静岡大学教育学部研究報告 (自然科学篇)第47号 (1997.3)
長時間静止立位における起立性低血圧防止法の開発り)
―腹部 お よび下肢腹部組合 せ随意 的筋収縮 が心拍 出量 に及 ぼす効果 ―
Development of a MethOd for Preventing Orthostatic HypOtension during Prolonged Static standing(2) . 一 Effect Of▼ Oluntary nluscle contractions in the abdOmen and
effect of voluntary ones,coupled within the legs and abdomen,6n cardi∝ output
稲村欣作・ 間野忠明・・ 岩瀬 敏・・0天岸祥光・・・
Kinsaku INAMURA,Tadaaki MANOホ ,Satoshi lwASE・ ホ and Yoshilnitsu AMAGISHI・・ ホ
(1996年10月 7日受理)
Abstract
To develop a method fOr preventing orthOstatic hypotension using vOluntary muscle contraction, 30 healthy young males aged frOm 18 to 23 years were requested to maintain upright standing for 30 Hlin. Front‐ back sway of f00t pressure center (postural sway)by a platfOrm stabilometry, and cardiac parameters by an impedance plethysmography were measured during the experilnents. Control cOndition (A)was static standing with as little movelment as possible. Experilrlental conditions were(B) static standing with repetitive voluntary muscle contractions in the lower abdOmen at the tilning Of a backward shift in postural sway,(C)standing with the repetitive muscle contractions in the nliddle abdOmen at the tilning of a backward shift,(D) standing with the repetitive muscle contractions in the calves and 10wer abdomen at the tinling of a fOrward shift , and(E)standing with the repetitive muscle contractions in the calvos at the tilning Of a forward shift and the ones in the 10wer abdomen at the tilning of a backward shift. ]√ean values Of the cardiac parameters for 20 nlin in the experiinental conditions were compared with the ones in the cOntrol cOndition.
In the conditiOn(B),Inean values of stroke volume in 43% of the subieCtS increased.
The one in 40'6 of the subjects increased in conditiOn (C). The Ones in 50%6 of the SubieCtS increased in the conditiOn (D). The ones in the 6296 of the subiects increased in cOnditiOn(E).Increase ratio of strOke volume in these subieCtS in cOnditiOn(E)was
10.2%。 This increase was statistically significant(p<0.01). Increase rati0 0f cardiac output was ll.8%.
These results may signify that the voluntary muscle cOntraction in cOnditiOn (E)is
* 間野忠明 名古屋大学環境医学研究所・ 教授
** 岩瀬 敏 名古屋大学環境医学研究所・ 助手
***天 岸祥光 静岡大学理学部 0教授
regarded as the most effective method for enhancing the muscle pumping. We concluded that the voluntary muscle contraction in the calves and lower abdomen synchronized with postural sway is expected to be useful as a countermeasure of orthostatic hypotension or syncope in prolonged static standing in humans.
は じめに
二十年近 く前か ら、子供達が朝礼 などで長時間の直立保持ができないなど、起立耐性 を は じ め とす る、子供達 の動物的原始反射機能 の低下が問題 にされて きた゛。文 明 によ る環境 変化 が もた らした この問題 の根本的解決 には、社会全体 の教育 システムと教育 内容 の再検討 が係 わ っ て くると思 われ る。 しか しなが ら、個 々の問題 に対す る対策 も当然必要であ り、 これか らの若 者達 には、自己の動物的原始反射機能の低下 を認識 し、背筋力の低下 や起立耐性の低下 な どに 対 す る対応策 を持つ ことも重要な ことと思われ る。著者 らは、人間が動物 と区別され る歴 史 的 原点であ り運動 や動作 の基礎 とされ る直立姿勢 につ いて、長年 にわ た り探 求 して きたa・4°。 そ の中で、起立耐性 の低下 に対す る対応策 に利用で きる知見 を得 たのでQ・め、その実用化 を検討 す ることに した。著者 らはすでに、静止立位 において心拍 出量 を増加す るための下肢随意 的筋 収縮方法 を検討 し、その第一報 として報告 した9)。 本研究 ではその第二報 と して、腹部 随意 的 筋収縮方法 、および完成型であ る下肢腹部組合せ随意的筋収縮方法 につ いて検討 した結果 を報 告す る。
方 法
1。 理論的背景
ヒ トが臥位か ら起立す ると、重力 による静水圧 のため約500ジ の血液 が身体 の下 方 に移動 す る0。 長時間の静止立位 で は、重力が働 き続 けるのでさ らに血液 の下降が引 き起 こされ、下 肢 と腹部 に静脈血 の貯留 が起 こる。当然 の ことなが ら、体内の恒常性 を維持す るために、 この血 液下降 に対す る補償作用が発現す る。 この補償作用 は、健常人で は交感神経性反応 によ る末 梢 血管 の収縮 によ つてお こなわれ るが、そればか りで はな く、筋 ポンプ作用やホルモ ン分泌 な ど が深 く関与 して いる。健常人で も、 この作用が十分 に働かない場合 には、起立性低血 圧や失 神 を引 き起 こす ことがあるuュ213)。
著者 らは、 この血液下降 と血液貯留を補償す る現象 のひ とつ として、血液貯留部 にお け る末 梢血管 の自動収縮 に由来す る体液量変動1分波 の作用を見 いだ した‖'おユ°。図 1に そのデー タ例 を示す。図 1に 示 した とお り、静止立位姿勢 におけるこの体液量変動 1分波 は、 この姿勢 で見 られ る自然 の身体動揺 (姿勢動揺)の うちの約1分周期 を持つ動揺 に呼応 して上方 に伝播 し、
胸部への静脈還流を促進す る。推定 されたその補 償量 は約6″/cycleであ った。1回の量 は ゎずかであ るが、長時間になるとかな りの量、例えば、1時間 で は360口 と献 血 時 の採 血量 に 近 くな る。長時間の静止立位 において、 この補償作用がかな り有効に働いていることは、スポー ツ大会 の開閉会式で、プ ラカー ド持 ちの人が比較的多 く起立性低血圧を引 き起こす ことか らも 理解で きる。その場合 には、プ ラカー ドを床 に立てて身体の 自然 の動揺 を妨 げ、 この補 償作 用 を減弱 させていることが原因 と推測で きる。
著者 らが、 この作用の作動機序を検討 した結果、身体の重心が前方 に偏綺 した時 に下 腿 ふ く らはぎの筋群 が収縮 して筋 ポ ンプが働 くこと、また、身体重心が後方に偏椅 した時 に腹部 の筋
長時間静:トウ位における起立性低血圧防止法の開発(a
Ume scale 1 min/div time scaie l min/div
m Om
ザ 肝 ナ
10mml
″
It mm
0
front
50 mml
back 悧 岬 脚1帥 ‖Om
raw data S: male, 19 yr
data without backgnotnd DC te-nd and low frequency components (frequency
time scale 1 min,/div
frequency: O.O139-O.O15 Hz (period: 73.1-66.1 s) back
図1.姿勢動揺1分変動と体液量変動1分波のデータ例.
