44
金沢大学十全医学会雑誌 第
84巻 第
1号
44‑59 (1975)枯草 菌 にお け る
DNA複 製 開始 反 応 の遺伝生化学 的研 究
金沢 大学 が ん研 究所 生 物 物 理 部 ′ (主任 :吉川 寛 教授 )
犬 塚 紀 子
(昭和
49年
10月
6日受付 )
細 菌 の染色体 は,連続 した
2本鎖 の
DNAか ら な り.細胞 の増殖 に と もな って複 製 され娘 細 胞 に分配 さ れて い く.細 菌 が環境 の変化 に適 応 して生 きて い く為 に は
DNA合成 にお いて も,環 境 に応 ず る 横 桟 が な ければ いけない .
即 ち .
DNA合成 と世代 時 間 ,細 胞 分 裂 の 間 に は 密接 な関係 が必要 で あ る. これ らの問 の制 御 機構 につ いて は ,これ まで い くつ か の点 が 明 らか に な っ て い る.
1.DNA
複製 の継 続 反 応 に要 す る時 間 は一 定 で あ る
l).2
.細 胞 当 りの
DNA合成 速 度 は複 製 開 始 の 頻 度 によ って決定 され る2 ) 〜4 )
3
.既 に始 ま った複 製 の継 続 に は蛋 白合 成 を必 要 と しないが複製 の開始 に蛋 白合成 を必 要 とす る
5)6).4
.複製 開始 の頻度 は世代 時 間 に依 存 す る (に 等 し い
)7).5
.細胞 分裂 は複製 の継 続 反 応 の終 了 後 一 定 時 間経 過 して起 る7 )
.この様 に
DNA複製 開始 反 応 は
DNA合 成 の 調 節 に重要 な役割 を果 た して い るばか りで な く,細 胞 増 殖 の調 節 に も密接 に関与 して い る .
複製 開始 反応 の素過 程 とそ れ に関係 す る因 子 につ い て は. これ まで に遺伝 的方 法 及 び生 化 学 的方 法 によ っ て .徐 々に解明 されつつ あ る.大 腸 菌 にお いて は複 製 開始 に関与 す る遺伝 因子 と して
3種 頬 が存 在 す る事 が 明 らか にな って い る
8)9).また
Larkらは ア ミノ酸 飢 餓 の方 法 で
DNA複 製 を同調 させ そ の 後 の 複 製 開 始 に及 ぼす阻害剤 の効 果 か ら
2種 頬 の蛋 白質
10)と
RNAl l )の関与 を明 らか に して い る.
複製 開始反応 その もの の解 析 と して は
,¢×174を 用 いて ,よ り実体 解 明 に近 づ きっ つ あ る
.¢×174で ば
in vitroで複 製 開始 を行 わせ る事 が で き
12', さ らにその系 を用 いて ,複製 開始 に関 与 す る遺 伝 子産 物 の
complementationが可 能 とな った】
:i ) . 小 レ プ リ
コ ンの方 が よ り単 純 で ,開始 反 応 に含 まれ る因子 の機 能 を知 るに は有利 で あ ろ う. しか し
DNA複 製 の 細 胞増殖 や細胞 分裂 とのか か わ りあ い等 の問題 は細 胞 に 固有 の問題 で あ り.細 菌 を用 いて しか解 明 で き な い .
また
DNA複製 の素過 程 で あ る開始 反 応 . 継 続 反 応 .完了反応 はいづ れ も細 胞 表 層 と密 接 に関 係 して い る.複製点 ,複製 開始点 ,複製 終 点 が細 胞 表 層 に結合 して い る事実
l川5)が あ るばか り で な く .
Helmstetterらは複製 開始 に細 胞表層 の合成 が必 要 で あ る事 を明 ら か に LJ G ) .また
Ryterらも複 製 開始 と局 部 的 な表層 合成 が密接 に関係 して い る事 を報 告 して い る
17).細 胞 膜 を場 と して の反応 で あ り制 御 で あ る とい う意 味 で も 細 菌 の系 で の追求 が必要 で あ ろ う.
