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雑誌名 北海道医療大学歯学雑誌

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Academic year: 2021

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北海道医療大学学術リポジトリ

メカニカルストレスがラット関節円板培養細胞の細 胞外基質のmRNA発現に及ぼす影響

著者 樫尾 治奈

雑誌名 北海道医療大学歯学雑誌

巻 35

号 1

ページ 61‑62

発行年 2016‑06‑30

URL http://id.nii.ac.jp/1145/00010506/

(2)

顎関節症の病態の主要な要因は関節円板障害である.

関節円板の機能や形態の維持のためには細胞外基質の組 成・構成が重要であり,円板組織に存在する細胞は組織 に負荷されるメカニカルストレスに対する適応反応とし て細胞外基質の発現を変化させる.

関節円板に関連する細胞における伸展負荷に対する反 応および細胞外基質のmRNA発現やタンパク質発現への 影響を検討した研究はほとんどなく,いまだ不明な点が 多い.本研究では,関節円板を構成する細胞の伸展刺激 に対する反応性を明らかにすることを目的として,ラッ ト関節円板から採取した培養細胞(以下,関節円板培養 細胞と略す)を用いて,伸展負荷が関節円板培養細胞の collagen,proteoglycanおよびtropoelastinのmRNA発現の変 化を検討した.

材料及び方法

.関節円板培養細胞の培養系

生後 週齢のWistar系雄性ラットから関節円板を採取 し, %NCS(newborn calf serum)を添加した最小必須 培養液(MEM)中で ℃, %CO環境下にて培養し,

関節円板培養細胞として単離した.

.伸展負荷

Fibronectinで処理したシリコンチャンバー上に関節円 板培養細胞を播種し, 日間培養後,サブコンフルエン

ト状態を確認し,伸展率 %,頻度 分間/ 往復 で, 時間および 時間伸展負荷を与えた.

.マイクロアレイによる網羅的解析

時間と 時間の伸展群と対照群の試料に対してアジ レント社マイクロアレイにて解析した.細胞外基質に変 化があるものに関してI型collagen,versican,aggrecan,

tropoelastin,fibromodulin,lumican,decorinのmRNA発 現の再現性確認のためreal−time PCR法にて詳細な発現 変化の定量を行った.

.siRNAによるfibromodulin抑制実験

FibromodulinのsiRNAを用いてfibromodulin抑制後に伸 展負荷し,fibromodulinとlumicanのmRNA発現の変化を 検討した.

.統計学的処理

統計分析には,ノンパラメトリック検定 のMann − Whitney U testを用いた.

.マイクロアレイによる細胞外基質のmRNA発現の網 羅的解析

関節円板培養細胞に 時間と 時間の %伸展負荷を 行い,対照群と伸展群の試料に対しマイクロアレイ解析 を行った.その結果,versican,aggrecan,fibromodulinの

mRNA発現は 時間と 時間で増加した.I型collagenの

mRNA発現は 時間で増加した.Lumican,decorin,as- porin,tropoelastin,III型collagenのmRNA発現は 時間

〔学位論文〕

メカニカルストレスがラット関節円板培養細胞の細胞外基質の mRNA発現に及ぼす影響

樫尾 治奈

北海道医療大学歯学部口腔構造・機能発育学系歯科矯正学分野

Effects of mechanical stress on expression of extracellular matrix in rat TMJ disc cells

Haruna KASHIO

Division of Orthodontics and Dentofacial Orthopedics, Department of Oral Growth and Development, School of Dentistry, Health Sciences University of Hokkaido

Key words:TMJ disc tensile strain collagen proteoglycan tropoelastin

北海道医療大学歯学雑誌 !( − )平成 年

( )

第35巻1号   4C150 1C133/本文 ※31‐1から組体裁変更 OTF/061〜062 学位論文 樫尾   4C  2016.07.13 13.33.56  Page 61 

(3)

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で 減 少 し た .KeratocanのmRNA発 現 は 時 間 で 増 加 し, 時間で減少した.