上下の図において、最下段のデータは足圧中心前後動揺 (姿勢動揺)、 その他のデータは身体周囲長の変動 (体液量変動).上図の左は生データ、上体の周囲長は次第に減少 し、身体下部のそれが増加した(血液の貯留).
右は、 トレンドと低周波をフィルターにより除去 したデータ。速い変動の背後に約1分周期の変動が観察でき た。下図は、フィルターにより抽出した 1分 変動と1分波。 1分 波は下腿と大腿及び腹部で発生 し、上方に優 性な伝播を示 した.下腿の1分波は足圧中心の 1分 変動と位相が逆転 し、腹部のそれは同期 していることに注 意 (筋ポンプ作用のタイミング).
S: male, 19 yr
forward shift of posturai swav backward shift of pOstura:swav
― 一 upward shitt of
venous blood
internal pressure of the abdominal cavity (+)
中躍
t臨
島musc:es
contraction of
rheca,r'"'.,.rU ,
ffil
musclepumping (+)
図2.筋ポンプ作用作動機序の模式図.
身体の重心が前方に偏椅した時に下腿バ、くらはぎの筋群が収縮して筋ポンプが働く。身体の重心が後方に偏 椅 した時に腹部の筋群が収縮し、それによる腹腔内圧の上昇がポンプ作用として働 く.その作用により体液 量変動1分波が増幅され、静脈還流を促進する。
群 が収縮 し、それによる腹腔内圧 の上昇 がポ ンプ作用 として働 くことが明 らかにな った。 その 模式図を図2に示す。 これ らの筋収縮 は不随意的でそれほど強 い収縮 で はない。 したが って、
これ らの筋収縮 を この作動機序 の タイ ミングにあわせて随意的に強化すれば、体液量変動 1分 波 の振幅を増幅 し、補償効果を増大 して起立性低血圧を防止で きるはずである。
2.被験者
年齢18〜 23歳の健康 な男子学生30名を対象 と した。腹部 の随意 的筋収縮 に関す る測定 を17名 につ いて行 い、下肢 と腹部双方 で随意的筋収縮 を行 う方法 に関す る測定 を13名について行 った。
3.測定項 目
1)体液量変動
足首か ら胸部乳頭 までの14箇所で、身体周 囲長 を ラバ ース トレンゲ ー ジプ レチ スモ グ ラム 法めによ り測定 した。
2)足圧 中心動揺
姿勢動揺 の指標 と して、スタ トキネ シメ トリー0に より足圧中心の前後動揺 と左右動揺 を測 定 した (パテラ K‐105S)。
3)一回心拍 出量、心拍数、心拍 出量
イ ンピーダ ンスプ レチスモグラム法。(日本光電 AI‐601G)と ポ リグラフ (日本光電 ZB‐
652PS;3点誘導法)にて測定 した。
4)下肢 と体幹 の筋放電
ポ リグラフ (日本光電 AM601‐G)による表面電極法 にて、前歴骨筋 、 ヒラメ筋、大腿直筋、
大腿二頭筋、腹直筋、および脊柱起立筋 の筋放電 を測定 した。測定側 は左側 と した。
5)末梢血圧
長時間静止立位における起立性低血圧防止法の開発0)
首 にか けた包帯で、左手 を心臓 レベルに釣 り下 げ、 フィナプ レス (Ohmeda 2300)にて測 定 した。
4.実験方法
すべての測定器 のセ ンサーを被験者 に装着 した後、5分間の座位を とり、その後 、基準条 件 である条件Aにて30分間の静止立位保持 をさせた。同様 に、次項 に示す実験条件B〜 Gのいず れかを、1条件 または2条件測定 した。各測定 の間 には、約10分間の長座位 による休息 を入 れ た。測定 中に起立性低血圧 の症状 が出た ときには、ただちに実験 を中止 した。
5。 実験条件
1)腹部随意 的筋収縮
(1)な るべ く動かないよ うに して、静止直立姿勢 を保つ (条件A;基準)
121 直立時 に起 こるゆ っくりと した身体 の揺 れに合わせ、身体 の重心 が後 に偏椅 した時 に、下腹部 の筋群 を随意的 に約10〜 20秒間収縮 させ る (条件B)
(3)条件Bと同様 の身体の揺 れに合 わせ、身体 の重心 が後 に偏椅 した時 に、中腹部 の筋 群 を随意的 に約10〜 20秒間収縮 させ る (条件C)
なお、予備実験 と して、身体 の重心 が前 に偏椅 した時、下腹部の筋群を随意 的 に約10〜 20秒 間収縮 させ る条件Fと中腹部 の筋群を収縮 させ る条件Gも、各 1名 づつ測定 した。
2)下肢腹部組合せ随意的筋収縮
(1)な るべ く動かないよ うに して、静止直立姿勢を保つ (条件A;基準)
(2)直立時に起 こるゆ っくりと した身体 の揺 れに合わせ、身体重心 が前 に偏椅 した時 、 下腿ふ くらはぎと下腹部 の筋群 を随意 的に約10〜 20秒間収縮 させ る (条件D)
(3)条件Dと同様 の身体 の揺れに合わせ、身体 の重心が前 に偏椅 した時 に下腿ふ くらは ぎの筋群を、身体 の重心 が後 ろに偏椅 した時 に下腹部 の筋群 を、随意 的 に約10〜 20秒 間収縮 させ る (条件E)