筆者 は遺伝 的構 造
18)と複 製 様 式
1g
)が比較 的 よ く分 っ て いて、 また形質 転換 法
l'H
)の可 能 な枯 草 菌 を用 い て 複 製 開始 反応 の遺伝 的生 化学 的解 析 を 行 っ た . そ の 結 果 ,複製 開始 に関与 す る
2‑3種 板 の因子 の 存 在 と
RNA
合成 の必要性 が明 らか に な った . これ ら譜 因 子 の合成 と作 用 の時 間的経 過 につ い て も検 討 す る.
実験材 料 およ び方 法
Ⅰ.strains
Bacillussubtilt'sl68(LTT) genotype:leu.thy.trL)C2
tsMH27.ts6057.PEAS‑11
は
168(LTT)か ら ニ トロソ グアニ ジン処理
21)に よ り得 られ た
.168(TT)は
168(LTT)か ら
,MH27(TT)6057(TT)は ,
MH27,6057
か ら形質転 換法
‑W
)よ り
Ieu+トラ ン ス ホ ーマ ン トと して単離 した .
BacillussubtiLis168(MU8U5Ul6U2) genotype:leu8.metB5.PUTA16,hisA
Ⅱ.media
1.Low phosphatePenassay(LP) Penassay (DifcoAntibioticMedium
3) の
phosphateを
10:iMに下 げ . そ の代 りに
Tris‑HCl Geneticand biochemicalstudy on initiation of DNA replication inBaci
llus subtilis.Noriko lnuzuka,Department of Biophisics (Director :Prof
.H.Yos‑ hikawa),Ca,ncer Research Institute,
Kanazawa University.枯 草 菌 に お け る
DNA複 製 開 始反 応 の道 元 生 化 学 的研 究
buffer(pH 7.3)
を最 終 濃 度
0.1M加 え て 調 合 し た .
2.BHI
プ レー ト :
BHI broth (Difco Brain Heart Infusion 18.5g/1 H2 0)
11に
Difco Bacto Agar20gを加 え た .
3.Cg22) (spizizen's MinimalMedium)
に
20
種 類 の ア ミノ酸 を そ れ ぞ れ
25〟g/ml加 え た 培 地
4.C+GMII2:i)
Ⅲ.buffers
l.1×SSC:0.15M NaC
l
,0.015M Na31
Cit‑r.ate
2.TMK buffer(20mM Tris‑HCl(pH7.1・), 10mM MgC12.0.1M KC
l )
Ⅳ .試薬
1.5
‑ブ ロモ デ オ キ シ ウ リ ジ ン
(5‑BudR)Sigma製
2.32p
‑正 リ ン酸 第 一 化 学 薬 品 株 式 会 社 製
(car‑ rier free)3.3H
‑チ ミ ジ ン
(3H‑TdR)New、England Nuclear (18.5Ci/mmol )
4
. ク ロ ラ ム フ ェニ コ ー ル
(CM) Fark,D,avis& Co.
5
. リフ ァ ン ピ シ ン
(Rif)Lepetet Co.6.β
‑フ ェ ネ チ ル ア ル コー ル
(P、EA)半井
V.
実 験 方 法
1.3H‑TdR
の取 り込 み に よ る
DNA合 成 量 の 測 定 法
:lH‑TdR(0.5FLCi/5〟gTdR/m
l )を 含 む
LP培 地 中 で バ ク テリアを増 殖 させ .適 時 に採 取 した
0.5mlに
KOHを最 終 濃 度
1Nに な る よ う に加 え
,37oCで一 晩 処 理 し た の ち
,IN‑HClで 中 和 した . こ れ に
10% cold T CA(トリク ロル酢 酸 ) を加 え .
TCA不 溶 性 の 分 画 を
Glass fiber filter (Whatman
製
.GF/C)上に集 め , トル エ ン
・PPOシ ンチ レー ター
(PPO5g/1 トル エ ン) を用 い て . そ の 放 射 能 活 性 を 測 定 した .
2
.形 質 転 換 法
20)3.DNA
の 抽 出法
D vegitativecel
lか らの 場 合
培 養 液
10‑20mlに
IM NaN3を 最 終 濃 度
20mMに 加 え 急 速 に氷 冷 した .低 速 遠 心 で 菌 体 を 集 め た 後 ,
Saito & Miura
の
pH9.07 ェフ ー ル法 2 4 ) に よ り
DNA
を抽 出 し.
