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鋼管矢板井筒の施工時挙動に関する検討

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Academic year: 2022

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キーワード ダムトンネル洪水吐,鋼管矢板立坑,3次元FEM解析,施工ステップ解析,計測管理

連絡先 〒104-8370 東京都中央区京橋二丁目16-1 清水建設株式会社 TEL: 03-3561-3895 E-mail: [email protected]

鋼管矢板井筒の施工時挙動に関する検討

清水建設株式会社 正会員 ○古宇田剛史 清水建設株式会社 正会員 新美 勝之 清水建設株式会社 正会員 高畑 研 清水建設株式会社 正会員 内海 崇晴

1. はじめに

鹿野川ダムトンネル洪水吐新設工事(以下,当工事)は,既存ダムの洪水調整機能の増強を目的として,ダム湖 内の呑口立坑とダム右岸側の水路トンネルにより,ダム湖と下流側をバイパスする工事である.当工事において,

ダム湖内で鋼管矢板井筒を立坑として利用し,地中の一部の鋼管矢板を切り開いてトンネルと接合する構造が用い られている.地中の鋼管矢板を切り開く際に井筒が変形す

ることにより,ダム湖からの出水が懸念されるため,施工 時の井筒の挙動を正確に把握しておくことが重要である.

当工事では,施工時の挙動を把握し,計測計画を策定する ために,事前に3次元FEM解析を行い,計測管理値を設 定した.

既報1)において,3次元FEM解析結果から策定した施工 時の計測計画および計測結果について報告した.本報では,

3次元FEM解析の結果と施工時に得られた計測結果を比 較,検討する.

2. 3次元FEM解析による施工時挙動の事前検討

鋼管矢板井筒の施工時挙動を把握し,計測管理値を設定 するために,掘削やリング支保工の設置や鋼管矢板の切り 開きなどの施工過程を考慮したステップ解析を実施した.

本検討では,表 1に示す鋼管矢板井筒および周辺地盤を対 象とし,対称性を考慮して,2分の1モデルを用いる(図 1).

表 1 対象とする鋼管矢板井筒の構成

項目 値

井筒 半径 [m] 9.461 鋼管矢板 本数 [本] 34

外径 [mm] 1,500 リング支保工 段数 [段] 9 底版コンクリート 厚さ [m] 1.5

図 1 解析モデル

表 2 解析ステップと施工ステップの比較 解析

ステップ 施工ステップ ダム湖水位 掘削底面地盤高 解析条件 施工時 解析条件 施工時

STEP1~4 鋼管矢板建込~4次掘削 EL+86m - EL+80m -

STEP5 4段目支保工設置,5次掘削 EL+86m EL+78m EL+75m EL+75m

STEP6 5段目支保工設置,6次掘削 EL+86m EL+79m EL+72m EL+72m

STEP7 6段目支保工設置,7次掘削 EL+86m EL+82m EL+69m EL+68m

STEP8 7段目支保工設置,8次掘削 EL+86m EL+80m EL+57.5m EL+57.5m

STEP9 8段目支保工設置,9次掘削 EL+86m EL+76m EL+52.7m EL+52.5m

STEP10 9段目支保工設置,床付掘削 EL+86m EL+80m EL+50m EL+50m

STEP11 底版コンクリート打設 EL+89m EL+77m EL+50m EL+50m

STEP12 鋼管矢板上半切断 EL+86m EL+75m EL+50m EL+50m

STEP13 8段目支保工撤去 EL+86m EL+75m EL+50m EL+50m

STEP14 鋼管矢板下半切断 EL+86m EL+73m EL+50m EL+50m

STEP15 9段目支保工撤去 EL+86m EL+76m EL+50m EL+50m

STEP16 鋼管矢板底版撤去 EL+86m EL+76m EL+50m EL+50m

鋼管矢板

(はり要素)

リング支保工

(はり要素)

継手

(ばね要素)

底版コンクリート

(ソリッド要素)

地盤

(ソリッド要素)

拡大 68m

100m 50m

EL+47m EL+91m 19m

土木学会第71回年次学術講演会(平成28年9月)

‑1041‑

Ⅵ‑521

(2)

鋼管矢板およびリング支保工ははり要素,継手は井筒接線方向および 法線方向のばね要素,床版コンクリートおよび地盤はソリッド要素で モデル化し,継手ばねのばね定数は,鋼管矢板の板厚や中詰めの種類 に応じて設定する2).解析ステップと施工ステップの対応を表 2に示 す.施工時の実際の水位は,解析時に設定した水位の条件とは異なっ ており,施工過程を通じて,10m弱低かった.