6。 分析方法
デー タはすべてデータ レコーダ (ソ ニーマグネスケール KS‐616Uと エヌエ フ回路設計 ブロッ ク RP‑882)に収録 し、後 日マイクロコンピュータ (エプソ ン PC̲486Hと NEC PC‐9801VX) にて分析 した。本研究 で得 たデータは莫大 な量であるので、今回 は一回拍出量 と心拍数 お よび 心拍 出量 を中心 に して検討す ることに した。
イ ンピーダ ンスプ レチスモグラムの出カ データを200Hzの サ ンプ リングタイムで デ ジタル変 換 しコ ンピュー タに取 り込んだ。その後、Kubicekら の式0によ り、脈拍一 拍毎 の一 回拍 出量 を求 め、同時 に瞬時心拍数 も求 めた。それ らのデータをスプ ライ ン補間 した後、1秒毎 に再 び サ ンプル してデータと した。また、サ ンプル間隔を1秒毎ず らしなが ら、前後30秒間 の一 回拍 出量 の総和 を求 めて心拍 出量 とした。
次 に、測定開始か ら20分間のデータを5分毎 に区切 り、第 1〜第4区間 と した。それ ぞれ の 区間で個人毎 の平均値を求 め、基準条件 と実験条件 との平均差 の検定 (対応 のある tテ ス ト)
を行 い、個人毎 の随意的筋収縮 の効果を判定 した。また、被験者全員の平均値を求 めてt検定 し、最後 に、一 回拍 出量 に効果 のあ った被験者 の平均値を求 め、各条件間の比較 を した。
結 果
被験者 の年齢 、身長 、体重、安静背臥位の血圧、および心拍数 の平均 と標準偏差 を表 1に示 す。本研究 の被験者 は週4日、3時間程度 のバ レーボールを練習 している運動選手 のためか 、 心拍数 がやや少 なか った。
本研究 の条件Aでは、測定 した30名の内5名が、測定 開始20分 前後 で起立性 低血 圧 症状 を 引 き起 こし、その条件 の実験を中止 した。 しか し、本人の同意 の上 で引 き続 き行 ったB〜 Gの
条件 で は、ひ とりも起立性低血圧症状 を引 き起 こさなか った。ノイズ トラブルなどによ り直 ち に分析 で きないデータを除外 した結果、最終的に各条件で得 られた分析可能 デー タ数 は、条件
B;14名、条件C;10名 、条件D;8名、条件E;13名分であ った。 この外 に、腹部 筋 収縮 の 予備実験 と して行 った条件FとGでは、条件Gで一回拍 出量 と心拍 出量 が増加 したが、重心 が 前 に偏椅 した時 に腹部 の筋収縮を行 うのは「 かな り難 しい」 との訴 えがあ ったので、測定数 を
1名に とどめた。
表 1 被験者 の年齢、身長 、体重、安静背臥位 の血圧、および心拍数 の平均 と標準偏差 被検者群 年齢 身長
yθαr c,%
体重 姥
収縮期血圧 拡張期血圧 心拍数 脇直 8 協饉 毯 bp腕
腹 部(N=17)
下肢腹部(N=13)
19。 7」ヒ1。1 174±5。4
20。0量
=0。9 178」=5。0
122」ヒ10。7 66量二8。4 60量二9。8
119」=11.1 66量 =6.8 60量=6.8
68」ヒ6.7 68±6.9
条件B〜 Dの第1区間〜第4区間において、基準条件 と実験条件の平均差の検定か ら判定 し た一回拍出量 と心拍数および心拍出量の増減を表2に示す。判定の基準 は3つ以上の区間で同 じ増減があったものをそれぞれ増加または減少 とした。また、各条件におけるその人数 が各条 件の総人数 に対す る割合 も示 した。
表2の一回拍出量では、条件Cよ りB、 条件Dよ りEにおいて、一回拍出量の増加 した人数 の割合が大 きか った。心拍数では条件Dを除いて心拍数が減少 した人数の割合が大 きか った。
また、心拍出量では一回拍出量 と同様に、条件Cよ りB、 条件Dよ りEにおいて、心拍 出量 の 増加 した人数の割合が大 きか った。他の条件 と比べて条件Eでは、一回拍出量 と心拍出量 の増 加 した人数の割合が最 も大 きかった。
表3〜5に、条件B〜Eそれぞれの被験者全員か ら求めた一回拍出量 と心拍数および心拍 出 量 の平均 と標準偏差を示す。各条件の人数が異なるので、それぞれと比較 した条件Aの値 も示 した。一回拍出量が有意に増加 したのは、表3の条件B第 1区間 と条件E第 4区間だけであ っ た。条件Aの全区間平均値を100%と した増加率 は、前者が2.8%、 後者が5.5%で あ つた。心拍 数 はすべての条件で減少傾向を示 したが、その変化 は一拍以内であるので変化ありとはみなせ なかった。また、心拍出量では条件Cを除いて増加の傾向を示 したが、有意差を示さなかった。
随意的筋収縮 による筋 ポンプ作用は、まず初めに一回拍出量に効果を及ぼすので、その一回 拍出量が増加 した被験者だけか ら、それぞれの平均 と標準偏差を求めた。その結果を、表6〜
8に示す。
長時間静止立位における起立性低血圧防止法の開発{a
表 2 随意 的筋 収縮 によ る一 回拍 出量 と心 拍数 お よ び心 拍 出量 の増減