0.2mlの
1×SSCに溶 解 さ せ . 形 質 転 換 の実 験 に用 い た .
2)
胞 子 か らの場 合
Takahashi
の方 法
25)に よ っ た .
4
.遺 伝 子 頻 度 測 定 法
(MFA)19)45
purA/metB
比 を測 定 す る に は
,168(MU8U 5U16U2) (1eu8 metBpurÅ hjsA) を受 容 菌 と して サ ンプ ル
DNA.お よ び
168LTT胞 子
DNAを用 い て 形 質 転 換 を行 った . サ ンプ ル
DNAを 用 い て 得 られ た
purA+ transformantsと
metB+transformants
の比 を胞 子
DNAを 用 い て 得 ら れ た
purA+/metB十比 で 割 って 補 正 した .
5.purÅ/metB
比 か ら
percent initiationの 換 算 法 .
あ る培 養 条 件 下 で は .す べ て の 細 胞 は
DNA複 製 を終 了 した状 態 で 停 って い る . この 条 件 を 変 え た 時 , 新 た に起 る複 製 の 再 開 始 の 頻 度 を 測 定 す る 方 法 と し て .先 ず .上 述 の よ うに して 求 め た サ ンプ ル
DNAの
purA/metBの値 を胞 子
DNAの 同 じ比 で 割 り補 正 値 を 出 す .っ い で この 値 が
1の 場 合 を
per cent initiation…0%と し, ま た
1か ら
2の 間 は
(Ⅹ‑1)×100
(% ) と した .
2以 上 の 場 合 は
Ⅹ/2×100(% ) と して 求 め た . 但 し
,X は測 定 す る サ ン プ ル
DNA
の
purA/metB比 を 表 わ す .
6
.複 製 開 始 能 力 の測 定 法
5
と同 様 に あ る培 養 条 件 下 で
DNA複 製 を 終 了 し た状 態 で 停 止 させ た後 , こ の 条 件 を 変 え た 時 複 製 の再 開 始 が起 るが , そ の 時 複 製 の 継 続 反 応 は 阻 害 しな い で 開 始 の み 阻 害 す る処 理 を して ,処 理 を始 め た 時 点 まで に形 成 され て い た複 製 再 開 始 能 力 を 測 る に は
1) 再 開 始 後 の
purA/metB比 の 経 時 変 化 か ら
maximum
の
purA/metB比 を求 め て .
5の 方 法 で
percentinitiationと して 算 出 す る か , ま た は
2)
再 開 始 後 の
:iH‑TdRの 取 込 み 量 の 最 大 増 加 分 (% ) を
percentinitiationと して 測 定 した .
7.CsC
l密 度 勾 配 遠 心 法
26)5‑BudR
で
density labelした
DNAを
0.5mlの
1×SSCに溶 か し, そ れ に
1×SSCに 溶 か し た
cs Clを加 え て 最 終 密 度 を
1.70,全 容 量 を
4.7mlと し た .
Spinco SW 50.1 rotorで
23oCで
35,000rp m.60時 間 遠 心 した .遠 心 後 ,遠 心 管 の 底 か ら
3滴 づ つ 分 画 し.各 分 画 を
0.3mlの
1×SSCで 希 釈 した . こ の うち
,0.1mlを分 取 し.
DNAの 放 射 能 活 性 を 測 定 し, ま た
0.05mlを用 い て 各 遺 伝 子 マ ー カ ー に 対 す
る形 質 転 換 活 性 を 測 定 した .
実 験 結 果
Ⅰ.DNA
複 製 開 始 変 異 株 の 単 搬
DNA
複 製 の 開 始 反 応 を遺 伝 的 . 生 化 学 的 に 解 析
/す るた め に
,DNA複 製 の 開 始 に関 す る 変 異 株 を 単
46
犬
離 す ることを試 みた .この種 の変異 株 は致 死 的 であ る ので条件変異株 を単離 しなければ な らな い .条件 の設 定 にあた って は.複製 開始 に関与 す る蛋 白質 の変異 を 想定 して高温感受性変異株 を ,また複製 開始 に関与 す る細胞膜 の変異 を想定 してβ ‑ フ ェネチ ル アル コ ー ル
(PEA)感受性変異株 を単離 した .
