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粘性土袋詰め潜堤工の安定性に関する遠心模型実験

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Academic year: 2022

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キーワード:浚渫土,干潟,潜堤,遠心力模型実験

連絡先:東洋建設 西宮市鳴尾浜1-25-1 Tel:0798-43-5903 Fax:0798-40-0694

粘性土袋詰め潜堤工の安定性に関する遠心模型実験

東洋建設㈱ 正 ○鶴ヶ崎和博 東洋建設㈱ 正 澤田 豊 広島大学 正 土田 孝

1.はじめに

人工干潟の造成では,潜堤や護岸を造成した後に浚渫土などの 中詰め材を投入し,その後覆砂を行っている。基盤が良好な場合,

直接のレキ材投入による潜堤や護岸の造成が可能であるが,軟弱 な場合,事前に地盤改良などを要する。本研究では,軟弱な海底 地盤上への干潟造成を想定し,潜堤についてはレキ材ではなく,

袋状のジオメンブレンに周辺の浚渫粘性土を注入した袋体での造 成を念頭に,その変形や安定性についての検討を進めている。こ のような場合,潜堤の層厚がさほど大きくなければ,提体の軽量 化が図れ,地盤改良が不要となるとともに,捨石材等で構築する よりも建設コストを縮減できる可能性がある。また,粘性土を使 用することで,地盤の変形にも追随可能である。現状で,正規状 態に近い海底地盤上に高さ 3m 以上の潜堤を安定的に構築するこ とを目標としている。このような袋状の素材に土砂を注入し,補 強土材としての利用が近年行われ,素材の開発も含め袋詰め材や 積層体の強度・変形挙動についての研究,開発が進められている1)。 今回,実際の応力場の再現が可能となる遠心力載荷装置を用いて,

粘性土袋詰め潜堤の安定性に関する模型実験を行ったので,それ について報告する。

2.試料および実験方法

(1)試料:試料には市販のNSF カオリンを使用した。表 1 に試料

の基本的な物性値を示す。(2)実験模型:図1に実験模型の断面図 を示す。模型は原地盤,袋詰め潜堤および背面土から構成される。

図中の寸法は実寸を表すとともに,遠心加速度 50g場での換算寸

法(数値m)で表した。(3)袋詰め潜堤模型:袋詰め潜堤模型は直

径5cm(円柱時の直径,以下φ5cmと呼ぶ)および2.5cm(同,

以下φ2.5cm)の2種類の袋を使用した。袋の素材は人工繊維で引

張強度は 14.7kN/mである。実験では図 2 に示す方法により,初

期含水比 60%(=1.3wL)の試料を所定の湿潤重量になるように

注入した。各袋体は1:1の勾配で10cm(実換算寸法5m)の高さと なるように積み上げた(図3)。(4)模型実験:図4に実験フローを 示す。実験は室内予備圧密,遠心力場での自重圧密を経て原地盤 を作製した後に,袋詰め潜堤を設置し,まず潜堤単独での遠心力 載荷(鉛直載荷)を行う。その後,背面土(w0=60%)の投入によ

表 1 試料の特性

図 1 模型断面図

図 3 潜堤模型(φ5cm)

図 5 潜堤載荷後(1g→50g)(φ5cm)

粘土の調整

実験容器への投入 スタート

室内予備圧密(~10kPa)

遠心場での自重圧密(50g)

ターゲット埋込,計測器の設置

遠心場での載荷実験(50g場)

(潜堤安定性確認)

実験後調査

(形状調査,含水比計測,強度計測)

終了 背面土の投入

(1g場での背面土の設置)

遠心場での載荷実験(50g場)

(全体系安定性実験)

袋詰め潜堤の作製,設置

図 2 袋体への試料注入

図 4 実験フロー

原地盤(NSFカオリン)

容器寸法:55cm(27.5m)

(袋詰め積層体)潜堤

10cm

(5m)

20cm

(10m)

1:1 背面土

(NSFカオリン)

試 料 NSFカオリン

土粒子密度(g/cm3 2.727 液性限界wL(%) 47 塑性限界wP(%) 30.2 塑性指数Ip 16.8 圧縮指数cc 0.29

1.5m 1.5m 土木学会第66回年次学術講演会(平成23年度)