条件 効果
人数
拍出
0合
心 拍 数 人数 割合
心 拍 出 量 人数 割合
B
C
D
(+)
(士) (一)
(十) (±) (―)
(+)
(士) (―)
6人
4 4
4 3 3
4 0 4
43%
29 29
40 30 30
50 0 50
4人
1
9
2 2 6
4
1
3
4
1
8
299イ 7 64
20 20 60
50 13 38
31 8 62
7人
1
6
2 4 4
4 0 4
8
1
4
50'̀
7 43
20 40 40
50 0 50
62 8 31
(+)
E (± ) (―)
8 62 2 15 3 23
(+)は増加、(±)は変化なし、(―)は減少を示す。
表3 全被験者 か ら求 めた一回拍 出量 の平均 と標準偏差 (れの
条 件 第 1区 間 第2区間 第3区間 第4区間 全 区 間
A 49.8± 9.2
B 50.9± 10.0・
42.4Eヒ9。9 42.1=ヒ7.7
46.5± 5.2 45.8±5.1 A
C
A D
A E
49.0±8.1 50.6±9。9
42.2±9。2 42.0±7.1
45。1±4。0 47.0±4。5
49.5=ヒ8.4 50.2± 9.5
41.6=L9.3 41.8±6.1
44.0± 3.9 46.3=ヒ4.6
49。7± 6.3 51.8± 8.6
50.5± 6.9 49.6± 8.8
42.9±9.1 41.2± 6.6
43.8=L3.9 47.0=ヒ5。9
49.5=L6.0 52.1=ヒ9。2・
49.5=ヒ7.9
50。3±9.5
42.3±9。0 41.8±6.8
44.8」ヒ3.9 46.5=ヒ4.8
49.4=L6.7 51.7」ヒ9。1 49.7」ヒ8.1 49.0±7.3
51.6=L10.6 51.1=L9.0
(*)は 、 P<0.05の 有意差があったことを示す。
表4 全被験者か ら求めた心拍数の平均 と標準偏差 (bpm)
条 件 第 1区 間 第2区間 第3区間 第4区間 全 区 間
A B
A C
A D
A E
80。7±10。1
78.0± 10.6
79.2±10。7 76.5=Lll.6
75。9± 6.2 76.8± 6.0
77.1=ヒ8。3
75。3」ヒ8。1
80。7±9。5 77.4± 10.0
80.2±11.1
78。3=L8.9
77.8±5。8
75。5=ヒ4。2
77.1±6。3
76。7=L7.8
78.2±9。7
79。0±10。3
78.9± 10.5 77.1」ヒ8.9
77.9± 6.0 77.0=L5.3
75。9=ヒ6.9 76.0± 8.0
76.1±9。9 78.0± 9.7
75.4± 13.0
77.4 EL9。3
78。3± 6.0 78.0=L6.8
76.1=ヒ5。1
75.6EL7.8
78.9± 8.3 78.1±9。9
78.4EL10.4 77.3=ヒ9。1
77.5± 5.5 76.8=ヒ5。4
76.6=ヒ5。2
75。9」ヒ7.7
表5 全被験者 か ら求 めた心拍出量 の平均 と標準偏差 (J)
条 件 第 1区 間 第2区間 第3区間 第4区間 全 区 間
A B
A C
A D
A E
3.89=LO.65 3.85=LO.64 3.72=LO,90 3.87± 0.80
3.31± 1.09 3.21=ヒ0.87
3.51=ヒ0.39 3.49± 0.45
3。77±0.53 3.84=ヒ0.68
3.80二LO.81 3.87=LO.80
3.34±1。10 3.25=LO。85
3.48=ヒ0。39 3.53±0。44
3.70±0。47
3.88=ヒ0.62
3.23± 1.13 3.21± 0.80
3.42二LO。37 3.56± 0.48
3.63± 0.62 3.89=ヒ0.59
3.70±0。74 3̀75± 0.77
3.11=LO。94 3.18± 0.84
3.41=LO。34 3.64± 0.61
3。71±0。44
3.88」ヒ0。64
3。79=LO.68 3.83=LO,78
3.25:量1.04 3.21=ヒ0.82
3.45±0。37
3.56=LO。49
3.71± 0.37 3.87=LO.61
一回拍 出量 に増加効果があ った被験者 の平均値で は、当然 の ことなが ら表6のとお り、す べ ての条件 で有意差が得 られた。全区間での増加率 は、条件Cより条件Bの方 が大 きか ったが、
条件Dよ りEの方が小 さか った。それ らの増加率 は、条件B;8.0%、 条件C;7.3%、 条件D;
15.3%、 条件E;10.2%であ つた。表7の心拍数 で は、条件Bで3.4拍、条件Dで2拍の減 少(4.4
%と 2.6%)をみた。表8の心拍 出量 で は、すべての条件 で増加 したが、有意差 は得 られなか っ た。その増加率 は、条件B;0.5%、 条件C;9.7%、 条件D;12.9%、 条件 E;11。8%であつた。
長時間静:Lサ位における起立性低血圧防止法の開発12) 19
表 6 ‑回 拍 出量 に増加 効果 が あ った被験者 にお け る一 回拍 出量 の平 均 と標準偏差 (脇J)
