• 検索結果がありません。

潜堤の波浪減殺特性と越波モデル: University of the Ryukyus Repository

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "潜堤の波浪減殺特性と越波モデル: University of the Ryukyus Repository"

Copied!
13
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

Title

潜堤の波浪減殺特性と越波モデル

Author(s)

筒井, 茂明

Citation

琉球大学理工学部紀要. 工学篇 = Bulletin of Science &

Engineering Division, University of the Ryukyus.

Engineering(14): 203-214

Issue Date

1977-09-30

URL

http://hdl.handle.net/20.500.12000/26974

(2)

琉球大学理工学部紀要 (工学篇)第14号, 1977年

j

替堤の波浪減殺特性と越波モデル

筒 井 茂 明 $

Characteristics of Damping Actions by Submerged Breakwaters and the Overtopping Model

by

Shigeaki TSUTSUI Summary

Theoretical studies on damping actions of subtnerged breakwaters have been previously done in many cases, butsome important problems are left unsolved. For instance, the continuity condition of a surface displacement at a discontinuous boundary does not vary in the case that the height of a submerged breakwater is nearlyequalto water depth. Because, in this case, partial standing waves behave like overtopping waves. On the other hand, submerged breakwaters have sufficient damping effects in this paticular condition.

This paper presentsa reasonable model, i.e. an overtopping model, based on Fuchs method tocorrectthe defects mentionedabove.

Fuchs has obtained thecoefficientsof reflection and transmission ofsubmerged brekwaters by means of theenergy method, where the problems are treated as linear progressive waves. Therefore influences of overtoppingwaves to the energy flux are missed, that is, the energy flux of quadratic orderofthe wave steepness is neglected. But, from the theoretical results, the enetgy flux by overtoppingwaves is the quantity linear to wave steepness. Therfore, this first order term is necessary in the analysis. The overtopping model is built up with considering this energy flux and coefficientsof the energy dispertion of overtoppingvolume, energy discharge, etc., and it is justified by theexperimental results that the model is proper in analyzing the damping effects of the submerged breakwater

受付:1977年4月 7日 .fm.球大学理工学部土木工学科

本研究の一部は第23回海岸工学講演会論文集 (1976)に 発 表 済 み

(3)

204 i替堤の波浪減殺特性と越波モデル 1. 締 官 沿岸における波浪災害を防ぐための消波情造物の l 型式として潜堤構造物が考えられている。通常の波に 対しては透過形式のものが,長周期波に対しては不透 過のものが主に対象とされている。後者に対しては, さらに空気防波堤と併用することにより短周期波をも 消波きせようとする試み1)もなきれている。いずれに しても.潜堤自体の波浪制御特性を明白にしなくては ならないが,従来の研究21,3,)41は線形理論によるもの がほとんどであり,静水面から上側の水面変動,すな わち潜堤前面て、生じる部分重複波の影響が考慮きれて いないため.i替堤の効果が期待されると考えられてい る5)比堤高の大きい場合の波浪伝達特性を説明できな かった。この場合には,理論の基礎となっている境界 条件,すなわち潜堤直上では流速あるいは水位が連続 であるという条件がi箭きれないことが,その最大原因 となっていると考えられる。 本研究は,このような波浪伝達特性を説明可能なら しめるために部分重複波による鑓波モデルを考え,比 堤高の大きい場合のi替堤の波j良制御特性を検討しよう とするものである。そこでは,潜堤型式の基本型であ る天端幅の小さい場合を考え.r替堤設置地点付近て、の 各種のエネルギー損失を考慮して理論形成を行うとと もに,この理論の適用範囲に対する指針をも示すつも りて'ある。 2.越波モデル 2.1 越波によるエネルギー愉送量 図- 1に示すような潜堤モデルを考える。比堤高hc / h ""1のときには,潜堤前面で部分重複波が生じ.i替 堤の両側で水位が不連続となり,放は越波的な様相を

z

図 -1 座標系および記号の説明 呈すので¥鉛直墜に対する越波量を求める場合と同様 に次式61が成立するものと仮定する。 守口.!..(11.':+吋)=ユu.'+z ( 1 ) .:g .:g ここに,刀;重複波の波形,u ;?替堤直上での鍾波時 の水平流速.(11.削 削 船 );水平および鉛直方向の波の水 粒子速度.およびg;重力の加速度である。 これらの 諸量を微小振幅波理論で表わすと次のようになる。 甲=÷H(1+

