博 士 論 文 概 要
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(2) アンテナ技術の著しい進展は、携帯電話や車載用無線機器をはじめとする通 信 シ ス テ ム の 実 用 化 に 大 き く 貢 献 し て い る 。通 信 シ ス テ ム の 送 受 信 機 に お い て 、 アンテナは実装上の容易性や量産性の観点からコンパクトであるとともに、シ ステムの高速化に対して広帯域な動作特性が要求されている。従来、広帯域ア ンテナは、狭帯域のそれに比べ素子形状が大きくなり、小型化に伴う性能劣化 が問題であった。このため、近年では、アンテナ寸法の縮小に対する放射特性 の維持または向上に重点を置いたアンテナの広帯域設計が盛んに行われてきて いる。しかし、その設計手法はまだ十分に確立されているわけではない。広帯 域 ア ン テ ナ の 設 計 で は 、動 作 帯 域 幅 (イ ン ピ ー ダ ン ス 帯 域 幅 )だ け で な く 、帯 域 内における放射指向性、放射効率や群遅延などの特性を同時に考慮した評価が 鍵となる。 本論文では、広帯域アンテナの設計において、次の 3 つの課題を提起してい る。第一の課題はアンテナ自身の群遅延特性の定量的な評価である。広帯域の 通信では、周波数特性を持つアンテナの群遅延が信号品質を劣化させる。した がって、これまで注目されていなかったアンテナ群遅延特性を正確に見積もる ことが必要となる。第二の課題は広帯域アンテナの最適化設計である。特に、 U W B ( U l t r a w i d e b a n d: 3 . 1 ~ 1 0 . 6 G H z ) 技 術 の 応 用 展 開 を 図 る た め に は 、無 指 向性を満足する広帯域アンテナが求められる。したがって、広帯域アンテナの 構造パラメータをインピーダンス帯域幅だけでなく放射指向性にも着目して最 適化することが重要となる。第三の課題はアンテナの放射効率測定の精度向上 である。従来、広帯域にわたって放射効率を精度良く測定することが容易では なかった。広帯域アンテナの性能を正確に評価するためには、アンテナの動作 帯域において、簡便で高精度な効率測定を実現することが必要となる。 本研究では、これらの課題を解決するため、無指向性を満足する広帯域アン テナ設計の研究と、アンテナ群遅延及び放射効率の特性評価技術に関する研究 を行った。以下、各章ごとにその概要を述べる。 第 1 章. 緒論. 本研究分野であるアンテナ技術の変遷、広帯域化の技術の推移、小型化及び 高性能化における課題を述べ、本研究の目的と意義を明らかにした。 第 2 章. アンテナの群遅延特性評価技術. 第一の課題であるアンテナ自身の群遅延特性の定量的な評価に関して、アン テナ群遅延特性を正確に見積もる手法について論じた。アンテナ群遅延は周波 数 特 性 を 持 つ た め 、 UWB な ど の 広 帯 域 な ス ペ ク ト ラ ム 拡 散 方 式 に お い て は 信 号伝送の歪みが生じ、信号品質の劣化をもたらす要因となる。また、高精度な 位置特定システムを想定すると、アンテナ群遅延による測定誤差を補正するこ とが要求される。したがって、これを定量的に解明することは、アンテナを応 用したシステムの設計において重要である。しかし、これまでアンテナ群遅延 2.
(3) を正確に見積もったという報告はされていない。 この課題に対し、アンテナ群遅延を解明するために、半波長ダイポールアン テ ナ 及 び 八 木 ・宇 田 ア ン テ ナ を 例 に 2 ポ ー ト Z マ ト リ ッ ク ス を 導 入 し 、 ア ン テ ナ 群 遅 延 を 解 析 的 に 導 出 す る 手 法 を 提 案 し た 。具 体 的 に は 、ア ン テ ナ 群 遅 延 は 、 2 ポート Z マトリックスにより得られた送受信間の電波伝搬群遅延から送受信 間距離に対応する電波伝搬群遅延を差し引くことで求められる点を明らかにし た。その結果、遠方では、ダイポールアンテナの群遅延はアンテナの自己イン ピ ー ダ ン ス に よ り 決 定 さ れ 、八 木 ・ 宇 田 ア ン テ ナ の 群 遅 延 は 放 射 器 の 自 己 イ ン ピ ーダンスと放射器近傍に存在する素子間における相互インピーダンスによって 決まることを示した。 実 測 に よ り 、 共 振 周 波 数 に お け る ダ イ ポ ー ル ア ン テ ナ の 群 遅 延 は 1.3 λ (λ は 波 長 ) 、5 素 子 八 木 ・ 宇 田 ア ン テ ナ の 群 遅 延 は 2 . 7 λ と な っ た 。こ れ ら の 値 は 、 理論解析及び電磁界解析により得られた値とほぼ一致し、本手法の妥当性が実 証された。さらに、マルチパス環境下においても、反射波の影響をほとんど受 けずにアンテナ群遅延の評価が可能であることを定量的に示唆した。 本提案技術は、従来報告されていなかったアンテナ自身の群遅延を簡便に推 定 す る 手 法 を 、理 論 的 、解 析 的 、実 験 的 に 実 証 す る 技 術 を 確 立 し た も の で あ る 。 第 3 章. 無指向性広帯域アンテナの設計技術. 第二の課題である広帯域アンテナの最適化設計に関して、インピーダンス帯 域 幅 と 無 指 向 性 を 同 時 に 考 慮 し た 設 計 手 法 に つ い て 論 じ た 。 UWB を は じ め と した広帯域通信では、送信電力が微弱レベルに限られているので、通信エリア を拡張するための手段として何れの方向にも一様に電力を伝送できる広帯域ア ンテナが要求される。従来の広帯域アンテナは、主にインピーダンス帯域幅に 着目して設計が行われてきた。しかし、全方位に電波を放射する広帯域アンテ ナを開発するためには、インピーダンス帯域幅だけでなく放射指向性の観点か らもアンテナの構造パラメータを最適化する必要がある。 こ の 課 題 解 決 に 対 し 、 こ こ で は UWB ハ ー フ ス ロ ッ ト ア ン テ ナ を 取 り 上 げ , 広帯域性と最も無指向性に近い特性が同時に得られる最適な構造パラメータの 評価手順を体系立てた設計手法として提案した。具体的には、電磁界解析によ りアンテナの特性評価を行ったところ、インピーダンス帯域幅はスロット幅に 大きく依存し、スロット幅が決まれば、帯域幅が最大となるスロット切込み深 さ及び給電位置が一義的に決定できることを実証した。さらに、上記スロット 幅 を 条 件 と し 、 放 射 指 向 性 に 着 目 し た 評 価 を 行 っ た 結 果 、 UWB 全 帯 域 に わ た り最も無指向性に近い特性が得られるスロット切込み深さ及び給電位置が確定 できる点を明らかにした。それぞれのアプローチで得られた構造パラメータを 比較したところ両者はほぼ一致することが認められ、系統的に最適なスロット 寸法及び給電位値を絞り込めることが可能になった。 こ れ を 踏 ま え 、 ア ン テ ナ を 試 作 評 価 し た 結 果 、 給 電 系 を 含 ん だ 構 造 で は 3.5 3.