条 件 第 1区 間 第2区間 第3区間 第4区間 全 区 間
A B
A C
A D
A E
52.1=L9。7 55.4±11.1ホ
36.1=ヒ7.5 37.3=L7.9
42.6=L2.5 49,1± 4.3*
35.4=L7.5 37.7=ヒ6.4
42.7=L3.2 48.9±5.3・
34。8±5。7
39。 2二量5。1・
42.3=L4.7 48.8±5。2*
51.31L7.9
54。9± 8.9
35。6=ヒ5.6
38。3=ヒ 6.4・
42.4=L5.1
49。1±7.4・
51.4=量8.8 55.5=Llo。1・
35.5=L6.5 38.1=L6.4・・
42.5±3.8 49.0±5.5・
50.2=ヒ4。5 55.3=ヒ6.4・・ 51.2±9.2 51。1±9。1
56.1±10.6・・ 55.5± 10.2・
49。4±5。8 49。4±4.8 50。7±3。9 51.1±4。4
55。2二L7.4・中
54.7=ヒ 6.2摯̀ 55.5二L6.1・・ 55。8=ヒ 7.0・
(*)と (**)は、それぞれP<0.05と P<0.01の有意差があったことを示す。
表7 ‑回拍出量に増加効果のがあった被験者 における心拍数の平均 と標準偏差 (bp腕)
条 件 第 1区 間 第2区間 第3区間 第4区間 全 区 間
A B
A C
A D
A E
79。1±11.3 79.3± 10。2 76.6± 6.6 73.1± 6.6 73.8=L10.0 72.3=ヒ9.3 74.5=ヒ 9.0 73.8=ヒ 9.8
80。7± 14.6 77.1=量15。5
76.7± 5.0 74.4=L4。2
78.3=L9。1 76.4=L9。7
80.3± 14.4 81.0=L8.5
77.8±5。4
74.5二量3.7
77.5=ヒ6.5 77.4=L9。4
77.6=L12.9 76.8±8。9
76。9±5。9 75.8±4。6
74。9± 7.5 76.31量9.9
72,8=L14。2
76。7=L10。4
77.4±6。9 76.3± 4.9
74.9=L5。7
75。5EL9.6
77.0=ヒ7.5 73.6=ヒ9。3
77.8± 13.3
77。9=L10。1
77.2± 5.6
75。2± 4.2
76.4± 5.3 76.4=L9。4
察 考
健常人 における立位時 の血液下降 に対す る補償作用では、血圧受容器 の負荷減弱 によ り交感 神経活動 が賦活化 して末梢血管が収縮す る。また、交感神経活動 の賦活化 と迷走神経活動 の抑 制 とが あ いま って心 拍数 を増加 す る ことによ り全身血圧 を上昇 させて、静脈還流 を維 持 す
る2ユa2Q"。 この補償作用が不十分な場合 に起 こる起立性低血圧や失神 は、静脈還流 の減少 を引
き金 と して引 き起 こされ る。。 したが って、随意的筋収縮 により筋 ポ ンプ作用 を強化 して静脈 還流 を増加すれば、 この起立性低血圧 や失神を防 ぐことがで きるはずである。
表8 ‑回拍出量に増加効果があった被験者における心拍出量の平均 と標準偏差 (J) 条 件 第 1区 間 第2区間 第3区間 第4区間 全 区 間
A B
A C
A D
A E
4.00=LO.41 3.89± 0.68
2.82こLl.25 2.89± 1.06
3.26±0。34 3.66± 0.54
3.95=LO。41 3.87±0。87
2.77=Ll.20 2.95=LO。84
3.29± 0.39 3.64± 0.56
3.81:ヒ0。66 3.97±0。78
2.59=Ll.00 2.96ELO。76
3.23±0。39 3.70± 0.61
3.60=ヒ0.64 4.16:LO.41
3.74ELO。77 3.87±0。78
2.51=LO。92 2.91=ヒ0.92・
3.26=LO.40 3.71±0。75
3.77=LO。38
4。13=ヒ0.51
3.88=ヒ0.52 3:90±0。77
2.67=Ll.0 2.93=ヒ0。86
3.26± 0.37 3.68± 0.61
3。72=ヒ0。31
4。16=LO.37 3.80=生0.34 3.72=ヒ 0.27
4.16こLO.35・ 4。18=ヒ 0.41・
(*)は、 Pく⑩.05の有意差があったことを示す。
本研究で は、起立性低血圧防止法開発 のための生理学的検討 として、随意的筋収縮 によ る筋 ポ ンプ作用が静脈還流量 に及 ぼす効果 を検討 した。静脈還流量 の指標 と して は、心臓 の流入量 と流 出量 とが等 しいので1分間の心拍 出量 を使 うことがで きる。 したが って、本研究 にお け る 最終的 な筋 ポ ンプ作用の効果 は、心拍 出量 の増減 によつて評価 した。 しか し、筋 ポ ンプ作 用 に よる1拍毎 の直接 の還流量変化 は一回拍出量 に現われるので、一回拍 出量 の効果か らも検討 し た。