い 吋

X

t +÷H(1ーん)sink x . sinσt ( 2 ) h k( z +h) ω=で2"'-H(1-K--" ,)σ sinhkh cos kx . cosσt 1

_

_

_

_,

_

cosh k(z+h) +ムH(1 + K,)σ .' sinhkh sinkx' sinσt inhk(z+h) 叫,.=-::-H(l-K,)σ一 一 一 一 一 -sinh kh sinkx' cosσt

Sinh k(z+h) 一-::-H(1 +ι)σ sinhkh cos kx' sinσt ( 3 ) ( 4 ) ここに H 入射波高.K, 反射率 k=2π/L( L ,波長).σ=2π/T(T;周期)である。 これらの式を式(1 )に代入すると,次式がえられ る。 zr÷(l+kv)

t-Jj λ =

(

f

)

.

(

*

J

.

(

t

)

.

( 5 ) ただし,添字。は深海i皮の諸量を表わす。 ここで,右辺第1項は越流時の流速,第 3項は波動 運動による接近流速を表わしている。これらをそれぞ れf,. 九とおき比較すると,次のようになる。 f

=

(1+ K,)

t

(1+ K,) (6) 九=λ {(l-K,), 川 kh

t + (1十K,)'sin'σtト [入(l-K,)'coth'kh. K,< K司 孟~ , ( 7 ) lA(1+K,)'. K,>K坤

(4)

琉球大学理工学部紀要(工学篇)第 14号, 1977年 h

h h 一h ' n -‘H n 一 n a 一 a t -t 二 + 噌 E E -‘ , み

同 V A (8 ) これらの位相変化を示すと図 2に示すようになり,

4

rt 図-2 流速の位相変化 堤高が低い場合には反射率K,が小きいために波動運 動による項f,の影響が大きし堤高が高い場合には, 勉波の開始および終了時にも,やはりらの影響が大き いことがわかる。また.最高水位時には,第l項 f,の 項が支配的となり,このときには水平流速は.越流時 の流速で近似きれる。 次に, 1管堤上部をzの正方向に通過するエネルギ一 流束を考えると,次式が近似される。 . .:1F"" u

(

+

pu'+ pgz ) = 叩pgρ珂凶H /H府吉石羽正戸百[片ト÷(山μ七←l什卜川川川+川い,Kι吋叫)山叫山)μc∞o

+

λ

{

( l ト 一 川 川 kh

'

co~a

t

山 川

×

(I+K,)

t +

入{

(

1 -K, )2 coth ) ~ 1ν2 cos'at+( 1 + K, )2si

山ト一言│

( 9 ) ここに, ρは水の宮、度である。潜堤に対して波が越波 的となり. 式 (1 )が成立する範囲をz"" (0,可〕とす ると,越波によるエネルギー紛送量は.次式で与えら れる。 WNZlt2fVFdzdt=

ρgH行 声 1(τ) -t

・0 孟π (10) 1

(

τ

=

)

f

f

H

(

1

叫 ) … + 入 {(l-K,)2 川 kh.

co

~

r山

υ

山}

]

x 205

x

[

(

1 + K,)cosτ+入{(l- K,)' 、1'/2 coth2 kh 'co~ r+( 1+K,)2 siri'τ}

I

{(l

-K ,

川 co~

r + 、1'/'1 +( 1+K,)2 siri'

r

}

J J

dr (11) ただし, th tlはそれぞれ越波の開始および終了時 間を表わし,τ=σtなる変換を用いている。 いま,1 ( r)の第1近似として,被積分関数におけ る波動による項を無視すると, I(r)z f ρ/' ! r (士)1-'. ( 1 + K, )'/2 (ロ) がえられる。したがって,式(10) から Woo 1

-

-

"

"

ρgH'I2gH';-;-・Ir(士)1-2・ T 5 I 1 + 0 (

H

I

L

)1 (13) がえられる。ここに, r;ガンマ関数, 0: Landau の記号である。 一方,進行波によって単位時間に単位幅を横切って 輸送される平均のエネルギー量は, W;=EiC

.

