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情報識別子間の階層関係と関連性についての分析

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(1)

情報識別子間の階層関係と関連性についての分析

An Analysis of Hierarchy and Relation of lnformation ldentifier

菅 野 育 子*

Ihuho SUGANO

Abstract

   In this paper will be discussed the functions of seven Information Identifiers under electronic environments of libraries, publishers and copyright maintenance agencies. Three identifiers(ISBN, ISSN and ISMN) functioned to identify

physical materials  (books, serials, musical scores), while four identifiers

(ISRC, ISAN, ISWC, and ISTC)functioned to identify  works in physical materials; for example, a literary work in book or video, and a musical work in compact disc.

   These ldentifiers have unlque and common elements which are used for describing characteristics of each physical material and each work to distinguish one material from others, or one work from other works.

   These elements were analyzed with framework of IFLA/FRBR(International Federation of Library Associations/Fμnctionαl Requirenzents for Bibliographic Records)which consists of 4 entities−work, expression, manifestation, item. As aresult, it made clear that seven Information Identifiers could be divided by IFL A/FRBR entities and that these identifiers could have hierarchical relation.

Based on the above results, the possibility of linking in−between information identifiers was examined.

*愛知淑徳大学文学部図書館情報学科

 School of Library and Information Science, Faculty of Letters, Aichi Shukutoku University JOURNAL OF LIBRARY AND INFORMATION SCIENCE. Vol.16, p.53−62(2002)

(2)

1 電子環境下における情報源の識別  情報源を取り巻く環境には,情報源の生産に 関わる著者や出版者,情報源の提供に関わる図 書館や索引・抄録作成機関,そして,情報源の 利用に関わる利用者や著作権管理機関といった 要素が複雑に関係した状態にある。特に,情報 源の電子化,つまり電子編集,電子出版の導入 によって,情報源の生産から提供,利用の流れ

も変化しっっある。

 印刷媒体の情報源の場合には,図書形態や雑 誌形態といった物理的特徴を基礎として情報源 の識別要素は明らかであり,各要素は出版者,

図書館,利用者に共通して利用可能なものであっ

た。

 しかし,電子媒体の情報源は物理的特徴がな いばかりか,印刷媒体のような識別要素となり 得る記載根拠を見つけることも困難な状態であ る。インターネット情報資源の場合には,著者 名,タイトル,出版年(公開日)といった要素 を判別することさえ困難であり,そのような現 状を改善するために,情報資源作成者がDCメ タデータのような最小限の記述要素を自ら登録 するように呼びかけられている[1]。

 また,同じ著者で同じタイトルを持っ作品で あっても,伴う媒体ごとに識別方法は異なって いる。ある小説が図書として発行され,ビデオ やDVDとして映像化されたとしても,出版者 と映像製作者は異なる識別要素を基に独自に識 別管理を行なっている。また,それらを提供す る図書館においても媒体ごとに整理され,識別 要素となる書誌データ間の関連付けは行なわれ ないまま別々に提供されているのが現状である。

 このような環境下で多様な情報源が媒体の異 なりや管理する機関の違いによって個別に識別 されるのではなく,情報源間の関連付けによっ て情報源を有効活用する方法を検討する必要が

ある。

 本稿は,電子環境下において図書館,出版者,

著作権管理機関の各々がどのように情報源を識 別しようとしているかにっいてまず概観し(第

2章),次に,その3っの世界が共有し得る情報

識別子(lnformation Identifier)[2],[3],[4]が,

情報源の多様化にどのように対応しているかを 見る(第3章)。各情報識別子に付随する識別要 素間の比較を通して,識別子間の階層関係を明 らかにする(第4章)。これを踏まえて,情報 識別子間のリンク付けの有効性を検討する(第

5章)。

2 情報源識別の現状

2.1 目録レベルでの情報源の識別

 図書館界を代表するIFI.A(国際図書館協会 連盟)は,情報源の識別を目的とした目録作業 に関して,その理論と実践について再検討を行 ない,その内容を報告書であるFunctionαl Requirements for Bibliograpんic.Records