PEAは細胞 膜 に 特異 的 に作用 し透過性 を変化 させ ると同時 に適 当 な濃 度 で は細胞 の高分子生合成 の中 で
DNA合 成 の み が 特異 的 に阻害 され ることが大腸 菌 で 報告 さ れ て い る 2 7 ) .これ は細胞膜 の
DNA合成 に対 す る特異 的 機 能 を解析 す る上 に有用 な現象 で あ る.
単離方法 と して は,ニ トロソ グアニ ジン処 理 した細 胞集団か ら,高温感受性変異株 の場合 に は .
30oCで 生 えて
48oCで生 え ない コロニーを選択 し ,
PEA感 受性変異株 の場合 には
,0.3%PEAを含 む
BHIに 生 えない コロニーを選択 ,単離 した .
(
○‑○
)Sl!Unと a tN
塚
Ⅱ.DNA
複製開始 変異株の 同定
この よ うに して得 られた高温感受性 変異 株 の中か ら
DNA複製開始変異株 を ,次 の
2つ の方 法 ,
1.ア イソ トープによる方法
,2.遺伝子頻 度測 定法 によ り 同定 した.
1
.アイ ソ トープによ る方法 .
細胞 を
3H‑チ ミジンを含 んだ
LP培地 で
30oCで 培 養 し,
Klettが
15‑20に達 した時
.48oCに移 して培養 を続 けた .各時間 にサ ンプ リング して . ・ l i H ‑チ ミ ジ ン の
DNAへの取 り込 み量 を測定 して .
DNA合 成 の 変化 を調 べた .その結果 は ,高温 で ,1
)DNA合 成 が阻害 されない もの .
2)ただ ちに
DNA合 成 が ほ とん ど停止 す るもの (残存 合成量
0‑20%).3)DN A合成 が選択 的 に阻害 され る もの ( 残 存 合成量
40‑ 150%)に分類 され た .一方
DNA複製 開始 が 高 温 で 阻害 された場合
,LP培地 で は理論 的 に は
86%の 増 加
図
1 ts6057と
tsMH27の増 殖 と
DNA合 成
MH27
50lO
I
30●
48.▲暮86.5%3 2ll25
l
▼
▼一 1
01
2Tl mo (hr)
(3,OP)∈d=○!IBJOdJ呈O
芦‑ エ 巾
ー1 0
1 2
Ti m e( h r )
細 菌 を
3H・Td
R(specificactivity:0.5pCi/5pgTd
R/mlを含 ん
だ
LP培 地 で
30℃ で培 養 し,
Klett が
15‑20に達 した時, 培 養 液 を
48℃ に移 して
培養 を続 け た 温 度 を シフ トす る前 と後 , 適 時 に
0.5mlの培養 液 を採 取 して放 射 能
活 性 を測 定 し た。 また 同 時 に
10‑20mlの 培 養 液 を採 取 して
DNAを抽 出 し, 形
質転 換 法 に よ っ て
purA/metB比
を測 定 した。
○‑ ○ :濁 度 , ●‑
● :DNAに取 込 まれ た
3H・Td
R の カ ウ ン ト
△‑ △ :pur
枯草菌における
DNA複製開始反応 の遺元生化学 的研究
が見込 まれるので ,目的 とす る複製 開始 変異 株 は上 の 分類 の
3)に属 してい ると思 われ る.実 際 に ,高温で
80‑100%が H‑チ ミジンの取込 み量 の 増 加 が 見 られ る変異株が
4株単離 された .図
1は そ の う ち の
2株
(tsMH27と
ts6057)の菌 の増殖
(klett) と
DN A合成 の変化 を示す .両株 ともに .高温 で
80‑90%の
DNAの増加 が観察 され ,複製 開始変異 株 の 場 合 の理論値 と一致 した.