(4) ~ 11 . 9 G H z ( 中 心 周 波 数 に 対 す る 帯 域 幅 : 1 0 9 % ) に お い て イ ン ピ ー ダ ン ス 帯 域 幅 の 評 価 指 標 で あ る V S W R ( Vo l t a g e S t a n d i n g Wa v e R a t i o ) が 2 以 下 の U W B 帯 域 を 満 た す こ と が 確 認 で き た 。さ ら に 、帯 域 内 で 放 射 指 向 性 の 落 ち 込 み が 1 0 dB 以 内 で あ る 無 指 向 性 ア ン テ ナ が 設 計 で き る こ と が 実 証 さ れ た 。 本 提 案 技 術 は 、 従 来 の 研 究 課 題 で あ っ た UWB ハ ー フ ス ロ ッ ト ア ン テ ナ に 対 して広帯域性と無指向性の両側面から最適化を行う設計プロセスを確立したも のである。 第 4 章. アンテナの放射効率測定技術. 第三の課題であるアンテナの放射効率に関して、精度高く測定するための手 法について論じた。放射効率は、実用化を考慮したアンテナに要求される性能 の中で重要な項目の一つである。放射効率測定として、簡便かつ高精度な Wheeler cap 法 が 提 案 さ れ て い る 。 し か し 、 測 定 に お い て は 波 長 に 比 べ て Cap が 大 き く な る た め 、C a p 自 身 の 共 振 ( 高 次 共 振 ) が 発 生 し 、測 定 誤 差 が 生 じ る こ と が 課 題 で あ っ た 。 特 に 、 UWB の よ う な 広 帯 域 ア ン テ ナ の 放 射 効 率 を 測 定 す るには、この高次共振に起因する測定誤差を回避する手段を確立することが重 要である。 こ の 課 題 に 対 し 、 高 Q (Quality factor)で あ る 球 形 の Wheeler cap を 用 い 、 高次共振モードを離調するために、スタブチューナ及びスタブとリングを組み 合わせた真鍮製マルチモードチューナを提案し、広帯域アンテナ効率測定に応 用 し た 。 具 体 的 に は 、 真 鍮 製 Cap を 用 い た と き 、 10 GHz で は 高 次 共 振 の 生 じ る 周 波 数 の 0.7% 程 度 を 離 調 す れ ば 十 分 で あ る こ と を 理 論 式 に よ り 明 ら か に し た 。 さ ら に 、 内 径 70 mm の Wheeler cap を 用 い た と き 、 3~ 10 GHz に お い て T M 、T E 両 モ ー ド の 高 次 共 振 周 波 数 を 尐 な く と も ± 5 % 離 調 可 能 な マ ル チ モ ー ド チューナが設計できることを電磁界解析により実証した。 実 測 に よ り 、 前 章 で 設 計 し た UWB ハ ー フ ス ロ ッ ト ア ン テ ナ の 効 率 を 測 定 し た 結 果 、 UWB 帯 域 に お い て 5 点 の マ ル チ モ ー ド チ ュ ー ナ 挿 入 位 置 に よ り ほ ぼ す べ て の 高 次 共 振 が 離 調 で き 、こ れ ら の 最 大 値 を 包 絡 処 理 す る こ と で C a p の 共 振によるアンテナの効率測定誤差を回避可能であることが確認できた。 本 提 案 技 術 は 、マ ル チ モ ー ド チ ュ ー ナ を 用 い 、従 来 検 討 さ れ て い な か っ た C a p 自 身 の TM 及 び TE 両 モ ー ド に 適 用 で き る 簡 易 広 帯 域 ア ン テ ナ 効 率 測 定 手 法 を 確立したものである。 第 5 章. 結論. 本章では、本論文をまとめ、得られた成果を総括するとともに、今後の技術 的な研究課題について論じた。. 4.
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中央大学大学院商学研究科商学専攻博士課程後期課程 泉
工学研究科博士後期課程 情報システム専攻 所属教員及び研究内容 【 情報工 学教 育研究 分野 】NO 1 担 当 教 員 研 究 内 容 橋本 智己 教授 学位:博士(工学)宇都宮大学 専攻分野:ロボット工学,認知科学 研究テーマ: 1.工学的心理モデルの提案 2.生活支援ロボット