(『書誌的記録の機能用件』:こののちIFLA/

FRBRと略す)[5]としてまとめ,刊行した。

この報告書は,情報メディアの多様化,書誌レ コードの活用方法の多様化,書誌レコードに対 する利用者ニーズの多様化に対して,書誌レコー

ドが果たす機能を示したものであった。その中 で特に注目すべきことは,識別の対象である情 報源の種類である。これまで書誌レコードを作 成する対象は図書や逐次刊行物であり,その媒 体も紙媒体が中心であったのに対して,表1の ように多様な情報源を同じレベルで対象とした 識別が検討され始めたことがわかる。

 情報源の記録媒体,その形態,記録様式,表 現形式,という4っの側面から,識別対象であ る情報源を分析しており,これまでに行なわれ てきた識別対象の捉え方を再検討した結果とし て評価できる内容である。たとえば,印刷媒体 の図書や雑誌を識別するための物理的特徴は,

表1から該当するものを選ぶとpaper/books/a nalogue/textualという情報源の物理的特徴を 示すことができる。さらに図書の内容がビデオ 化されれば,optical storage media/discs/

optica1/audio−visualという物理的特徴を有す ることから,先の印刷媒体の図書と区別して,

(3)

情報識別子間の階層関係と関連性についての分析

表1:IFLAによる情報源の物理的特徴[5]

区分の種類 情報源

表現形式

記録様式 記録媒体の形態 記録媒体

textual, music, cartographic, audio−vi8ual, graphic,

three−dimen8ional

analogue, acou8tic, electric, digita1,0ptical book8, sheets, di8c8, cassette8, cartridges

paper, film, magnetic tape, optical 8torage media

識別することができるのである。このように情 報源を管理し提供する図書館界においては,目 録対象である情報源の多様化に対応した識別方 法が議論されている。

2.2 出版流通における情報源の識別

 出版界では,図書に唯一の番号を付与し,図 書流通において図書を識別する目的で,ISBN

(lnternational Standard Book Numbering:国 際標準図書番号)[6]という情報識別子を採用し ている。このISBNにっいても現在,電子媒体 の図書への番号付与を検討する段階にある[7]。

また,学術出版においては,図書や逐次刊行物 を単位とした識別よりも,雑誌論文や図書の章

(部分)を対象とした識別を目的とした新たな情 報識別子が存在する。

 一方BICI(Book Item and Component Identifier)

[10]は,図書の各部,各章,各項(例:百科事 典の一項目),まえがき,あとがき,巻末索引,

参考文献リスト,語彙リスト,さらに,文中の 絵や写真,地図,図形など,各部分ごとを識別 対象として番号が付与される。BICIのコード付 けは,図書の一章分を例にすると,①図書全体 を対象とした識別子であるISBN,②出版年,

③章の始まりと終わりの頁数,④文章を表す記 号,⑤印刷物を表す記号,といった要素から構 成される。

 SICIとBICIは,情報源の識別単位を図書や雑 誌といった物理的な単位ではなく,論文や論文 の構成部分を単位として,その識別を図ろうと

している。

2.2.2 電子文献のための識別子 2.2.1 雑誌記事及び章のための識別子

 SICI(Serial Item and Contribution Identifier)

[8]は,もともと雑誌の各号や雑誌論文を単位 として,その識別を図る目的で開発された。し かし,1966年に改訂されたSICIの第2版では,

論文だけでなく,文献中の目次,抄録部分,索 引部分を単位とした識別が追加された。SICIの コード付けは,冊子体の雑誌に収録された論文 を例にすると,①掲載誌のISSN[9],②掲載号 の出版年月日,③論文掲載ページの最初の頁数,

④論文タイトルの頭文字,⑤印刷物を表す記号,

といった主な要素から構成される。

 SICIやBICIは,情報源の媒体を示すコードと してMFC(Medium/Format/Codes)[8],[10]

