N 値を用いた砂地盤の静止土圧の一計算法
落 合 英
俊*
A C a l c u l a t i o n M e t h o d o f E a r t h P r e s s u r e a t R e s t o f S a n d y S o i l s U s i n g N ‑ v a l u e
by
H i d e t o s h i OCHIAI
(Department o f C i v i l E n g i n e e r i n g )
I t i s p r a c t i c a l t h a t t h e c o e f f i c i e n t o f e a r t h p r e s s u r e a t r e s t , Ko , i s e x p r e s s e d by t h e f u n c t i o n o f i n t e r n a l f r i c t i o n a n g l e i n e f f e c t i v e s t r e s s ,ポ" although i t h a s a f a u l t i n t h e o r e t i c a l s t r i c t n e s s . But 0 ' a t f i e l d o f sandy s o i l s i s u s u a l l y e s t i m a t e d from N‑value by t h e s t a n d a r d p e n e t r a t i o n t e s t , s o t h a t from a p r a c t i c a l p o i n t o f view i t i s d e s i r a b l e t o o b t a i n t h e r e l a t i o n betwcen N‑value and φ ' .
I n t h i s paper , f i r s t l y , a simple r e l a t i o n between N‑value and 9 ' i n t r o d u c e d a term o f e f f e c t i v e overburden p r e s s u r e which h a s n o t been c o n s i d e r e d i n t h e p a s t i s newly p r e s e n t e d . Secondly combining t h e above N
・C ? 'r e l a t i o n with t h e J a k y ' s o r a u t h o r ' s e q u a t i o n about Ko ,
a method employing N‑value a s a simple and p r a c t i c a l c a l c u l a t i o n method o f e a r t h p r e
弓s u r e a t r e s t o f sandy s o i l s i s p r e s e n t e d , and i t s a p p l i c a t i o n t o f i e l d problems i s v e r i f i e d by comparison with t h e measured v a l u e s o f e a r t h p r e s s u r e f o r an underground r e t a i n i n g w a l l a t f i e l d .
1 . まえがき
地下壁や地中埋設物などの土庄の評価,深い基礎の 支持力の算定などにおいては,静止土圧係数 Ko の値 が重要な要素となるものであり,また最近では,砂地 盤の流動化の犠子も Ko 値によって異なるものともい われており
(1),土質工学の分野では静止土圧に関連し た問題は数多く,かつ重要である.
静止土圧係数 Ko の算定式としては, J a k y ( 2 ) をはじ め,多数の研究者により種々提案されているが(表‑
1 参照),砂の場合, 実用的でしかも実験結果をうま く説明できるのは,有効応力による内部摩擦角グを 用いた Ko=f( ゅうの形の式である.しかし,実際の 現場においては,とくに砂地盤の場合,乱さない試料 のサンプリングの困難さとも関連して,砂地盤の内部 昭和5 3 年 5 月 1 3 日受理
*土木工学科
摩擦角 V の値をセン断試験によって求めることは容 易ではなく,そのためサウンデイング結果からその値 を換算することがしばしば行なわれている.したがっ て,サウンディング結果を用いて砂地盤の静止土圧係 数を求め,土圧を算定する方法を確立することは,実 用上,大きな意義をもっている.
著者
(3)パ
4)はさきに標準貫入試験の N 値の特性を考 慮し, N 値を用いた静止土庄の一計算法を提案したが,
その際,砂地盤の N 値と有効上載圧力 pおよび相対 密 度 Dr の関係として, S c h u l t z & Menzenbach(5) による実験式を利用していた. しかし S c h u l t z &
Menzenbachの式は ( 1 日式に示すように,式中に対数計
算を含むかなり複雑な実験式であるため, Ko 値の算
定 に 必 要 な 内 部 摩 擦 角 グ を N 値と有効上栽圧力 p
N値を用いた砂地盤の静止土圧の一計算法
の関数として簡単に表示することができず,かなり面 倒な計算を行なわねばならないという欠点があった.
本文では,さきに提案した計算法のより簡便な方法 として,Schultz&Menzenbachの式の代りに,そ れとほぼ同じ結果を与えるMeyerhof(6)による経験式 を利用することにより,N値と有効上載圧力pの値 から砂地盤の内部摩擦角φノを求める簡単な式を新た に提示し,さらにその式と静止土圧係数Koに関する J蝕yあるいは著者による式を組み合わせることによ
り,N値を用いた簡便で実用的な静止土圧の計算法 とその関係図を示した.
2.静止土圧係数Koの算定式
静止土圧係数Koを算定する式は,次のように大別 することができる.
