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穐山直太郎 論文内容の要旨

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Academic year: 2021

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穐山直太郎 論文内容の要旨

In situ tissue engineering with synthetic self-assembling peptide nanofiber scaffolds, PuraMatrix, for mucosal regeneration in the rat middle ear

ペプチドハイドロゲルを用いたラット中耳粘膜培養細胞による 中耳粘膜再生の検討

穐山直太郎 福田 智美 髙橋 晴雄 小路 武彦

International Journal of Nanomedicine 8 1-12 (in press) 2013年)

長崎大学大学院医歯薬学総合研究科医療科学専攻

(主任指導教員:髙橋 晴雄教授)

緒 言

中耳手術では、削開乳突腔などにおいて粘膜の温存が困難であることが多く、術後形成鼓膜の 再陥凹、癒着および再形成性真珠腫などが問題となる。削開乳突腔の含気を維持し、ガス産生能 などの生理機能を回復するために手術方法において様々な工夫がなされているが未解決の部分も 多い。自家細胞を用いた中耳粘膜組織の自家移植が確立されれば、将来的に中耳手術後の問題点 を抜本的に解決することが期待できる。

われわれは将来的なヒトへの臨床応用を視野に入れ、移植部位の複雑な形状への対応、より生 体環境に近い組織再生、移植方法の簡素化といった観点から組織再生の3要素である、細胞、足 場、調節因子を移植し、生体内で組織再生を図るin situ tissue engineeringに注目した。ペプチ ドハイドロゲル(PuraMatrixTM, BD Bioscience, California, USA)は様々な細胞培養に対し、三 次元のミクロ環境を提供する合成マトリックスであり、組織再生の生体内研究への応用が報告さ れている(Semino C.E.,et al. Differentiation 71: 262, 2003)。われわれは動物実験モデル(ラ ット)においてペプチドハイドロゲルを用いた中耳粘膜培養細胞の中耳粘膜障害モデルへの移植、

中耳粘膜組織再生について、その有効性を検討した。

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対象と方法

ドナー細胞にSD-TGラット(グリーンラット)(♂, 4週齢, 90~100 g, 10匹)、レシピエント SDラット(♂, 6週齢, 150~160 g, 14匹)を用いた。初代培養はexplant culture法で行い、

培地はDMEM:BEGM=1:1の混成とし、添加因子としてハイドロコーチゾン(0.5 µg/ml)、イン

スリン(5.0 µg/ml)、トランスフェリン(10 µg/ml)、トリヨードチロニン(6.5 ng/ml )、hEGF

(0.5 ng/ml)、レチノイン酸(0.1 ng/ml)、エピネフリン(0.5 µg/ml)、ゲンタマイシン/アンフォ

テリシンB(50 µg/ml)BPE(50 µg/ml)を加えた。Ⅰ型コラーゲンでコーティングされた培養

皿を用い、環境設定は37 ℃, 5% CO2 とし、1日おきに培地を交換し、第3代まで継代した細胞 を移植に用いた。培養細胞は免疫組織学的に解析し、上皮系のマーカーとして抗pancytokeratin 抗体、間葉系のマーカーとして抗vimentin抗体を用いた。レシピエントには中耳骨胞の粘膜を可 及的に除去した中耳粘膜障害モデルを作製し、ハイドロゲルに培養細胞と培地を加え、0.5×106 cells/ml (n=9)、1.0×106 cells/ml (n=9)の2群に分けて同モデルに移植した。ハイドロゲルを用い ずに培地に混ぜた培養細胞を移植したものをコントロールとして用いた(1.0×106 cells/ml (n=3))。移植後の免疫抑制はFK506(0.32 mg/kg)(Astellas Pharma Inc., Tokyo, Japan)を使 用し、術後 7日目、14 日目、28 日目で移植後の解析を行った。ドナーであるグリーンラット由 来の蛍光(enhanced green fluorescence protein (EGFP))をトレーサーとし、再生中耳粘膜組織 の構成細胞の起源を明らかにした。また、免疫組織学的解析には培養細胞と同様に上皮系のマー カーとして抗pancytokeratin抗体、間葉系のマーカーとして抗vimentin抗体を用い、組織リモ デリングのマーカーとして抗collagen typeIII 抗体、基底膜のマーカーとして抗collagen typeIV 抗体、上皮間接着の評価に細胞間接着分子のマーカーとして抗E-cadherin抗体を用いて評価した。

また、中耳粘膜上皮の機能評価としてムチン産生の確認にPAS染色を用いた。さらに再生上皮の 形態学的評価として走査型顕微鏡および透過型顕微鏡を用いた評価も行った。

結 果

グリーンラット由来の中耳粘膜上皮培養細胞は、第3代まで形態学的に問題なく安定した増殖 が得られ(倍加速度:22.1hr)、免疫組織学的にもpancytokeratin陽性且つvimentin陰性で上 皮系の細胞であることが確認できた。0.5×106 cells/ml で移植した群では生着率が 88.9%と良好 な結果だった。ハイドロゲルを用いずに移植したコントロール群では移植した細胞の生着が確認 されなかった。再生組織の解析ではトレーサーとして用いた EGFP 陽性部位が免疫組織学的に pancytokeratin陽性且つvimentin陰性で上皮系の細胞であることが確認でき、粘膜下のcollagen

typeIII 陽性領域は移植後14日目がピークであり、活発なリモデリングが示唆された。また、移

植後7日目にはcollagen typeIV 陽性部位が移植細胞直下に認められ、基底膜の形成が移植後早

期に形成されることが示唆され、さらに同時期の移植細胞間はE-cadherinが陽性であり、電子顕 微鏡を用いた解析でも透過型顕微鏡でアドヘレンスジャンクション様の構造が確認された。また、

機能解析ではPAS染色で陽性部位が確認され、中耳粘膜の機能を有していることが示唆された。

考 察

ラット中耳粘膜上皮細胞を無血清培地で培養し、ラット中耳粘膜障害モデルへの移植実験を行 った。組織再生の方法としてin situ tissue engineeringに注目し、足場としてペプチドハイドロ ゲルを用い、その有用性が示唆された。

参照

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