を設けて,電子情報源への対応を考慮に入れて いるが,実際は伝統的紙媒体の情報源が識別の 基本となっており,電子文献への対応は不十分

である。

 これに対し,PII(Publisher Item Identifier)

[11]は,出版界と学会が協力して採用している システムであり,電子媒体のみの出版物を対象 とした識別子である。PIIは,エルゼビアサイ エンス社,IEEE,米国科学会,米国物理学会 など,学会と学術出版者によるもので,番号付

(4)

与の対象は学術的な情報源,中でも自然科学系 の論文が識別対象である。さらに論文が出版さ れる以前(pre−published)のものであっても識 別番号が付与されるが,これは,対象分野の物 理学において雑誌論文ではなくレター誌や E−printと呼ばれる電子プレプリントに情報源 としての比重が置かれている[12]ことから,出 版以前の情報源を識別する必要があるためであ

る。

 DOI(Digital Object ldentifier)[13]は,あ らゆる電子的な内容の利用を想定して,学術出 版団体が国際レベルで提案したシステムである。

現在,米国出版協会,国際出版者協会,国際科 学技術・医学出版者協会ほか,複数の団体会員 が評議員となって,国際DOI財団が創られ,

DOIの運営を行なっている。

 DOIの構成要素は,出版識別子と個別識別子

(ltem lD)からなる。個別識別子としては,先 のSICIやBICIも利用可能である。これは, DOI がSICIやBICIと同様に,情報源の各部分を識別 することができことから,互換性をもっことを 示すものである。DOIの目的は,インターネッ ト上の電子情報源の著作権処理に置かれている ために,情報源の識別とともに著作権の所在を 識別するURLがDOI番号とリンクされる仕組 みである。インターネット上の情報資源に対し て,一定の名称や所在地を求めることは難しい が,情報源の著作権は一定しており,電子情報 源の識別に有効である。

2.3 情報源識別の変化

 DOIでの議論に見られるように,電子情報源 の識別は従来の紙媒体の情報源の識別とは異な り,インターネット上で公開されても,公的に 出版されるとは限らない点を考慮すべきである。

つまり,出版物として物理的に存在するものを 根拠に識別を図ることができないのである。こ の問題は,電子出版における利用への対価を徴 収することを目的とした著作権管理機関におい ても重要である。そこで,著作権管理機関から

提案されたのが,ISWC(International Standard Musical Work Code:国際標準音楽作品コード)

[14]とISTC(lnternational Standard Textual Work Code:国際標準作品コード)[15]である。

いずれも文章あるいは音で表現し得る作品を識 別するために,その基礎となっている著作自体 を識別するものである。著作を識別することで,

その著作が多様な媒体を伴って,たとえば図書 として出版された場合でも,またインターネッ

ト上で公開された場合でも,それらの情報源を 識別するための要となり得るのである。

3 情報源の多様化に対応した情報識別子の開発

 1章で述べたように,情報源を取り巻く環 境では,紙媒体の出版物といった伝統的な情 報源の識別に加えて,電子情報源の識別や著 作の識別といった新たな識別への検討が求めら れている。これに対して,ISO/TC46(名称:

Information and Documentation)(国際標準 機構第46部会:情報とドキュメンテーション)

[16]は,図書館界,出版界,著作権管理機関と ともに情報源識別のための情報識別子を開発し

ている。

 これまで国際規格として制定されたシステム の中で,特に情報流通を円滑に行なうために提 案されている情報源の識別子として,ISBN[6],

ISSN[9], ISMN[17], ISRC[18], ISAN[19],

ISWC[14], ISTC[15]の7っをあげることがで きる。これらは,情報流通過程の異なる段階で,

異なる立場の機関によって提案され活用されて いるものである。まず,各システムの特徴を概 観する。

3. 1 1SBN (lnternational Standard Book    Numbering:国際標準図書番号)[6]