(i) Ko=f(φμ)あるいはKo=f(φcv)
(ii) Ko=f(φ!)
(iii)その他
Table l Equations of the coefficient of earth pressure at rest, Ko.
Equations Workers
No. of Eq.(i) Ko冨f(φμ)or Ko=f(φcv)
K・一 P孟箒
η畏。+3{1一(κ/λ)}η・・一M2=O
sinφcv=3M/(6十M)
Ko≒tan2(π/4一φe/2)
Roscoe et al(7)
1
Ko= 1《2/π)tanφμ
1+(π/2)tanφμRowe(8)
Yamaguch孟(9)
》2−tanφμ
Ko= ⑫+2tanφμ 1 Yamanouchi et al⑩ Ko=・1−sinφcv=tan2(π/4一φμ/2) Ochiaio1)
(1}・
(2)
(3)
(4)
(5)
(ii) Ko=・f(φ!)
1+sinφノ ≒0.9(1−sinφノ)
1く二〇 ニ== 1−sinφノ
Ko=
1+(2/3)・i・φ (・_。i。φ・)Ko=0.95−sinφノ 1一(2/π)2tanφノ
Ko= 1+tanφ
》万一(2/π)tanφ
Ko=
〉一百十(4/π)tanφノ》(π/2)2+tan2φLtanφ Ko=・ 》(π/2)2+tan2φ +tanφ
」蝕y(2)
Brooker et al働
Yamaguchi(9)
Yamanouchi et alOΦ
Ochiai¢1)
(6)
(7)
(8)
(9)
㈹
(11)
(iii) The others
Ko =0.19十〇.23310glp Alpan⑯
Ko=μ/(1「α) Tschebotarioff仁4)
Ko=・1/(レー2)
Ohsaki⑯
α2)
㈲
(1の
以上の分類により,これまで提案されている式は Table 1のとうりである.(i)の形式の諸式は,それ ぞれ理論的に誘導されており,その物理的意味も比較 的明確であるが,粒子間摩擦角φμあるいは限界間ゲ キ比状態における摩擦角φcvが材料定数であるため,
静止土圧係数Koも材料定数となる.したがって,
Ko値が初期間ゲ比eoによって変化するという実験
的事実を説明することはできない.(ii)の形式の諸式
は,内部摩擦角φ,が初期間ゲキ比eoによって変化
するので,実験結果をうまく説明することができ,実
用的ではあるが,破壊以前の非塑性状態におけるKo 値を塑性状態のφノと直接関係づけている点など物理 的意味が不明確であり,またこれらの式は,あえて実 験結果と合うように修正されているものが多く,一種 の実験式とみなすべきであろう.(iii)のその他の式 において,ポアソン比μ,応力集中係数りを用いた 式は,それぞれ弾性論およびFr61ichの地盤内応力に 関する考え方に基づくものであり,土の場合,その係 数μ,りの定め方が問題である.なお,塑性指数Ip を用いたAlpanの式は粘性土に対して求められた実 験式である.
Ko
Q8
q6
0.4
Q2
10
K。.(バ/2)2+t・n2φ 一t飢φ ABC
(π/2)2・tan2φ ÷tan中
j。・1−sin中
j。・σ95−sin中
C
1_
1
1
岱C B A
心 1 0
20 40 φノ(o) 60 80Fig.1 Comparison of the equations of the coefficient of earth pressure at rest
Fig.1は,砂質土に対して実験結果とよく合うとい われている」蝕yの(7)式,粘性土に対してよく合うと いわれているBrookerらの(8球,および著者のαi)式 を示したものである.J蝕yの式と著者の式は,内部 摩擦角φノの全範囲(0。≦φ ≦90。)に対してほとん ど一致することが知られる.なお,Ko−f(φノ)の式の うち,J蝕yおよび著者の式を除いた(8),(9),α①式は いずれもφノがある値以上になると,Ko値が負にな るという矛盾した結果を与えるω
5.N値と砂地盤の内部摩擦角φ の関係
土質調査の代表的方法として現場で広く用いられて いる標準貫入試験のN値と砂地盤の内部摩擦角φノの 関係を調べた研究は数多くあるが,その関係を定量的 に表示し,またわが国でよく用いられている式として は次のようなものがある.
