれ、仕事 の品質の向上にも役立っている。

「お客様と挨拶ができる」

「お客様と話せる」

「仕事内容についてお客様とやりとりができる(仕事内容を理解し、的確に遂行、配送先で説明ができる)」

「お客様から頼られる」

「やる気が向上し、自主的に仕事を理解し、改善する」

〈物流効率化面での成果〉

・エコドライブの効果 平均燃費 4%向上

2.193km/㍑ → 2.281km/㍑

〈環境面での成果〉

・ 燃費の向上による CO2や大気汚染物 質の削減に寄与

・ 1 ㍑当たりの CO2排出量 4%削減

・ 1.195kg-CO2/㍑

→ 1.147kg-CO2/㍑

4.成果

企業価値の向上 人材の有効活用 コストの縮減

エコドライブ

燃費の向上 物流面での直接的な成果

経営上のメリット

排出ガス(CO2等)の削減 環境面の効果

図 22 物流効率化による環境及び経営への影響

〈経営面での成果〉

・ ドライバーが「会社の顔」となり社員の意識が変化、仕事の品質も向上

・ M社に対する顧客の目が変化、高い信頼性を確保、新たな仕事も受注

○環境というシンプルなテーマに取り組んでみませんか?

5.取組のポイント

⇒環境というテーマに一丸となって取り組むことによって、環境問題への対応だけでなく、社員意識 の改革やお客様からの信頼性向上につながり、ビジネスの拡大につながることもあります。

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