しか し
・1H‑TdRの取込 み量 だけで は .複 製 開 始 の 変異株か または複製 の継続反応 の変異株 かの区別 はで きないので ,次 に,それ らの変異株 につ いて高温 に移 したのちの複製様式 の変化 を追求 した .
2
.遺伝子頻度測定法
19).枯草菌では複製起点 .複製中点 お よび終点 の各 々に 近 い位置にあ る遺伝子 が同定 されてお り
柑).細胞 内 の それ ら遺伝子 の頻度 は抽 出 した
DNAによ る形 質 転
47
換活性 を測定 して容易 に求 め ることがで きる.これ ら 連伝子頻度 の梱対比 ( 起点/終点
≡purA/metB,近 点/中点
≡purA/hisA,中点 /終点
≡hisA/metB)の値 は
DNA抽 出時 の細胞 の
DNA複 製 様 式 を 直 接反映 している.変異株 の高温 に移 す前 と後 の細胞 か ら
DNAを抽出 し,形質転換法 によ り.
purÅ/me.t Bの比 を計測す る.この比 を両遺伝子 を 同 じ頻 度 含 む親株
168LTTの胞子
DNAの
purA/metBの 比 で補正す る事 によ って試料
DNAにお け る
purA/metB
の比が算定 で きる.変異株 を
30oCで
LP中で 培 養 した時
,purÅ/metB比 は約
4で , こ の こ と は染 色体当 り
3個 の複製点 を持 っ事 を表 わ して い る
.48oCに移 した後す ぐに
purA/metB比 は減少 し始 め
1時間以 内に
1に近づ いた ( 図
1).この結果 は .
48oCで は複製開始反応 のみが直 ちに停止 し,複製 は正常 に 終点 まで進行セ きる事 を示 して い る と思 わ れ る. . 即
図
2 168(LTT)野性 株 と
(PEAs‑ll)の増 殖 と
DNA合 成
pE㌔ ̲110
12 3
Time(hr)
0
TI1
m●くhr)2 3
48
犬
ち .遺伝子 頻度測 定 に よ る結 果 は先 に述 べ た
‥3H‑チミジン の取込 み の結 果 とよ く一 致 し,突 然 変 異 株
ts 6057と
tsMH27は染色体複 製 開始 に必 須 の 機 能 が 特異 的 に高温感受 性 に変異 して い る もの と思 わ れ る .
PEA
感受性 変異株 につ いて も同様 の方 法 に よ って 同定 した .野性 株 で は図
2に示 す様 に
0.3%PEAに よ って菌 の増殖 も
DNA合 成 も同時 に 阻 害 さ れ る .
DNA
合成 のみ を選択 的 に阻害 す る濃 度 は 見 っ か ら なか った .そ こで
0.2%PEAに対 し感受 性 の 変 異 株 を単離 したが ,その
l株
(PEAs‑ll) は
0.2%PEA添 加後 .
DNAは
80‑100%増加 して止 ま り. さ ら に
purÅ/metB
比 は添加 前 に は
4で あ ったが . 添 加 後 徐 々に
1に近 づ く事 か ら.
DNA複 製 の開始 反 応 が
PEA
存 在下 で選択 的 に阻害 さ れ て い る と 思 わ れ る (図
2).Ⅲ.
変異株の遺 伝解析
上述 の方 法 で複 製 開始変 異 株 と同定 され た
2株 の高 温感受性 菌 につ いて .
1.同 じ遺 伝 子 上 の 変 異 か 否 か .
2.遺伝子 地 図上 の変異 した位 置 を調 べ た .
1.ts6057
と
tsMH27の組 換 え テ ス ト
tsMH27(LTT)
を受容 菌 と して野性 株
(TT)と
ts6057(TT)
の
DNAを用 いて形 質 転 換 を 行 な っ た .生 じた
ts十トラ ンスホ‑ マ ン トの数 を
Ieu+トラ ンスホーマ ン トの数 で割 る事 に よ り,用 い た
DNAの形質転換 の効率 を補 正 した . そ の結 果 野 性 株 と
ts 6057とは同 じ補 正値 で ,この ことは
,ts6057と
tsM H27との間 には .
linkageは全 くな く . 両 者 L は異 な った遺伝子 の変異 株 と思 われ る . さ らに
2っ の変異 株 の変異 した遺伝 子 が遺伝子 地 図上 の ど こに位 置 す る か を調 べ た .