実用的な起立性低血圧防止法 として は、誰 にで も簡単 にで きることが必要 であ り、筋収縮 の 難易度 が問題 になる。また、難易度 に も係わ るが、確実 に効果 が得 られ る方法である こと も必 要 であるので、効果 の出現率か らも検討 した。
1.筋収縮 の難易度 、および一回拍出量 と心拍 出量 における増加効果 の出現率
腹部筋収縮予備実験 の条件Fと Gでは、重心が前 に偏椅 した時 に腹部 の筋収縮 を行 うの は甚 だ難 しいとの訴 えがあ った。筋収縮 の実施 の困難度が高 い方法 は、誰 にで も確実 に適用 で き る とい う観点 で好 ま しくな く、採用を取 り止 めた。腹部筋収縮 の効果で は、効果 の出 る割 合 が条 件Cよ りBの方 が高 く、被験者全体 の一回拍 出量 と心拍 出量 もわずかに増加 した。また、 中腹 部 (条件C)の筋収縮 は腹部 の「 何処を収縮 させているのか分か らな くな る」 とい うとい う訴 え と、「 や りに くい」 とい う訴 えがあ った。以上 の ことか らみて下腹部筋収縮 (条件B)が優 れて いると思われ る。
下肢筋収縮 と腹部筋収縮 の複合効果 で は、条件Eの方が条件Dよ り効果 の出 る割合 が高 か っ た。被験者全体 の一回拍 出量 と心拍 出量 の増加率 (それぞれ、条件D;3.8%と E;4.6%、 条 件D;3.1%と E;4。3%)で も、条件Eの方 が高か った。下肢筋収縮 と腹部 筋収縮 を体 液量 変
長時間静:L†位における起立性低血圧防止法の開発(2)
動 1分波 の筋 ポ ンプ作動機序 に同期 させて行 う条件Eが、条件Dよ り優 れて いると思 われ る。
また条件Dでは、身体 の重心が前 に偏椅 した時 に腹部 の筋収縮 を行 うためか、「 や りに くい」
とい う訴 え もあ った。
筋電図 と足圧中心動揺 のモニターか ら観察 したところでは、一回拍出量の増加効果が出なか っ た被験者 の多 くは、筋収縮 の タイ ミングが姿勢動揺 の1分波 と同期せず、筋 ポ ンプの タイ ミン グが体液量変動 1分波 の タイ ミングと合わなか った もの と思 われ る。
以上、筋収縮 の難易度、および一回拍出量 と心拍 出量 における増加効果 の出現率 の検 討結 果 か らは、起立性低血圧防止法 と して、腹部筋収縮 で は下腹部 (条件B)の収縮 を採 用 す べ きと 思 われ る。また、完成型 の下肢腹部組合せ筋収縮 で は、条件Eを採用すべ きと考 え られ る。 こ の ことは、被験者全員 における一回拍出量 と心拍 出量 の増加効果か らも支持 で きる。
本研究 で は、基準条件 (条件A)にて30名の内、5名が起立性低血圧症状 を引 き起 こ した。
他 の実験条件B〜Gでは、ひとりも起立性低血圧症状を引 き起 こさなか った。この観点 か らは どの条件 も効果 があ りといえ るが、条件Cの全被験者平均値で、一回拍 出量 および心拍 出量 が 増加 しなか った ことを考慮す ると、心理的影響 も実験 の効果 に含 まれて いるか もしれない。 そ れを排除す ることはで きないが、生理学 の理論か らみて妥 当であ り、誰 にで も確実 に適 用 で き る起立性低血圧 防止法を開発す ることが重要である。
2.随意的筋収縮 による筋ポ ンプ作用が一回拍出量 と心拍数および心拍 出量 に及ぼす効果 随意的筋収縮 による筋 ポ ンプ作用 は、まず初 めに一回拍 出量 に効果を及 ぼす。最終的 な効果 を受 ける心拍 出量 は、一回拍出量 と心拍数の積で決 まる。。 したが って、一 回拍 出量 が増加 し た被験者 だ けか ら求 めたそれぞれの平均 と標準偏差 によ り、筋 ポンプの効果 の行方を知 ること がで きる。
一回拍 出量 が増加 した被験者の平均値では、当然 の ことなが らすべての条件で、一回拍 出量 に有意 な増加 が得 られた。全区間での増加率 は、条件B;8.0%、 条件C;7.3%、 条件 D;15。3
%、 条件E;10.2%であ った。筋 ポ ンプ作用の直接 の効果 は、条件Bと Cがほぼ同等 、条 件D
はEよりやや効果があるとみ ることがで きる。表8の心拍 出量 はすべての条件で増加 の傾 向 を 示 したが、有意 な増加 を得 ることはで きなか った。心拍 出量 の増加率 は、条件B;0.5%、 条件 C;9。7%、 条件D;12.9%、 条件E;11.8%であ った。筋 ポ ンプ作用 の最終 的 な効果 で は、条 件Bよ りCの方 が効果があ り、条件Dと Eはほぼ同等 であ ると考 え ることがで きる。静脈還流 を増加す るとい う観点か らは、条件Cと Dを採用すべ きとい うことにな るが、前項 の検 討結果
とは逆 の結果 となった。
3.心拍数の増減が心拍出量 に及ぼす効果
前項 にお ける一回拍出量 と心拍 出量 の効果 の違 いには、心拍数 の変化 が係 わ って いる。表 7
において、条件Bの心拍数 が3拍ほどで はあるが減少 したため、条件Bの心 拍 出量 が減 少 し、