[1+0 !(H/L)'IJ (14) で与えられる。ここに, Ei.:単位面積当りの平均エネ ルギー, C.:群速度である。また,添字.は入射波に 対する量を表わす。 式 (13)および(14)から,越波によるエネルギー 輸送量は,次式により無次元表示される。

(

)

ω

Ir(士)1-"(1 + K, )5/2

(

{

)

(

-

t

t

.{

'

1+ 0 ({:) } (15) 2.2 Fuchsの理蛤7)の再評価 一様水深海域に設置された鉛直墜による波の反射・ 伝達率に関するFuchsの理論によると, 鉛直壁により 反射されるエネルギーは, a sinh2 kh_ I 2kh, ¥ W, =-::pgH'-;-一一一一ーよ11+一一一」ー l 16'-0 " k sinh2kh ¥ - sinh2kh, / ( 16) となり, i普堤上を通過するエネルギーは, 1 " r I 2kh ¥ W.",,-1=6-.J)f(-0H2.一二111

+

l -- k 1

-

sinh2kh /

(5)

206 1替堤の波浪減殺特 性 と 越 波 モ デ ル s inh 2 k h, (, 2 k h, ¥ 3 1 一一一一一一一 11+一一一一よーI+-k明21 sinh2kh ¥ sinh2kh,/ 8'" J (17) で表わされる。したがって, I I H

2I I W, + W

= E; C. 1 1 + 0 IIτ1 f 1 (18) となり, Fuchsの理 論では,式(14)と問機に

o

I(H / UIの項が無視されている。よリ低次の項が存在す ればそれを考慮する必要があり,これが前節で述べた 魅波によるエネルギー輸送量,式 (15)である。 2.3 越波によるエネルギー愉送量を考慮した越波 モデル 静水面より上側では越波によるエネルギー輸送量が あり,これと静水面下に対するFuchsの理論によるエ ネルギー輸送量とが共存すると仮定すると,入射波の もつエネルギー輸送量W;= const.の条件から次式が 成立する。 ~WT =WTF - W

.

i _ _ _ f (19) 2 W

=W'F + W

.

J ただし, 2はエネルギー輸送量の総和を表わし, (・)印 は入射j庄のエネルギー 輸送 量E;C.で日無 次 元 化 す る こ とを意味する。さらに,右辺のWTF,WtF

土Fuchsの 理論からえられる量である。 伝 達 率K

を伝達波高と入射波高との比で表わすと, 式(19)から次式がえられる。 2kh,+sinh2 kh 32 ..•

7

2

=

E c一一πIf(す

w

.

.

2kh+sinh2kh 5

({t

2 (

川 ( 1 : )

1 . 1-=::-"1 .( 1 + K,)抑 +01一 l HoJ ¥ LoJ ¥ Lo/ K

2

=

B( 1ーに

2

)

+

0

(

t

)

2 2 kh + sinh2 kh 2kh十sinh2 kh (20) しかるに, 上 式はj替堤を波が越波するときに存寂する エネルギー損失を考えていないので, これらを考えに 入れると最終的に次式がえられる。 (1) 2kh,+sinh2'kh, K_2= C'''. ι 2kh + sinh2kh (H¥Yz(Ho\~ 区 C'.'. !~

1

"

.

!

~ul ・ (1+ K,)乃, (21) ¥HoJ ¥Lo/

r

.

(11, / 2kh,+sinh 2 khλ K

2= B l (1-ι") 1 1 ~.:.., -"',"~',':" I l' ¥' 2kh+sinh2khJ {?l, 引 IH¥% IHo\~ 十(l-k'.') ・ C 凶 l~J ・ li;) (l+K

)

%

}

(22) ただし, C(1):鉛 直 壁の反射率に関する係数, Cω 越波エネルギー量係数,k (1) 潜堤上部で生ずる活しれ などによるエネルギー損失係数,k I幻:越波した水塊 が落下するときのエネルギァ

m

失 係数であリ,これら は実験的に決定される係数である。 3 .実験および考察 3.1 潜堤直上での水平最大水粒子速度に関する実 験 ここでは,上述の越波モテソレの基礎となっている式 ( 5 )で表わされる水平水粒子速度について,そ内妥 当性を実験的に検証する。 (1) 流速計の検定 実験に用いたプロペラ式流速計(員十淑IJ技研 VA 403型)の検 定 について述べる。本実験においては, j替堤直上では水平流速が卓越していると考えられるの で,プロペラ式流速計を用いることができる。 まず,図-3に定常流に対 す る 流 速 検定曲 線を君、す。 5 , 血 司 令 S } 宮 ﹄ V ( 2 1

