伊藤 大真 内容の要旨
論文内容の要旨
白血球依存性凝固因子に関与する分子の有力候補として組織因子(TF)があげられる。TFが単 球に発現することは証明されているが、トロンボモジュリンやプロテインC受容体などの抗凝固活 性を持つ分子も発現する。よって、無傷の単球に発現した組織因子が凝固経路のトリガーとなる のかという疑問がある。TFは細胞膜に組み込まれた状態で機能すると考えられている。単球から 発生するマイクロパーティクル(MP:1μm以下の粒子)上に組織因子が発現するとされている が、単球からMPが発生する際には、アポトーシス小体のような様々なサイズの粒子が生成される。 しかし、膜結合性TFのキャリアーとして、1μm以上の粒子の役割はまだ十分に研究されていない。 今回、実験的血栓形成における単球とそこから発生する粒子の影響を調査した。また、凝固カ スケードの最終基質であるフィブリノーゲンとの結合をフローサイトメトリーで評価した 緑色蛍光物質FITCを結合したフィブリノーゲンを含む新鮮凍結血漿(FFP)を、赤色蛍光核染 色試薬SYTO61と共にプレインキュベートされたヒト単球系細胞THP-1の細胞浮遊液に加えた。 フローサイトメトリー分析では、200 gの遠心分離によって親のTHP-1細胞から分離した様々な サイズの粒子はSYTO61で染色されなかった。 これらの粒子では、FITCに関連する蛍光は強度が増加したが、SYTO61 に強染された親のTHP 細胞では検出されなかった。また、緑色蛍光の増加はヘパリンを加えることで抑制された。これ らのことから、単球系細胞THP-1由来の凝固活性は、正常な状態の細胞にはほとんど認められず、 脱核されたこれらの粒子が有していると考えられた。発色アッセイにより、これらの粒子が組織 因子活性を有するが、親のTHP-1細胞は持たないことが示された。 Ca2+イオノフォア A23187 がこれらの粒子の増加と実験的血栓のサイズの増大を引き起こすことが、THP-1 細胞の培養チャンバー内の FITC 蛍光強度によって示された。Ca2+キレーターEGTA が
A23187 による変化を抑制したことから、THP-1 細胞へのカルシウム流入が組織因子活性を持つ粒 子の発生を増加させることが示唆された。 氏 名 伊藤 大真 学位の種類 博士(医学) 学位記番号 乙第1283 号 学位授与の日付 平成27 年 3 月 27 日 学位授与の要件 学位規則第3 条第 1 項第 4 号に該当 学位申請論文タイトル及び掲載誌
Flow Cytometric Analysis for Shedding of Procoagulant Particles Provoked by Calcium Influx Through the Cell Membrane in Human Monocytic Cells
ヒト単球系細胞における凝固活性微小粒子の発生分子機構に関するフローサイトメトリー を用いた解析法の検討
EXPERIMENTAL & CLINICAL CARDIOLOGY 2014 年 7 月 掲載 学位審査委員(主査)教授 池淵 研二