2.ts6057
と
tsMH27の マ ッ ピン グ
枯草 菌 にお いて .複 製 は
purA近 傍 の 起 点 か ら
塚
二方 向
28)に逐 次的 に起 き,
metBの近 くで 終 了 す る 事 が知 られて い る
)8).また枯 草 菌 の胞子 は .複 製 が 終 了 した段 階 で静 止 してお り,発 芽 の時 に は複 製起 点 か ら同調 して複製 が開始 され る
29):itI).そ こで . 発 芽 時 の 複製順序 か ら未知 の遺伝 子 と既 知 の遺 伝子 との相対 的 な位 置 を知 る事 が で きる
30川 )I
.実験 方 法 で述 べ た 様 た 野性株 の胞子 を発 芽 させ ,複 製 開始 後 複 製 さ れ る
D NAを
5・BudRで重 くラベ ル し,複 製 され た
DNA (HL)と複製 されて い ない軽 い
DNA (LL)と分 け た .各分画 の
DNAを用 いて
ts6057.tsMH27お よ び遺伝子 地図上 の位 置 のわか って い る遺 伝 子 の変異株 を受容 菌 に形質 転換 を行 い ,各 遺 伝 子 の複 製 率 を調 べ た .表
2に示 され た結 果 か ら
ts6057は
purBの 少 し前 ( 起点 に近 い方 ) に ,また
tsMH27は
leuと
his
の間 に位 置 す ることが明 らか に な った . この複製 順序 によ る方 法 か らは ,お お よその位 置 しか わ か らな いので さ らに詳 しく解析 す るに は ,形 質 転 換 又 は形質 導 入 によ って連関 した遺 伝子 を探 索 しな けれ ば な らな いが ,両者 と もまだ見 っ か って い な い . ‑一 方
Kara・ mataら
32)は枯 草 菌 の複 製 開始 変 異 株 を
2株
(dnaBと
dnaD)同定 し.マ ッ ピン グ して い て . 前 者 は
leu
遺伝子 と,
dnaDは
trp遺伝 子 と連 関 して い ることを報 告 して い る. この報 告 は .
tsMH27と
Gross
らの
dnaBとが同 じ遺 伝 子 の変 異 株 で あ る 可能性 を示 唆 す るが ,まだ わか って い な い .
ts6057は両者 と異 な り全 く新 しい変異 株 と患 わ れ る .
tsMH27.ts6057
両 変異 株 の遺 伝 的 解 析 に よ り . 複製 開始反応 に少 な くと も
2つ の因子 が関 与 して い る ことが明 らか にな った . これ らの因子 の性 質 を明 らか にす る目的 で .それぞ れの変異 株 につ いて ,高 温 か ら 低 温 に戻 した時 の複製 再 開始 の解 析 を行 な った .
表
1 6057と
MH27の組換 えテ ス ト
Recombinationexperiment recipient:MH27(LTT)donorDNA: wild(TTd),6057(TTd) DNA ts+ 1eu' ts/1eu "tSrmwT.lLzed exp1 wild(TTd) 233 851 0.274 l.
00 6057(TTd) 292 717 0.407 1
.49 expZ wild(TTd) l84 752 0.24
5 l.00 6057(TTd) 191 466 0.