心拍 出量 における条件Cの効果がBよ り上回 った もの と思 われ る。同様 に、条件Dにお け る心 拍数 の減少 は心拍出量 の減少を引 き起 こして、条件Dの心拍 出量 を条件Eと同等 レベルまで引
き下 げた もの と思われ る。
図3に、筋 ポ ンプ作用が一回拍出量 と心拍数 および心拍 出量 に及 ぼす効果 の作動機序 を示 し た。筋 ポ ンプ作用 の効果 は、心拍数の増減 によ り二つの相反す る効果を心拍出量 に もた らす。
そのひ とつ は、筋 ポ ンプ作用 による一回拍出量 の増加 とともに、心拍数 が増加す る場合 で あ る (図 3、 括弧 な し番号 の経路)。 随意的筋収縮 が運動 の効果 として働 けば、交感神経活動 が賦活 化 されて心拍数 も増加す る。 この場合の心拍出量 に対す る筋 ポ ンプ作用の効果 は増加効果 とな る。また、心拍数が増加 しな くとも減少 しなければ、増加効果 となる。 ところが、一 回拍 出量 の増加が大 きくて血圧受容器の域値 に達す る場合 には、左心房容積受容器をは じめとす る低圧 系容積受容器が働 くので、心臓血管中枢 を介 した交感神経活動 の抑制が起 こり心拍数 が減少 す る (図 3、 括弧付 き番号 の経路)②。その結果、心拍 出量 に対す る筋 ポ ンプ作用 の効果 は減少効 果 となる。
本研究 で は前者 の効果をね らい としたのであるが、先 に述べたとお り、条件Bと Dにお いて 後者 の減少効果 が起 きた もの と思われ る。また、条件Eの心拍数平均値 の変化 は、計算 の上 で
cardiovascular center
│
sympathetic nerve activity
(5)▼
afferent input
olI
SV: stroke volume HR: heart rate CO: cardiac outPut
fi:‖ng pressure
2A421A
Vヽ
1receptors
| : increase
o: no change
l: decrease
4A● CO
(6)▼
volume
rrl I
sl
O'Y
年
muscle pumPing
r I crll
中‖ H■ 。 威面 。
n図3。 一 回拍 出量 と心拍数及び心拍 出量 に対する筋ポ ンプ作用の作動機序.
()な し番号 で示 した経路 は、中枢 を介 さず に心拍出量を増加する。随意的筋収縮が運動 の効 果 と して働 けば、交感神経が賦活化 されて心拍数 も増加する。()付の番号 で示 した経 路 は、
左心房容積受容器をは じめ とする低圧系容積受容器が働 き、心臓血管中枢を介 した交感神経 活 動 の抑制が起 こ り心拍数が減少する。結果的に心拍出量 に対 しては抑制効果 となる。
長時間静止立位 における起立性低血圧防止法の開発(2)
はゼ ロとな っているが、条件Eの心拍 出量変化 に も同様 の効果 が含 まれていることもありうる。
そ こで、一回拍 出量 が増加 した被験者 について心拍数 の減少 した被験者が含 まれ る割合を調 べ た ところ、条件Bと Eの割合が高か った (条件B;67%、 条件C;50%、 条件D;50%、 条 件E;63%)。 したが って、完成型である条件Eの心拍 出量増加 効果 に も心拍数減 少 の効果 が 影響 しているので、本来 は、条件Dと同等 の効果があるのではないか と考 え ることがで きる。
条件Eでは、随意的筋収縮 の収縮強度が強過 ぎたためにかえ って心拍数 が減少 し、その結果 、 最大限 に心拍 出量が増加 しなか った もの と思われ る。
4.本起立性低血圧防止法 における望 ま しい随意的筋収縮方法
すで に著者 らは、本起立性低血圧防止法 における下肢の随意的筋収縮方法 について検討 し、
増加効果 の出現率 は少 ないが、身体 の重心が前方 に偏椅 したときに下腿後側 の筋群を収縮 させ る方法 が望 ま しいとの結論 を得 たり。
腹部 の筋収縮 の結果で は、筋 ポ ンプ作用の心拍 出量への増加効果 は条件Bと Cの間で ほぼ同
等 と思 われた。筋収縮 の難易度 と効果 の出現率か らは、条件Bが望ま しいと思われた。したが っ て、腹部 だけの筋収縮で起立性低血圧を防止 しよ うとす るな らば、下腹部 の収縮 (条件B)が
望 ま しいと思われ る。
下肢腹部組合せ筋収縮 では、条件Dにおける心拍 出量 の増加効果が大 きか ったが、筋収縮 の 難易度 に問題 があ り、効果 の出現率 も低か った。条件Eは、心拍 出量 の増加効果 が条件Dよ り やや少 ないが、難易度 に も問題 がな くて効果 の出現率 も高か った。条件Eにお いて、筋 収縮 強 度 が強す ぎたためかえ って心拍出量 の増加効果を減弱 して しまったことを考慮す ると、条件E
を起立性低血圧防止法 に採用 した方が良 さそ うである。ただ し、そのためには条件Eにお け る 最適 な筋収縮強度を検索す ることが必要である。望 ま しい筋収縮 の方法 として選 び出され た条 件Bと Eは、どち らも、体液量変動 1分波 の作動機序 に同期 させて筋収縮 を行 う方法であ り、