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Ⅲ‑060

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る載荷過程(鉛直+水平載荷)へと移行した。実験後は原地盤の含水比 調査およびベーンせん断試験を行った。いずれの載荷過程も1g~50g まで10gごとに短期の放置時間(1分間)を与えつつ段階的に加速度を 増加させ,主として即時変形による地盤挙動を追跡した。実験中は潜 堤頂部の鉛直変位を計測するとともに,地盤中の光学ターゲットから 地盤の変形量を計測した。今回はジオメンブレンのサイズを変化させ た2ケースの実験を行った。

3.実験結果

図5,図6にφ5cmの潜堤載荷過程および背面土投入後の状況を示 す。図中には光学ターゲットの移動状況も併せて示した。図 7 はφ

2.5cmの背面土投入後の状況である。各図より,潜堤単独載荷による鉛

直変位および背面土投入に伴う前面側への水平変位が確認できる。な お背面土投入時において潜堤の各袋は滑ることも無く,原地盤の沈下 とともにより積層体内部へと密着するような形態をとっているように も見受けられる。図 8 は各載荷過程の潜堤頂部の変位を表している。

これよりφ2.5cmが全沈下量は大きく,最終的に実換算値で約2mの沈 下を呈している。ただ,沈下として大きいのは潜堤載荷過程で,背面 土投入過程では両者は同等の沈下となっている。図 9 は潜堤直下の光 学ターゲットのうち,地表面に最も近い点のデータで,潜堤載荷過程 の鉛直変位を示している(沈下が正)。潜堤の形状に応じて図の中央部 ほど変位は大きい。ここで表される変位は潜堤の載荷に伴う原地盤の 変位に相当する。両者の変位はほぼ同じであり,図 8 の変位の差は,

袋体および積層体の変形の差によることがわかる。図10は,図9に示 したターゲットの背面土投入過程の水平・鉛直変位を表している(水 平は背面側を正)。鉛直変位はほぼ同じであるが,水平変位はφ2.5cm がより前面側へと移動していることがわかる。

今回の一連の載荷において,両者ともに大きい変形挙動を示すもの の,安定性上特に問題となるような挙動は見受けられなかった。図 11 は今回の模型実験の断面をもとに円弧滑りによる安定計算を行ったも のである。原地盤の強度特性は実験後の調査結果を利用した(右側分 布図)。なお計算において,潜堤構造体の内部破壊はないものとして仮 定している。この結果においても特に安定性上問題無く,以上の結果 から,今回の応力レベルにおいて,所定の目標高さ3mを満足するよう な潜堤の構築が可能であることを示唆するものと考える。

今後,異なるコンシステンシー特性の粘性土での実験や,潜堤の原 地盤への貫入効果などについて検討を進める予定である。

謝意:本研究は,独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構の「運 輸分野における基礎的研究推進制度」の助成金研究「港湾・航路の維 持管理と長期的に両立する新しい干潟造成技術の開発(研究代表者 土田孝広島大学教授)」である。関係各位に記して謝意を表します。

参考文献:1)三木博史,山田哲也,一柳 演,新舎 博,串間正敏:浚渫土 の袋詰脱水工法,土と基礎,Vol.42,No,10,pp.3134,1994.

図 6 背面土投入後(1g→50g)(φ5cm)

図 7 背面土投入後(1g→50g)(φ2.5cm)

0 0.5 1 1.5 2 2.5 3

0 500 1000 1500 2000 時間(秒)

実換算沈下量(m

潜堤単独 背面土投入

φ2.5cm φ5cm

図 9 潜堤直下の鉛直変位(潜堤載荷時)

図 8 潜堤頂部の変位

-0.2 0 0.2 0.4 0.6 0.8 1

200 250 300 350 400 450 500 x座標(mm)

換算変位(m)

5cm 2.5cm

潜堤の設置位置

F=1.38

τ=5.8+1.2z(kN/m2)

0 2 4 6 8 10 12

0 10 20

τ:ベーン強度(KN/m2)

z:換算深さ(m)

τ=5.8+1.2z

1.5m 1.5m

1.5m 1.5m

-0.8 -0.6 -0.4 -0.2 0 0.2 0.4 0.6 0.8

200 250 300x座標(mm)350 400 450 500

実換算変位(m)

φ5cm水平 φ2.5cm水平 φ5cm鉛直 φ2.5cm鉛直

潜堤の設置位置

図 11 背面土投入時の安定計算(φ5cm)

図 10 潜堤直下の各変位(背面土投入時) 土木学会第66回年次学術講演会(平成23年度)

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参照

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