 ISBNの名称に含まれるBookは,図書あるい はその他の単行書を意味しており,世界各国で 出版された図書に対してISBN番号が付与され る。番号の構成要素は,出版国あるいは地域を

(5)

情報識別子間の階層関係と関連性についての分析

表す番号,出版者番号,任意の連番(出版者が 出版物ごとに付与する),検査数字(番号のな かで検査数字を除く,数字の並びや数値に誤り がないかを検証するもの)からなっている。

 同じ作者の同じ作品であっても二っの異なる 出版者から出版されれば異なる番号によって識 別される。同様に異なる版,異なる言語による 翻訳書も識別される。また「その他の単行書」

として,教育用の映画/ビデオ/スライド,カ セットテープ,コンピュータ・ソフトウェア,

電子図書,マイクロ資料,点字資料,地図も識 別対象となっているが,これは図書出版者が出 版物の種類を増やしたことが起因しており,出 版者の意向を反映したシステムと言えよう。

1967年から番号付与が始められ,1970年に国際 規格として認められ,2001年には161力国が参 加するまでになり,識別子の中でもっとも普及

した例となっている。

3. 2  1SSN(lnternational Standard Serial   Number:国際標準逐次刊行物番号)[9]

 ISSNによる識別対象は,終刊を意図しない 継続刊行物で通常通し番号や年代表示がある,

いわゆる逐次刊行物である。印刷媒体だけでな く電子媒体(CD−ROM等のパッケージ系の電 子情報源や,インターネット上の電子雑誌)に

も番号が付与されている。印刷媒体で出版され ている雑誌が電子媒体の雑誌をネット上で公開 した場合には,異なるISSN番号が付与されて 識別される。ISSNの構成要素は,任意の連番

と検査数字である。逐次刊行物に関する網羅的 なデータベースを構築することを目的に,国際 ISSNセンターが各国の国立図書館等に窓口を 置いて,ISSN番号と関連情報を収集管理して いる。現在100万件以上の逐次刊行物にISSN番 号が付与されている。

3.3 1SMN(lnternational Standard Music   Number:国際標準楽譜番号)[17]

 印刷媒体の楽譜を識別する識別子であるが,

図書のための識別子であるISBNとともに出版 者が管理する場合が多い。そのため,図書と区 別するために「M」という頭文字をっけ,その あとは出版者番号,連番,検査数字というISB Nと同じ構成要素から作られている。この識別 子に限っては,日本と米国で採用されていない。

3. 4  1SRC(lnternational Standard Recording   Code:国際標準レコーディングコード)[18]

 音声記録内容,っまり音源を識別するもので,

音源を記録したものを収録する容器(音楽レコー ドや音楽CD)を対象としない。このコードの構 成要素は,記録内容の版権所有者,その所在地,

記録年,記録内容番号である。たとえばある音 源が一っの音楽CDに収録された場合,音源の 単位である楽曲ごとにコードが人間の目に見え ない状態で付与され,同じ音源が異なる媒体で 再利用された場合にも同じコードが付与される。

同じ楽曲でも演奏された時点や場所が異なれば,

異なる音源となるため,異なるコードが付与ざ れて識別される。現在44力国が採用している。

3 . 5   1SAN  (lnternational Standard

  Audiovisual Number:国際標準視聴覚   作品コード)[19]

 ISANは映像コンテンッを対象としており,

上記のISRCと対比して考えると, ISRCは音楽 作品が音源となったものを識別するのに対して,

ISANは言語による作品が映像となったものを 識別するためのものである。この番号の構成要 素は,映像製作地域,連番,検査数字である。

ISRCと同様に,同じ画像が異なる媒体で再利 用されても番号は変わらない。これによって,

画像の著作権処理が可能となる。

(6)

3.6 1SWC(lnternational Standard Musical   Work Code;国際音楽作品コード)[14]

 ISWCは,音楽作品を識別するためのコード である。これまでの識別対象と異なるのは,物 理的媒体を伴わない点と作曲者以外は内容その ものを知ることができない点である。音楽作品 が音源となる以前にコード付けをしておくのが 原則であるため,登録時にも作曲者が独自で決 めたタイトルを申告するだけである。ただし,