図-3 定常流に対 す る 検定曲線 次に,振動流に対する流速検定は次のように行う。プ ロペラ式流速計を台車に固定し,台車を周期運動させ るときの変位は x =α・cos( 2 Jrt / T), (α:娠中国, T:周期)で与えられるので.このときの流速Ij:,u

(6)

Jni球大学理工学部紀要(工学篇)第14号.1977年 207 =土=α・(211:/ T)・sin( 211:1 / T)となる。これらの 関係を用いて振動流に対する流速計の周波数応答特性, 流速検定を行うと次のようになる。 図-1は実験波形の 1例を示すものであり,周波数 応答は充分であるが,i美留速度が存在することヵ、わか る。また,本実験で対象としている最大流速付近での 流速分布曲線にAは存在しないので,定常流に対する 検定曲線を修正すれば.充分使用に耐えることがわか る。これらを詳細に調べると,図-5および6のよう になる。 20 '0 2D 1 .5 Tパ凧 0.1$ トー-< 図-4 振動流に対する笑験記録例 a o 8.6an • 5.9 企 48 .. 3.8 1 .0 . 図-5 周波数応答特性 2D 図-5は周波数応答特性を調べたもので,縦軸にモ ーターの回転数よりえられる周期,横軸にl主流速記録 よりえられる周期を示しである。この図から,周波数 応答は非常に良好であることがわかる。 図 -6(a)および6(b)にはそれぞれ正および負方向の 最大流速の検定曲線を示しである。ここで,正方向と は,プロペラ式流速計の正規の回転方向に対するもの をいし勺負方!i.Jとは逆の場合に対するものである。負 方向の流速は,正Hr'iJのそれよりやや小さい値となっ '00 。 0

6""

5 0 . . U. 100 岬 【 町 向 } 図-6(a) 正方向の流速検定曲線 100 。

50 u.x 100 p.同制 図-6(b) 負方向の流速検定曲線 ているが,いずれの場合も直線性は良好であリ.最大 流速はそれぞれ次式で与えられる。 ( 18.8E +5 .83, 正方向 U = ¥ -- -- - - -- ( 23 ) l20.5E.+5.19, 負方向 (2) 潜堤直上でいの水平最大流速分布 j替堤直上において水平水粒子速度uが最大値となる 時刻は.式 (5 )から a!u2/(2gH)l/o(σt)= 0 を計算すると smσt=Oとなるから, σt=Oがえられ る。 したカずって, ( n U 2

J

=土.(1 + K, )十A(1-K,)2 ¥ 2gHJ明αχ c

oth

問一

(2μ4) がえられる。このときの波形は式(2 )から J1=i(l+K,)・ coskx (25) H 2 で表わされる。 実験に用いた水槽は,琉球大学理工学部土木工学科 に設置されている長さ8m,幅 0.3mの造汲水路であ

(7)

208 1替堤の波浪減殺特性と越波モデ ル る。模型j替堤は天端幅1.0cmのアクリル板であり, 造 波中反から5mの地点に設置されている。また, 波形記 録には容量式j皮高計を用し¥入射波測定用および潜堤直 上での波高測定用の2本が設置されている。さらに, プロペラ式流速計をポイントゲージの先端に取付け, 順次設置水深を変化させて流速測定を行った。ただし. 水路長が短いため計揖)1時間を充分長くとることはでき ないので,造i皮開始後の波列のうち,安定波形と考え られる3-4波目のj皮を対象に観測を行った。表-1 に実験に用いた波の諸元を示す。以上の実験結果を式 表 1 流速分布に関する実験諸元 (24)および (25)とともに示すと.図ー7および 8 がえられる。 No 2 3 4 5 6 7 8 水 深 h (cm) 24.0 /1 11 11 26.7 11 / 1 / 1 比堤高 鹿T(se期c)入射波高 h,/ h H(cm) 1.0 0.79 4.8 /1 0.86 4.2 1 1 0.94 3.8 " 1.20 2.2 0.9 0.80 5.2 /1 0.87 4.6 /1 1.00 3.9 /1 1.20 2.6 theo. V創ocity

_

_

-

-

生I" 0 . . 0 、d ¥gバribu針。n Z/W hIl= 0.264 WL..0.04S5 0.2 X/L l守 0.5 同 u21(2gH) 0.5

