ヒト末梢血のIL‑6産生能: 菌血症モデルによる検討
著者 高野 信彦
著者別表示 Takano Nobuhiko
雑誌名 博士学位論文要旨 論文内容の要旨および論文審査
結果の要旨/金沢大学大学院医学研究科
巻 平成2年7月
ページ 33
発行年 1990‑07‑01
URL http://hdl.handle.net/2297/14784
学位授与番号 学位授与年月日 氏名 学位論文題目
医博甲第938号 平成2年3月25日 高野信彦
ヒト末梢血のIL-6産生能一菌血症モデルによる検討一
論文審査委員主査 副査
昂保谷口
松田 山本健
内容の要旨および審査の結果の要旨
新生児期は従来より感染に対する抵抗が弱く重篤な感染症に罹患しやすい。このような易感染 性の背景には,T,Bリンパ球機能等の特異的免疫能の未熟性のみならず,発熱,炎症反応が成 人に対して弱いことも関与していると考えられる。また,この時期は,大腸菌,リステリア菌,
B群溶連菌を中心とした特異的な細菌による菌血症を起こしやすいことが知られている。lL-6は B細胞分化誘導や急性期蛋白の合成の誘導等,免疫反応や炎症反応と深く関わることが知られて おり,新生児期におけるこれらの反応の未熟性を考慮すると,この時期のIL-6産生能を検討する ことは興味あることと考えられた。今回,全血培養法を用いて,成人末梢血及び新生児臓帯血の IL-6産生能を検討し,以下の結論を得た。
1.全血培養法は,非刺激下でほとんどIL-6産生が誘導されず,特定の刺激によるIL-6産生の誘 導を評価するには有用な方法であることが示された。
2.LPS,ConA刺激によるIL-6産生の経時的変化及び用量依存性について検討し,LPS1匹g/、lあ るいは,ConAlO似g/、l添加で,12時間培養により,lL-6産生はプラトーに達した。
3.大腸菌,リステリア菌,B群溶連菌,肺炎球菌の生菌あるいは死菌を使い,全血培養法にて,
IL-6産生を検討した。大腸菌は低濃度でIL-6産生を誘導し,LPSによる効果が大であると考えら れた。他の3菌においては,菌体量とIL-6産生量に一定関係がみとめられた。
4.補体処理ザイモザン及びラテックス粒子を用いた場合には,貧食率においては死菌 とほとんど差を認めなかったが,lL-6産生は死菌の方がより低い粒子濃度でlL-6産生を誘導し た。従って,細菌におけるIL-6産生の誘導に貧食以外の因子が関与している可能性が示唆され た。
5.以上の検討による臓帯血,成人末梢血のlL-6産生能には差はみとめられなかった。また,胎 生30週以降の未熟児でも同様のIL-6産生がみとめられた。
以上の所見から単球機能のうちIL-6産生能は胎生のかなり早い時期に完成し生下時にはすでに 成人レベルに達していると考えられた。
本研究は,IL-6産生を全血培養法というユニークな方法で測定するとともに,単球の産生する 主要なモノカインであるIL-6産生能が生下時にはすでに成熟していることを明らかにする等,新 生児期の生体防御機構の解明に寄与するところが大きい労作であると評価された.
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