実際の多くのコード付与は,音源となって音楽 製品となるものを対象に行なわれている。同じ 音楽作品が異なる音源として製作されても,同 じISWCが付与されて,作曲者の著作権処理を 可能とする目的で提案された。

3. 7 1STC(lntermational Standard Textual   Work Code:国際標準作品コード)[15]

 ISTCは,言語による作品を識別するコード である。言語によって表現し得る作品を著作者 が登録し,コードが付与されると,同じ作品が 図書として出版された場合でも,映画化された 場合でも,それらが同じ作品から由来するもの であることを識別できる。

4 情報識別子間の階層関係

 情報識別子を実際に付与するためのシステム

(国際標準番号システム)は,システムごとに 管理維持機関によって構築されている。各識別 子において番号付与の対象や適用範囲,そして 関連機関によって,各システムが識別しようと する対象に関する情報が多様化している。3章 で述べた7っの識別子を対象に,国際規格の本 文から,システムが識別しようとする対象と規 格の適用範囲を分析する。規格の附属書からは,

番号システムで規定されている識別要素を分析 する。その分析から,情報識別子間の関係につ いて検討する。

 まず各システムを横断して,識別対象と識別

要素を整理するための枠組みとして,2章で述 べたIFLA/FRBR[5]を利用して,識別子間の 関係を見ることにする。IFLA/FRBRの目的は,

メディアの多様化に則しながら,情報源の識別 に役立つ書誌レコードにっいて検討することで あった。書誌レコードを作成するにあたって,

多様な媒体の情報源に関する情報を複数の entities [5]のまとまりで記述することを提 案している。

 第1グループのentitiesとして提案された3 つのentityは,多様な媒体を識別するための7 っの識別子を整理するために有効であると考え た。それは,3っのentityによって,情報源に 関する情報を階層的に分析しようとする考え方 が多種多様な7っの識別子の分析に適している からである。3っのentityとは,著作(Work),

表出物(Expression),具象化物(Manifestation),

であり,workから順に階層的な関係にある。

 この階層関係によって多様な媒体の情報源に 関する情報(書誌レコード)を作成することが できる。特に「知的芸術的活動の成果」として 情報源を捉え,情報源に関する情報を階層的に 表現するのに適している。著作(Work)は,厳 密な意味での知的芸術的創造物を意味し,表 出物(Expression)は著作(Work)を何らかの 形式で表現したものを意味する。具象化物

(Manifestation)は,何らかの形式で表現され た知的芸術的創造物をさらに形あるものに具体 化したものを意味している。例えば,ある作家 が頭の中である作品(Work)を考え,それが日本 語で書き下ろされた原稿(表出物:Expression)

となり,さらに図書という出版物(具象化物:

Manifestation)となると考える。

 以上のようなIFLA/FRBRの3っのentityに よる枠組みに基づいて,7つの識別子を分析し た結果を表2に示した。なお,各識別子の主要 な識別要素に黒い丸印を付与した。

 図書,雑誌,楽譜という物理的存在が前提と なっている情報識別子であるISBN, ISSN,

ISMNは, Manifestationという物理的特徴を

(7)

情報識別子間の階層関係と関連性についての分析

表2 1FLA/FRBRのEntitiesによる情報識別子の分析結果

識別レベル データ要素の顧 ISBN ISSN ISMN ISRC ISAN

ISWC

ISTC

タイ トル オリジナル

^イトル タイトル

責任表示 作曲作詞編曲者 作者

work

その他(1) 詞の第1節 創作年月日

その他② 曲の種類

タイ トル 楽曲名 タイトル

責任表示ω 演奏者名 出演者名

責任表示② 監 督 ・

fィレクタ名 expression

その他(D 演奏場所

その他② 演奏日時

その他(3) ●原盤完成年

タイ トル 書名 誌名 楽曲名 (楽曲名) (タイトル)