~

hIl=0.232 胤 ..0.0406 0.2 、EK。¥、Q、'Q KIL u'I(2gH) 0.5

~

hIL= 0.203 肌 =0.0305 bo. 0.2 も、、 、、、 ‘ 十Q"一寸 u1/(2gH) 0.5

~

h1L.0.147 、Q 胤 .0.0135 0.2 てk、Q号、ct>

ull(2gH) 05 図-7 越波時の流速分布と空間波形(hJh = 1) i葺水度 波形勾配 h/ L H/ L 0.264 0.0485 0.232 0.0406 0.203 0.0305 0.147 0.0135 0.283 0.0551 0.247 0.0426 0.201 0.0286 0.157 0.0153 一、

(8)

琉球大学理工学部紀要(工学篇)第 14号, 1977年 M.・0.201 胤 -0.0286 岬L u'i(2gi) 0.5 也2 胤 =0.157 ト悦=0.0153 X凡 u'/(2gH) 0.5 , , . B 0 3 0 同 h v h v F V I E 1 I H 同4 q q o -守 白 4 4 n u w 図 8 越波時の流速分布と空間波形(h,/h =0.9) 209 まず, 11;堤高hjh=l.Oの場合には, 空間波形はj替 堤直上の一部分を除いて理論および実験波形はよく一 致する。流速分布については,式 (24) において特定 の波に対して右辺第lおよび2項は定数であるから, Z

H E Z a 問 、 ‘ , E , , , , ,

u

一 刷 〆 , s a E E、 、 (26) の関係がえられる。実験値は上式の直線関係が成立す ることを示している。ただし, その勾配および右辺第 1, 2項の定数項が異なる。これは, 1つには潜堤直 上で水位が下がり波形の曲率が大きくなるためであろ っ 。 次に,比堤高hjh =0.9の場合を考える。空間波形 li,首J'項と同様に理論および実験波形はほぼ一致する。 また,潜堤直上を除いて流速分布は,式 (26)の関係 が成立する。 以上のように, i替堤高が大きいときには,式 (24) および (25) からえられる基本的な特性が成立するこ とカぜわかる。 3.2 漕堤による波の反射・伝達に関する実験 ここでは.一様水深 (h=h,B=l)の場合に対 する実験値*との比較により,組波モデルにおいて導入 した係数C0., C (2), k(l), k (2)を 決 定 し i替1是の波浪 制御特性を調べる。 実験は次のような方法で・行った。 16mmカメラにより 潜堤前方での部分重複波を織影し, Healyの方法によ り反射波高を求めた。伝達波は抵抗線式波高計により 求めたが,伝達波に倍周波数成分波が現われる場合に は,この成分波の影響がかなり大きいと考えられる。 また,ニの場合には伝達波形は,観測地点により異な るので,倍周波数成分波が最も顕著に観測される 2-3地点に波高計を設置して波形記録を求める。このよ うにしてえられた波形記録を次のようにして解析した。 町キ叫・H;')

t 図-9 伝達波高の定義 本この実験は,徳島大学工学部土木工学科において 実施されたものである。

(9)

210 I替堤の波浪減殺特性と越波モデル・ すなわち NeumannH)が 平 衡 領 域 で の 海 洋 波 のスペ クトルを求める際に用いた見かけの周期とそれに対す る波高という考えに基き伝達波を求め,そのうちの最 大値を用いた。 この波形解析の方法は,crestーto -crestと呼はれており, えられる最大波高は,発生し うる最大波高を表わすものである。 各種のエネルギー損失係数は,それぞれ次のように して求められる。 (1) 反射係数C(I) 鉛直墜に対する反射率はほぼ 1であるが,短周期j皮 と長周期波とでは若干異なる。ここでは,鉛直墜に対 するCreslou-Mahe 9)の実験から,次の近1以式を採 用する。 ( I 1.0 H。 ..~ ":":-V <0.05 (11 l I -v (27) 1_ __ _ __ f Hn¥ H。 10.984-2.07 l,,:,,:-vl. ..:..:-V >0.05 l _._~- _._. ¥ LoJ' Lo

C

<

1

)

=0鈴4-2. 07

(

i

!