3. 3次元FEM解析結果と施工時計測結果の比較

鋼管矢板の変形について,図 2に示す2本の鋼管矢板を対象に施工 時に傾斜計で計測した変位と事前検討結果

を比較して図 3に示す.ここでは,計測開始 時からの井筒半径方向の増分変位を示し,井 筒内側への変位を正とする.以下に,比較結 果をまとめる.

(1) 変位量

どちらの鋼管矢板も,事前検討結果と計測 結果で変形モードは似かよっていると考え られるが,事前検討結果の方が変位は大きい.

(2) 支保工撤去の影響

事前検討結果では,どちらの鋼管矢板でも,

支保工を撤去すると撤去部の変位が大きく 発生する.計測結果では,支保工撤去の影響 は比較的少ない.

(3) 鋼管矢板切り開きの影響

No.9については,事前検討結果では,鋼管 矢板の切り開きによる影響が小さく,計測結

果では,下半の切り開きによる影響が大きい.No.18については,事前検討結果では,上半切り開きにより井筒外 側に倒れるような変形になり,計測結果では,全体の変形量が小さく,鋼管矢板切り開きによる影響も小さい.

上述のような事前検討結果と計測結果の違いは,事前検討で設定した条件が,実際とは異なっていたことが原因 として考えられる.具体的には,以下の4点である.①ダム湖水位が低かったことにより作用荷重が小さかった.

②底版コンクリート打設後に上半切り開き部直下まで埋戻し,その後の施工ステップに応じて都度掘削していった ことにより地盤の剛性も変形の抑制に寄与した.③各支保工撤去後に鋼管矢板切り開き時の止水を目的として鋼管 矢板背面にミルク注入を行い,地盤の剛性が高まった.④流入水路部の鋼管矢板が井筒と接合されていることによ り井筒内側への変形が抑制された.

4.おわりに

本報では,鋼管矢板井筒の施工時挙動について,3次元FEM解析による事前検討結果と施工時の計測結果を比較 して検討した.鋼管矢板の井筒半径方向の変形は,変形モードは似かよっているものの,変位量は事前検討結果に 比べて,計測結果が小さくなる結果となった.施工時の条件を忠実に解析条件に反映させることで,本検討で用い た手法により施工時の挙動を概ね把握することができると考えられる.今後,施工時と条件を合わせて,事前検討 の妥当性を確認したい.

参考文献 1) 谷岡敏幸,朝山順一,高畑研,芳岡良一:ダム湖内に構築した鋼管矢板立坑内掘削時の計測管理と止 水対策について,土木学会第71回年次学術講演会梗概集,2016.9(投稿中) 2) 古宇田剛史,新美勝之,内海崇 晴:鋼管矢板の中詰めの影響を考慮した井筒の立体骨組解析,土木学会第69回年次学術講演会概要集,2014.9

(1) No.9 (2) No.18

図 3 鋼管矢板の井筒半径方向変位 図 2 変位計測位置

45 50 55 60 65 70 75 80 85 90 95

-20 0 20 40 60 80 100

EL [m]

井筒半径方向の変位 [mm]

底版コン打設

鋼管上半切断 8段目支保工撤去

鋼管下半切断 9段目支保工撤去

実線:解析値 破線:計測値

45 50 55 60 65 70 75 80 85 90 95

-60 -30 0 30 60 90 120

EL [m]

井筒半径方向の変位 [mm]

底版コン打設

鋼管上半切断 8段目支保工撤去

鋼管下半切断 9段目支保工撤去

実線:解析値 破線:計測値

(山側) 変位計測位置 切り開き部

流入水路部

(山側) (ダム湖側)

土木学会第71回年次学術講演会(平成28年9月)

‑1042‑

Ⅵ‑521

参照

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