責任表示(1) 著者 作曲作詞者

責任表示(2) ●出版・制作者 出版者 ●出版者 ●制作・発売者名 制作・発売・

z給者名

manifestation 出版・発行・

ュ売年月日 出版年 発行年 出版年 最初の発売日 最初の発売・

 開 日 その他(1) ●出版者所在地 発行頻度 楽譜の種類 ●制作者所在地 録画の種類

その他(2) 言語

その他(3) 記録媒体

識別するものとして捉えることができる。また,

映像コンテンッを識別するISANと音源を識別 するISRCは, Expressionに該当する。ただし 厳密には,ISRCは録音物として具体化されて いることが前提であるためManifestationと Expressionの両方に当てはめることもできる。

音楽作品の識別コードであるISWCと言語によ る作品の識別コードであるISTCは共に,その タイトルどおりWorkというentityに当てはめ ることができる[20]。

5 情報識別子間の関連付け

IFLA/FRBRの3っのentityによって,7っ

の情報識別子の階層的関係が明らかになったが,

いずれの識別子も言語あるいは音によって表現 し得る作品(work)を基点としていると考えれ ば,他の識別子をそれらに関連付けることがで きる。また,言語による作品と音楽作品との関 係も,たとえば先に文学作品が図書となってい て,それをもとにシナリオが作られ映画化され る場合もあれば,音楽作品が音楽CDとなった ものを見てシナリオが作られてビデオとなり,

そのビデオの映像から小説が創られる場合もあ る。作品の識別子間も関連付けることができる。

 図1は,7つの識別子を具体的に関連付けた 図である。ある文学作品が作家によって創作さ

(8)

     ビデオ化      オペラ化      演奏

圃 く:コ ⑳  [⇒  輌 〔⇒輌

視聴覚作品   言語による作品      音楽作品     音源

*函

 雑誌 図書

      図1 情報識別子間の関連図

(*言語による作品が雑誌記事として出版された場合に記事を識別する要素としてlSSNが関連することを示した)

れればISTCが付与され,その内容がビデオ化 されればISANが付与され,その内容が図書と なって出版されればISBNが付与される。また,

音楽にっいてまとめてみると,楽曲自体にISWC が付与され,それが演奏され録音されるとISRC が付与され,楽曲が楽譜に記録されればISMN が付与される。このように各システムは独立に 開発されたものではあるが,多様化する情報源 を識別するために複数の識別子をリンクして用 いることによって,より精度の高い識別が可能

となる。

6 情報源の識別における今後の課題

 情報源をとりまく環境における情報源関連機 関を対象に,各機関での情報識別への取り組み が明らかになった。各システムで規定されてい る識別子の識別要素は,各システムの目的に依 存している。国際規格として制定された情報識 別子ではあるが,その識別要素は各情報識別子 の登録管理機関と利用機関が必要とする情報を 反映している。情報源を取り巻く環境の中で,

情報源の識別を検討してきた各機関から個別に 提案された独自の識別システムではあるが,こ れらのシステム間での連携の可能性は分析結果 から明らかとなった。各識別子の識別要素を組

み合わせることで,著者のみがその内容を知る

「作品」から始まり,その作品が最終的にどの ような媒体を伴って資料となったのかまでを明 らかにすることができる。システムに関係する 機関を横断して,識別対象は変わり,識別要素

も変わるが,それらを一貫してみることが可能 である。多様化する国際識別システムを見直し,

情報源の識別情報を包括的に扱うためのシステ ムの構築が必要となろう。

 本研究は,平成13年度愛知淑徳大学国内研修 における研究成果の一部である。

 国内研修期間におきまして,ご指導ください ました慶鷹義塾大学文学部田村俊作教授に深く 感謝を申し上げます。

引用文献

 [1]Hillman, Diana Using Dublin Core.