:

)

0.5 0 凡IL. 0.05 函 10 反射係数C(ll (2) 越波エネルギ 量係数C(Z) 式 (21)からえられる関係, ( Ho ¥ ,yげ_(2) (円(1) 2kh,+ sinh2kh,

- 一 一 一

¥ Lo/ ー¥-

2kh

+

sinh

2kh

-¥ 一,Y fH ¥-% -K, 2J ) • (1十. K._) ・1¥一一J/o/I- (28) を両対数紙上に表わすと,図一日がえられる。実験値 は 勾 配1/2の直線上に存住し, 式 (28)が成立す ることを示している。他の比堤高に対しでも同様 の 結 (2) 泉ーがえられる。 したがって.

c

は凶ー12のようにな る。Hc/ h >0.2におし、て一定値とな.っており, これ は,この越波モデルの適用範囲と関係があると思われ るが,詳しくは後述する。 (3) 越波した水塊が沼下するときのエネルギー損失 (21 係数h -E h n 叫 脚 。 ω J O h札 . o 0.039-0.059 o 0075 .d.0.1 4‘0,134 ロ02 -H,庁、EO 0.' 0.002 H.1l. lBl-ll ¢ (21とHo!Loとの関係

o

0.1 0.2 0.3 0.4 • Hc/h (2) 図ー12 越波エネルギー量係数C 式 (22)から未知係数h(li,k(2)を一定:的に求めら れないが i系数k(2)に対して次のようにして妥当な値 を仮定することができる。 hih = 1のときには,式 (22)の右辺第l項すなわちk(1)の項i;l:消失するので.

(

で)

,yoc '¥jf(2)'" K

2 • ( 1 + K, ) ••

Y

は)

-% / ¥ HoJ (29) なる関係がえられる。この関係を l由l対数紙上に表わす (2).,.~ (2) と図ー13がえられる。このときの係数h を ん と す ると表-2がえられる。 ﹁ r

. ,

p b o m m ψrc I , II II11 H,/h=O h/L. o 0.039-0.059

0075 . 0..0.1 .40.12‘0.138 ロ0.2 -0.01一一一←一一 0.002 0.01 H・/L. 0.05 0.1 (2) 図ー13 '¥jf とHo/Loとの関係

(10)

琉球大学理工学部紀要 (工学篇)第14号, 1977年 表- 2 ho(21の値 h/L

kJ2l 0.05 0.770 0.075 0.673 0.10 0.574 0.15 0.403 (1) 次に ,hj hく1のときには,次のようにしてh k (2)の評価を行う。式 (22)から, (1) K戸ー(1← k (2))・C (2 )・(I+K,)Y,

<1-k'''= 12khc+-- sinh zkh e 2kh + sinh2kh ({) y, .

(

t

)

,y < 1 U 月 一 ω

l F し ム vh ト 九

+

ω

ν

均 一 ト 2 ム M 一 い -J 一 、 ¥ 7 ' ' l k u h 一 h 寸 九 十 伺 K7R ︿ J 関は一 1 M M 仁 の 叶 -叶 一 J K

剖 一

日 、

ω ; 土 + H 一L <

;

(

)

ら h

h i1 白 、.ιU 町 一 & K 円 ︾ ヵ 2

2 v 月 川 る 十 一 ヘ ノ & 町 ¥l t ノ ロ ﹄ l i d O ? で 一 H

H . 寸 礼 負 、 2

t l ﹃t 、、 -べ

ι

・ 什 ' hv J il 、 向 。 ル ﹂

(

1

7

)

-y, .

(

1

:

)

-

,Y (30) これを図示すると,図 14の斜線部分となる。また, hj hが小さくなると波は越波的な相相を呈しなくなる ため.エネルギー損失係数k(2)は急激に小きくなると 考えられ.次式を仮定することができる。 j品、 fゐ 色 ( f u

2

h 1凶<I= kνザれUoJr凶凶fω4l 叫

i

α

t

f

)

'

f

(

幻 (2) また,前述のようにh。 はh/ Loにより変化するの で,定数α=β・(h/ Lo)と仮定すると次式がえられ る。 ν2) = k!2)

β

削除古川

(32) ただし, βは定数であり,上式の値が図ー14の斜 線 部 のほぼ中央を通るように定めると,β=120がえられ る。このときの係数k(2)は,図ー15に示すとおりであ る。 (4) 潜堤上部て、の首しれによるエネルギー損失係数 k 11) 前項(2),(3)により係数C(2),k (2)が定められると, 式 (22)からk(1)を定めることができる。実験値と良 211 } 句 4 { L R hlL. o ~ 0.05 ・ ~0.1 " ' 5 0.15

o

0.1 0.2 0.3 0.4 Hclh (2) 図-14 k の存在範囲 k(Z) s=120

0.4 (2) 図ー15 エネルギー損失係数h い一致がえられるように繰返し法によりk(1)を求める と,図 16がえられる。 以上で,定めるべき係数はすべて求められた。以 下 では,この結果を用いてi替堤の波浪制御特性を検討す る。 (5) 総波エネルギー量 式 (21)から反射率 K,を求め,越波エネルギー量 "". _I?¥ ,_ __.o/.: fH¥,Y fHn¥,Y Wov = C¥GJ・(1+ K, )立・