Dunham⑯;φノ篇》12N十φo
ただし,
吻一 o{灘1縷難
大崎㈲;φ!=》20N十15。
日本道路協会血町φノ=》15N十15。
(15)
粒度分布のよい角ばった粒子 ⑯ (1の
これらの式はいずれもφ 一f(N)の形で表示されてお り,N値が決まれば,砂地盤の内部摩擦角φノは一 義的に定まることになる.しかし,「N値は深さに よって異なった値を与える」㈲,すなわち,同一密度 であっても深さが深くなるほどN値は大きく表われ てくるといわれており,このことは砂地盤の内部摩擦 角φ をN値のみの関数として表わせないことを示 唆しているものと考えられる.本来,N値とは地盤 土の硬軟ないしは締まりぐあいの相対値を示す一つの 指数であり,砂地盤の場合,このN値から推定でき るのは,そのセン断抵抗を表わす強度であって,強度 定数のφ ではないと考えられる.したがって,砂の 強度から強度定数の値を求めるためには,Coulomb の式からも知られるように考えている面上の有効垂直 応力の値を指定する必要があろう.それゆえ,N値か ら砂地盤の内部摩擦角φ の値を推定するためには,
N値を測定した深さ,したがって有効上載圧力pを 考慮して,φ 一f(N,p)の形で表示すべきであり,
この形の方がN値の特性をより適格に把握した考え 方であり,また合理的である.
以上のような考え方に基づき,:N値と砂地盤の相対 密度Dr(%)および有効上載圧力P(晦/cみとの関 係を表わすSchultz&Menzenbach(5)による(18)式と,
砂の内部摩擦角φ (度)と相対密度Dr(%)の関係 を表わす石堂⑳による倒式を組み合わせて考えること により,N値と有効上載圧力Pの値から砂地盤の内 部摩擦角φノの値を算定する方法およびその関係図を
さきに提案した(3)・ω.
lnDr=0.4781nN−0.2621np十2.84 (18)
φノ=0.3Dr十15。 (19 ところが,(18}式は忌中に対数計算を含んでいるため,
φ =f(N,p)の形の簡単な表示式にすることができず,
またNとpの値からφ を求めるにしてもかなり面倒 な計算を行なわなくてはならず,実用的にはあまり好 しくない.そこで,鮒式に代るものとしてMeyerhof(6)
による次の経験式を利用すれば,N値と有効上載圧力
pの値から砂地盤の内部摩擦角φノを求める簡単な式
を得ることができる.
N値を用いた砂地盤iの静止土圧の一計算法
N=1.7(Dr/100)2(p十10)、,(p;lb/in2)(20.の =2.4(Dr/100)2(p十7),(p;ton/m2)(20. b)
なお,この⑳式はSchultz&Menzenbachによるq8)
式に比べて多少小さめなD,値を与えるが,それほど 大きな差はない.
(20.b)式を⑲式に代入して整理すると,φ (度),
N,P(ton/m 2)の関係式として次式が得られる.
φ・一・9・・1/,母7+・駅 (21)
ノ
堕 1
1
含するような式であり,砂地盤の概略の内部摩擦角 φ の値を推定するには有用であろう.
N
40
30
20
10
0
φ ・19み馬・15・
④φ ・価「+φ。(φ。・15。)
⑧ (φ。・2σ。)
◎ rr@ (φ6=250)
⑪φ ・偏r+15。
@ φβ=∫獅「+150
8
一ブー
_1∠、
9 1
1フ1η
鴇醗
ノ
一一∠,乞
鵬,∠
%コ_1一//
z劣ク ^ン
0 10 20 30φ(。チ0 50
Fig.2 Relation between N−value and internal friction angle, φノ, of sandy soils
Fig.2は有効上上圧力Pをパラメーターとした⑳ 式を示したものである.回申には,φノーf(N)に関す
る(15),(16),(1の式も示しているが,これらの式は(21}式に
1おいて,p=5〜3σton/m2の範囲内にほぼ含まれるこ とが知られる.
ところで,N値と砂地盤の内部摩擦角φ!の関係式 を実在のすべての砂地盤に適用するには問題がある鋤 といわれており,それは事実であろうと考えられる.
しかし,砂の・内部摩擦角φ の値をセン断試験によっ て求めるにしても,乱さない試料のサンプリングは難
しく,また乱した試料についても供試体の作成方法
(供試体の初期構造の違いにより,砂のセン断強度は 異なる㈱といわれている)などの問題があり,砂のセ ン断試験は必ずしも容易ではない.そこで,その測定 が比較的容易な標準貫入試験のN値を利用して砂地 盤の内部摩擦角φ の値を推定するのは,実用的な一 方法であると考えられる.(21)式はFig.2に示すよう
に,これまで提案されている:N一φノ関係式をほぼ包
4.N値を用いた砂地盤の静止土圧の一計算法 2.で述べたように,砂の静止土圧係数Koの算定式
としては,有効応力による内部摩擦角 φノを用いた Ko=f(φノ)の形の式が実用的であり, Jakゾの(7)式あ るいは著者の(11>式がφノの全範囲にわたって矛盾のな い結果を与える.一方,砂地盤の内部摩擦角φ の値 はN値および有効上載圧力Pによって(21>式で求める ことができる.それゆえ,これらの式を組み合わせて 用いれば,N値と有効上載圧力P,したがって, N値 と単位体積重量γtの値のみによって砂地盤の静止土 圧係数Koの値を算定することができ,静止土圧も計
算できる.