   2001. [Cited 2002−12−19]. Available    from〈http://dublincore.org/documents/

   usageguide/〉

 [2]菅野育子.「文献識別番号の検討:

   ISBN, ISSN, ISAN, ISWC−(1)」『カ    レント・アウエアネス』No.232,1998.12,

   P.2−4.

(9)

情報識別子間の階層関係と関連性についての分析

[3]菅野育子.「文献識別番号の検討:

  ISBN, ISSN, ISAN, ISWC−(2)」『カ    レント・アウエアネス』No.233,1999.1,

  P.7−8.

[4]菅野育子.「国際標準番号システムにお   ける識別要素の検討」『2000年度三田図   書館・情報学会研究大会発表論文集』

  2000,p.25−28.

[5]Functional  Requirements  for   Bibliographic Records:Final Report   of IFLA  Study Group on the   Functional  Requirements  for

  Bibliographic Records. Munchen, K.

  G.Saur,1998,136p.

[6]ISO 2108:1992 1nformation and   Documentation−International Standard   Book Numbering(ISBN)

  JISXO305:1999国際標準図書番号

  (ISBN).

[7]現在ISBNの改訂作業が進められている。

  その主な理由は,1960年代に印刷媒体   の図書を対象に設定された番号の許容   量を増大させることとである。これは   ISBNの番号付与対象を電子ファイルや   オンデマンド出版物などへ拡大するた   めである。

[8]ANSI/NISO Z39.56:1996 Serial Item   and Contribution Identifier(SICI).

[9]ISO 3297:1998 1nformation and

  Documentation 一 lnternational Standard   Serial Number(ISSN)

  JISXO306:1999国際標準逐次刊行物   番号(ISSN)

  SICIの構成要素として用いられている   ISSN(lnternational Standard Serial   Number:国際標準逐次刊行物番号)は,

  逐次刊行物の識別子である。ISSNは,

   1章で紹介する図書館界,出版界,著   作権管理機関のいずれからも提案され   たものではなく,ユネスコとフランス

  政府によって1976年に創設されたISDS   センター(現在は国際ISSNセンター)が   管理する識別子である。

[10] ANSI/NISO Draft Standard Book   Item  and Component Identifier

  (BICI)

[11]Publisher Item Identifier as a means   of document identification. Oxford,

  Elsevier Science.1998. [Cited 2002−

  12−19].

  Available from:〈http://www/elsevier.

  nl/inca/homepage/about/pii/〉

[12]E−printについては下記の文献が詳しい。

  Brown, Cecelia. The E−volution of   Preprints in the Scholarly Communication   of Physicists and Astronomers . Joumαl   of Americαn Society for lnformαtion   Science and Technology. Vol.52, No.3,

  2001,p.187_200.

[13]ANSI/NISO Z39.84:2000 Syntax for   the Digital Object Identifier.

  The DOI Handbook. Version 2.1.

  Oxford, International DOI Foundation,

  2002, 178p.

[14] ISO 15707:2001 1nformation and   Documentation−International Standard   Musical Work Code(ISWC)(現在   JIS化が進められている)

[15] ISO/CD 21047 1nformation and   Documentation−International Standard   Textual Work Code(ISTC)(現在次   の段階である国際規格案の作成が進め

   られている)

[16]菅野育子.資料Wt 3:規格・基準.図書   館情報学ハンドブック編集委員会編.

  図書館情報学ハンドブック.第2版.

  東京,丸善,1999,p.951−961.

[17] ISO 10957:1993 1nformation and   Documentation 一 lnternational Standard   Music Number(ISMN)

(10)

[18]

[19]

[20]菅野

 ISO 3901:2001 1nformation and

Documentation 一・ lnternational Standard Recording Code(ISRC)

JISXO308:2002国際標準レコーディ

ングコード(ISRC)

ISO 15706:2002 1nformation and Documentation 一 lnternational Standard

Audiovisual Number(ISAN)

   育子.IFLA/FRBRとISWC, ISTC のwork概念の比較. Librαryαnd

Jnfo rmαtion Science. No.44, 2002,

p.27−41.

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