409 1.67
形 質 転 換 法
枯草菌における
DNA複製開始反応 の道元生化学研 的究
、表
2 densitytransfermethodに よるマ ッピ ン グ
ReipnBlicdaUtRion markers toDta一 NA purÅ ts6057 purB his
A metB percent
replication l40mOmiinn 353.5.90
l
3l1.6 0.2 0.2 0.4 1.5 10.3 2.9 1.4 9.0 R
eipnBlicdaUtRion p markers
urÅ IhisA tsMH27 1eu8 metB percent
replicatio
n 140min 81.7 28.0 25.8 24.4 12.3 A :32p
で標 識 した
(LTT)
胞子
(77cpm32p/106SpOre)を
C+GMll中 で
37℃ 3時 間 チ ミン飢餓 培養 を
行 ったO その後
,5lBudR(50pg/ml)を加 え各 時培養 液 を採 取 した。
B :168(LTT)
胞子 を
Cg+GMll中
37℃ で
90分 チ ミン飢 餓 培 養 を行 った。 そ の後
,5‑BudR (50pg/mi)と
3H‑TdR(0.5pCi/1pgTdR/ml lとを同時 に加 えて
培 養 し, 各 時培養 液 を採 取 した。
A,Bそれ ぞれ 同 じよ うに以 下 の操 作 を行 った。
低 速遠 心 で細 胞 を集 め た後
,30%sucrose‑TMK buffer(pH7.1)‑1ysozym e(1mg /ml)溶液 に懸濁 し, プ ロ トプ ラス トを作 らせ た。 プ ロ トプ ラス トか ら
pH9.0フ ェ ノー ル法 で
DNAを抽 出 し,
CsCl密 度 勾配遠 心 法 に よって重 い分 画
(HL)と 軽 い分 画
(LL)に分 画 した.各分 画 の 各遺 伝 子 マ ー カ‑ に対 す る形 質 転 換 活性 を測 定 したO得 られ た形質転 換 活性 か ら
percentreplicationを次 式 の よ うに求 め
% replication…≡+HL(Tr㌻HL(aTrnsafonrsmaforntmasnt)+LL(s) Transfo
たo
rmants) totalDNA
の
percentreplication≡Ⅳ .
DNA複製再開
1.30oC
に戻 した際の 始の解析
DNA合成 とその複製起 点
ts605について
7と
tsMH27を
48oC
で
1時間培 養後低 温 に 戻す と
,lagの時間の差
はあ るが両者 と も再 び
DN A合成 を回復す る (図
3.
図
4). この時
,purA/metB
比 は図
4に示
す様 に
1か ら
2へ さ ら に
4へ と変 化す る.これは高温
で複製 が終了 して いたのが低温で 再 び複製を開始 した ことを示
唆す る. しか しもっと直 接的 に複製 の再開始 を証 明す る為 .
48oC
か ら
30oCに 戻 した後複製 され る
DNAを
5‑BudR
で 重 く ラベ ル し.染色体上 の複製起点
(purÅ)
,中点
(leu),終 点
(metB)が
CsCl
密度勾配遠心分離 ′ ヾタ ー ンで 軽 い分画 (LL)か ら重 い 分 画 (H L) に 移 る頻 度
(percent replication)
を調 べ た
‑2G).図
5は
ts60 HL(32HL(32p)p)+ LL(32p) 49 57
について ,各 マーカー
の複製 されて い く時 間 的 経 過 を示 しているが ,この結
果 は.
30oCに戻 した場 合 ,
purA近傍 の正常
の複製起点 か ら複製 が 開 始 し , 逮 次的 に複製末端 に向
か って進行 して い ること を 示 す . 即 ち高温か ら低温
に戻す ことによ り変異 した機能 が 回復 し,複製が再 開始 され る.そ こ
で この機能 の回復 に対す る高分子合成阻害剤 の効果 を調 べ ,変異 の性質
を解析 した.
2.DNA複製再開始 に及 ぼす
CMと
R ifの 効 果 .