¥

t

J

t

t

J

:

(33) とHjhとの関 係を示すと, 図 17のようになる。波

(11)

212 i替堤の波浪減殺特性と越波モデル 形勾配H./L。 が 大 き し 波長水深比h/ J.,が小きいほ ど越波エネルギー量が大きい。ニのエネルギー輸送量 の一部が古しれなどにより逸散され.i支部が伝達波のエ ネルギー輸送量に寄与する。金伝達ムネルギー輸送量 と越波エネルギー量との関係は.図-18に示すとおり である。比堤高が小きくなると後者が急激に減少する (2) ことがわかる。これは,前項(3)において用いたk の 特性と一致している。

1)

1い 0.5

Ql Q2 Q3 ~4 Hc/h 図 16 エネルギー損失係数k(l) 胤v hIL. 0

0.05 A'" 0.1 00214 0.2

0.5 Hclt

図-17 越波エネルギー量

- A

・ 訓 FUCHS 0.5 OVERTOP例NG h1L,

.

.

.

0.1 o b.0.05

0.1 0.2 0.3 Hc/h 図 18 伝達i皮の全エネ,レギ 輸送量と越11エネルギ 一量との関係 (6) 反射率と伝達率 図-19に反射・伝達率を示す。反射率はh/ L.によ りやや分布幅をもっているが,伝達率の分布悩は小さ い。長周期淡の波ほど通過しやすく,反射率は小さい が,このときには図ー15および 16に示したようにエネ ルギー損失係数が大きいため,結果として長周期刊の 伝達率はやや小さい値となる。大局的にいえば,伝達 率に及ぼす影響因子ーとしては,波形勾自己が重要であり, 図ー19をH./L.をノマラメータとして取りまとめると図 -20がえられる。この図からわかるように. Fuchs の理論では説明できなかったH,/h = 0近くの伝達率 の特性が説明可能となっていることがわかる。 (7) 倍周波数成分波の発生限界 本章を終るにあたり,本研究で提案した越波モデル の適用限界を示すと考えられる倍周波数の発生原因に ついて考える。この主な原因は, 越波した水塊の沼下 に起因するから,前述のエネルギー損失係数k(2)と密 接な関係がある。式 (32)中の無次元量H,

/J

:

τ

;

は以前に著者l闘が倍周波数成分波の発生を特徴つける パラメータとして提示したものである。合問ら111も同 慌の分類を行っているが,波長の影響が加味されてい ないので十分とはいえない。式 (32) 中の 2変数H./ hとH)/吉元;との関係から,倍周波数成分波 の 制 限界を示すと図ー21のようになる。図 12および 16に 示されているようにH,/h >0.2のときには,各係数 がほぼ一定値となっている。図 21においても倍周波

(12)

琉 球 大 学 理 工 学 部 紀 要 (工学篇)第14号.D77年 213 一 寸 (0) H,/h.O 卜 (b) H,/h=O Kt 0.5 h凡. o 0.039-0.0岨 • 0.0宵 d 0.1 ...O.12~O.1 抽

0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6

0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 H/h H/h ,--, (c)叫/h=0.1 寸i (d) ~/h=0.1 Kr除¥ Kt 0.5 hll. h/l. o 0.037-0由' o 0.031-00慣 ' • 0.075 .0.'可5 A 0.1 d 0.1 企0.134-0.19 A 0.134・a帽 ロロト 口0.2

-。

0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6

01. 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 H乃、 H/h 「一一寸一一一「

i

:

k

」 ね ヤ 午 ; ベ

Kr 晶 Kt

0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 H庁3

0.1 0.2 0.3 H/h 0.4 0.5 0.6 図-19 反射率おぶぴ伝達率 (K1), 叩 0.5

0.1 0.2 0.3 民Ih 図-20 伝達率 数成分波が発生するのはほぼH'/hく0.2である。本来, 上述の越波モデルは,波が越波的なときに有効であり. このときには当然,倍周波数成分波が発生しやすくな る。したがって,図-21に示された倍周波数成分波の 0.5 凡/h

O With白隠10同 同n

WithoutOist. J剛 山 P wtiα1Dist

.