中・194蒔・15.
ぺ〜8
黹
9a
缶
S一%〃
N5040302010 0Q1
牛
1 【
わ[ 1【 1 P 1
I l
10
20
30・40 50中宝。)
ノニ1
∠ V
Q2 f3
曹S 曹T 曹U
jo
ノク
!
V
7 m 一一
j。=1−slnφ/
^
/
(π/2)+七an2φ㌧tan 0.7
/
^ 7 一Ko塁
(V2)2+tan2φ +tan中Fig.3 Relation of N−value, internal friction angle乳 φノ・ and coefficient of earth pressure at rest, Ko, of sandy soils
Fig.3はその関係図を示すもので,この図を利用 すれば,あ.る深さにおけるN値から容易にKo値を 求めることができ,その利用価値は大である.
なお,静止土圧を計算する手順はさきの論文(3>・{4)で 述べたのと同じであるが,再録すれば次のとうりであ
る.
(1)ある深さzにおける有効上載圧力pを計算する.
ただし,
・一 o:::∵諜麟卿部
;地下水面より下の部 分(Z≧ZO)
(2)pとN値から内部摩擦角φ を求める((21)式ある いはFig.3).
(3)φノから静止土圧係数Koを求める((7)式あるいは
q1)式,あるいはFig.3).
(4)静止土圧強度Po,。を計算する.
ただし,
一{1::∴離歌分
;地下水面より下の部分 (Z≧ZO)
ここに,γt=土の単位体積重量,γw一水の単位体積 重量,Zo一地下水面の深さである.
ε
5
号
D
Earth pressure(t。n加2)
00 10 20 30
U53
一
1
一 一
Measured
ioutside)
46121620
Measured
iinside)
一 ■
@ 1
CaしCuしa士ed
「
よ
ε
5
号o
Earth pressure (ton/m2)
00 10 20 30
甲 口
U28
一 i 48121620
す
Caしcuしated
一 Measured
i。吐side)
Measured・
iinside)
o
Fig.4 Comparison of㌻he calculaセed values with the measured values
Fig.4は,さきの論文(3)・(4)で引用したのと同じ現 場(福岡市中央区,西日本新聞会館新築工事,鉄筋コ ンクリート製連続地下壁)における土圧測定値(詳細 については文献13),(4)を参照のこと)と本文で提案し ている方法による計算値との比較である.計算値は測 定値のほぼ平均的な値を示しており,本計算法は十分 な精度で現場にも適用できることがわかる.
5.ま と め
標準貫入試験は,わが国でもっとも普及している原 位置の地盤調査法であり,この試験によって得られる N値は基礎地盤関係の工事の設計・施工などに際し広
く利用されているが,必要以上に無批判に利用されす ぎているという反省もある.また,この試験装置の機 構,測定精度,適用土質の限界などいろいろの問題点
も指摘されている。
本文では,N値に関していろいろの批判や問題点が あることは認めたうえで,N値が十分な精度で測定さ れたものとして,これを用いた簡便な静止土圧の一計 算法を提案し,現場の地下壁に対する土圧測定値との 比較により,本提案法の現場への適用性を検証レた.
主要な結論は次のとうりである.
(1)N値と砂地盤の内部摩擦角φノの関係には,N値
を測定した深さ,したがって有効上載圧力pを考慮
N値を用いた砂地盤の静止土圧の一計算法
すべきであり,次式によりφ!の概略値を算定できる.
φ 一・9・4ゾ,黒,+・駅 (21)
(2)N一φノ関係の21)式とゴ静止土圧係数Koを内部摩 擦角φノで表わした」6ky((7)式)あるいは著者((11》
式)の式を組み合わせることにより,N値を用いた簡 便な静止土圧の計算法とその関係図(Fig.3)を提示
した.
最後に,日頃種々ご指導いただいている九州大学山 内豊聡教授,ならびに本学伊勢田哲也教授に感謝致し
ます.
参考文献
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