高温か ら低温 に戻す と同時 に
CM
(
100〟g/ml)を,または低温 に戻す
2分前
に
Rif(l〟g/ml)杏 加 えて ,蛋 白質 または
RNA
の合成 阻害 が
DNAの
複製開始 におよぼす効果 を
∴iH‑T50
犬
図3 6057の30℃ に戻 してか らの複製再 開始 に及ぼすCMの阻害効果
図1と同 じ方法 で48℃ で1時間培養後,2等 分 しその一方 にのみCM(200〟g/ml)を加 え同 じspecific activityの3H‑TdR を含んだLp で2倍 に希釈 して直 ちに30℃に戻 して培養 した 30℃に戻 した時 をO timeとしてその時の3H‑
TdR の取込み量 を100として表示 した。
塚
500050221
▲ ム VN凸● o s 雲nl l
a⊆(%) a
SeguZa^il
eLaU
l l
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SeguZa^il
eLaURecovery
o f
J〕NA synt
hesis at30C0 1 2 3
図4 M H27の30℃に戻 してか らの複製再開始 に及ぼす Rif,CMの効果
(SItu⊃
三〇J y I)^lIPtqJnト
枯草菌におけるDNA複製開始反応の道元生化学的研究
図5 derBitytransfermethd に よる複製 再 開始の解析
ts6057を32p(1・5〟C/ml) を含んだLP培地 で
4世代以上培養 してKlet
tが
20に達 した時,48℃に移 して培養 し,1時間後 membrane filter (0・45p)で櫨過 して集菌 し,LPで洗い,後5‑ BudR (50pg/ml)と3HITdR (0.5pCi/ml)
を含んだ2倍容量のLPに懸濁 して30℃で培養 し た。その後適時 15mlを採取 してDNAを抽 出 し,実験方法 に述べ た ように してCsCl密度勾配 遠心法 を行 なった。
TotalDNAお よび各マー カーの% replica‑ tionを表2の説明文 中の式に よって求め,表示
した。
60
40
u o
芯?3dat11ua3JLad51
図6 PEAS‑11のPEAを除 いた後 の複製の再開始に及ぼすCMの効果。
‑PEASt!u
コ
一首lN(
eJ,)eSTeJ ' u
tLJO! 篭 亡H 等 II
H
52
犬
取込 みが阻害 され .
ts6057の高温 の阻害 は低 温 に戻 し て も回復 しないで新 たな蛋白合成 を必要 とす る事 が示 された ( 図
3).一方
tsMH27は
CM存在 下 で
30oCに戻 した場合
,30oCに戻 した時点 の
DNA量 の
100%の増加が見 られた.ところが
Rifを加 えて戻 した 場合 は,はなはだ しく
‥与H‑TdRの取込 みが阻害 され わずか
10‑20%の増加 が認 め られただ けで あ った ( 図
4).この
Rifによる阻害効果 が複製 開 始 反 応 の 阻 害 によるのか ,複製 の継続反応 の阻害 によ るのかを調 べ る為 ,戻 してか ら適時の細 胞 か ら
DNAを抽 出 し
,purÅ/metB比 を調 べて見 た (図
4).複製再 開 始後
,CM存在下 で培養 した細胞 の
purA/metB比 は,薬剤 を含 まない場合 と同様 に
2に増加 した .一 方
Rif存在下で は.ほとん ど
1に留 ま っ て い た .こ
凝
られの結果 は
,tsMH27において は
,30oCに戻 した 後 の複製 の再開始 に蛋白合成 は必要 と しないが
RNA合成 を必要 とす ることを示す .即 ち ,複製 再 開 始 に 対す る
RNAの関与 は,メ ッセ ンジャー
RNA合 成 阻害 によ り蛋白合成がで きな くな る事 によ り間接的 に 働 いているので はな く.
RNA自身 また は
RNA合 成が直接的 に関与 してい ることを示 す .なお
,LP培
地で対数増殖 している野性株 に
CM又 は
Rifを加え た場合
,DNAは両者 とも約
100%増 加 して 停 止 す る.この時 の
purA/metB比 も約
4か ら
1に まで低 下す る.この事実 は
.CM又 は
Rifが複製 の開始 は 阻害す るが .継続反応 は阻害 しない ことを示 す .
tsM H27において高温で阻害 され る ものが .複 製 開 始 に 必要 な
RNAなのか ,蛋白なのか , この実 験 だ け で
図
7 MH27の複 製再 開始 に及ぼす チ ミン飢餓 の影 響
0
20 IOTh●trTlln)
3 8 V N
ClJI‑LLJ● ● J
9LJ●^DSD●
∝ 808 2Tlm●(hour 40
●)
MH27
を図
1と同 じ方 法 で
48℃ で
1時 間培養 後 ,
membranefilterで滅過 し, 細 胞 を
Cgで洗 い, つ い で
20種 の ア ミノ酸 (各 々
25/∠g/ml)を含 む
2倍 量 の
Cg
に 懸濁 し
A :