著者 らが立 てた理論 に適合 している。
5。 活用の可能性
本研究 で開発 した起立性低血圧防止法 は、未完成 なが らもかな り役立つ ことが明 らかである。
もちろん、本方法 を完成 させ ることが急務であるが、教育現場やその他、あ らゆる方面 で普及 を始 めて良 いと考 え る。予備実験の段階ではあったが、平成3年度全国高等学校総合体育大 会 のバ レーボール競技開会式 にて、下腿ふ くらはぎと下腹部の筋収縮を使用 した方法を、プラカー ド持 ちの生徒 に実行 させたところ、起立性低血圧の発生を11名 (前日予行演習、本 方法 を使 用 せず)か ら3名 (当 日、本方法使用)に減少す ることがで きた。今後 、 この方法 が一 般 に普及 で きれば、体育学 の成果 として教育現場 や日常生活 において大 きな貢献 を果たす ことになろう。
また一方、 この方法が完成すれば、健康人のみな らず軽症の起立性低血圧 で悩む人 に も役立 て ることがで きると思われ る。早急 に残 された検討課題を解明 し、臨床医学的に も応用が可能 か ど うか検討す る必要があ ると思われ る。
結 論
第一報 の結果 とその後 の結果 も含 めて結論す ると、体液量変動1分波 と姿勢動揺 とのカ ップ
リングを利用 した随意的筋収縮 による起立性低血圧防止法 には、以下 の三つの方法が適 当 と考 え られ る。
1)直立時 に起 こるゆ っ くりとした身体の揺 れに合わせ、身体 の重心 が前 に偏椅 した時 に、
下腿ふ くらはぎの筋群 を随意的 に約10〜 20秒間収縮 させ る。
2)直立時 に起 こるゆ っくりとした身体 の揺 れに合わせ、身体 の重心 が後 に偏椅 した時 に、
下腹部 の筋群 を随意的 に約10〜 20秒間収縮 させ る。
3)直立時 に起 こるゆ っくりとした身体 の揺れに合わせ、身体 の重心が前 に偏綺 した時 に下 腿ふ くらはぎの筋群 を、身体 の重心が後 に偏椅 した時 に下腹部 の筋群 を、随意的 に約10
〜20秒間収縮 させ る。
おそ らく、 これ らの随意的筋収縮 のどれを使用 して も効果が全 くない とい うことはあ りえ な い と予想 で きる。 しか し、下腿ふ くらはぎ、あるいは下腹部 の収縮 だけで は大 きな効 果 は期 待 で きないであろ う。両者 を組み合わせた方法 が有効 と思われ る。
謝 辞
本研究 は、平成5〜 6年度文部省科学研究費補助金・ 一 般研究 (C)、 課題 番号 :05680083 による補助金 の交付 を受 けた。 ここに感謝の意を表 します。
文 献
1)正木健雄 :子 どもの体力現状 と問題点 (抄録)、 日本体育学 会第二十 回記念大 会号 、730,
1979。
2)Inamura,K.: ]Re‐ assessment of the lmethod of analysis on Electrogravitiograph and the one foot testo Agressologie 24: 107‐ 108, 1983。
3)稲村欣作 、河合 学 、青木賢一、天岸祥光、間野忠明、大原孝吉 :ス タ ビログ ラムの低 周 波成分 につ いて 一約 1分前後 の周期 を もつ周波数成分 と機械受容感覚情報 との係わ リー、
姿勢研究 6: 1‐11,1986.
4)岩瀬 敏 、斉藤 満、間野忠明、稲村欣作、三輪武次、山崎良比古 :起立性失 神 の交感 神 経性機序 について、名古屋大学環境医学研究所年報 37:42¨47,1986.
5)稲村欣作、横山義昭、中野美恵子、河合 学、間野忠明、岩瀬 敏 :老 年者 にお け る青 年 期 の運動競技経験 とその後の運動習慣 による起立耐性 の促進、耳鼻 と臨床、3Ⅸ2):792‐ 798, 1986.
6)Inamura,K。 ,M[ano,T.,Iwase,S。 ,Amagishi, Y.and Aoki, K.: Low frequency components of the body's center of gravity and blood circulation. Frontiers Med。
BiOl. Engng。 3: 139¨ 144, 1991.
7)稲村欣作、間野忠明、岩瀬 敏、天岸祥光、青木賢一 :ヒ トの静止立位時における身体動 揺の1分波 と下腿筋 ポンプ作用、姿勢研究 11:39‐50,1991。
8)Inamura,K.,Mano,T。,Iwase,S。,Amagishi,Y.and Aoki,K.:Fluctuation of body sway which has about l minute period and muscle pumping in the lower legs during static standing in humans.In: 」Ch濯7りF: Proc.Into Confero Noise in Physical