.Real−time PCR法による細胞外基質のmRNA発現の 定量

VersicanのmRNA発現は,伸展負荷により 時間と

時 間 で そ れ ぞ れ ., . 倍 に 増 加 し た .Aggrecanの mRNA発現は 時間では .倍に増加した.Fibromodulin とI型collagenのmRNA発 現 は そ れ ぞ れ 時 間 で は

., .倍に増加し, 時間では対照群と同レベルと なった.LumicanのmRNA発現は 時間で .倍に減少し た.DecorinのmRNA発現は 時間と 時間でそれぞれ

., .倍に減少した.TropoelastinのmRNA発現は,

時間で .倍に減少した.

.siRNAによるfibromodulin抑制実験

siRNAによるfibromodulin抑制状態では対照群と 時 間の伸展群において,fibromodulinのmRNA発現は抑制 されそれぞれ .倍と .倍に減少した.一方,lumican のmRNA発現は対照群では変化がみられなかったのに対 し, 時間の伸展群はsiRNAによるfibromodulinのmRNA 発現抑制により .倍まで回復した.

時間の伸展負荷によって,I型collagenのmRNA発現 は増加した.メカニカルストレスによりcollagen原線維 の数の増加と太さが増大し,抵抗性が増したという報告 がある.したがって,本研究におけるI型collagenの増加 も伸展負荷に対する抵抗性の増強に関与していると考え られた.

また,versicanのmRNA発現は , 時間の伸展負荷 により増加し,aggrecanのmRNA発現は 時間で増加し た.Versicanとaggrecanは構造が類似しており,ヒアル ロン酸と高い結合能をもっている.Versicanとaggrecan の結合によりヒアルロン酸の保水力を高め,細胞間の隙 間を補い,力学的強度を生み出しているという報告があ

る.本研究における伸展負荷によるversicanとaggrecanの 増加は,伸展負荷による細胞間隙を補い,力学的強度の 増強に関与していると考えられた.

FibromodulinのmRNA発現は 時間をピー ク に 増 加 し, 時間で変化は認められなかったのに対し,lumi-

canのmRNA発現は 時間で変化は認められなかった

が, 時間で減少したことから,lumicanのmRNA発現 にフィードバック調節機構が働き 時間のlumicanの mRNA発現が減少したという仮説を立てた.この仮説を 検証するために,siRNAによるfibromodulinのmRNA発現 の抑制実験を行った.その結果 ,siRNAに よ るfibro- modulinのmRNA発現の抑制下ではlumicanのmRNA発現 は対照群では変化がみられなかったのに対し, 時間の 伸展群はsiRNAによるfibromodulinのmRNA発現抑制によ り .倍まで回復した.本研究ではfibromodulinとlumican のタンパク質の定量は行っていないが,この解析によっ て,伸展負荷によるfibromodulinのmRNA発現の増加が lumicanのmRNA発現を減少させるという興味深い結果 が得られた.

ラット関節円板培養細胞は伸展刺激に対してcollagen, proteoglycanおよびtropoelastinのmRNA発現に変化を示す ことが明らかになった.これらの細胞外基質の発現変化 は,関節円板の機械的強度に影響を及ぼすことが示唆さ れた.

樫尾 治奈

平成 年 月 北海道医療大学歯学部 入学 平成 年 月 北海道医療大学歯学部 卒業

平成 年 月 北海道医療大学歯学部歯学研究科博士課程 修了 平成 年 月 北海道医療大学 特別研究員

樫尾 治奈/メカニカルストレスがラット関節円板培養細胞の細胞外基質のmRNA発現に及ぼす影響

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第35巻1号   4C150 1C133/本文 ※31‐1から組体裁変更 OTF/061〜062 学位論文 樫尾   4C  2016.07.13 13.33.56  Page 62 

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