0.4 0.5 図--21 倍周波数成分波の発生限界

(13)

214 j替堤の波浪減殺特性と越波モデル 発生限界は,本研究における越波モデルの適用限界に 対する指針を与えると考えられる。 4 . 結 雷 以上,消波構造物の1つとして堤幅が無視できる鉛 直潜堤を考え,波浪制御特性について調べた結果を要 約すると.次のようになる。 鉛直墜に対する周知のFuchsの理論においては, O( HolLo)のエネルギー輸送量が無視されている。一 方 i替堤前面で生じる部分重複波によるエネルギー輸 送量は,0 l( HolLo)Y,1であるから,この量を考慮 して越波モデルを形成した。その基礎となる水平流速 に対する実験を行なし 潜堤直上での水平流速は放物 線分布となることを示した。つぎに,越波によるエネ ルギー損失係数などの各種の係数を実験によ り定める と Fuchsの理 論では説明できなかった 潜 堤 高 が 静 水面に近い場合にも妥当な結果がえられることもわか った。このことは,水深急変部での水平水粒子速度に 対する適確な評価が重要であることを示している。さ らに,倍周波数成分波の発生限界は,2無次元量Hol hおよびHj.(百

;

τ

;

で定められることを示し, 上 記 の越j皮モデルに対する適用限界の指針となることを述 べた。 ここでは.一浸水深の場合について論じたが, 本研 究で述べた方法は.潜堤前後でみ水深が異なる場合にも 適用できるものである。 最後に,本研究に際し有益な御助言をいただいた琉 球大学理工学部・河野二夫教授に深〈感謝する次第で ある。また,本研究は,文部省科学研究費補助金(昭 和50,51年度,奨励研究A)による研究の一部を取り まとめたものであることを明記する。 参 考 文 献 1 ) 岩垣雄一・石回啓・本田勉・須藤雄二:空気防 波堤に関する研究,第23回海岸工学講演会論文集, PP .158-163, 1976 2) Miles,].W.:surface-wave scatteringmatrix fora self, J. ofFluid Mecl】,vol.28, PP.755-767, 1967 3) Mei,C.C.and J.L.Black : Scatteringof sur face Waves of recutangulor obstracles in Water offinite depth,].of Fluid Mech., vo1.38, pp.4 99-511, 1969 4 ) 日野幹雄・山崎丈夫:垂直板による波の反射率, 透過率およびエネルギー損失,土木学会論文報告集, N口190,1971 5 ) 中村充・白石英彦・佐々木泰雄:i管堤による消 波について,第13回海岸工学講演会講演集, PP.76-79, 1966 6 ) 岩佐義明:水理学,朝倉書庖, Pp. 210-215, 1967

7) J ohnson,].W., R.A. Fuchs and J.R. Morison:

The damping actionof submerged breakwaters, Trans.A.G.U.,vo.I32, pp.704-717, 1951 8 ) 井島武士:i皮j良予知論.水工シリーズ, B -6, 1964 9 ) 土木学会編:水理公式集 P.47,8 1963 10) 筒井茂明 ・武内智司・越智裕:i替堤の防波効果 についての一考察,土木学会第28四年次学術E毒液会講 演概要集, I1-31, pp.65-66, 1973 11) 合図良実・竹田英章:越波による防波堤背後へ の波高伝達率,第13回海岸工学講演会講演集, PP.87 -92, 1966

参照

関連したドキュメント

工学部80周年記念式典で,畑朋延工学部長が,大正9年の

について最高裁として初めての判断を示した。事案の特殊性から射程範囲は狭い、と考えられる。三「運行」に関する学説・判例

専攻の枠を越えて自由な教育と研究を行える よう,教官は自然科学研究科棟に居住して学

金沢大学大学院 自然科学研 究科 Graduate School of Natural Science and Technology, Kanazawa University, Kakuma, Kanazawa 920-1192, Japan 金沢大学理学部地球学科 Department

この説明から,数学的活動の二つの特徴が留意される.一つは,数学の世界と現実の

大きな要因として働いていることが見えてくるように思われるので 1はじめに 大江健三郎とテクノロジー

「心理学基礎研究の地域貢献を考える」が開かれた。フォー

雑誌名 金沢大学日本史学研究室紀要: Bulletin of the Department of Japanese History Faculty of Letters Kanazawa University.